(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
建築物内には、一般に給水や給湯等を行なうべく水や湯等の流体を流通させることが可能な様々な配管設備が設置される。この配管設備の設計および設置工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となる。ところが、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業等に工期の大部分が費やされることが多いため、現実には、残された短い期間の中で配管設備の設置工事を行なうことを要求されることが多い。
【0003】
そこで、従来から各種配管の接続構造について各種提案されている。たとえば、実開平3−130488号公報には、管と、この管を受ける継手管との接続構造が記載されている。管の端部には係止溝が形成されており、継手管には係止溝に対応する部分に開口部が形成されている。そして、コ字状外れ止めピンが、継手管の開口部から挿入され、管の係止溝と係合することで、管と継手管とが接続されている。
【0004】
さらに、この実開平3−130488号公報には、継手管の開口部および管の係止溝とに係合する止め具として、継手管の各開口部に挿入される爪部を有する環状の止め具が記載されている。そして、各爪部が継手管の各開口部および管の係止溝に係合することで、継手管と管とが接続されている。
【0005】
特許第4236033号公報に記載された継手機構は、円筒状の継手本体と、リング状線材の一部を切欠した形状のストッパ部材と、継手本体の内側に挿入される被接続管と、この被接続管の挿入先端付近の外周に取り付けられるOリングとを備えている。そして、継手本体の内周壁には、ストッパ部材の外周側縁部が収納される外側リング溝が形成され、この外側リング溝が形成された継手本体には、ストッパ部材導入口が形成されている。
【0006】
このストッパ部材導入口は、ストッパ部材の線材の太さ寸法より広幅に形成されている。さらに、被接続管のOリング取り付け位置よりも、挿入先端側から離れた被接続管の外周壁位置には、ストッパ部材の内周側縁部を収納する内側リング溝が形成されている。この内側リング溝の幅寸法は、ストッパ部材の線材の太さ寸法より広幅に形成されている。ストッパ部材は、対向両端部がわずかに芯ずれするように螺旋ねじりを加えた状態で継手本体の外周面に装着されている。なお、この継手構造と同様の継手構造は、特開2007−270930号公報および特開2004−239289号公報にも提案されている。
【0007】
特開2008−106920号公報に記載された管継手は、雌型部材、及び、該雌型部材に挿入連結される雄型部材を備える。雌型部材は、筒状の雌型本体を有する。該雌型本体は、その先端側に雄型部材受入部を、また、後端側に導管接続部を有する。
【0008】
雄型部材受入部には、その半径方向で貫通する施錠子孔が、当該雄型部材受入部の周方向で所定間隔離して複数設けられている。該施錠子孔内には球形の施錠子が設定され、半径方向で変位可能とされている。
【0009】
雄型部材受入部の外周にはスリーブが取り付けられている。該スリーブは、施錠位置と、施錠解除位置との間を軸線方向で変位可能にされている。
【0010】
そして、スリーブは、施錠位置においては、施錠子を半径方向内向きに押圧して、施錠子を雌型本体の内周面から部分的に突出した状態とし、施錠解除位置では、施錠子への押圧を解除し、施錠子が施錠子孔内で半径方向外側に変位可能にするようになっている。
【0011】
雄型部材は、筒状の雄型本体を有する。雄型本体は、その先端から後端に向けて延び雌型本体の雄型部材受入部内に挿入されるようにした挿入部が形成されており、この挿入部には、該挿入部が雄型部材受入部内に挿入されたときに、施錠子と半径方向で整合して、施錠子を受け入れる環状の施錠凹部が形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
図1から
図8を用いて、実施の形態1に係るプレファブ管(管部)の接続構造について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る管部接続構造200を備える配管ユニット500の一部を断面視した側面図である。
【0029】
この
図1に示すように、配管ユニット500は、管部接続構造200によって複数のプレファブ管(管部)100,103が互いに接続されることで構成されている。なお、このように複数のプレファブ管によって構築された配管ユニット500は、たとえば、建設物内に収容され、給水配管設備や給湯配管設備として用いられたりする。
【0030】
図2は、管部接続構造200の一部を断面視した側面図であり、
図3は、管部接続構造200の一部を断面視した正面図である。この
図2および
図3に示すように、管部接続構造200は、プレファブ管本体101およびプレファブ管本体101の端部に設けられた拡径部102を有するプレファブ管100(受口)と、開口端部111が拡径部102内に挿入されるプレファブ管103(差口)とを接続している。
【0031】
拡径部102の内表面の径は、プレファブ管本体101の内表面の径よりも大きくなっている。そして、プレファブ管103のうち、開口端部111側の端部は、拡径部102内に挿入されている。拡径部102の内径は、プレファブ管本体101の内径よりも大きいため、拡径部102とプレファブ管本体101との間には、段差部(ストッパ)108が形成されている。
【0032】
段差部108の内径は、プレファブ管103の開口端部111の外径よりも小さく、プレファブ管103が拡径部102内に挿入されると、段差部108には、プレファブ管103の開口端部111が当接し、プレファブ管100とプレファブ管本体101との相対的な位置決めがなされる。
【0033】
拡径部102の内周面には、拡径部102の周方向に沿って延びる環状の第1環状溝部112(以下、単に環状溝部112という)が形成されている。プレファブ管103が拡径部102に挿入された状態において、プレファブ管103の外周面には、環状溝部112と径方向に対向する部分に第2環状溝部104(以下、単に環状溝部104という)が形成されている。
【0034】
そして、
図3に示すように、環状溝部112と環状溝部104とが径方向に配列することで、環状に延びる挿入通路115が形成される。拡径部102には、拡径部102の外周面から挿入通路115に達し、挿入通路115に連通する挿入孔114が形成されている。この挿入孔114および挿入通路115内には、連結部材140が挿入されている。挿入孔114の孔軸は、拡径部102の接線方向に沿っている。
【0035】
図4は、拡径部102の側断面図である。この
図4に示すように、拡径部102の内周面のうち、環状溝部112に対して開口端部113と反対側に位置する部分には、環状に延びるシール収容溝110が形成されている。そして、このシール収容溝110内には、
図2に示すようにシール部材107が収容されている。
【0036】
シール部材107は、環状に形成されており、シール部材107は、拡径部102内に挿入されたプレファブ管103の外周面と接触することで、プレファブ管100,103内を流れる液体等が、プレファブ管100とプレファブ管103との間から外部に漏れることを抑制している。
【0037】
さらに、拡径部102の厚さt1は、
図2に示すプレファブ管本体101の厚さt2よりも厚く、拡径部102の剛性は、プレファブ管本体101よりも高くなっている。
【0038】
図5は、
図4のV−V線における拡径部102の断面図であり、この
図5に示すように、拡径部102には、拡径部102の外周面から環状溝部112に達する挿入孔114が形成されている。挿入孔114には、段差部121と、この段差部121より環状溝部112側に位置する内周面に形成された嵌合部120と、この嵌合部120から環状溝部112に向けて延び、環状溝部112に達する連通路122とを備えている。
【0039】
図6は、プレファブ管103の断面図であり、この
図6に示すように、環状溝部104は半円弧状に形成されている。
【0040】
図7は、連結部材140の側面図である。この
図7に示すように、連結部材140は、把持部141と、固定部142と、スプリングコイル145とを含んでいる。把持部141と固定部142とは互いに、連接されており、かつ中空状に形成されている。スプリングコイル145は、一方の端部が把持部141および固定部142の中空部に通されてこれらに固定されている。
【0041】
固定部142は、把持部141と、この把持部141に連接された筒状の筒部143とを有している。スプリングコイル145の一方の端部は、筒部143に設けられている中空部を通って把持部141に接続されている。把持部141および固定部142を構成する材料は、任意の材料とすればよく、たとえば樹脂である。固定部142とスプリングコイル145の一方の端部145aとは、たとえば一体成形されている。このようにすれば、把持部141および固定部142とスプリングコイル145とをたとえば溶接などにより接続する場合を比べて、把持部141および固定部142とスプリングコイル145との接続強度を高めることができる。
【0042】
固定部142において、筒部143の外周面において嵌合部120と対向する部分には、スプリングコイル145の全体が挿入通路115内に挿入されたとき(言い換えると固定部142が挿入孔114内に挿入されたとき)に挿入孔114の内周面に向けて突出した凸部144をさらに有している。このとき、凸部144の筒部143の外周面に垂直な方向における外外周面から端部までの長さ(高さ)は、固定部142が挿入孔114内に挿入されたときの挿入孔114の内周面と筒部143の外周面との距離よりも長く設けられている。また、凸部144を構成する材料は、たとえばゴムやポリウレタンなどの可撓性を有する樹脂である。そのため、固定部142が挿入孔114内に挿入されたときに、凸部144は挿入孔114の内周面と接触しこれを押圧することができる。つまり、固定部142と挿入孔114との接触部には所定の抗力を作用させることができる。そのため、連結部材140は、挿入孔114および挿入通路115内に挿入された状態を凸部144により保持され得る。
【0043】
スプリングコイル145は、軸方向における長さが拡径部102の周方向における環状溝部104の長さと同等以上となるように設けられている。スプリングコイル145は、スプリングコイル145の線径d(
図7参照)と、スプリングコイル145の外径D(
図7参照)としたときに、バネ係数(D−d)/dが3以上3.3以下となるように設けられている。なお、スプリングコイル145の外径Dとは、スプリングコイル145において外径が一定に設けられている領域における外径をいう(詳細は後述する)。
【0044】
スプリングコイル145は、把持部141および固定部142と一体成形されている一方の端部145aと、当該端部145aの反対側に位置する他方の端部145bとを有している。スプリングコイル145は、他方の端部145bにおいて、スプリングコイル145の延在する軸方向における先端部に向かうまで軸方向に垂直な方向における幅(外径)が小さくなっている。言い換えると、スプリングコイル145の外径は、当該他方の端部145bにおいて先端部に向かって先細りとなるように形成されているが、それ以外(把持部141および固定部142と一体成形されている一方の端部145aから他方の端部145bに至るまで)の領域においては一定に設けられている。スプリングコイル145をこのような先細り構造とすれば、連結部材140を挿入通路115に容易に挿入することができる。
【0045】
このような構成を有する連結部材140は、自然状態(外部から負荷が加えられていない無負荷状態)で直線状に延びるように形成されているとともに、湾曲するように変形可能となっている。
【0046】
プレファブ管103とプレファブ管100とを接続する際には、プレファブ管103の一方の端部をプレファブ管100の拡径部102内に挿入する。プレファブ管103を拡径部102内に挿入すると、
図2に示す段差部108にプレファブ管103の端部が当接し、プレファブ管100とプレファブ管103との位置決めがなされる。
【0047】
プレファブ管103とプレファブ管100との相対的な位置決めがなされると、環状溝部112と、環状溝部104とが径方向に配列し、挿入通路115が形成される。その後、
図8に示すように、連結部材140の一方の端部を連通路122に挿入する。
【0048】
この際、連結部材140は、自然状態で直線状に延びるように形成されているので、連結部材140の先端部の位置決めを比較的に容易に行うことができる。そして、連結部材140の先端部の位置決めが完了した後、作業者は、連結部材140の先端部を連通路122内に順次挿入する。そして、連結部材140を順次連通路122内に挿入することで、
図3に示すように、連結部材140は、挿入通路115の形状に沿って湾曲しながら、連結部材140が挿入通路115内に入り込む。
【0049】
連結部材140のスプリングコイル145のバネ係数(D−d)/dが3以上あれば、連結部材140は小さな外力で湾曲することができるので、作業者は、比較的小さな力を加えることで、連結部材140を順次挿入通路115内に挿入することができる。そして、
図3に示すように、スプリングコイル145の全体が挿入孔114および挿入通路115内に挿入された後に、さらに固定部142を挿入孔114内に挿入して連結部材140の装着が完了する。これにより連結部材140は、挿入通路115の略全周に亘って配設されるとともに、固定部142の凸部144と挿入孔114の内周面とが接触した状態となる。
【0050】
連結部材140の装着が完了すると、連結部材140のスプリングコイル145が、環状溝部112を規定する拡径部102の内周面と、環状溝部104を規定するプレファブ管103の外周面と、それぞれ拡径部102およびプレファブ管103の周方向において略全周に亘って係合する。
【0051】
プレファブ管100およびプレファブ管103内の内圧が上昇したときには、プレファブ管103が拡径部102から抜ける方向にプレファブ管100およびプレファブ管103に荷重が加えられる。
【0052】
この際、プレファブ管100およびプレファブ管103に加えられる荷重を、挿入通路115の略全周に亘って配設されたスプリングコイル145が受け止めるため、スプリングコイル145自体が変形したり破損することを抑制することができ、良好に管部同士の接続を維持することができる。
【0053】
さらに、スプリングコイル145を介してプレファブ管100とプレファブ管103とを接続することで、スプリングコイル145と、プレファブ管100およびプレファブ管103とを面接触させることができ、スプリングコイル145とプレファブ管100およびプレファブ管103との接触面積を大きくすることができる。これに伴い、プレファブ管103が拡径部102から抜ける方向にプレファブ管100およびプレファブ管103に加えられる荷重が大きくなったとしても、連結部材が2つの管部と点接触してこれらと係合するように設けられている管部の接続構造と比べて、接触領域を広くすることができ、接触点における面圧が過大なものとなることを抑制することができる。
【0054】
これにより、プレファブ管100およびプレファブ管103が変形したり、割れたりすることを抑制することができ、プレファブ管100とプレファブ管103との接続状態を良好に維持することができる。なお、スプリングコイル145は、スチール等の金属材料によって構成されている。
【0055】
なお、環状溝部104の円弧面状の内表面の半径、環状溝部112の円弧面状の内表面の半径、およびスプリングコイル145の外径Dの半分(以下、スプリングコイル145の半径という)とをそれぞれ実質的に一致させてもよいが、下記
図9に示すように、各半径を設定してもよい。
図9は、連結部材140が挿入通路115内に挿入された状態におけるスプリングコイル145およびその近傍を示す断面図である。
【0056】
この
図9に示すように、スプリングコイル145の半径r1は、環状溝部104,112の内表面の曲率半径r2,r3よりも小さい。このため、スプリングコイル145が環状溝部112の内表面に接触した状態においては、スプリングコイル145と環状溝部104との間には、隙間が生じる。このように、環状溝部104および環状溝部112によって規定される挿入通路115の断面積は、スプリングコイル145の軸方向に垂直な断面積(外径Dを直径とする円の面積)よりも大きいため、連結部材140を挿入通路115に容易に挿入することができる。さらに、連結部材140を挿入通路115内に挿入する際に、環状溝部112と環状溝部104とが正確に径方向に配列しておらず、環状溝部112と環状溝部104とがプレファブ管100,103の延在方向に僅かにずれた状態であったとしても、連結部材140を挿入通路115内に容易に挿入することができ、プレファブ管100とプレファブ管103との接続作業の効率化が図られている。
【0057】
ここで、連結部材140のスプリングコイル145は、自然状態では、直線状となるように形成されている。このため、連結部材140が挿入通路115内に挿入され、湾曲した状態では、スプリングコイル145には、直線状の形状に戻ろうとする付勢力が生じる。これにより、スプリングコイル145は、環状溝部112を規定する拡径部102の内周面を押圧し、環状溝部112内に入り込んでいる。
【0058】
この
図9に示すように、スプリングコイル145は、軸方向に垂直な断面において、環状となるように形成されており、スプリングコイル145の外周面は円形状となるように形成されている。そして、スプリングコイル145の外周面の半径r1(上述のように外径Dの半分)は、プレファブ管103の厚さt3よりも厚くなるように形成されている。
【0059】
スプリングコイル145の横剛性は、プレファブ管103よりも高く、スプリングコイル145の径方向における変形が抑制されている。その一方で、拡径部102のうち、環状溝部112が位置する部分における径方向の厚さt1は、スプリングコイル145の半径r1よりも厚くなるように形成されており、拡径部102の剛性はプレファブ管103よりも高くなるように形成されている。このため、プレファブ管100,103内の内圧が上昇したとしても、拡径部102の変形は抑制されている。
【0060】
そして、プレファブ管100,103内の内圧が上昇したとしても、拡径部102は殆ど変形しない。その一方で、プレファブ管103は拡径するように変形する。この際、プレファブ管103は、拡径部102よりも変形し易いため、環状溝部104の内表面が、環状溝部112内に位置するスプリングコイル145の外周面に密着するように変形する。
【0061】
これにより、環状溝部104の内表面と、スプリングコイル145の外周面とが密着すると共に、スプリングコイル145は、環状溝部112内に入り込んでいるため、プレファブ管100とプレファブ管103との結合がより強固なものとなる。なお、スプリングコイル145は、その付勢力によって、変形しにくい環状溝部112内に入り込んでいるため、プレファブ管103が仮に変形したとしても、スプリングコイル145が脱落することが抑制されている。
【0062】
さらに、連結部材140のスプリングコイル145のバネ係数(D−d)/dを3.3以下とすることにより、スプリングコイル145の付勢力を十分に大きくすることができるため、プレファブ管100とプレファブ管103との結合をより強固なものとすることができる。
【0063】
図9は、環状溝部112の形状の変形例を示す断面図である。この
図9に示す例においては、環状溝部112の内表面は、中心点O4を中心とする湾曲面112aと、中心点O5を中心とする湾曲面112bとによって形成されている。中心点O4および中心点O5は、プレファブ管103の延在方向に離れている。
【0064】
そして、湾曲面112a,112bの曲率半径r4は、いずれも、スプリングコイル145の半径r1よりも長い。この
図10に示す環状溝部112においては、各湾曲面112a,112bは、環状溝部112の底部から急峻に立ち上がるため、スプリングコイル145は環状溝部112から脱落しにくくなっている。
【0065】
このように、本実施の形態に係る管部接続構造200によれば、プレファブ管103をプレファブ管本体101の拡径部102内に挿入し、連結部材140を挿入孔114から挿入通路115内に挿入し、凸部144と嵌合部120とが接触するまで固定部142を挿入孔114に押し込むことで、プレファブ管100とプレファブ管103との接続作業を完了することができ、プレファブ管100とプレファブ管103との接続作業を簡易なものとすることができる。さらに、本実施の形態に係る管部接続構造200によれば、プレファブ管100,103内の内圧が高くなったとしても、プレファブ管100,103同士の接続を良好に維持することができる。
【0066】
なお、
図3に示すように、連結部材140の筒部143は、連通路122に位置しており、この筒部143は、プレファブ管103の環状溝部104と係合していない。そこで、筒部143をスプリングコイル145よりも安価な材料で構成することで、連結部材140の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0067】
なお、上記
図1から
図9においては、連結部材140が無負荷状態で直線状の場合について説明したが、これに限られない。
図10に、
図7に示す連結部材140の変形例を示す。
図10に示すように、連結部材140は無負荷状態で少なくとも一部が曲率半径R5となるように湾曲していてもよい。
【0068】
曲率半径R5は、たとえば拡径部102やプレファブ管103の半径よりも大きくなるように形成されている。このような連結部材140を挿入孔114から挿入し、プレファブ管103および拡径部102を接続すると、連結部材140は、スプリングコイル145を拡径部102の環状溝部112に押圧する。
【0069】
スプリングコイル145を環状溝部112に押圧することで、上記
図7に示す連結部材140と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
なお、上記
図7に示す連結部材140は、直線状に形成されているが、これらの連結部材140は、曲率半径を拡径部102およびプレファブ管103の半径よりも遥かに大きく設定したものである。
【0071】
換言すれば、連結部材140の曲率半径を拡径部102およびプレファブ管103よりも大きくすることで、連結部材140を挿入通路115に挿入した際に、スプリングコイル145の付勢力によって、スプリングコイル145を拡径部102の環状溝部112に押圧させることができる。
【0072】
これにより、上記のように、プレファブ管100,103の内圧が上昇したとしても、プレファブ管本体101とプレファブ管103の接続状態を維持することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、本発明に係る管部の接続構造をプレファブ管の接続構造に適用した例について説明したが、プレファブ管に限られず、他の管部同士の接続構造にも適用することができる。
【0074】
ここで、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本実施の形態の特徴的な構成を列挙する。
【0075】
本実施の形態に係る管部の接続構造は、第1管本体101および第1管本体101の端部に設けられた拡径部102を含む第1管部100と、一端が拡径部102に挿入される第2管部103と、拡径部102と第1管本体101との間に形成され、第2管部103の開口端部と当接可能なストッパ部と、拡径部102の内周面に形成され、拡径部102の周方向に延びる第1環状溝部112と、第2管部103が拡径部102内に挿入された状態において、第2管部103の外周面のうち、第1環状溝部112と対向する部分に形成され、第2管部103の周方向に延びる第2環状溝部104と、第1環状溝部112および第2環状溝部104が径方向に配列することで形成される挿入通路115内に挿入され、第1管部100と第2管部103とを連結する連結部材140とを備える。
【0076】
拡径部102には、該拡径部102の外部と挿入通路115とを連通し、連結部材140が挿入される挿入孔114が形成されている。連結部材140は、挿入通路115内に挿入されたときに挿入通路115に沿って湾曲可能に設けられているスプリングコイル145を含む。スプリングコイル145は、挿入通路115内に挿入されたときに、第1環状溝部112を規定する拡径部102の内周面と、第2環状溝部104を規定する第2管部103の外周面と係合するように設けられている。
【0077】
このようにすれば、連結部材140を挿入通路115に挿入した際に、スプリングコイル145の付勢力によって、スプリングコイル145を拡径部102の環状溝部112に押圧させることができる。これにより、上記のように、プレファブ管100,103の内圧が上昇したとしても、プレファブ管本体101とプレファブ管103の接続状態を維持することができる。つまり、管内の内圧が高くなったとしても、良好に管部同士の接続を維持することができる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、
図11〜
図17を参照して、実施の形態2に係る管部の接続構造について説明する。実施の形態2に係る管部の接続構造は、実施の形態1に係る管部の接続構造と基本的に同様の構成を備えるが、連結部材140が、固定部142に代えて挿入通路115内に挿入されたときに拡径部102の外周面に固定される固定部材150を含んでいる点で異なる。
【0079】
図13に示すように、拡径部102は、
図5に示す拡径部102と基本的には同様の構成を備えるが、挿入孔114には嵌合部120が形成されていない点で異なる。挿入孔114において外周側に位置する端部は、径方向において連通路122よりも孔径が大きく形成されており、拡径部102を側面視したときの開口部の平面形状が楕円形状である。挿入孔114は、連結部材140が挿入通路115内に挿入されたときに連結部材140と嵌合しない。
【0080】
図13に示すように、拡径部102には、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、連結部材140の把持部141と干渉しないように設けられた厚肉部123と、厚肉部123上に形成され、把持部141の少なくとも一部と挿入孔114の孔軸方向において重なる庇部124とが設けられている。挿入孔114の孔軸方向における挿入孔114と庇部124との間の距離は、スプリングコイル145の軸方向における把持部141の長さと、固定部材150の厚み(主表面間の距離)との和以上である。
【0081】
図13に示すように、拡径部102は、周方向において挿入孔114から離れた位置に、外周面に対して凹んでいる凹部125が形成されている。プレファブ管本体101の延在方向に垂直な断面における拡径部102の中心点O6に対して、凹部125と挿入孔114とが成す最小角度θは、例えば180°以下であり、好ましくは90°以下であり、より好ましくは45°である。拡径部102を側面視したときの凹部125の平面形状は、任意の形状であればよいが、例えば円形状である。凹部125の内径W1は、後述する連結部材140の固定部材150の突起部153の外径W2(
図17参照)よりも狭い(小さい)。
【0082】
図11および
図13に示すように、拡径部102は、開口端部113と接続される外周面126を有している。外周面126は、拡径部102の周方向に延びるように形成されている。
図11に示すように、外周面126は、例えば拡径部102の軸方向において開口端部113から最も離れた部分が、拡径部102の径方向において第1環状溝部112の一部と重なる位置まで延びるように形成されている。外周面126は、拡径部102の軸方向において挿入孔114よりも開口端部113側に位置している。
【0083】
図14に示すように、プレファブ管103は、
図6に示すプレファブ管103と基本的には同様の構成を備えるが、開口端部111の内径は、プレファブ管103において環状溝部104および開口端部111以外の部分の内径よりも小さい点で異なる。開口端部111の外径は段差部108の内径よりも大きい。
【0084】
図15に示すように、連結部材140は、
図7に示す連結部材140と基本的には同様の構成を備えるが、固定部材150をさらに含む点で異なる。
図11および
図12に示すように、固定部材150は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに拡径部102の外周面に固定される。
【0085】
図15〜
図17に示すように、固定部材150は、延在部151と突起部153とを有している。延在部151の形状は、例えばリボン状である。延在部151の一端には、主表面間を接続するように貫通孔152が形成されている。延在部151は、貫通孔152にスプリングコイル145が通されることにより、スプリングコイル145に接続されている。これにより固定部材150は連結部材140に接続されている。貫通孔152の孔径はスプリングコイル145の外径以下であり、固定部材150は連結部材140に固定されていてもよい。固定部材150を構成する材料は、可撓性を有する任意の材料であればよい。延在部151において、貫通孔152が形成されている部分の厚み(主表面間の距離)T1は、例えば突起部153が形成されている部分の厚み(主表面間の距離)T2よりも薄い。
【0086】
図11および
図12に示すように、延在部151は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、例えばその全体が挿入孔114の外部に配置される。延在部151は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、凹部125に対向する部分および外周面126に対向する部分を有している。突起部153は、延在部151の当該凹部125に対向する部分の主表面上に、突起している。突起部153は、延在部151の他端(貫通孔152が形成されている一端の反対側)に形成されていてもよいが、例えば延在部151の他端よりも一端側に形成されている。言い換えると、延在部151の他端は、貫通孔152に対して突起部153よりも離れた位置に形成されている。
【0087】
突起部153の外径W2(
図17参照)は、拡径部102の凹部125の内径W1(
図13参照)以上である。突起部153は、例えば延在部151の主表面に垂直な方向において相対的に幅広な部分と幅狭な部分とを有しており、当該幅広な部分の外径がW2である。突起部153の当該幅狭な部分の外径は、例えば凹部125の内径W1以下である。突起部153は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、凹部125に嵌合され得る。
【0088】
固定部材150は、例えば、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されかつ突起部153が凹部125に嵌合されたときに、延在部151に張力が印加されるように設けられている。連結部材140の固定部材150が拡径部102の外周面に固定されたときに、拡径部102の中心点O6に対して固定部材150の延在部151の一端と他端とが成す最小角度は、拡径部102の中心点O6に対して凹部125と挿入孔114とが成す最小角度θ以下である。
【0089】
図16に示すように、延在部151は、平面視において、屈曲した形状を有していてもよい。例えば、突起部153が形成されている部分は、当該部分の延在方向に交差する方向に延びる傾斜部分154を介して、貫通孔152が形成されている部分と接続されていてもよい。延在部151において貫通孔152が形成されている部分は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、挿入孔114の孔軸方向において挿入孔114と重なる位置に配置される。延在部151において突起部153が形成されている部分は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入されたときに、拡径部102の径方向において外周面126と重なる位置に配置され、突起部153が凹部125に嵌め合される。延在部151の傾斜部分154は、スプリングコイル145が挿入通路115内に挿入され、かつ突起部153が凹部125に嵌め合されたときに、延在部151における貫通孔152が形成されている部分と直交するように配置される。延在部151が傾斜部分154を有しているため、上述のように、外周面126と挿入孔114とが拡径部102の軸方向において互いに重ならない位置に設けられている場合であっても、延在部151は拡径部102の周囲に撚れずに固定され得る。
【0090】
実施の形態2に係る管部の接続構造によれば、連結部材140が挿入通路115に挿入されたときに把持部141の少なくとも一部と庇部124とが挿入孔114の孔軸方向において重なることにより、連結部材140が挿入通路115から抜けることを防止することができる。さらに、連結部材140が挿入通路115に挿入されたときに、固定部材150の突起部153が凹部125に嵌合されて固定部材150が拡径部102の外周面に固定されることにより、連結部材140が挿入通路115から抜けることを防止することができる。
【0091】
また、連結部材140の固定部材150が拡径部102の外周面に固定されたときに、延在部151は拡径部102の周方向に沿って配置されるため、拡径部102を側面視したときに、延在部151は視認され得る。延在部151の長さが長い程、連結部材140の固定部材150が拡径部102の外周面に固定されたときに、拡径部102の中心点O6に対して固定部材150の延在部151の一端と他端とが成す最小角度が小さくなり、拡径部102を側面視したときの延在部151の視認性は向上する。固定部材150が拡径部102に正常に固定されている場合には、延在部151には張力が加えられており撚りや弛みなどが生じていない。一方、固定部材150が拡径部102に正常に固定されていない場合、例えば突起部153が凹部125から抜けている場合には、延在部151の少なくとも一部が拡径部102の外周面126から脱離する。また、連結部材140が挿入通路115に挿入されていない場合には、延在部151が存在しない。そのため、延在部151を視認することで、延在部151の状態から連結部材140の抜け等の異常の有無を確認することができる。
【0092】
なお、延在部151は、拡径部102の外周面と異なる色に着色されているのが好ましい。これにより、延在部151の視認性を高めることができる。また、実施の形態2に係る管部の接続構造が複数設けられた配管群においては、複数の延在部151は異なる色に着色されていてもよい。例えば管部のサイズ(異なる観点から言えば、当該管部の接続構造を固定するために必要な連結部材140のサイズ)などに応じて、複数の延在部151は異なる色に着色されてもよい。このようにすれば、管部のサイズに適した連結部材140が挿入通路115に挿入されているか否かを確認することができる。また、延在部151は、蛍光材料で構成されていてもよいし、表面に蛍光塗料が塗布されていてもよい。このようにすれば、暗所でも延在部151の視認性を高めることができる。
【0093】
なお、実施の形態2に係る管部の接続構造では、固定部材150の突起部153と拡径部102の凹部125とが嵌め合されることにより固定部材150は拡径部102の外周面に固定されるが、これに限られるものでは無い。拡径部102の外周面126上に、外周面126に対して突起している突起部が形成されていてもよい。固定部材150に、当該突起部を挿入可能な貫通孔が形成されていてもよい。このようにしても、拡径部102の上記突起部が固定部材150の当該貫通孔に挿入されることにより、固定部材150は拡径部102の外周面に固定され得る。
【0094】
次に本実施の形態に係る実施例について説明する。
(実施例)
実施例に係る管部の接続構造として、本実施の形態に係る管部の接続構造を採用した。具体的には、プレファブ管100,103を外径が114.3mmの一般配管用ステンレス鋼鋼管(SUS−TPD)、拡径部102をステンレス鋳鋼(SCS13)、シール部材107をパッキング(EPDM)、スプリングコイル145を外径Dが5.5mmのばね用ステンレス鋼線(SUS304WPB)とした。なお、プレファブ管103(差口)の環状溝部104の円弧面状の内表面の半径、および拡径部102(受口)の環状溝部112の円弧面状の内表面の半径は、それぞれ3mmとした。
【0095】
(比較例)
比較例に係る管部の接続構造として、基本的には本実施の形態に係る管部の接続構造を同様の構成を備えるが、連結部材のみの構成を異なるものとした。具体的には、
図18を参照して、比較例に係る連結部材は、可撓性を有する芯線と、貫通孔が形成されて芯線が挿入されると共に、芯線上に複数配列する球状体とを備えているものとした。芯線には直径が1.4mmのSUS304WPBを用い、球状体には直径が6.3mmの鋼球(SUS304)を用いた。
【0096】
(試験方法)
実施例および比較例の管部の接続構造をそれぞれアムスラー万能試験機(東京試験機製作所製;油圧式、最大容量200kN)にセットし、管部の内部に0.2MPaの空気圧を封入した状態で2mm/minの引張強度で管を引抜き、空気が漏れるまでの最大荷重を測定した。なお、試験方法は、SAS322(一般配管用ステンレス鋼鋼管の管継手性能基準)に準拠した。測定後(破壊後)、実施例および比較例の管部の接続構造に対し、目視による外観の観察を行った。
【0097】
(結果)
図19〜
図22を参照して、試験結果について説明する。実施例に係る管部の接続構造では、110kNの荷重を加えられたときに空気が漏れた(管部の接続構造が破壊された)。
図19に破壊後の実施例に係るプレファブ管103(差口)の外観形状を示す。
図20に破壊後の実施例に係る連結部材140の外観形状を示す。プレファブ管103の外周面には、スプリングコイル145の巻き数に応じた数の凹みが形成されていたが、スプリングコイル145には目視により観察され得る傷は存在しなかった。
【0098】
一方、比較例に係る管部の接続構造では、90kNの荷重を加えられたときに空気が漏れた。
図21に破壊後の比較例に係るプレファブ管(差口)の外観形状を示す。
図22に破壊後の比較例に係る連結部材の外観形状を示す。プレファブ管103の外周面には、球状体の個数および間隔に応じた数および位置に凹みが形成されているとともに、球状体に目視により観察され得る傷が存在した。当該傷は、球状体がプレファブ管の環状溝部から該プレファブ管の外周面に乗り上げた際に形成されたものと考えられる。
【0099】
つまり、実施例に係る管部の接続構造では、比較例に係る管部の接続構造と比べて破壊荷重が122%大きかった。これは、実施例に係る管部の接続構造におけるスプリングコイルとプレファブ管との接触面積が、比較例に係る管部の接続構造における球状体とプレファブ管との接触面積よりも大きいため、管内の内圧が高くなったとしても、良好に管部同士の接続を維持することができたと考えられる。
【0100】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】第2管部103が拡径部102内に挿入された状態において、第2管部103の外周面のうち、第1環状溝部112と対向する部分に形成され、第2管部103の周方向に延びる第2環状溝部104と、第1環状溝部112および第2環状溝部104が径方向に配列することで形成される挿入通路内に挿入され、第1管部100と第2管部103とを連結する連結部材140とを備える。連結部材140は、挿入通路内に挿入されたときに挿入通路に沿って湾曲可能に設けられているスプリングコイルを含む。スプリングコイルは、挿入通路内に挿入されたときに、第1環状溝部112を規定する拡径部102の内周面と、第2環状溝部104を規定する第2管部103の外周面と係合するように設けられている。