(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ショベル系の掘削機をベースマシンとして、そのベースマシンのアーム先端に、上下方向に周回移動するチェーン式の混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを装着し、その混合撹拌ヘッドを地中に所定深度まで貫入した上で、固化材の吐出のほか混合撹拌翼による原位置土の掘削およびその原位置土と固化材との混合撹拌を行いながら、地中に混合撹拌翼の周回移動面の幅寸法に相当する連続した改良壁体を構築する方法に用いる地盤改良装置であって、
前記改良壁体の構築に際して、平面視にて構築すべき改良壁体の厚み寸法を二分する平面中心線に対しベースマシンの履帯をほぼ平行に保ちつつ、混合撹拌翼の周回移動面と構築すべき前記改良壁体の平面中心線とをほぼ直角とした上で、混合撹拌ヘッドを平面中心線方向に掘進させるにあたり、
鉛直線と構築すべき改良壁体とのなす角度をθ1、平面中心線とベースマシンの平面視でのブームおよびアームの中心線とのなす角度をθ2、0°よりも大きく90°よりも小さい角度の範囲をβとしたとき、角度θ2の値がθ2≦β−θ1の関係を満たすようにベースマシンと混合撹拌ヘッドの姿勢を調整する工程と、
前記姿勢調整後の混合撹拌ヘッドの混合撹拌翼を周回移動させつつベースマシンのブームおよびアームに揺動動作方向の力を発生させて、前記ブームおよびアームの揺動動作方向の力に基づく平面中心線方向の分力を当該平面中心線方向への掘進ベクトルとして混合撹拌ヘッドを掘進させる工程と、
を含んでいる一方、
前記ベースマシンのアームの先端部と混合撹拌ヘッドとの間に前記角度θ2を調整可能な旋回機構が介装されていて、
前記旋回機構は、
前記ベースマシンのアーム側となる非旋回部と混合撹拌ヘッド側となる旋回部とが軸部材を介して相対回転可能に連結されているものであって、
前記非旋回部と旋回部とを相対回転させた位置に規制して締結固定する機能とは別に、
前記非旋回部からの旋回部の脱落を防止する脱落防止機構が設けられていることを特徴とする地盤改良装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜6は本発明
が前提としている改良壁体の構築方法とそれに用いる地盤改良装置を実施するためのより具体的な第1の形態を示し、特に
図1〜3は地盤改良装置の基本構造を示している。以下、従来技術と比較しながら本実施の形態の詳細について説明する。
【0025】
図1において、1は汎用型の建設機械の一つである無限軌道(履帯)式またはクローラ式のショベル系掘削機械、例えば履帯2を有する油圧ショベルもしくはバックホウ等のベースマシン(母機)であって、ベースマシン1の上部旋回体としての旋回ベース3に搭載された揺動式(起伏式または起倒式)のブーム4の先端には同じく揺動式のアーム5が連結されている。そして、ベースマシン1におけるアーム5の先端には、アタッチメントとして原位置土の掘削と固化材(地盤改良材)との混合撹拌のためのいわゆるトレンチャー式の混合撹拌ヘッド6が後述する中間ブラケット方式の旋回機構7を介して着脱可能に装着されている。なお、8はブーム4の揺動動作のためのブームシリンダ、9はアーム5の揺動動作のためのアームシリンダ、10はアタッチメントである混合撹拌ヘッド6の揺動動作のためのアタッチメントシリンダ(バケットシリンダ)である。
【0026】
図2は
図1に示した混合撹拌ヘッド6の拡大説明図を、
図3は
図2の側面説明図をそれぞれ示している。これらの
図2,3に示すように、混合撹拌ヘッド6は、剛性の高いフレーム11を母体としていて、このフレーム11は、幅広で且つ略二股状のヨーク部12と、ヨーク部12の下部に連結された真直で略角柱状のフレーム本体13とから構成されている。ヨーク部12の上端のブラケット部14は、後述する
図10に示すような旋回機構7を介して
図1のアーム5の先端に着脱可能に連結される。
【0027】
そして、フレーム本体13の上部に設けた油圧モータ15駆動の例えばチェーンスプロケットタイプの駆動輪16と同じくフレーム本体13の下部に設けた従動輪17との間にエンドレス(無端状)のドライブチェーン18を巻き掛けてある。また、ドライブチェーン18には当該ドライブチェーン18の長手方向とほぼ直交するように
図2に示す複数の混合撹拌翼19を略等ピッチで装着してあり、これらの複数の混合撹拌翼19がドライブチェーン18とともに上下方向に周回駆動されることになる。なお、混合撹拌翼19にはその長手方向に沿って複数の掘削刃であるカッタービット20を設けてある。
【0028】
さらに、フレーム本体13の先端部(下端部)には吐出ノズル21を設けてあり、この吐出ノズル21には例えば水と固化材としての粉体状のセメントとを予め混ぜ合わせたスラリ状の固化材が図示外の圧送ポンプと配管22を介して圧送されるようになっている。これにより、吐出ノズル21から地中に向けてスラリ状の固化材を吐出・噴射することが可能となっている。
【0029】
なお、ドライブチェーン18は、フレーム本体13に設けた複数のガイドローラ23に所定の張力が付与された状態で案内・支持されている。なお、かかる構造の混合撹拌ヘッド6は、先に開示した特開2005−307675号公報等において公知の構造のものである。
【0030】
このような構造の混合撹拌ヘッド6を用いて施工を行う場合、一般的には、油圧モータ15の正転または逆転駆動により、ドライブチェーン18とともに複数の混合撹拌翼19を上下方向に周回駆動させる一方で、
図1に示すように混合撹拌ヘッド6全体を例えばブーム4やアーム5の揺動力(揺動動作方向の力)を利用して直立姿勢にて地中に貫入し、吐出ノズル21からスラリ状の固化材を吐出しながら、後述する掘進ベクトルを混合撹拌ヘッド6の掘進力として当該混合撹拌ヘッド6を掘進させることにより、いわゆる横行移動させるべく改良壁体の構築方向に徐々に掘進させることになる。これにより、複数の混合撹拌翼19により掘削された原位置土が同じく複数の混合撹拌翼19によりスラリ状の固化材と混合撹拌されて、混合撹拌ヘッド6の掘進方向後方側に連続した改良壁体が構築されることになる。なお、地中に構築される改良壁体の壁体厚は混合撹拌翼19の長さW(
図2参照)とほぼ同等のものとなる。
【0031】
この場合において、混合撹拌ヘッド6におけるドライブチェーン18の張り側と緩み側に相当する部位であって複数の混合撹拌翼19による掘削と混合撹拌にあずかる部位、すなわち混合撹拌翼19の上下方向での周回移動面(改良壁体の構築方向前方側に面する周回移動面と構築方向後方側に面する周回移動面)は改良壁体の構築方向と直交したものとなる。そして、改良壁体の構築方向前方側に面する周回移動面を上向きとするか下向きとするかは、地盤の硬さや土質性状に応じて決定する。
【0032】
従来の一般的な改良壁体の構築方法では、
図1の平面図である
図4に示すように、平面視にて改良壁体Bまたは構築すべき改良壁体Bの厚み寸法を二分する平面中心線(以下、改良壁体Bまたは構築すべき改良壁体Bの平面中心線と言う。)C1とベースマシン1の平面視でのブーム4およびアーム5の平面中心線(以下、ブーム4等の平面中心線と言う。)C2とが略直交するように、すなわち双方の平面中心線C1,C2同士のなす角度θ2が90°となるようにセットしている。
【0033】
その上で、混合撹拌ヘッド6を鉛直姿勢にて地中に貫入し、改良壁体Bの構築方向前方側に面することになる混合撹拌翼19の周回移動面において、その混合撹拌翼19が例えば上方から下方に向かって周回移動するように回転駆動させることにより、改良壁体Bの構築方向前方側に面することになる混合撹拌翼19の周回移動面側にて混合撹拌翼19が積極的に原位置土を掘削して、掘削された原位置土が固化材と混合撹拌されながらそれと反対側の混合撹拌翼19の周回移動面側に送り込まれる力を反力として、混合撹拌ヘッド6自体を改良壁体Bの構築方向に掘進させることになる。
【0034】
かかる改良壁体Bの構築方法において、混合撹拌ヘッド6の掘進力はそれ自体の混合撹拌時の反力とベースマシン1の旋回ベース3の旋回力とによる掘進であって、その掘進力は大きな掘進力とはなり得ないものであることは先に述べた通りである。また、施工現場条件によっては、
図1に示した鉛直な改良壁体B(角度θ1=0°)のみならず、後述する
図7に示すような傾斜改良壁体(例えば角度θ1=30°)B1などのニーズもあり、混合撹拌ヘッド6を前記傾斜改良壁体の角度θ1と略同角度となるように構えた時には、ベースマシン1のブーム4やアーム5の揺動動作を司るシリンダやアタッチメントシリンダ10が力負けするなどの二次的な課題も有している。
【0035】
そこで、本実施の形態では、基本的には
図4に示した改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2となす角度θ2が、後述する
図5に示すように、0°よりも大きく90°よりも小さい角度(後述するように、ここでの0°よりも大きく90°よりも小さい角度の範囲をβとする。)となるような姿勢で混合撹拌ヘッド6を構えることにより、ベースマシン1が本来的に有しているブーム4やアーム5およびアタッチメントシリンダの10のシリンダ力を最大限に活用して、従来から課題となっている混合撹拌ヘッド6の掘進力の増大化とともに、各シリンダが力負けすることなく引き抜き力に対して十分に対抗し得る改良壁体の構築方法とそれに用いる地盤改良装置を提案するものである。
【0036】
先にも述べたように、従来の一般的な改良壁体Bの構築方法における掘進力は、混合撹拌時の反力とベースマシン1における上部の旋回ベース3の旋回力を掘進力とするものであって、その掘進力は小さく、硬質地盤等の掘進においてはその速度も遅く、経済スピードによる掘進は困難である。そもそも、ショベル系の掘削機の旋回力は、アーム5の先端のアタッチメントであるバケットを空中(気中)で旋回させる力があれば十分であって、大きな旋回力を必要とするものではない。その一方で、ショベル系の掘削機の掘削力は、ブームシリンダ8やアームシリンダ9(以下、アームシリンダ9等と言う。)の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力とアタッチメントシリンダ(バケットシリンダ)10の伸縮力による掘削力に依存するものであって、ベースマシン1の規格にもよるが大きな掘削力を有している。
【0037】
本実施の形態では、このアームシリンダ9等のほかアタッチメントシリンダ10の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力とアタッチメントシリンダ10の伸縮力による掘削力を改良壁体構築方向への混合撹拌ヘッド6の掘進力(掘進ベクトル)として積極的に活用する改良壁体の構築方法である。
【0038】
具体的には、
図5の(a),(b)に示すように、ベースマシン1の履帯2を改良壁体Bの構築方向と概ね平行となるようにセットした上で、ベースマシン1から混合撹拌ヘッド6までの距離(作業半径)を保ちながらベースマシン1を改良壁体Bの構築位置に近付けると、平面中心線C1,C2同士のなす角度θ2を鋭角β(角度β=1°〜89°の範囲)となる姿勢で混合撹拌ヘッド6を構えることとなる。その状態にて、アームシリンダ9等のほかアタッチメントシリンダ10を伸縮動作させると、その伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力Pは改良壁体Bの構築方向の分力P1を生じ、この分力P1は改良壁体Bの構築方向への掘進力となる。言い換えるならば、この掘進力は、ブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力Pより生じるベクトルであって、混合撹拌ヘッド6の掘進ベクトルP1となる。
【0039】
図5の(a)は、ベースマシン1を後進させながら改良壁体Bを構築する場合のベクトル図を示す。同図(b)は、ベースマシン1を前進させながら改良壁体Bを構築する場合のベクトル図を示す。いずれの掘進方向であっても、混合撹拌翼19の周回移動面と構築すべき改良壁体Bの平面中心線C1とを略直角とした上で、混合撹拌ヘッド6を改良壁体Bの平面中心線C1方向に掘進させるので、掘進ベクトルP1はいずれの方向においても同等のものとして得ることができる。
【0040】
ただし、ベースマシン1の後退力および前進力は掘進力に寄与するものではなく、掘進ベクトルP1によって改良壁体Bが所定量だけ構築されたならば、その構築相当量だけベースマシン1自体を後退動作または前進動作させるにすぎない。
【0041】
この掘進ベクトルP1は、改良壁体Bの構築のための実質的な掘進力であって、改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が小さければ小さいほど、大きな掘進ベクトルP1が得られる。因みに、前記角度θ2の最小角度は、平面視において、ベースマシン1の履帯2を改良壁体Bのベースマシン1側の側面と干渉しない程度まで近付けた時における改良壁体Bまたは構築すべき改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度であって、その角度は概ね15°となる(
図6参照)。なお、後述するように、この角度θ2≒15°での掘進ベクトルP1が最大の掘進力となる。
【0042】
改良壁体Bの構築において、原地盤中に吐出されるスラリ状の固化材の体積相当量が増量となり、原土とスラリ状固化材が混合撹拌された流動状の処理土が原地盤上に盛り上がることとなる。よって、この盛り上り処理土が外部に流出しないように、改良壁体Bを構築すべき箇所を予め予掘りしておくことが必要となる(予掘り状況は
図6の(b)に示す。)。この予掘りは、ベースマシン1の前進および後進のいずれの掘進においても必要であり、これらの予掘り等を考慮すると前述の略15°が角度θ2の最小角度となる。
【0043】
一方、先に述べたように、改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2の好ましい範囲を0°よりも大きく90°よりも小さい角度としている。この0°よりも大きく90°よりも小さい角度の範囲をβとしたとき、当該角度βの範囲は鋭角にほかならないが、本実施の形態では、鋭角βの範囲を1°〜89°の範囲と定義するものとし、この角度βの範囲を考慮すると、角度θ2の範囲は15°≦θ2≦89°となる。
【0044】
上記の掘進ベクトルP1は、P1=P×cosθ2にて求めることができる。
【0045】
ここで、cosθ2は、アームシリンダ9等の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力(掘削力)Pのベクトル係数αとなる値である。掘進ベクトルP1をベクトル係数αより求めるならば、P1=P×cosθ2=P×αにて求めることができる。
【0046】
[掘進ベクトルに関する説明]
ショベル系の掘削機のシリンダ力は、ブームシリンダ8>アームシリンダ9>アタッチメントシリンダ10、の順となっていて、アタッチメントシリンダ10のシリンダ力が最小値となっている。ブームシリンダ8とアームシリンダ9およびアタッチメントシリンダ10の伸縮動作の詳細については後述するが、アタッチメントシリンダ10の伸縮力をもとに掘進ベクトルP1を求めてみる。一例として、1.9m3級のパワーショベルをベースマシン1とする場合における混合撹拌ヘッド6の掘進ベクトルP1は次のようになる。なお、以下で述べるベースマシン1の掘削力とは、アームシリンダ9等のほかアタッチメントシリンダ10の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力とアタッチメントシリンダ10の伸縮力で発生する掘削力のことである。
【0047】
・混合撹拌ヘッド6の推進力(混合撹拌ヘッド6自体の掘進に伴う反力):0.5トン
・ベースマシン1の旋回力:1.0トン
・混合撹拌ヘッド6自体の推進力:0.5トン
・ベースマシン1の掘削力:20トン
従来技術での掘進力は、混合撹拌ヘッド6の推進力とベースマシン1の旋回力との和であり、0.5+1.0=1.5トンとなる。
【0048】
一方、改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が例えば80°の場合でのベクトル係数は、cos80°故に0.17となる。そして、混合撹拌ヘッド6の掘進ベクトルP1は、20×0.17=3.4トンとなる。改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が80°となる位置まで混合撹拌ヘッド6の作業半径を保った上で、ベースマシン1を改良壁体Bに近付けることにより得られる掘進力は、掘進ベクトルP1のみで2倍以上、混合撹拌ヘッド6の推進力を加えるならば、3.4+0.5=3.9トンの総掘進力が得られ、望ましい掘進力となる。
【0049】
因みに、角度θ2を例えば60°(
図5参照)とすることにより、20×0.5=10.0トンの掘進ベクトルP1となり、より望ましい掘進力が得られる。さらに、角度θ2を例えば40°とすることにより、その掘進ベクトルP1は15.4トンと従来の概ね10倍の掘進力となり、掘進ベクトルP1のみで十分な掘進力が得られることとなる。
【0050】
原地盤強度(硬さ)にもよるが、角度θ2を少なくとも80°以下とすることにより、従来技術のものと比べて概ね2倍以上の掘進力が得られることとなり、従来技術における混合撹拌ヘッド6の掘進よりも大幅に大きな掘進能力のもとでの掘進が可能となる。さらに、角度θ2を60°とすることにより、ベースマシン1が保有する掘削力の50%(ベクトル係数0.5)を掘進ベクトルP1とすることとなり、従来技術よりも概ね6.6倍の掘進力を得ることも可能となり、従来の混合撹拌ヘッド6による掘進よりもより望ましい掘進が可能となる。
【0051】
先に述べた掘進ベクトルP1は、平面中心線C1,C2同士のなす角度θ2を角度β(1°〜89°の範囲)となる姿勢で混合撹拌ヘッド6を構えた上で、アームシリンダ9等の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5の揺動動作方向の力で発生する掘削力によって生じる改良壁体構築方向へのベクトルである。その掘進ベクトルP1は、改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2と、アームシリンダ9等の伸縮動作に基づくブーム4およびアーム5のそれぞれの揺動動作方向の力によって変化する。
【0052】
表1に、先に例示した1.9m3級のパワーショベルをベースマシン1とする場合において、主要ないくつかの角度θ2でのベクトル係数α、掘進ベクトルP1の値を示す。なお、この値は、先の場合と同様にベースマシンの掘削力(アタッチメントシリンダ10の伸縮力)を20トンとして求めた値である。また、この角度θ2は、概ね15°程度までは小さくすることが可能であり、その場合の掘進ベクトルは19.4トンとなり、混合撹拌ヘッド6そのもの推進力(0.5トン)を加えればベースマシン1の掘削力と同等の総掘進力を得ることが可能となる。
【0054】
[狭隘な場所での施工事例]
図6の(a)は、例えば両側を家屋で挟まれた狭隘な場所にて改良壁体Bを構築する場合における平面図を示す。また、
図6の(b)は、同図(a)のベースマシン1を後側から見た背面図を示す。
【0055】
例えば
図4に示したように、構築すべき改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が略90°となるように混合撹拌ヘッド6を構えて改良壁体Bを構築しようとすると、周辺構造物が障害となり、その施工は困難となる。しかし、
図6の(a)に示すように、ベースマシン1の履帯2が改良壁体Bの側面と干渉しない程度まで近付けて、改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1の平面視でのブームおよびアームの中心線C2とのなす角度θ2を可能な限り小さくすることで、構築すべき改良壁体Bからベースマシン1までの離隔が小さくなり、その施工が可能となる。なお、同図の符号Qは家屋と改良壁体Bとの境界を示す。
【0056】
また、この場合でのベースマシン1と混合撹拌ヘッド6との位置が角度θ2の最小角度であって、その角度は概ね15°となる、前述の如く、改良壁体Bの構築による盛り上がり対策としての予掘り溝の位置までベースマシン1の履帯2を近付けた時の角度θ2が当該角度θ2の最小角度であって、ベースマシン1と混合撹拌ヘッド6の姿勢をこの位置に調整することにより、改良壁体Bの厚み分(改良壁体Bの幅)とベースマシン1の履帯幅相当の幅員(作業スペース)が確保できれば施工が可能となる。因みに、その場合の掘進ベクトルP1は19.4トンであり、当該ベースマシン1での最大掘進ベクトルとなる。上記より、角度θ2の有効範囲は、15°≦θ2≦89°となる。
【0057】
[傾斜改良壁体の場合の検証]
上記の例では、
図1,4に示すような鉛直(θ1=0°)の改良壁体Bを構築する場合において、改良壁体Bの平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2によって生じる掘進ベクトルP1について説明したが、ここでは、
図7,8に示すように、改良壁体が鉛直線に対して傾斜姿勢となるいわゆる傾斜改良壁体B1を構築する場合について説明する。
【0058】
改良壁体が鉛直線に対して傾斜姿勢となるいわゆる傾斜改良壁体B1を構築するということは、取りも直さず構築される改良壁体B1の表裏両面(側面)が鉛直線に対して傾斜面となるように当該傾斜改良壁体B1の構築のための混合撹拌ヘッド6の姿勢も傾斜姿勢とすることであって、
図7に示すように、混合撹拌ヘッド6の自重Wによって生じる傾斜方向へのベクトルW1は、その混合撹拌ヘッド6の自重Wを支えるベースマシン1のブームシリンダ8やアームシリンダ9およびアタッチメントシリンダ10の引き抜き力の増加となる。ここでは、この増加する引き抜きベクトルW1を解消する方法について検討する。
【0059】
引き抜きベクトルW1は、鉛直線と構築すべき傾斜改良壁体B1とのなす角度(=混合撹拌ヘッド6の傾斜角度)θ1によって変化する。この角度θ1によって生じる引き抜きベクトルW1は、W1=W/cosθ1にて求めることができる。なお、Wは混合撹拌ヘッド6の自重量である。
【0060】
次に、
図7の平面図である
図8に示すように、角度θ2=90°にした場合であって、且つ
図7に示すように角度θ1=30°とした場合の引き抜きベクトルW1を計算してみる。この時の引き抜きベクトルW1は、W1=W/cos30°=W/0.87≒1.15Wとなる。
【0061】
この引き抜きベクトルW1=1.15Wとは、
図7のような角度θ1=30°の傾斜改良壁体B1を構築しようとすると、混合撹拌ヘッド6の自重Wの1.15倍のベクトルがブームシリンダ8やアームシリンダ9およびアタッチメントシリンダ10の引き抜きベクトルとして作用することを意味している。なお、
図1に示すように、θ1=0°の場合には、W1=W/cos0°=W/1=Wであり、自重相当分Wが鉛直方向に引き抜き力として作用する。
【0062】
表2には、
図8に示す角度θ2=90°における角度θ1に応じた引き抜きベクトルW1を示す。この引き抜きベクトルW1は、混合撹拌ヘッド6の自重Wを1とした場合での引き抜きベクトルである。
【0064】
混合撹拌ヘッド6を鉛直線に対して傾斜姿勢とすることにより増加した引き抜きベクトルを解消するには、次のような方法とする。
【0065】
図9に示すように、混合撹拌ヘッド6の作業半径を保った上でベースマシン1を傾斜改良壁体B1に近付けることにより、傾斜改良壁体B1の平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が小さくなる。このように、混合撹拌ヘッド6を、平面中心線C1,C2同士のなす角度θ2が角度β(89°−傾斜角度θ1以下の角度)となる姿勢で構えることにより、引き抜きベクトルW1は、
図9に示すように、ブーム4等の平面中心線C2方向のベクトル分力W2となる。
【0066】
図9に示した角度θ2=60°の場合のブーム4等の平面中心線C2方向のベクトル分力W2は、W2=W1×cos(90°−60°)=W1×cos30°=W1×0.87となる。
【0067】
上記W1に、先に説明した角度θ1=30°での引き抜きベクトル(1.15×W)を代入すると、ベクトル分力W2は、W2=W1×0.87=1.15W×0.87≒Wとなる。
【0068】
このように、鉛直線と構築すべき傾斜改良壁体B1とのなす角度をθ1、傾斜改良壁体B1の平面中心線C1とブーム4等の平面中心線C2とのなす角度をθ2として、その角度θ2の値がθ2≦β−θ1の関係を満たすようにベースマシン1と混合撹拌ヘッド6の姿勢を調整することにより、混合撹拌ヘッド6を鉛直方向に対して傾斜姿勢としたことにより増加した引き抜きベクトルは相殺されることとなる。因みに、角度βを89°とした場合のW2は、W2=W1×cos(89°−60°)=W1×cos29°=W1×0.87となり、概ね前述のW2と同じ値となる。
【0069】
つまり、
図7に示すように、角度θ1=30°の傾斜改良壁体B1を構築しようとする場合、角度θ2の値がθ2≦89°−30°=59°となり、角度θ2を59°以下となる位置にて混合撹拌ヘッド6とベースマシン1を構えることにより、混合撹拌ヘッド6を鉛直方向に対して傾斜姿勢としたことにより増加した引き抜きベクトルは相殺されて、アタッチメントシリンダ10等に作用する引き抜き力(引き抜きベクトル)は混合撹拌ヘッド6の自重Wと同じ値となる。ベクトル分力W2が混合撹拌ヘッド6の自重Wと同じ値以下となる関係として、混合撹拌ヘッド6における角度θ1と角度θ2の良好な位置関係を式にて表すと、θ2≦89°−θ1であり、角度θ2の値がθ2≦β−θ1の関係を満たすようにベースマシン1と混合撹拌ヘッド6の姿勢(位置)を調整した状態と言える。
【0070】
表3には、角度θ1と角度θ2により変化するベクトル分力W2のそれぞれの値を示す。なお、ここでのW2の値は、混合撹拌ヘッド6の自重をWとして求めたものである。
【0072】
なお、実施工では、増加した引き抜きベクトルの相殺とともに十分な掘進力を得る必要がある。そこで、傾斜改良壁体B1の構築にあたり、混合撹拌ヘッド6における角度θ1と角度θ2のより良好な位置関係を以下にて求める。
【0073】
前記角度θ1に10°加えた角度にてベクトル分力W2を求めると、W2=W1×cos(θ1+10°)=W1×cos40°=0.77W1となる。
【0074】
上記W1に、先に説明した角度θ1=30°での引き抜きベクトル(1.15×W)を代入すると、ベクトル分力W2は、W2=W1×0.77=1.15W×0.77≒0.89Wとなる。
【0075】
前述の引き抜きベクトルとしては自重Wと概ね同じ値であったが、角度θ2を10°補正することにより0.89Wとなって、引き抜き力は改善される。
【0076】
一方、掘進ベクトルP1は、角度θ2が、θ2≦89°−(θ1+10°)=89°−(30°+10°)=49°となる。角度θ2をθ2=49°とする掘進ベクトルP1を求めると、P1=P×cosθ2=20×cos49°=20×0.66=13.2トンとなる。
【0077】
前述の角度θ2を60°とする掘進ベクトルは10.0トンであったが、この度の掘進ベクトルは13.2トンであり、前述よりも1.3倍の掘進ベクトルが得られることとなる。前述の位置関係を式にて表すとθ2≦89°−(θ1+10°)となるが、この式より求めた角度θ2は、増加した引き抜きベクトルを十分に相殺するとともに、前述の式(θ2≦89°−θ1)よりも1.3倍の掘進力が得られることとなり、より良好な傾斜改良壁体B1の構築を可能とする。上記より、傾斜改良体B1の構築に望ましいθ1とθ2の関係は、θ2≦89°−(θ1+10°)と言える。
【0078】
なお、角度θ1の最小値は、
図1,4に示す通り鉛直な改良壁体Bの場合であって、θ1=0°の姿勢となる。一方、その最大値は、βの最大角度をβ=89°−10°=79°とするならば、θ1の最大角度=79°―θ2の最小角度=79°−15°=64°となる。つまり、ベースマシン1を、構築しようとする傾斜改良壁体B1に限りなく近付けることにより、角度θ2は15°となり、傾斜角度θ1=64°の傾斜改良壁体B1の構築が可能となることを意味している。
【0079】
上記条件を満たす範囲にて傾斜改良壁体B1の構築を行なえば、傾斜改良壁体B1の構築における混合撹拌ヘッド6の掘進力の増大化を図ることができることはもちろんのこと、混合撹拌ヘッド6を鉛直方向に対して傾斜姿勢としたことにより増加した引き抜きベクトル、すなわち混合撹拌ヘッド6を傾斜姿勢としたことにより生ずるアタッチメントシリンダ10の引き抜き力も何ら問題にはならなくなる。
【0080】
[角度θ1,θ2を任意の角度に設定する地盤改良装置に関する説明]
次に、改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2を任意の角度に設定可能な地盤改良装置について説明する。
【0081】
図10は、
図1のように角度θ1=0°の場合において、改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2を任意の角度に設定可能な旋回機構7を中間ブラケットとして用いたアーム5と混合撹拌ヘッド6との連結部の説明図である。また、
図11は
図10に示した旋回機構7単独での平面図を示している。
【0082】
図10に示すように、ベースマシン1のアーム5と混合撹拌ヘッド6との間に介装された旋回機構7は、アーム5側となる非旋回部としてのリンクプレート26と、混合撹拌ヘッド6側となる旋回部としての旋回プレート27とを主要素として構成されていて、後述するように両者は相対回転可能に連結されている。
【0083】
リンクプレート26は略円板状の面板部28に所定距離隔てて一対の側板部29を立設したものであり、他方、旋回プレート27も面板部30上に立設した一対の側板部31がリンクプレート26の側板部29に対して90°位相がずれている点を除きリンクプレート26とほぼ同構造のものとなっている。そして、リンクプレート26と旋回プレート27の双方の面板部28,30同士がそれらの中央部を貫通する円筒状の軸部材32を介して相対回転可能に連結されている。その上で、双方の面板部28,30の周縁部に形成した
図11の多数のボルト穴33にそれぞれに挿入される図示外のボルトとナットとを介して両者が締結固定されるようになっている。
【0084】
さらに、リンクプレート26の側板部29はアーム5および当該アーム5側のリンク部材5aに対して連結ピン34により着脱可能に連結されるとともに、旋回プレート27の側板部31は混合撹拌ヘッド6側の上端部のブラケット部14に対して連結ピン35により着脱可能に連結されることになる。
【0085】
なお、混合撹拌ヘッド6側のブラケット部14はリンクプレート26の側板部29と共通化されており、旋回機構7を使用しない場合には、混合撹拌ヘッド6側のブラケット部14を連結ピン34または35を介して直接的にアーム5側に連結することが可能である。
【0086】
このような旋回機構7を用いることにより、面板部28,30同士を締結固定している複数のボルト・ナットの脱着を行って面板部28,30同士を相対回転させれば、各面板部28,30上の隣り合う二つのボルト穴33の中心が各面板部28,30の中心とのなす角度を最小角度として、旋回機構7におけるリンクプレート26と旋回プレート27とのなす角度、ひいては改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2を、
図5のように任意の角度に設定することが可能である。
【0087】
なお、
図11は、旋回機構7の自由度を使って、改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2を90°に設定した状態のものであって、その施工状況は先に説明した
図1,4に示したものとなる。
【0088】
また、
図12は、旋回機構7の自由度を使って、改良壁体Bの平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2を60°に設定した状態のものであって、その施工状況は
図5の(a),(b)に示したものとなる。
【0089】
ここで、
図1に示す旋回機構7では、アーム5側の非旋回部としてのリンクプレート26と混合撹拌ヘッド6側の旋回部としての旋回プレート27とを相対回転可能に連結する構造として、
図11に示した多数のボルト穴33にそれぞれに挿入される図示外のボルトとナットとを介して両者が締結固定される構造に加えて、脱落防止機構50を付加してある。
【0090】
より具体的には、リンクプレート26と旋回プレート27の双方の面板部28,30の中央部に円筒状の軸部材32を貫通させて両者の相対回転自由度を確保した上で、その軸部材32の両端部に当該軸部材32よりも大径のリング状の抜け止め部材32a,32bを嵌め合わせて、それぞれの抜け止め部材32a,32bを軸部材32の溶接固定してある。これにより、軸部材32は、リンクプレート26と旋回プレート27との相対回転のための軸体として機能しつつ、当該軸部材32の両端部に溶接固定される抜け止め部材32a,32bと共に脱落防止機構50を形成している。
【0091】
その結果として、脱落防止機構50が付加されていることにより、
図11に示した多数のボルト穴33にそれぞれに挿入されて、アーム5側のリンクプレート26と混合撹拌ヘッド6側の旋回プレート27とを締結固定している図示外のボルトとナットの全てが仮に脱落したとしても、アーム5側のリンクプレート26と混合撹拌ヘッド6側の旋回プレート27とが切り離されることがないように、つまり、リンクプレート26と旋回プレート27とが脱落防止機構50により実質的に不離一体に連結されていて、リンクプレート26からの旋回プレート27の脱落が阻止される構造となっている。これにより、例えば過負荷によるトラブル発生の抑制化と安全性の向上が図られている。
【0092】
言い換えるならば、
図11にした多数のボルト穴33にそれぞれに挿入されるボルトとそれに螺合するナットとが、アーム5側のリンクプレート26と混合撹拌ヘッド6側の旋回プレート27との相対回転位置を規制しつつ両者を位置決めして締結固定する機能を有しているならば、それとは別に、脱落防止機構50は、リンクプレート26と旋回プレート27との相対回転自由度を確保しつつ、上記ボルト,ナットに依存することなく、リンクプレート26と旋回プレート27とを実質的に不離一体に連結して、両者の切り離し(リンクプレート26からの旋回プレート27の脱落)を防止する機能を有している。
【0093】
また、上記旋回機構7の構造として、リンクプレート26に対し旋回プレート27を円筒状の軸部材32を回転中心として任意の角度に旋回させた後、多数のボルト・ナットにて締結固定する構造としていることにより、例えば特許文献2の
図5,6に開示されているようなモータ駆動方式のものと比べて、駆動部のトラブルが少なく旋回機構7の構造を簡素化できるとともに、堅牢性および耐久性にも優れたものとなる。
【0094】
次に、鉛直線に対して改良壁体が傾斜姿勢となる傾斜改良壁体B1の構築に適した地盤改良装置について説明する。
【0095】
先に説明した
図7は、鉛直線に対して改良壁体が傾斜姿勢となる傾斜改良壁体B1(混合撹拌ヘッド6)の角度θ1としてθ1=30°に設定した場合の側面図である。同様に
図8は、上記のように角度θ1=30°に設定した場合であって、且つ傾斜改良壁体B1の平面中心線C1とベースマシン1のブーム4等の平面中心線C2とのなす角度θ2が90°となるように混合撹拌ヘッド6を構えた場合の平面図である。
図9は、同様に傾斜角度θ1=30°に設定した場合であって、且つ角度θ2=60°に設定した場合の平面図である。
【0096】
図13は、
図7におけるベースマシン1のアーム5の先端部と混合撹拌ヘッド6との連結部の詳細を示す図で、
図10に示した旋回機構7に代わる角度変換機能付きの旋回機構37が用いられている。なお、
図13において、
図10と共通する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0097】
図13に示す旋回機構37は、非旋回部としてのピン脱着式のリンクプレート26と、旋回部としての同じくピン脱着式の旋回プレート36とが円筒状の軸部材32を介して相対回転可能に連結されている点で
図10に示したものと同じであるものの、旋回プレート36のうち一対の側板部31が立設された補助面板部38と面板部30との間に角度θ1(ここでは、θ1=30°)のウエッジプレート39が介装されている点で相違している。ここで、角度θ1はθ1=30°で且つ上記θ2≦β−θ1の関係を満たすように設定されている。なお、先に述べたように、角度βは1°〜89°の範囲のものである。
【0098】
したがって、このような角度変換機能を有する旋回機構37を使用した場合には、θ2≦β−θ1の関係を満たすようにリンクプレート26に対する旋回プレート36の角度を調整するならば、所望の角度θ1で且つ望ましい角度θ2のもとで傾斜改良壁体B1の構築が可能となる。また、このような角度変換機能を有する旋回機構37を使用することで、
図10の使用形態で使用した混合撹拌ヘッド6をそのまま使用することが可能となる。
【0099】
なお、角度βの設定次第で角度θ2の値が異なることになるが、現場状況に応じて適宜、角度θ2の値として、89°よりも80°、80°よりも60°と、より小さな角度を選択してθ2の値を設定することにより、より望ましいθ1とθ2とに基づく姿勢調整が可能となる。
【0100】
図14は、
図10に示すベースマシン1のアーム5の先端部と混合撹拌ヘッド6との間に介装される旋回機構7の別の例を示している。
【0101】
図14に示す旋回機構47は、
図10に示したものと比較すると明らかなように、非旋回部としてのピン脱着式のリンクプレート26と、旋回部としての旋回プレート40とが、円筒状の軸部材32を介して相対回転可能に連結されている点で
図10に示したものと同じ構造である。その一方、旋回プレート40の面板部30に混合撹拌ヘッド6の上端部のブラケット部14がピン脱着によらずに直接的に溶接等にて一体的に接続されている点で
図10に示したものと異なっている。それ以外の構造は
図10に示したものと同様である。
【0102】
このような構造の旋回機構47によれば、旋回機構47が実質的に混合撹拌ヘッド6と一体化されていることにより、
図10に示したものと比べて構造の簡素化が図れるとともに、ベースマシン1のアーム5に対する脱着も容易となる。
【0103】
図15は、
図13に示すベースマシン1のアーム5の先端部と混合撹拌ヘッド6との間に介装されるいわゆる角度変換機能付きの旋回機構37の別の例を示している。
【0104】
図15に示す旋回機構57は、
図13に示したものと比較すると明らかなように、非旋回部としてのピン脱着式のリンクプレート26と、旋回部としての旋回プレート41とが、円筒状の軸部材32を介して相対回転に構成されている点で
図13に示したものと同じ構造である。その一方、旋回プレート41のうち面板部30にウエッジプレート39を介して固定された補助面板部38に対し、混合撹拌ヘッド6の上端部のブラケット部14がピン脱着によらずに直接的に溶接等にて一体的に接続されている点で
図13に示したものと異なっている。それ以外の構造は
図13に示したものと同様である。
【0105】
このようなウエッジプレート39による角度変化機能付きの旋回機構57によれば、旋回機構57が実質的に混合撹拌ヘッド6と一体化されていることにより、
図13に示したものと比べて構造の簡素化が図れるとともに、ベースマシン1のアーム5に対する脱着も容易となる。
【0106】
[地盤改良装置を使用したハニカム状改良壁体施工事例]
これまでに説明したような地盤改良装置を用いるならば、例えば特許文献2に開示されているような平面形状がいわゆるハニカム状(六角形)の改良壁体を構築する場合にも好都合となる。
【0107】
図16は、このハニカム状の改良壁体B2の構築例を示すものであって、角度θ1≒0°の鉛直な改良壁体を角度θ2≒15°の位置による施工例を示している。同図でのベースマシン1と混合撹拌ヘッド6の位置は15°≦89°−0°≦89°であり、先にも述べたように、θ2≦β−θ1の関係を満たすようにベースマシン1と混合撹拌ヘッド6の姿勢は調整されている。この場合、角度θ2は15°≦θ2≦89°の範囲にて施工可能であるが、現場が狭隘で作業スペースが著しく制限されるようなケースでは、θ2≒15°とすることが望ましい。なお、
図16から明らかなように、改良壁体B2の外側にベースマシン1をセットすることにより、構築された改良壁体B2に干渉することなく施工が可能となる。
【0108】
この施工事例にて、ベースマシン1のブーム4とアーム5およびアタッチメントシリンダ10の揺動動作の詳細について以下に述べる。
図16に示したハニカム状の改良壁体B2の構築は、ブームシリンダ8とアームシリンダ9を伸縮させてブーム4とアーム5の揺動動作を行い、混合撹拌ヘッド6を改良壁体B2の構築方向に後進させながら行うものとする。そして、改良壁体B2を所定量だけ構築したならば、ブーム4とアーム5の揺動動作を停止させてその構築量相当分だけベースマシン1を後進させる。
【0109】
六角形をなすハニカム状の改良壁体B2の各辺の直線部分は、この揺動動作による混合撹拌ヘッド6の掘進(後進)とベースマシン1の後進を交互に繰り返して、辺と辺とが交わる六角形の頂点まで混合撹拌ヘッド6を掘進させる。混合撹拌ヘッド6を頂点まで掘進させたならば、ベースマシン1を方向転換させて次の辺とベースマシン1の履帯2とがほぼ平行となるように再セット(位置決定)する。この場合、角度θ2はθ2≒15°となるようにセットする。
【0110】
ただし、前述の揺動動作にて混合撹拌ヘッド6を後進させるのは、ブームシリンダ8を伸ばす操作にほかならず、その時、ブーム4とアーム5の連結ピンを回転中心として混合撹拌ヘッド6の先端側を引き込むこととなり、混合撹拌ヘッド6が傾斜姿勢となる。その傾斜補正には、アームシリンダ9を縮めて、混合撹拌ヘッド6の角度θ1がθ1≒0°となるように操作する。
【0111】
このように、混合撹拌ヘッド6を鉛直姿勢(θ1=0°)に保持しつつブーム4およびアーム5の揺動動作にて混合撹拌ヘッド6を改良壁体B2の構築方向へ掘進させるには、ブームシリンダ8とアームシリンダ9およびアタッチメントシリンダ10のそれぞれを適宜伸縮させることが求められる。なお、先に述べた傾斜改良壁体B1を構築する場合における傾斜角度θ1を保持する場合も同様である。そして、ここでの掘進方向の計測管理は、例えば本発明の発明者が提案する技術(特許第3698704号公報)によるレーザ発光器と受光器を採用することにより、構築すべき方向を正確に示しつつ行うものとする。また、ここでの傾斜角度は、キャビン(運転室)内に設置されている傾斜計をもとにオペレータが操作するものとする。
【0112】
また、
図16に示したような施工形態は、平面形状がハニカム状(六角形)のみならず、四角形、五角形、八角形、円形等の改良壁体にて原地盤を囲い込むようなケースから遮水壁や土留壁のような改良壁体を筋状に構築するケースにおいても有効な手段である。
【0113】
なお、角度θ1の値を整数としたとき、望ましい位置関係をθ2≦89°−θ1より求めると、例えばθ1が30°の場合にはθ2は59°となる。この場合の地盤改良装置としてのθ2は60°であっても施工上何ら問題はない。
【解決手段】ベースマシン1に装着されたた混合撹拌ヘッド6を地中に貫入し、て改良壁体Bを構築する方法である。改良壁体Bの平面中心線C1に対しベースマシン1の履帯2をほぼ平行に保ちつつ、平面中心線C1とブーム4の平面中心線C2とのなす角度を鋭角とした上で、混合撹拌ヘッド6を平面中心線C1方向に掘進させるにあたり、ブーム4の揺動動作方向の力Pに基づく平面中心線C1方向の分力P1を当該平面中心線C1方向への掘進ベクトルとして活用して混合撹拌ヘッド6を掘進させる。