特許第6113239号(P6113239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113239エレベータ巻上機モータ取替装置およびエレベータ巻上機モータ取替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113239
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】エレベータ巻上機モータ取替装置およびエレベータ巻上機モータ取替方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   B66B7/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-174894(P2015-174894)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-48038(P2017-48038A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】山岸 健一
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−218348(JP,A)
【文献】 特開2004−168503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00−7/12
B65H 19/22;19/26;19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械台ビームに載せられる基部と、
前記基部に設けられ、高さ方向の寸法が変化するジャッキ部と、
前記ジャッキ部における高さ方向の寸法の変化にともなって高さ位置が変化するように前記ジャッキ部に支持され、巻上機モータが載せられるモータ受部と
を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機モータ取替装置。
【請求項2】
前記ジャッキ部に設けられ、高さ方向に延びた回動軸をさらに備え、
前記モータ受部は、前記回動軸を中心に回動可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ巻上機モータ取替装置。
【請求項3】
前記機械台ビームに隣り合って設けられ、前記機械台ビームとともに前記基部を支持する土台部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ巻上機モータ取替装置。
【請求項4】
前記モータ受部の上面には、円弧状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のエレベータ巻上機モータ取替装置。
【請求項5】
機械台ビームに載せられる基部と、前記基部に設けられ、高さ方向の寸法が変化するジャッキ部と、前記ジャッキ部における高さ方向の寸法の変化にともなって高さ位置が変化するように前記ジャッキ部に支持されたモータ受部とを備えたエレベータ巻上機モータ取替装置を用いて巻上機モータを取り替えるエレベータ巻上機モータ取替方法であって、
前記モータ受部が前記巻上機モータの下方に配置されるように前記基部を前記機械台ビームに載せ、前記モータ受部の高さ位置が前記巻上機モータの高さ位置に対応するように、前記ジャッキ部の高さ方向の寸法を変化させる取替装置設置工程と、
前記取替装置設置工程の後、巻上機ハウジングから前記巻上機モータを取り外して、前記巻上機モータを前記モータ受部に支持させる巻上機モータ取外工程と
を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機モータ取替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻上機モータを取り替える際に用いられるエレベータ巻上機モータ取替装置および巻上機モータを取り替えるエレベータ巻上機モータ取替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械台ビームに載せられる基部と、基部に支持され、巻上機モータが載せられるモータ受部とを備えたエレベータ巻上機モータ取替装置が知られている。基部を機械台ビームに載せた状態で、巻上機ハウジングから巻上機モータを取り外し、巻上機ハウジングから取り外された巻上機モータをモータ受部に支持させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−218348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エレベータ巻上機モータ取替装置の高さ方向の寸法が機械台ビームから巻上機モータまでの寸法よりも大きい場合には、エレベータ巻上機モータ取替装置を機械台ビームと巻上機モータとの間の空間に配置することができないので、エレベータ巻上機モータ取替装置を機械台ビームに取り付けることが困難である。その結果、巻上機ハウジングから取り外された巻上機モータをモータ受部に支持させることができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、巻上機ハウジングから取り外された巻上機モータをモータ受部により確実に支持させることができるエレベータ巻上機モータ取替装置およびエレベータ巻上機モータ取替方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ巻上機モータ取替装置は、機械台ビームに載せられる基部と、基部に設けられ、高さ方向の寸法が変化するジャッキ部と、ジャッキ部における高さ方向の寸法の変化にともなって高さ位置が変化するようにジャッキ部に支持され、巻上機モータが載せられるモータ受部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ巻上機モータ取替装置によれば、ジャッキ部の高さ方向の寸法を変化させることによって、エレベータ巻上機モータ取替装置の高さ方向の寸法を変化させることができるので、エレベータ巻上機モータ取替装置の高さ方向の寸法を機械台ビームから巻上機モータまでの寸法に対応させることができる。これにより、エレベータ巻上機モータ取替装置をより確実に設置することができ、巻上機ハウジングから取り外された巻上機モータをモータ受部により確実に支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータを示す側面図である。
図2図1のエレベータに用いられるエレベータ巻上機モータ取替装置を示す正面図である。
図3図2のエレベータ巻上機モータ取替装置を示す側面図である。
図4図2のエレベータ巻上機モータ取替装置を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータを示す側面図である。図において、エレベータは、2本の機械台ビーム1と、それぞれの機械台ビーム1に渡って載せられた巻上機2と、巻上機2の上方に設けられたエレベータ制御盤3と、利用者が乗降するかご4と、巻上機2とかご4とに接続されるロープ5と、ロープ5を支持する一対のそらせ車6とを備えている。
【0010】
このエレベータが設置される建物には、昇降路100と、昇降路100に隣り合うように配置された機械室101とが形成されている。かご4およびそらせ車6は、昇降路100に配置されている。機械台ビーム1、巻上機2およびエレベータ制御盤3は、機械室101に配置されている。巻上機2と機械室101の天井との間の寸法は、ホイスト等を設置することができない程度に狭くなっている。なお、巻上機2と機械室101の天井との間の寸法は、ホイスト等を設置することができる程度であってもよい。
【0011】
巻上機2は、ロープ5の巻取および送出を行う巻上機ドラム21と、巻上機ドラム21を収容する巻上機ハウジング22と、巻上機ドラム21を回転させる巻上機モータ23と、巻上機ドラム21と巻上機モータ23との間に設けられたブレーキ(図示せず)とを有している。
【0012】
図2図1のエレベータに用いられるエレベータ巻上機モータ取替装置を示す正面図、図3図2のエレベータ巻上機モータ取替装置を示す側面図、図4図2のエレベータ巻上機モータ取替装置を示す拡大図である。図2および図3では、エレベータ巻上機モータ取替装置7がエレベータに設置されている状態を示している。エレベータ巻上機モータ取替装置7は、機械台ビーム1に載せられる基部71と、基部71に設けられ、高さ方向の寸法が変化するジャッキ部72と、ジャッキ部72における高さ方向の寸法の変化にともなって高さ位置が変化するようにジャッキ部72に支持され、巻上機モータ23が載せられるモータ受部73と、ジャッキ部72に設けられ、高さ方向に延びた回動軸74と、機械台ビーム1に隣り合って設けられ、機械台ビーム1とともに基部71を支持する土台部75とを備えている。
【0013】
ジャッキ部72は、ねじ部を有している。ねじ部が回転することによって、ジャッキ部72は、高さ方向の寸法が変化する。ねじ部には、インパクトドライバー(図示せず)が接続可能となっている。なお、ねじ部には、インパクトドライバーの代わりに、ねじ部を回転させるためのハンドルが設けられてもよい。
【0014】
モータ受部73の面には、円弧状の凹部731が形成されている。凹部731は、巻上機モータ23の外周面の形状に対応して形成されている。なお、モータ受部73の凹部731は、複数種類の巻上機モータ23の外周面に対応できるように、曲率半径が変化できるような構成であってもよい。また、複数種類の巻上機モータ23の外周面に対応する複数種類のモータ受部73を備え、それぞれのモータ受部73が回動軸74に着脱可能となるような構成であってもよい。
【0015】
モータ受部73は、回動軸74に設けられている。モータ受部73は、回動軸74を中心に360°回動可能となっている。したがって、回動軸74を中心にモータ受部73を回動させることによって、モータ受部73に載せられた巻上機モータ23も回動軸74を中心に回動させることができる。
【0016】
土台部75は、硬質発泡スチロールから構成されている。なお、土台部75は、硬質発泡スチロールに限らず、機械台ビーム1とともに基部71を支持することができる材料から構成されていればよい。
【0017】
次に、エレベータ巻上機モータ取替装置7を用いたエレベータ巻上機モータ取替方法について説明する。まず、既設の巻上機モータ23を巻上機ハウジング22から取り外す工程について説明する。モータ受部73が巻上機モータ23の下方に配置されるように基部71を機械台ビーム1に載せ、モータ受部73の高さ位置が巻上機モータ23の高さ位置に対応するように、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させる(取替装置設置工程)。このとき、上方から視たときの巻上機モータ23の重心が機械台ビーム1からずれている場合には、上方から視たときの巻上機モータ23の重心となる位置に重なる位置に土台部75を配置する。つまり、巻上機モータ23の重心を支持することができる位置に土台部75を配置する。また、取替装置設置工程では、モータ受部73の凹部731に巻上機モータ23の外周面が嵌まるように回動軸74を中心にモータ受部73を回動させる。
【0018】
その後、巻上機ハウジング22から巻上機モータ23を取り外して、巻上機モータ23をモータ受部73に支持させる(巻上機モータ取外工程)。巻上機ハウジング22から巻上機モータ23を取り外す際には、巻上機モータ23の出力軸に固定されたカップリング(図示せず)とブレーキのブレーキホイール(図示せず)とを切り離す。具体的には、カップリングとブレーキホイールとを固定するカップリングボルトをカップリングおよびブレーキホイールから取り外す。巻上機モータ取外工程では、巻上機モータ23がモータ受部73に支持されているので、巻上機ハウジング22から巻上機モータ23を容易に取り外すことができる。巻上機モータ取外工程の後、モータ受部73に支持された巻上機モータ23を作業者が機械室101から搬出する。モータ受部73に支持された巻上機モータ23を機械室101から搬出する際には、作業者が巻上機モータ23を持ちやすくなるように、回動軸74を中心にモータ受部73を回動させてもよく、また、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させて巻上機モータ23の高さ方向の位置を変化させてもよい。以上により、既設の巻上機モータ23を巻上機ハウジング22から取り外す工程が終了する。
【0019】
次に、新規の巻上機モータ23を巻上機ハウジング22に取り付ける工程について説明する。まず、基部71を機械台ビーム1に載せ、モータ受部73に巻上機モータ23を載せ、巻上機モータ23の高さ位置が巻上機ハウジング22における巻上機モータ23が取り付けられる部分の高さ位置と一致するように、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させる(取替装置設置工程)。このとき、上方から視たときの巻上機モータ23の重心が機械台ビーム1からずれている場合には、上方から視たときの巻上機モータ23の重心となる位置に重なる位置に土台部75を配置する。つまり、巻上機モータ23の重心を支持することができる位置に土台部75を配置する。また、取替装置設置工程では、モータ受部73の凹部731に巻上機モータ23の外周面が嵌まるように回動軸74を中心にモータ受部73を回動させる。また、取替装置設置工程では、作業者が巻上機モータ23を載せやすい位置にモータ受部73を配置した後、モータ受部73に巻上機モータ23を載せて、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させて巻上機モータ23の高さ方向の位置を変化させてもよい。
【0020】
その後、カップリングボルトを用いてカップリングとブレーキホイールとを固定し、ボルトを用いて巻上機ハウジング22に巻上機モータ23を固定する(巻上機モータ取付工程)。巻上機モータ取付工程では、巻上機モータ23がモータ受部73に支持されているので、巻上機ハウジング22に巻上機モータ23を容易に取り付けることができる。以上により、新規の巻上機モータ23を巻上機ハウジング22に取り付ける工程が終了する。
【0021】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ巻上機モータ取替装置7によれば、機械台ビーム1に載せられる基部71と、基部71に設けられ、高さ方向の寸法が変化するジャッキ部72と、ジャッキ部72における高さ方向の寸法の変化にともなって高さ位置が変化するようにジャッキ部72に支持され、巻上機モータ23が載せられるモータ受部73とを備えているので、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させることによって、エレベータ巻上機モータ取替装置7の高さ方向の寸法を変化させることができる。これにより、エレベータ巻上機モータ取替装置7の高さ方向の寸法を機械台ビーム1から巻上機モータ23までの寸法に対応させることができる。その結果、エレベータ巻上機モータ取替装置7をより確実に設置することができ、巻上機ハウジング22から取り外された巻上機モータ23をモータ受部73により確実に支持させることができる。
【0022】
また、このエレベータ巻上機モータ取替装置7は、ジャッキ部72に設けられ、高さ方向に延びた回動軸74を備え、モータ受部73は、回動軸74を中心に回動可能となっているので、回動軸74を中心にしてモータ受部73に載せられた巻上機モータ23を回動させることができる。モータ受部73の高さ位置を変化せ、また、モータ受部73を回動させることによって、巻上機モータ23の取付および取外をより効果的に行うことができる。
【0023】
また、このエレベータ巻上機モータ取替装置7は、機械台ビーム1に隣り合って設けられ、機械台ビーム1とともに基部71を支持する土台部75を備えているので、上方から視たときの巻上機モータ23の重心となる位置が機械台ビーム1からずれている場合には、上方から視たときの巻上機モータ23の重心となる位置に土台部75を配置することによって、エレベータ巻上機モータ取替装置7が巻上機モータ23をより安定して支持することができる。
【0024】
また、モータ受部73の上面には、円弧状の凹部731が形成されているので、モータ受部73は、巻上機モータ23をより確実に支持することができる。
【0025】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ巻上機モータ取替方法によれば、モータ受部73が巻上機モータ23の下方に配置されるように基部71を機械台ビーム1に載せ、モータ受部73の高さ位置が巻上機モータ23の高さ位置に対応するように、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させる取替装置設置工程と、取替装置設置工程の後、巻上機ハウジング22から巻上機モータ23を取り外して、巻上機モータ23をモータ受部73に支持させる巻上機モータ取外工程とを備えているので、ジャッキ部72の高さ方向の寸法を変化させることによって、エレベータ巻上機モータ取替装置7の高さ方向の寸法を変化させることができる。これにより、エレベータ巻上機モータ取替装置7の高さ方向の寸法を機械台ビーム1から巻上機モータ23までの寸法に対応させることができる。その結果、エレベータ巻上機モータ取替装置7をより確実に設置することができ、巻上機ハウジング22から取り外された巻上機モータ23をモータ受部73により確実に支持させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 機械台ビーム、2 巻上機、3 エレベータ制御盤、4 かご、5 ロープ、6 そらせ車、7 エレベータ巻上機モータ取替装置、21 巻上機ドラム、22 巻上機ハウジング、23 巻上機モータ、71 基部、72 ジャッキ部、73 モータ受部、74 回動軸、75 土台部、100 昇降路、101 機械室、731 凹部。
図1
図2
図3
図4