(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなるゴム組成物であって、グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が35〜85質量%であることを特徴とするゴム組成物。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のゴム組成物。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステル量が15〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のゴム組成物。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合した後、混練及び加硫して得られる、請求項1〜7の何れか一つに記載のゴム組成物。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とするゴム組成物。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルとを配合した後、混練及び加硫して得られる、請求項9〜11の何れか一つに記載のゴム組成物。
天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分と、シリカと、グリセリン脂肪酸エステルとを配合して得られる混合物を、混練及び加硫する工程を有する、請求項1〜14の何れか一つに記載のゴム組成物の製造方法。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする、未加硫ゴムの粘度低減方法。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とする、未加硫ゴムの粘度低減方法。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギーの社会的な要請に伴い、自動車の燃料消費節約を目的として、タイヤ用ゴム組成物の低発熱性と湿潤路面でのグリップ性を両立させる充填剤として、シリカの配合が多用されている。
用いるシリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴム中へのシリカの分散を良くするためには混練時間を長くする必要がある。また、ゴム中へのシリカの分散が不十分なためゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押出しなどの加工性に劣るなどの欠点を有していた。さらに、シリカ粒子の表面が酸性であることから、加硫促進剤として使用される塩基性物質を吸着し、ゴム組成物の加硫が十分に行われず、貯蔵弾性率が上がらないという欠点を有していた。そのため、従来からシリカ配合ゴム組成物における加工性等の改良が求められている。
【0003】
従来において、グリセリン脂肪酸エステルなどを用いたシリカ配合ゴム組成物における加工性等を改良する技術として、例えば、
1) ジエン系ゴム90重量部以上含むゴム100重量部に対して、40重量%以上が白色充填剤である充填剤30〜120重量部と、非イオン系界面活性剤0.2〜8重量部とを配合した帯電性を改良したゴム組成物(例えば、特許文献1参照)や、
2) ジエンゴムの群から選択される少なくとも1種のポリマー、ゴム組成物中のゴム100重量部に対して、5〜100重量部の微粉末沈降ケイ酸、0〜80重量部のカーボンブラック、および0.5〜20重量部の少なくとも1種の非芳香族粘度低下物質を含むタイヤトレッド用ゴム組成物において、前記非芳香族粘度低下物質が、グリセリン−モノステアレート、ソルビタン−モノステアレート、ソルビタン−モノオレエートおよびトリメチロールプロパン(2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)からなる群から選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【0004】
一方、上記グリセリン脂肪酸エステル以外の化合物などを用いた、シリカ配合ゴム組成物におけるシリカのゴム中への分散性、加工性等を改良する技術として、例えば、
3) (A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、シリカ15〜85重量部と、ジメチルアルキルアミン等の特定の3級アミン化合物を前記シリカの量に対して1〜15重量%配合してなる組成物、並びにそれをタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ(例えば、特許文献3参照)や、
4) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム成分に対し、白色充填剤と、特定のモノアルカノールアミドの少なくとも一種を配合してなるゴム組成物、それを用いたタイヤ(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
【0005】
上記特許文献1〜4のうち、特許文献1には、実施例の一つにグリセリン脂肪酸モノエステルを配合し、シリカ配合時に起こりうる本発明と異なる帯電を防止する効果についての記載があるものの、粘度低減効果について記載や示唆などはないものである。
また、上記特許文献2は、本発明の近接技術を開示するものであるが、グリセリン脂肪酸モノエステルを配合し、シリカ配合時の粘度低減効果について記載はあるが、シリカ配合ゴム組成物にグリセリン脂肪酸モノエステルを配合したときに起こりうるシュリンク(収縮による加工性の悪化)については全く記載や示唆などはないものである。
更に、上記特許文献3及び4のゴム組成物は、従来にないシリカのゴム中への分散性の改良と、発熱性などの改良がもたらされるものであるが、シュリンクによる加工性の低下が若干あり、また、特許文献3では、スコーチタイムが早くなり、ゴム焼けが生じるといった課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものであり、ゴム組成物へのシリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性向上と、ゴム焼けを抑制し、加硫速度を遅延させることなく、シュリンクを抑制し、耐熱性が良好であるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、特定の化合物を配合することにより、上記目的のゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(19)に存する。
(1) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなるゴム組成物であって、グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下であることを特徴とするゴム組成物。
(2) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、前記グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする上記(1)記載のゴム組成物。
(3) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が10〜65質量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のゴム組成物。
(4) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比が、0.5〜10であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(5) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(6) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステル量が15〜50質量%であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(7) さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(8) グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量がシリカ100質量部に対して、0.5〜20質量部であることを特徴とする上記(1)〜(7)のの何れか一つに記載のゴム組成物。
(9) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合した後、混練及び加硫して得られる、上記(1)〜(8)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(10) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とするゴム組成物。
(11) 前記ゴム成分100質量部に対して、グリセリン脂肪酸モノエステルを0.25〜10質量部配合してなる、上記(10)記載のゴム組成物。
(12) 前記ゴム成分100質量部に対して、グリセリン脂肪酸ジエステルを0.25〜10質量部配合してなる、上記(10)又は(11)記載のゴム組成物。
(13) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルとを配合した後、混練及び加硫して得られる、上記(10)〜(12)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(14) 前記ゴム成分100質量部に対し、上記シリカを5〜200質量部配合してなることを特徴とする上記(1)〜(13)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(15) 更に、シランカップリング剤を配合することを特徴とする上記(1)〜(14)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(16) 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分と、シリカと、グリセリン脂肪酸エステルとを配合して得られる混合物を、混練及び加硫する工程を有する、上記(1)〜(15)の何れか一つに記載のゴム組成物の製造方法。
(17) 上記(1)〜(15)の何れか一つに記載のゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
(18) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が85質量%以下であることを特徴とする、未加硫ゴムの粘度低減方法。
(19) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とする、未加硫ゴムの粘度低減方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性向上と、ゴム焼けを抑制し、加硫速度も遅延させることなく、シュリンクを抑制し、耐熱性が良好であるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の態様のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、該組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、該組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が85質量%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第2の態様のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とするゴム組成物である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明するが、第1、第2態様に共通して記載する。本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法においても、好ましい態様は同じである。
【0012】
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなる。ここで、天然ゴム(NR)としては、タイヤ用として一般に用いられているRSS、TSR#10、TSR#20などの他、恒粘度剤含有天然ゴム、高純度化天然ゴム、酵素処理天然ゴム、けん化処理天然ゴム等が挙げられる。恒粘度剤としては、例えば、硫酸ヒドロキシルアミン、セミカルバジド〔(NH
2NHCONH)
2〕、またはその塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジド化合物(例えば、プロピオン酸ヒドラジド)などを用いることができる。高純度化天然ゴムは、例えば天然ゴムラテックスを遠心分離にかけ、タンパク質等の非ゴム成分が除去された天然ゴムである。酵素処理天然ゴムは、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスフォリパーゼ等の酵素により酵素処理された天然ゴムである。けん化処理天然ゴムは、アルカリ(例えば、NaOH)等でけん化処理された天然ゴムである。
また、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらのジエン系合成ゴムは、変性ポリマーであってもよく、また、ジエン系合成ゴム(未変性ポリマー)に変性ポリマーをブレンドして用いてもよい。
これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
【0013】
〔シリカ〕
本発明のゴム組成物に用いることができるシリカとしては、特に制限はなく、市販のゴム組成物に使用されているものが使用でき、中でも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができ、特に、湿式シリカの使用が好ましい。
特に好ましいシリカとしては、BET比表面積が50〜300m
2/g、また、CTAB比表面積(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)が50〜300m
2/gとなるものが望ましく、BET比表面積やCTAB比表面積が高いほど、未加硫粘度の低減は大きい。なお、本発明において、BET比表面積は、BET法の一点値により測定されるものである。また、CTAB比表面積(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)は、ASTM D3765に準じて測定される値である。
【0014】
これらのシリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、ヒステリシスを低下させる効果の観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、より更に好ましくは60質量部以上であり、作業性を向上させる観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下であり、5〜200質量部の範囲が好ましく、10〜150質量部の範囲がより好ましく、20〜120質量部の範囲が更に好ましく、60〜120質量部の範囲がより更に好ましい。本発明の場合、シリカが上記ゴム成分100質量部に対して60質量部以上の高い配合であっても、本発明の効果を発揮できるものである。
【0015】
〔シランカップリング剤〕
本発明においては、補強性の観点から、シランカップリング剤を用いることが好ましい。
用いることができるシランカップリング剤は、特に制限なく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどの少なくとも1種が挙げられる。
【0016】
シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量によって変動するものであるが、シリカ100質量部に対し、補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、4質量部以上が更に好ましく、一方、発熱性を維持する観点から、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましく、シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対し、1〜20質量部が好ましく、発熱性の観点から、4〜12質量部がより好ましい。
【0017】
本発明では、上記シリカ以外にも補強性充填剤として、カーボンブラックなどを併用できる。
用いることができるカーボンブラックは、特に制限なく、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFなどのグレードを用いることができる。
これらのカーボンブラックの配合量も、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記ゴム成分100質量部に対し、0〜60質量部、更に好ましくは、10〜50質量部であることが望ましい。なお、発熱性を維持する観点から、60質量部以下が好ましい。
【0018】
〔第1の態様のゴム組成物〕
本発明の第1の態様のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、該組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、該組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が85質量%以下であることを特徴とするものであり、以下、第1の態様において用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物について記載する。
【0019】
〔グリセリン脂肪酸エステル組成物〕
グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの持つ3つのOH基のうちの少なくとも1つに脂肪酸(炭素数が8〜28)がエステル結合したものであり、脂肪酸のつく数によって、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルに分かれるものである。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含むが、それ以外にグリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを含んでいてもよい。
【0020】
本発明において、グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、未加硫ゴム粘度の低減の観点から、8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上更に好ましくは16以上であり、耐熱性向上の観点から、28以下であり、好ましくは22以下、より好ましくは18以下である。グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、未加硫ゴムの粘度低減による加工性向上、シュリンクの抑制、耐熱性等の観点から、炭素数8〜28、好ましくは炭素数8〜22、更に好ましくは炭素数10〜18の脂肪酸、より更に好ましくは炭素数12〜18の脂肪酸である。また、脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖いずれでもよいが、特に、直鎖状飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。好ましくは、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸であり、特に、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
なお、炭素数8未満の脂肪酸では、ポリマーとの親和性が低く、ブルームが起こりやすい。一方、炭素数28を超える脂肪酸では、加工性改良効果の向上は炭素数28以下と変わらず、コストが上昇し、好ましくない。
【0021】
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下となるものである。このグリセリン脂肪酸エステル組成物を配合することにより、シュリンクとゴム焼けを抑制し、加硫速度も遅延させることなく、シリカ配合未加硫ゴムの粘度の低減による加工性の向上と、耐熱性などの諸性能を高度に達成することができる。
【0022】
本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノエステル含有量が85質量%を超えるものでは、シュリンクが大きく、作業性に懸念がある。また、加硫ゴムの耐熱性低下が大きい。
そのため、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、モノエステル含有量は、未加硫ゴム粘度を低減する観点から、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、スコーチ制御、シュリンク抑制及び耐熱性の観点から、85質量%以下であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下であり、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは45〜85質量%、より更に好ましくは50〜85質量%、更に好ましくは50〜80質量%、より更に好ましくは50〜75質量%となるものが望ましい。
【0023】
また、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量は、シュリンク抑制とスコーチ制御と耐熱性を良好とする観点から好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、より更に好ましくは20質量%以上であり、未加硫ゴム粘度の低減の観点から、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以下であり、好ましくは10〜65質量%、より好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%、より更に好ましくは20〜50質量%である。
【0024】
前記組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比は、未加硫ゴムの粘度の低減の観点から好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上、より更に好ましくは1.0以上であり、シュリンクを抑制とスコーチ制御と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を防ぐ観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
【0025】
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルとグリセリン脂肪酸トリエステルの合計含有量は、未加硫ゴム粘度の低減、シュリンク抑制と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは17〜50質量%である。
特に、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、未加硫ゴム粘度の低減、シュリンク抑制とスコーチの制御と耐熱性を良好とする観点から、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が17〜50質量%であるものが更に好ましく、また、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が20〜50質量%であるものが更に好ましい。
【0026】
また、本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物の製造の際に、未反応原料としてグリセリンが残る場合がある。グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリンの含有量は、耐熱性低下抑制の観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量やジエステル含有量等が異なる2種以上用いてもよい。
【0027】
本発明において、用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、油脂等を分解したグリセリンと脂肪酸から製造するエステル化法と、油脂等とグリセリンとを原料としたエステル交換法などにより製造することができ、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノエステル量をコントロールしたものを製造する方法等としては、下記1)〜3)の各方法などが挙げられる。
1)上記エステル化法やエステル交換法などにおいて、脂肪酸成分とグリセリン成分の仕込み比率を変えることで、エステル化の平衡組成を制御する方法。グリセリンについては、さらに蒸留により取り除くことが出来る。但し、反応特性上、グリセリン脂肪酸モノエステル量の上限は約65質量%前後と考えられる。
2)エステル化法やエステル交換法で得られた反応生成物をさらに分子蒸留などにより分別留去し、高純度(通常95質量%以上)のグリセリン脂肪酸モノエステルを取り出す方法。
3)上記2)の手法で得た高純度グリセリン脂肪酸モノエステルを1)の手法で得られる中純度グリセリン脂肪酸モノエステルと任意の割合で混合することにより、比較的高純度領域(およそ65〜95質量%程度)のグリセリン脂肪酸モノエステルを得る方法。
上記原料の油脂や脂肪酸などを天然物から由来のものを用いることにより、環境負荷等も低減したグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
更に、本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、モノエステル量がコントロールされた市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製のレオドールMS−60、エキセルS−95)等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノグリセライド含有量(グリセリン脂肪酸モノエステル含有量)とは、GPC分析(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下式(I)に従って求めたものをいい、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド(グリセリン脂肪酸ジエステル)及びトリグリセライド(グリセリン脂肪酸トリエステル)の合計に対するモノグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
【数1】
〔上記式(I)中、GはGPCのグリセリン面積、MGはGPCのモノグリセライド面積、DGはGPCのジグリセライド面積、TGはGPCのトリグリセライド面積である。〕
尚、GPCの測定条件は、下記の通りである。
〔GPCの測定条件〕
GPCの測定は下記測定装置を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分0.6ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこにTHFに溶解した1重量%の試料溶液10μlを注入して測定を行った。
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:RI-8022(東ソー(株)製)
測定装置:HPLC-8220 GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSK-GEL SUPER H1000 2本及びTSK-GEL SUPER H2000 2本を直列に連結(東ソー(株)製)
同様に、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のジグリセライド含有量は、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの合計に対するジグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
【0029】
用いることができるモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル組成物の例を挙げれば、例えば、脂肪酸の炭素数8のカプリル酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数10のデカン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数12のラウリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数14のミリスチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数16のパルミチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数18のステアリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数22のベヘン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数28のモンタン酸グリセリル含有組成物等が挙げられ、これらの中で、ラウリル酸グリセリル含有組成物、パルミチン酸グリセリル含有組成物、ステアリン酸グリセリル含有組成物が好ましい。これらのモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル含有組成物は、1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0030】
本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点、スコーチ制御及びシュリンク抑制の観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下であり、更に好ましくは8質量部以下であり、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは、1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは2〜10質量部、より更に好ましくは3〜10質量部であり、より更に好ましくは3〜8質量部である。
また、グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、シリカ100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは4質量部であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下であり、より更に好ましくは10質量部以下であり、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜12質量部がより更に好ましく、4〜10質量部がより更に好ましい。
【0031】
〔第2の態様のゴム組成物〕
本発明のゴム組成物の第2の態様は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなるゴム組成物であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とするゴム組成物である。好ましい脂肪酸は、第1の態様と同じである。
【0032】
第2の態様のゴム組成物は、第1の態様に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物を前記ゴム成分に、1種又は2種以上配合して得ることが好ましいが、例えば、高純度のグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル等を別々に配合してもよい。
グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下であり、更に好ましくは8質量部以下であり、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは2〜10質量部、より更に好ましくは3〜10質量部であり、より更に好ましくは3〜8質量部である。
【0033】
また、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比は、未加硫ゴムの粘度の低減の観点から好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上、より更に好ましくは1.0以上であり、シュリンクを抑制とスコーチ制御と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
前記ゴム成分100質量部に対して、グリセリン脂肪酸モノエステルは、未加硫ゴム粘度の低減の観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは2質量部以上配合されてなることが好ましく、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
前記ゴム成分100質量部に対して、グリセリン脂肪酸ジエステルは、シュリンク抑制とスコーチ制御と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上配合されてなることが好ましく、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
【0034】
グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量は、シリカ100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは4質量部であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下であり、より更に好ましくは10質量部以下であり、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜12質量部がより更に好ましく、4〜10質量部がより更に好ましい。
本発明の第2の態様のゴム組成物には、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを配合するが、本発明を損なわない限り、グリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを配合されていてもよい。
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、グリセリンの配合量は、耐熱性低下抑制の観点から、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下、より更に好ましくは0.1質量部以下であり、生産性の観点から0.01質量部以上であってもよい。
ゴム成分100質量部に対して、グリセリン脂肪酸トリエステルの配合量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下、より更に好ましくは0.1質量部以下であり、生産性の観点から0.01質量部以上であってもよい。
前記ゴム成分100質量部に対して、配合されるとグリセリン脂肪酸モノエステルの配合量とグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル及びグリセリンの合計配合量との質量比[グリセリン脂肪酸モノエステル/(グリセリン脂肪酸モノエステル+グリセリン脂肪酸ジエステル+グリセリン脂肪酸トリエステル+グリセリン)]は、未加硫ゴム粘度を低減する観点から、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上、より更に好ましくは0.50以上であり、未加硫ゴム粘度の低減、シュリンク抑制とスコーチの制御と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下である(尚、グリセリン、グリセリン脂肪酸トリエステルの配合量は0であってもよい)。
【0035】
〔ゴム組成物〕
以下、本発明の第1の態様及び第2の態様のゴム組成物に共通して記載する。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、シリカ、上記モノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステルの他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分、シリカ、上記特性のグリセリン脂肪酸エステルと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して得られる混合物を、混練及び加硫して得られるものであり、例えば、上記混合物をロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。
本発明のゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対する亜鉛華の配合量は、加硫特性と弾性率の観点から、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2.2質量部以上であり、耐破壊強度の観点から、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下である。
【0036】
このように構成されるゴム組成物が、何故、ゴム組成物へのシリカ等の分散性を改良し、また、ゴム焼けを抑制し、加硫速度も遅延させることなく、シュリンクによる加工性の悪化もなく、耐熱性も改良できて、加工性も良好となるかは以下のように推察される。
すなわち、本発明のゴム組成物において、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカを配合した配合系に、シリカ表面を疎水化し、かつ滑剤としても作用する上記第1の態様のモノエステル量をコントロールした脂肪酸の炭素数が8〜28となるグリセリン脂肪酸エステル組成物の少なくとも一種、あるいは上記第2の態様の特定比のグリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを用いることにより、モノエステル単体と同様にフィラーであるシリカと反応することができ、また、滑剤作用もあるため、さらに低粘度化する。また、シリカ疎水化作用と滑剤作用と可塑化作用とにより、シュリンク性やタフネス低下も改善されるものと推察される。なお、上記モノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル組成物、あるいは特定比のグリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルは、3級アミン、モノアルカノールアミドなどよりもシリカ表面疎水化効果が高く、低粘度となり、これらの化合物よりもシュリンクが低減し、加工性が良好となる(これらの点については、後述する実施例、比較例で更に詳述する)。
【0037】
〔タイヤ、未加硫ゴムの粘度低減方法〕
本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によってタイヤを製造することができる。例えば、上記のように各種配合剤を配合させた本発明のゴム組成物を未加硫の段階でタイヤ部材として、例えば、トレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、低発熱性に優れ、低燃費性が良好であると共に、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れたものとなる。
従って、本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、該組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、該組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が85質量%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、シリカと、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを配合してなる未加硫ゴムの粘度低減方法であって、前記脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの合計配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であり、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの配合質量比が0.5〜10であることを特徴とするゴム組成物を特徴とするものである。
本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法で用いられる各成分の好ましい成分、好ましい範囲は、前述の第1の態様及び第2の態様のゴム組成物と同じである。
【実施例】
【0038】
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
<製造例1〜9>
用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、下記各製造法等により得たものを使用した。なお、製造した各グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル、グリセリンの各成分の含有量は、前述の方法で算出し、各組成を求めた。
【0040】
(製造例1:脂肪酸の炭素数が8のグリセリン脂肪酸エステル、実施例1用)
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの1L四ツ口フラスコに、グリセリン450g、オクタン酸[花王株式会社製ルナック8−98]352gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=2.0]、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウムをナトリウムとして10ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて240℃まで昇温した。240℃に達した後、酸成分をフラスコに環流させながら脱水し、その温度で4時間反応させた。反応後の生成物中のモノグリセライド含量は67面積%であった。
【0041】
続いて反応混合物を170℃ まで冷却し、そのままグリセリンを圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S(キュノ( 株)製)を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物を得た。得られた組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0042】
(製造例2:脂肪酸の炭素数が10のグリセリン脂肪酸エステル、実施例2用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のデカン酸[花王株式会社製ルナック10−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0043】
(製造例3:脂肪酸の炭素数が12のグリセリン脂肪酸エステル、実施例3、12用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のラウリン酸[花王株式会社製ルナックL−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0044】
(製造例4:脂肪酸の炭素数が炭素数16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例4、8〜9、13、17〜19、22〜23、25〜28、比較例4用)
実施例4、13、19、23、25〜28で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
また、比較例4で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、製造例4で得られたグリセリン脂肪酸エステル組成物を分子蒸留することで調整した。
実施例8、17、22のグリセリン脂肪酸エステルは、製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと比較例4のグリセリン脂肪酸エステルを重量比70:30で混合することにより調整した。
実施例9、18のグリセリン脂肪酸エステルは、製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと比較例4のグリセリン脂肪酸エステルを重量比35:65で混合することにより調整した。
【0045】
(製造例5:脂肪酸の炭素数が16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例7、16、21、および30用)
上記実施例1において、グリセリンの量を280gに、オクタン酸をパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]520gに変える[グリセリン/脂肪酸(モル比)=1.5]以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0046】
(製造例6:脂肪酸の炭素数が16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例10用)
上記実施例1において、グリセリンの量を160gに、オクタン酸をパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]657gに変える[グリセリン/脂肪酸(モル比)=0.67]以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0047】
(製造例7:脂肪酸の炭素数が18のグリセリン脂肪酸エステル、実施例5、14、20、24、29用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のステアリン酸[花王株式会社製ルナックS−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0048】
(製造例8:脂肪酸の炭素数が22のグリセリン脂肪酸エステル、実施例6、15用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のベヘニン酸[花王株式会社製ルナックBA]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0049】
(製造例9:脂肪酸の炭素数が28のグリセリン脂肪酸エステル、実施例11用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のモンタン酸[東京化成工業株式会社製オクタコサン酸]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0050】
〔実施例1〜30及び比較例1〜9〕
下記表1〜表7に示す配合処方で常法により、ゴム組成物を調製した。表1〜表7中の上欄に、製造例で得た各グリセリン脂肪酸エステル組成を記載した。また、表1〜表7中の当該グリセリン脂肪酸エステル組成の欄以下の数値は、質量部である。
得られた各ゴム組成物について、下記測定方法により、未加硫ゴム粘度、スコーチタイム、シュリンク、タフネス@100の測定を行った。
これらの結果を下記表1〜表7に示す。なお、表2及び表4は、シリカ種、表3及び表5はシカンカップリング剤種等を変更した配合処方である。
【0051】
〔未加硫ゴム粘度、スコーチタイムの測定方法〕
未加硫ゴム粘度、スコーチタイムは、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
なお、評価は、表1では比較例1、表2では比較例5、表3では比較例6、表4では比較例7、表5では比較例8、表6では比較例1及び表7では比較例9の各値を100として指数表示した。未加硫ゴム粘度は、値が小さいほど作業性が良好であることを示し、スコーチタイムは、値が大きいほど加硫開始が遅くなり、また、値が小さいほど加硫開始が早くなり、ゴム焼けが生じるなどの好ましくないことを示す。
【0052】
〔シュリンクの測定方法〕
得られた各ゴム組成物をラボミキサーで混練した練りゴムを70℃のロールに巻き付け、3分熱入れを行い、5mmにシーティングした。シーティング直後と3時間放置後の長さの差を計測し、上記と同様に表1〜表7中の比較例1、比較例5、比較例6、比較例7、比較例8及び比較例9の各値を100として指数表示した。この値が大きいほどシュリンクが大きく、悪いことを示す。
【0053】
〔タフネス@100の測定方法〕
未加硫ゴムを160℃で20分加硫後、100℃で2日間(熱劣化条件)で劣化させた後に、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことによってEb(切断時伸び(%))及びTb(引張強さ(MPa))を測定し、熱劣化後のTF(タフネス:Eb×Tb)を求め、上記と同様に表1〜表7中の比較例1、比較例5、比較例6、比較例7、比較例8及び比較例9の各値を100として指数表示した。この値が大きいほど、耐熱性(タフネス)が高いことを示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
上記表1〜表7中の*1〜*18は下記のとおりである。
*1)SBR#1723〔JSR社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*2)シースト7HM(N234)〔東海カーボン社製〕
*3)東ソーシリカ株式会社製「ニプシールVN3」、BET表面積210m
2/g、CTAB表面積144m
2/g
*4)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*5)イクロクリスタリンワックス,オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*6)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」〔大内新興化学工業社製〕
*7)2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、商品名「ノンフレックスRD−S」〔精工化学社製〕
*8)ジフェニルグアニジン、商品名「ノクセラーD」〔大内新興化学工業社製〕
*9)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、商品名「ノクセラーDM」〔大内新興化学工業社製〕
*10)N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、商品名「サンセラーCM−G」〔三新化学工業社製〕
*11)ファーミンDM8098〔ジメチルステアリルアミン、花王社製〕
*12)アミノーンC−01〔ラウリン酸モノエタノールアミド、花王社製〕
*13)ローディア社製、シリカ 「Zeosil Premium 200MP」、BET表面積222m
2/g、CTAB表面積200m
2/g
*14) モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名「NXT」、3−オクタノイルチオ−プロピルトリエトキシシラン
*15)ローディア社製、シリカ 「Zeosil HRS 1200MP」、BET表面積200m
2/g、CTAB表面積195m
2/g
*16)エボニック・デグサ社製、商品名「VP Si363」、(R
1)
m(R
2)
nSi−R
3−SH 〔R
1:OC
2H
5、R
2:O(C
2H
4O)
k−C
13H
27、R
3:−(CH
2)
3−、m=平均1、n=平均2、k=平均5)
*17)SBR#1500〔JSR社製〕
*18)RSS#3
【0062】
上記表1〜表7から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜30のゴム組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜9に較べて、未加硫ゴム粘度、スコーチタイム、シュリンク、タフネス@100の評価結果から、未加硫ゴムの粘度を上げず、また、加硫速度を遅延させることなく、シュリンクが低減し、加工性も悪化もなく、耐熱性、加工性も良好となるゴム組成物となることが判明した。