【実施例】
【0047】
以下の例示的な非限定的例は、本明細書に示した実施形態をさらに説明するために示す。本発明の範囲内において、これらの実施例の変形形態が可能であることは当業者なら理解するであろう。
【0048】
実施例1.
この実施例では、水分散性のレシチン濃縮物を作る方法を説明する。73重量パーセントの量のレシチン(Archer-Daniels-Midland Company (Decatur, IL)から入手可能)と20重量パーセントの量のトール脂肪酸エトキシレート(Stepan, (North field, IL)から入手可能)と7重量パーセントの量の大豆脂肪酸とを混ぜて、レシチン−補助界面活性剤ブレンドを調製した。諸成分を50℃で絶えず撹拌しながら30分〜60分の間混合し、琥珀色の透明なレシチンと補助界面活性剤とのブレンドを製造した。
【0049】
実施例2.
65重量パーセントの量の実施例1のレシチン−補助界面活性剤ブレンドを、35重量パーセントの量の乳酸(濃度88%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と、室温で絶えず撹拌しながら、30分間混合して、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。
【0050】
実施例3.
65重量パーセントの量の実施例1のブレンドを、4重量パーセントの量の乳酸エチル(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合し、その後、室温で30分間絶えず撹拌しながら、7重量パーセントの量の水を添加して、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。このブレンドのpHは2.0である。
【0051】
実施例4.
58重量パーセントの量の実施例1のレシチン−補助界面活性剤ブレンドを、22重量パーセントの量の乳酸ナトリウム(濃度60%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合し、その後、9%の乳酸(濃度88%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合した。このブレンドに、4重量パーセントの量の乳酸エチル(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)を、次いで、室温で30分間絶えず撹拌しながら7重量パーセントの量の水を加えて、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。このブレンドのpHは4.5である。この実施例で製造した組成物をADM6200と呼ぶ。
【0052】
実施例5.
56重量パーセントの量の実施例1のレシチン−補助界面活性剤ブレンドを、22重量パーセントの量の乳酸ナトリウム(濃度60%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合し、その後、9%の乳酸(濃度88%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合した。このブレンドに、4重量パーセントの量の乳酸エチル(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)を、次いで、室温で30分間絶えず撹拌しながら9重量パーセントの量のTergitol L-62(ポリエチレングリコール、HLB値約7を有する非イオン界面活性剤)(DOW Chemical Company (Midland, Michigan)から入手可能)を加えて、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。このブレンドのpHは4.5である。
【0053】
実施例6.
56重量パーセントの量の実施例1のレシチン−補助界面活性剤ブレンドを、22重量パーセントの量の乳酸ナトリウム(濃度60%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合し、その後、9%の乳酸(濃度88%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合した。このブレンドに、4重量パーセントの量の乳酸エチル(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)を、次いで、室温で30分間絶えず撹拌しながら9重量パーセントの量のプロピレングリコール(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)を加えて、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。このブレンドのpHは4.5である。
【0054】
実施例7.
この実施例では、水分散性のレシチン濃縮物を作る方法を説明する。73重量パーセントの量のレシチン(Archer-Daniels-Midland Company (Decatur, IL)から入手可能)と、20重量パーセントの量の、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート、ポリソルベート80のブレンド(BASF (Flirham, NJ)から入手可能)と、7重量パーセントの量の大豆脂肪酸とを混ぜて、レシチン−補助界面活性剤ブレンドを調製した。諸成分を50℃で絶えず撹拌しながら30分〜60分の間混合し、琥珀色の透明なレシチン−補助界面活性剤ブレンドを製造した。
【0055】
実施例8.
58重量パーセントの量の実施例7のレシチン−補助界面活性剤ブレンドを、22重量パーセントの量の乳酸ナトリウム(濃度60%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合し、その後、9%の乳酸(濃度88%)(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)と混合した。このブレンドに、4重量パーセントの量の乳酸エチル(Archer-Daniels-Midland Company(Decatur, IL)から入手可能)を、次いで、室温で30分間絶えず撹拌しながら7重量パーセントの量の水を加えて、水中で安定した乳状水性分散液を容易に形成する透明系を得た。このブレンドのpHは4.5である。この実施例で製造した組成物をADM6400と呼び、これは食品グレードである。
【0056】
実施例9.
表1に示す配合処方に従って顔料分散液を調製した。実施例4で製造した組成物(本明細書ではADM6200と呼ぶ)を、標準または基準としてのADM3200(2010年11月18日に出願された米国特許出願第12/993,282号の実施例8にしたがって製造)と比較した。ビーズミルをシミュレートするために、カウルブレード(cowles blade)およびガラスビーズを用いて1300rpmで45分間顔料を粉砕した。Sherwin-Williamsの光沢青色調ベース(Gloss blue tint base)を用いて1%の顔料率(pigmentation)で、着色を評価した。塗料混合物をLeneta白色紙に塗布し、通常の実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイド(Spectro-guide)で求めた。
【0057】
【表1】
【0058】
表2は、顔料分散液と塗膜の特性を示す。ADM3200をADM6200(試験1)に置き換えると、色の濃さ(color strength)の増大から分かるように着色(color development)の増大はごくわずかなまま、塗膜の光沢が増大したが、色差(color difference)(ΔE
*)はごくわずかであった。しかし、ADM6200の顔料分散液は、ADM6200の密度がADM3200より低くなっていることから分かるように、いくらか起泡があった。Tergitol L-62の量を33%減らすと(試験2)、塗膜光沢が減少した。また色の濃さが濃くなったことから分かるように着色が極めてわずかに増大したが、色の差(ΔE
*)は非常に小さかった。しかし、試験2の顔料分散液は、
図1に示すように、試験1およびADM3200よりも試験2の密度が低くなっていることから分かるように、起泡性(foam development)が高くなっていた。
【0059】
【表2】
【0060】
塗膜特性のグラフ表示を
図2に示し、色を
図3に示す。
【0061】
ADM6200分散剤は、ADM3200と同じ着色を示し、光沢は少し増大していた。
【0062】
実施例10.
実施例9の顔料分散液(ADM6200の試験1および2、およびADM3200)および市販の分散剤(BYK(USA)のDisperbyk)を、着色のためSherwin-Williamsの光沢青色調ベースと混ぜ、Leneta白色紙に塗布し、実験室条件下で乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0063】
表3は、ADM6200(試験1)およびADM3200と、同じ日に塗布したDisperbykとのCIELabの比較を示す。色の比較は
図4に示す。表4は、ADM6200(試験1)のCIELabを、ADM3200およびDisperbykと比較したものを示す。表3および4のb
*値では、ADM6200、ADM3200、およびDisperbyk分散剤の間に大きな色の違いはなかった。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
実施例11.
表5の配合処方に従って顔料分散液を調製した。ADM6200を、標準としての(2010年11月18日に出願された米国特許出願第12/993,282号の実施例4に従って製造された)ADM3100と比較して評価した。ビーズミルをシミュレートするために、カウルブレードおよびガラスビーズを用いて1200rpmで45分間顔料を粉砕した。Sherwin-Williamsの光沢白色ベース(Gloss White Base)を用いて1%の顔料率で、着色を評価した。塗料混合物をLeneta白色紙に塗布し、通常の実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0067】
【表5】
【0068】
表6は顔料分散と塗膜の特性を示す。ADM6200配合物中のTergitol L-62の量を50%減らすと、その密度の高さおよび粘度の低さ(
図5)から分かるように分散液の起泡性が減少した。ADM6200の着色は、CIELabのL
*および+b
*値ならびに色の濃さによって示されるようにADM3100と比べてやや改善された。またADM6200を有する塗料の光沢はADM3100と比べて改善された。
【0069】
【表6】
【0070】
塗膜特性のグラフ表示を
図5に示し、色を
図6に示す。
【0071】
実施例12.
顔料分散液を、ADM6200、ADM3100、Nuosperse、およびDisperbykを用いて着色のためにSherwin-Williamsの光沢白色ベースと混合し、Leneta白色紙に塗布し、実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0072】
表7は、ADM6200およびADM3100を、市販の分散剤であるNuosperseおよびDisperbyk(BYK(USA)のもの)と比べた場合のCIELab比較を示し、色の比較を
図7に示す。表8は、ADM3100P、Nuosperse、およびDisperbykと比較した場合のLactic Blend BのCIELabを示す。CIELabのa
*値から、Lactic Blend BはNuosperseおよびDisperbykと同等であった。
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
実施例13.
表9の配合処方に従って顔料分散液を調製した。ADM6200を、ADM3200を標準として評価した。ビーズミルをシミュレートするために、カウルブレードおよびガラスビーズを用いて1300rpmで45分間顔料を粉砕した。Sherwin-Williamsの光沢白色ベースを用いて1.56%の顔料率で、着色を評価した。塗料混合物をLeneta白色紙に塗布し、色特性をスペクトロガイドで求めた。
【0076】
【表9】
【0077】
ADM6200をADM3200と比較した。両方の配合処方で6.75gの水は使用しなかった。ADM6200は、ADM3200と比べて粘度および密度が高くなっていることから分かるように、粉砕時の起泡性がADM3200よりも小さく、また表10に示すように、ADM6200は、ADM3200と比べて光沢は増大し、着色が同等であった。
【0078】
【表10】
【0079】
塗膜特性のグラフ表示を
図8に示し、色を
図9に示す。
【0080】
実施例14.
着色のためにSherwin-Williamsのエクストラ光沢白色ベース(Extra White Gloss base)と混ぜた顔料分散液は、ADM6200(試験5)、ADM3200、およびDisperbykを含んだ。種々の顔料分散液をLeneta白色紙に塗布し、実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0081】
表11は、ADM6200、ADM3200、およびDisperbykのCIELab比較を示す。色の比較を
図10に示す。表12は、ADM6200とDisperbykおよびADM3200とのCIELab比較を示し、
図11に色の比較を示す。
【0082】
【表11】
【0083】
【表12】
【0084】
表11および12のCIELabのL
*値から、ADM6200はDisperbykよりも着色が優れていた(値が小さいほど、色は暗くなる)。Disperbykは、室温保存で色が不安定になった。これは、
図11に示されているように色の変化で示される。
図12は、グラフによるL
*値の比較を示す。
【0085】
実施例15.黒色顔料の分散
表13の配合処方に従って顔料分散液を調製した。様々な試験を行って、標準ADM3200配合物と比較した。ビーズミルをシミュレートするために、カウルブレードおよびガラスビーズを用いて1200rpmで60分間顔料を粉砕した。Sherwin-Williamsの光沢白色ベースを用いて1%の顔料率で、着色を評価した。塗料混合物をLeneta白色紙に塗布し、通常の実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0086】
【表13】
【0087】
標準配合物のADM3200をADM6200と同量置換(lb-lb substitution)すると、粉砕時の粘度の増大、過剰の起泡、および着色の淡色化(lighter color development)が見られた。Tergitol L-62の低減またはADM6200の増大に関する幾つかの試験では、起泡は減少せず、着色は改善されなかった。しかし、脱泡剤であるDrewplus L475をByk 021で置き換えると(試験4)、着色が改善し、60分間の粉砕の後に練り顔料の粘度が増大したが、まだ濾過することができた。顔料率を約20%に減らすと(試験5)、起泡特性が改善された。60分間の粉砕の間ずっと練り顔料の粘度の増大はなかった。また着色はADM3200よりも優れていた。
【0088】
表14は、分散液および塗膜の特性を示す。ADM6200(試験5)では、粘度が低くなり、着色が向上し、CIELab値で示されるように色の濃さが濃くなった。
【0089】
【表14】
【0090】
塗膜特性のグラフ表示を
図13に示し、色を
図14に示す。
【0091】
ADM6200分散剤は、顔料の配合量が少なくてもADM3200よりも着色が優れていた。ADM6200は起泡性も改善した。
【0092】
実施例16.二酸化チタンの分散液
表15の配合処方に従って顔料分散液を調製した。ADM6200を標準としてのADM3100によって評価した。顔料を、1600rpmで45分間高速分散させながら分散させた。Sherwin-Williamsの光沢青色調ベース中で1.5%にして着色を評価した。塗料混合物をLeneta白色紙に塗布し、通常の実験室条件下で一晩乾燥させた。色特性はスペクトロガイドで求めた。
【0093】
【表15】
【0094】
白色分散液配合物においてADM3100とADM6200とを同量置換した場合について評価した。練り顔料(millbase)の粘度はすでに低くかったので、顔料の添加後に、試料に更なる水を加えなかった。それで、顔料率は少なくとも1%増大した。表16は分散液および塗膜の特性を示す。「粉砕度」に示されているようにどちらの分散剤も、分散特性が優れていた。また着色は色差がごくわずかであった。ADM6200による顔料分散では、粘度が低くなり、顔料配合量が少し増え、高い密度に示されるように起泡性はごくわずかであった。
【0095】
【表16】
【0096】
塗膜特性のグラフ表示を
図15に示し、色を
図16に示す。
【0097】
ADM6200分散剤の場合、ADM3100と着色が同等であり、練り顔料の起泡性は減少し、顔料配合量は増大した。
【0098】
実施例17.
以下の表17は、ADM6400の作用が、顔料配合量を増やす点では効果的であり、それとともに、色に関して妥協することなく粘度を下げることができることを示している。標準ADM3200で示されるように、顔料配合量は非常に限られており、粘度との関連で上限に達する。ADM6400では、分散作用と顔料配合量に良好な相乗効果が見られ、顔料配合量は実に42%に達しうる。有機顔料でも同様の結果が得られた。
【0099】
【表17】
【0100】
ある特定の例示的実施形態、組成物およびその用途を参照しながら本開示を説明してきた。しかし、様々な代替形態、変形形態または例示的実施形態の任意のものの組合せは、本開示の精神および範囲から逸脱しなくても実施できることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示は、例示的実施形態の記載によって限定されることはなく、むしろ最初に提出された添付の特許請求の範囲によって限定されるものである。