特許第6113360号(P6113360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6113360
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】電力伝送装置及び高周波電源
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20170403BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20170403BHJP
【FI】
   H02J50/12
   H02J50/40
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-525628(P2016-525628)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(86)【国際出願番号】JP2016051887
【審査請求日】2016年4月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】阿久澤 好幸
【審査官】 安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/081065(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/029221(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/189391(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0252877(US,A1)
【文献】 特表2008−520178(JP,A)
【文献】 特許第5738497(JP,B1)
【文献】 国際公開第2015/025881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00−19/32
G05F 1/12− 1/44
1/45− 7/00
G06K 17/00−19/18
H02J 3/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
H02M 7/00− 7/98
H04B 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流源から商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流する入力回路、前記入力回路により全波整流された電力を前記商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ、及び第1の共振整合回路を有する高周波電源と、
前記インバータにより変換された電力を伝送する共振型送信アンテナと、
前記共振型送信アンテナにより伝送された電力を受信する共振型受信アンテナと、
前記共振型受信アンテナにより受信された電力を全波整流する全波整流回路、及び前記全波整流回路により全波整流された電力を半分の周波数の交流に変換する出力回路を有する高周波整流回路とを備え、
前記入力回路は、
カソードが前記商用交流源の一方の端子に接続された第1の整流ダイオードと、
カソードが前記商用交流源の他方の端子に接続された第2の整流ダイオードと、
アノードが前記商用交流源の一方の端子に接続された第3の整流ダイオードと、
アノードが前記商用交流源の他方の端子に接続された第4の整流ダイオードとを有し、
前記インバータは、
一端が前記第3の整流ダイオードのカソード及び前記第4の整流ダイオードのカソードに接続された第1のインダクタと、
一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第1のコンデンサと、
一端が前記第1のインダクタの他端に接続された第2のインダクタと、
一端が前記第2のインダクタの他端に接続された第2のコンデンサと、
ドレイン端子が前記第1のインダクタの他端に接続され、ソース端子が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第1のスイッチング素子とを有し、
前記第1の共振整合回路は、
一端が前記第2のコンデンサの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第3のコンデンサと、
一端が前記第2のコンデンサの他端に接続された第3のインダクタと、
一端が前記第3のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第4のコンデンサとを有する
ことを特徴とする電力伝送装置。
【請求項2】
前記全波整流回路は、ブリッジ整流回路である
ことを特徴とする請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記共振型送信アンテナと前記共振型受信アンテナは、磁界共鳴、電界共鳴又は電磁誘導により電力伝送を行う
ことを特徴とする請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記共振型送信アンテナと前記共振型受信アンテナは等価的に1点接続された
ことを特徴とする請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記共振型送信アンテナ及び前記共振型受信アンテナの両方又はどちらか一方は2個以上のコイルから構成された
ことを特徴とする請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記共振型送信アンテナは固定部に設置され、
前記共振型受信アンテナは、停止した際又は移動中に前記固定部と対向する移動体に設置された
ことを特徴とする請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項7】
商用交流源から商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力する電力伝送装置に用いられる高周波電源であって、
前記商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流する入力回路と、
前記入力回路により全波整流された電力を前記商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータと、
第1の共振整合回路とを備え、
前記入力回路は、
カソードが前記商用交流源の一方の端子に接続された第1の整流ダイオードと、
カソードが前記商用交流源の他方の端子に接続された第2の整流ダイオードと、
アノードが前記商用交流源の一方の端子に接続された第3の整流ダイオードと、
アノードが前記商用交流源の他方の端子に接続された第4の整流ダイオードとを有し、
前記インバータは、
一端が前記第3の整流ダイオードのカソード及び前記第4の整流ダイオードのカソードに接続された第1のインダクタと、
一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第1のコンデンサと、
一端が前記第1のインダクタの他端に接続された第2のインダクタと、
一端が前記第2のインダクタの他端に接続された第2のコンデンサと、
ドレイン端子が前記第1のインダクタの他端に接続され、ソース端子が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第1のスイッチング素子とを有し、
前記第1の共振整合回路は、
一端が前記第2のコンデンサの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第3のコンデンサと、
一端が前記第2のコンデンサの他端に接続された第3のインダクタと、
一端が前記第3のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1の整流ダイオードのアノード及び前記第2の整流ダイオードのアノードに接続された第4のコンデンサとを有する
ことを特徴とする高周波電源
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力する電力伝送装置及び高周波電源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、商用交流が入力されて無線電力伝送を行う電力伝送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示された電力伝送装置(無接触給電設備)では、まず、ブリッジ接続された整流ダイオードを有するコンバータは、入力された商用交流を直流へ変換する。そして、インバータは、当該直流を高周波交流(10kHz)に変換する。この変換された高周波交流は、誘電線路(送受信アンテナ)によって無接触電力伝送される。そして、ブリッジ接続された整流ダイオードを有するコンバータは、当該伝送された高周波交流を直流へ変換する。そして、インバータは、当該直流を高周波交流に変換し、負荷となるモータに出力している。
【0003】
図8は、従来の電力伝送装置をより一般的な機能ブロックで示した図である。
図8に示す電力伝送装置では、まず、AC/DCコンバータ101は、入力された商用交流(図8では50Hz)を直流へ変換する。そして、DC/ACインバータ102は、当該直流を高周波交流(図8では6.78MHz)へ変換する。この変換された高周波交流は、共振型送受信アンテナ103,104によって非接触電力伝送される。そして、AC/DC整流回路105は、当該伝送された高周波交流を直流へ変換する。そして、DC/ACインバータ106は、当該直流を上記商用交流と同じ周波数の交流(図8では50Hz)に変換し、負荷へ出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2005−162119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電力伝送装置では、図8に示すように、送信側にAC/DCコンバータ101を設け、受信側にDC/ACインバータ106を設ける必要がある。そのため、装置全体が大型化、重量化、高コスト化するという課題がある。
また、従来の構成では、入力された電力に対して直流への変換と周波数変換を繰り返すため、装置全体における入出力の電力伝送効率が低く、発熱量が多くなるため、その放熱のためのヒートシンク構造が大型化する。よって、これによっても、装置全体が大型化、重量化、高コスト化するという課題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、AC/DCコンバータ及びDC/ACインバータを用いずに、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力することができる電力伝送装置及び高周波電源を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電力伝送装置は、商用交流源から商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流する入力回路入力回路により全波整流された電力を商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ、及び第1の共振整合回路を有する高周波電源と、インバータにより変換された電力を伝送する共振型送信アンテナと、共振型送信アンテナにより伝送された電力を受信する共振型受信アンテナと、共振型受信アンテナにより受信された電力を全波整流する全波整流回路、及び全波整流回路により全波整流された電力を半分の周波数の交流に変換する出力回路を有する高周波整流回路とを備え、入力回路は、カソードが商用交流源の一方の端子に接続された第1の整流ダイオードと、カソードが商用交流源の他方の端子に接続された第2の整流ダイオードと、アノードが商用交流源の一方の端子に接続された第3の整流ダイオードと、アノードが商用交流源の他方の端子に接続された第4の整流ダイオードとを有し、インバータは、一端が第3の整流ダイオードのカソード及び第4の整流ダイオードのカソードに接続された第1のインダクタと、一端が第1のインダクタの他端に接続され、他端が第1の整流ダイオードのアノード及び第2の整流ダイオードのアノードに接続された第1のコンデンサと、一端が第1のインダクタの他端に接続された第2のインダクタと、一端が第2のインダクタの他端に接続された第2のコンデンサと、ドレイン端子が第1のインダクタの他端に接続され、ソース端子が第1の整流ダイオードのアノード及び第2の整流ダイオードのアノードに接続されたスイッチング素子とを有し、第1の共振整合回路は、一端が第2のコンデンサの他端に接続され、他端が第1の整流ダイオードのアノード及び第2の整流ダイオードのアノードに接続された第3のコンデンサと、一端が第2のコンデンサの他端に接続された第3のインダクタと、一端が第3のインダクタの他端に接続され、他端が第1の整流ダイオードのアノード及び第2の整流ダイオードのアノードに接続された第4のコンデンサとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、AC/DCコンバータ及びDC/ACインバータを用いずに、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1に係る電力伝送装置の構成例を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1における送信装置の回路構成例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態1における受信装置の回路構成例を示す図である。
図4図4A図4Dは、この発明の実施の形態1における送信装置の動作例を説明する図である。
図5図5A図5Cは、この発明の実施の形態1における受信装置の動作例を説明する図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る電力伝送装置の適用例を示す図であり、送信装置を固定部に設け、受信装置を移動体に設けた場合の側面図である。
図7】この発明の実施の形態1における共振型送信アンテナと共振型受信アンテナを有線接続した場合の構成例を示す図である。
図8】従来の電力伝送装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力伝送装置の構成例を示す図である。
電力伝送装置は、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力するものである。なお、商用交流としては、国内外で使用されている標準の周波数(50Hz又は60Hz)の交流、工業用として使用されている周波数の交流等の、低周波数の交流が挙げられる。また以下では、電力伝送装置が無線電力伝送を行う場合を例に説明を行う。
【0011】
この電力伝送装置は、図1に示すように、送信側AC/ACコンバータ(高周波電源)1、共振型送信アンテナ2、共振型受信アンテナ3及び受信側AC/ACコンバータ(高周波整流回路)4を備えている。なお、送信側AC/ACコンバータ1及び共振型送信アンテナ2は送信装置5を構成し、共振型受信アンテナ3及び受信側AC/ACコンバータ4は受信装置6を構成している。
【0012】
送信側AC/ACコンバータ1は、上記商用交流(図1では50Hz)が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の倍の周波数(図1では100Hz)の振幅変調を持ち、当該商用交流の周波数よりも高い周波数(図1では6.78MHz)の電力に変換するものである。この送信側AC/ACコンバータ1は、入力回路11、インバータ12及び共振整合回路13を有している。
【0013】
入力回路11は、上記商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流するものである。この入力回路11により全波整流された電力は、インバータ12に出力される。
【0014】
インバータ12は、入力回路11から出力された電力を、上記高い周波数でスイッチングすることで、当該高い周波数の電力に変換するものである。このインバータ12により変換された電力は、共振整合回路13を介して共振型送信アンテナ2に出力される。
【0015】
共振整合回路13は、インバータ12の出力インピーダンスと共振型送信アンテナ2の入力インピーダンスとの整合を取る(共振型送信アンテナ2との間で共振条件を合わせる)ものである。なお、共振整合回路13は、共振整合回路13を構成する各素子の定数が固定である固定整合型、各素子の定数が可変である可変整合型、各素子の定数が自動で可変されて整合を取る自動整合型の何れであってもよい。
【0016】
共振型送信アンテナ2は、インバータ12により変換された電力を入力して共振動作を行い、非放射型の電磁界を近傍に発生させることで、共振型受信アンテナ3に対して電力伝送を行う共振型の電力送信アンテナである。
【0017】
共振型受信アンテナ3は、共振型送信アンテナ2からの非放射型の電磁界と共振結合動作を行うことで電力を受信する共振型の電力受信アンテナである。この共振型受信アンテナ3により受信された電力は、受信側AC/ACコンバータ4の後述する共振整合回路41を介して全波整流回路42に出力される。
【0018】
なお、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3との間の電力の無線伝送方式は特に限定されるものではなく、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、電磁誘導による方式の何れであってもよい。
【0019】
受信側AC/ACコンバータ4は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を、上記商用交流と同じ周波数(図1では50Hz)の交流に変換するものである。この受信側AC/ACコンバータ4は、共振整合回路41、全波整流回路42及び出力回路43を有している。
【0020】
共振整合回路41は、共振型受信アンテナ3の出力インピーダンスと全波整流回路42の入力インピーダンスとの整合を取る(共振型受信アンテナ3との間で共振条件を合わせる)ものである。なお、共振整合回路41は、共振整合回路41を構成する各素子の定数が固定である固定整合型、各素子の定数が可変である可変整合型、各素子の定数が自動で可変されて整合を取る自動整合型の何れであってもよい。
【0021】
全波整流回路42は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流するものである。この全波整流回路42により全波整流された電力は、出力回路43に出力される。
【0022】
出力回路43は、全波整流回路42により全波整流された電力を、半分の周波数の交流に変換するものである。これにより、上記商用交流と同じ周波数の交流を得ることができる。この出力回路43により変換された電力は、負荷(不図示)に出力される。
【0023】
次に、送信装置5の具体的な回路構成例について、図2を参照しながら説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における送信装置5の回路構成例を示す図である。なお図2では、送信装置5の入力端に、商用交流を出力する商用交流源7が接続された場合を示している。また図2では、入力回路11としてブリッジ整流回路を用い、インバータ12としてE級型のインバータを用いた場合を示している。
【0024】
まず、送信側AC/ACコンバータ1の回路構成例について説明する。
図2では、送信側AC/ACコンバータ1の入力回路11は、整流ダイオードD11〜D14により構成されている。
【0025】
整流ダイオードD11〜D14は、ブリッジ接続され、商用交流源7から入力された電力を全波整流するものである。
整流ダイオードD11〜D14は、整流ダイオードD11のカソード及び整流ダイオードD13のアノードが商用交流源7の一端(プラス端子)に接続され、整流ダイオードD12のカソード及び整流ダイオードD14のアノードが商用交流源7の他端(マイナス端子)に接続されている。
【0026】
また、送信側AC/ACコンバータ1のインバータ12は、インダクタL11、共振回路素子(コンデンサC11,C12及びインダクタL12)及びスイッチング素子Q11により構成されている。
【0027】
インダクタL11は、入力回路11から入力された電力を、スイッチング素子Q11の動作毎に一時的に保持する働きをするものである。このインダクタL11は、一端が整流ダイオードD13のカソード及び整流ダイオードD14のカソードに接続されている。
【0028】
共振回路素子(コンデンサC11,C12及びインダクタL12)は、スイッチング素子Q11のスイッチング動作を共振スイッチング動作とさせるものである。すなわち、この共振回路素子により、スイッチング素子Q11のスイッチング動作が、Ids電流とVds電圧積によるスイッチング損失が最も小さくなるように、ZVS(ゼロボルテージスイッチング)が成立するように、スイッチング条件が設定されている。
【0029】
コンデンサC11は、一端がインダクタL11の他端に接続され、他端が整流ダイオードD11のアノード及び整流ダイオードD12のアノードに接続されている。また、インダクタL12は、一端がインダクタL11の他端に接続されている。また、コンデンサC12は、一端がインダクタL12の他端に接続されている。
【0030】
スイッチング素子Q11は、上記高い周波数でスイッチング動作を行うものである。このスイッチング素子Q11は、ドレイン端子がインダクタL11の他端に接続され、ソース端子が整流ダイオードD11のアノード及び整流ダイオードD12のアノードに接続されている。
【0031】
また、送信側AC/ACコンバータ1の共振整合回路13は、コンデンサC13,C14及びインダクタL13により構成されている。
コンデンサC13は、一端がコンデンサC12の他端に接続され、他端が整流ダイオードD11のアノード及び整流ダイオードD12のアノードに接続されている。また、インダクタL13は、一端がコンデンサC12の他端に接続されている。また、コンデンサC14は、一端がインダクタL13の他端に接続され、他端が整流ダイオードD11のアノード及び整流ダイオードD12のアノードに接続されている。
【0032】
次に、共振型送信アンテナ2の回路構成例について説明する。
図2では、共振型送信アンテナ2は、コンデンサC15,C16及びインダクタL14により構成されている。このコンデンサC15,C16及びインダクタL14は共振型送信アンテナ2の共振条件を設定するものである。なお、インダクタL14は、共振型送信アンテナ2の共振条件を設定する機能の他、アンテナとしても兼用されている。
【0033】
コンデンサC15は、一端がインダクタL13の他端に接続されている。また、コンデンサC16は、一端が整流ダイオードD11のアノード及び整流ダイオードD12のアノードに接続されている。また、インダクタL14は、一端がコンデンサC15の他端に接続され、他端がコンデンサC16の他端に接続されている。
【0034】
次に、受信装置6の具体的な回路構成例について、図3を参照しながら説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における受信装置6の回路構成例を示す図である。なお図3では、全波整流回路42としてブリッジ整流回路を用い、出力回路43をスイッチング素子Q21〜Q24を用いて構成した場合を示している。
【0035】
まず、共振型受信アンテナ3の回路構成例について説明する。
図3では、共振型受信アンテナ3は、インダクタL21及びコンデンサC21,C22により構成されている。このインダクタL21及びコンデンサC21,C22は共振型受信アンテナ3の共振条件を設定するものである。なお、インダクタL21は、共振型受信アンテナ3の共振条件を設定する機能の他、アンテナとしても兼用されている。
インダクタL21は、一端にコンデンサC21が接続され、他端にコンデンサC22が接続されている。
【0036】
次に、受信側AC/ACコンバータ4の回路構成例について説明する。
図3では、受信側AC/ACコンバータ4の共振整合回路41は、インダクタL22及びコンデンサC23により構成されている。
インダクタL22は、一端がコンデンサC21の他端に接続されている。また、コンデンサC23は、一端がインダクタL22の他端に接続され、他端がコンデンサC22の他端に接続されている。
【0037】
また、受信側AC/ACコンバータ4の全波整流回路42は、整流ダイオードD21〜D24及びコンデンサC24により構成されている。
【0038】
整流ダイオードD21〜D24は、ブリッジ接続され、共振型受信アンテナ3から入力された電力を全波整流するものである。
整流ダイオードD21〜D24は、整流ダイオードD21のカソード及び整流ダイオードD23のアノードがインダクタL22の他端に接続され、整流ダイオードD22のカソード及び整流ダイオードD24のアノードがコンデンサC22の他端に接続されている。
【0039】
コンデンサC24は、整流ダイオードD21〜D24により全波整流された電力を、交流成分(図5Bに示す波形)を残しつつ平滑するものである。すなわち、コンデンサC24の容量は、出力波形に交流成分(図の例は商用交流と同じ50Hz)が残る程度の小さな値に設定されている。このコンデンサC24は、一端が整流ダイオードD23のカソード及び整流ダイオードD24のカソードに接続され、他端が整流ダイオードD21のアノード及び整流ダイオードD22のアノードに接続されている。
【0040】
また、受信側AC/ACコンバータ4の出力回路43は、スイッチング素子Q21〜24により構成されている。
スイッチング素子Q21は、ドレイン端子が整流ダイオードD23のカソード及び整流ダイオードD24のカソードに接続され、ソース端子がスイッチング素子Q24のドレイン端子に接続されている。また、スイッチング素子Q22は、ドレイン端子が整流ダイオードD23のカソード及び整流ダイオードD24のカソードに接続され、ソース端子がスイッチング素子Q23のドレイン端子に接続されている。また、スイッチング素子Q23は、ソース端子が整流ダイオードD21のアノード及び整流ダイオードD22のアノードに接続されている。また、スイッチング素子Q24は、ソース端子が整流ダイオードD21のアノード及び整流ダイオードD22のアノードに接続されている。
【0041】
なお、受信側AC/ACコンバータ4の一対の出力端子のうち、HOT端子はスイッチング素子Q21のソース端子及びスイッチング素子Q24のドレイン端子に接続され、RTN端子はスイッチング素子Q22のソース端子及びスイッチング素子Q23のドレイン端子に接続されている。
【0042】
次に、上記のように構成された電力伝送装置の動作例について、図1〜5を参照しながら説明する。なお以下では、電力伝送装置に入力される上記商用交流の周波数を50Hzとし、電力伝送装置で用いる上記高い周波数を6.78MHzとした場合を例に説明を行う。
まず、送信装置5では、送信側AC/ACコンバータ1の入力回路11は、商用交流源7から50Hzの商用交流Vin(AC)が入力されると(図4A)、当該商用交流を全波整流する(図4B)。
【0043】
そして、インバータ12は、入力回路11からの電力を6.78MHzの電力に変換する(図4C)。ここで、スイッチング素子Q11により6.78MHzでスイッチングされたドレイン−ソース間電圧Vds(Q11)のピークは、50Hzの全波整流波状(100Hz)に変化する。なお、図4Cにおいて、実線で示す波形(ハッチングされた部分に含まれる波形)は、インバータ12により変換された電力(6.78MHz)の波形を示し、破線で示す波形は、当該電力のピークの軌跡(100Hz)を示している。
【0044】
そして、共振型送信アンテナ2は、100Hzの振幅変調を持つ6.78MHzの電力(伝送波)を伝送する(図4D)。なお、図4Dにおいて、実線で示す波形(ハッチングされた部分に含まれる波形)は、共振型送信アンテナ2により伝送される電力(6.78MHz)の波形を示し、破線で示す波形は、当該電力のピークの軌跡(100Hz)を示している。
【0045】
一方、受信装置6では、共振型受信アンテナ3は、共振型送信アンテナ2により伝送された100Hzの振幅変調を持つ6.78MHzの電力(伝送波)を受信する(図5A)。なお図5Aに示す波形は、図4Dに示す波形と同一である。
【0046】
そして、受信側AC/ACコンバータ4の全波整流回路42は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流する(図5B)。これにより、コンデンサC24の電圧V(C24)は、50Hzの全波整流波状(100Hz)に整流された値となる。
【0047】
そして、出力回路43は、全波整流回路42により全波整流された電力を半分の周波数の電力に変換する。この際、例えば図5B及び図5Cに示すように、全波整流回路42により全波整流された電力の周期に合わせて、スイッチング素子Q21,Q23とスイッチング素子Q22,Q24のゲート−ソース間電圧Vgsのオンオフを交互に切替える。これにより、受信装置6の出力は、電力伝送装置に入力された商用電力の周波数である50Hzと同じ周波数のサイン波となる(図5C)。
【0048】
次に、実施の形態1に係る電力伝送装置の適用例について、図6を参照しながら説明する。なお図6では、固定部51が道路面の場合を示し、送信装置5のうちの共振型送信アンテナ2及び受信装置6のうちの共振型受信アンテナ3のみを図示している。
実施の形態1に係る電力伝送装置の適用例としては、共振型送信アンテナ2を道路面や駐車場等の固定部51に設置し、共振型受信アンテナ3を、停止した際又は移動中に固定部51と対向する車両等の移動体52に設置することが可能である。なお、図6に示すように、固定部51が道路面である場合には、共振型送信アンテナ2は、移動体52の走行方向に沿って複数設けられる。これにより、移動体52が固定部51に対向して停止又は移動している際に共振型送信アンテナ2から共振型受信アンテナ3に電力伝送を行うことができ、移動体52に電力を供給することができる。
【0049】
なお上記では、共振型送信アンテナ2を単一のコイルから構成した場合について示した。しかしながら、これに限るものではなく、共振型送信アンテナ2を、2個以上のコイルで構成してもよく、例えば給電用コイル及び共鳴用コイルから構成してもよい。
同様に、上記では、共振型受信アンテナ3を単一のコイルから構成した場合について示した。しかしながら、これに限るものではなく、共振型受信アンテナ3を、2個以上のコイルで構成してもよく、例えば給電用コイル及び共鳴用コイルから構成してもよい。
【0050】
また上記では、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3との間の電力の伝送方式が無線伝送方式であるとして説明を行った。しかしながら、これに限るものではなく、例えば図7に示すように、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3とを等価的に1点接続となるよう導線8で接続した接触型の共振結合伝送としてもよい。なお図7では、送信装置5のうちの共振型送信アンテナ2及び受信装置6のうちの共振型受信アンテナ3のみを図示している。
【0051】
また上記では、インバータ12としてE級型のインバータを用いた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、入力された電力を、上記高い周波数でスイッチングすることで、当該高い周波数の電力に変換するインバータであればよい。例えば、インバータ12として、ブリッジ型のインバータ、D級型のインバータ、DE級型のインバータを用いてもよい。
【0052】
また上記では、入力回路11及び全波整流回路42としてダイオード型のブリッジ整流回路を用いた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、入力された電力を全波整流する回路であればよい。例えば、整流ダイオードD11〜D14,D21〜D24に代えて電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いて入力回路11及び全波整流回路42を構成してもよい。
【0053】
また上記では、インバータ12の外部に共振整合回路13を設けた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、インバータ12に共振整合回路13を内蔵してもよい。例えば、共振整合回路13が固定整合型の場合にはインバータ12に内蔵し、可変整合型又は自動整合型の場合にはインバータ12の外部回路として設けてもよい。
また上記では、全波整流回路42の外部に共振整合回路41を設けた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、全波整流回路42に共振整合回路41を内蔵してもよい。例えば、共振整合回路41が固定整合型の場合には全波整流回路42に内蔵し、可変整合型又は自動整合型の場合には全波整流回路42の外部回路として設けてもよい。
【0054】
また上記では、出力回路43を、スイッチング素子Q21〜Q24を用いて構成した場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、入力された電力を半分の周波数の交流に変換する回路であればよく、例えば、サイリスタ、トライアック等を用いて構成してもよい。
【0055】
以上のように、この実施の形態1によれば、商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流する入力回路11、及び入力回路11により全波整流された電力を商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ12を有する送信側AC/ACコンバータ1と、インバータ12により変換された電力を伝送する共振型送信アンテナ2と、共振型送信アンテナ2により伝送された電力を受信する共振型受信アンテナ3と、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流する全波整流回路42、及び全波整流回路42により全波整流された電力を半分の周波数の交流に変換する出力回路43を有する受信側AC/ACコンバータ4とを備えたので、AC/DCコンバータ101及びDC/ACインバータ106を用いずに、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力することができる。その結果、従来構成に対して装置全体を小型化、軽量化、低コスト化することができる。
【0056】
また、従来構成に対して変換効率が高くなり、装置全体における入出力の電力伝送効率を高めることができる。このように、実施の形態1に係る電力伝送装置では、送信側及び受信側で直流への変換を行っていないため、従来構成に対して、装置全体における入出力の電力伝送効率を高めることができ、発熱量が小さくなるため、その放熱のためのヒートシンク構造を小型化できる。これによっても、従来構成に対して装置全体を小型化、軽量化、低コスト化することができる。
【0057】
また、このように、装置全体の小型化、軽量化、低コスト化を図りつつ、商用交流の無線電力伝送が可能となるため、既存の商用交流で動作する機器(負荷)に対して、非接触電力伝送システムを容易に構成することができる。よって、非接触電力伝送用の受電機能を内蔵した機器の登場を待たずに非接触電力伝送の実用化と普及に効果がある。
【0058】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明に係る電力伝送装置は、AC/DCコンバータ及びDC/ACインバータを用いずに、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力することができるため、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力する電力伝送装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0060】
1 送信側AC/ACコンバータ(高周波電源)、2 共振型送信アンテナ、3 共振型受信アンテナ、4 受信側AC/ACコンバータ(高周波整流回路)、5 送信装置、6 受信装置、7 商用交流源、8 導線、11 入力回路、12 インバータ、13 共振整合回路、41 共振整合回路、42 全波整流回路、43 出力回路、51 固定部、52 移動体。
【要約】
商用交流が入力され、当該商用交流を全波整流する入力回路(11)、及び入力回路(11)により全波整流された電力を商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ(12)を有する送信側AC/ACコンバータ(1)と、インバータ(12)により変換された電力を伝送する共振型送信アンテナ(2)と、共振型送信アンテナ(2)により伝送された電力を受信する共振型受信アンテナ(3)と、共振型受信アンテナ(3)により受信された電力を全波整流する全波整流回路(42)、及び全波整流回路(42)により全波整流された電力を半分の周波数の交流に変換する出力回路(43)を有する受信側AC/ACコンバータ(4)とを備えた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8