特許第6113301号(P6113301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113301
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】シェーバー
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20170403BHJP
   B26B 21/52 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B26B21/14 C
   B26B21/14 A
   B26B21/52 C
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-548238(P2015-548238)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2016-500315(P2016-500315A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2012076807
(87)【国際公開番号】WO2014094909
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】507020417
【氏名又は名称】ビック・バイオレクス・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パナギオティス・ギアンノプロス
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリオス・エフシミアディス
(72)【発明者】
【氏名】パエドン・パパドポウロス−パパゲオルギス
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/157624(WO,A1)
【文献】 米国特許第04163316(US,A)
【文献】 特開2001−193886(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02461054(GB,A)
【文献】 特表2006−528015(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02507971(GB,A)
【文献】 特表平08−503399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B1/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長い握持部分と、取付部分(22)と、を有するハンドル(20)と、
前記取付部分(22)に回動可能に取り付けられたシェーバーヘッド(40)と、
取外可能なカートリッジ(60)であって、少なくとも1つの刃(63)を備え、且つ前記シェーバーヘッド(40)に取り付けられ且つ前記シェーバーヘッド(40)から取り外されるように構成された、カートリッジと、
前記シェーバーヘッド(40)上に設けられたバネ(45)であって、前記バネ(45)が、前記カートリッジ(60)を前記シェーバーヘッド(40)に取り付けるように構成され、前記バネ(45)が、ループを形成する少なくとも1つの部品を備え、且つ前記カートリッジを前記シェーバーヘッドに取り付けるために前記カートリッジ(60)に含まれるホルダ(65)と協働するように構成されている、バネ(45)と、
作動させられると前記ホルダ(65)と接触し且つ従って前記シェーバーヘッド(40)から前記カートリッジ(60)を解放するように構成されたプッシャ(31)と、
を備えることを特徴とするシェーバー。
【請求項2】
前記シェーバーヘッド(40)が、後部構造体(48)をさらに備え、前記バネ(45)が、前記シェーバーヘッド(40)の前記後部構造体(48)に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシェーバー。
【請求項3】
前記カートリッジ(60)が、シェービングの方向と垂直な方向に取り出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシェーバー。
【請求項4】
前記バネ(45)が、湾曲したワイヤから作られていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシェーバー。
【請求項5】
前記バネ(45)がΩ状であることを特徴とする請求項4に記載のシェーバー。
【請求項6】
前記バネ(45)が金属から作られていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシェーバー。
【請求項7】
前記シェーバーヘッド(40)が、底壁(46)及び保護部材(44)をさらに備え、前記保護部材(44)が、前記底壁(46)と隣り合って配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のシェーバー。
【請求項8】
記ホルダ(65)が、シリンダ状の本体の形態であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシェーバー。
【請求項9】
前記ホルダ(65)が、溝(65A)を備え、前記溝(65A)が、前記バネ(45)によって形成された前記ループと協働するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のシェーバー。
【請求項10】
前記ハンドル(20)が、回転ボタン(30)をさらに備え、前記回転ボタン(30)が、前記プッシャ(31)をさらに備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のシェーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取換可能なカートリッジを有するシェーバー、並びに当該シェーバーのためのカートリッジ、及びヘッド及びハンドル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
より具体的に、本発明は、
− シェーバーヘッドを保持するための取付部分で終わる長い本体を有するハンドルと、
− 取換可能なシェービングカートリッジを収容するように構成されたシェーバーヘッドと、
− 取換可能なシェービングカートリッジが装填され且つシェーバーヘッドから取り出されることを可能にするためのロック及び解放機構と、
− 1つ以上の刃を含む取換可能なカートリッジと、
を備えるシェーバーに関する。
【0003】
このようなシェーバーは、1つ以上の刃がすり減ったときに使用者がカートリッジを交換することを可能にする一方で、ハンドル及びシェーバーヘッドは、そのまま再使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2195145号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
取換可能な刃付きカートリッジ、例えば特許文献1に開示されるカートリッジをシェーバーヘッドから取り除くことは、通常、使用者がカートリッジを実際に動かすためにカートリッジを押すか又は引くことを必要とする。これは、カートリッジを交換するために、使用者が自身の指によってカートリッジに接触する必要があることを意味する。従って、使用者のけがのリスクが増大される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
長い握持部分と、取付部分と、を有するハンドルと、取付部分に回動可能に取り付けられたシェーバーヘッドと、少なくとも1つの刃を備える取外可能なカートリッジであって、シェーバーヘッドに取り付けられ且つシェーバーヘッドから取り外されるように構成された、カートリッジと、シェーバーヘッドからカートリッジを解放するためにカートリッジと接触するように構成されたプッシャと、シェーバーヘッド上に設けられたバネであって、カートリッジをシェーバーヘッドに取り付けるように構成された、バネと、を備えるシェーバーであって、バネが、ループを形成する少なくとも1つの部品を備えている、シェーバーが提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、シェーバーは、以下の特徴の1つ以上を使用してもよい:
− シェーバーヘッドが、後部構造体をさらに備え、バネが、シェーバーヘッドの後部構造体に取り付けられている、
− カートリッジが、シェービングの方向と垂直な方向に取り出される、
− バネが、湾曲したワイヤから作られている、
− バネがΩ状である、
− バネが金属から作られている、
− シェーバーヘッドが、底壁及び保護部材をさらに備え、保護部材が、底壁と隣り合って配置されている、
− カートリッジが、ホルダを備え、ホルダが、シリンダ状の本体の形態で設けられ、バネと協働するように構成されている、
− ホルダが、溝を備え、溝が、バネによって形成されたループと協働するように構成されている、
− ハンドルが、回転ボタンを備え、ボタンが、プッシャをさらに備え、プッシャが、カートリッジのホルダと接触し且つ従ってシェーバーヘッドからカートリッジを解放するように構成されている。
【0008】
本発明の別の側面では、ホルダを備えるカートリッジであって、ホルダが、シリンダ状の本体の形態で設けられている、カートリッジが提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、以下の特徴の1つ以上を使用してもよい:
− ホルダが、溝をさらに備えている、
− カートリッジが、少なくとも1つの刃を備え、少なくとも1つの刃が運動可能に取り付けられている、
− カートリッジが、頂壁と、シェービング補助部と、をさらに備え、シェービング補助部が、頂壁内に配置されている。
【0010】
本発明の別の側面では、長い握持部分と、取付部分と、を有するハンドルと、取付部分に回動可能に取り付けられたシェーバーヘッドであって、カートリッジを受容するように構成された、シェーバーヘッドと、シェーバーヘッド上に設けられたバネであって、カートリッジをシェーバーヘッドに取り付けるように構成された、バネと、を備えるヘッド及びハンドル組立体であって、バネが、ループを形成する少なくとも1つの部品を備えている、ヘッド及びハンドル組立体が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ヘッド及びハンドル組立体は、以下の特徴の1つ以上を使用してもよい:
シェーバーヘッドが、後部構造体をさらに備え、板バネが、後部構造体に取り付けられている、
バネが湾曲したワイヤから作られ、バネがΩ形状である。
【0012】
これらの特徴により、カートリッジがシェーバーヘッドから取り外されるとき、カートリッジは、シェーバーヘッドからより容易に取り出される。使用者は、カートリッジを押すか又は引く必要がなく、使用者のけがのリスクは、小さくなる。さらに、シェーバーヘッド全体を交換する代わりに、刃がすり減ったときにはカートリッジのみが交換されるので、このようなシェーバーのコストは、下げられたままである。さらに、カートリッジのみが交換されるので、シェーバーは、製造することが容易であり、また、交換される(捨てられる)材料が減少されるので、より環境にやさしくなる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、長い握持部分と、取付部分と、を有するハンドルと、取付部分に回動可能に取り付けられたシェーバーヘッドと、取外可能なカートリッジであって、少なくとも1つの刃を備え、且つシェーバーヘッドに取り付けられ且つシェーバーヘッドから取り外されるように構成された、カートリッジと、回動軸と平行な軸周りで回転させられるように構成されたボタンと、を備えるシェーバーであって、ボタンが、回転させられるときに、シェーバーヘッドからカートリッジを取り外すことを容易にする、シェーバーが提供される。
【0014】
いくつかの実施形態では、シェーバーは、以下の特徴の1つ以上を使用してもよい:
− シェーバーが、カムフォロワを備え、カムフォロワが、回動軸と平行な軸周りで回転させられるように構成され、且つシェーバーヘッドが回動させられるときにシェーバーヘッドのために復帰力を提供する、
− ボタンが、プッシャを備え、プッシャが、シェーバーヘッドからカートリッジを取り外すように構成されている、
− カートリッジが、ホルダを備え、ホルダが、シェーバーヘッドにカートリッジを取り付け、プッシャが、カートリッジをシェーバーヘッドから取り外すためにホルダと接触する、
− シェーバーが、板バネを備え、板バネが、ボタン及び/又はカムフォロワに対して復帰力を提供するように構成された、
− 板バネが、ベース部分、一対の外側枝部及び中央枝部を備えている、
− 板バネの外側枝部が、ボタンに対する復帰力を提供するためにボタンと協働する、
− 板バネの中央枝部が、カムフォロワに対して復帰力を提供するためにカムフォロワと協働する、
− 板バネの枝部が、上方に曲げられた端部を有する、
− 板バネが金属から作られている、
− ボタンが、ボタンをハンドルに取り付ける一対の脚部を備えている、
− カムフォロワが、ボタンの脚部の間に収容される、
− シェーバーヘッドが、バネをさらに備え、バネが、カートリッジをシェーバーヘッドに取り付けるように構成されている、
− バネがΩ状である、
− カートリッジが、シェービングの方向と垂直な方向に取り出される。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の1つ及び添付の図面の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】前側から見た、本発明の一実施形態によるシェーバーの全体図を示す。
図1b】後側からの図1のシェーバーの全体図を示す。
図1c】シェーバーヘッドが中立位置にある、線Icに沿った図1のシェーバーの断面図を示す。
図1d】シェーバーヘッドが中立位置にあり且つボタンが回転させられた、線Icに沿った図1のシェーバーの断面図を示す。
図1e】シェーバーヘッドが回転位置にある、線Icに沿った図1のシェーバーの断面図を示す。
図2a】一方向から見た、図1のシェーバーのハンドルのヘッド取付機構の分解斜視図を示す。
図2b図2aとは別の方向から見た、図1のシェーバーのハンドルのヘッド取付機構の分解斜視図を示す。
図2c】ヘッド取付機構の分解平面図である。
図2d】ヘッド取付機構の分解側面図である。
図3a】後方から見た、図1のシェーバーのシェーバーヘッド及びカートリッジを示す。
図3b】カートリッジが挿入されたシェーバーヘッドの断面図を示す。
図4】カートリッジの詳細な側面図を示す。
図5a】シェーバーヘッドの正面図である。
図5b】シェーバーヘッドの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
さまざま図において、同じ参照符号は、同様の又は類似する要素を示す。
【0018】
図1aから図1cは、本発明によるシェーバーの一実施例を示す。シェーバーは、ハンドル20と、シェーバーヘッド40と、1つ以上の刃63を収容するカートリッジ60と、を備える。図に示される実施例では、4つの刃がある。しかしながら、カートリッジは、より多いか又はより少ない刃を使用してもよい。
【0019】
カートリッジ60(図3a及び図4)は、頂壁61と、2つの側壁62と、底壁67と、後部構造体(図4参照)と、を有するフレームとして形成される。頂壁61及び底壁67は、長くされ、且つ側壁62によって接続されている。カートリッジ60のフレームは、プラスチックから成形され;好ましくは、フレームは、一体部品である。刃63は、頂壁61及び底壁67と平行に側壁62の間で延在している。刃63は、曲げられたシート金属から作られるか、又は、好ましくは、それらは、直線形であり且つ刃支持体63Aにより支持されてもよい。そして、刃63及び/又は刃支持体63Aは、側壁62内に設けられたシート63B内に収容されている。さらに、刃は、例えば運動可能に構成されてもよい。側壁62には、刃63と平行な方向にカートリッジフレームの内部に向かって延在し且つ刃63を運動可能に支持する弾性指64が設けられている。刃63は、一対の曲げられた金属ストリップ66によってカートリッジ60内に保持され、金属ストリップ66は、刃63の端部を取り囲み、従ってブレードを所定位置に保持する。刃の数は、例えば4である。頂壁61では、刃の縁部によって画成された平面に通常位置するシェービング補助部61Aが設けられている。他の実施形態では、刃は、固定されてもよい。
【0020】
ハンドル20は、長い握持部分(図示せず)を有し、握持部分には、使用者の把持を強化し且つ滑りを防止するのに役立つ機構、例えばリブ、ペグ、弾性部分などが設けられてもよい。ハンドル20は、好ましくは、プラスチック材料から成形される。ハンドル20は、図2に示されるように、ハンドルから延在する2つのヨーク21において終わる。ヨーク21は、シェルベアリング22の形態で設けられた取付部分で終端する。シェルベアリング22は、シェーバーヘッド40上に設けられた相補的凹所41と協働する。シェルベアリング22及び相補的凹所41は、協働して、シェーバーヘッド40が刃63の長さと平行な軸周りに回動することを可能にする。あるいは、シェルベアリング22は、ヒンジ、ピン又は他の回動手段によって置換されてもよい。
【0021】
ヨーク21は、(後述される)ボタン30を収容するキャビティ25をさらに画成する。キャビティ25は、ヨーク21の間に配置された間隙23をさらに備えている。間隙23は、カムフォロワ24を収容する。
【0022】
図2aから図2dに示される一実施形態では、カムフォロワ24は、シリンダのような本体を備えている。シリンダのような本体は、回転軸を規定する。回転軸は、シェルベアリング22によって規定される回動軸と平行である。回転軸の方向では、一対のペグ24Bがシリンダ状の本体の対向する基部から突出している。回転軸と全体として垂直な平面では、嘴状突起24Aが突出している。嘴状突起24Aは、好ましくは、凸状突出部を形成するために曲げられる。カムフォロワ24がハンドル20に取り付けられると、嘴状突起24Aは、シェービング面に向かって突出し、且つシェーバーヘッド40に向かって上方に曲げられる。嘴状突起24Aは、シェーバー40の後壁上に設けられた載置部43と協働し、従って、シェーバーヘッド40が中立位置へ復帰することを可能にする。カムフォロワ24のシリンダのような本体は、凹所24Cをさらに備えている。凹所24Cは、板バネ36を収容する。板バネ36は、カムフォロワ24のための復帰力を提供するように構成され、従ってシェーバーヘッド40を中立位置へ復帰させることを容易にする。
【0023】
板バネ36は、図2aから図2dで示されるように、全体としてE字状の本体の形態で設けられている。板バネ36は、基部部分36Cによって相互接続された3つの枝部36B,36A,36Bを備えている。外側枝部36Bには、長い端部が設けられ、端部は、基部部分36Cに対しておよそ90°曲げられ;好ましくは、角度は、90°よりも小さいが80°よりも大きい。従って、枝部36Bは、略L字状である。中央枝部36Aは、外側枝部36Bと同じ方向に曲げられる。好ましくは、中央枝部が曲げられる角度は、鈍角である。好ましくは、中央枝部36Aは、外側枝部36Bよりも短い。板バネ36は、中央枝部36Aが凹所24C内に配置されるように配置される。図1c及び図1eの一実施例は、それぞれ中立位置及び回転位置にあるヘッド40及びカムフォロワ24の位置を示す。この実施例では、ヘッド40が回転させられると、カムフォロワ24の嘴状突起24Aが、ボタン30から離れる方向に下方に動かされ、板バネ36の中央枝部36Aは、キャビティ24Cの底壁によってボタンに向かう方向に上方に曲げられ、従って圧力を受ける。力が取り除かれると、板バネ36の中央枝部36Aは、カムフォロワ24のための復帰力を提供する。
【0024】
板バネ36がキャビティ25内に挿入されると、板バネは一対のリブ35によって所定位置に保持される。リブ35は、キャビティ25の内部に突出し、且つ好ましくは、キャビティ25の底部と隣り合って配置されている。リブ35は、板バネ36の外側枝部36Bと少なくとも部分的に重なり、従ってキャビティ25の内部に板バネ36を保持する。板バネ36は、好ましくは、金属から作られる。板バネ36は、任意の適切な材料、例えばプラスチック又は弾性特性を有する材料から作られてもよい。
【0025】
シェーバーヘッド40の一実施例は、図3a、図3b、図5a及び図5bに示されている。シェーバーヘッドは、前壁44、後部構造体48、底壁46及び側壁42を備えている。前壁44は、好ましくはエラストマー材料で作られた、皮膚係合要素又は保護部を含んでもよい。後壁43は、ハンドル20の端部に配置されたシェルベアリング22を収容する凹所41を備えている。後部構造体48は、カムフォロワ24と協働する載置部43を備えている。
【0026】
シェーバーヘッド40は、カートリッジ60を収容することができる台座を形成している(このような台座の詳細は図5aに示される)。カートリッジ60は、好ましくは、シェービング面と垂直な方向から挿入される。
【0027】
カートリッジ60がシェーバーヘッド40内に挿入されると、カートリッジはシェーバーヘッド40の後部構造体48内に配置されたバネ45と接触する。バネ45は、図3a及び図3bで見ることができる。図に示される実施例では、バネ45はΩ状である。バネ45は、終端部分45A及びスナップフィット部分45Bを備えている。
【0028】
シェーバーヘッド40の後部構造体48は、バネ45を所定位置に保持するように構成された保持部分を備えている。図に示される一実施例では、保持部分は、上側ホルダ48A及び一対の下側ホルダ48Bを備えている。ホルダ48A,48Bは、シェービング面から離れる方向にシェーバーヘッド40から突出するフック状突出部として設けられる。ホルダ48A,48Bは、好ましくは、バネ45の動きが最小化されるようにバネ45を保持する。バネ45の終端部分45Aは、下側ホルダ48B内に挿入される。スナップフィット部分45Bは、上側ホルダ48A内に挿入される。
【0029】
シェーバーヘッド45の後部構造体48は、開口部48Cをさらに備えている。開口部48Cは、好ましくは、ホルダ48A,48Bの間に配置され、このため、バネ45がホルダ48A,48B内に挿入されると、バネ45及び開口部48Cはそれらが通路を形成するように整列される。
【0030】
下側ホルダ48Bの間に、カムフォロワ24のための載置部43が配置されてもよい。
【0031】
カートリッジ60の後部構造体には、バネ45のスナップフィット部分45Bによって接触することができるホルダ65が設けられる。ホルダの一実施例は、図3a,図3b及び図4に示される。ホルダ65は、好ましくは、シェービング面から離れる方向にカートリッジ60から突出する。ホルダ65は、好ましくは、シリンダ状の本体として設けられている。シリンダ状の本体は、好ましくは、円形断面を有している。あるいは、シリンダ状の本体は、任意の適切な形状の断面、例えば矩形、三角形、楕円などの断面を有してもよい。シリンダ状の本体は、材料を節約し且つホルダ65の弾性も向上させるために、中空で設けられてもよい。ホルダ65には、好ましくは、溝65Aが設けられる。溝は、好ましくは、ホルダ65の長さの1/3から1/2に配置される。
【0032】
カートリッジ60が挿入されると、ホルダ65は、バネ45のスナップフィット部分45Bによって接触され、バネ45のスナップフィット部分45Bは、カートリッジ60のホルダ65を掴み、従ってカートリッジ60は、シェーバーヘッド40内のその台座に保持される。シェーバーヘッド40上に設けられた台座がカートリッジ60の全長に沿って伸びるので、カートリッジの望ましくない回転は減少される。
【0033】
バネ45は、好ましくは、金属から作られ、従って弾性を有し、容易に破壊されない。しかしながら、バネ45は、任意の他の適切な弾性材料で作られてもよい。
【0034】
カートリッジ60がシェーバーヘッド40内に挿入されると、カートリッジ60は、好ましくは、シェーバーヘッド40に対するいかなる運動も行わない。シェーバーヘッド40は、ハンドル20に回動可能に取り付けられ;好ましくは、回動手段22,41は、カートリッジ60上ではなく、シェーバーヘッド40及びハンドル20上に設けられる。
【0035】
シェーバーヘッド40上に設けられたバネ45と、カートリッジ60上に設けられたホルダ65と、を使用する上述した機構は、いくつかの利点をもたらす。交換される構成要素がカートリッジ60のみであり、カートリッジは、それ自体がいかなる追加的な機構(例えば回動手段など)も持っていない。従って、カートリッジ60の価格は、下げられ、カートリッジの製造プロセスは、簡略化される;シェーバーヘッド40及びハンドル20は交換されないので、それらはより丈夫に製造される一方で、価格をリーズナブルに保つ。特に、ハンドル20に対するシェーバーヘッド40の回動取付を保証するために設けられる手段は、より信頼性を有するように形成されてもよい。さらに、スナップフィット機構は、製造及び操作双方が容易である。さらに、1つのみのバネ45が設けられ、このことは、コストをさらに減少させる。
【0036】
また、シェーバーヘッド40と隣り合うハンドル20の頂部には、ボタン30が設けられる。ボタン30の一実施例は、図1b、図1c及び図2aから図2dで見ることができる。ボタン30は、前端部30A及び後端部30Bを有する全体として箱状の本体の形態で設けられる。プッシャ31が前端部30Aから突出する。プッシャ31は、全体として、シェービング面の方向に突出する。
【0037】
2組のアーム33,34が、ボタン30の本体からハンドル20に向かって突出している。前方アーム33は、ボタン30の前端部30Aに配置されている。後方アーム34は、ボタン30の後端部30Bに配置されている。ペグ33Aが、前方アーム33の端部に配置されている。ペグ33Aは、好ましくは、前方アーム33から外側に突出している。また、前方アーム33の端部は、凹所33Bを備えている。凹所33Bは、カムフォロワ24上に設けられたペグ24Bを収容するように構成されている。
【0038】
ボタン30は、回転させられるように構成される。ボタン30の回転を容易にするために、ハンドル20のヨーク21の間に形成されたキャビティ25には、一対の凹所26が設けられている。凹所26は、キャビティ25の壁において対称的に配置されている。凹所26は、ボタン3のアーム33上に設けられたペグ33Aを収容する。ペグ33Aが凹所26内に挿入されると、ボタン30は、ペグ33Aによって規定された軸周りに回転することができる。
【0039】
ボタン30が回転後にその初期位置に復帰されることを保証するために、板バネ36が設けられる。板バネ36は、キャビティ25内に配置されている。板バネ36は、枝部36B,36A,36Bがシェービング面に向かって延在するように配置されている。外側枝部36Bの長い端部は、ボタン30に向かって上方に曲げられる。外側枝部36Bは、ボタン30の前方アーム33の前面33Cに面して配置される。ボタン30が(図1dに示されるように)回転させられると、板バネ36の長い枝部36Bは、圧力を受ける。ボタン30を回転させる力が取り除かれると、長い枝部36Bはボタン30をその初期位置に復帰させる。また、ボタン30は、ボタン30がその初期位置の後方へさらに動かされないことを保証する後方アーム34を備える。
【0040】
また、板バネ36は、カムフォロワ24のための復帰力を提供する。図に示される実施形態では、カムフォロワ24は、ボタン30の前方アーム33の間に形成されたスペース内に挿入される。カムフォロワ24のペグ24Bは、ボタン30の前方アーム33の凹所33B内に収容され、従ってカムフォロワを回転することを可能にする。そして、板バネ36が、その中央枝部36Aをカムフォロワ24の凹所24C内に挿入するために配置される。カムフォロワ24が回転させられると、凹所24Cの壁は、板バネ36の中央枝部36Aを曲げる。カムフォロワ24を回転させる力が取り除かれると、板バネ36の中央枝部36Aは、カムフォロワ24のための復帰力を提供する。
【0041】
ボタン30は、指載置範囲32をさらに備える。使用者がシェーバーヘッド40からカートリッジ60を係合解除したい場合、使用者はボタン30を押す。圧力を受けて、ボタン30は回転する。ボタン30が(図1dで見ることができるように)回転させられると、プッシャ31はカートリッジ60のホルダ65と接触してホルダ65を押す。プッシャ31がホルダ65を押すと、溝65Aはバネ45のスナップフィット部分45Bから係合解除され、従ってカートリッジ65は係合解除される。このように、使用者は、自身の指によってカートリッジ60に触れる必要がなく、そして、刃63により使用者の指を切るリスクは減少される。
【0042】
上述した機構は、いくつかの利点をもたらす。ボタン30及びカムフォロワ24は簡素化され、必要とされる部品の数は減少される。従って、信頼性は増大し、組立プロセスは簡素化され、且つコストは減少される。ボタン30の回転運動は容易に達成され、従ってボタン30の動作は簡素化される。カートリッジ60が係合解除されるときに、ヨーク21は動かされず、このことはヨークの過負荷及び続く損傷を防止することに役立つ。ボタン30が押されるときにカムフォロワ24が動かず、従ってカムフォロワ24の過負荷が減少させられ、信頼性が増大する。さらに、ボタン30の回転運動を使用する場合、より正確な位置、すなわちカートリッジ60が取り付けられるときの位置への解放力を付与することが可能であり、従ってボタン30のより高い効率を可能にする。実際には、当該技術分野で公知のシェーバー、特にワンウェイ回動シェーバーでは、回動軸は、通常、おおよそカートリッジの第1の刃の位置に位置付けられる。ハンドルの位置及び回動位置は、スライドボタンが使用される場合にボタンの十分な押圧力を支持しない対立ベクトル関係を引き起こす。回転ボタン30を使用することによって、押圧/解放力の付与は、最適な位置に近づける。従って、解放ボタン機能の効率は向上される。
【0043】
カムフォロワ24又はボタン30が係合解除することを防止するために、カムフォロワ24のペグ24Bと、ボタンのペグ33Aと、は矩形形状で設けられる。このように、ペグ24B及び33Aは凹所33B及び36内にそれぞれ挿入されるが、ハンドル20のすべての機構がともに組み立てられたときに偶発的な係合解除を防止する。
【0044】
さらに、ハンドル20の構成要素、例えばボタン30及びカムフォロワ24がともに組み立てられるときに、それらは、ヨーク21が偶発的にともに近づくように動かされることを防止する。ヨーク21がともに近づくように動かされることができない場合、全体としてシェーバーヘッドを偶発的に解放するヨークのリスクは、減少させられ、従って使用者のけがのリスクを減少させる。
【符号の説明】
【0045】
20 ハンドル、22 取付部分、30 回転ボタン、31 プッシャ、40 シェーバーヘッド、44 保護部材、45 バネ、46 底壁、48 後部構造体、60 カートリッジ、61 頂壁、61A シェービング補助部、63 刃、65 ホルダ、65A 溝
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5a
図5b