特許第6113423号(P6113423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113423
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】スラストベアリングアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20170403BHJP
   F16C 33/12 20060101ALI20170403BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20170403BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   F16C33/10 Z
   F16C33/12 B
   F16C17/04 Z
   H02K5/173 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-143475(P2012-143475)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2012-255548(P2012-255548A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】201110156224.8
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ チン シック ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン イウ ルン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン テュン ロウイー
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−198570(JP,A)
【文献】 実開昭57−143866(JP,U)
【文献】 特開平11−269475(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/113747(WO,A1)
【文献】 特開平10−213129(JP,A)
【文献】 特開2008−240908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00 − 17/26
F16C 33/00 − 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向荷重に対して回転可能なシャフトを支持するためのスラストベアリングアッセンブリであって、スラストベアリングアッセンブリに対して支えられるよう配置された端面にシャフトが関連付けられるようなスラストベアリングアッセンブリにおいて、
チャンバを画成する第1部分と、
前記チャンバ内に配置された第2部分と、
前記第1部分と共に固定され且つ前記第2部分から離間された第3部分と、
前記端面を向くように配置された荷重面であって、前記第2部分及び第3部分の少なくとも一方により形成された荷重面と、
を備えたスラストベアリングアッセンブリにおいて、
前記第2部分と第3部分との間で前記チャンバ内に形成された潤滑剤収容貯蔵部と、
前記貯蔵部を前記荷重面と連通させて、潤滑剤が前記貯蔵部から前記荷重面へ通流できるようにする通路と、
を備え、前記第1、第2及び第3の部分が低い間隙率の材料で作られ、前記貯蔵部の軸方向サイズは、前記通路から離れて半径方向に増加することを特徴とするスラストベアリングアッセンブリ。
【請求項2】
前記第2及び第3部分の2つの対向面の少なくとも一方は、前記シャフトの軸に対して傾斜される、請求項に記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記第3部分は、前記チャンバ内に配置され、前記第3部分及び第2部分は、前記荷重面を形成する、請求項1又は2に記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記第3部分は、前記第1部分と一体的に形成される、請求項1からのいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項5】
前記第2部分は、スルーホールを画成し、前記シャフトがそのスルーホールを通して延び、前記シャフトは、前記第2部分に対して回転可能であり、前記シャフトにスペーサが固定され、このスペーサは、前記端面を画成する、請求項1からのいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記第2部分のスルーホールの内面が弧状にされ、該内面の軸方向両端がシャフトから離間されるようにする、請求項に記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記通路は、前記第2部分と前記第3部分との間の界面に形成される、請求項1からのいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記通路は、前記第2部分と第3部分との間の環状ギャップにより形成される、請求項に記載のアッセンブリ。
【請求項9】
前記通路は、前記第3部分の周囲内面及び前記第2部分の周囲面の少なくとも一方に形成された複数の軸方向溝によって形成され、前記第3部分の周囲内面は、前記第2部分の周囲面に適合される、請求項に記載のアッセンブリ。
【請求項10】
前記第3部分は、荷重面の少なくとも一部分を形成し、前記第3部分の荷重面には複数のテーパー付けされた溝が形成され、各々のテーパー付けされた溝は、各々の軸方向溝に接合され、そして軸方向溝から離れる半径及び周囲方向にテーパー付けされる、請求項に記載のアッセンブリ。
【請求項11】
前記通路は、前記第3部分に形成された複数の軸方向に延びるホールより形成される、請求項1からのいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項12】
前記第3部分は、前記第2部分に形成された段に対して軸方向に支えられる軸方向に延びる環状内部フランジを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項13】
前記第1、第2及び第3部分は、間隙率が13%未満の材料で作られる、請求項1から12のいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項14】
固定子と、回転子と、固定子に固定された請求項1から13のいずれか1項に記載のスラストベアリングアッセンブリとを備えた電気モータにおいて、前記回転子は、回転可能なシャフトと、そのシャフトに固定されたスペーサとを備え、該スペーサは、スラストベアリングアッセンブリの荷重面を向いた端面を画成し、軸方向荷重に対してシャフトを支持してスペーサをスラストベアリングアッセンブリに接触させ、それにより、一方向におけるシャフトの軸方向移動を制限する、電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラストベアリングアッセンブリ、及びスラスト荷重ベアリングを使用するモータに係る。
【背景技術】
【0002】
既知の電気モータは、固定子と、固定子に対して回転可能な回転子とを有する。回転子は、シャフトを有する。シャフトにはスペーサが任意に固定される。シャフトは、固定子に固定されたスラストベアリングによって一方向の軸方向モーメントに対して回転可能に支持される。スラストベアリングは、シャフトの軸方向移動を制限するためにシャフトの端又はスペーサに直面して配置される。既知のスラストベアリングは、自己潤滑される。これらは、通常、オイル含浸焼結部品である。使用中、スラストベアリングからのオイルがうまく制御されずに、オイル移動を招き、従って、ベアリング内のオイルが急速に欠乏し、潤滑ロス、接触部分の急速な摩耗及びモータの故障を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、潤滑剤の流れを制御するか又は少なくとも多量の潤滑剤を与えるスラストベアリングが要望される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、その1つの態様において、軸方向荷重に対して回転可能なシャフトを支持するためのスラストベアリングアッセンブリであって、スラストベアリングアッセンブリに対して支えられるように配置された端面にシャフトが関連付けられるようなスラストベアリングアッセンブリにおいて、チャンバを画成する第1部分と、チャンバに配置された第2部分と、第1部分と共に固定され且つ第2部分から離間された第3部分と、端面を向くように配置された荷重面であって、第2部分及び第3部分の少なくとも一方により形成された荷重面と、第2部分と第3部分との間でチャンバ内に形成された潤滑剤収容貯蔵部と、この貯蔵部を荷重面と連通させて、潤滑剤が貯蔵部から荷重面へ通流できるようにする通路とを備え、第1、第2及び第3の部分が低い間隙率の材料で作られたスラストベアリングアッセンブリを提供する。
【0005】
好ましくは、貯蔵部は、第2部分と第3部分との間に軸方向に形成される。
【0006】
任意であるが、貯蔵部は、長方形断面を有する。
【0007】
任意であるが、貯蔵部の軸方向サイズは、通路から離れて半径方向に増加する。
【0008】
任意であるが、第2及び第3部分の2つの対向面の少なくとも一方は、シャフトの軸に対して傾斜される。
【0009】
好ましくは、第3部分は、チャンバ内に配置され、第3部分及び第2部分は、荷重面を形成する。
【0010】
好ましくは、第3部分は、モノリシック構造として第1部分と一体的に形成される。
【0011】
好ましくは、第2部分は、スルーホールを画成し、シャフトがそのスルーホールを通して延び、シャフトは、第2部分に対して回転可能であり、シャフトにスペーサが固定され、このスペーサは、端面を画成する。
【0012】
好ましくは、第2部分のスルーホールの内面が弧状であり、内面の軸方向両端がシャフトから離間されるようにする。
【0013】
好ましくは、通路は、第2部分と第3部分との間の界面に形成される。
【0014】
好ましくは、通路は、第2部分の周囲面に適合される第3部分の周囲内面に形成された複数の軸方向溝により形成される。
【0015】
好ましくは、第3部分の荷重面には複数のテーパー付けされた溝が形成され、各々のテーパー付けされた溝は、各々の軸方向溝に接合され、そして軸方向溝から離れる半径及び周囲方向にテーパー付けされる。
【0016】
或いは又、通路は、第3部分の周囲内面に適合される第2部分の周囲面に形成された複数の軸方向溝により形成される。
【0017】
任意であるが、通路は、第2部分と第3部分との間の環状ギャップにより形成される。
【0018】
或いは又、通路は、第3部分に形成された複数の軸方向に延びるホールよって形成される。
【0019】
好ましくは、第3部分は、第2部分に形成された段に対して軸方向に支えられる軸方向に延びる環状内部フランジを有する。
【0020】
好ましくは、第1、第2及び第3部分は、間隙率が13%未満の材料で作られる。
【0021】
又、第2の態様によれば、本発明は、固定子と、回転子と、固定子に固定された上述したスラストベアリングアッセンブリとを備えた電気モータであって、回転子は、回転可能なシャフトと、そのシャフトに固定されたスペーサとを備え、スペーサは、軸方向荷重に対してシャフトを支持してスペーサをスラストベアリングアッセンブリに接触させ、それにより、一方向におけるシャフトの軸方向移動を制限するために、スラストベアリングアッセンブリの荷重面を向いた端面を画成する。
【0022】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも一定の縮尺率で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による軸方向荷重及び作用状態にあるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図2A】本発明の第2の好ましい実施形態による軸方向荷重及び非作用状態のスラストベアリングアッセンブリを示す。
図2B図2Aのスラストベアリングアッセンブリを作用状態で示す。
図3】本発明の第3の好ましい実施形態による軸方向荷重及び作用状態にあるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図4A】本発明の第4の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図4B】本発明の第4の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図5A】本発明の第5の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図5B】本発明の第5の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図5C図5Bのスラストベアリングアッセンブリに対する変更を示す。
図5D図5Bのスラストベアリングアッセンブリに対する更なる変更を示す。
図6】本発明の第6の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを作用状態で示す。
図7】本発明の第7の好ましい実施形態によるスラストベアリングアッセンブリを示す。
図8】本発明のスラストベアリングアッセンブリを合体した電気モータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による軸方向荷重12に対するスラストベアリングアッセンブリ10を示す。軸方向荷重12は、回転可能なシャフト16、又はシャフトに固定されたワッシャー又はスペーサ18であり、これは、軸方向にプレスされてスラストベアリングアッセンブリに接触される。軸方向荷重12は、好ましくは軸方向荷重12のプッシュ方向Yに垂直な端面14を有する。軸方向荷重は、シャフト及び/又はスペーサを通してスラストベアリングアッセンブリの荷重面に加えられる。端面14は、例えば、シャフトの端であるか、シャフトに形成された段であるか、又はシャフトに固定されたスペーサの面であることによりシャフトに関連付けられる。端面の目的は、スラストベアリングに対して支えられて、一方向におけるシャフトの軸方向移動を制限することである。
【0025】
スラストベアリングアッセンブリ10は、第1部分20、第2部分30、及び第3部分40を備え、それらは、全て、間隙率の低い、即ち間隙率が15%以下の材料で作られるのが好ましい。第1部分20、第2部分30、及び第3部分40は、間隙率が13%未満の焼結材料で作られるのが好ましい。図1の実施形態では、第1部分20は、軸方向荷重12のプッシュ方向Yに平行な軸方向を定義する中空のチューブである。第1部分20には、チャンバが形成される。第2部分30は、第1部分20のチャンバに受け入れられる内実部分である。第2部分30は、軸方向荷重12から離れた装着区分32を含む。この装着区分32は、第1区分20の内面にしっかり取り付けられる。第2部分30は、軸方向荷重12の端面14に接触してシャフト16の軸方向移動を制限するための荷重面34を含む。この例示では、端面は、シャフトの軸方向端である。第2部分30は、荷重面34と装着区分32との間に形成された段36を含む。第1部分20のチャンバに受け入れられる第3部分40は、第1部分20の内面にしっかり装着される装着区分42を含む。第3部分40の装着区分42は、第1部分20の装着区分32を向き、そして装着区分32から軸方向に離間される。
【0026】
長方形断面を有する環状貯蔵部50が、第1部分20の内面と装着区分32、42との間に形成される。第3部分40は、周囲内面48により取り巻かれた軸方向スルーホールを画成する。装着区分32から離れた第2部分30の一部分が第3部分40のスルーホールを通して延びる。第3部分40の内面48は、第2部分30の一部分の外面38から半径方向に離間されている。第3部分40は、好ましくは第2部分30の荷重面34と同一平面である荷重面44と、第2部分30の段36を向いた段46とを有する。第3部分40の荷重面44は、第2部分30の荷重面34から半径方向に離間され、一方、段46は、段36から軸方向に離間される。従って、段36、46と面38、48との間には狭い通路52が形成される。通路52は、貯蔵部50を荷重面34、44に連通させる。オイルのような低粘性の潤滑剤、又はグリースのような高粘性の潤滑剤、或いは固体潤滑剤が貯蔵部50に蓄積される。使用中に、スラストベアリングアッセンブリが熱くなるにつれて、潤滑剤54も熱くなり、熱膨張のために、貯蔵部から通路52を通して放出されて、軸方向荷重の端面14と荷重面34、44との間の界面を潤滑させる。
【0027】
軸方向荷重12が、例えば、方向Rに回転するときには、軸方向荷重12の端面14とスラストベアリングアッセンブリ10の荷重面34、44との間の摩擦のために熱が発生する。貯蔵部50に蓄積された潤滑剤54は、加熱されて、熱膨張を受ける。潤滑剤の温度が上昇するにつれて、潤滑剤の流動性が増す。潤滑剤は、潤滑剤を貯蔵部から通路52を経て強制する熱膨張のために、又は表面張力、等のために流動することができる。潤滑剤は、貯蔵部50から通路52を経て、端面14と荷重面34、44との間に形成されたエリア又はスペースへ流れ出す。従って、端面14と荷重面34、44との間に潤滑剤の層が形成され、それにより、端面14と荷重面34、44との間との間の摩擦が相当に減少される。軸方向荷重12が回転を停止すると、潤滑剤は、通路52を経て貯蔵部50へ戻される。
【0028】
図2A及び2Bは、本発明の第2の好ましい実施形態による軸方向荷重12のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。図2Aは、スラストベアリングアッセンブリ10を固定状態で示し、一方、図2Bは、スラストベアリングアッセンブリ10を回転状態で示す。この実施形態では、スラストベアリングアッセンブリ10は、シャフト16がジャーナルマウントされるか又は回転可能にマウントされるスルーホール31を第2部分30が画成するスラストベアリング及びラジアルベアリングとして使用される。スペーサ18は、シャフト16に固定されて一緒に回転することができる。スペーサは、軸方向荷重を表わし、端面14を画成する。
【0029】
図3は、本発明の第3の好ましい実施形態による軸方向荷重12のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。このスラストベアリングアッセンブリ10は、第2の実施形態のスラストベアリングアッセンブリ10と同様であるが、シャフト16を取り巻く第2部分30のスルーホールの内面37が弧状にされる。内面37が弧状にされて、内面37の軸方向両端がシャフト16から半径方向に離間される。従って、潤滑剤54は、軸方向荷重12の端面14と荷重面34、44との間に形成されたエリアから、第2部分30の内面37とシャフト16との間に形成されたスペースへと流れ、シャフト16と第2部分30との間の摩擦を減少させる。
【0030】
別の構成では、第3部分40の内面48が第2部分30の外面38に直接接触する。この構成が図4A−7の実施形態に示されている。この構成では、通路52は、複数の周囲方向に離間されたホールで形成される。これらホールは、図6及び7に示すように、第2部分30又は第3部分40に形成される。好ましくは、これらホールは、軸方向に延びる溝を外面38及び内面48の一方又は両方に形成することにより作られる。第3部分40の内面48の溝により形成される通路52が図4B、5B及び5Dに示されている。第2部分30の外面48の溝により形成される通路52が図5Cに示されている。
【0031】
図4A及び4Bは、本発明の第4の好ましい実施形態による軸方向荷重のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。この実施形態は、第2の実施形態のスラストベアリングアッセンブリと同様であるが、第2部分30及び第3部分40の2つの対向面39、49が傾斜されて、貯蔵部50の軸方向の奥行きが通路52から離れて半径方向に徐々に増加するようにされる。図4Bにおいて明らかなように、通路52は、第3部分40の周囲内面48に形成された複数の溝により形成される。又、第3部分の段46が第2部分の段36にのせられるときに、溝が段46を通して延びて、貯蔵部50に接続される。
【0032】
図5A及び5Bは、本発明の第5の好ましい実施形態による軸方向荷重のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。この実施形態では、第3部分40に第1部分20がモノリシック構造として一体的に形成され、貯蔵部50は、一般的に三角形の断面を有する。この実施形態では、第3部分40を向いた第2部分30の装着区分32の面が傾斜されて、貯蔵部50の軸方向の奥行きが通路52から離れて半径方向に徐々に増加するようにされる。第3部分40の内面48は、第2部分30の外面38に接近配置されるか又は接触される。通路52は、第3部分40の内面48と第2部分30の外面38との間の界面に形成される。図5Bにおいて、通路52は、第3部分40の内面48における複数の周囲方向に離間されて軸方向に延びる溝により形成される。
【0033】
図5Cは、図5Bのスラストベアリングアッセンブリと同様であるが、第2部分30の周囲面38における複数の周囲方向に離間された軸方向に延びる溝により第2部分と第3部分との間の界面に通路52が形成された変更型スラストベアリングアッセンブリ10を示す。
【0034】
図5Dは、第3部分40の荷重面44に溝56が形成された図5Bのスラストベアリングアッセンブリ10の更なる変更を示す。各溝54は、各通路52に接合する近方端と、通路52から離れた遠方端とを有する。理想的には、各溝56は、近方端から遠方端への方向に徐々に減少する巾及び/又は奥行きを有し、軸方向荷重12が回転するときに遠方端により高い圧力を発生して、軸方向荷重12をスラストベアリングアッセンブリ10の荷重面34、44から離れるように押す。
【0035】
図6は、本発明の第6の好ましい実施形態による軸方向荷重のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。この実施形態では、通路52は、第2部分と第3部分との間の界面に形成されない。むしろ、通路52は、第3部分40の内面から半径方向に離間されて第3部分40に形成された複数のホールによって形成される。第3部分が荷重面又は荷重面の一部分を形成するとき、第3部分の荷重面にホールを形成して、潤滑剤を荷重面へ直接導くのが理想的である。
【0036】
図7は、本発明の第7の好ましい実施形態による軸方向荷重のためのスラストベアリングアッセンブリ10を示す。この実施形態は、図6のスラストベアリングアッセンブリと同様であるが、第3部分40は、更に、その内縁から軸方向に延びる内部フランジ47を含む。従って、内部フランジは、第2部分の周囲面38に取り付けられる環状壁を形成する。内部フランジ47は、第2部分30の段36に軸方向に接触して、軸方向荷重12が第3部分40をプレスするときに第3部分40が変形されるのを防止する。
【0037】
図8は、スラストベアリングアッセンブリが固定された固定子と、シャフト及びシャフトに固定されたスペーサ18を含む回転子と、を有する電気モータ80の概略図である。スペーサの端面は、弛緩状態において小さなエアギャップを横切ってスラストベアリングアッセンブリの荷重面に直面する。軸方向荷重がシャフトにY方向に加わると、シャフトは、端面が荷重面に対して支えられて、Y方向におけるそれ以上の軸方向移動を防止するまで、軸方向に移動する。
【0038】
スラストベアリングアッセンブリは、シャフトに固定されたスペーサと相互作用し且つシャフトを半径方向に支持するように示されているが、シャフトは、スリーブベアリングのような個別のラジアルベアリングによって支持され、そしてスラストベアリングアッセンブリは、シャフトの端に直接接触するように配置されてもよい。
【0039】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0040】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【0041】
更に、第2部分30の荷重面34及び第3部分40の荷重面44は、互いに同一平面でなくてもよい。例えば、第3部分40の荷重面44は、第2部分30の荷重面34に対してくぼんでいてもよい。
【0042】
ここに示す実施形態の種々の特徴は、考えられる唯一の組合せではなく、任意の特徴の異なる組み合わせを使用することにより他の実施形態が形成されてもよいことが明らかであろう。
【符号の説明】
【0043】
10:スラストベアリングアッセンブリ
12:軸方向荷重
14:端面
16:シャフト
18:スペーサ
20:第1部分
30:第2部分
32、42:装着区分
34、44:荷重面
36:段
40:第3部分
46:段
47:内部フランジ
48:周囲内面
50:貯蔵部
52:通路
54、56:溝
80:電気モータ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8