特許第6113418号(P6113418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エディプラスの特許一覧 ▶ ヤマテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6113418-液中ポンプ 図000002
  • 特許6113418-液中ポンプ 図000003
  • 特許6113418-液中ポンプ 図000004
  • 特許6113418-液中ポンプ 図000005
  • 特許6113418-液中ポンプ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113418
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】液中ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 7/04 20060101AFI20170403BHJP
   F04D 13/08 20060101ALI20170403BHJP
   F04D 29/22 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   F04D7/04 E
   F04D7/04 J
   F04D13/08 Y
   F04D29/22 B
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-105462(P2012-105462)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-234572(P2013-234572A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】510183165
【氏名又は名称】株式会社エディプラス
(73)【特許権者】
【識別番号】512095211
【氏名又は名称】ヤマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 和久
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−015717(JP,Y1)
【文献】 特開2011−005349(JP,A)
【文献】 特開2003−003982(JP,A)
【文献】 特開2006−022652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 7/04
F04D 13/08
F04D 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体の表面に設けられる吸入口と、
前記回転体の表面において前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の位置に設けられる第1の吐出口と、
前記吸入口と前記第1の吐出口を繋ぐ流通路と、
前記回転体の回転に伴う前記第1の吐出口の移動軌跡に沿って設けられ、前記第1の吐出口と連通する合流室と、
前記合流室に設けられる第2の吐出口と、を備え、
前記回転体は、外部に露出する露出面を有し、
前記吸入口は、閉じた周縁を有し、前記露出面において前記回転軸の遠心方向外側に自身の中心が位置するように設けられ、更に、
前記回転体の一部を覆うと共に前記合流室を形成するケーシングを備え、
前記露出面は、前記回転体の前記ケーシングから、軸方向に突出した部分の表面となり、
前記露出面は、前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の領域を含むことで、前記吸入口の前記周縁全体が、前記ケーシングと重ならずに前記ケーシングから軸方向に突出した場所に位置する、
ことを特徴とする、
液中ポンプ。
【請求項2】
前記吸入口は、複数設けられることを特徴とする、
請求項に記載の液中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種容器、槽、溝もしくは抗、または河川、湖沼、池もしくは海等の液体またはその他の流体を吸引して排出する液中ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種容器や槽内に溜まった液体を排出するのに、液中ポンプ(水中ポンプ)が広く使用されている。このような液中ポンプは、泥等の各種不純物を含む汚水等を不純物と共に外部に排出するために使用されることが多い。このため、液体を攪拌することで沈殿した不純物を適宜に分散させ、不純物を液体と共に吸引して外部に排出するように構成された液中ポンプ等も存在している。(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−9182号公報
【特許文献2】特開2006−336554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の液中ポンプは、液体を攪拌する攪拌体を備えてはいるものの、当該攪拌体は液中ポンプの下側に向かう水流、すなわちポンプの吸引方向とは逆方向の水流を発生させるように構成されていることから、攪拌効率および吸引効率が共に悪く、また、攪拌作用を及ぼすことの可能な範囲がポンプ近傍のみに限定されるという問題があった。
【0005】
一方、上記特許文献2に記載の液中ポンプは、運転開始時に噴流を吐出することで攪拌を行うように構成されているため、攪拌作用をより広い範囲に及ぼすことが可能となっている。しかしながら、上記特許文献2に記載の液中ポンプは、噴流を吐出するための装置が別途必要となることから、イニシャルコストおよびランニングコストが共に高騰するだけではなく、設置場所が限定されるという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、効率的な攪拌、吸引が可能な液中ポンプを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、回転軸を中心に回転する回転体と、前記回転体の表面に設けられる吸入口と、前記回転体の表面において前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の位置に設けられる第1の吐出口と、前記吸入口と前記第1の吐出口を繋ぐ流通路と、前記回転体の回転に伴う前記第1の吐出口の移動軌跡に沿って設けられ、前記第1の吐出口と連通する合流室と、前記合流室に設けられる第2の吐出口と、を備え、前記回転体は、外部に露出する露出面を有し、前記吸入口は、閉じた周縁を有し、前記露出面において前記回転軸の遠心方向外側に自身の中心が位置するように設けられることを特徴とする、液中ポンプである。
【0008】
(2)本発明はまた、前記回転体の一部を覆うと共に前記合流室を形成するケーシングを備え、前記露出面は、前記回転体の前記ケーシングから突出した部分の表面であることを特徴とする、上記(1)に記載の液中ポンプである。
【0010】
)本発明はまた、前記吸入口は、複数設けられることを特徴とする、上記(1)または(2)のいずれかに記載の液中ポンプである。
【0011】
)本発明はまた、前記露出面は、前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側の領域を含むことを特徴とする、上記(1)乃至()のいずれかに記載の液中ポンプである。

【発明の効果】
【0012】
本発明の液中ポンプによれば、効率的な攪拌、吸引が可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)本発明の実施の形態に係る液中ポンプの一例を示した正面視の部分断面図である。(b)液中ポンプの底面図である。
図2】(a)および(b)液中ポンプの作動を示した図である。
図3】(a)および(b)液中ポンプの使用例を示した図である。
図4】(a)および(b)液中ポンプのその他の形態の例を示した図である。
図5】(a)および(b)液中ポンプのその他の形態の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本実施形態に係る液中ポンプ1の構造について説明する。図1(a)は、液中ポンプ1の一例を示した正面視の部分断面図であり、同図(b)は、液中ポンプ1の底面図である。これらの図に示されるように、液中ポンプ1は、回転する回転体10と、回転体10の外周に配置されたケーシング20と、回転体10を回転駆動する駆動装置30と、回転体10と駆動装置30を接続する駆動軸40と、を備えている。
【0016】
回転体10は、略砲弾形状、詳細には円柱の上面10aを平面状に、底面10bを球面状に構成した形状、換言すれば円柱と半球を組み合わせた形状に構成されている。回転体10を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。
【0017】
回転体10の表面には、複数の吸入口12および複数の第1の吐出口14が設けられ、回転体10の内部には、吸入口12と第1の吐出口14を繋ぐように形成された流通路16が設けられている。また、回転体10の上面10aの中心には、駆動軸40が接続される接続部18が設けられている。従って、回転体10は、駆動装置30に駆動されて中心軸Cを回転軸として回転するように構成されている。なお、駆動軸40と接続部18の接続方法は、例えばネジや係合等、既知のいずれの方法であってもよい。
【0018】
吸入口12は、球面状の底面10b(すなわち、回転体10の先端側)に設けられている。本実施形態では、4つの吸入口12を中心軸Cを中心とする円周上に等間隔で並べて配置すると共に、中心軸Cと同一方向に形成している。第1の吐出口14は、側面10cに設けられている。本実施形態では、4つの第1の吐出口14を、各吸入口12に対して回転体10の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸Cから中心軸Cに垂直な方向に離れた位置)にそれぞれ配置している。また、中心軸Cに対して直交する方向に第1の吐出口14を形成している。
【0019】
流通路16は、1つの吸入口12と1つの第1の吐出口14を繋ぐトンネル状の通路として形成されている。従って、回転体10の内部には、4つの流通路16が形成されている。各流通路16は、吸入口12から中心軸C方向に沿って直進した後に直角に曲がり、回転体10の遠心方向に向けて直進して第1の吐出口14に到達するように形成されている。すなわち、本実施形態の流通路16は、中心軸C方向の軸方向部分16aおよび遠心方向の遠心方向部分16bから構成されている。
【0020】
なお、本実施形態では、吸入口12および第1の吐出口14を円形状に構成しているが、吸入口12および第1の吐出口14の形状(断面形状)は特に限定されるものではなく、例えば楕円形状や多角形状等、その他の形状であってもよい。また、流通路16の断面形状は、特に限定されるものではなく、吸入口12および第1の吐出口14の形状や位置、または加工方法等に応じて適宜の形状に構成することができる。
【0021】
また、本実施形態では、加工のしやすさから流通路16を略直角に曲折するL字状に構成しているが、滑らかに湾曲した曲線状の通路として流通路16を構成してもよいし、吸入口12と第1の吐出口14を直線的に繋ぐようにしてもよい。また、本実施形態では、回転体10を流通路16以外の部分を中実に構成することで、強度を高めるようにしているが、回転体10の流通路16以外の部分を中空状に構成するようにしてもよい。
【0022】
ケーシング20は、回転体10の側面10cを覆うように周方向に沿って設けられた中空状の部材である。ケーシング20の駆動装置30側には、駆動軸40が挿通される第1の挿通孔22が形成され、駆動装置30の反対側には、回転体10が挿通される第2の挿通孔24が形成されている。
【0023】
すなわち、回転体10はケーシング20から先端側の一部が突出した状態で配置されている。本実施形態では、回転体10の半球状の部分がケーシング20から突出しており、球面状の底面10bがケーシング20から露出した露出面11となっている。また、底面10bに設けられた吸入口12は、ケーシング20から露出している。第1の挿通孔22と駆動軸40の間、および第2の挿通孔24と回転体10の間には、必要に応じて適宜のシール構造(例えば、ラビリンス等)が設けられる。
【0024】
ケーシング20の内側、すなわちケーシング20と回転体10の間には、第1の吐出口14と連通された空間である合流室26が形成される。この合流室26は、回転体10の回転に伴う第1の吐出口14の移動軌跡(移動方向)に沿って形成されており、回転体10の回転中、常に全ての第1の吐出口14が連通されるようになっている。
【0025】
ケーシング20は、周方向の一方向(この例では、底面から見て時計回りの方向)に向けて合流室26の断面積が漸次拡大するように形成されている。そして、合流室26の断面積が最大となる部分からは延長管26aが円周の接線方向に延設されており、この延長管26aの先端部には開口である第2の吐出口28が設けられている。
【0026】
すなわち、詳細は後述するが、合流室26は、回転体10の回転に伴って吸入口12から吸引され、第1の吐出口14から吐出される流体を、周方向(回転体10の回転方向)の流動として合流させた後に第2の吐出口28から吐出するように機能する。なお、第2の吐出口28には、吐出された流体を搬送する搬送管50が接続される。
【0027】
駆動装置30は、本実施形態ではモータから構成されている。駆動装置30は、駆動軸40を介して回転体10を回転駆動し、中心軸Cを中心に回転させる。駆動装置30のハウジング32には、接続部材60を介してケーシング20が固定されている。本実施形態では、駆動装置30のハウジング32を既知の密閉構造(水密構造)に構成すると共に、接続部材60において駆動軸40の周囲を封止する既知のシール構造62を設けることで、液中ポンプ1全体を液中に浸漬可能としている。
【0028】
なお、本実施形態では、駆動装置30が回転体10を直接駆動するように構成しているが、駆動装置30が歯車やチェーンおよびスプロケット等の伝達機構を介して回転体10を回転駆動するように構成してもよい。また、駆動装置30は、例えば電動モータやエアモータ等、既存のいずれの形式のものであってもよい。
【0029】
次に、液中ポンプ1の作動について説明する。図2(a)および(b)は、液中ポンプ1の作動を示した図である。なお、図2(a)は、液中ポンプ1を正面から見た断面図であり、図2(b)は、液中ポンプ1を底面から見た断面図である。
【0030】
液中ポンプ1を流体中に浸漬させた状態で回転体10を回転させると、流通路16内に進入した流体が回転体10と共に回転することとなる。すると、流通路16内の流体に遠心力が作用し、同図(a)および(b)に示されるように、流通路16内の流体は回転体10の半径方向外側に向けて流動する。第1の吐出口14は、吸入口12よりも回転体10の半径方向外側に設けられているため、第1の吐出口14では吸入口12よりも強い遠心力が働くこととなる。従って、流通路16内の流体は、回転体10が回転している限り吸入口12から第1の吐出口14に向けて流動する。これにより、外部の流体は、吸入口12から流通路16内に吸引され、第1の吐出口14から合流室26内に流入することとなる。
【0031】
合流室26内に流入した流体は、同図(b)に示されるように、合流室26に沿って回転体10の回転方向に流動する、すなわち、合流室26内の流体は断面積の大きい方に向けて流動し、最終的に第2の吐出口28から搬送管50に吐出される。このようにして、液中ポンプ1は、外部の流体を連続的に吸入口12から吸引して第2の吐出口28から吐出する。
【0032】
また、本実施形態では、中心軸Cの遠心方向外側に吸入口12を設けると共に、吸入口12をケーシング20から露出させているため、回転体10の回転に伴って回転移動する吸入口12に外部の流体が直接吸引されるようになっている。本実施形態では、吸入口12をこのように設けることで、吸入口12に向かう流動が旋回流となるようにしている。すなわち、本実施形態では、外部の流体を適宜に掻き回し、攪拌しながら吸引するようになっている。
【0033】
さらに、本実施形態では、回転体10の表面の一部(底面10b)を露出面11とすることで、この露出面11の近傍の流体を粘性の影響によって回転体10と共に回転させるようにしている。このようにすることで、吸入口12との相乗効果により、外部の流体をより広い範囲にわたって旋回するように流動させることができる。また、吸入口12に向かう流動の随伴流を、露出面11近傍における流体の旋回流による遠心力によって、液中ポンプ1から放射状に拡散させることができるため、液中ポンプ1が浸漬された槽内に循環流を形成することが可能となっている。
【0034】
すなわち、本実施形態では、回転体10の一部を攪拌体として機能させることにより、攪拌装置等を別途設けなくても、外部の流体中のより広い範囲に攪拌作用を及ぼしながら流体を吸引して排出することが可能となっている。これにより、例えば流体中に含まれる固体等の不純物を適宜に分散させて流体と共にスムーズ排出したり、例えば複数種類の流体をより均一に混合または乳化した上で排出したりすることが可能となる。
【0035】
このような攪拌能力は、吸入口12の個数および配置、ならびに露出面11の面積および形状等によって調整することができる。すなわち、吸入口12の個数および配置ならびに露出面11の面積および形状は、本実施形態において示したものに限定されるものではなく、任意の個数および配置ならびに面積および形状を採用することができる。
【0036】
例えば、吸入口12、第1の吐出口14および流通路16をそれぞれ6つずつ設けるようにしてもよいし、複数の吸入口12において中心軸Cからの距離を変更するようにしてもよい。また、底面10bの中心に1つの吸入口12を設け、複数の第1の吐出口14に向けて流通路16を分岐させるようにしてもよい。また、露出面11の形状は、例えば円錐状や円柱状等であってもよいし、露出面11に適宜の凹凸形状を設けるようにしてもよい。なお、本実施形態では、底面10bを球面状に構成し、回転体10の形状を中心軸C方向の厚みが半径方向外側に向けて漸次減少する形状とすることで、回転体10の先端に向かう流動の一部を、底面10bに沿ってスムーズに流動させて放射状に拡散させることを可能としている。また、回転体10の表面を覆うカバー部材をケーシング20に設け、露出面11の面積を調整するようにしてもよい。
【0037】
図3(a)および(b)は、液中ポンプ1の使用例を示した図である。液中ポンプ1は、同図(a)に示されるように、例えば液体100を貯留した槽110の底部112上に、適宜の架台70等を介して載置された状態で使用される。なお、ケーシング20に脚部を設け、液中ポンプ1を底部112上に直接載置するようにしてもよい。液中ポンプ1の第2の吐出口28には搬送管50が接続され、駆動装置30に電力を供給するケーブル80は図示を省略した電源に接続される。
【0038】
液中ポンプ1を稼働させて回転体10を回転させることにより、槽110中の液体100は、吸入口12から吸引され、搬送管50を通して槽110外に排出される。このとき、上述のように、槽110中の広い範囲にわたって攪拌作用を及ぼすことが可能であるため、液体100中に含まれる汚泥や油分等の不純物は液体100中に適度に分散され、液体100と共に効率的に液中ポンプ1に吸引されて槽110外に排出される。また、液中ポンプ1は、従来のポンプのように摩耗や破損等しやすいインペラを備えていないことから耐久性が高く、槽110中に砂利等の硬質の不純物が存在している場合においても、長期間使用可能であると共に、メンテナンスの頻度を減少させることが可能となっている。
【0039】
同図(b)は、槽110の底部112に堆積した汚泥等を排出する場合の例を示している。この例では、回転体10の露出面11を汚泥等の堆積層102に接触させると共に、移動機構90によって液中ポンプ1を底部112に沿って移動させるようにしている。このようにすることで、回転する露出面11によって堆積層102を掻き回して液体100と適宜に混合しながら汚泥等を吸引することができるため、堆積した汚泥等を効率的に排出することができる。特に、本実施形態では、吸入口12を回転移動させるようにしているため、より効率的に汚泥等の堆積層102を掻き回すことが可能となっている。
【0040】
なお、移動機構90としては、既存の種々の機構を採用することができる。また、移動機構90の代りに、例えば船や人力によって液中ポンプ1を牽引するようにしてもよい。また、液中ポンプ1は、回転体10の耐久性が高いことから、河川やダム、港湾等の浚渫に使用することも可能となっている。
【0041】
次に、液中ポンプ1のその他の形態について説明する。図4(a)および(b)、ならびに図5(a)および(b)は、液中ポンプ1のその他の形態の例を示した図である。
【0042】
図4(a)は、回転体10の露出面11に第2の吸入口13および第3の吐出口15を設けると共に、回転体10の内部に第2の吐出口13と第3の吐出口15を繋ぐ第2の流通路17を設けた例を示している。このように、第2の吸入口12、第3の吐出口15および第2の流通路17を設け、第3の吐出口15を第2の吸入口13よりも中心軸Cから遠心方向外側に配置することで、回転体10の回転に伴い、第2の吸入口13から流体を吸引し、第3の吐出口15から噴出させることができる。
【0043】
すなわち、このようにすることで、攪拌能力を高め、攪拌作用をより一層広い範囲に及ぼすことが可能となる。なお、第2の吸入口13および第3の吐出口15の個数および位置は特に限定されるものではなく、必要な攪拌能力に応じて任意の個数および位置を採用することができる。また、第2の吸入口13を設けるのではなく、流通路16を途中で分岐させて第3の吐出口15に繋ぐようにしてもよい。
【0044】
同図(b)は、流通路16の途中に、回転体10の上面10aにおいて開口する開口部16cを設けた例を示している。このように、流通路16の途中に開口部16cを設けることで、吸入口12から吸引した流体の一部を、回転体10の上面10aと上面10aに対向するケーシング20の対向面20aの間に導入し、上面10aと対向面20aの間で、流体に剪断力を付加することが可能となる。
【0045】
すなわち、このようにすることで、流体中に含まれる不純物をすりつぶして微細化することが可能になるだけでなく、回転体10による混合能力や乳化能力を向上させることが可能となる。なお、上面10aと対向面20aの隙間の距離は、用途等に応じて適宜に設定すればよい。また、必要に応じて上面10aまたは対向面20aに適宜の凹凸形状を設けるようにしてもよい。
【0046】
図5(a)は、液中ポンプ1を2段構成にした例を示している。この例では、2つの回転体10を直列に配置すると共に、1段目の回転体10に対応する合流室26を接続室27を介して2段目の回転体10の吸入口12と連通させ、2段目の回転体10に対応する合流室26に第2の吐出口28を設けるようにしている。従って、露出面11は、1段目の回転体10にのみ設けられている。
【0047】
このようにすることで、液中ポンプ1の能力(揚程)を向上させることができる。なお、回転体10を3つ以上設けて液中ポンプ1を3段以上に構成するようにしてもよいことは言うまでもない。また、複数の回転体10は必ずしも同軸的に配置される必要はなく、それぞれの回転軸がずれた状態で配置するようにしてもよい。また、複数の回転体10は、異なる形状または大きさに構成されるものであってもよい。また、2段目以降の回転体10に代えて、一般的なポンプが備えるようなインペラを設けるようにしてもよい。
【0048】
同図(b)は、液中ポンプ1に攪拌専用の回転体10を設けるようにした例を示している。この例では、駆動装置30の両側に駆動軸40を設けると共に、それぞれの駆動軸40に回転体10を接続し、一方の回転体10に対してのみ合流室26および第2の吐出口28を設けるようにしている。このようにすることで、他方の回転体10の吸入口12から流体を吸引して第1の吐出口14から流体を噴出させることが可能となるため、流体中のきわめて広い範囲にわたって攪拌作用を及ぼすことが可能となる。なお、2つの回転体10は、それぞれ異なる形状または大きさに構成されるものであってもよい。
【0049】
また、図示は省略するが、駆動軸40を延長し、駆動装置30を液中ポンプ1が設置される槽外(流体外)に配置するようにしてもよい。また、駆動軸40内部に軸部流通路を設け、この軸部流通路の出口を流通路16に繋げる、または回転体10の表面と繋げて出口を液中ポンプ1が設置される槽内(流体中)や合流室26内で開口させるようにしてもよい。このように軸部流通路を設けることにより、液中ポンプ1が使用される流体中に軸部流通路を介して外部の他の液体や気体、粉体等の物質を導入することができる。この場合、例えば軸部流通路の入口を別のポンプやコンプレッサ等に接続し、他の液体や気体等を圧送するようにしてもよいし、流通路16内や回転体10の表面近傍の負圧によって他の液体や気体等を吸引するようにしてもよい。また、例えば軸部流通路の入口を液中ポンプ1が設置される槽内(流体中)で開口させることにより、槽内の別の場所における流体を流通路16内または回転体10の周囲に供給することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る液中ポンプ1は、回転軸(中心軸C)を中心に回転する回転体10と、回転体10の表面に設けられる吸入口12と、回転体10の表面において吸入口12よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の位置に設けられる第1の吐出口14と、吸入口12と第1の吐出口14を繋ぐ流通路16と、回転体10の回転に伴う第1の吐出口14の移動軌跡に沿って設けられ、第1の吐出口14と連通する合流室26と、合流室26に設けられる第2の吐出口28と、を備え、回転体10は、外部に露出する露出面11を有し、吸入口12は、露出面11に設けられている。
【0051】
このような構成とすることで、従来の液中ポンプよりも効率的に攪拌を行いながら、外部の液体等の流体を効率的に吸引することができる。すなわち、露出面11および吸入口12によって外部の液体等を直接掻き回しながら吸引することが可能となり、回転体10の一部を攪拌体として機能させることができる。これにより、液体等に含まれる不純物を効率的に分散させながら吸引し、液体等と共に排出することができる。特に、吸引による流動によって十分な攪拌を行うことが可能、換言すれば、攪拌作用を及ぼす流動の方向と吸引による流動の方向を略一致させることが可能となるため、効率的な攪拌、吸引を行うことができる。
【0052】
また、液中ポンプ1は、回転体10の一部を覆うと共に合流室26を形成するケーシング20を備え、露出面11は、回転体10のケーシング20から突出した部分の表面となっている。このようにすることで、液中ポンプ1周囲におけるより広い範囲の流体と連続した状態で流体を掻き回すことが可能となるため、露出面11および吸入口12による攪拌機能を確実に奏させると共に、攪拌作用を及ぼすことが可能な範囲を広げ、攪拌効果を高めることができる。
【0053】
また、吸入口12は、回転軸(中心軸C)の遠心方向外側に設けられている。このようにすることで、回転体10の回転に伴って吸入口12を回転移動させることが可能となるため、攪拌能力をより高めることができる。
【0054】
また、吸入口12は、複数設けられている。このようにすることで、吸引力を高めると共に、吸入口12へと向かう流動をより複雑な乱流状態にすることが可能となるため、攪拌能力をより高めることができる。
【0055】
また、露出面11は、吸入口12よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の領域を含んでいる。このようにすることで、液中ポンプ1周囲のより広い範囲にわたって旋回流を発生させると共に、吸入口12へと向かう流動の随伴流を液中ポンプ1から放射状に拡散させることが可能となるため、攪拌作用を及ぼすことが可能な範囲を広げ、攪拌効果を高めることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、回転体10を略砲弾形状に構成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の種々の形状を回転体10の形状として採用することができる。
【0057】
また、本実施形態では、吸入口12を中心軸C方向に向けて設け、第1の吐出口14を中心軸Cに直交する方向に向けて設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吸入口12および第1の吐出口14はその他の方向に向けて設けられるものであってもよい。例えば、第1の吐出口14を回転体10の上面10aに設けるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、1つの吸入口12と1つの第1の吐出口14を流通路16によって繋ぐようにした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの吸入口12と複数の第1の吐出口14を繋ぐ、または複数の吸入口12と1つの第1の吐出口14を繋ぐようにしてもよい。
【0059】
また、ケーシング20および合流室26の形状は、本実施形態において示した形状に限定されるものではなく、回転体10の形状、および第1の吐出口14の配置等に応じて、種々の形状を採用することができる。例えば、合流室26の形状は、回転体10の回転方向に向けて断面積が漸次拡大しないものであってもよい。
【0060】
また、合流室26は、回転体10の回転により第1の吐出口14が特定の位置にある場合にのみ第1の吐出口14と連通されるものであってもよい。また、この場合、第1の吐出口14の移動軌跡に沿って複数の合流室26を配置し、第1の吐出口14と合流室26が連通していない場合には、第1の吐出口14から外部に流体が噴出されるようにしてもよい。
【0061】
また、本発明の液中ポンプは、液体用に限定されるものではなく、各種気体や粉粒体等のその他の流体に対しても使用可能であることは言うまでもない。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の液中ポンプは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の液中ポンプは、例えば各種工場や土木工事現場等における汚水の排出、ダムや港湾等における浚渫、または各種液体の送出等の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 液中ポンプ
10 回転体
11 露出面
12 吸入口
14 第1の吐出口
16 流通路
20 ケーシング
26 合流室
28 第2の吐出口
C 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5