(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0011】
本発明は、GRF類似体およびその使用に関する。
第1の態様では、本発明は、式(I)(配列番号1)
X1−X2−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−X8−X9−Tyr−X11−X12−X13−Leu−X15−Gln−Leu−X18−X19−Arg−Gln−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 (I)
のドメインを含み、式中、
X1が、TyrまたはHisであり、
X2が、Ala、D−Ala、Ser、Leu、α−アミノイソ酪酸(Aib)、Val、またはGlyであり、
X8が、Asn、Asp、Ala、Gln、Ser、またはAibであり、
X9が、Ser、Asp、またはAlaであり、
X11が、ArgまたはL−ホモアルギニンであり、
X12が、Lys、L−オルニチン、またはL−ホモアルギニンであり、
X13が、ValまたはIleであり、
X15が、GlyまたはAlaであり、
X18が、Lys、L−オルニチン、L−2,4−ジアミノ酪酸、L−2,3−ジアミノプロピオン酸、またはSerであり、
X19が、AlaまたはLeuであり、
X22が、AspまたはGluであり、
X23が、IleまたはLeuであり、
X24が、Met、Ile、Nle、またはLeuであり、
X25が、Ser、Asn、Aib、またはAlaであり、
X26が、Arg、D−Arg、L−ホモアルギニン、またはLysであり、
X27がAlaであるか、または不在であり、
X28がAlaであるか、または不在であり、
X29がArgであるか、または不在であり、
X30がAlaであるか、または不在であり、
X31がAlaであるか、または不在であり、
X32がArgであるか、または不在であり、
X33がHoSerであるか、または不在であり、
X18がSerである場合、X27〜X32またはX27〜X33が存在する、成長ホルモン放出因子(GRF)類似体、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0012】
ある実施形態では、X1はTyrである。
【0013】
ある実施形態では、X2は、AlaまたはD−Alaである。
【0014】
ある実施形態では、X8は、AlaまたはAspであり、さらなる実施形態では、Aspである。
【0015】
ある実施形態では、X9はSerである。
【0016】
ある実施形態では、X11はArgである。
【0017】
ある実施形態では、X12は、LysまたはL−ホモアルギニンであり、さらなる実施形態では、Lysである。
【0018】
ある実施形態では、X15はAlaである。
【0019】
ある実施形態では、X18は、L−オルニチンまたはLysであり、さらなる実施形態では、Lysである。
【0020】
ある実施形態では、X22はAspである。
【0021】
ある実施形態では、X23はIleである。
【0022】
ある実施形態では、X24はLeuである。
【0023】
ある実施形態では、X25は、AlaまたはSerであり、さらなる実施形態では、Alaである。
【0024】
ある実施形態では、X26は、ArgまたはD−Argであり、さらなる実施形態では、Argである。
【0025】
ある実施形態では、X27はAlaである。
【0026】
ある実施形態では、X28はAlaである。
【0027】
ある実施形態では、X29はArgである。
【0028】
ある実施形態では、X30はAlaである。
【0029】
ある実施形態では、X31はAlaである。
【0030】
ある実施形態では、X32はArgである。
【0031】
ある実施形態では、X33はHoSerである。
【0032】
別の実施形態では、X27〜X33のうちの少なくとも1つは不在である。さらなる実施形態では、X27〜X33は不在である。
【0033】
ある実施形態では、上述のドメインは、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R(配列番号2)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号3)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−aib−R(配列番号4)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号5)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号6)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−S−r(配列番号7)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)、
Y−S−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号15)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号16)、
Y−L−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号17)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号18)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号19)であり、
a=D−Ala、O=L−オルニチン、Aib=α−アミノイソ酪酸、HoSer=L−ホモセリン、およびr=D−Argである。
【0034】
ある実施形態では、上述のGRF類似体は、(i)アミノ末端修飾基、(ii)カルボキシ末端修飾基、または(iii)(i)および(ii)の両方をさらに含む。
【0035】
さらなる実施形態では、上述のアミノ末端修飾基は、直鎖もしくは分枝鎖の飽和C
1−C
6アシル基または不飽和C
3−C
6アシル基である。またさらなる実施形態では、上述のアミノ末端修飾基は、アセチル基(Ac)である。別の実施形態では、上述のアミノ末端修飾基は、トランス−3−ヘキセノイル基である。
【0036】
さらなる実施形態では、上述のカルボキシ末端修飾基は、NH
2である。
【0037】
実施形態では、上述のGRF類似体は、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−NH
2(配列番号20)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号21)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−aib−R−NH
2(配列番号22)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号23)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号24)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−S−r−NH
2(配列番号25)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号26)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号27)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号28)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号29)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号30)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号31)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号32)、
Y−S−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号33)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号34)、
Y−L−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号35)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer−NH
2(配列番号36)、または
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer−NH
2(配列番号37)であり、
a=D−Ala、O=L−オルニチン、Aib=α−アミノイソ酪酸、およびr=D−Argである。
【0038】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号28)である。
【0039】
別のさらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号29)である。
【0040】
別のさらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号30)である。
【0041】
別のさらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号31)である。
【0042】
別のさらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH2(配列番号32)である。
【0043】
別の態様では、本発明は、上述のGRF類似体を含む薬学的組成物を提供する。
【0044】
ある実施形態では、上述の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤をさらに含む。
【0045】
ある態様では、本発明は、成長ホルモン分泌の誘発を必要とする対象において、それを行うための方法を提供し、前記方法は、有効量の上述のGRF類似体または薬学的組成物を前記対象に投与することを含む。
【0046】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発するための、上述のGRF類似体または薬学的組成物の使用を提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発するための薬剤を調製するために、上述のGRF類似体または薬学的組成物の使用を提供する。
【0048】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発するための薬剤を調製するために、上述のGRF類似体または薬学的組成物を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発するために、上述のGRF類似体または薬学的組成物を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、薬剤としての上述のGRF類似体または薬学的組成物の使用を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための上述のGRF類似体または薬学的組成物を提供する。
【0052】
ある実施形態では、上述のGRF類似体は、約0.1mg〜約20mgの日用量で投与される、または投与するように適応される。
【0053】
実施形態では、上述のGRF類似体は、静脈内に、経口的に、経皮的に、皮下的に、粘膜的に、筋肉内に、鼻腔内に、肺内に、非経口的に、直腸内に、または局所的に、さらなる実施形態では、皮下的に、または経皮的に投与される、または投与するように適応される。
【0054】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、その具体的な実施形態の以下の非制限的な説明を読むことにより、さらに明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の発明者は、動物モデルにおいて、GHRHrを発現する細胞に対して作動薬活性を呈し、GH分泌を誘発する新規GRF類似体を発見した。
【0056】
未変性ヒトGRFは、次の構造:
Tyr−Ala−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−Asn−Ser−Tyr−Arg−Lys−Val−Leu−Gly−Gln−Leu−Ser−Ala−Arg−Lys−Leu−Leu−Gln−Asp−Ile−Met−Ser−Arg−Gln−Gln−Gly−Glu−Ser−Asn−Gln−Glu−Arg−Gly−Ala−Arg−Ala−Arg−Leu(配列番号38)を有する44個のアミノ酸のペプチドである。
【0057】
GRF
(1−44)の29個のアミノ酸N末端断片(GRF
(1−29)として知られる)は、GRF
(1−44)と同様の生物活性および効力を呈することが示されてきた。GRF
(1−29)は、次の配列を有する:
Tyr−Ala−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−Asn−Ser−Tyr−Arg−Lys−Val−Leu−Gly−Gln−Leu−Ser−Ala−Arg−Lys−Leu−Leu−Gln−Asp−Ile−Met−Ser−Arg(配列番号39)。
【0058】
GRF
(1−29)とGRF
(1−44)との間、即ち、未変性ヒトGRFの残基30〜43(または他の残基)に対応する、1〜14個のアミノ酸が付加されるC末端でGRF
(1−29)の配列を有する中間体形態(長さにおいて)も、GRF活性を保有する。さらに、未変性配列に1つ以上のアミノ酸置換を有する特定のGRF変異型は、GRF活性を保有することが知られる。
【0059】
本発明のGRF類似体は、GRFの変異型ならびにその活性断片および/または変異型であり、未変性ヒトGRF
(1−44)の残基21〜23(上記に示される配列で下線付きのLys−Leu−Leu)に対応する位置で、3個のアミノ酸残基欠失、そのN末端断片GRF
(1−29)、または上述の中間体形態を含む。本発明のGRF類似体は、位置18(上記に示される配列のイタリック体)に対応するセリンの変化、好ましくは未変性ヒトGRF
(1−44)のLys、L−オルニチン、L−2,4−ジアミノ酪酸、またはL−2,3−ジアミノプロピオン酸との置換、そのN末端断片GRF
(1−29)、または上述の中間体形態をさらに含むことができる。これらのGRF類似体は、動物モデルにおいて、GHRHrを発現する細胞に対して作動薬活性を呈し、GH分泌を誘発する。
【0060】
用語「GRF類似体」、「GRF受容体作動薬」、「GRFペプチド」、「GRFペプチド化合物」、または「ペプチド化合物」は、以下にさらに詳細に説明される、動物モデルにおいて、GHRHrを発現する細胞に対して作動薬活性を呈し、GH分泌を誘発する本発明の化合物を指すために、本明細書において互換的に使用される。
【0061】
用語「GRF」(成長ホルモン放出因子)および「GHRH」(成長ホルモン放出ホルモン)は、本明細書において互換的に使用される。同様に、用語「GRF受容体」、「GRFr」、「GHRH受容体」、および「GHRHr」は、本明細書において互換的に使用される。
【0062】
本発明は、式(I)(配列番号1):
X1−X2−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−X8−X9−Tyr−X11−X12−X13−Leu−X15−Gln−Leu−X18−X19−Arg−Gln−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 (I)
のドメインを含み、式中、
X1が、TyrまたはHisであり、
X2が、Ala、D−Ala、Ser、Leu、α−アミノイソ酪酸(Aib)、Val、またはGlyであり、
X8が、Asn、Asp、Ala、Gln、Ser、またはAibであり、
X9が、Ser、Asp、またはAlaであり、
X11が、ArgまたはL−ホモアルギニンであり、
X12が、Lys、L−オルニチン、またはL−ホモアルギニンであり、
X13が、ValまたはIleであり、
X15が、GlyまたはAlaであり、
X18が、Lys、L−オルニチン、L−2,4−ジアミノ酪酸、L−2,3−ジアミノプロピオン酸、またはSerであり、
X19が、AlaまたはLeuであり、
X22が、AspまたはGluであり、
X23が、IleまたはLeuであり、
X24が、Met、Ile、Nle、またはLeuであり、
X25が、Ser、Asn、Aib、またはAlaであり、
X26が、Arg、D−Arg、L−ホモアルギニン、またはLysであり、
X27がAlaであるか、または不在であり、
X28がAlaであるか、または不在であり、
X29がArgであるか、または不在であり、
X30がAlaであるか、または不在であり、
X31がAlaであるか、または不在であり、
X32がArgであるか、または不在であり、
X33がHoSerであるか、または不在であり、
X18がSerである場合、X27〜X32またはX27〜X33が存在する、成長ホルモン放出因子(GRF)類似体、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0063】
本発明は、式(II)(配列番号40):
X1−X2−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−X8−X9−Tyr−X11−X12−X13−Leu−X15−Gln−Leu−X18−X19−Arg−Gln−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33(II)
のドメインを含み、式中、
X1は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、TyrまたはHisであり、さらなる実施形態では、Tyrであり、
X2は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Ala、D−Ala、Ser、Leu、α−アミノイソ酪酸(Aib)、Val、またはGlyであり、さらなる実施形態では、AlaまたはD−Alaであり、
X8は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Asn、Asp、Ala、Gln、Ser、またはAibであり、さらなる実施形態では、AlaまたはAspであり、さらなる実施形態では、Aspであり、
X9は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Ser、Asp、またはAlaであり、さらなる実施形態では、Serであり、
X11は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、ArgまたはL−ホモアルギニンであり、さらなる実施形態では、Argであり、
X12は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Lys、L−オルニチン、またはL−ホモアルギニンであり、さらなる実施形態では、LysまたはL−ホモアルギニンであり、またさらなる実施形態では、Lysであり、
X13は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、ValまたはAlaであり、さらなる実施形態では、Valであり、
X15は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、GlyまたはAlaであり、さらなる実施形態では、Alaであり、
X18は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Lys、L−オルニチン、L−2,4−ジアミノ酪酸またはL−2,3−ジアミノプロピオン酸、さらなる実施形態では、LysまたはL−オルニチンであり、またさらなる実施形態では、Lysであり、
X19は、AlaまたはLeuであり、
X22は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、AspまたはGluであり、さらなる実施形態では、Aspであり、
X23は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、IleまたはLeuであり、さらなる実施形態では、Ileであり、
X24は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Met、Ile、Nle、またはLeuであり、さらなる実施形態では、MetまたはLeuであり、さらなる実施形態では、Leuであり、
X25は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Ser、Asn、Aib、またはAlaであり、さらなる実施形態では、AlaまたはSerであり、またさらなる実施形態では、Alaであり、
X26は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Arg、D−Arg、L−ホモアルギニンまたはLysであり、さらなる実施形態では、ArgまたD−Argであり、またさらなる実施形態では、Argであり、
X27は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Alaであるか、または不在であり、
X28は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Alaであるか、または不在であり、
X29は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Argであるか、または不在であり、
X30は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Alaであるか、または不在であり、
X31は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Alaであるか、または不在であり、
X32は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、Argであるか、または不在であり、
X33は、任意のアミノ酸であり、ある実施形態では、HoSerであるか、または不在であり、
X18がSerである場合、X27〜X32またはX27〜X33が存在する、成長ホルモン放出因子(GRF)類似体、
またはその薬学的に許容される塩をさらに提供する。
【0064】
本明細書で使用される、用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸のL−およびD−異性体の両方、ならびにペプチドの合成類似体を調製するためにペプチド化学で使用される、他のアミノ酸(例えば、天然に存在するアミノ酸、非天然のアミノ酸、核酸配列によってコードされないアミノ酸等)を含む。天然に存在するアミノ酸の例は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン等である。
【0065】
他のアミノ酸は、例えば、アミノ酸の非遺伝的にコードされる形態ならびにL−アミノ酸の同類置換を含む。天然に存在する、非遺伝的にコードされるアミノ酸は、例えば、β−アラニン、3−アミノ−プロピオン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、α−アミノイソ酪酸(Aib)、4−アミノ−酪酸、N−メチルグリシン(サルコシン)、ヒドロキシプロリン、オルニチン(例えば、L−オルニチン)、シトルリン、t−ブチルアラニン、t−ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン、2−ナプチルアラニン、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボキシル酸(carboxylix acid)、β−2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、L−ホモアルギニン(Hoarg)、N−アセチルリジン、2−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2,4,−ジアミノ酪酸(D−またはL−)、p−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン(HoSer)、システイン酸、イプシロン−アミノヘキサン酸、δ−アミノ吉草酸、または2,3−ジアミノ酪酸(D−またはL−)等を含む。これらのアミノ酸は、生化学/ペプチド化学の分野において周知である。
【0066】
実施形態では、本発明のドメインまたはGRF類似体は、上述のドメインまたはGRF類似体に対して、機能的に等価なアミノ酸残基の置換を含有する改変配列を有するポリペプチドを含む。例えば、配列内の1つ以上のアミノ酸残基は、機能的等価物としての機能を果たす類似する極性(類似する物理化学特性を有する)の別のアミノ酸によって置換され、無変化改質をもたらすことができる。配列内のアミノ酸の置換は、アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る。例えば、正電荷(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジン、およびヒスチジン(ならびにホモアルギニンおよびオルニチン)を含む。非極性(疎水性)アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、トリプトファン、およびメチオニンを含む。無電荷極性アミノ酸は、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含む。負電荷(酸性)アミノ酸は、グルタミン酸およびアスパラギン酸を含む。アミノ酸グリシンは、非極性アミノ酸族または無電荷(中立)極性アミノ酸族のいずれかに含まれ得る。アミノ酸の族内で行われる置換は、一般に、同類置換と理解される。
【0067】
上述のドメインまたはGRF類似体は、すべてのL−アミノ酸、すべてのD−アミノ酸、またはL−およびD−アミノ酸の混合物を含むことができる。ある実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、少なくとも1つのD−アミノ酸(例えば、1、2、3、4、または5以上のD−アミノ酸)を含む。ある実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、少なくとも1つのD−Alaおよび/またはD−Arg残基を含む。ある実施形態では、前記少なくとも1つのD−アミノ酸は、ドメインまたはGRF類似体のN末端および/またはC末端部分(例えば、最後の2つまたは3つのN−および/またはC末端残基内)に位置する。1つ以上のD−アミノ酸の存在は、典型的に、プロテアーゼ/ペプチダーゼ開裂への感受性の低下により、増加した安定性を有する(例えば生体内)が生物活性を保持するペプチドをもたらす。
【0068】
実施形態では、上述のGRF類似体は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態である。本明細書で使用される、用語「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の生物活性を保持し、生物学的に、ないしは別の方法で望ましくなくはない化合物の塩を指す。そのような塩は、類似体の最終的な単離および精製中に原位置で調製されるか、または遊離塩基官能基を好適な酸と反応させることにより、個別に調製され得る。本明細書に開示されるGRF類似体の多くは、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはその類似する基の存在によって、酸および/または塩基塩を形成することができる。
【0069】
薬学的に許容される酸添加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。代表的な酸添加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、デカン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチアネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、オクタン酸塩、シュウ酸塩、パルミトエート(palmitoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。無機酸に由来する塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等を含む。有機酸に由来する塩は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸を含む。薬学的に許容される酸添加塩を形成するために利用され得る酸の例としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸)、および有機酸(例えば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸)が挙げられる。
【0070】
塩基性添加塩も、カルボン酸含有部分を、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩等の好適な塩基と、あるいはアンモニアまたは有機一級、二級、もしくは三級アミンと反応させることにより調製され得る。薬学的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミナム塩等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびに他の中でもアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびエチルアンモニウムを含む非毒性四級アンモニアおよびアミンカチオンを含むが、これらに限定されない。塩基性添加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン等を含む。有機塩基に由来する塩は、一級、二級、および三級アミンを含むが、これらに限定されない。
【0071】
ある実施形態では、式(I)および/または(II)において、X30〜X32は不在である。別の実施形態では、X30〜X33は不在である。
【0072】
ある実施形態では、式(I)および/または(II)において、X27〜X29は、次の通りである:Ala−Ala−Arg。
【0073】
別の実施形態では、式(I)および/または(II)において、X27〜X32は不在である。別の実施形態では、X27〜X33は不在である。
【0074】
別の実施形態では、式(I)および/または(II)において、X18はLysであり、X27〜X29、X27〜X32、またはX27〜X33は存在する。ある実施形態では、X27〜X32は次の通りである:Ala−Ala−Arg−Ala−Ala−Arg(配列番号41)。ある実施形態ではX27〜X33は次の通りである:Ala−Ala−Arg−Ala−Ala−Arg−HoSer(配列番号42)。
【0075】
ある実施形態では、上述のGRF類似体は、上記に定義される式IまたはIIの1つのドメインを含む。ある実施形態では、上述のGRF類似体は、上記に定義される式IまたはIIの2つ以上(例えば、2、3、4、または5)のドメインを含む。
【0076】
実施形態では、上述のGRF類似体は、上記に定義される式IまたはIIのドメインに加えて、前記ドメインのアミノおよび/またはカルボキシ末端に共有結合的に連結されるアミノ酸(天然に存在する、または合成)をもう1つ含むことができる。ある実施形態では、上述のGRF類似体は、上記に定義される式(I)または(II)のドメインに、Nおよび/またはC末端に最大25個の追加のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、上記に定義される式(I)または(II)のドメインのNおよび/またはC末端に、最大20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個の追加のアミノ酸を含む。ある実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、約100以下の残基、さらなる実施形態では、約90、80、70、60、50、40、または35以下の残基を含有する。ある実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、約26の残基〜約100の残基を含有する。さらなる実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、約26の残基〜約50の残基を含有する。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、約26の残基〜約45の残基を含有する。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、約26の残基〜約40の残基を含有する。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、約26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39の残基を含有する。
【0077】
ある実施形態では、上述のドメインまたはGRF類似体は、ペプチド模倣体である。ペプチド模倣体は、典型的に、そのペプチド等価物の極性、3次元の大きさ、および機能性を保持することを特徴とするが、ペプチド結合/連結のうちの1つ以上が、多くの場合、より安定した連結によって置換されている。一般に、アミド結合を置換する結合(アミド結合代替)は、多くの、またはすべてのアミド結合の特性、例えば、配座、立体容積、静電性質、水素結合の電位等を保存する。典型的なペプチド結合置換は、エステル、ポリアミン、およびそれらの誘導体、ならびにアミノメチルおよびケトメチレン等の置換されたアルカンおよびアルケンを含む。例えば、上述のドメインまたはGRF類似体は、−CH
2NH−、−CH
2S−、−CH
2−CH
2−、−CH=CH−(シスまたはトランス)、−CH
2SO−、−CH(OH)CH
2−、または−COCH
2−等の連結によって置換された1つ以上のペプチド連結を有することができる。そのようなペプチド模倣体は、そのペプチド等価物に対してより高い化学安定性、良好な生物学的/薬学的特性(例えば、半減期、吸収、効力、効率等)、および/または減少した抗原性を有し得る。
【0078】
実施形態では、GRF類似体は、上記に定義される式(I)または(II)のドメインから成る。
【0079】
実施形態では、上述のドメインは、次の配列:
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R(配列番号2)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号3)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−aib−R(配列番号4)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号5)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号6)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−S−r(配列番号7)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)、
Y−S−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号15)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号16)、
Y−L−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号17)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号18)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号19)のうちの1つを含み、
a=D−Ala、O=L−オルニチン、Aib=α−アミノイソ酪酸、HoSer=L−ホモセリン、およびr=D−Argである。
【0080】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、次の配列:
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)、もしくは
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)、または
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)のうちの1つを含み、
a=D−Alaである。
【0081】
実施形態では、上述のドメインは、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R(配列番号2)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号3)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−aib−R(配列番号4)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号5)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r(配列番号6)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−S−r(配列番号7)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)、
Y−S−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号15)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号16)、
Y−L−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号17)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号18)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer(配列番号19)であり(またはそれらから成る)、
a=D−Ala、O=L−オルニチン、Aib=α−アミノイソ酪酸、HoSer=L−ホモセリン、およびr=D−Argである。
【0082】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)、または
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)、
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)、または
Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)であり(またはそれらから成る)、
a=D−Alaである。
【0083】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R(配列番号8)である。
【0084】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号9)である。
【0085】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号10)であり、a=D−Alaである。
【0086】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号11)であり、a=D−Alaである。
【0087】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号12)であり、a=D−Alaである。
【0088】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号13)である。
【0089】
さらなる実施形態では、上述のドメインは、Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R(配列番号14)である。
【0090】
実施形態では、上述のGRF類似体またはドメインのN−および/またはC末端アミノ酸は、例えば、アミド化、アセチル化、アシル化、または当該技術分野において既知の任意の他の修飾によって修飾され得る。
【0091】
したがって、別の態様では、本発明は、式(III):
Z1−X1−X2−Asp−Ala−Ile−Phe−Thr−X8−X9−Tyr−X11−X12−X13−Leu−X15−Gln−Leu−X18−X19−Arg−Gln−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33−Z2 (III)
即ち
Z1−[式IまたはIIのドメイン]−Z2
のGRF類似体を提供し、
式中、
X1、X2、X8、X9、X11〜X13、X15、X18、X19、およびX22〜X33は、上記に定義される通りであり、
Z1は、アミノ末端修飾であるか、または不在であり、
Z2は、カルボキシ末端修飾であるか、または不在である。
【0092】
ある実施形態では、GRF類似体のアミノ末端残基(即ち、N末端端部の遊離アミノ基)は、例えば部分/化学基(Z1)の共有結合により修飾される(例えば、分解に対する保護)。ある実施形態では、アミノ末端修飾(Z1)は、C
1−C
16またはC
3−C
16のアシル基(直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和)であり、さらなる実施形態では、飽和C
1−C
6アシル基(直鎖または分枝鎖)または不飽和C
3−C
6アシル基(直鎖または分枝鎖)であり、さらなる実施形態では、アセチル基(CH
3−CO−、Ac)である。別の実施形態では、Z1は、X1に結合される1つ以上のアミノ酸(例えば、1〜25個の追加のアミノ酸、例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸)の配列である。ある実施形態では、Z1が不在の場合、X2はD−Alaである。
【0093】
別の実施形態では、アミノ末端修飾(Z1)は、5〜8個の原子の主鎖を含む疎水性尾部であり、主鎖は、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、またはC
6−12アリールによって置換され得、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキルまたはC
6−12、および主鎖は、主鎖の少なくとも2個の原子に結合される少なくとも1つの剛性部分を含み、剛性部分は、二重結合、三重結合、飽和もしくは不飽和C
3−9シクロアルキル、またはC
6−12アリールである。さらなる実施形態では、Z1は、
【化1】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、二重結合は、シスまたはトランスである)、
【化2】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、Xは、シスまたはトランス構成にあり、前記GRF類似体は、ラセミ混合物または純粋な鏡像異性体である)、
【化3】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、RがCH
3またはCH
2CH
3であるとき、Xは、シスまたはトランス構成にある)、
【化4】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、Xは、シスまたはトランス構成にあり、前記GRF類似体は、ラセミ混合物または純粋な鏡像異性体である)、
【化5】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、RがCH
3またはCH
2CH
3であるとき、Xは、シスまたはトランス構成にあり、前記GRF類似体は、ラセミ混合物または純粋な鏡像異性体である)、
【化6】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、Xは、シスまたはトランス構成にあり、前記GRF類似体は、ラセミ混合物または純粋な鏡像異性体である)、
【化7】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、RがCH
3またはCH
2CH
3であるとき、Xは、シスまたはトランス構成にあり、前記GRF類似体は、ラセミ混合物または純粋な鏡像異性体である)、
【化8】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3であり、RがCH
3またはCH
2CH
3であるとき、Xは、シスまたはトランス構成にある)、
【化9】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3である)、
【化10】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3である)、
【化11】
(式中、Rは、H、CH
3、またはCH
2CH
3である)、または
【化12】
である。
【0094】
ある実施形態では、アミノ末端修飾(Z1)は、トランス−CH
3−CH
2−CH=CH−CH
2−COまたはトランス−3−ヘキセノイルである。
【0095】
ある実施形態では、GRF類似体のカルボキシ末端残基(即ち、ペプチドのC末端端部の遊離カルボキシ基)は、修飾される(例えば、分解に対する保護)。ある実施形態では、修飾は、アミド化(NH
2基によるOH基の置換)であり、よって、そのような場合、Z2は、NH
2基である。さらなる実施形態では、Z2は、1つ以上のアミノ酸(例えば、1〜25個の追加のアミノ酸、例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸)の配列である。
【0096】
本発明のGRF類似体は、プロテアーゼ抵抗性、血漿タンパク質結合、増加した血漿半減期、細胞内透過等の、追加の生物学的特性をGRF類似体に付与する修飾をさらに含むことができる。そのような修飾は、例えば、脂肪酸(例えば、C
6−C
18)のGRF類似体への共有結合、アルブミン(例えば、米国特許第7,268,113号を参照)等のタンパク質への結合、グリコシル化、ビオチン化、またはペグ化(例えば、米国特許第7,256,258号および第6,528,485号)を含む。上述のGRF類似体の修飾は、アプローチの範囲、または操作され得る可能な修飾を制限しない。
【0097】
実施形態では、上述のGRF類似体は、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−NH
2(配列番号20)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号21)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−aib−R−NH
2(配列番号22)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号23)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−O−A−R−Q−D−I−L−S−r−NH
2(配列番号24)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−S−r−NH
2(配列番号25)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号26)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号27)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号28)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号29)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号30)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号31)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号32)、
Y−S−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号33)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号34)、
Y−L−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号35)、
Y−G−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer−NH
2(配列番号36)、または
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−HoSer−NH
2
(配列番号37)であり、
a=D−Ala、O=L−オルニチン、Aib=α−アミノイソ酪酸、r=D−Arg、およびHoSer=L−ホモセリンである。
【0098】
実施形態では、上述のGRF類似体は、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号26)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号27)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号28)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号29)、
Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号30)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号31)、
トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号32)であり、
a=D−Alaである。
【0099】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号26)である。
【0100】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−S−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号27)である。
【0101】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号28)である。
【0102】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−L−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号29)である。
【0103】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、Y−a−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号30)である。
【0104】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−I−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号31)である。
【0105】
さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、トランス−3−ヘキセノイル−Y−A−D−A−I−F−T−D−S−Y−R−K−V−L−A−Q−L−K−A−R−Q−D−L−L−A−R−A−A−R−A−A−R−NH
2(配列番号32)である。
【0106】
ある実施形態では、上述のGRF類似体は、未変性配列(例えば、ヒトGRF
(1−44)、GRF
(1−29)、GRF
(1−40)等の中間体形態、ならびにN末端アシル化およびそのC末端的にアミド化された形態)を含むGRFペプチドに類似する、またはそれより大幅に高い生物活性および/または効力を呈する。さらなる実施形態では、上述の生物活性および/または効力は、生体内生物活性および/または効力(例えば、生体内GH分泌活性および/または効力)である。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、未変性配列(例えば、GRF
(1−29))を含むGRFペプチドより大幅に高い(またはそれに対して大幅に増加した)生物活性および/または効力を呈する。そのような生物活性および/または効力は、動物モデル、例えば、本明細書に記載されるマウスおよびラットモデルにおいて測定され得る。使用される大幅に高いとは、未変性配列(例えば、GRF
(1−44)、GRF
(1−29))を含むGRFペプチドより少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍高い効力を指す。別の実施形態では、上述のGRF類似体は、未変性配列(例えば、ヒトGRF
(1−44)、GRF
(1−29)、GRF
(1−40)等の中間体形態、ならびにN末端アシル化およびそのC末端的にアミド化された形態)を含むGRFペプチドに類似する、またはそれより大幅に高い安定性(例えば、生体内安定性)を呈する。さらなる実施形態では、上述のGRF類似体は、未変性GFR配列(例えば、GRF
(1−29))を含むGRFペプチドより大幅に高い(またはそれに対して大幅に増加した)生体内安定性(半減期)を呈する。
【0107】
本発明のGRF類似体は、GRF類似体(組み換え発現)をコードする核酸を含む宿主細胞における発現により、または化学合成(例えば、固相ペプチド合成)により生成され得る。ペプチドは、当該技術分野において周知の手動および自動固相工程により容易に合成することができる。好適な合成は、例えば、「T−boc」または「Fmoc」工程を利用することにより行うことができる。固相合成の技法および工程は、例えば、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach, by E.Atherton and R.C.Sheppard,published by IRL,Oxford University Press,1989に記載されている。代替的に、ペプチドは、例えば、Liu et al.,Tetrahedron Lett.37:933−936,1996、Baca et al.,J.Am.Chem.Soc.117:1881−1887,1995、Tam et al.,Int.J.Peptide Protein Res.45:209−216,1995、Schnolzer and Kent,Science256:221−225,1992、Liu and Tam,J.Am.Chem.Soc.116:4149−4153,1994、Liu and Tam,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:6584−6588,1994、およびYamashiro and Li,Int.J.Peptide Protein Res.31:322−334,1988)に記載されるように、セグメント縮合により調製され得る。ペプチドの合成に有用な他の方法は、Nakagawa et al.,J.Am.Chem.Soc.107:7087−7092,1985に記載されている。
【0108】
遺伝コードによりコードされる天然に存在するアミノ酸を含むペプチドおよびペプチド類似体は、標準的な方法を使用する組み換えDNA技術を使用することによっても調製され得る。組み換え技術によって生成されたペプチドは、当該技術分野において周知の方法を使用して(例えば、N末端アシル化[例えば、アセチル化]、C末端アミド化)修飾され得る。したがって、実施形態では、本明細書に記載されるGRF類似体が遺伝コードによってコードされる天然に存在するアミノ酸を含有する場合、GRF類似体は、組み換え法を使用して生成することができ、実施形態では、例えば、先ほど記述した修飾(例えば、アシル化、アミド化)を受けることができる。したがって、別の態様では、本発明は、上述のドメインまたはGRF類似体をコードする核酸をさらに提供する。本発明は、上述の核酸を含むベクターも提供する。また別の態様では、本発明は、上述の核酸および/またはベクターを含む細胞(例えば、宿主細胞)を提供する。本発明は、例えば、当該技術分野において周知の培養培地、生成方法、単離方法、および精製方法を使用して、本発明のペプチドまたはGRF類似体を発現させる/生成するために、上述のもの等、組み換え発現系、ベクター、および宿主細胞をさらに提供する。
【0109】
本発明のGRF類似体は、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ゲル電気泳動等の当該技術分野において周知の多くのペプチド精製法により精製され得る。特定のペプチドまたはペプチド類似体を精製するために使用される実際の条件は、一部、合成戦略、および実質電荷、疎水性、親水性等の因子に依存し、当業者には明らかであろう。親和性クロマトグラフィー精製に関して、例えば、ペプチドまたはペプチド類似体に特異的に結合する任意の抗体が使用され得る。
【0110】
ある実施形態では、上述のGRF類似体は、実質的に純粋である。化合物は、それに天然に付随する化合物から分離されるとき、「実質的に純粋」である。典型的に、化合物は、サンプルの全材料の少なくとも60重量%、より一般的には75重量%、80重量%、または85重量%、好ましくは90重量%を超える、より好ましくは95重量%を超えるとき、実質的に純粋である。よって、例えば、化学的に合成される、または組み換え技術によって生成されるポリペプチドは、一般に、その天然に会合する構成成分を含まない。核酸分子は、本発明のDNAが由来する生物の天然に存在するゲノムに通常隣接するコード配列と即座に隣接しない(即ち、共有結合的に連結する)とき、実質的に純粋である。実質的に純粋な化合物は、例えば、天然源から抽出することによって、ポリペプチド化合物をコードする組み換え核酸分子の発現によって、または化学合成によって得ることができる。純度は、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、HPLC等の任意の適切な方法を使用して測定することができる。
【0111】
別の態様では、本発明は、上述のGRF類似体を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する。ある実施形態では、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤をさらに含む。
【0112】
本明細書に使用される、「薬学的に許容される」(または「生物学的に許容される」)とは、生体内で毒性または有害な生物学的作用の不在を特徴とする材料を指す。これは、妥当な利益/リスク比に見合う、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なく、対象(例えば、ヒト、動物)の生物学的流体および/もしくは組織ならびに/または器官と接触する使用に適した、妥当な医学的判断の範囲内のそれらの化合物、組成物、および/または投与形態を指す。
【0113】
用語「薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤」とは、薬学的組成物の調製に通常使用される添加剤を指し、例えば、溶剤、分散媒、生理食塩水、界面活性剤、可溶化剤、潤滑剤、乳化剤、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、キレート化剤、pH調節剤、緩和剤、緩衝剤、還元剤、抗酸化剤、等張剤、吸収遅延剤等を含む(例えば、Rowe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients, Pharmaceutical Press;6
thedition,2009を参照)。
【0114】
本発明のGRF類似体は、静脈内、経口、経皮、腹腔内、皮下、粘膜、筋肉内、鼻腔内、肺内、非経口、または局所投与等の任意の従来の経路を介して投与するために製剤化され得る。そのような製剤の調製は、当該技術分野において周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams&Wilkins;21
stedition,2005を参照)。
【0115】
本発明のGRF類似体および組成物は、対象においてGHの分泌を誘発する、または刺激するのに有用であり得る。
【0116】
したがって、別の態様では、本発明は、成長ホルモン分泌の誘発または増加を必要とする対象において、それを行うための方法を提供し、前記方法は、有効量の上述のGRF類似体または上述の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む。
【0117】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発する、または増加させるための、上述のGRF類似体または上述の薬学的組成物の使用を提供する。
【0118】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発する、増加させるための薬剤を調製するために、上述のGRF類似体または上述の薬学的組成物の使用を提供する。
【0119】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌を誘発する、または増加させるための薬剤を調製するために、上述のGRF類似体または上述の薬学的組成物を提供する。
【0120】
別の態様では、本発明は、対象において成長ホルモン分泌の誘発する、または増加させるのに使用するための、上述のGRF類似体または上述の薬学的組成物を提供する。
【0121】
本明細書で使用される、用語「刺激する」、「増加させる」、もしくは「誘発する」、またはそれらの用語の任意の変形は、測定可能な生物活性の増加を指す。実施形態では、増加は、対照に対して少なくとも10%、20%、40%、60%、80%、90%、95%、100%(2倍)、200%(3倍)の生物活性の増加である。例えば、GRF類似体は、GRF類似体を投与されなかった対象と比較して、GHレベルの増加がGRF類似体の対象(例えば、動物、ヒト)への投与後に測定されるとき、GHRHr活性を刺激することが分かる。
【0122】
それらのGHRHr作動薬活性およびGH放出特性を考慮すると、本発明のGRF類似体および組成物は、GH/IGF−1分泌の刺激が望ましい予防的および/または治療的用途、例えば、GRFおよび/またはGH機能(例えば、GHおよび/またはGHRH機能の減少が疾患/障害の病因に関与する)に関連する状態/障害/疾患の治療または防止のための薬剤として有用であり得る。GH、GRF、またはGRF類似体/誘導体の投与が有益であり得る疾患および状態は、当該技術分野において広範囲に説明されている(例えば、第WO2009/009727号、第WO2006/042408号、第WO2005/037307号、第WO2004/105789号を参照)。そのような状態/障害/疾患は、例えば、脂肪蓄積に関連する症候群、高コレステロール血症、肥満症、X症候群、脂肪肥大症、脂肪萎縮症、脂肪異栄養症(例えば、HIV関連脂肪異栄養症症候群)、認知機能障害、昼間覚醒状態障害(impaired daytime vigilance)、免疫系の機能低下(例えば、T細胞欠乏症等の免疫不全)、筋タンパク質異化作用、筋肉減少症、虚弱、放射線療法および/または化学療法関連の副作用(例えば、HIV感染および癌患者において)等の筋消耗に関連する疾患/状態、悪液質(例えば、癌患者において)、視床下部の下垂体性低身長症、火傷、骨粗鬆症、腎不全、偽関節骨折、急性/慢性消耗性疾患または感染、創傷治癒、術後問題、乳汁分泌不全、女性の不妊症、神経変性状態、GRF受容体依存性腫瘍、加齢に関する状態、睡眠障害/機能障害を含む。
【0123】
したがって、他の態様では、本発明は、(1)例えば、加齢、軽度の認知障害(MCI)、プレアルツハイマー症候群(アルツハイマー発症前)、認知症および/または睡眠障害(例えば、加齢関連睡眠障害)に関連する状態における昼間覚醒状態(daytime vigilance)および/または認知機能を刺激する、(2)脂肪蓄積および/もしくは高コレステロール血症(肥満症、腹部肥満症/脂肪症、代謝障害を伴う腹部肥満症、相対性GH欠乏を伴う腹部肥満症、代謝症候群またはX症候群、脂肪肥大症、脂肪萎縮症、脂肪異栄養症(例えば、HIV関連脂肪異栄養症症候群)、脂質異常症、高トリグリセリド血症)に関連する代謝状態を改善する/防止する/治療する、(3)例えば、筋量および/もしくは機能を増加させるために、特に高齢者対象における、急性もしくは慢性腎不全(例えば、急性もしくは慢性腎不全消耗症)、慢性心不全(例えば、慢性心不全消耗症)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(例えば、成人における嚢胞性線維症消耗症)、虚弱、火傷、感染(敗血症)、筋ジストロフィー、うっ血性心不全、神経変性状態(アルツハイマー、プレアルツハイマー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDS、長期コルチコステロイド療法後のタンパク質栄養障害、偽関節骨折後、股関節骨折、外傷、または大手術(術後問題)後、骨粗鬆症、長期不動化、癌関連悪液質、筋肉減少症(例えば、加齢関連筋肉減少症)、Gl吸収不良(短腸症候群(SBS)、クローン病)で観察されるもの等の異化/消耗状態における同化作用を改善する、(4)加齢、HIV感染/AIDSに関連する、または高投与量化学療法および/もしくは放射線療法(HIV感染および癌患者において)後等の、免疫不全状態(例えば、T細胞免疫不全)の免疫機能または再構成を改善する、(5)脂質パラメータ((a)コレステロールを減少させる、(b)非HDLコレステロールを減少させる、(c)トリグリセリドを減少させる、および/もしくは(d)総コレステロール/HDLコレステロールの割合を減少させる)を変更する、(6)身体組成パラメータ((a)除脂肪体重を増加させる、(b)体幹脂肪を減少させる、(c)内臓脂肪を減少させる、(d)腹囲を減少させる、(e)内臓脂肪組織(VAT)を減少させる、および/もしくは(f)VAT/皮下脂肪組織(SAT)比を減少させる)を変更する、(7)受胎能を強化する、もしくは不妊症を治療する(女性において)、乳汁分泌不全治療する、(8)GH欠乏症(例えば、腹部肥満症を伴うGH欠乏症)を治療する、例えば成人において、GH補充療法を提供する、特発性低身長(ISS)を治療する、(9)GRF受容体関連腫瘍を治療する、(10)視床下部の下垂体性低身長症を治療する、(11)創傷治癒を改善する、(12)火傷を治療する、(13)急性/慢性消耗性疾患もしくは感染を治療する、ならびに/または(14)骨形成の欠乏または減少(例えば、骨粗鬆症)を特徴とする状態を防止する/治療するための方法を提供し、本方法は、有効量の上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物(例えば、薬学的に許容される担体/賦形剤と共に)を、それを必要する対象に投与することを含む。
【0124】
他の態様では、本発明は、上述の状態、疾患、もしくは障害を改善する、防止する、および/または治療するために、あるいは上述の状態、疾患、もしくは障害を改善する、防止する、および/または治療するための薬剤を調製する/製造するための、上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物(例えば、薬学的に許容される担体/賦形剤と共に)の使用を提供する。他の態様では、本発明は、上述の状態、疾患、もしくは障害を改善する、防止する、および/または治療するために使用するための、あるいは上述の状態、疾患、もしくは障害を改善する、防止する、および/または治療するための薬剤を調製する/製造するための、上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物(例えば、薬学的に許容される担体/賦形剤と共に)を提供する。
【0125】
本明細書で使用される、用語「治療」または「治療する」とは、障害/疾患および/もしくは障害/疾患の症状を回復する、治癒する、軽減する、緩和する、変更する、治療する、寛解させる、改善する、進行を減少させる、または影響を及ぼす目的で、上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述の組成物を対象に適用する、または投与する、あるいは上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述の組成物を、障害、疾患、障害もしくは疾患の症状を有する対象から単離した組織もしくは細胞系に適用する、または投与することとして定義される。ある実施形態では、治療は、血糖制御に作用をもたらさない、または実質的に作用をもたらさない(例えば、臨床的に著しい作用がない)。
【0126】
本明細書で使用される、用語「防止」または「防止する」とは、疾患/障害もしくは症状の開始/出現前に投与されるとき、疾患/障害もしくは症状の開始を防止する、または遅延する、あるいは疾患/障害もしくは症状の重篤度を減少させる目的で、上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述の組成物を対象に適用する、または投与する、あるいは上述のGRF類似体もしくはその薬学的に許容される塩、または上述の組成物を、障害/疾患になりやすい素因を有する、または障害/疾患を発症するリスクにある対象から単離した組織もしくは細胞系に適用する、または投与することとして定義される。
【0127】
「有効量」とは、投薬量で、必要な時間期間の間、所望の生物活性(例えば、GH分泌を誘発する)、および/または予防的/治療的結果(例えば、上述の疾患/障害の防止および/または治療)を達成するための有効量を指す。「治療有効量」とは、療法に関する有効量を指し、「予防的有効量」とは、予防に関する有効量を指す。本発明の化合物の有効量は、個人の疾患状態、年齢、性別、および体重等の因子、ならびに化合物が個人において所望の応答を引き出す能力により変動し得る。投薬量レジメンは、最適な予防的/治療的応答を提供するように調節され得る。有効量は、化合物の任意の毒性または有害作用が予防的/治療的有益作用を上回るものでもある。任意の特定の対象に関して、特定の投薬量レジメンは、個人の必要性および組成物を投与する者またはその投与を管理する者の専門的な判断により経時的に調節され得る。ある実施形態では、GRF類似体は、約0.01mg〜約30mgの日用量で、さらなる実施形態では、約0.1mg〜約20または25mgの日用量で、さらなる実施形態では、約0.5mg〜約20mgの日用量で、さらなる実施形態では、約1mg〜約20mgの日用量で投与される。
【0128】
本発明のGRF類似体、もしくはその薬学的に許容される塩、または組成物は、静脈内、経口、経皮、腹腔内、皮下、粘膜、筋肉内、鼻腔内、肺内、非経口、または局所等の任意の従来の経路により投与され得る、またはそれによる投与用であり得る。ある実施形態では、GRF類似体またはその薬学的に許容される塩は、皮下経路により投与される、またはそれによる投与用である。別の実施形態では、GRF類似体またはその薬学的に許容される塩は、経皮経路により(例えば、経皮パッチ等の経皮送達系を使用することにより)投与される、またはそれによる投与用である。したがって、別の態様では、本発明は、上述のGRF類似体(またはその薬学的に許容される塩)または薬学的組成物を含む、経皮パッチ等の経皮送達系を提供する。経皮送達のための方法および系は、当該技術分野において周知であり、例えば、Transdermal Drug Delivery,Second Edition,Marcel Dekker Inc.,New York,2003およびTransdermal and Topical Drug Delivery,Adrian C Williams,Pharmaceutical Press,2003に記載されている。別の実施形態では、GRF類似体またはその薬学的に許容される塩は、経口投与により投与される、またはそれによる投与用である。ある実施形態では、GRF類似体またはその薬学的に許容される塩は、鼻腔内経路により投与される、またはそれによる投与用である。
【0129】
ある実施形態では、上述の防止および/または治療は、1つ以上の追加の活性剤/治療剤と組み合わせて、上述のGRF類似体、もしくはその薬学的に許容される塩、または組成物を投与することを含む。予防剤/治療剤および/または組成物の組み合わせは、任意の従来の投薬形態で、投与される、または同時投与(例えば、異なる時点で連続的に、同時に)され得る。本発明に関する同時投与は、臨床転帰の改善を達成するために、協調治療の過程で2つ以上の治療薬を投与することを指す。そのような同時投与は、同一の広がりも持つ、即ち、重複する時間期間中に生じ得る。例えば、第1の薬剤は、第2の薬剤が投与される前、同時に、投与される前後、および投与された後に患者に投与され得る。ある実施形態では、薬剤は、単一組成物に組み合わされ/製剤化され、よって同時に投与され得る。ある実施形態では、本発明の1つ以上の活性剤(複数可)は、問題の障害を防止する、または治療するために現在使用される1つ以上の薬剤(複数可)と組み合わせて使用/投与され得る。
【0130】
本明細書で使用される、用語「対象」または「患者」とは、哺乳類、例えば、ネコ、イヌ、マウス、モルモット、ウマ、ウシ、ヒツジ、およびヒト等の温血動物を意味する。ある実施形態では、対象は哺乳類である。さらなる実施形態では、上述の対象はヒトである。
【0131】
本発明を実行するための方法(複数可)
本発明は以下の非限定的な実施例によりさらに詳細に図示される。
【0132】
以下の略語が本明細書において使用される。
【表1】
【0133】
本出願全体を通して、天然に存在するアミノ酸は、1文字または3文字コードを使用して、互換的に称される(それらの間の対応に関しては、次の表Iを参照)。
【表2】
【実施例】
【0134】
実施例1:材料および方法
GRF類似体の合成および調製
固相合成
本発明のGRF類似体は、0.75mmol/gの負荷で、適切な側鎖保護およびベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂(BACHEM AG)を有するフルオレニルメトキシカルボニル−保護α−アミノ酸を使用して、手動または自動固相ペプチド合成アプローチを使用して作製された。アミノ酸のカップリングの前に、6−アミノヘキサン酸およびリンクリンカー(Rink linker)を樹脂にカップリングし、次いで、[2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート](HCTU)または(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)およびΝ,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)中のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して、約1時間、Fmoc−[9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル]保護アミノ酸をカップリングした。DMF中20%(v/v)ピペリジンを使用して、約0.5時間、Fmoc脱保護を行った。本発明のペプチドをアセチルでNキャッピングするための一般工程は、無水酢酸およびDIEAを使用して行った。合成の完了後、同時に側鎖脱保護しながら、ペプチドを固相支持体から切断した。0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中でアセトニトリル勾配を使用して、C18カラム上で分取RP−HPLCにより粗直鎖ペプチドをさらに精製した。アセトニトリルを除去するために、ペプチドを真空乾燥させ、0.1%のTFAから凍結乾燥させた。分析高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により純度を評価し、Voyager(商標)機器(PerSeptive Biosystems Inc.)を使用して、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量(MALDI−TOF MS)分析により質量を決定した。
【0135】
本発明のGRF類似体の活性の決定
アルカリホスファターゼ(AP)アッセイ
代表的なGRFペプチドの活性は、ヒトGRF受容体およびアルカリホスファターゼリポータ遺伝子を発現させるために安定して形質移入された仔ハムスター腎(BHK)細胞上で試験された。刺激の前に、96ウェルプレートで、0.5×10
5細胞/ウェルの濃度で、細胞を24時間培養した。刺激前に、細胞をDPBSで2回洗浄し、アッセイ緩衝液(20mMのHEPESおよび1%の熱失活させたウシ胎仔血清(FBS)で補充された、フェノールレッドを含まないDMEM)中で10〜30分インキュベートした。GRFペプチドの用量応答曲線は、10
−5M〜10
−11Mのペプチドの濃度で24時間行われた。上清を採取し、Applied Biosystemsのアルカリホスファターゼ検出キットを使用して、アルカリホスファターゼレベルの分析を行った。
【0136】
マウスにおけるGRF類似体の投与およびサンプル採取
CD−1マウス(雌、体重20〜25g)をCharles River Inc.から得た。Guide for the Care and Use of Experimental Animals of the Canadian Council on Animal Careの原則に沿ったAnimal Care Committeeのプロトコルに従い、動物を使用した。動物は、12:12の明:暗周期下で、標準的な固形飼料で保持された。動物は、1つのケージにマウス4匹の群で維持された。
【0137】
実験の日に、マウスは、GRF類似体(20mMの酢酸ナトリウム(AcONa)+pH5の5%のマンニトールに溶解された10μg/マウス)の皮下注射を受けた。注射10分後に、マウスはイソルフラン(isolufrane)で麻酔された。血液サンプル(500μl)は、心内穿刺により得た。血液は、K
3EDTAで前処理されたマイクロタイター(microtainer)内に設置され、直ちに卓上遠心器で2分間、13,000RPMで遠心分離された。血漿を採取し、ネジキャップEppendorf(商標)チューブの中に設置し、液体窒素中で急速冷凍した。次いで、アッセイまでサンプルを−80℃に維持した。GHレベルの決定は、以下に記載するように行われた。
【0138】
ラットにおけるGRF類似体の投与およびサンプル採取
スプラーグドーレイラット(雌、体重250〜300g)をCharles River Inc.から得た。Guide for the Care and Use of Experimental Animals of the Canadian Council on Animal Careの原則に沿ったAnimal Care Committeeのプロトコルに従い、動物を使用した。動物は、12:12の明:暗周期下で、標準的な固形飼料で保持された。動物は、1つのケージにラット4匹の群で維持された。
【0139】
動物は、2.5%のイソフルランで麻酔された。頸動脈を露出させるために頸部に中央開口部を作った。血液を取り出すために、ポリプロピレンチューブ(PE−50)で頸動脈をカニューレ処置した。外科的準備の後、ラットは、GRF類似体(20mMのAcONa+pH5の5%のマンニトールに溶解された10μg/ラット)の皮下注射を受けた。薬物動態研究のために、時間点につき群ごとに4〜8匹の動物から血液サンプル(400μL)を採取した。血液サンプル(400μl)は、薬物注射の0、10、20、30、45、および60分後に頸動脈カテーテルを介して採取された。血液は、K
3EDTAで前処理されたマイクロタイター(microtainer)内に設置され、直ちに卓上遠心器で2分間、13,000RPMで遠心分離された。血漿を採取し、ネジキャップEppendorf(商標)の中に設置し、液体窒素中で急速冷凍した。次いで、アッセイまでサンプルを−80℃に維持した。GHレベルの決定は、以下に記載するように行われた。
【0140】
血漿サンプルのGHレベルの決定
ラットおよびマウスの血漿サンプルを、慎重にボルテックスにかけ、4℃で2分間、9,000RPMで遠心分離した。Milliporeのラット/マウス成長ホルモンELISAキット(カタログ番号EZRMGH−45K)を使用して、GHレベルの投薬量が行われた。サンプルの上清は、最初にGH ELISAアッセイ緩衝液で20倍希釈され、この希釈の10μlが90μlのGH EIAアッセイ緩衝液を含むELISAプレートに添加された。工程の残りは、製造者の指示に従い行われ、得られたデータは、GraphPad Prism(商標)ソフトウェアを使用して分析された。
【0141】
実施例2:GRF類似体のGHRHr作動薬活性
代表的なGRF類似体の生体外活性は、ヒトGHRHrを発現する仔ハムスター腎(BHK)細胞で試験された。結果は表IIに提示される。
【表3-1】
【表3-2】
【0142】
実施例3:GRF類似体GH放出特性
本明細書に記載されるGRF類似体は、雌のマウスおよびラットにおいて、GH放出を誘発するその能力について試験された。未変性GRF
(1−29)より活性である、N末端アセチル化、C末端アミド化、Asp(8)で置換されたAsn(8)、Ala(15)で置換されたGly(15)、およびLeu(27)で置換されたMet(27)を有する未変性GRF
(1−29)ペプチドの類似体(配列番号43)によって誘発されたGH放出も、比較のために平行して測定された。データを表III(マウス)およびIV〜V(ラット)に提示する。
【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】
【表5-2】
【表6-1】
【表6-2】
【0143】
本発明は、その特定の実施形態により上記に記載されてきたが、付属の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の趣旨および本質から逸脱することなく修正され得る。特許請求の範囲において、用語「含む」は、非限定的な用語として使用され、実質的に句「〜を含むがこれに限定されない」と等しい。単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明確に記載されない限り、対応する複数の参照を含む。