特許第6113275号(P6113275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113275ベンゾジオキソール誘導体ならびにその調製方法および使用
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  • 特許6113275-ベンゾジオキソール誘導体ならびにその調製方法および使用 図000067
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113275
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ベンゾジオキソール誘導体ならびにその調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/056 20060101AFI20170403BHJP
   C07D 491/113 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20170403BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170403BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   C07D491/056CSP
   C07D491/113
   A61K31/454
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   A61K31/4545
   A61K31/506
【請求項の数】34
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2015-518794(P2015-518794)
(86)(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公表番号】特表2015-525740(P2015-525740A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】CN2013000813
(87)【国際公開番号】WO2014005421
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】201210226125.7
(32)【優先日】2012年7月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510116819
【氏名又は名称】浙江海正薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Hisun Pharmaceutical CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】バイ ホワ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ シューヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジンチン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン ヨンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ チフェン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ シャオユー
(72)【発明者】
【氏名】ジェン シャオヘ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ リフェイ
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−079451(JP,A)
【文献】 特開平02−169569(JP,A)
【文献】 特表2010−512328(JP,A)
【文献】 Sugimoto, Hachiro et.al.,Synthesis and structure-activity relationships of acetylcholinesterase inhibitors,Journal of Medicinal Chemistry,米国,1992年,(1992), 35(24), 4542-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される化合物、
【化1】
または薬学的に許容される塩。
(式中、
1およびR2は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立に選択され、R1およびR2は一緒になって、=Oであってよく、また、R1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成することができ、
Aは、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、R5−置換ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、R7−置換ピリダジニル、ピラゾリル、およびR8−置換ピラゾリルからなる群から選択され、
3は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜5つの置換基であり、
4は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜4つの置換基であり、
5は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、
6は、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニルおよび(C3−C4)シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜4つの置換基であり、
7は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、
8は、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニルおよび(C3−C4)シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基である)
【請求項2】
Aが、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、R5−置換ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、R7−置換ピリダジニル、ピラゾリル、およびR8−置換ピラゾリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1およびR2が、水素およびメチルから独立に選択され、R1およびR2が一緒になって、=Oであり、またはR1およびR2が、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成する、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1およびR2が、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、R5−置換ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、R7−置換ピリダジニル、ピラゾリル、およびR8−置換ピラゾリルから選択され、R3が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜5つの置換基であり、R4が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜4つの置換基であり、R5が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、R6が、(C1−C3)アルキルから独立に選択される1〜4つの置換基であり、R7が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、R8が、(C1−C3)アルキルから独立に選択される1〜3つの置換基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、およびピラゾリルから選択され、R3が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜5つの置換基であり、R6が、(C1−C3)アルキルから独立に選択される1〜4つの置換基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Aが、フェニル、およびR3−置換フェニルから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
3−置換フェニルが、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、又は2,6−ジフルオロフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Aが、ピリジニルから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
Aが、2−ピリジニル又は3−ピリジニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Aが、ピリミジニルから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項12】
Aが、ピリミジン−2−イルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Aが、ピロリルら選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項14】
Aが、ピロール−2−イルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Aが、R6−置換ピロリルら選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項16】
Aが、5−メチルピロール−2−イルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Aが、ピリダジニルら選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項18】
Aが、ピリダジン−3−イルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Aが、ピラゾリルら選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項20】
Aが、1H−ピラゾール−5−イルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
前記式(I)の化合物が、
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−1);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−2);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−3);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−4);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−5);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−6);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−7);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−8);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−9);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−10);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−11);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−12);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−13);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−14);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−15);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−16);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−17);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−18);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−19);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−20);
6−[2−[1−[(2−クロロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−21);
6−[2−[1−[[2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−22);
6−[2−[1−(o−トリルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−23);
6−[2−[1−[(2−シアノフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−24);
6−[2−[1−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−25);
6−[2−[1−[(2−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−26);
6−[2−[1−[(3−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−27);
6−[2−[1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−28);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−29);
6−[2−[1−(3−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−30);
6−[2−[1−(4−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−31);
6−[2−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−32);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−33);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−34);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンホスフェート(I−35);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−36);
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−37);
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−38);
6−[2−[1−(1H−ピロール−2−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−39);
6−[2−[1−[(5−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−40);
6−[2−[1−(1H−ピラゾール−5−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−41);
または薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−29);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−33);または
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンホスフェート(I−35)である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
有効量の請求項1から22のいずれか1項に記載の式(I)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項24】
アセチルコリンエステラーゼの阻害剤と関連する疾患の処置または予防のための、又は、アルツハイマー病の処置または予防のための医薬の調製における、請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
請求項1に記載の式(I)の化合物を調製するための方法であって、式IIによって表される化合物またはその塩と、式III−1またはIII−2によって表される化合物とを反応させることを含み、
【化2】
1、R2およびAは、請求項1に記載されている通りであり、Xは、ハロゲンまたはヒドロキシルであり、Yは、ホルミルまたはアルコキシカルボニルである、方法。
【請求項26】
式(II)の化合物またはその塩が、下記の方法によって調製され、式IVによって表される化合物におけるアミノ−保護基を除去することを含み、
【化3】
式中、R1およびR2は、請求項1に記載されている通りであり、R9は、アミノ−保護基である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
9は、tert−ブトキシカルボニルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
1およびR2が一緒になって=Oである式IVの化合物、すなわち、式IV−1の化合物が、下記の方法によって調製され、式Vによって表される化合物および式VIによって表される化合物を反応させることを含み、
【化4】
式中、R1およびR2は一緒になって、=Oであり、R10は、ハロゲンまたはトシルオキシである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
1およびR2が、それぞれ水素である式IVの化合物、すなわち、式IV−2の化合物が、下記の方法によって調製され、最初に式IV−1によって表される化合物をアルコールに還元し、次いで、生成したヒドロキシルを容易に脱離可能なアセトキシ基に変換し、最終的に触媒水素化分解によって前記アセトキシ基を除去することを含み、
【化5】
式中、R1およびR2は、それぞれ水素である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項30】
1が、メチルまたはエチルであり、R2が、水素である式IVの化合物、すなわち、式IV−3の化合物が、下記の方法によって調製され、式IV−2によって表される化合物における5員のラクタムにおけるメチレン基のモノ−アルキル化を行うことを含み、
【化6】
式中、R1は、メチルまたはエチルであり、R2は、水素である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項31】
1およびR2が、それぞれ独立に、メチルまたはエチルである式IVの化合物、すなわち、式IV−4の化合物が、下記の方法によって調製され、式IV−3によって表される化合物におけるR1を連結している炭素原子のさらなるアルキル化を行うことを含み、
【化7】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、メチルまたはエチルである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項32】
1およびR2が、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成する式IVの化合物、すなわち、式IV−5の化合物が、下記の方法によって調製され、最初に式IV−1によって表される化合物とメチルグリニャール試薬とを反応させてアルコールを形成させ、次いで、酸性条件下にて生成したアルコールをアルケンに脱水し、最終的に、Et2Zn/TFA/CH22を使用することによって生じた炭素−炭素二重結合を3員環に変換することを含み、
【化8】
式中、R1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成し、Xは、ハロゲンである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項33】
式IIによって表される化合物またはその塩。
【化9】
(式中、R1およびR2は、請求項1に記載されている通りである)
【請求項34】
式IVによって表される化合物。
【化10】
(式中、R1およびR2は、請求項1に記載されている通りであり、R9、tert−ブトキシカルボニルである)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾジオキソール誘導体のクラスに関する。これらの化合物は、アセチルコリンエステラーゼに対する阻害活性を有し、したがって、アルツハイマー病の処置または予防において使用することができる。本発明はまた、これらの化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の人口が増加すると共に、アルツハイマー病を患っている人口は急速に増加している。アルツハイマー病は、アルツハイマータイプの認知症またはアルツハイマータイプの老人性認知症とも称される。現在、この疾患の世界的規模での発生率は知られていないが、米国アルツハイマー病協会からの最新の報告によると、米国において2011年までに約540万人の人々がアルツハイマー病を患っており、米国においてこの疾患を患う人口は2050年までに米国において約1350万人に増加するだろう。したがって、この疾患を処置するための、より高い効率性およびより低い有害効果を有する新規な薬物を開発することが急務である。
【0003】
アルツハイマー病は最も一般な老人性認知症であり、米国の死因の6番目となっており、65歳以上の米国人の死因の5番目である。この疾患は科学者によって広範に深く研究されてきてはいるが、この疾患をもたらす正確な原因はまだ知られていない。アルツハイマー病は進行性疾患であり、神経細胞を連続的に死滅させ、脳における神経連絡が破壊され、これによって脳における組織の破壊がもたらされ、患者の記憶、意識、および判断の喪失、ならびに患者における情緒障害および行動障害がもたらされる。
【0004】
アルツハイマー病は不可逆的な疾患の1種であり、この疾患を予防することができる薬物は存在せず、この疾患を治癒する、またはこの疾患の進行を引き延ばすことができる薬物もまた存在しない。現在のところ、この疾患を処置するための薬物はこの疾患の症状を軽減または改善させることができるのみである。米国FDAによって承認されてきた5種の薬物が存在しており、これらのうち4種はアセチルコリンエステラーゼの阻害剤である。アセチルコリンは神経伝達物質の1種であり、神経によって放出される化学物質である。脳におけるアセチルコリンを生じさせる系、すなわち、コリン作動系が破壊された場合、アルツハイマー病と関連する記憶障害がもたらされる。一方では、アセチルコリンエステラーゼの機能は、アセチルコリンの加水分解を触媒する、すなわち、アセチルコリンを分解することである。アルツハイマー病はアセチルコリン活性の崩壊を伴うことから、アセチルコリンエステラーゼの阻害はこの疾患を処置するためのアプローチの1つである。上記のように、臨床においてアルツハイマー病の処置のために使用されてきた5種の薬物のうち4種は、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤である。アセチルコリンエステラーゼのこれらの阻害剤には、ドネペジル、タクリン、リバスチグミンおよびガランタミンが含まれ、ドネペジルは、アルツハイマー病の処置のための第一選択薬である(Sugimotoら、US4895841および5100901;Pathiら、WO2007077443;Parthasaradhiら、WO2005003092;Dubeyら、WO2005076749;Gutmanら、WO200009483;Sugimoto et al. J. Med. Chem. 1995, 38, 4821)。しかし、ドネペジルおよび他の4種の薬物は、患者の状態を改善することができるのみであり、このような改善は、一過的であり、すなわち、6〜12カ月続くことができるのみであり、また、これらの薬物に対する患者の奏効率はわずか約50%である(Alzheimer’s Association, 2011 Alzheimer’ Disease Facts and Figures, Alzheimer’s & Dementia, 2011, 7(2), 208)。本発明は、新規なベンゾジオキソール誘導体であり、かつドネペジルと比較してより高い効率性およびより低い有害効果を有するアルツハイマー病の処置のための薬物である新規なアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、アセチルコリンエステラーゼの新規な阻害剤であるベンゾジオキソール誘導体または薬学的に許容されるその塩を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物は、式(I)によって表すことができ、
【化1】
式中、
1およびR2は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立に選択され、R1およびR2は一緒になって、=Oであってよく、また、R1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成することができ、
Aは、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、R5−置換ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、R7−置換ピリダジニル、ピラゾリル、およびR8−置換ピラゾリルからなる群から選択され、
3は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜5つの置換基であり、
4は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜4つの置換基であり、
5は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、
6は、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニルおよび(C3−C4)シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜4つの置換基であり、
7は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C3−C4)シクロアルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、
8は、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニルおよび(C3−C4)シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜3つの置換基であり、
または薬学的に許容されるその塩である。
【0007】
別の実施形態において、Aは好ましくは、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、またはR5−置換ピリミジニルから選択される。
【0008】
別の実施形態において、上記のR1およびR2は好ましくは、水素またはメチルであり、R1およびR2は一緒になって、=Oであり、またはR1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成し、より好ましくは、R1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成する。
【0009】
別の実施形態において、上記のAは好ましくは、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、R4−置換ピリジニル、ピリミジニル、R5−置換ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、R7−置換ピリダジニル、ピラゾリル、またはR8−置換ピラゾリルであり、R3は、好ましくは、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から選択される1〜5つの置換基であり、R4は、好ましくは、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から選択される1〜4つの置換基であり、R5は、好ましくは、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から選択される1〜3つの置換基であり、R6は、好ましくは、(C1−C3)アルキルから選択される1〜4つの置換基であり、R7は、好ましくは、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から選択される1〜3つの置換基であり、R8は、好ましくは、(C1−C3)アルキルから選択される1〜3つの置換基である。
【0010】
別の実施形態において、上記のAはより好ましくは、フェニル、R3−置換フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、R6−置換ピロリル、ピリダジニル、またはピラゾリルであり、R3は、好ましくは、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、トリフルオロメチルおよびシアノからなる群から選択される1〜5つの置換基であり、R6は、好ましくは、(C1−C3)アルキルから選択される1〜4つの置換基である。
【0011】
最も好ましくは、Aは、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、ピリミジン−2−イル、ピロール−2−イル、5−メチルピロール−2−イル、ピリダジン−3−イルまたは1H−ピラゾール−5−イルである。
【0012】
より特定すると、前記式(I)の化合物は、
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−1);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−2);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−3);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−4);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−5);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−6);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−7);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−8);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−9);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−10);
【0013】
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−11);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(I−12);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−13);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−14);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−15);
【0014】
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(I−16);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−17);
6−[2−[1−[(2−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−18);
6−[2−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−19);
6−[2−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−20);
【0015】
6−[2−[1−[(2−クロロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−21);
6−[2−[1−[[2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−22);
6−[2−[1−(o−トリルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−23);
6−[2−[1−[(2−シアノフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−24);
6−[2−[1−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−25);
【0016】
6−[2−[1−[(2−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−26);
6−[2−[1−[(3−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−27);
6−[2−[1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−28);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−29);
6−[2−[1−(3−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−30);
【0017】
6−[2−[1−(4−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−31);
6−[2−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−32);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−33);
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−34);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンホスフェート(I−35);
【0018】
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−36);
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(I−37);
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−38);
6−[2−[1−(1H−ピロール−2−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−39);
6−[2−[1−[(5−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−40);
6−[2−[1−(1H−ピラゾール−5−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−41);
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0019】
上記の化合物の中で、好ましい化合物は、
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−29)、
または薬学的に許容されるその塩である。
【0020】
上記の化合物の中で、好ましい化合物は、
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(I−29);
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(I−33);または
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンホスフェート(I−35)
である。
【0021】
本発明の別の態様はまた、式(I)の化合物の調製において使用される中間体、すなわち、下記の式において示すような式IVの化合物および式IIの化合物に関する。
式IVによって表される化合物:
【化2】
式中、
1およびR2は、上記に定義されている通りであり、R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である;
式IIによって表される化合物、またはその塩:
【化3】
式中、
1およびR2は、上記に定義されている通りである。
前記塩は、酸と共に形成される塩を指す。好ましくは、前記酸は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などから選択される。
【0022】
本発明の第2の態様は、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤と関連する疾患の処置または予防のための医薬の調製における一般式(I)の化合物およびその医薬組成物の使用を開示する。
本発明のさらなる態様は、アルツハイマー病の処置のための医薬の調製における一般式(I)の化合物の使用を開示する。
【0023】
本発明の別の態様は、医薬組成物に焦点を合わせ、これは、有効量の本発明による化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。本発明による医薬組成物はまた、式(I)の化合物と適合性の薬学的に許容される担体を含むことができる。式(I)の化合物は、通常の剤形、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、および溶液剤を含めた経口形態および注射形態で投与することができ、好ましくは、経口形態で投与することができ、より好ましくは、経口形態の中でも錠剤およびカプセル剤で投与することができる。剤形および医薬組成物は、通常の薬学的に許容される賦形剤および添加物、ならびに通常の技術によって調製することができる。前記薬学的に許容される賦形剤および添加物は、無毒性で適合性の充填剤、接着剤、崩壊剤、緩衝液、保存剤、抗酸化剤、滑沢剤、香味剤、増粘剤、着色剤、乳化剤などを含む。
【0024】
本発明の第2の目的は、前記ベンゾジオキソール誘導体(式I)を調製するための方法を開示することである。前記方法は、式IIによって表される化合物またはその塩と、式III−1またはIII−2によって表される化合物とを反応させることを含み、
【化4】
式中、
1、R2およびAは、上記に定義されている通りであり、Xは、ハロゲンまたはヒドロキシルであり、Yは、ホルミルまたはアルコキシカルボニルである。Xがヒドロキシルであるとき、Aは、ピロリルまたは置換ピロリルであり、反応は、塩基条件(ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、またはナトリウム/アルコール)下にて行われ、Yがアルコキシカルボニルであるとき、Aは、ピロリルまたは置換ピロリルであり、反応は、ナトリウム/アルコールによって促進される。
【0025】
式IIの化合物またはその塩は、式IVによって表される化合物におけるアミノ−保護基の除去を含む、下記の方法によって調製することができ、
【化5】
式中、R1およびR2は、上記に定義されている通りであり、R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0026】
本発明はまた、式(I)の化合物および酸の間で塩を形成するための方法に関し、すなわち、化合物I−33、化合物I−34、および化合物I−35の調製におけるなど、式(I)の化合物および対応する酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)を完全に混合し、処置後に行ない、このように対応する塩を得る。
本発明の第3の目的は、中間体(式IV)の調製を開示することである。
本発明の一態様は、化合物Vを原料として使用することによって、式(IV−1)の化合物の調製のための方法を提供することである(下記のスキーム1において示す通り)。この方法は、式(IV)の化合物に適しており、R1およびR2は一緒になって、=Oである。R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)であり、R10は、ハロゲンまたはトシルオキシである。
【0027】
【化6】
スキーム1
【0028】
本発明の別の態様は、最初に式IV−1によって表される化合物をアルコールに還元することと、次いで、生成したヒドロキシルを容易に脱離可能なアセトキシ基に変換することと、最終的に触媒水素化分解によってアセトキシ基を除去することとを含む、化合物IV−1を原料として使用することによって、式(IV−2)の化合物を得るための方法を提供することである(下記のスキーム2において示す通り)。この方法は、式(IV)の化合物に適しており、R1およびR2の両方は、それぞれ水素である。R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0029】
【化7】
スキーム2
本発明のさらなる態様は、化合物IV−2を原料として使用し、式IV−2によって表される化合物のベンジル位(すなわち、5員のラクタムにおけるCH2基)におけるモノ−アルキル化を行うことによって、式(IV−3)の化合物を得るための方法を提供することである(下記のスキーム3において示す通り)。この方法は、式(IV)の化合物に適しており、R1は、メチルまたはエチルであり、R2は、水素である。R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0030】
【化8】
スキーム3
【0031】
本発明のさらなる態様は、化合物IV−3を原料として使用し、式IV−3によって表される化合物のベンジル位(すなわち、R1と連結した炭素原子)におけるアルキル化を行うことによって、式(IV−4)の化合物を得るための方法を提供することである(下記のスキーム4において示す通り)。この方法は、式(IV)の化合物に適しており、R1およびR2は、それぞれ独立に、メチルまたはエチルである。R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0032】
【化9】
スキーム4
【0033】
本発明のさらなる態様は、化合物IV−1を原料として使用し、最初に式IV−1によって表される化合物とメチルグリニャール試薬とを反応させてアルコールを形成させ、次いで、酸性条件下にて生成したアルコールをアルケンに脱水し、最終的に、Et2Zn/TFA/CH22を使用することによって生じた炭素−炭素二重結合を3員環に変換することによって、式(IV−5)の化合物を得るための方法を提供することである(下記のスキーム5において示す通り)。この方法は、式(IV)の化合物に適しており、R1およびR2は、これらを連結している炭素原子と一緒になって、3員の炭素環を形成する。R9は、アミノ−保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)であり、Xは、ハロゲンである。
【0034】
【化10】
スキーム5
【0035】
他に示さない限り、本発明において使用される用語は、当技術分野において公知の一般の意味を有する。さらに、本発明において使用されるいくつかの用語の意味は下記の通りである。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
「アルキル」は、基について言及するとき、直鎖状または分岐状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。(C1−C3)アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、および2−プロピルを含む。
「アルケニル」は、基に言及するとき、炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖状または分岐状であってよい。(C2−C3)アルケニルは、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、およびアリルを含む。
「シクロアルキル」は、飽和炭素環を指す。(C3−C4)シクロアルキルは、シクロプロピルおよびシクロブチルを含む。3員環は3員の炭素環と同じ意味を有し、これらの両方は、シクロプロピル環を指し、すなわち、R1およびR2の両方はCH2であり、かつ炭素−炭素単結合によって結合している。
「アルコキシ」は、基(アルキル−O−)を指す。アルキルは上記で定義されている通りである。(C1−C3)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびイソプロポキシを含む。
【0036】
さらに、「薬学的に許容される塩」という用語は、その当初の生物活性を保持することができ、医薬品用途に適した、上記の化合物の特定の塩を指す。式(I)によって表される化合物の薬学的に許容される塩は、適切な酸と共に形成される塩でよく、前記適切な酸は、無機酸および有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エチルスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを含む。最も好ましいのは、塩酸、リン酸または硫酸である。
【0037】
本発明者らは、本発明において提供する化合物が、高活性を有するアセチルコリンエステラーゼの阻害剤であり、学習および記憶を改善させる有意な効果を有し、アルツハイマー病の処置において使用することができることを見出した。
本発明は例によってさらに例示される。例は、式(I)によって表される代表的な化合物の調製、およびこれらの構造の関連する同定データを提供する。下記の例は例示的ではあるが、限定的ではないことに留意すべきである。
下記の例において、他に示さない限り、温度の全ては摂氏を指し、他に示さない限り、全ての原料および試薬は商業的供給源から購入する。商業的供給源から購入した原料および試薬は、他に示さない限り、それ以上精製することなく直接使用する。
【0038】
ガラス器具を、オーブン/または加熱によって乾燥させた。反応を、ガラス製シリカゲル−60F254プレート(0.25mm)(TLC)上でトレースした。分析的薄層クロマトグラフィーを行い、適切な比(v/v)を有する溶媒で展開させた。反応の終了は、TLC上の原料の枯渇時と決定された。
1H NMRスペクトルはBruker機器(400MHz)によって決定し、化学シフトはppmで表した。テトラメチルシラン内部標準を使用した(0.00ppm)。1H NMRにおける表現は、s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=広幅化およびdd=二重線の二重線であった。結合定数が提供されたとき、これは単位Hzによって表される。
質量スペクトルはLC/MS機器によって決定され、イオン化の方法はESIまたはAPCIであってよい。
全ての融点は補正されていない。
【0039】
下記の例は、本発明による特定の化合物の合成を例示するためにのみ提供され、合成方法を限定することを意図しない。下記に一覧表示されていない化合物はまた、適切な出発材料を選択することによって、必要に応じて、反応条件への適切および周知の修正を伴って、下記に提供するものと同じ合成スキームおよび合成方法を介して調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ドネペジルヒドロクロリド、I−33、およびI−35の経口投与の後のラットにおける血漿薬物濃度−時間曲線である(横座標は単位hによって表される時間であり、縦座標は単位nmol/Lによって表される濃度である)。
【実施例】
【0041】
(例1)
tert−ブチル4−[2−(5,7−ジオキソ−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物XI)の調製
【化11】
1Lの反応槽に、52g(0.27mol)の[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(化合物V−1、参考文献:J. Am. Chem. Soc., 1951, 73, 1371およびJ. Am. Chem. Soc., 1963, 85, 473における方法によって合成)ならびに320mlのジメチルスルホキシドを加え、混合物を撹拌し、60℃に加熱し、固体が完全に溶解した後、23.4g(0.42mol)の水酸化カリウムのエタノール溶液(110ml)を加え、このように得られた混合物を15分間撹拌し、次いで、117g(0.31mol)のtert−ブチル4−[2−(トシルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物VI−1、PTC出願WO2007082731に開示されている方法によって合成)のジメチルスルホキシド溶液(160ml)を加え、添加の後、反応が完了するまで反応物を60℃で5時間保持し、500mlの酢酸エチルおよび300mlの水を加え、抽出を行い、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、102.2gの粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって分離し、72gの化合物XIを65.8%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6):δ0.90-1.00 (m, 2 H), 1.36 (s, 10 H), 1.46 (q, 2 H, J = 7.0 Hz), 1.66 (d, 2 H, J = 11.9 Hz), 2.62 (br s, 2 H), 3.51 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 3.88 (d, 2 H, J = 11.5 Hz), 6.24 (s, 2 H), 7.32 (s, 2 H); MS (ESI): m/z 425 [M+Na]+.
【0042】
(例2)
6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオンヒドロクロリド(化合物II−1)の調製
【化12】
500mlの反応槽に、20g(0.05mol)の化合物XI、および塩化水素の酢酸エチル中10%溶液(400ml)を加え、反応物を室温で2時間保持し、濾過し、洗浄し、オーブン乾燥させ、15.5gの化合物II−1を92.3%の収率で得た。1H NMR (D2O):δ1.40-1.64 (m, 5 H), 2.02 (d, 2 H, J = 13.4 Hz), 2.96-3.03 (m, 2 H), 3.45-3.50 (m, 4 H), 6.12 (s, 2 H), 6.79 (s, 2 H); MS (ESI): m/z 303 [M-Cl]+.
【0043】
(例3)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(化合物I−1)の調製
【化13】
反応槽に、5g(0.015mol)の化合物II−1、1.4g(0.01mol)の炭酸カリウム、100mlのアセトニトリル、および2.3ml(0.02mol)の塩化ベンジルを加え、反応物を50℃に加熱し、3〜4時間保持し、200mlの酢酸エチルおよび100mlの水を加え、抽出を行い、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、3.5gの化合物I−1を60.4%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6):δ1.08-1.17 (m, 3 H), 1.48 (q, 2 H, J = 6.6 Hz), 1.67 (d, 2 H, J = 10.0 Hz), 1.85 (t, 2 H, J = 10.8 Hz), 2.75 (d, 2 H, J = 11.4 Hz), 3.41 (s, 2 H), 3.53 (t, 2 H, J = 7.1 Hz), 6.27 (s, 2 H), 7.22-7.32 (m, 5 H), 7.37 (s, 2 H); MS (ESI): m/z 393 [M+H]+.
【0044】
下記の化合物を、化合物II−1を原料として使用し、適切な試薬を使用することによって、例3における方法によって調製した。
【0045】
【化14】
【0046】
(例7)
tert−ブチル4−[2−(5−ヒドロキシ−7−オキソ−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物VII−1)の調製
【化15】
反応槽に、92g(0.23mol)の化合物XI、250mlのメタノールおよび250mlのテトラヒドロフランを撹拌しながら加え、混合物を0〜10℃に冷却し、10g(0.26mol)の水酸化ホウ素ナトリウムを加え、反応物を0〜10℃で20〜30分間保持し、100mlの水を加え、反応混合物を減圧下で(45℃で)濃縮乾燥し、残渣を500mlの酢酸エチルおよび300mlの水に加え、抽出し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、少量に濃縮し、300mlの石油エーテルを加え、固体を沈殿させ、濾過し、フィルターケーキを石油エーテルで洗浄し、乾燥させ、64.7gの化合物VII−1を70%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6):δ0.95-1.04 (m, 2 H), 1.39 (s, 10 H), 1.51 (m, 2 H), 1.70 (dd, 2 H, J = 25.0, 12.4 Hz), 2.65 (br s, 2 H), 3.23-3.30 (m, 1 H), 3.54-3.61 (m, 1 H), 3.90 (d, 2 H, J = 10.0 Hz), 5.67 (d, 1 H, J = 8.9 Hz), 6.12 (s, 1 H), 6.13 (s, 1 H), 6.50 (d, 1 H, J = 9.0 Hz), 7.08 (s, 1 H), 7.09 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 427 [M+Na]+.
【0047】
(例8)
tert−ブチル4−[2−(5−アセトキシ−7−オキソ−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物VIII−1)の調製
【0048】
【化16】
500mlの反応槽に、55g(0.136mol)の化合物VII−1、385mlの二塩化メチレン、43ml(0.31mol)のトリエチルアミン、および1.8g(0.015mol)の4−ジメチルアミノピリジンを撹拌しながら加え、31ml(0.33mol)の無水酢酸を加え、反応物を室温で1時間保持し、200mlの水を加え、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、約79gの化合物VIII−1を得て、これを次のステップにおいてそれ以上精製することなく直接使用した。1H NMR (DMSO-d6):δ0.94-1.02 (m, 2 H), 1.39 (s, 10 H), 1.43-1.54 (m, 2 H), 1.67 (t, 2 H, J = 9.9 Hz), 2.14 (s, 3 H), 2.65 (br s, 2 H), 3.17-3.24 (m, 1 H), 3.56-3.64 (m, 1 H), 3.90 (d, 2 H, J = 10.6 Hz), 6.16 (d, 1 H, J = 0.8 Hz), 6.18 (d, 1 H, J = 0.6 Hz), 6.90 (s, 1 H), 7.14 (s, 1 H), 7.16 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 469 [M+Na]+.
【0049】
(例9)
tert−ブチル4−[2−(7−オキソ−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物XII)の調製
【化17】
反応槽に、79gの化合物VIII−1、400mlの酢酸エチル、および50%水を含む17gの5%パラジウム−炭素を加え、反応が完了するまで60℃にて正常圧下で7〜8時間水素化を行い、濾過し、濾液を少量まで減圧下で濃縮し、石油エーテルを滴下で添加し、これを冷却し、固体を沈殿させ、濾過し、33gの化合物XIIを約62.5%の収率で得た(化合物VII−1によって計算)。1H NMR (DMSO-d6):δ0.94-1.04 (m, 2 H), 1.39 (s, 10 H), 1.47-1.54 (m, 2 H), 1.69 (d, 2 H, J = 11.6 Hz), 2.64 (br s, 2 H), 3.50 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 3.90 (d, 2 H, J = 11.3 Hz), 4.32 (s, 2 H), 6.12 (s, 2 H), 7.08 (s, 1 H), 7.11 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 411 [M+Na]+.
【0050】
(例10)
6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オンヒドロクロリド(化合物II−2)の調製
【化18】
反応槽に、15g(0.039mol)の化合物XII、および塩化水素の酢酸エチル中10%溶液(300ml)を加え、反応が完了するまで反応混合物を室温で30分間保持し、減圧下で濃縮乾燥し、エタノールおよび酢酸エチルの混合溶液と共に再結晶化させ、10.5gの化合物II−2を84.3%の収率で得た。1H NMR (D2O):δ1.38-1.49 (m, 2 H), 1.59-1.61 (m, 3 H), 1.98 (d, 2 H, J = 13.5 Hz), 2.91-2.98 (m, 2 H), 3.42 (d, 2 H, J = 12.8 Hz), 3.49 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 4.13 (s, 2 H), 5.97 (s, 2 H), 6.72 (s, 1 H), 6.76 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 289 [M-Cl]+.
【0051】
(例11)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(化合物I−5)の調製
【化19】
反応槽に、5g(0.015mol)の化合物II−2、1.4g(0.01mol)の炭酸カリウム、100mlのアセトニトリルおよび2.3ml(0.02mol)の塩化ベンジルを加え、これを50℃に加熱し、反応が完了するまで反応物を3〜4時間保持し、200mlの酢酸エチルおよび100mlの水を加え、抽出し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、3.1gの化合物I−5を53.4%の収率で得た。1H NMR (CDCl3):δ1.26-1.36 (m, 3 H), 1.57 (q, 2 H, J = 7.5 Hz), 1.73 (d, 2 H, J = 9.2 Hz), 1.93 (t, 2 H, J = 10.6 Hz), 2.87 (d, 2 H, J = 11.2 Hz), 3.48 (s, 2 H), 3.60 (t, 2 H, J = 7.5 Hz), 4.23 (s, 2 H), 6.04 (s, 2 H), 6.83 (s, 1 H), 7.21 (s, 1 H), 7.22-7.26 (m, 1 H), 7.29-7.30 (m, 4 H); MS (ESI): m/z 379 [M+H]+.
【0052】
下記の化合物を、化合物II−2を原料として使用し、適切な試薬を使用することによって、例11における方法によって調製した。
【0053】
【化20】
【0054】
(例15)
tert−ブチル4−[2−(5−メチル−7−オキソ−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物XIII)の調製
【化21】
反応槽に、30g(0.077mol)の化合物XIIおよび300mlのテトラヒドロフランを窒素下で加え、混合物を−10〜−15℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミドのn−ヘプタン溶液(78ml(0.16mol、2mol/L))を約30分間滴下で添加し、添加が完了した後、反応物をこの温度で30分間保持し、4.8ml(0.077mol)のヨードメタンを滴下で添加し、添加が完了した後、混合物を室温に温め、2時間撹拌し、600mlの酢酸エチルおよび300mlの水を加え、抽出し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、14.5gの化合物XIIIを46.7%の収率で得た。1H NMR (CDCl3):δ1.07-1.21 (m, 2 H), 1.41 (d, 3 H, J = 6.7 Hz), 1.45 (s, 10 H), 1.55 (q, 2 H, J = 7.4 Hz), 1.66-1.69 (m, 1 H), 1.80-1.83 (m, 1 H), 2.64-2.71 (m, 2 H), 3.17-3.24 (m, 1 H), 3.92-4.00 (m, 1 H), 4.06-4.09 (m, 2 H), 4.41 (q, 1 H, J = 6.7 Hz), 6.05 (s, 2 H), 6.82 (s, 1 H), 7.20 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 403 [M+H]+.
【0055】
(例16)
5−メチル−6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オンヒドロクロリド(化合物II−3)の調製
【化22】
反応槽に、5g(0.012mol)の化合物XIII、30mlのエタノール、および塩化水素の酢酸エチル中10%溶液(100ml)を加え、反応物を室温で1〜1.5時間保持し、濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させ、3.4gの化合物II−3を81%の収率で得た。1H NMR (D2O):δ1.24 (d, 3 H, J = 7.0 Hz), 1.44-1.58 (m, 5 H), 1.98 (m, 2 H), 2.96 (m, 2 H), 3.21-3.25 (m, 1 H), 3.44 (d, 2 H, J = 12.4 Hz), 3.64-3.72 (m, 1 H), 4.34 (q, 1 H, J = 6.6 Hz), 5.94 (s, 2 H), 6.72 (s, 1 H), 6.79 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 303 [M+H]+.
【0056】
(例17)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7−オン(化合物I−9)の調製
【化23】
反応槽に、2g(0.006mol)の化合物II−3および40mlのアセトニトリルを加え、撹拌し、2.4g(0.017mol)の炭酸カリウム、1.2ml(0.0087mol)のトリエチルアミン、および1.5ml(0.013mol)の塩化ベンジルを加えた。混合物を50℃に加熱し、反応物を1.5時間保持し、200mlの酢酸エチルおよび100mlの水を加え、抽出し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、1.1gの化合物I−9を47.4%の収率で得た。1H NMR (CDCl3):δ1.34-1.42 (m, 3 H), 1.46 (d, 3 H, J = 6.7 Hz), 1.59-1.64 (m, 2 H), 1.72-1.75 (m, 1 H), 1.86-1.89 (m, 1 H), 1.97-2.04 (m, 2 H), 2.94 (t, 2 H, J = 9.1 Hz), 3.21-3.28 (m, 1 H), 3.55 (s, 2 H), 3.97-4.05 (m, 1 H), 4.46 (q, 1 H, J = 6.7 Hz), 6.09 (s, 2 H), 6.87 (s, 1 H), 7.26 (s, 1 H), 7.29-7.32 (m, 1 H), 7.34-7.37 (m, 4 H); MS (ESI): m/z 393 [M+H]+.
【0057】
下記の化合物を、化合物II−3を原料として使用して、適切な試薬を使用することによって、例17における方法によって調製した。
【0058】
【化24】
【0059】
(例21)
tert−ブチル4−[2−(7,7−ジメチル−5−オキソ−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物XIV)の調製
【化25】
反応槽に、10g(0.025mol)の化合物XIIIおよび100mlのテトラヒドロフランを加え、窒素下で撹拌し、混合物を−10〜−15℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミドのn−ヘプタン溶液(48ml(0.096mol、2mol/L))を約30分間滴下で添加し、添加が完了した後、反応物を30分間保持し、次いで、1.6ml(0.026mol)のヨードメタンを滴下で添加し、添加が完了した後、混合物を室温に温め、次いで、1時間撹拌し、反応が完了した後、300mlの酢酸エチルおよび150mlの水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、5.6gの化合物XIVを54.2%の収率で得た。MS(ESI):m/z417[M+H]+
【0060】
(例22)
7,7−ジメチル−6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オンヒドロクロリド(化合物II−4)の調製
【化26】
反応槽に、2g(0.0048mol)の化合物XIV、10mlのエタノール、および塩化水素の酢酸エチル中10%溶液(50ml)を加え、反応物を室温で1〜1.5時間保持し、濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させ、1.2gの化合物II−4を71%の収率で得た。1H NMR (D2O):δ1.27 (s, 6 H), 1.45 (m, 2 H), 1.56 (q, 2 H, J = 6.9 Hz), 1.69 (br s, 1 H), 2.00 (d, 2 H, J = 13.9 Hz), 3.00 (t, 2 H, J = 12.6 Hz), 3.37 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 3.45 (d, 2 H, J = 12.3 Hz), 5.96 (s, 2 H), 6.79 (s, 1 H), 6.86 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 317 [M-Cl]+.
【0061】
(例23)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−7,7−ジメチル−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5−オン(化合物I−13)の調製
【0062】
【化27】
反応槽に、2.3g(0.0065mol)の化合物II−4および46mlのアセトニトリルを撹拌しながら加えた。6g(0.043mol)の炭酸カリウム、1.3ml(0.0094mol)のトリエチルアミン、および1.7ml(0.015mol)の塩化ベンジルを加え、混合物を50℃に加熱し、反応物を2〜3時間保持し、200mlの酢酸エチルおよび100mlの水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、1.8gの化合物I−13を67.7%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6):δ1.18-1.23 (m, 2 H), 1.26-1.33 (m, 1 H), 1.40 (s, 6 H), 1.50-1.56 (m, 2 H), 1.70 (d, 2 H, J = 11.2 Hz), 1.89 (t, 2 H, J = 10.4 Hz), 2.77 (d, 2 H, J = 11.2 Hz), 3.35 (t, 2 H, J = 7.8 Hz), 3.42 (s, 2 H), 6.12 (s, 2 H), 7.05 (s, 1 H), 7.21-7.25 (m, 2 H), 7.27-7.33 (m, 4 H); MS (ESI): m/z 407 [M+H]+.
【0063】
下記の化合物を、化合物II−4を原料として使用し、適切な試薬を使用することによって、例23における方法によって調製した。
【0064】
【化28】
【0065】
(例27)
tert−ブチル4−[2−(5−メチレン−7−オキソ−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物IX−1)の調製
【化29】
反応槽に、窒素下で撹拌しながら75g(0.19mol)の化合物XIおよび500mlのテトラヒドロフランを加え、混合物を0〜10℃に冷却し、400mlのヨウ化メチルマグネシウム/エチルエーテル溶液(1.2N)を反応槽中にゆっくりと加え、反応物を1時間保持し、泡が形成されなくなるまで少量の水を加え、濃塩酸を加えてpHを酸性に調節し、反応物を15分間保持し、500mlの酢酸エチルおよび300mlの水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を少量に濃縮し、石油エーテルを加え、固体を沈殿させ、濾過し、乾燥させ、47.6gの化合物IX−1を63.8%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6):δ0.95-1.05 (m, 2 H), 1.38 (s, 10 H), 1.48 (q, 2 H, J = 7.0 Hz), 1.71 (d, 2 H, J = 12.2 Hz), 2.65 (br s, 2 H), 3.70 (t, 2 H, J = 7.2Hz), 3.90 (d, 2 H, J = 11.6 Hz), 4.95 (s, 1 H), 5.34 (s, 1 H), 6.17 (s, 2 H), 7.15 (s, 1 H), 7.53 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 423 [M+Na]+.
【0066】
(例28)
tert−ブチル4−[2−(5−オキソスピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物XV)の調製
【0067】
【化30】
反応槽に、窒素下で300mlの二塩化メチレン、およびジエチル亜鉛のヘキサン溶液(300ml(1N))を加え、混合物を0〜10℃に冷却し、23.1ml(0.31mol)のトリフルオロ酢酸を含有する二塩化メチレン溶液(200ml)を約20分間滴下で添加し、添加が完了した後、反応物を20分間保持し、24ml(0.3mol)の二ヨウ化メチレンを含有する二塩化メチレン溶液(200ml)を滴下で添加し、添加が完了した後、反応物を20分間保持し、次いで、60g(0.15mol)の化合物IX−1の二塩化メチレン溶液(300ml)を滴下で添加し、添加が完了した後、混合物を30℃に加熱し、反応物を3〜4時間保持し、500mlの水を加え、pHを1Nの塩化水素で中性に調節し、層を分離し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾燥し、化合物XVを得て、これを次の反応に直接供した。1H NMR (CDCl3):δ1.08-1.19 (m, 2 H), 1.28 (dd, 2 H, J = 6.2, 7.4 Hz), 1.45 (s, 9 H), 1.48-1.57 (m, 5 H), 1.72 (d, 2 H, J = 12.7 Hz), 2.69 (t, 2 H, J = 11.6 Hz), 3.20 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 4.07 (d, 2 H, J = 13.1 Hz), 6.03 (s, 2 H), 6.43 (s, 1 H), 7.23 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 437 [M+Na]+.
【0068】
(例29)
6−[2−(4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(化合物II−5)の調製
【化31】
反応槽に、上記のステップにおいて得た全ての化合物XVおよび750mlのエタノールを加えた。混合物を完全に溶解するまで加熱し、36mlの濃塩酸を加え、反応物を約50〜55℃で5時間保持し、約200mlに減圧下で濃縮し、900mlの酢酸エチルを滴下で添加し、冷却し、濾過し、フィルターケーキを洗浄し、乾燥させ、24.3gの化合物II−5を46.2%の収率で得た(化合物IX−1によって計算した)。1H NMR (D2O):δ1.06 (t, 2 H, J = 6.7 Hz), 1.32-1.46 (m, 6 H), 1.60 (m, 1 H), 1.91 (d, 2 H, J = 13.5 Hz), 2.91-3.03 (m, 4 H), 3.39 (d, 2 H, J = 12.8 Hz), 5.90 (s, 2 H), 6.18 (s, 1 H), 6.68 (s, 1 H); MS (ESI): m/z 315 [M-Cl]+.
【0069】
(例30)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−17)の調製
【化32】
反応槽に、2g(0.006mol)の化合物II−5および40mlのアセトニトリルを撹拌しながら加え、1.2g(0.008mol)の炭酸カリウム、1ml(0.007mol)のトリエチルアミン、および2ml(0.017mol)の塩化ベンジルを加えた。混合物を60℃に加熱し、反応物を2.5時間保持し、200mlの酢酸エチルおよび100mlの水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、1.5gの化合物I−17を65.2%の収率で得た。1H NMR (CDCl3):δ1.24-1.33 (m, 5 H), 1.49-1.57 (m, 4 H), 1.72 (d, 2 H, J = 9.6 Hz), 1.96 (t, 2 H, J = 10.8 Hz), 2.87 (d, 2 H, J = 11.4 Hz), 3.19 (t, 2 H, J = 7.8 Hz), 3.49 (s, 2 H), 6.03 (s, 2 H), 6.42 (s, 1 H), 7.22-7.25 (m, 2 H), 7.28-7.32 (m, 4 H); MS (ESI): m/z 405 [M+H]+.
【0070】
下記の化合物を、化合物II−5を原料として使用し、適切な試薬を使用することによって、例30における方法によって調製した。
【化33】


【0071】
(例42)
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−29)の調製
【化34】
反応槽に、24.3g(0.069mol)の化合物II−5、36.5g(0.26mol)の炭酸カリウム、243mlのエタノール、6.1ml(0.044mol)のトリエチルアミンを加えた。混合物を約50℃に加熱し、31.5g(0.049mol)の2−クロロメチルピリジンヒドロクロリドを加え、反応物を50℃で5時間保持し、750mlの水を加え、固体を沈殿させ、濾過し、フィルターケーキを水で洗浄し、乾燥させ、17.8gの化合物I−29を63.4%の収率で得た。1H NMR (CDCl3):δ1.26 (dd, 2 H, J = 6.1, 7.6 Hz), 1.35 (br s, 3 H), 1.49-1.57 (m, 4 H), 1.72 (d, 2 H, J = 8.6 Hz), 2.08 (t, 2 H, J = 10.4 Hz), 2.89 (d, 2 H, J = 10.7 Hz), 3.19 (t, 2 H, J = 7.9 Hz), 3.64 (s, 2 H), 6.03 (s, 2 H), 6.42 (s, 1 H), 7.15 (dd, 1 H, J= 5.2, 6.7 Hz), 7.24 (s, 1 H), 7.41 (d, 1 H, J = 7.7 Hz), 7.64 (td, 1 H, J = 7.6, 1.8 Hz), 8.55 (d, 1 H, J = 4.2 Hz); MS (ESI): m/z 406 [M+H]+.
【0072】
下記の化合物を、化合物II−5を原料として使用し、適切な試薬を使用することによって、例42における方法によって調製した。
【0073】
【化35】
【0074】
(例46)
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(化合物I−33)の調製
【化36】
反応槽に、5g(0.012mol)の化合物I−29および25mlのエタノールを加え、完全に溶解するまで50℃で撹拌しながら加熱し、1ml(0.012mol)の濃塩酸を加え、1gの活性炭素を加え、20分間脱色し、濾過し、濾液を室温に冷却し、50mlのイソプロピルエーテルを滴下で添加し、固体を沈殿させ、1時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを少量のイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させ、5gの化合物I−33を91.7%の収率で得た。これは、約90%の収率で、エタノール/イソプロピルエーテルでさらに精製することができる。1H NMR (D2O):δ1.14 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 1.38-1.70 (m, 7 H), 1.96 (d, 2 H, J = 13.3 Hz), 2.99-3.14 (m, 4 H), 3.50 (d, 2 H, J = 11.0 Hz), 4.37 (s, 2 H), 5.93 (s, 2 H), 6.28 (s, 1 H), 6.75 (s, 1 H), 7.47 (dd, 1 H, J = 5.6, 7.5 Hz), 7.55 (d, 1 H, J = 7.8 Hz), 7.91 (td, 1 H, J = 7.8, 1.7Hz), 8.58 (d, 1 H, J = 4.4 Hz); MS (ESI): m/z 406 [M-Cl]+.
【0075】
(例47)
6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(化合物I−34)の調製
【0076】
【化37】
化合物I−34は、6−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−17)を原料として使用して、例46における方法によって調製した。1H NMR (CDCl3): 1H NMR (CDCl3):δ1.27 (dd, 2 H, J = 6.2, 7.5 Hz), 1.48-1.66 (m, 5 H), 1.95-2.10 (m, 4 H), 2.62 (ddd, 2 H, J = 4.6, 12.4, 22.2 Hz), 3.25 (t, 2 H, J = 6.7 Hz), 3.43 (d, 2 H, J = 11.3 Hz), 4.11 (d, 2 H, J = 5.0 Hz), 6.04 (s, 2 H), 6.43 (s, 1 H), 7.21 (s, 1 H), 7.41-7.46 (m, 3 H), 7.62 (dd, 2 H, J = 2.3, 5.9 Hz), 12.31 (br s, 1 H); MS (ESI): m/z 405 [M-Cl]+.
【0077】
(例48)
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンホスフェート(化合物I−35)の調製
【0078】
【化38】
反応槽に、2g(0.0049mol)の化合物I−29および40mlのエタノールを加え、完全に溶解するまで60℃で撹拌しながら加熱し、0.57g(0.0049mol)の85%リン酸を加え、撹拌し、固体を沈殿させ、40mlの酢酸エチルを滴下で添加し、室温に冷却し、1時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを少量の酢酸エチルで洗浄し、乾燥させ、2.1gの化合物I−35を84.7%の収率で得た。1H NMR (D2O):δ1.10 (t, 2 H, J = 7.2 Hz), 1.33-1.64 (m, 7 H), 1.92 (d, 2 H, J = 13.4 Hz), 2.95-3.09 (m, 4 H), 3.46 (d, 2 H, J = 10.7 Hz), 4.34 (s, 2 H), 5.89 (s, 2 H), 6.20 (s, 1 H), 6.69 (s, 1 H), 7.45 (dd, 1 H, J = 5.2, 7.4 Hz), 7.53 (d, 1 H, J = 7.8 Hz), 7.88 (td, 1 H, J = 7.7, 1.2 Hz), 8.54 (d, 1 H, J = 4.6 Hz).
【0079】
(例49)
6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(化合物I−36)の調製
【化39】
化合物I−36は、6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオンヒドロクロリド(化合物II−1)および2−クロロメチルピリジンヒドロクロリドを原料として使用して、例3における方法によって調製した。1H NMR (DMSO-d6):δ1.12-1.19(m, 3 H), 1.48(q, 2 H, J = 6.1 Hz), 1.67(d, 2 H, J = 9.4 Hz), 1.94(t, 2 H, J = 10.3 Hz), 2.76(d, 2 H, J = 11.2 Hz), 3.54(m, 4 H), 6.27(s, 2 H), 7.24(dd, 1 H, J = 6.8, 5.4 Hz), 7.38(s, 2 H), 7.42(d, 1 H, J = 7.8 Hz), 7.74(td, 1 H, J = 7.7, 1.4 Hz), 8.64(d, 1 H, J = 4.2 Hz): m/z 394 [M+H]+.
【0080】
(例50)
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオン(化合物I−37)の調製
【化40】
化合物I−37は、6−[2−(4−ピペリジル)エチル]−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−5,7−ジオンヒドロクロリド(化合物II−1)および3−ブロモメチルピリダジンヒドロブロミドを原料として使用して、例3における方法によって調製した。1H NMR(CDCl3):δ1.26-1.32(m, 3 H), 1.58(q, 2 H, J = 5.0 Hz), 1.75(d, 2 H, J = 8.9 Hz), 2.12(t, 2 H, J = 10.6 Hz), 2.81(d, 2 H, J = 11.1 Hz), 3.65(t, 2 H, J = 7.2 Hz), 3.84(s, 2 H), 6.15(s, 2 H), 7.19(s, 2 H), 7.45(dd, 1 H, J = 8.4, 4.9 Hz), 7.66(dd, 1 H, J = 8.4, 1.2 Hz), 9.07(dd, 1 H, J = 4.8, 1.6 Hz): m/z 395 [M+H]+.
【0081】
(例51)
6−[2−[1−(ピリダジン−3−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−38)の調製
【化41】
化合物I−38は、6−[2−(4−ピペリジル)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンヒドロクロリド(化合物II−5)および3−ブロモメチルピリダジンヒドロブロミドを原料として使用して、例42における方法によって調製した。1H NMR(CDCl3):δ1.25-1.37(m, 5 H), 1.49-1.58(m, 4 H), 1.73(d, 2 H, J = 11.2 Hz), 2.14(t, 2 H, J = 10.7 Hz), 2.82(d, 2 H, J = 11.6 Hz), 3.19(t, 2 H, J = 7.8 Hz), 3.85(s, 2 H), 6.03(s, 2 H), 6.43(s, 1 H), 7.23(s, 1 H), 7.46(dd, 1 H, J = 8.4, 4.9 Hz), 7.67(d, 1 H, J = 8.0 Hz), 9.08(dd, 1 H, J = 4.8, 1.4 Hz): m/z 407 [M+H]+.
【0082】
(例52)
6−[2−[1−(1H−ピロール−2−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−39)の調製
【化42】
反応槽に、100mlの無水エタノールおよび1.4g(0.061mol)のナトリウムを加えた。反応が完了した後、4.2g(0.043mol)の1H−ピロール−2−イルメタノールおよび2.5g(0.0071mol)の化合物II−5を加えた。反応が完了するまで混合物を3時間加熱還流させ、酢酸エチルおよび水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、無水硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、1.5gの化合物I−39を得た。1H NMR (DMSO-d6):δ1.10-1.19(m, 3 H), 1.33-1.40(m, 4 H), 1.57(t, 2 H, J = 6.6 Hz), 1.64(d, 2 H, J = 11.7 Hz), 1.81(t, 2 H, J = 11.1 Hz), 2.74(d, 2 H, J = 10.9 Hz), 3.13(t, 2 H, J = 7.6 Hz), 3.34(s, 2 H), 5.83(s, 1 H), 5.90(s, 1 H), 6.10(s, 2 H), 6.61(s, 1 H), 6.88(s, 1 H), 7.10(s, 1 H), 10.60(s, 1 H): m/z 394 [M+H]+.
注:1H−ピロール−2−イルメタノールは、水酸化ホウ素ナトリウムによる還元によって1H−ピロール−2−カルボキサルデヒドから調製することができる。
【0083】
(例53)
6−[2−[1−[(5−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル]−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−40)の調製
【化43】
反応槽に、300mlの無水エタノール、10g(0.029mol)の化合物II−5、および20g(0.13mol)のエチル5−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレートを加えた。混合物を室温で撹拌し、30g(1.30mol)のナトリウムをバッチで加え、添加が完了した後、混合物を60〜70℃に加熱し、反応物を5〜6時間保持し、反応が完了した後、酢酸エチルおよび水を加え、抽出し、洗浄し、有機層を集め、無水硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、濾液を濃縮乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離し、2gの化合物I−40を得た。1H NMR (DMSO-d6):δ1.08-1.22(m, 3 H), 1.32-1.42(m, 4H), 1.57(t, 2 H, J = 7.0 Hz), 1.65(d, 2 H, J = 11.5 Hz), 1.84(t, 2 H, J = 9.1 Hz), 2.13(s, 3 H), 2.78(d, 2 H, J = 10.2 Hz), 3.13(t, 2 H, J = 7.5 Hz), 3.31(s, 2 H), 5.57(s, 1 H), 5.69(s, 1 H), 6.10(s, 2 H), 6.88(s, 1 H), 7.10(s, 1 H), 10.35(s, 1 H): m/z 408 [M+H]+.
【0084】
(例54)
6−[2−[1−(1H−ピラゾール−5−イルメチル)−4−ピペリジル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物I−41)の調製
【0085】
【化44】
反応槽に、10g(0.029mol)の化合物II−5、3.4g(0.035mol)の1H−ピラゾール−5−カルバルデヒド、および150mlの無水メタノールを撹拌しながら加え、3.6ml(0.063mol)の酢酸を加え、30分間撹拌し、2.5g(0.040mol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加え、反応物を50〜60℃で6時間保持し、室温に冷却し、150mlの水を加え、反応混合物のpHを水酸化ナトリウムで8〜9に調節し、次いで、300mlの水を滴下で添加し、白色の固体を沈殿させ、濾過し、8.1gの化合物I−41を得た。1H NMR (DMSO-d6):δ1.09-1.21(m, 3 H), 1.33(t, 2 H, J = 7.1 Hz), 1.40(q, 2 H, J = 7.8 Hz), 1.57(t, 2 H, J = 7.5 Hz), 1.65(d, 2 H, J = 11.4 Hz), 1.89(t, 2 H, J = 10.8 Hz), 2.77(d, 2 H, J = 10.4 Hz), 3.12(t, 2 H, J = 7.6 Hz), 3.45(s, 2 H), 6.10(s, 3 H), 6.88(s, 1 H), 7.11(s, 1 H), 7.56(br s, 1 H), 12.58(br s, 1 H): m/z 395 [M+H]+.
【0086】
本発明による化合物の薬力学的スクリーニングを、下記の手順によって行った。
【0087】
I.インビトロの薬力学的スクリーニング
アセチルコリンエステラーゼに対する一連の式(I)の化合物の阻害効果を試験するための、修正エルマン法(Alvin V. et al. JWS-USC-75-IX Improves Information Processing and Cognitive Function in Animal Models [J]. Journal of Pharmacology and experimental therapeutics, 2010, 336( 3):751)を試験に用いて活性AchEIをスクリーニングし、これらの活性を酵素に対する一連の式(I)の化合物の阻害のIC50値によって評価した。試験結果を表1に示した。
【0088】
【表1】
【0089】
ドネペジルヒドロクロリド(DPH)をインビトロの薬力学的スクリーニング試験において陽性対照薬物として使用した、化合物I−1およびI−2は、酵素学レベルにおいて陽性対照薬物より僅かにより高い効力を有し、I−3、I−4、I−10、I−17、I−18、I−25、I−34、およびI−36は、陽性対照薬物より僅かにより低い効力を有し、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−11、I−19、I−20、I−21、I−23、I−29、I−33、I−35、I−37、およびI−41は、さらにより低く、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−22、I−24、I−26、I−27、I−28、I−30、I−31、I−32、I−38、I−39、およびI−40は、相対的低活性を有することを結果は示した。
【0090】
II.インビボの薬力学的スクリーニング
A.スコポラミンによって誘発されるマウスの学習および記憶障害に対する一連の式(I)の化合物の改善。
スコポラミンは、中枢性Mアセチルコリン受容体の競合的アンタゴニストであり、M1受容体およびM2受容体を遮断することができ、記憶障害をもたらし、老人性認知症のモデルとなる。ドネペジルヒドロクロリド(DPH)を陽性対照薬物として使用することによって、一連の式(I)の化合物の薬力学的スクリーニングを行った。モリス水迷路試験を、3〜5日間の投与の後動物に対して行った。
【0091】
試験材料:
1.試験動物:
雄のC57マウス、22±2g。動物を清浄レベルの動物室において適宜に明:暗サイクル(10時間/14時間)に供した。試験は1週間の順化の後に行なった。
2.試験機器:
モリス水迷路。
3.試験薬:
スコポラミン、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)、一連の式(I)の化合物。
【0092】
試験方法:
1.動物の群分けおよび投与レジメン:
正常群、スコポラミン基、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)群、および一連の式(I)の化合物の群を含めて、動物を群(1群毎に15匹の動物)に体重によって無作為に分けた。動物に胃内投与した(10ml/kg)。正常群およびモデル群に、等しい容量の溶媒を投与した。
【0093】
2.モリス水迷路試験:
2.1 試験方法および手順:
モリス水迷路は、円形プールならびに自動画像キャプチャおよび処理システムからなる。モニタリング装置は動物が水に入ったときに開始し、動作の経路を記録し、実験が完了した後、関連するパラメーターを分析し、自動的に報告した。
モリス水迷路における円形プールの内側の空間を、サイズが等しい4つの象限に分割した。プラットフォームを象限Iの中央に置き、プラットフォームの位置は挙動試験を通して変化させない。プラットフォームが水面1cm下に沈むように、適切な量の水を実験の1日前に加えた。プール中の水が乳白色となるように、食用の白色の着色剤(2g/L)を実験の前に加えた(プール中の水は、実験の間、毎日補給した)。実験の訓練段階は、毎日2回、5日間続いた。訓練の間、スコポラミン(1mg/kg)を訓練の30分前に腹腔内に注射した。マウスをプールに入れ、象限IIIにおいて壁に対面させ、マウスが水に入れられた後に隠れたプラットフォームを見つけ、その上に立つのに必要とされる時間を秒(S)として表す潜期として記録した。プラットフォームを見つけた後、マウスをプラットフォーム上に10秒間立たせた。マウスが水に入れられた60秒後にプラットフォームを見つけなかった場合、潜期は60秒として記録し、マウスをプラットフォーム上へと穏やかに引っ張り、10秒間立たせた。
【0094】
2.2 実験プロジェクト
1.空間定位試験:
これは、マウスが水迷路の学習および記憶を取得する能力の試験のために適用された。試験において、マウスがプラットフォームを見つけ、それに登るのに必要とする期間、およびロードマップを記録した、すなわち、潜期を記録した。
2.空間探索試験:
これは、マウスがどのようにプラットフォームを見出すかを学習した後で、マウスがプラットフォームの空間位置の記憶を保持する能力の試験のために適用された。空間探索試験が完了した後、プラットフォームを除去した。マウスを水中の同じ位置に入れ、マウスがプラットフォームの当初の位置に最初に達するのに必要とする期間、および当初のプラットフォームを横断する時間を記録した。
【0095】
2.3 脳組織の生化学的指標の決定:
挙動試験が完了した後、マウスを屠殺し、脳組織を集め(氷のプレート上で手術)、予め冷却した生理食塩水で10%の組織ホモジネートに調製し、遠心分離し(3000rpm、10分)、キットに従って、上清をマロンアルデヒド(MDA)アッセイに供した。
【0096】
試験結果:
(1)スコポラミンによって誘発される老人性認知症マウスモデルに対するI−17、I−18およびI−19の治療効果
試験を、正常群、スコポラミン(1mg/kg)群、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(5mg/kg)群、I−17(5mg/kg)群、I−18(5mg/kg)群、およびI−19(5mg/kg)群に分けた。モリス水迷路試験の試験結果を、表2において示した。
【0097】
【表2】
【0098】
モデル群と比較して、I−17は、動物がプラットフォーム上に登るための潜期を有意に短縮し、一方、動物がプラットフォームを横断する時間を増加させることを結果は示した。I−17は、スコポラミンによって誘発される動物の学習および記憶障害を改善させることができ、ドネペジルヒドロクロリド群より優れている。I−18およびI−19は、動物がプラットフォーム上へと登る潜期を短縮することができ、一方、動物がプラットフォームを横断する時間を増加させる。I−18およびI−19は、スコポラミンによって誘発される動物の学習および記憶障害を改善させることができる。
【0099】
(2)スコポラミンによって誘発される老人性認知症マウスモデルに対するI−3およびI−18の治療効果
試験を、正常群、スコポラミン(1mg/kg)群、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(5mg/kg)群、I−3(10mg/kg)群、I−3(5mg/kg)群、I−18(10mg/kg)群、およびI−18(5mg/kg)群に分けた。モリス水迷路試験の試験結果を、表3において示した。
【0100】
【表3】
モリス水迷路試験において、各群の潜期は、時間的に減少する傾向を有し、一方、モデル群と比較して、I−3群の潜期は有意に減少し、ドネペジルヒドロクロリド群に近く、またはドネペジルヒドロクロリド群より優れていたことを結果は示した。化合物I−3は、スコポラミンによって誘発されるマウスの学習および記憶障害を改善させる効力を有し得る。
【0101】
(3)スコポラミンによって誘発される老人性認知症マウスモデルに対するI−14、I−15、I−23およびI−29の治療効果
試験を、正常群、スコポラミン(1mg/kg)群、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(5mg/kg)群、I−14(5mg/kg)群、I−15(5mg/kg)群、I−23(5mg/kg)群、およびI−29(5mg/kg)群に分けた。モリス水迷路試験の試験結果を表4において示し、生化学的試験の結果を表5において示した。
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
モデル群と比較して、モリス水迷路試験において、各群がプラットフォームへと登る潜期は時間的に短くなり、特にI−29群についてのプラットフォームを横断する時間は、ドネペジルヒドロクロリド群より非常に長く、またはドネペジルヒドロクロリド群に近いことが多かったことを結果は示した。一方で、各群は、動物の脳におけるMDAの含量を低減させることができる。とりわけ、化合物I−29は有意な抗酸化効果を有し、スコポラミンによって誘発されるマウスの学習および記憶障害を改善させることに対して影響を有し得る。
【0105】
(4)スコポラミンによって誘発される老人性認知症マウスモデルに対するI−9およびI−17の治療効果
試験を、正常群、スコポラミン(1mg/kg)群、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(5mg/kg)群、I−9(10mg/kg)群、I−9(5mg/kg)群、I−17(10mg/kg)群、およびI−17(5mg/kg)群に分けた。モリス水迷路試験の試験結果を、表6において示した。
【0106】
【表6】
【0107】
モデル群と比較して、モリス水迷路の空間定位試験において、各群がプラットフォームへと登る潜期は、時間的に減少する傾向を有したことを結果は示した。I−17群(10mg/kg)の潜期は、ドネペジルヒドロクロリド群より優れており、有意な効果を有した。モリス水迷路空間探索試験において、I−9(10mg/kg)群、I−17(10mg/kg)群、およびI−17(5mg/kg)群の、プラットフォームを横断する時間は、ドネペジルヒドロクロリド群より長かった。モリス水迷路試験において、I−17(10mg/kg)群の動物がプラットフォーム上に登る潜期およびプラットフォームを横断する時間は、ドネペジルヒドロクロリド群よりも優れていた。化合物I−17は、スコポラミンによって誘発されるマウスの学習および記憶障害を改善させる効果を有した。
【0108】
B.Aβ1−42の側脳室内注射によって誘発されるマウスの学習および記憶障害に対する化合物I−29のヒドロクロリド(I−33)の改善。
Aβ1−42の側脳室内注射の後に誘発される学習および記憶障害のモデルは、化合物が学習および記憶を改善する効果を有するかどうかを評価するための最も一般の動物モデルである。この動物モデルは動物の学習能力および記憶機能を有意に破壊し、記憶に影響を与えるものであり、その機序は公知である、その結果は再現性があり、また別個の非特異的な影響を有さない。モリス水迷路試験、ならびにAβ1−42の側脳室内注射によって誘発される学習および記憶障害のモデルを本研究において用い、様々な濃度(0.7mg/Kg、3.5mg/Kg、および7mg/Kg)でのラットの学習および記憶に対するI−33の改善効果を評価した。
【0109】
試験材料および群分け:
1.試験動物:
SD、雄(220±20g)の動物を、清浄レベルの動物室において適宜に明:暗サイクル(12時間/12時間)に供した。試験は動物室における3日の順化の後に行なった。Aβ1−42は、明細の指示によって2μg/μlに配合した。
2.群分け
(1)正常群:生理食塩水の側脳室内注射
(2)Aβ1−42の側脳室内注射を伴うモデル群:Aβ1−42の側脳室内注射
(3)ドネペジルヒドロクロリド対照群:ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(3mg/Kg)+Aβ1−42の側脳室内注射
(4)I−33(低濃度群):I−33(0.7mg/Kg)+Aβ1−42の側脳室内注射
(5)I−33(中程度濃度群):I−33(3.5mg/Kg)+Aβ1−42の側脳室内注射
(6)I−33(高濃度群):I−33(7mg/Kg)+Aβ1−42の側脳室内注射
3.試験機器:ラットモリス水迷路機器、および脳定位固定装置。
4.試験試薬:Aβ1−42、ドネペジルヒドロクロリド(DPH)、およびI−33。
【0110】
試験方法:
SDラットを、正常対照群、Aβ1−42の側脳室内注射を伴うモデル群、陽性対照群(ドネペジルヒドロクロリド、3mg/Kg)、ならびに試験薬I−33群(0.7mg/kg、3.5mg/Kgおよび7mg/kgの群)に無作為に分けた。正常対照群における各ラットは、5μlの生理食塩水の側脳室内注射を受け、他の群における各ラットは、5μlのAβ1−42の側脳室内注射を受けた。手術の後、ラットは、1週間の回復期間の後、下記の試験を受けた。対応する溶媒を、定時に正常対照群、およびAβ1−42の側脳室内注射を伴うモデル群におけるラットに、毎日朝、胃内投与によって投与し、I−33群およびドネペジルヒドロクロリド対照群におけるラットに、体重によって対応する量の薬物を投与した。薬物を8日間投与し、水迷路試験のための訓練を5日目に開始し、水迷路試験を9日目に正式に開始した。
【0111】
試験結果:表7において示す通り。
(1)各群においてラットの遊泳速度の有意な統計的差異は存在せず、これはラットが同じ状態を有することを示す。
(2)ラットへのAβ1−42の側脳室内注射(10μg/ラット)の後、初めてプラットフォームに達するのに必要とされる期間(潜期)は有意に延長した。ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(3mg/Kg)は、Aβ1−42の効果と争うことができ、初めてプラットフォームに達するのに必要とされる期間を有意に短縮する。試験したI−33の様々な投与量の全ては、初めてプラットフォームに達するのに必要とされる期間(潜期)を有意に短縮することができる。
(3)ラットへのAβ1−42の側脳室内注射(10μg/ラット)の後、プラットフォームを横断する時間は有意に減少した。ドネペジルヒドロクロリド(DPH)(3mg/Kg)は、Aβ1−42の効果と争うことができ、プラットフォームを横断する時間を有意に増加させる。試験したI−33の様々な投与量の全ては、プラットフォームを横断する時間を有意に増加させることができる。
【0112】
【表7】
モリス水迷路において、試験したI−33の様々な投与量の全ては、Aβ1−42の側脳室内注射によって誘発されるラットの学習および記憶障害を有意に改善させることができ、投与量依存的であることを結果は示した。
【0113】
急性毒性試験
予備急性毒性試験を、Guiding Principles on Acute Toxicity Test Technic of Chemical Drugsを参照して、本発明による代表的な化合物(すなわち、化合物I−29)のヒドロクロリド(I−33)、および本発明による代表的な化合物(すなわち、化合物I−17)のヒドロクロリド(I−34)を試験するために白マウスに対して行った。
【0114】
試験方法:
第一に、正式な試験を開始する前に、各化合物の濃度を決定するために、ちょうど0%の死亡率またはちょうど100%の死亡率を伴う予備試験を行った。動物を体重によって群に分け、0%〜100%の間で様々な投与量の薬物を投与した。投与容量:10ml/kg。投与の様式:静脈内注射または胃内投与。
【0115】
A.ドネペジルヒドロクロリドの急性毒性試験
1.静脈内注射:
動物を、群毎に5匹の動物で6群に分けた。6群についての投与量は、それぞれ、4.00mg/kg、3.60mg/kg、3.24mg/kg、2.92mg/kg、2.62mg/kgおよび2.36mg/kgであった。各動物の尾静脈に1回注射し、1週間観察した。
2.胃内投与:
動物を、群毎に5匹の動物で6群に分けた。6群についての投与量は、それぞれ、64.80mg/kg、58.32mg/kg、42.51mg/kg、38.27mg/kg、34.44mg/kgおよび30.99mg/kgであった。各動物は投与の前12時間絶食させた。各動物に1回胃内投与をし、1週間観察した。
B.I−33の急性毒性試験
1.静脈内注射:
動物を、群毎に5匹の動物で6群に分けた。6群についての投与量は、それぞれ、50.00mg/kg、40.00mg/kg、32.00mg/kg、25.60mg/kg、20.48mg/kgおよび16.18mg/kgであった。各動物の尾静脈に1回注射し、1週間観察した。
2.胃内投与:
動物を、群毎に5匹の動物で6群に分けた。6群についての投与量は、それぞれ、500.00mg/kg、450.00mg/kg、295.25mg/kg、265.72mg/kg、239.15mg/kgおよび215.23mg/kgであった。各動物は投与の前12時間絶食させた。各動物に1回胃内投与をし、1週間観察した。
【0116】
C.I−34の急性毒性試験
1.静脈内注射:
動物を、群毎に5匹の動物で5群に分けた。5群についての投与量は、それぞれ、25.60mg/kg、23.04mg/kg、20.25mg/kg、18.23mg/kgおよび16.40mg/kgであった。各動物の尾静脈に1回注射し、1週間観察した。
【0117】
2.胃内投与:
動物を、群毎に5匹の動物で5群に分けた。5群についての投与量は、それぞれ、300.00mg/kg、240.00mg/kg、192.00mg/kg、153.60mg/kgおよび122.88mg/kgであった。各動物は投与の前12時間絶食させた。各動物に1回胃内投与をし、1週間観察した。
【0118】
観察される指標:
投与後の毒性反応および動物の死亡を観察し、死亡率を計数した。結果をLD50データ処理ソフトウェアで分析した。
【0119】
試験結果:表8において示す通り。
【表8】
【0120】
経口投与および静脈内投与によるI−33の半致死量は、それぞれ、ドネペジルヒドロクロリドの半致死量の8〜10倍であり、経口投与および静脈内投与によるI−34の半致死量は、それぞれ、ドネペジルヒドロクロリドの半致死量の4〜7倍であったことを予備試験の結果は示した。I−33およびI−34の両方はドネペジルヒドロクロリドより低い毒性を示し、より良好な安全性を有した。
【0121】
薬物動態についての研究
本発明による代表的な化合物(すなわち、化合物I−29)のヒドロクロリド(I−33)、およびそのホスフェート(phosephate)(I−35)の経口血漿薬物動態についての研究は、Guiding Principles on Preclinical Researches on Pharmacokineticsを参照して、ラットで行った。
【0122】
試験方法および結果:
それぞれ、ドネペジルヒドロクロリド投与群、I−35投与群、およびI−33投与群を含めて、様々な薬物をラットに経口的に投与した、投与量は5mg/kgであり、投与容量は10mL/kgであった。投与の0.083時間、0.167時間、0.333時間、0.666時間、1.0時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、6.0時間、8.0時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間および96時間後に、静脈血をラットの眼後方の静脈叢から集め、6匹のラットを各時点で使用した。対応する時点において0.3mlの全血を集め、ヘパリンで抗凝固剤処置し、4000rpmで10分間遠心分離し、血漿を分離し、ラットの50μLの血漿試料を集め、100μLのアセトニトリル(0.1%ギ酸を含有)を加え、ボルテックスしながら1分間混合し、10分間遠心分離し(12000rpm)、上清を集め、液体クロマトグラフィー−質量分析計で分析し、ピークの面積を記録して、血液薬物濃度の計算のために使用し、薬物−時間曲線をプロットした。一方で、これをChinese Pharmacological SocietyからのDAS2.0薬物動態ソフトウェアで自動的にフィットさせ、対応する薬物動態パラメーターを表9および図1において示した。
【0123】
【表9】
【0124】
同じ投与量で、ドネペジルヒドロクロリドと比較して、I−33およびI−35の吸収程度(AUC)およびピーク濃度(Cmax)は、ドネペジルヒドロクロリドの吸収程度(AUC)およびピーク濃度(Cmax)より有意に高かったことを結果は示した。
【0125】
結論として、本発明において提供した化合物の中で、I−1、I−2、I−4およびI−17またはそのヒドロクロリド(I−34)は、アセチルコリンエステラーゼに対してドネペジルヒドロクロリドと匹敵する阻害活性を有する。ドネペジルヒドロクロリドと比較して、モリス水迷路において、I−17およびI−29またはそのヒドロクロリド(I−33)は、学習および記憶を改善させるより強い効果を示し、より良好な効率性をインビボで示した。I−29またはそのヒドロクロリド(I−33)は、特に注目すべきであり、この化合物のアセチルコリンエステラーゼに対する阻害活性はインビトロで相対的に弱いのであるが(すなわち、ドネペジルヒドロクロリドの約10%)、ドネペジルヒドロクロリドより非常に高いインビボの効率性を有し、ドネペジルヒドロクロリドと比較してより強力な抗酸化効果を有することから、I−29の学習および記憶を改善させる効果はアセチルコリンエステラーゼに対するその効果に加えて、他の経路によって誘発し得ることを示す。別の刺激的な試験結果は以下である。白ラットに対する予備急性毒性試験において、I−29のヒドロクロリド(I−33)は、ドネペジルヒドロクロリドの毒性の10分の1までの非常により低い毒性示し、このようにこの化合物は大きい潜在力を有し、現行の薬物によってもらされる毒性および有害効果によってもたらされる疼痛を有意に低減させることができ、化合物I−29の有望な可能性を示す。
【0126】
本発明において記述した参考文献の全ては、それぞれの参考文献が別々に参照されることによって引用されるかのように、参照により引用される。本発明の上記の内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を行うことができ、このような同等物はまた、添付の特許請求の範囲において定義されているような本発明の範囲内にあることを認識されたい。
図1