特許第6113355号(P6113355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113355被加工物表面および帯状材料を検査するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113355
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】被加工物表面および帯状材料を検査するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20170403BHJP
   G01B 21/08 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   G01N21/892 B
   G01B21/08
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-516506(P2016-516506)
(86)(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公表番号】特表2016-531274(P2016-531274A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】DE2014000375
(87)【国際公開番号】WO2015010681
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】102013012174.4
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513118306
【氏名又は名称】ツェットエス−ハンドリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ZS−Handling GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シルプ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ツィマーマン
(72)【発明者】
【氏名】アドルフ ツィツマン
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/011154(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00315315(EP,A1)
【文献】 特開平07−187388(JP,A)
【文献】 特開2000−329707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01N 27/72−27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物表面および帯状材料を検査するための装置において、
該装置は以下の特徴、すなわち、
・ 特別な被加工物表面および/または特別な帯状材料(2)の帯状表面を検査するために形成された少なくとも1つのセンサ(7)と、
・ 音波放出面を有する少なくとも1つのソノトロードであって、前記センサ(7)と機械的に固定されて接続されており、これによってセンサユニット(5)を形成するソノトロード(8a,8b)と、
・ 前記加工物表面または前記帯状表面とは反対側で、前記センサユニット(5)を位置決めするための、当該センサユニット(5)に接続された可動の位置決め装置(6)とを有しており、
・ 前記位置決め装置(6)は、前記センサユニット(5)を前記被加工物表面または前記帯状表面の方向に押し付ける押付手段を有しており、ここではあらかじめ設定した押付力が形成されるかまたは重力が押付力として利用され、
・ 前記ソノトロード(8a,8b)の前記音波放出面は超音波振動するため、前記被加工物表面または前記帯状表面と、前記音波放面との間にガス状の媒体が存在するという条件下で超音波浮揚力場が作用し、当該超音波浮揚力場により、前記押付力とは逆方向を向いた反力が形成され、これによって前記センサユニットが、前記被加工物表面または前記帯状表面から離隔されて浮揚して保持され、
前記センサは、
・ 前記被加工物表面または前記帯状表面の表面構造の差異または色の差異または反射特性の差異または材料均一性またはエラー箇所、または、
前記状材料の厚さまたは被着されたコーティングの厚さ、または、
・ 前記被加工物表面または前記帯状表面における表面温度を検出するように形成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記被加工物表面(2)と業ユニット(3)との間の間隔を制御するための間隔制御部が設けられており、
前記間隔は、音響エネルギの変化によって変化する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサ(7)は、少なくとも2つのソノトロード(8a,8b)によって包囲されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記センサ(7)は、別々に駆動制御可能である少なくとも2つのソノトロード(8a,8b)に接続されている、
請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカメラまたは渦電流センサのようなセンサを用いて、被加工物表面を検査するための装置に関する。本発明は特に、被加工物表面に対して一定の間隔で上記のセンサを保持し、間隔変化を迅速に修正するのに適した装置に関する。本発明はさらに、帯状材料における材料特性を検査または測定することに関する。
【0002】
従来技術からは、被加工物または帯状材料の表面を検査できるようにする複数のシステムが公知である。このためにはあらかじめ定めた位置に複数のセンサを正確に保持する必要がある。例えば、極めて被写界深度の小さい光学系を用いて光学的な検査を行う場合、被加工物表面上にこの光学系を案内する際、この光学系の対物レンズと被加工物表面との間隔を一定に保たなければならない。このようなシステムは、国際公開第94/18643号パンフレットおよび国際公開第01/23869A1号パンフレットから公知である。これと似たような要求は、別の複数のセンサにも、また、例えば容量式または誘導式の検査方法のような別の測定方法または検査方法にもある。
【0003】
要求される測定精度が高くなればなるほど、測定装置の機械的な構造に対する要求も高くなる。このことは特に、測定精度が、センサ位置と被加工物表面との間の所定の間隔を維持することに依存する場合に当てはまる。例えば帯状材料を監視する際に、センサを帯状材料の表面の上方で接近してこの帯の運動方向に対して横方向に運動させなければならない場合、このために固定のクロスビームが使用される。
【0004】
帯状材料は運動中、ほとんどの場合にわずかに振動するため、測定エラーが生じる。測定位置において帯がローラ上を走行する場合にも測定エラーが生じる。なぜならばローラは非真円性を有し得るからである。検査対象の帯状材料が、例えば硬い表面を有する薄鋼板である場合、このような場合にセンサは、薄鋼板の表面上を転がる補助輪を備えたキャリッジに接続され得るため、このセンサは、鋼鉄製の帯状表面に対してつねに同じ間隔を有する。
【0005】
しかしながら、処理プロセス中、例えばコーティング中に帯状材料を検査しなければならない一連の応用が存在する。ここでは帯状材料は、例えば、乾燥トンネルを通過し、この乾燥トンネルでは、一定の温度および均一な温度分布を維持しなければならない。この場合、上で説明した装置は、2つの理由から使用することができないのである。すなわち、補助輪が帯状材料と直接機械的に接触接続していることにより、一方ではこの帯状材料の弱い表面が損傷される可能性があり、他方ではこの帯状材料の表面温度が接触箇所において変化してしまう可能があるのである。
【0006】
したがって本発明の課題は、センサが、運動する被加工物表面上にあらかじめ定めた間隔で正確に位置決めされるかまたは運動することができるようにし、また、被加工物の厚さが変動する場合、または、補助またはガイドローラに非真円性がある場合、以下では測定間隔と称される、測定システムと被加工物表面との間の間隔が一定に保たれるようにする装置を提供することである。別の要件は、所望の測定間隔を維持するためのセンサの再調整が極めて短い時間に行われるようにしなければならないことであり、また、測定箇所における帯状材料の温度分布が可能な限りに影響を受けないようにすることである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載した装置により、少なくとも1つの超音波ソノトロードが、測定システムに機械的に接続されることによって解決される。この超音波ソノトロードは、その音波放出面が被加工物表面に対向するように配向され、かつ、ソノトロードと被加工物が押付手段によって互いに押し付けられる場合に、上記の放出された音波が、ソノトロード表面と被加工物表面との接触を阻止する浮揚力場を形成するように駆動される。
【0008】
押付手段とは、ソノトロードとこれに接続されたセンサとを、あらかじめ設定した押付力で被加工物表面に押し付けるのに適したすべての技術的手段のことである。この押付力は、機械式のばね、制御された機械的な駆動器、液圧式または空気式の駆動器によって形成することができる。押付力は、磁気的な吸引または反発によって形成することもでき、また質量体に加わる重力を利用することにより、または、真空により、すなわち、外部の空気圧を利用することによって形成することもできる。
【0009】
上で説明した表面検査のための装置の重要な利点は、上記の浮揚力場により、測定箇所または検査箇所における温度分布が実質的に影響を受けないことである。
【0010】
センサと被加工物表面との間隔は、ソノトロードが取り入れる電力を変化させることにより、必要に応じて変化させることができる。これによって振動振幅が変化する。同様にソノトロードの電力制御により、センサと被加工物表面との間隔を極めて高速に変化させることも可能である。
【0011】
ソノトロードの音波放出面は、被加工物表面に対応する形状を有する。すなわち、この音波放出面は、被加工物表面が平らな場合には平坦に実施され、2次元または3次元的に湾曲した被加工物表面の場合にはこれに適合して湾曲されるのである。
【0012】
請求項2によれば、被加工物表面と作業ユニットとの間の間隔を制御するための間隔制御部が設けられており、ここでこの間隔は、音響エネルギの変化によって変化させることができる。これにより、被加工物表面を基準にしたセンサの特に迅速かつ正確な再調整が可能になる。
【0013】
請求項3によれば、センサは少なくとも2つのソノトロードによって包囲される。この配置構成は特に有利である。なぜならば、これによってセンサが、有害な影響から遮られるからである。
【0014】
請求項4によれば、センサは、別々に駆動制御可能な少なくとも2つのソノトロードに接続される。この実施形態の利点は、ソノトロードを別々に駆動制御することにより、可動に吊されたセンサユニットをわずかに傾けることも可能であり、これによりセンサを一層正確に位置決めすることができる。
【0015】
2つの図に関連した1つの例において、表面検査のための装置を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】熱処理プロセスを実行するトンネル炉を示す図である。
図2】帯状材料2の表面側を向いたセンサユニット5の下面を示す図である。
【0017】
図1には、熱処理プロセスが実行されるトンネル炉1が示されている。帯状材料2は、駆動ローラ3上でトンネル炉1を通して案内される。トンネル炉1の入口では噴霧装置4によって帯状材料2に塗料が吹き付けられる。トンネル炉1の出口には、表面検査のための、略示したセンサユニット5が配置されている。センサユニット5は、可動の懸架部6に吊されており、帯状材料2上を300μmの間隔で浮揚している。ここで注意すべきであるのは、帯状材料表面を基準にしたセンサユニット5の間隔は、可動の懸架部6によって調整されるのではないことである。懸架部6は、センサユニット5の重量の一部を支えるためだけに使用される。重量の残りの部分は、重力による押付力として使用され、この押付力は、超音波浮揚力場によって形成される力に抗して作用する。
【0018】
図2には、帯状材料2の表面側を向いたセンサユニット5の下面が略示されている。参照符号7により、センサ、例えばカメラが示されている。参照符号8a,bは、超音波浮揚力場を形成する2つソノトロードを示している。ここで強調したいのは、トンネル炉から出た帯状材料2上の塗料まだ完全には硬化しておらず、そのために機械的な接触に対して弱いことである。この帯の温度を一定に保ち、測定過程によって影響を受けないことも特に重要である。しかしながら噴霧装置の後ろで可能な限りに近接して層厚を求められるようにし、これによって塗料の厚さの差異または別のエラーを迅速に識別して修正できるようにすることも重要である。
【0019】
浮揚力場は、帯状材料の表面2における温度分布にほとんど影響を及ぼさないため、この測定により、弱い塗料層が影響を受けることはない。
図1
図2