(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
特に明記していない限り、このセクションで説明する技術は、本願の請求項に対する先行技術ではなく、このセクションを含むことによって先行技術として認めるものでもない。
【0004】
図1は、基本的なフライバックコンバータ100を示すブロック図である。フライバックコンバータ100は、負荷を駆動するべく、DC入力の電圧レベル(例えば、V
in)を新しい電圧レベルV
outに変換する。フライバックコンバータ100は、一次巻線および二次巻線を有するトランスTを備える。入力電圧V
inは、一次巻線の入力端子102に印加される。一次巻線の他方の端子は、スイッチQ(例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ:MOSFET)に接続されている。ダイオードDは、二次巻線の端子と、フライバックコンバータ100の出力端子104との間で直列に接続されている(一次巻線および二次巻線の点で示した端部の関係に注意されたい。両端部で対流電流が入力される)。コンデンサCは、出力端子104および106の間に接続されている。
【0005】
スイッチQがオンになると(閉じると)、DC入力からの入力電流I
PがトランスTの一次巻線に流れ、トランスコアにおいて磁界を生成すると共に、二次巻線に電圧を発生させる。この時点において、ダイオードDは、逆バイアスがかかっている(点で示した端部は、別の端子よりも電位が高い)ので、二次巻線には電流が流れない(I
S=0)。
【0006】
しばらく経ってからスイッチQがオフになると(開くと)、一次巻線における電流経路が断絶される(I
P=0)。磁界が崩壊して、一次巻線および二次巻線において電圧反転が発生する。二次巻線における電圧極性の反転の結果、ダイオードDには順バイアスがかかり、電流I
Sが流れる電流I
SはコンデンサCを充電し、V
outを0Vから増加させる。コンデンサCが充電されると、コンデンサからの電流I
cによって、出力端子104および106にわたって接続されている負荷を駆動することができる。
【0007】
出力V
outからのフィードバック経路108は、V
outの所望の電圧レベルを維持することを目的としてコンデンサCの充電を維持するために、電流I
PおよびI
Sを変化させるべく、スイッチング制御信号のデューティーサイクル(例えば、スイッチングサイクルのオン時間を、スイッチングサイクルの期間に占める割合として示したもの)を制御するために利用されるとしてよい。しかし、電源を入れると、V
outは最初の電圧レベルである0Vから増加する。したがって、フィードバック経路108は、スイッチQのオン時間およびオフ時間を適切に制御するための適切なフィードバック信号を提供することが出来ない場合があるとしてよい。コンデンサCを最初に充電するために用いられるスタートアップシーケンスに応じて、トランスTは、スタートアップシーケンス中に飽和状態になる場合があるとしてよい。トランスTを飽和状態とすることによって、スイッチQにおいて十分に高い電圧レベルが発生して(例えば、MOSFETにおけるドレイン−ソース電圧VDS)、スイッチが損傷する場合がある。解決方法として、より高い飽和定格を持つ十分に大きなトランスを利用する方法が挙げられる。しかし、このようなデバイスは概して高価であり、より大きな問題としては、所与の構造には大き過ぎる場合がある。同様に、定格電圧が高い十分にロバストなMOSFETデバイスも、所与の構造には大きすぎ、および/または、高価過ぎて利用できない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に記載する説明では、説明を目的として、数多くの例および具体的且つ詳細な内容を記載して、本開示を完全に理解していただく。しかし、請求項で定義される本開示は、以下に記載する例の特徴の一部または全てを単独で、あるいは、以下で説明する他の特徴と組み合わせたものを含むとしてよく、さらに本明細書で説明した特徴および概念の変形例および均等性を含み得ることは、当業者には明らかであろう。
【0023】
一部の実施形態によると、例えば、
図2に図示した実施形態では、フライバックコンバータ200は、負荷(例えば、発光ダイオード、LEDアレイ等)を駆動するために設けられるとしてよい。本開示に応じて、フライバックコンバータ200は、交流(AC)電圧を受け取る入力部を備えるとしてよい。ある実施形態によると、入力部は、整流回路204、および、整流回路に接続されているトランス202を有するとしてよい。整流回路204は、全波整流器、半波整流器等であってよい。別の実施形態によると、入力部は、整流回路204のみを有するとしてよく、この場合には、トランス202は、フライバックコンバータ200の入力端子202aに接続されている外部素子と見なされる。
【0024】
整流回路204は、入力電流I
Pを示す電流204aを抵抗器R
Sに出力する。整流回路204は、整流電圧V
in 204bをスタートアップ回路206およびトランス(フライバックトランス)208に出力する。一部の実施形態では、スタートアップ回路206は、コントローラ210に電力を供給するべく電源電圧(例えば、V
DD)を生成するとしてよい。スタートアップ回路206はさらに、制御信号であるV
in有効信号を生成するとしてよい。当該制御信号は、スイッチング制御信号SWを出力するか否かを判断する際にコントローラ210が利用するとしてよい。
【0025】
本開示によると、コントローラ210は、スタートアップスイッチングシーケンスおよび通常スイッチングシーケンスを実行する。これらについては以下でより詳細に説明する。コントローラ210は、スイッチM
1に接続されている。一部の実施形態によると、スイッチM
1はMOSFET電源デバイスであってよい。コントローラ210は、スイッチM
1のゲート端子Gに結合され得るスイッチング制御信号SWを生成することにより、スイッチのON状態およびOFF状態を制御する。コントローラ210は、過電流検知信号210aを受け取る。過電流検知信号210aは、一部の実施形態によると、抵抗器Rsにおける電圧レベルであってよい。実施形態によると、過電流検知信号210aは、入力電圧V
inに基づいて生成されており、過電流状態を検出するために用いられるとしてよい。より詳細に後述するが、過電流信号は、一部の実施形態において、スイッチング制御信号SWの生成を制御するべく用いられるとしてよい。
【0026】
コントローラ210は、コントローラの動作を設定するためのパラメータを含む設定メモリ212に接続されているとしてよい。例えば、本開示の原理に応じて、設定メモリ212は、1以上のパラメータを含むとしてよく、例えば、スキップカウント212a、過電流ステップ値212b、過電流開始値212c、および、V
out閾値212dを含むとしてよい。これらについては、以下でより詳細に説明する。
【0027】
一部の実施形態によると、コントローラ210は、特定用途向け集積回路(ASIC)として、または、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)と共に、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を用いて等の方法で実現されるとしてよい。設定メモリ212は、コントローラ210のロジックに組み込まれるとしてよく、または、設定メモリは、コントローラロジックとは別個のメモリデバイス(例えば、フラッシュメモリ)であってよい。
【0028】
トランス208は、一次巻線Pおよび二次巻線Sを含む。整流回路204から得られる整流電圧204bは、一次巻線のうち「点で示した」端子に接続される。このように「点」を名称として用いるのは、トランスを設計する際に電流の流れる方向を示すべく用いられる従来の概念である。一次巻線Pのうち点が付与されていない端子は、スイッチM
1のドレイン端子Dに接続されている。スイッチM
1のソース端子Sは、グラウンド電位に接続されている。
【0029】
二次巻線側では、二次巻線Sの点が付与されていない端子と、フライバックコンバータ200の出力端子224aとの間で、ダイオード222が接続されている。二次巻線Sのうち点が付与されている端子は、フライバックコンバータ200の別の出力端子224bに接続されている。二次巻線Sの端子同士の間には、コンデンサ226が接続されている。
【0030】
フィードバックエラー回路228および光カプラ230は、コントローラ210へのフィードバック経路を形成する。フィードバックエラー回路228は、フライバックコンバータ200の出力電圧V
outに基づいたレベルを出力する。光カプラ230は、コントローラ210の入力にフィードバック信号210bを供給する一方、同時に、フライバックコンバータ200の出力側(つまり、二次巻線Sに接続されている回路)をコントローラから分離して、出力側で生成され得る高電圧による損傷からコントローラ(そして、入力側の他の回路、例えば、一次巻線Pに接続されている回路)を保護する。
【0031】
より詳細に後述するが、コントローラ210は、フィードバック信号210bを利用して、通常スイッチングシーケンスにおいてスイッチM
1のスイッチングを制御する。一部の実施形態において、設定メモリ212は、所望のレベルのV
outを維持するためにコントローラ210によって利用される閾値電圧レベルV
out閾値212dを含むとしてよい。
【0032】
フライバックコンバータ200の一般的な動作には、コントローラ210がスイッチM
1を所定期間にわたってオンに制御することにより、一次巻線Pに電流I
Pを発生させることが含まれる。電流I
Pは、時間の経過に応じて増加する。オン期間におけるI
Pの増加は、以下の数1で表される。
【数1】
式中、ΔI
Pはオン期間における電流I
Pの変化量、V
inは入力電圧、T
onはスイッチM
1のオン期間の長さ、そして、L
mはトランス208の一次巻線Pのインダクタンスを表す。スイッチM
1のオン期間において、トランス208の二次巻線Sには電流が流れない。つまり、I
S=0となる。
【0033】
コントローラ210がスイッチM
1をオフに制御すると、トランス208における磁界が崩壊し始めるので、電流I
Pは停止して、電流I
Sが発生する。オフ期間における電流I
Sの変化量は、以下の数2で表される。
【数2】
式中、ΔI
Sはオフ期間における電流I
Sの変化量、V
outはフライバックコンバータ200の出力電圧、V
fdはダイオード222の順電圧降下、T
offはスイッチM
1のオフ期間の長さ、L
mはトランス208の一次巻線Pのインダクタンス、および、N
tはトランス208のトランス巻線数比を表す。スイッチM
1のオフ期間において、トランス208の一次巻線Pには電流が流れない。つまり、I
P=0となる。
【0034】
フライバックコンバータ200の一般的な動作をさらに説明すると、V
out=0Vである電源オフ状態からの出力電圧V
outの蓄積は、スイッチM
1のオン期間およびオフ期間のサイクル毎に徐々に増加する。各サイクルでコンデンサ226に蓄積される電流の量は、以下の数3で表される。
【数3】
式中、ΔI
avgは各オフ期間における二次巻線Sの平均電流変化量、V
inは入力電圧、T
onはスイッチM
1のオン期間の長さ、L
mはトランス208の一次巻線Pのインダクタンス、および、ΔI
Sはオフ期間における電流I
Sの変化量を表す。各サイクルにおける出力電圧V
outの変化量は、以下の数4で表される。
【数4】
式中、ΔV
outは出力電圧、ΔI
avgは各オフ期間における二次巻線Sの平均電流変化量、T
offはスイッチM
1のオフ期間の長さ、C
0はコンデンサ226のキャパシタンスを表す。
【0035】
図3を参照すると、同図に示すグラフは、コントローラ210が生成するスイッチング制御信号SWのパルス波形304、および、トランス208における磁化電流波形302を示す。磁化電流は、スイッチM
1のオン期間において一次巻線Pに流れる電流に関する。磁化電流は、オン期間において、トランス208で磁界を発生させる。続くオフ期間において、磁界は崩壊し、二次巻線Sにおいて電流が発生している。二次巻線Sにおける電流が増加し続けると、トランスにおける磁化電流は減少する。波形302によると、磁化電流のピークは飽和電流I
satと呼ばれるトランス208のパラメータを超えていないことが分かる。このパラメータは、最大磁束密度(Bmax)と呼ばれることもあり、I
satから算出することができる。
【0036】
図3は、フライバックコンバータ200の動作のうち「通常スイッチング」期間を示している。理想的な条件においては、スイッチング制御信号SWは、パルス幅およびデューティーサイクルが一定であるパルスを用いて、出力電圧V
outを一定のレベルに維持することができる。しかし、V
outのレベルは通常変動するので、フィードバック回路228は、V
outを一定に維持するべくコンデンサ226の充電量を一定に維持する機能を持つ。したがって、コントローラ210は、フィードバック信号210bに基づいて、スイッチング制御信号SWのパルスを、周期T
period、オン時間T
ON、オフ時間T
OFF等を変化させることによって、調整するとしてよい。通常スイッチング期間においては、出力電圧V
outが十分に高いので、検出可能な電圧レベルがコントローラ210にフィードバックされて、スイッチM
1を制御するための適切なパルス(SW)を生成する。
図3に図示されている波形は、上記の考察内容を説明するべく、大きく強調されている。
【0037】
数1から分かるように、一次巻線の電流I
Pは、トランスのインダクタンスL
mに反比例する。しかし、トランスが飽和状態になると(例えば、I
P>I
sat)、トランス208のコアのインダクタンスは急激に降下して、一次巻線Pの電流は急激に増加する。電流が急激に変化すると、スイッチM
1のドレインとソースとの間に非常に高い電圧が発生し、十分に高い動作電圧を定格電圧としてもっていなければスイッチが損傷してしまう場合がある。通常のスイッチングについては、コントローラ210は、フィードバック信号210bに基づいてパルス(SW)を適宜制御することによって、トランスの磁化電流が飽和電流I
satを超えないように保証する。
【0038】
図4は、トランス208が飽和状態になる場合を説明する。トランス208の磁化電流は、パルス1のオン期間において立ち上がり、オン期間の終了時にピークレベルに到達して、オフ期間において放電を開始する。しかし、磁化電流は、パルス1のオフ期間の終了時までに完全に放電するのではなく、残留磁化電流I
residual1が残る。スイッチM
1がパルス2でオンになると、トランス208の磁化電流は、I
residual1のレベルから増加し始めて、パルス2のオン期間の終了時点において前回より高いピークレベルに到達する。繰り返しになるが、磁化電流はパルス2のオフ期間の終了時点までに完全に放電せず、前回より高い残留磁化電流I
residual2が残る。
図4から分かるように、トランス208は、パルス3によってタイミングt
1において飽和状態になる。残留磁化電流は、以下の数5によって表される。
【数5】
式中、I
residualは残留磁化電流、ΔI
Pはオン期間において一次巻線Pで生成される電流(数1を参照のこと)、ΔI
Sは続くオフ期間において二次巻線Sにおいて発生する電流(数2を参照のこと)、そして、N
tはトランス208のトランス巻線数比を表す。
【0039】
フライバックコンバータ200が電源オフ状態から電源が入ると、出力電圧V
outは最初は0Vであるが、0Vから徐々に増加する。数2および数5からは、トランス208における残留磁化電流は、通常のスイッチング動作期間よりもスタートアップ期間において高くなると考えられる。このため、スタートアップ期間は、トランスが飽和状態になる可能性が高くなるので、スイッチM
1が損傷する危険性も高くなる。このため、本開示の原理によると、コントローラ210の実施形態は、スタートアップ期間における動作を制御する。
【0040】
図5を参照すると、一部の実施形態において、コントローラ210は、パルス生成部502と、スタートアップスイッチングブロック504と、通常スイッチングブロック506とを備えるとしてよい。パルス生成部502は、スタートアップスイッチングブロック504および通常スイッチングブロック506に供給されるパルストレイン502a(Pulse_gen)を生成する。ある実施形態によると、パルストレインは、周期およびデューティーサイクルが略同じであるパルスを複数含む。これらのパルスは、スイッチング制御信号SWを生成するために用いられるとしてよい。mux508は、スタートアップスイッチングブロック504の出力および通常スイッチングブロック506の出力のいずれかを、スイッチング制御信号SWとして、選択する。MUXにおける選択は、コンパレータ510で制御される。コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bと、設定メモリ212から受信するV
out閾値パラメータ212dとを比較する。
【0041】
スイッチング制御信号SWは、フライバックコンバータ200がスタートアップシーケンスを完了させると、通常スイッチングブロック506から取得される。一部の実施形態によると、例えば、コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bと、V
out閾値パラメータ212dとを比較することによって、スタートアップシーケンスが完了したことを示す情報を供給するとしてよい。通常スイッチング期間においては、通常スイッチングブロック506は単に、パルス生成部502で生成される出力パルスをmux508へと通過させて、スイッチング制御信号SWとして出力させるとしてよい。また、通常スイッチングブロック506は、V
outについて適切な電圧レベルを維持するように、V
outフィードバック信号210bに応じて、パルス生成部502から受信したパルスを修正または変化させるとしてよい。
【0042】
本開示によると、スイッチング制御信号SWは、例えば、コンパレータ510によって決められるが、フライバックコンバータ200のスタートアップ動作期間においてスタートアップスイッチングブロック504から得られる。スタートアップスイッチングブロック504は、設定メモリ212からスキップカウントパラメータ212aを受信する。一部の実施形態では、当該パラメータ212aを用いて、スイッチング制御信号SWを生成する。
【0043】
一部の実施形態によると、mux508の出力は、スタートアップ回路206からのV
in有効信号によって制御されるANDゲート512によってゲーティングされるとしてよい。実施形態によっては、V
in有効信号は、電圧降下から保護するべく、スイッチング制御信号SWの出力をディセーブルするために用いられる。このため、例えば、スタートアップ回路206が電圧降下状態を検出すると、V
in有効信号はLOになるが、それ以外の場合にはHIのままとなる。
【0044】
図6を参照しつつ、
図5に示すコントローラ210の動作を説明する。602において、パルス生成部502はパルスの生成を開始する。604において、設定メモリ212からパラメータを読み込む。例えば、スキップカウントパラメータ212aを読み込んで、スタートアップスイッチングブロック504で利用し、V
out閾値パラメータ212dを読み込んで、コンパレータ510で用いる。
【0045】
606において、スタートアップシーケンスが完了したか否かを判断する。実施形態によっては、スタートアップシーケンスは、V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dによって決まる閾値よりも大きい場合に、完了したと判断される。したがって、コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bとV
out閾値パラメータ212dとを比較する。コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dよりも小さい場合には、スタートアップスイッチングブロック504の出力を(mux508で)選択する。V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212d以上である場合、コンパレータ510は、(612において)通常スイッチングブロック506の出力を選択して通常スイッチングを行う。
【0046】
V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dより小さい場合、608に進み、スタートアップスイッチングブロック504は、パルス生成部502からの出力502aの第1のパルスを受信して、第1のパルスをmux508に出力する。610において、スタートアップスイッチングブロック504は、パルス生成部から続くN個のパルスを受信して、これらN個のパルスをmux508に出力しないことによって、これらN個のパルスをスキップする。尚、Nはスキップカウントパラメータ212aに等しくなるように設定されている。この後、606に戻る。
【0047】
図7を参照すると、タイミング波形は、パルス生成部502が生成するパルスと、V
outフィードバック信号210bに応じて生成されるスイッチング制御信号SWとの間のタイミング関係を示している。最上部の波形は、パルス生成部502が生成するパルストレインを示す。
図6のフローチャートによると、606から610におけるスタートアップスイッチングでは、最下部の波形で示すスイッチング制御信号SWが生成される。タイミングt
1において、パルス生成部502からの第1のパルスは、スイッチング制御信号SWの一のパルスとして現れている。この後、続くN個のパルスについては(
図9ではN=4である)、省略しており、スイッチング制御信号SWに現れていない。尚、Nは、スキップカウントパラメータ212aに等しい。この状態は、タイミングt
2およびt
3でも繰り返されており、V
outフィードバック電圧信号210bが着実に増加している間はこのようになる。V
outフィードバック電圧信号210bがタイミングt
4においてV
out閾値に到達すると、通常スイッチングが行われ、パルス生成部502からのパルスがスイッチング制御信号SWに出力される。
【0048】
本開示によると、スイッチング制御信号SWのデューティーサイクルは、スタートアップスイッチングシーケンスと通常スイッチングシーケンスとでは異なるものと考えられる。スタートアップスイッチングシーケンスは常に、スイッチング制御信号SWに1パルスが出力される毎にN個のパルスをスキップするので、スイッチング制御信号のデューティーサイクルは、通常スイッチングに比べてスタートアップスイッチングの間は、1/(N+1)に低減する。
【0049】
図8を参照すると、コントローラ210の別の実施形態を示している。コントローラ210は、
図5に図示したものと同じ構成要素を備える。しかし、
図8に示す実施形態では、スタートアップスイッチングブロック804が、設定ブロックから過電流パラメータ212bおよび212cを受信する。これに加えて、スタートアップスイッチングブロック804は、スタートアップスイッチングシーケンスにおいて、スイッチング制御信号SWのパルス幅を制御するべく、フィードバックループにおいて過電流検知信号210aを利用する。
【0050】
図9を参照しつつ、
図8に示したコントローラ210の動作を説明する。902において、パルス生成部502はパルスの生成を開始する。904において、設定メモリ212からパラメータを読み込んで設定する。例えば、スキップカウントパラメータ212aを読み込んで、スタートアップスイッチングブロック804で利用し、V
out閾値パラメータ212dを読み込んで、コンパレータ510で利用する。また、過電流ステップパラメータ212bおよび過電流スタートパラメータ212cを読み込む。過電流開始パラメータ212cを用いて、過電流閾値の初期値を設定する。
【0051】
906において、スタートアップシーケンスが完了したか否かを判断する。実施形態によっては、スタートアップシーケンスは、V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dによって決まる閾値よりも大きい場合に、完了したと判断される。したがって、コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bとV
out閾値パラメータ212dとを比較する。コンパレータ510は、V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dよりも小さい場合には、スタートアップスイッチングブロック504の出力を(mux508で)選択する。V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212d以上である場合、コンパレータ510は、通常スイッチングブロック506の出力を選択する。
【0052】
V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dより小さい場合、908において、スタートアップスイッチングブロック804は、パルス生成部502の出力502aがHIになるまで待機する。HIになったタイミングで、スタートアップスイッチングブロックは出力においてロジックHIをアサートする(910)。スタートアップスイッチングブロック804の出力は、mux508を介して、スイッチング制御信号SWに出力される。912において、過電流閾値は、過電流検知信号210aと比較する。過電流検知信号210aが過電流閾値よりも小さい場合、922において、パルス生成部502の出力502aがHIまたはLOのいずれであるかを判断する。LOの場合、スタートアップスイッチングブロック804は、924においてLOをアサートして、906に進む。HIの場合、スタートアップスイッチングブロック804は、910においてHIをアサートして、912において過電流閾値と過電流検知信号210aとを比較する動作を繰り返す。過電流検知信号210aが過電流閾値を超えている場合、914において、スタートアップスイッチングブロック804の出力はロジックLOにアサートして、スイッチング制御信号SWにおけるONパルスを画定する。
【0053】
916において、スタートアップスイッチングブロック504は、パルス生成部からN個のパルスを受信して、これらN個のパルスをmux508に出力しないことによってスキップする。尚、Nは、スキップカウントパラメータ212aに等しくなるように設定される。918において過電流閾値をインクリメントする場合、過電流閾値は、920において、設定メモリ212から受信する過電流ステップパラメータ212bに応じてインクリメントする。この後、906以降の処理を繰り返す。ループ906−920の次のパスでは、過電流閾値がインクリメントしているので、スイッチング制御信号SWにおけるONパルスは、ループ908から912の動作によって、広くなる。
【0054】
906において、V
outフィードバック信号210bがV
out閾値パラメータ212dよりも大きくなると、926に進み、過電流閾値を最終参照値に設定する。そして928において、通常スイッチングを実行する。
【0055】
図10を参照すると、タイミング波形によると、パルス生成部502が生成するパルス、過電流検知信号、生成されたスイッチング制御信号SWの相対タイミングを、V
outフィードバック信号210bに対して示している。最上部の波形は、パルス生成部502が生成するパルストレインを示す。
図9のフローチャートによると、908から912におけるスタートアップスイッチングは、最下部の波形で示すように、タイミングt
1においてスイッチング制御信号SWに第1のパルスを発生させる。過電流閾値はTH
1に設定される。過電流検知信号210aがTH
1に到達すると、第1のパルスが形成される。図示している例では、スキップカウントパラメータ212aは3に設定されている。このため、続くN=3個のパルスをスキップして、スイッチング制御信号SWには発生させない。これをタイミングt
2およびt
3でも繰り返し、過電流閾値は、TH
2にインクリメントさせた後、TH
3にインクリメントさせる。タイミングt
4において、V
outフィードバック電圧信号210bは、V
out閾値に到達する。通常のスイッチングが行われ、パルス生成部502からのパルスをスイッチング制御信号SWに出力する。
【0056】
「a」、「an」(共に、単数を表す不定冠詞)および「the」(定冠詞)といった用語は、本明細書および以下に記載する請求項で用いる場合、文脈から明らかにそうでないことが分かる場合を除き、複数も含む。また、「in」(「において」、「の内部に」等の翻訳が該当する)の意味には、本明細書および以下に記載する請求項で用いる場合、文脈から明らかにそうでないことが分かる場合を除き、「in」および「on」(「において」、「上に」等の翻訳が該当する)の意味を含むものとする。
【0057】
上記の説明は、本開示のさまざまな実施形態を、さまざまな側面の実施例に基づいて記載している。上述した例および実施形態は、当該実施形態のみと判断されるべきではなく、以下に記載する請求項で定義するように、本開示の利点および柔軟性を説明するために記載している。上述した開示内容および以下に記載する請求項に基づき、他の構成、実施形態、実施例および均等物は、当業者には明らかであり、請求項の範囲および意図から逸脱することなく利用され得る。