特許第6113343号(P6113343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6113343-麩菓子の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6113343
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】麩菓子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   A23G3/00 108
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-170469(P2016-170469)
(22)【出願日】2016年9月1日
【審査請求日】2016年9月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510053248
【氏名又は名称】株式会社いとふ
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−165728(JP,A)
【文献】 特開2010−200726(JP,A)
【文献】 特開昭59−048054(JP,A)
【文献】 特開昭61−085181(JP,A)
【文献】 特開昭62−011059(JP,A)
【文献】 特開2001−275593(JP,A)
【文献】 特開昭61−141848(JP,A)
【文献】 特開昭61−056048(JP,A)
【文献】 特開昭54−113459(JP,A)
【文献】 特開平06−319451(JP,A)
【文献】 特表2014−521320(JP,A)
【文献】 特開昭61−001357(JP,A)
【文献】 特開昭61−242556(JP,A)
【文献】 特開平11−009193(JP,A)
【文献】 特開昭58−141744(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00630828(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を粒状に成形する成形工程と、粒状に成形された粒状生地を冷凍する冷凍工程と、
冷凍された状態の粒状生地を油で揚げて油麩を製造する揚げ工程と、
前記油麩を遠心分離器にかけて脱油する脱油工程と、を含むことを特徴とする麩菓子の製造方法。
【請求項2】
前記脱油工程においては、油麩をネット袋に入れて遠心分離器にかけることを特徴とする請求項1に記載の麩菓子の製造方法。
【請求項3】
前記成形工程において成形された粒状生地を、斜めに傾けて設置された回転ドラム内を通過させて球状に整える整形工程を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の麩菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油麩を用いた麩菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麩は日本における伝統食品であり、低カロリーで健康やダイエットに良いとして注目されている。このような麩を主原料とした麩菓子としては、棒状の焼き麩に砂糖蜜を浸み込ませた駄菓子が有名であるが、近年では焼麩にチョコレートをかけたチョコレート菓子や(例えば、特許文献1参照)、油で揚げた油麩に調味粉末をまぶして味付けされた油菓子など(例えば、非特許文献1参照)、新たな麩菓子が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2011−15649号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社いとふ−オンラインショップ OFUシリーズ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した油菓子は油を含みやすく、カロリーの高さやベトベトした食感の悪さが課題であった。そこで、油麩に代えて焼麩に調味粉末をまぶして味付けすることでカロリーやベトベト感を抑えることも考えられるが、焼麩の場合は調味粉末が付着しにくく、味付けが難しいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、油麩を用いても軽い食感にできる麩菓子の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の麩菓子の製造方法は、生地を粒状に成形する成形工程と、粒状に成形された粒状生地を冷凍する冷凍工程と、冷凍された状態の粒状生地を油で揚げて油麩を製造する揚げ工程と、前記油麩を遠心分離器にかけて脱油する脱油工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の麩菓子の製造方法によれば、油麩を遠心分離器にかけて脱油するので、油麩をより効果的に脱油することができ、食べたときのベトベト感をなくして軽い食感の麩菓子を製造でき、またカロリーを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る麩菓子の製造方向を示すフローチャート。
図2図1に示す剥離工程において用いられる剥離機を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る麩菓子の製造方法について説明する。
【0011】
まず、麩の原料である小麦粉と小麦たんぱくを所定割合(例えば6:4)で配合し(S1:配合工程)、これをミキサーで混捏して混捏生地をつくる(S2:混捏工程)。混捏生地を練り機で約2分間練った後(S3:練り工程)、粒状切断機を用いて生地を直径7mm程度の粒状に切断(成形)し(S4:成形工程)、剥離機を用いて粒状生地に付着している余分な粉を落とす(S5:剥離工程)。本実施形態においては、剥離機として図2に示す回転ドラム式の粉ふるい装置1を使用する。粉ふるい装置1は、メッシュ素材からなる筒状部(回転ドラム)11と、回転軸12と、筒状部11と回転軸12とを接続する複数の接続部材13と、を備え、回転軸12が駆動手段(図示せず)により回転駆動されると筒状部11は回転軸12と一体的に回転する。粉ふるい装置1は、筒状部11の長手方向(回転軸線方向)が水平方向に対して斜めになるように傾けて設置されている。筒状部11は長手方向両端が開口されており、上方に位置する一方の開口が投入口11aとして機能し、下方に位置する他方の開口が排出口11bとして機能する。
【0012】
本実施形態では、S4の成形工程において用いられる粒状切断機と粉ふるい装置1の投入口11aの間に搬送経路3が設けられており、S4において成形された粒状生地2は搬送経路3を介して自動的に投入口11aから筒状部11内に投入される。このようにして投入された粒状生地2は、回転する筒状部11内を転がりながら通過して排出口11bから排出される。そして、このように粒状生地2が筒状部11内で転がることにより、粒状生地2に付着した余分な粉が剥離されると共に、粒状生地2がより丸い形に整えられる(整形工程)。粒状生地2から剥離された粉は、筒状部11のメッシュ素材からなる周面を介して落下する。
【0013】
その後、粒状生地2を冷凍してねかせる(S6:冷凍工程)。直径7mm程の粒状生地を用いる本実施形態では、−18°以下の冷凍庫で5時間以上冷やすことにより、生地の中心部まで完全に凍らせることができる。
【0014】
次に、凍ったままの粒状生地2を185°〜195°の米油で約11分間揚げて、油麩を作る(S7:揚げ工程)。一定量(例えば、500g〜900g)の油麩をネット袋に入れて遠心分離器にかけ、余分な油を取り除き(S8:脱油工程)、最後にシーズニング等の調味粉末をまぶして味付けする(S9:味付け工程)。
【0015】
このように、本実施形態においては、剥離機として斜めに傾けて設置された回転ドラム式の粉ふるい装置1を用いるので、投入口11aから投入された粒状生地2は自然に排出口11bから排出される。よって、粒状生地2の投入及び/又は排出作業のために粉ふるい装置1の回転を停止させる必要がなく、粒状生地2を連続的に投入しながら作業を継続でき、作業効率を向上できる。また、粉ふるい装置1では、余分な粉を剥離しながら粒状生地2の形状をより綺麗な球状に整えることができるので、剥離工程と、粒状生地2の形状を整える整形工程とを同時に行うことができ、作業効率を向上できる。更に、整形工程が行われることにより、より見栄えの良い麩菓子を製造できる。
【0016】
また、粒状生地を凍らせてから揚げるので、従来のものと比較して食感を良くでき、また均一な品質の麩を製造することができる。即ち、非特許文献1に開示の従来の油菓子(麩菓子)においては、粒状に成形された生地を寝かせることなく順次揚げていたので、粒状に成形してから油で揚げるまでに時間が空くと生地がヘタってしまい、揚げたときに生地が膨らみ過ぎてボソボソした食感の麩になっていた。また、粒状に成形してから油で揚げるまでの時間が一定でなく、成形してから直ぐに揚げたものと、成形してから時間をおいて揚げたものとでは食感が異なり、均一な品質の麩にならなかった。更に、生地は成形されることにより熱を持ち、このように熱を持った状態では生地が安定せず、この状態で揚げると食感に悪影響がでてしまう。
【0017】
この点、本実施形態においては、粒状生地をその中心部まで凍らせてねかせるので、成形されてから油調されるまでの間に生地がヘタることがなく、サクサクとした食感の麩を製造することができる。また、生地を5時間以上ねかせることで生地が安定し、これによっても食感の良い麩を製造することができる。更に、全ての粒状生地を均一の状態で揚げるので、品質のバラツキも回避できる。
【0018】
また、本実施形態においては油麩を遠心分離器にかけるので、余分な油を確実に除去することができ、油っぽさが解消され、カロリーも抑えられる。即ち、油で揚げることで麩には多数の微小な孔が形成されるが、これらの孔は他のスナック菓子等に形成される孔と比較しても極めて小さい。そのため、油麩に形成された微細な孔に含有された油は排出されにくく、油麩を網板に載せる等の通常の油切り作業では十分な油切りができない。この点、本実施形態では油麩を遠心分離器にかけるので、微小な孔から油を効果的に除去できる。実際に900gの油麩(7080kcal)を遠心分離器で脱油したところ、200gの油(1842kcal)を脱油でき、カロリーを約25%抑えることができた。
【0019】
また、油麩をネット袋に入れて遠心分離器にかけるので、回転する遠心分離器の中で油麩同士が過度にぶつかり合って形が崩れるのを防止できる。また、ネット袋ごと遠心分離器から取り出すことができるので、作業性が良い。更に、油麩が遠心分離器に設けられた透孔(油を通すための孔)に詰まるのを防止できる。
【0020】
更に、本実施形態においては、焼麩に代えて油麩を用いるので、調味粉末が麩に良好に付着する。これは、生地を揚げることで油麩の表面には焼麩にはない多くの凹凸ができ、この凹凸によって調味粉末が付着し易くなると共に、油が接着剤の役割を果たすためである。
【0021】
以上、本発明の実施形態に係る麩菓子の製造方法について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【要約】      (修正有)
【課題】油麩を用いたより軽い食感の麩菓子の製造方法の提供。
【解決手段】粒状生地を油で揚げて油麩を製造する揚げ工程S7と、前記油麩を遠心分離器にかけて脱油する脱油工程S8と、を含む麩菓子の製造方法。生地を粒状に成形する成形工程S4と、粒状に成形された粒状生地を冷凍する冷凍工程S6と、を更に含み、揚げ工程S7では、冷凍された状態の粒状生地を油で揚げる麩菓子の製造方法。成形工程S4において成形された粒状生地を、斜めに傾けて設置された回軸ドラム式粉ふるい機にかけて余分な粉を除去する剥離工程S5を更に行うことが好ましい麩菓子の製造方法。
【選択図】図1
図1
図2