特許第6113386号(P6113386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6113386
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】評価値計算装置及び電子内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170403BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
   A61B1/04 370
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-574467(P2016-574467)
(86)(22)【出願日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】JP2016073717
【審査請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-159908(P2015-159908)
(32)【優先日】2015年8月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】牧野 貴雄
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−18332(JP,A)
【文献】 特開平1−101960(JP,A)
【文献】 特開2010−79522(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色成分を持つ体腔内のカラー画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、該画素対応点の色成分に応じて、所定の色空間の原点と交差する対象平面内に配置する配置手段と、
前記対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内に基準軸を設定する軸設定手段と、
前記基準軸と前記各画素対応点との位置関係に基づいて前記撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段と、
を備える、
電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記対象平面は、
R成分の軸を含む平面である、
請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記対象平面は、
G成分の軸を更に含む平面である、
請求項2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記基準軸は、
前記対象平面内で前記画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域との境界線に引かれた軸である、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記配置手段は、
前記対象平面の所定の区画内に前記画素対応点を配置し、
前記区画は、
前記原点を通る第一及び第二の軸によって規定され、
前記原点を第一及び第二の軸の始点と定義し、該第一、該第二の各軸の他端を、該各軸の終点と定義したとき、
前記軸設定手段は、
前記第二の軸の終点から前記第一の軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中で該第二の軸の終点に最も近いものを検出し、
検出された画素対応点と前記始点とを結ぶ軸を前記基準軸として設定する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記軸設定手段は、
前記基準軸により、前記対象平面を第一の領域と第二の領域に区分し、
前記評価値計算手段は、
前記第一の領域に配置された画素対応点を用いて前記所定の評価値を計算し、
前記軸設定手段は、
前記第二の領域内に配置される画素対応点の数が所定の範囲内に収まるように、前記基準軸を設定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記軸設定手段は、
撮影手段により前記カラー画像が撮影される毎に又は所定のタイミングに限り前記基準軸を設定する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記軸設定手段は、
所定のタイミング毎に暫定的な前記基準軸を演算し、
各タイミングで演算された暫定的な複数の基準軸に基づいて該基準軸を設定する、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項9】
前記基準軸は、
体腔内の粘膜の色味と相関の高い軸である、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記所定の評価値は、
体腔内の異常部を数値化して示すものである、
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項11】
複数の色成分を持つ体腔内のカラー画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、該画素対応点の色成分に応じて、所定の色空間の原点と交差する対象平面内に配置する配置手段と、
前記対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内に基準軸を設定する軸設定手段と、
前記基準軸と前記各画素対応点との位置関係に基づいて前記撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段と、
を備える、
評価値計算装置。
【請求項12】
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色成分を持つカラー画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段による撮影画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、その色成分に応じて、R成分の軸である第一の軸と、該第一の軸と直交するG成分の軸である第二の軸とを含む対象平面内に配置する配置手段と、
前記対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内において前記第一の軸と前記第二の軸との交点を通り且つ該第一の軸、該第二の軸の何れに対しても非平行な基準軸を設定する軸設定手段と、
前記基準軸と前記各画素対応点との位置関係に基づいて前記撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段と、
を備える、
評価値計算装置。
【請求項13】
前記第一の軸と前記第二の軸は始点が同一の位置にあり、
前記軸設定手段は、
前記第二の軸の終点から前記第一の軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中で該第二の軸の終点に最も近いものを検出し、
検出された画素対応点と前記始点とを結ぶ軸を前記基準軸として設定する、
請求項12に記載の評価値計算装置。
【請求項14】
前記軸設定手段は、
前記撮影手段により前記撮影画像が撮影される毎に又は所定のタイミングに限り前記基準軸を設定する、
請求項12又は請求項13に記載の評価値計算装置。
【請求項15】
前記軸設定手段は、
所定のタイミング毎に暫定的な前記基準軸を演算し、
各タイミングで演算された暫定的な複数の基準軸に基づいて該基準軸を設定する、
請求項12又は請求項13に記載の評価値計算装置。
【請求項16】
前記基準軸は、
体腔内の粘膜の色味と相関の高い軸である、
請求項12から請求項15の何れか一項に記載の評価値計算装置。
【請求項17】
前記所定の評価値は、
体腔内の異常部を数値化して示すものである、
請求項12から請求項16の何れか一項に記載の評価値計算装置。
【請求項18】
電子内視鏡システムに組み込まれるものである、
請求項12から請求項17の何れか一項に記載の評価値計算装置。
【請求項19】
前記基準軸は、
前記対象平面内で前記画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域との境界線に引かれた軸である、
請求項12から請求項18の何れか一項に記載の評価値計算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の評価値を計算する評価値計算装置及び電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病変部は、一般に、正常な粘膜組織とは異なる色を呈する。近年、カラー内視鏡装置の性能の向上に伴い、正常組織に対して僅かに色の異なる病変部を術者が把握して診断することが可能になっている。しかし、術者が内視鏡による撮影画像上の僅かな色の違いによって正常組織から病変部を正確に把握して診断できるようになるためには、熟練者の指導下で長期間のトレーニングを受ける必要がある。また、熟練した術者であっても、僅かな色の違いから病変部を把握して診断することは容易ではなく、慎重な作業が要求される。
【0003】
そこで、例えば特開2014−18332号公報(以下、「特許文献1」と記す。)に、術者による病変部の診断を補助するため、撮影画像に写る病変部をスコアリングする装置が記載されている。具体的には、特許文献1に記載の装置は、内視鏡による撮影画像を構成する各画素について、非線形な利得を画素値に与えるトーン強調処理を行って、病変部と判定される画素値の領域の境界近傍のダイナミックレンジを拡げた後、RGB3原色で定義されるRGB空間のトーン強調された画素データをHSI色空間、HSV色空間等の所定の色空間に変換して色相と彩度の情報を取得し、取得された色相と彩度の情報に基づいて病変部の画素であるか否かを判定し、判定された画素の数に基づいて評価値(病変指数)を計算する。
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に例示される装置をはじめとする評価値の計算を行う評価値計算装置においては、同じ被写体を撮影した場合であっても、電子スコープの機種差や経年変化等が原因で、計算の結果得られる評価値が変わってしまうことがある。対策としては、キャリブレーションを行うことにより、電子スコープの機種差や経年変化等による評価値の変化を抑えることが考えられる。
【0005】
しかし、キャリブレーションを行うためには、一般に、キャリブレーション用の専用治具を製作し、専用治具を用いてキャリブレーション用の撮影を事前に行うなど、手間の掛かる作業が必要となる。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリブレーションを行うにあたり、専用治具も手間の掛かる作業も不要な評価値計算装置及び電子内視鏡システムを提供することである。
【0007】
本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システムは、複数の色成分を持つ体腔内のカラー画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、該画素対応点の色成分に応じて、所定の色空間の原点と交差する対象平面内に配置する配置手段と、対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内に基準軸を設定する軸設定手段と、基準軸と各画素対応点との位置関係に基づいて撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段とを備える。
【0008】
また、本発明の一実施形態において、対象平面は、例えば、R成分の軸を含む平面である。
【0009】
また、本発明の一実施形態において、対象平面は、例えば、G成分の軸を更に含む平面である。
【0010】
また、本発明の一実施形態において、基準軸は、例えば、対象平面内で画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域との境界線に引かれた軸である。
【0011】
また、本発明の一実施形態において、配置手段は、対象平面の所定の区画内に画素対応点を配置する構成としてもよい。区画は、例えば、上記の原点を通る第一及び第二の軸によって規定される。上記の原点を第一及び第二の軸の始点と定義し、該第一、該第二の各軸の他端を、該各軸の終点と定義したとき、軸設定手段は、第二の軸の終点から第一の軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中で該第二の軸の終点に最も近いものを検出し、検出された画素対応点と始点とを結ぶ軸を基準軸として設定する構成としてもよい。
【0012】
また、本発明の一実施形態において、軸設定手段は、基準軸により、対象平面を第一の領域と第二の領域に区分する構成としてもよい。この場合、評価値計算手段は、第一の領域に配置された画素対応点を用いて所定の評価値を計算する。また、軸設定手段は、第二の領域内に配置される画素対応点の数が所定の範囲内に収まるように、基準軸を設定する。
【0013】
また、本発明の一実施形態において、軸設定手段は、撮影手段によりカラー画像が撮影される毎に又は所定のタイミングに限り基準軸を設定する構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態において、軸設定手段は、所定のタイミング毎に暫定的な基準軸を演算し、各タイミングで演算された暫定的な複数の基準軸に基づいて該基準軸を設定する構成としてもよい。
【0015】
また、本発明の一実施形態において、基準軸は、例えば体腔内の粘膜の色味と相関の高い軸である。
【0016】
また、本発明の一実施形態において、所定の評価値は、例えば、体腔内の異常部を数値化して示すものである。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る評価値計算装置は、複数の色成分を持つ体腔内のカラー画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、該画素対応点の色成分に応じて、所定の色空間の原点と交差する対象平面内に配置する配置手段と、対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内に基準軸を設定する軸設定手段と、基準軸と各画素対応点との位置関係に基づいて撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段とを備える。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る評価値計算装置は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色成分を持つカラー画像を撮影する撮影手段と、撮影手段による撮影画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、その色成分に応じて、R成分の軸である第一の軸と、該第一の軸と直交するG成分の軸である第二の軸とを含む平面内に配置する配置手段と、平面内に配置された各画素対応点に基づき、該平面内において第一の軸と第二の軸との交点を通り且つ該第一の軸、該第二の軸の何れに対しても非平行な基準軸を設定する軸設定手段と、基準軸と各画素対応点との位置関係に基づいて撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段とを備える。
【0019】
また、本発明の一実施形態において、例えば第一の軸と第二の軸は始点が同一の位置にある。この場合、軸設定手段は、第二の軸の終点から第一の軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中で該第二の軸の終点に最も近いものを検出し、検出された画素対応点と始点とを結ぶ軸を基準軸として設定する構成としてもよい。
【0020】
また、本発明の一実施形態において、軸設定手段は、撮影手段により撮影画像が撮影される毎に又は所定のタイミングに限り基準軸を設定する構成としてもよい。
【0021】
また、本発明の一実施形態において、軸設定手段は、所定のタイミング毎に暫定的な基準軸を演算し、各タイミングで演算された暫定的な複数の基準軸に基づいて該基準軸を設定する構成としてもよい。
【0022】
また、本発明の一実施形態において、基準軸は、例えば体腔内の粘膜の色味と相関の高い軸である。
【0023】
また、本発明の一実施形態において、所定の評価値は、例えば、体腔内の異常部を数値化して示すものである。
【0024】
また、本発明の一実施形態に係る評価値計算装置は、電子内視鏡システムに組み込まれるものとしてもよい。
【0025】
また、本発明の一実施形態において、基準軸は、対象平面内で画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域との境界線に引かれた軸である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、キャリブレーションを行うにあたり、専用治具も手間の掛かる作業も不要な評価値計算装置及び電子内視鏡システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るプロセッサに備えられる特殊画像処理回路による特殊画像生成処理のフローチャートを示す図である。
図3図2の処理ステップS12における基準軸AXの設定方法の説明を補助する図である。
図4図2の処理ステップS14における炎症強度の計算処理の説明を補助する図である。
図5図2の処理ステップS14における炎症強度の計算処理の説明を補助する図である。
図6】本発明の一実施形態において特殊モード時にモニタの表示画面に表示される表示画面例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態の変形例において実行される、粘膜変化軸(基準軸AX)の設定処理のフローチャートを示す図である。
図8図7の変形例に係る設定処理の説明を補助する図である。
図9】本発明の別の一実施形態に係る炎症評価値計算処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として電子内視鏡システムを例に取り説明する。
【0029】
[電子内視鏡システム1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
【0030】
プロセッサ200は、システムコントローラ202及びタイミングコントローラ204を備えている。システムコントローラ202は、メモリ222に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ202は、操作パネル218に接続されている。システムコントローラ202は、操作パネル218より入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。術者による入力指示には、例えば電子内視鏡システム1の動作モードの切替指示がある。本実施形態では、動作モードとして、通常モードと特殊モードがある。タイミングコントローラ204は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0031】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、白色光Lを射出する。ランプ208は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプである。ランプ208より射出された白色光Lは、集光レンズ210によって集光されつつ絞り212を介して適正な光量に制限される。なお、ランプ208は、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子に置き換えてもよい。なお、半導体発光素子に関しては、他の光源と比較して、低消費電力、発熱量が小さい等の特徴があるため、消費電力や発熱量を抑えつつ明るい画像を取得できるというメリットがある。明るい画像が取得できることは、後述する炎症評価値の精度を向上させることにつながる。
【0032】
絞り212には、図示省略されたアームやギヤ等の伝達機構を介してモータ214が機械的に連結している。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216のドライブ制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300の表示画面に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214により動作され開度が変えられる。ランプ208より照射された白色光Lの光量は、絞り212の開度に応じて制限される。適正とされる映像の明るさの基準は、術者による操作パネル218の輝度調節操作に応じて設定変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては省略することとする。
【0033】
絞り212を通過した白色光Lは、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端面に集光されてLCB102内に入射される。入射端面よりLCB102内に入射された白色光Lは、LCB102内を伝播する。LCB102内を伝播した白色光Lは、電子スコープ100の先端に配置されたLCB102の射出端面より射出され、配光レンズ104を介して生体組織を照射する。白色光Lにより照射された生体組織からの戻り光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
【0034】
固体撮像素子108は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子108は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の画像信号を生成して出力する。以下、固体撮像素子108より順次出力される各画素(各画素アドレス)の画像信号を「画素信号」と記す。なお、固体撮像素子108は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子108はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。補色系フィルタの一例として、CMYG(シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン)フィルタが挙げられる。
【0035】
原色系(RGB)フィルタは、補色系フィルタと比較して発色性が良い。そのため、原色系フィルタを搭載した撮像素子によるRGB画像信号を炎症評価値の算出に使用すると、評価精度を向上させることができる。また、原色系フィルタを使用することにより、後述の炎症評価値計算の処理において信号の変換を行う必要がない。そのため、炎症評価値計算の処理負荷を抑えることが可能となる。
【0036】
電子スコープ100の接続部内には、ドライバ信号処理回路112が備えられている。ドライバ信号処理回路112には、白色光Lにより照射された生体組織の画素信号が固体撮像素子108よりフレーム周期で入力される。ドライバ信号処理回路112は、固体撮像素子108より入力される画素信号をプロセッサ200の前段信号処理回路220に出力する。なお、以降の説明において「フレーム」は「フィールド」に置き替えてもよい。本実施形態において、フレーム周期、フィールド周期はそれぞれ、1/30秒、1/60秒である。
【0037】
ドライバ信号処理回路112はまた、メモリ114にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ114に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子108の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路112は、メモリ114より読み出された固有情報をシステムコントローラ202に出力する。
【0038】
システムコントローラ202は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープに適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0039】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0040】
[通常モード時の動作]
通常モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。
【0041】
前段信号処理回路220は、ドライバ信号処理回路112よりフレーム周期で入力されるR、G、Bの各画素信号に対してデモザイク処理を施す。具体的には、Rの各画素信号についてG、Bの周辺画素による補間処理が施され、Gの各画素信号についてR、Bの周辺画素による補間処理が施され、Bの各画素信号についてR、Gの周辺画素による補間処理が施される。これにより、1つの色成分の情報しか持たなかった画素信号が全て、R、G、Bの3つの色成分の情報を持つ画素データに変換される。なお、本実施形態において、デモザイキング後の画素データは、R、G、Bのそれぞれの色成分について8bit(0〜255)の情報を持つ。
【0042】
前段信号処理回路220は、デモザイク処理後の画素データにマトリックス演算、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の所定の信号処理を施して特殊画像処理回路230に出力する。
【0043】
特殊画像処理回路230は、前段信号処理回路220より入力される画素データを後段信号処理回路240へスルー出力する。
【0044】
後段信号処理回路240は、特殊画像処理回路230より入力される画素データに所定の信号処理を施してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、生体組織のカラー画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0045】
[特殊モード時の動作]
次に、特殊モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。
【0046】
前段信号処理回路220は、ドライバ信号処理回路112よりフレーム周期で入力される画素信号に対してデモザイク処理、マトリックス演算、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の所定の信号処理を施して特殊画像処理回路230に出力する。
【0047】
[特殊画像生成処理]
図2は、特殊画像処理回路230による特殊画像生成処理のフローチャートを示す。図2の特殊画像生成処理は、例えば、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードに設定されており、且つ電子スコープ100のフリーズボタンが押された時点(静止画のキャプチャ操作が行われた時点)で開始される。
【0048】
図2のS11(現フレームの画素データの入力)]
本処理ステップS11では、前段信号処理回路220より現フレーム(キャプチャ操作時)の各画素の画素データが入力される。
【0049】
図2のS12(基準軸AXの設定)]
本処理ステップS12では、対象疾患の炎症強度の計算に用いられる基準軸AXが設定される。図3に、基準軸AXの設定方法の説明を補助する図であって、互いに直交するR軸とG軸とによって定義されるRG平面(より詳細には、R軸、G軸の二軸によって規定されるRG平面内の区画)を示す。R軸は、R成分(Rの画素値)の軸であり、G軸は、G成分(Gの画素値)の軸である。
【0050】
本処理ステップS12では、RGB3原色で定義されるRGB空間の各画素の画素データ(三次元データ)がRGの二次元データに変換されて、図3に示されるように、R、Gの画素値に応じてRG平面内にプロットされる。以下、説明の便宜上、RG平面内にプロットされた画素データの点を「画素対応点」と記す。なお、本処理ステップS12にて実行される画素データをRG平面内に配置する動作は、配置手段により行われる。また、RG平面内に基準軸AXを設定する動作は、軸設定手段により行われる。
【0051】
このように、本処理ステップS12では、RGB空間の注目画素データ(三次元データ)がRG平面に正射影され、該注目画素データに対応するRGB空間内の点からRG平面に下された垂線の足が注目画素対応点(二次元データ)となる。
【0052】
撮影対象となる患者の体腔内は、ヘモグロビン色素等の影響によりR成分が他の成分(G成分及びB成分)に対して支配的であり、典型的には、炎症が強いほど赤味(すなわちR成分)が強くなる。そのため、画素対応点のR軸の値は、基本的には、炎症の強さに比例するものと考えられる。しかし、体腔内の撮影画像は、明るさに影響する撮影条件(例えば白色光Lの当たり具合)に応じて色味が変化する。例示的には、白色光Lの届かない陰影部分は黒(無彩色)となり、白色光Lが強く当たって正反射する部分は白(無彩色)となる。すなわち、白色光Lの当たり具合によっては、画素対応点のR軸の値が炎症の強さと相関の無い値を取ることもある。従って、R成分だけで炎症の強さを精確に評価することは難しい。
【0053】
一般に、炎症が起こっていない体腔内の正常部位は十分な粘膜で覆われている。これに対し、炎症が起こっている体腔内の異常部位は十分な粘膜で覆われていない。病変部等の異常部位では炎症が強いほど粘膜が薄くなる。粘膜は、基本的には白基調ではあるが、色味としては若干黄味がかっており、その濃淡(粘膜の厚み)によって画像上に写る色味(黄色の色味)が変化する。従って、粘膜の濃淡も炎症の強さを評価する指標の一つになるものと考えられる。
【0054】
そこで、本処理ステップS12では、図3に示されるように、RG平面内においてR軸とG軸との交点(原点)を通り且つR軸、G軸の何れの軸に対しても非平行な基準軸AXが設定される。具体的には、始点が互いに同一(何れの始点も原点(0,0))であるG軸の終点からR軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中でG軸の終点に最も近いもの(図3の例では、符合αが付された画素対応点)が検出される。次いで、検出された画素対応点αとR軸及びG軸の始点(すなわち原点(0,0))とを結ぶ軸が基準軸AXとして設定される。
【0055】
基準軸AXは、R成分とG成分とが混ざった色成分、すなわち、黄成分が支配的な色味の変化軸であり、粘膜の濃淡(粘膜の色味)と相関が高い。本発明者が体腔内のサンプル画像を多数解析した結果、図3に例示されるように、RG平面内において、G軸の終点からR軸の終点に向けて結ばれる線分上に位置する画素対応点の中でG軸の終点に最も近い画素対応点αとR軸及びG軸の始点とを結ぶと、それ(基準軸AX)を境に画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域とが現れることが判っている。以下、説明の便宜上、粘膜の色味の変化と相関の高い基準軸AXを「粘膜変化軸」と記す。
【0056】
補足すると、RG平面内の画素対応点は、血液と粘膜を示す軸に挟まれた領域内に分布すると考えられる。そのため、画素対応点が分布する領域と画素対応点が分布しない領域との境界線が粘膜を示す軸(粘膜変化軸)に相当する。符号αの点がその境界線上に位置する点であることから、符合αの点と原点とを結ぶ基準軸AXが粘膜変化軸として定義される。
【0057】
附言するに、画素対応点が分布する領域は、対象疾患の撮影時に写り得る色味を示すRG平面内の領域である。また、画素対応点が分布しない領域は、対象疾患の撮影時に写り得ない色味を示すRG平面内の領域である。
【0058】
このように、本実施形態では、図2に示される特殊画像生成処理の実行の過程で、実際の体腔内の撮影画像を利用してキャリブレーション(電子スコープ100の機種差や経年変化等によって変化し得る基準軸AXの設定)が自動的に実行される。よって、キャリブレーションのために従来必要とされていた専用治具や手間の掛かる作業が不要となる。
【0059】
図2のS13(注目画素の選択)]
本処理ステップS13では、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素が選択される。なお、説明の便宜上、RG平面内(及び後述の〔R−粘膜〕平面)にプロットされた注目画素の画素対応点を「注目画素対応点」と記す。
【0060】
図2のS14(炎症強度の計算)]
本処理ステップS14では、処理ステップS13(注目画素の選択)にて選択された注目画素について炎症強度が計算される。図4及び図5に、炎症強度の計算処理の説明を補助する図を示す。
【0061】
本処理ステップS14では、図4に示されるように、R軸と粘膜変化軸とが直交する平面(以下、説明の便宜上、「〔R−粘膜〕平面」と記す。)が定義され、RG平面にプロットされた注目画素データ(注目画素対応点)が〔R−粘膜〕平面に射影変換(正射影変換)される。なお、〔R−粘膜〕平面に射影変換された画素対応点のR軸の値は、本発明者が体腔内の粘膜のサンプル画像を多数解析した結果、最大でも128に達しない程度であることが判っている。そこで、〔R−粘膜〕平面では、計算処理負荷を軽減させるため、R軸が7bitに圧縮されている。また、粘膜変化軸は8bitである。
【0062】
次いで、炎症が強いほど値が高くなる2つの係数(ヘモグロビン係数及び粘膜係数)が注目画素対応点に適用され、適用されたヘモグロビン係数と粘膜係数とが乗算される。
【0063】
ヘモグロビン係数は、R軸の値に比例して高くなる係数であり、炎症の強さと相関する。本実施形態では、ヘモグロビン係数は、R軸の値と一致する。例示的には、注目画素対応点のR軸の値が10である場合は、該注目画素対応点にヘモグロビン係数として「10」が適用され、注目画素対応点のR軸の値が250である場合は、該注目画素対応点にヘモグロビン係数として「250」が適用される。
【0064】
粘膜係数は、粘膜変化軸の値が高くなるほど低くなる係数であり、本実施形態では、値255から粘膜変化軸の値を減算したものである。別の観点では、粘膜係数は、粘膜変化軸の値が低いほど高くなる係数であり、粘膜が薄くなるほど(炎症が強いほど)高くなる。例示的には、注目画素対応点の粘膜変化軸の値が10である場合は、該注目画素対応点に粘膜係数として「245(=255−10)」が適用され、注目画素対応点のR軸の値が250である場合は、該注目画素対応点に粘膜係数として「5(=255−250)」が適用される。
【0065】
ヘモグロビン係数と粘膜係数との乗算値は、ヘモグロビン係数の最大値である128で除算される。これにより、注目画素について、0〜255の範囲に収まる炎症強度が計算される。
【0066】
このように、本処理ステップS14では、炎症強度を計算するにあたり、除算がビットシフト演算で可能なものしか存在しない。そのため、浮動小数点演算が不要であり、炎症強度の計算の処理負荷が少ない。
【0067】
図5は、本処理ステップS14にて計算される炎症強度と体腔内の撮影画像の明るさとの関係を説明する図である。
【0068】
炎症強度は、図5中、矢印Aが指す方向に位置する画素対応点の画素ほど高くなる。別の言い方をすると、炎症強度は、図5中、ヘモグロビン係数、粘膜係数が何れも低い左上の領域に位置する画素対応点の画素ほど低く、ヘモグロビン係数、粘膜係数が何れも高い右下の領域に位置する画素対応点の画素ほど高くなる。
【0069】
一方、体腔内の撮影画像の明るさが白色光Lの当たり具合によって変化すると、撮影画像の色味は、個人差、撮影箇所、炎症の状態等の影響があるものの、基本的には、各色成分で同じように変化するものと考えられる。この考えによれば、体腔内の撮影画像は、図5中、矢印Bが指す方向に位置する画素対応点の画素ほど明るくなる。別の言い方をすると、体腔内の撮影画像は、図5中、R軸、粘膜変化軸の何れの値も低い左下の領域に位置する画素対応点の画素ほど暗くなり、R軸、粘膜変化軸の何れの値も高い右上の領域に位置する画素対応点の画素ほど明るくなる。
【0070】
図5に示されるように、〔R−粘膜〕平面において、炎症強度の変化と相関の高い方向(矢印A方向)は、撮影画像の明るさの変化と相関の高い方向(矢印B方向)と略直交する。このことから、本処理ステップS14にて計算される炎症強度は、撮影画像の明るさの変化に実質的に影響を受けない値であることが判る。
【0071】
図2のS15(カラーマップ画像上での表示色の決定)]
本実施形態では、炎症強度に応じた表示色で撮影画像をモザイク化したカラーマップ画像を表示することができる。カラーマップ画像を表示可能とするため、炎症強度の値と所定の表示色とを対応付けたテーブルがメモリ222等の記憶領域に記憶されている。本テーブルでは、例えば、値5刻みで異なる表示色が対応付けられている。例示的には、炎症強度の値が0〜5の範囲では黄色が対応付けられており、該値が5増える毎に色相環での色の並び順に従って異なる表示色が対応付けられており、該値が250〜255の範囲では赤色が対応付けられている。
【0072】
本処理ステップS15では、処理ステップS13(注目画素の選択)にて選択された注目画素の、カラーマップ画像上での表示色が、上記テーブルに基づき、処理ステップS14(炎症強度の計算)にて計算された注目画素の炎症強度の値に応じた色に決定される。
【0073】
図2のS16(全画素に対する処理の実行完了判定)]
本処理ステップS16では、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS13〜S15が実行されたか否かが判定される。
【0074】
処理ステップS13〜S15が未実行の画素が残っている場合(S16:NO)、図2の特殊画像生成処理は、次の注目画素に対して処理ステップS13〜S15を実行するため、処理ステップS13(注目画素の選択)に戻る。
【0075】
図2のS17(炎症評価値の計算)]
本処理ステップS17は、処理ステップS16(全画素に対する処理の実行完了判定)において、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS13〜S15が実行されたと判定された場合(S16:YES)に実行される。本処理ステップS17では、現フレームの全ての画素の炎症強度を平均化した平均値が撮影画像全体の炎症評価値として計算され、計算された炎症評価値の表示データ(表示データ例:Score:○○)が生成される。なお、本処理ステップS17にて実行されるカラー画像に対する所定の評価値としての炎症評価値を計算する動作は、評価値計算手段により行われる。
【0076】
図2のS18(オーバレイ処理)]
本処理ステップS18では、前段信号処理回路220より入力される画素データ(すなわち、RGBの3つの色成分を持つ画素データ)に基づく通常画像と、処理ステップS15(カラーマップ画像上での表示色の決定)にて所定の表示色に決定された画素データに基づくカラーマップ画像とをオーバレイさせる割合を係数として、前者の画素データ(通常の画素データ)と後者の画素データ(カラーマップ用の画素データ)とが加算される。係数の設定は、ユーザ操作により適宜設定変更することが可能である。通常画像の方を濃く表示したい場合は、通常の画素データの係数が高く設定され、カラーマップ画像の方を濃く表示したい場合は、カラーマップ用の画素データの係数が高く設定される。
【0077】
図2のS19(終了判定)]
本処理ステップS19では、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードとは別のモードに切り替えられたか否かが判定される。別のモードに切り替えられていないと判定される場合(S19:NO)、図2の特殊画像生成処理は、処理ステップS11(現フレームの画素データの入力)に戻る。一方、別のモードに切り替えられたと判定される場合(S19:YES)、図2の特殊画像生成処理は終了する。
【0078】
[画面表示例]
後段信号処理回路240は、図2の処理ステップS18(オーバレイ処理)にて加算処理された画素データに基づいて通常画像とカラーマップ画像とのオーバレイ画像の表示データを生成すると共にモニタ300の表示画面の周辺領域(画像表示領域の周囲)をマスクするマスキング処理を行い、更に、マスキング処理により生成されるマスク領域に炎症評価値を重畳した、モニタ表示用の画面データを生成する。後段信号処理回路240は、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換して、モニタ300に出力する。
【0079】
図6に、特殊モード時の画面表示例を示す。図6に例示されるように、モニタ300の表示画面には、その中央領域に体腔内の撮影画像(通常画像とカラーマップ画像とがオーバレイ表示されたオーバレイ画像)が表示されると共に画像表示領域の周囲がマスキングされた画面が表示される。また、マスク領域には炎症評価値(スコア)が表示される。
【0080】
このように、本実施形態によれば、トーン強調処理等の非線形な計算処理や複雑な色空間変換処理等を行うことなく単純な計算処理を行うだけで、炎症評価値(ここでは撮影部位のヘモグロビン色素の増減に相関のある値)が求まる。すなわち、炎症評価値の計算に必要なハードウェアリソースが大幅に抑えられる。また、体腔内の撮影画像の明るさに影響する撮影条件(例えば照射光の当たり具合等)によって炎症評価値が実質的に変動しないため、術者は、炎症についてより客観的で正確な判断を下すことが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、炎症強度を計算する過程でキャリブレーションがプロセッサ200内で自動的に実行されるため、キャリブレーションのために従来必要とされていた専用治具や手間の掛かる作業が不要となる。
【0082】
また、本実施形態に係る電子内視鏡システムは、当技術分野における次のような効果及び課題の解決をもたらすものである。
【0083】
第1に、本実施形態に係る電子内視鏡システムは、炎症性疾患を早期に発見するための診断補助となるということである。
【0084】
第2に、本実施形態の構成によれば、視認し難い軽度炎症を術者が発見できるように、炎症程度を画面表示する、又は、炎症が生じている領域の画像を強調することができる。特に、軽度炎症は正常部との判別が難しいため、軽度炎症の評価に関して本実施形態の構成によりもたらされる効果が顕著となる。
【0085】
第3に、本実施形態の構成によれば、炎症度の評価として客観的な評価値を術者に提供することができるため、術者間の診断差を低減することができる。特に、経験の浅い術者に対して本実施形態の構成による客観的な評価値を提供できるメリットは大きい。
【0086】
第4に、本実施形態の構成によれば、画像処理の負荷が軽減されることにより、炎症部を画像としてリアルタイムに表示することができる。そのため、診断精度を向上させることができる。
【0087】
第5に、本実施形態の構成によれば、上述した背景技術と比較して評価値計算の処理負荷が軽減されるため、遅滞なくカラーマップ画像(炎症度を示した画像)と通常画像とを並べて、又は、合成して表示することができる。そのため、検査時間の延長を伴うことなくカラーマップ画像を表示することが可能となり、ひいては、患者負担が増すことを回避することが可能となる。
【0088】
本実施形態における観察の対象部位は、例えば、呼吸器等、消化器等である。呼吸器等は、例えば、肺、耳鼻咽喉である。消化器等は、例えば、大腸、小腸、胃、十二指腸、子宮等である。本実施形態に係る電子内視鏡システムは、観察対象が大腸である場合に効果がより顕著になると考えられる。これは、具体的には、次のような理由による。
【0089】
大腸には炎症を基準として評価できる病があり、炎症している箇所を発見するメリットが他の器官と比較して大きいということである。特に、潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患(IBD)の指標として、本実施形態による炎症評価値は有効である。潰瘍性大腸炎は治療法が確立されていないため、本実施形態の構成の電子内視鏡システムの使用により早期に発見して進行を抑える効果は非常に大きい。
【0090】
大腸は、胃等と比較して細長い器官であり、得られる画像は奥行きがあり、奥ほど暗くなる。本実施形態の構成によれば、画像内の明るさの変化に起因する評価値の変動を抑えることができる。従って、本実施形態に係る電子内視鏡システムを大腸の観察に適用すると、本実施形態による効果が顕著となる。すなわち、本実施形態に係る電子内視鏡システムは、呼吸器用電子内視鏡システム又は消化器用電子内視鏡システムであることが好ましく、大腸用電子内視鏡システムであることがより好ましい。
【0091】
また、軽度の炎症は一般に診断が難しいが、本実施形態の構成によれば、例えば、炎症度を評価した結果を画面に表示することで、術者が軽度炎症を見逃すことを回避することができる。特に、軽度の炎症に関しては、その判断基準は明瞭なものではないため、術者間の個人差を大きくする要因となっている。この点に関しても、本実施形態の構成によれば、客観的な評価値を術者に提供できるため、個人差による診断のばらつきを低減することができる。
【0092】
なお、本実施形態の上記構成は、炎症度のみでなく、ガン、ポリープその他の色変化を伴う各種病変の評価値の算出に適用することができ、それらの場合においても、上述と同様の有利な効果をもたらすことができる。つまり、本実施形態の評価値は、色変化を伴う病変の評価値であることが好ましく、炎症度、ガン、ポリープの少なくとも何れかの評価値を含む。
【0093】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0094】
上記の実施形態では、電子スコープ100のフリーズボタンが押されたタイミングに限り(すなわち、静止画のキャプチャ時に)、キャリブレーション(基準軸AXの設定)が実行されているが、本発明はこれに限らない。キャリブレーションは、例えば動画撮影中一回(例えば電源投入後所定時間経過した時)又は常時(フレーム画像が撮影される毎に)実行されてもよい。
【0095】
上記の実施形態では、一フレームの撮影画像に含まれる情報に基づいてキャリブレーション(基準軸AXの設定)が実行されているが、本発明はこれに限らない。例えば、体腔内の生体組織は、粘膜に覆われており光沢がある。そのため、照射光が正反射して撮像素子の受光面に入射されると、正反射領域に位置する生体組織が白飛びしハイライトとなって、正常な観察画像が得られないことがある。そこで、別の実施形態では、例えば電子スコープ100のフリーズボタンが押されると、フレーム画像が撮影される毎に暫定的な基準軸AXが演算される。次いで、n(nは2以上の自然数)フレームの各撮影画像に対応する暫定的な基準軸AXが演算されると、演算された暫定的なn個の基準軸AXに基づいて基準軸AX(確定値)が設定される。基準軸AX(確定値)は、例えば暫定的なn個の基準軸AXの中央値や平均値である。
【0096】
上記の実施形態では、各画素に含まれるR成分とG成分(RGの二次元色空間)を用いて炎症評価値が計算されているが、別の実施形態では、RGの二次元色空間に代えて、RB等の他の二次元色空間やHSI、HSV、Lab等の三次元色空間を用いることにより、該色空間に対応する、上記の実施形態とは別の対象疾患に関する評価値を計算することもできる。
【0097】
上記の実施形態では、R、G、Bの原色成分を使用し炎症等の評価値が算出されているが、本発明による評価値算出のための構成は、R、G、Bの原色成分の使用に限定されるものではない。R、G、B原色成分の使用に代えて、C、M、Y、G(シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン)の補色系の成分を使用し、上記の実施形態と同様な手法によって炎症等の評価値を算出してもよい。
【0098】
上記の実施形態では、ランプ電源イグナイタ206、ランプ208、集光レンズ210、絞り212、モータ214等を含む光源部が、プロセッサと一体に設けられているが、光源部はプロセッサとは別体の装置として設けられていてもよい。
【0099】
上記の実施形態において説明した通り、固体撮像素子108としてCCDイメージセンサに代え、CMOSイメージセンサが用いられてもよい。CMOSイメージセンサは、一般に、CCDイメージセンサと比較して画像が全体的に暗くなる傾向にある。従って、上記の実施形態の構成による、画像の明るさによる評価値の変動を抑えることができるという有利な効果は、固体撮像素子としてCMOSイメージセンサが用いられ状況においてより顕著に表れる。
【0100】
診断を精度よく行うためには高精細な画像を得ることが好ましい。従って、診断の精度をより向上させる観点では、画像の解像度は、100万画素以上であることが好ましく、200万画素であることがより好ましく、800万画素以上であることが更に好ましい。画像の解像度が高くなるほど全画素について上述の評価値計算を行うための処理負荷が重くなる。しかし、上記の実施形態の構成によれば、評価値計算の処理負荷を抑えることができるため、高精細な画像を処理する状況において本実施形態の構成による有利な効果が顕著に表れる。
【0101】
上記の実施形態における特殊画像生成処理では、画像中の全ての画素を処理の対象としているが、例えば、極めて高輝度の画素及び極めて低輝度の画素等は、処理の対象から除外してもよい。具体的には、例えば、予め定められた基準輝度範囲の輝度をもつと判定された画素のみを評価値算出の対象とすることによって評価値の精度を向上させることができる。
【0102】
上記の実施形態の説明において述べた通り、電子内視鏡システム1に使用される光源としては、様々なタイプの光源を用いることができる。他方、電子内視鏡システム1の観察目的等に依存して、光源のタイプを限定的なものとする形態もあり得る(例えば、光源のタイプとしてレーザを除く等)。
【0103】
また、評価値算出のために使用する色成分に関しては、色相と彩度を使用して評価値を算出することを除外する形態もあり得る。
【0104】
上記の実施形態では、図2の処理ステップS12(基準軸AXの設定)にて、画素対応点αと原点(0,0)とを結ぶ軸が基準軸AX(粘膜変化軸)として設定されているが、基準軸AXの設定方法はこれに限らない。
【0105】
図7に、上記の実施形態の変形例において実行される、基準軸AXの設定処理のフローチャートを示す。また、図8(a)〜図8(c)に、本変形例に係る設定処理の説明を補助する図を示す。本変形例に係る特殊画像生成処理は、図7に示される設定処理の実行によって基準軸AXが設定される点以外、上記の実施形態に係る特殊画像生成処理と実質同じである。
【0106】
図7のS51(画素対応点の配置)]
本処理ステップS51では、現フレームの各画素対応点がRG平面内に配置される。
【0107】
図7のS52(基準軸AXの初期設定)]
本処理ステップS52では、図8(a)に示されるように、RG平面に対して基準軸AXが初期設定される。基準軸AXの初期設定データは、例えばメモリ222等の所定の記憶媒体に予め記憶されている。なお、以降においては、基準軸AXとR軸とがなす角度をθと記す。
【0108】
図7のS53(注目画素の選択)]
本処理ステップS53では、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素(注目画素対応点)が選択される。
【0109】
図7のS54(位置の判定)]
本変形例では、図2のS14(炎症強度の計算)にて、基準軸AXとR軸との間の領域(第一の領域)に位置する注目画素対応点が炎症強度の計算に用いられ、基準軸AXとG軸との間の領域(第二の領域)に位置する注目画素対応点が炎症強度の計算に用いられない。本処理ステップS54では、処理ステップS53(注目画素の選択)にて選択された注目画素対応点が第二の領域に位置するか否かが判定される。
【0110】
図7のS55(カウント処理)]
本処理ステップS55は、処理ステップS54(位置の判定)にて注目画素対応点が第二の領域に位置すると判定された場合(S54:YES)に実行される。本処理ステップS55では、特殊画像処理回路230内のカウンタのカウント値Cが1インクリメントされる。なお、カウント値Cは、例えば、図7に示される設定処理の実行が開始された時点で一旦ゼロにリセットされている。
【0111】
図7のS56(全画素に対する処理の実行完了判定)]
本処理ステップS56では、処理ステップS51(画素対応点の配置)にて配置された全ての画素対応点に対して処理ステップS53〜S54が実行されたか否かが判定される。
【0112】
処理ステップS53〜S54が未実行の画素対応点が残っている場合(S56:NO)、図7に示される設定処理は、次の注目画素対応点に対して処理を実行すべく、処理ステップS53(注目画素の選択)に戻る。
【0113】
図7のS57(カウント値Cの判定)]
本処理ステップS57は、処理ステップS56(全画素に対する処理の実行完了判定)にて全ての画素対応点に対して処理ステップS53〜S54が実行されたと判定された場合(S56:YES)に実行される。本処理ステップS57では、カウント値Cが所定の上限閾値よりも大きいか否かが判定される。
【0114】
図7のS58(角度θの増加)]
本処理ステップS58は、処理ステップS57(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の上限閾値よりも大きいと判定された場合(S57:YES)に実行される。この場合、第二の領域に位置する注目画素対応点(言い換えると、炎症強度の計算に用いられない注目画素)が多すぎて、炎症評価値を高い精度で計算することが難しくなる。そこで、本処理ステップS58では、第二の領域に位置する注目画素対応点を適正数に減らすべく、図8(b)に示されるように、角度θが増加される。
【0115】
なお、角度θの増加量は固定値であってもよく、また、カウント値Cの大きさに応じて適宜設定されてもよい。後者の場合、例えばカウント値Cが大きいほど角度θの増加量が大きく設定される。
【0116】
本処理ステップS58の実行後、カウント値Cがゼロにリセットされると共に、図7に示される設定処理が処理ステップS53(注目画素の選択)に戻る。そして、角度θの増加後の基準軸AXに関し、処理ステップS53〜S56が実行され(すなわち、角度θの増加後の第二の領域に位置する注目画素対応点の数がカウントされ)、処理ステップS57(カウント値Cの判定)が実行される。処理ステップS53〜S58は、カウント値Cが所定の上限閾値以下になるまでループする。
【0117】
図7のS59(カウント値Cの判定)]
本処理ステップS59は、処理ステップS57(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の上限閾値以下と判定された場合(S57:NO)に実行される。本処理ステップS59では、カウント値Cが所定の下限閾値よりも小さいか否かが判定される。
【0118】
図7のS60(角度θの減少)]
本処理ステップS60は、処理ステップS59(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の下限閾値よりも小さいと判定された場合(S59:YES)に実行される。この場合、第二の領域に位置する注目画素対応点(言い換えると、炎症強度の計算に用いられない注目画素)が少なすぎて、基準軸AXを適正に設定できていない(例えば、注目画素対応点が密に分布している領域から大きく外れたところに基準軸AXが位置するなど)虞がある。そこで、本処理ステップS60では、第二の領域に位置する注目画素対応点を適正数に増やすべく、図8(c)に示されるように、角度θが減少される。
【0119】
なお、角度θの減少量は固定値であってもよく、また、カウント値Cの大きさに応じて適宜設定されてもよい。後者の場合、例えばカウント値Cが小さいほど角度θの減少量が大きく設定される。
【0120】
本処理ステップS60の実行後、カウント値Cがゼロにリセットされると共に、図7に示される設定処理が処理ステップS53(注目画素の選択)に戻る。そして、角度θの減少後の基準軸AXに関し、処理ステップS53〜S56が実行され(すなわち、角度θの減少後の第二の領域に位置する注目画素対応点の数がカウントされ)、処理ステップS57(カウント値Cの判定)の実行後に、処理ステップS59(カウント値Cの判定)が実行される。処理ステップS53〜S60は、カウント値Cが所定の下限閾値以上になるまでループする。
【0121】
角度θの増加・減少が繰り返されることにより、第二の領域に位置する注目画素対応点の数が適正範囲(下限閾値から上限閾値の間)に収まる(S60:NO)。これにより、精度の高いキャリブレーション(電子スコープ100の機種差や経年変化等によって変化し得る基準軸AXの設定)が達成される。
【0122】
図2及び図7に示される特殊画像生成処理では、キャプチャ画像に対して炎症評価値が計算されているが、別の一実施形態では、動画像に対して(すなわち、複数フレームに亘って)炎症評価値が計算されてもよい。
【0123】
図9に、別の一実施形態に係る炎症評価値の計算処理のフローチャートを示す。図9に示される炎症評価値計算処理は、例えば、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードに設定された時点で開始される。なお、別の一実施形態については、以降に記載されているように、炎症評価値のみがモニタ300の表示画面に表示される内容に留めているが、別の一実施形態においても、上記の実施形態と同様に、炎症評価値がオーバレイ画像等の内視鏡画像と共にモニタ300の表示画面に表示されてもよい。
【0124】
図9のS111(基準軸AXの初期設定)]
本処理ステップS111では、メモリ222等に記憶された初期設定データを用いて、RG平面に対して基準軸AXが初期設定される。
【0125】
図9のS112(現フレームの画素データの入力)]
本処理ステップS112では、前段信号処理回路220より現フレームの各画素の画素データが入力される。
【0126】
図9のS113(画素対応点の配置)]
本処理ステップS113では、現フレームの各画素対応点がRG平面内に配置される。
【0127】
図9のS114(注目画素の選択)]
本処理ステップS114では、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素(注目画素対応点)が選択される。
【0128】
図9のS115(位置の判定)]
本処理ステップS115では、処理ステップS114(注目画素の選択)にて選択された注目画素対応点が第二の領域に位置するか否かが判定される。
【0129】
図9のS116(カウント処理)]
本処理ステップS116は、処理ステップS115(位置の判定)にて注目画素対応点が第二の領域に位置すると判定された場合(S115:YES)に実行される。本処理ステップS116では、カウント値Cが1インクリメントされる。なお、カウント値Cは、例えば、フレーム毎(例えば対象フレームについて処理ステップS112(現フレームの画素データの入力)が実行される毎)にゼロにリセットされている。
【0130】
図9のS117(炎症強度の計算)]
本処理ステップS117は、処理ステップS115(位置の判定)にて注目画素対応点が第二の領域に位置しない(言い換えると、第一の領域に位置する)と判定された場合(S115:NO)に実行される。本処理ステップS117では、処理ステップS114(注目画素の選択)にて選択された注目画素について炎症強度が計算される。
【0131】
図9のS118(全画素に対する処理の実行完了判定)]
本処理ステップS118では、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS114〜S115が実行されたか否かが判定される。
【0132】
処理ステップS114〜S115が未実行の画素が残っている場合(S118:NO)、図9の炎症評価値計算処理は、次の注目画素に対して処理ステップS114〜S115を実行するため、処理ステップS114(注目画素の選択)に戻る。
【0133】
図9のS119(炎症評価値の計算)]
本処理ステップS119は、処理ステップS118(全画素に対する処理の実行完了判定)において、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS114〜S115が実行されたと判定された場合(S118:YES)に実行される。本処理ステップS119では、処理ステップS117(炎症強度の計算)にて計算された各画素(言い換えると、第一の領域に位置する画素のみ)の炎症強度を平均化した平均値が撮影画像全体の炎症評価値として計算され、モニタ300の表示画面に表示される。
【0134】
図9のS120(カウント値Cの判定)]
本処理ステップS120では、カウント値Cが所定の上限閾値よりも大きいか否かが判定される。
【0135】
図9のS121(角度θの増加)]
本処理ステップS121は、処理ステップS120(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の上限閾値よりも大きいと判定された場合(S120:YES)に実行される。この場合、第二の領域に位置する注目画素対応点が多すぎて、炎症評価値を高い精度で計算することが難しくなる。そこで、本処理ステップS120では、第二の領域に位置する注目画素対応点を適正数に減らすべく、角度θが増加される。
【0136】
図9のS122(カウント値Cの判定)]
本処理ステップS122は、処理ステップS120(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の上限閾値以下と判定された場合(S120:NO)に実行される。本処理ステップS122では、カウント値Cが所定の下限閾値よりも小さいか否かが判定される。
【0137】
図9のS123(角度θの減少)]
本処理ステップS123は、処理ステップS122(カウント値Cの判定)にてカウント値Cが所定の下限閾値よりも小さいと判定された場合(S122:YES)に実行される。この場合、第二の領域に位置する注目画素対応点が少なすぎて、基準軸AXを適正に設定できていない虞がある。そこで、本処理ステップS123では、第二の領域に位置する注目画素対応点を適正数に増やすべく、角度θが減少される。
【0138】
図9のS124(炎症評価値計算処理の終了判定)]
本処理ステップS124では、例えば術者によって特殊モードから通常モード等の他のモードに切り替えられたか否かが判定される。他のモードに切り替えられていない場合(S124:NO)、図9の炎症評価値計算処理は、次のフレームについて炎症評価値の計算及び表示を行うため、処理ステップS112(現フレームの画素データの入力)に戻る。他のモードに切り替えられた場合(S124:YES)、図9の炎症評価値計算処理は終了する。
【0139】
別の一実施形態によれば、撮影条件や撮影領域が逐次変化する動画撮影時において、基準軸AXが逐次調整される(すなわち、フレーム毎に再設定される。但し、第二の領域に位置する注目画素対応点の数が適正範囲(下限閾値から上限閾値の間)に収まっている時には基準軸AXが維持される。)。そのため、撮影条件や撮影領域が逐次変化する状況下においても、炎症評価値が高い精度で逐次計算される。
【要約】
電子内視鏡システムを、複数の色成分を持つ体腔内のカラー画像を構成する各画素に対応する画素対応点を、該画素対応点の色成分に応じて、所定の色空間の原点と交差する対象平面内に配置する配置手段と、対象平面内に配置された各画素対応点に基づき、該対象平面内に基準軸を設定する軸設定手段と、基準軸と各画素対応点との位置関係に基づいて撮影画像に対する所定の評価値を計算する評価値計算手段とを備える構成とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9