特許第6113105号(P6113105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113105
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】締固め機
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20170403BHJP
   E01C 19/17 20060101ALI20170403BHJP
   E01C 19/27 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   E01C19/26
   E01C19/17
   E01C19/27
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-76567(P2014-76567)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-197013(P2015-197013A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081569
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 勝一
(74)【代理人】
【識別番号】100156018
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 充史
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 鉄朗
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−077769(JP,A)
【文献】 特開2002−129517(JP,A)
【文献】 特開2002−242121(JP,A)
【文献】 特開平07−305306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席に昇降するステップを車体の側部に備え、
前記ステップの後方側で、かつ車体の側部側に燃料タンクを設けると共に、前記燃料タンクの後方に液剤タンクを設け、
前記燃料タンクの天板部上を、前記車体に設けた水タンクに水を供給するホースを格納可能な格納スペースとし、
前記燃料タンクの前に設ける前板部を上方に延長した延長板と、車体の側面外装を形成する側面カバーと、前記液剤タンクの前面を覆う前カバーとで前記格納スペースを囲う構造にしたことを特徴とする締固め機。
【請求項2】
請求項1に記載の締固め機において、
前記運転席の床面と前記天板部とを略同面に形成することにより、前記床面の一部を前記格納スペースの一部として用いたことを特徴とする締固め機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の締固め機において、
前記延長板および前記燃料タンクの天板部とに、前記格納スペース上にホース以外の機器を格納した際の機器固定部材を接続する接続手段を設けたことを特徴とする締固め機。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の締固め機において、
前記格納スペース以外に、前記車体の後部に、少なくともホースを格納可能な別の格納スペースを設けたことを特徴とする締固め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤローラのように、舗装面の転圧を行なうローラ式締固め機に係わり、特に散水を必要とする締固め機において、ホース等を格納する格納装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装や地道の整地の際に散水するタイヤローラ等においては、車体の内部に水タンクを搭載しており、水タンク内の水が無くなるごとにホースを介して給水タンクや貯水池等から水タンクに給水したり、他の締固め機にホースを介して給水する必要がある。そのため、特許文献1に記載の締固め機においては、車体の後部に落下防止用の扉を有するホース格納スペースを構成している。
【0003】
従来の他のホース格納装置として、車体の左側のステップの後側にホースを格納する扉付きの格納ボックスを設けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2788188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、車体の後部にホースの格納スペースを設けた構成では、ホースを使用して水タンクに給水する作業を行なうたびにオペレータが車体の後方に移動してホースを扱う必要があるという煩わしさがあった。また、格納スペースに凹凸が多いため、他の機器を格納することが困難であるという問題点があった。
【0006】
また、車体の左側のステップの後側にホースを格納する扉付きのボックスを設けた格納装置においては、扉を開閉してボックス内にホースを出し入れする作業が必要となり、ホースの取扱いが煩わしいという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、水タンクへの給水等を行なうホースの取り扱いが容易となるホース格納装置を有する締固め機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の締固め機は、
運転席に昇降するステップを車体の側部に備え、
前記ステップの後方側で、かつ車体の側部側に燃料タンクを設けると共に、前記燃料タンクの後方に液剤タンクを設け、
前記燃料タンクの天板部上を、前記車体に設けた水タンクに水を供給するホースを格納可能な格納スペースとし、
前記燃料タンクの前に設ける前板部を上方に延長した延長板と、車体の側面外装を形成する側面カバーと、前記液剤タンクの前面を覆う前カバーとで前記格納スペースを囲う構造にしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の締固め機は、請求項1に記載の締固め機において、
前記運転席の床面と前記天板部とを略同面に形成することにより、前記床面の一部を前記格納スペースの一部として用いたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の締固め機は、請求項1または2に記載の締固め機において、
前記延長板および前記燃料タンクの天板部とに、前記格納スペース上にホース以外の機器を格納した際の機器固定部材を接続する接続手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の締固め機は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の締固め機において、
前記格納スペース以外に、前記車体の後部に、少なくともホースを格納可能な別の格納スペースを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、オペレータが昇降するステップの後側にホースを格納可能なスペースを設けたので、通常はホースをこの格納スペースに格納しておくことにより、ホースが手近となり、ホースの取り扱いが容易となる。また、この格納スペースは、搭載面がフラットであるため、ホース以外の他の機器、例えば夜間照明用発電機等を格納する場合も格納が容易となる。
【0013】
また、燃料タンクの前に設ける前板部を上方に延長した延長板と、車体の側面外装を形成する側面カバーと、前記液剤タンクの前面を覆う前カバーとで前記格納スペースを囲う構造にしたので、格納スペースに格納するホースやホース以外の他の機器を、締固め機から落下させることなく、安定的に格納することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、運転席の床面の一部を格納スペースの一部として利用可能としたので、格納スペースを広く確保することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、格納スペースにホース以外の例えば夜間照明用発電機等の機器を格納した時に、格納スペースの前部にある前板部と、燃料タンクの天板部に、その機器を固定するロープ等の可撓性固定部材を固定する固定手段を設けたので、格納スペース上の機器が揺れることなく安定して固定することが可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、車体の後部にも少なくともホースを格納可能な別の格納スペースを設けたので、ステップの後側に格納スペースに夜間照明用発電機等の他の機器を格納する場合、ホースを車体の後部に格納しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の締固め機の一実施の形態を示す斜視図である。
図2】本実施の形態のホースの格納スペースを示す斜視図である。
図3】本実施の形態において、ホースの格納スペースに夜間照明用発電機を格納した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は締固め機の一実施の形態を示す斜視図、図2はその部分拡大図、図3はホースの格納スペースに夜間照明用発電機を格納した状態を示す側面図である。図1に示すように、この締固め機は、車体1の後部の後輪30と、車体1の前部に取付ける前輪(図示せず)とにより、アスファルト舗装面や地道の転圧を行なうことで整地を行なうものである。
【0019】
車体1上の片側(本実施の形態においては右側)には運転席3を備え、車体1の左側には、運転席3の床面4に昇降するためのステップ5を備える。6は車体1の外装となる側面カバーであり、この側面カバー6はステップ5を設ける部分6aを欠除させている。
【0020】
7は締固め機のエンジン駆動用の燃料を溜める燃料タンク、7aは燃料タンク7に燃料を注入する注入口である。8はアスファルト舗装の整地の際に、アスファルトが後輪30や前輪に付着することを防止する等のために使用する液剤を溜める液剤タンクである。燃料タンク7は、運転席3に昇降するステップ5の後方側で、かつ車体1の側部上に設ける。液剤タンク8は、燃料タンク7の後方に設ける。9は車体1のフレームの内部に設けた水タンク2に給水したり、水タンク2から他の締固め機に給水するためのホースである。10は水タンク2にホース9を介して給水タンクや貯水池等から水を注入したり、他の締固め機に水を供給するためのポンプである。このポンプ10は運転席3の床面4上に設置されている。
【0021】
図2図3に示すように、燃料タンク7の天板部7b上をホース9の格納スペース11を設ける。また、本実施の形態においては、この格納スペース11をフラット面として広く確保するため、天板部7bと運転席3の床面4とをほぼ同面(同一高さを有する平面)として床面4の一部も格納スペース11の一部として利用可能としている。
【0022】
12は燃料タンク7の前に設ける前板部、12aは前板部12を上方に延長した延長板、13は液剤タンク8を覆うカバー、13aは液剤タンク8の前面を覆う前カバーである。格納スペース11は、燃料タンク7の前に設ける前板部12と、車体の側面外装を形成する側面カバー6と、液剤タンク8を前面を覆う前カバー13aとで囲う。
【0023】
図1において、14は車体1の後部に設けたフラット面でなる別の格納スペースであり、燃料タンク7上の格納スペース11にホース9を格納している際に、図3に示す夜間照明用発電機15を格納しておき、図3に示すように燃料タンク7上に夜間照明用発電機15を格納しておく際には、ホース9を車体後部の格納スペース14に格納しておくものである。16はこの格納スペース14の後部に設けられ、機器の落下を防止する枠である。17は車体1の周囲に設けられ、オペレータや保守員がメンテナンス作業を行なう際の落下防止用の手摺である。
【0024】
図2に示すように、格納スペース11を囲う延長板12aには、格納スペース11にホース9以外の機器を格納する際に機器を固定するための固定部材の接続手段としての孔12bを設ける。また、天板部7b上にはこの別の接続手段としてナット18を溶接する。
【0025】
本実施の形態においては、オペレータが昇降するステップ5の後側にホース9を格納する格納スペース11を設けたので、通常はホース9をこの格納スペース11に格納しておくことにより、ホース9が手近となり、給水作業において、オペレータはこの格納スペース11上のホース9を扱えばよい。すなわちオペレータは従来の格納装置のように、わざわざ車体の後部に回り込んだり、車体側面の格納ボックスの扉を開閉してホース9を出し入れする必要がなくなり、ホース9の取り扱いが容易となり、作業性が向上する。
【0026】
本実施の形態においては、運転席3の床面4を天板部7bと略同面に形成したので、床面4の一部も格納スペース11として利用可能となり、格納スペース11を広く確保できる。
【0027】
また、夜間作業が必要になった場合は、図3に示すように、格納スペース11上に夜間作業に必要な夜間照明用発電機15を格納しておく。この場合、格納スペース11は、搭載面がフラットであるため、夜間照明用発電機15を格納する場合も格納が容易となる。
【0028】
この発電機15を格納スペース11に格納する際には、発電機15の把手15a,15bにそれぞれ機器固定部材としてのロープ19,20を接続し、一方のロープ19を延長板12aに設けた孔12bに接続し、他方のロープ20を天板部7b上に溶接したナット18に螺合するアイボルト21に接続することにより、発電機15を格納スペース11上に安定的に固定しておくことができる。
【0029】
なお、発電機15等、ホース9以外の他の機器を格納スペース11に固定する機器固定部材としては、ロープ19,20以外にチェーンやベルト等を用いることができ、また、機器固定部材を延長板12aや天板部7bに設ける接続手段として、孔12bやナット18の代わりにリング等を設け、機器固定部材の端部に設けるフック等をリング等に接続する等、他の接続機構を用いることが可能である。
【0030】
本実施の形態においては、車体1の後部にも別の格納スペース14を設けたので、ステップ5の後側にある本来のホース9の格納スペース11に夜間照明用発電機15を格納する場合、ホース9を車体1の後部の格納スペース14に格納しておくことができる。また、格納スペース11にホース9を格納する場合には、車体1の後部の格納スペース14に夜間照明用発電機15を格納しておくことができる。
【0031】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加を行なうことができる。例えば水タンクには必要に応じて薬剤を混合して使用する等、具体的な水の扱いは、用途や現場の状況等によって種々の態様で作業が行なわれる。
【符号の説明】
【0032】
1 車体
2 水タンク
3 運転席
4 床面
5 ステップ
6 側面カバー
7 燃料タンク
7b 天板部
8 液剤タンク
9 ホース
10 ポンプ
11 格納スペース
12 前板部
12a 延長板
12b 孔(接続手段)
13 液剤タンクの前カバー
14 格納スペース
15 夜間照明用発電機
16 落下防止枠
18 ナット(接続手段)
ロープ 19,20(機器固定部材)
21 アイボルト(接続手段)
図1
図2
図3