(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係る補聴器10を示す図である。補聴器10は、本体11とイヤホン12とから構成され、首掛けストラップ13により本体11を首から掛けて用いるタイプのものである。
【0011】
本体11は、演算処理装置14と、マイクロフォン15と、録音用メモリ16と、リピート音声用メモリ17と、ディスプレイ22と、を有している。また、イヤホン12は、スピーカ18と、モーションセンサ19と、を内蔵しており、コード20を介して本体11の接続端子21に接続されている。
【0012】
演算処理装置14は、補聴器10の様々な処理を行う中心的なユニットである。例えば、演算処理装置14は、マイクロフォン15を介して取得した外部音声に音質調整および音量調整といった所定の音声処理を施してスピーカ18に出力する。
【0013】
また、演算処理装置14は、電気信号に変換された外部音声をマイクロフォン15から取得し、これを音声データに変換して録音用メモリ16に格納する。
【0014】
また、演算処理装置14は、モーションセンサ19が検知したイヤホン12の動作(例えば、傾きや振動など)を示す信号を取得し、かかる動作に応じて所定のリピート関連処理を実行する。具体的には、演算処理装置14は、所定方向の傾き(例えば、左方向の傾き)を示す信号をモーションセンサ19から取得すると、録音用メモリ16に格納されている音声データの一部をリピート音声用メモリ17に格納する。また、演算処理装置14は、所定方向の傾き(例えば、右方向の傾き)を示す信号をモーションセンサ19から取得すると、リピート音声用メモリ17に格納されている音声データのリピート再生を行う。
【0015】
また、演算処理装置14は、リピート関連処理の内容を示す所定の画像情報をディスプレイ22に表示させる。
【0016】
なお、リピート関連処理における演算処理装置14の具体的な動作は、後述するROMに格納されているリピート関連データで定義付けられている。
【0017】
このような演算処理装置14は、数値演算などの様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、プログラムやデータ、演算結果などを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)と、プログラムやデータなどを格納するROM(Read Only Memory)と、マイクロフォン15やモーションセンサ19など各ハードウェアを演算処理装置14に接続するためのI/F(インターフェース)と、を有している。また、CPU、RAM、ROMは、バスによって相互に接続されている。また、これらは一つのIC(Integrated Circuit)チップにまとめられていても良い。
【0018】
図2は、ROMに格納されているリピート関連データ30の一例を示した図である。リピート関連データ30は、モーションセンサ19によって検知されたイヤホン12の傾き方向31と、演算処理装置14による処理内容(リピート関連処理)32と、が対応付けて記録されている。例えば、「左方向の傾き」には、リピート用音声データの保存という処理が対応付けられている。また、「右方向の傾き」には、音声データの再生という処理が対応付けられている。また、「前方向の傾き」には、リピート用音声データに付加されているリピート番号の選択という処理が対応付けられている。また、「右方向の傾きからゆっくりと傾きの無い状態に戻る」には、スロー再生という処理が対応付けられている。演算処理装置14は、このようなリピート関連データ30に基づき、イヤホン12の傾き方向31に応じた所定のリピート関連処理32を実行する。
【0019】
また、ROMには、リピート関連処理を示した所定の画像情報が格納されている。
図11は、画像情報である処理マークを示す図である。図示するように、処理マークには、補聴器が起動中であることを示す起動中マーク91と、リピート用音声データの保存処理中であることを示す保存マーク92と、音声データをリピート再生中であることを示す再生中マーク93と、音声データのリピート再生を停止したことを示す停止マーク94と、再生する音声データに付加されているリピート番号の選択を示す選択マーク95と、が格納されている。これらの処理マークは、演算処理装置がリピート関連処理を実行する際にディスプレイ22に表示される。
【0020】
マイクロフォン15は、人の声や物音など補聴器10周囲の音(外部音声)を取得する。なお、マイクロフォン15は、取得した外部音声を電気信号に変換して演算処理装置14に出力する。このようなマイクロフォン15には、例えば、コンデンサーマイクが用いられる。
【0021】
録音用メモリ16およびリピート音声用メモリ17は、例えば、不揮発性メモリカードといった少なくとも読み書きが可能な記録媒体で構成されている。後述するように、録音用メモリ16には、補聴器10の起動と共にマイクロフォン15を介して取得された外部音声が音声データとして連続的に格納される。
【0022】
また、リピート音声用メモリ17には、リピート用音声データが格納される。
図3は、リピート用音声データ40の一例を示した図である。リピート用音声データ40は、リピート番号41と、これに対応付けられている音声データ(リピート用音声データ)42と、を有している。
【0023】
なお、録音用メモリ16およびリピート音声用メモリ17は、各々、所定時間分(例えば、録音用メモリ16は約10時間分、リピート音声用メモリ17は約60分間分)の音声データを格納できる記憶容量を有している。したがって、リピート音声用メモリ17は、所定数(例えば、3分間の録音時間を設定することにより、約20個分)のリピート用音声データ42を格納することができる。
【0024】
また、録音用メモリ16およびリピート音声用メモリ17の記憶領域に新たな音声データを格納する空き領域がなくなった場合(録音用メモリ16が約10時間分の音声データを格納した場合や、リピート音声用メモリ17に約20個分の音声データを格納した場合)、演算処理装置14によって古い時刻の音声データから順に削除される。
【0025】
また、音声データは、デジタル変換して記録する方法が一般的で、音声データをデジタル変換して圧縮記録した場合、音声の内容により記録容量が変化し、記録時間も異なってくる。このため、使用者に誤解のないようリピート音声用メモリ17の記録回数を少なく設定しても良い。
【0026】
イヤホン12に内蔵されるスピーカ18は、マイクロフォン15により変換された電気信号を物理的な振動に変換することにより、外部音声を聴覚で認識できる音声として出力する。
【0027】
ディスプレイ22は、少なくとも文字情報が表示可能な小型モニタから構成されている。なお、モニタの種類は限定されない。ディスプレイ22には、前述の処理マークや所定の文字情報、日や時刻を示す日時情報(時計表示)などが表示される。
【0028】
モーションセンサ19は、物体の変位(動き)を計測することにより、動作や傾きの方向およびその大きさなどを検知可能なセンサである。
図4は、モーションセンサ19が内蔵されたヘッドホン51の装着イメージ図である。また、
図5は、
図4のイメージ図を3次元的に描画した図である。モーションセンサ19は、例えば、3軸(X軸、Y軸、Z軸)の各々の方向に対する加速度が測定可能な3次元加速度センサで構成されている。3次元加速度センサの検知方式は、例えば、静電容量型やピエゾ抵抗型など、どのような方式のものであっても良い。
【0029】
なお、モーションセンサ19は、必ずしも3次元加速度センサで構成される必要はなく、物体の動きを検知できれば、ジャイロセンサから構成されても良く、3次元加速度センサおよびジャイロセンサを組み合わせた6軸センサであっても良い。
【0030】
また、モーションセンサ19は、振動センサで構成されても良い。振動センサは、搭載された物体の振動を検知すると、所定の信号を出力するセンサである。振動センサは、検知する振動の特性(振動の大きさや、周波数帯など)に応じて適切なものが搭載されれば良い。なお、振動センサは、静電容量型や渦電流型など、検知方式には限定されない。
【0031】
このようなモーションセンサ19は、物体の動いた方向と、動きの大きさおよび加速度に比例した出力値と、を示す信号を生成する。
【0032】
なお、モーションセンサ19は、近年になって発達したMEMS(micro electro mechanical systems)技術、すなわち、半導体製造技術を用いて、一枚のシリコンウェハ上に機械的な機構と集積化した電子回路とを一体化した機能デバイス(加速度センサやジャイロセンサなど)で構成されることにより、補聴器の小型化に有効である。
【0033】
本実施形態に係る補聴器10では、このようなモーションセンサ19がイヤホン12に内蔵されているため、補聴器10の使用者が首を傾けると、傾きの方向や、動きの速さおよび大きさに比例した出力値を示す信号が演算処理装置14に出力されることになる。また、例えば、リストバンドにモーションセンサ19に内蔵されると、腕の動き(傾きや、腕を振る動きなど)や動きの速さおよび大きさに比例した出力値を示す信号が演算処理装置14に出力される。そのため、演算処理装置14は、モーションセンサ19から出力される信号により使用者の指示を受け取ることができる。なお、モーションセンサ19は、片方のイヤホン12のみに搭載されても良く、両方のイヤホン12に搭載されていても良い。
【0034】
次に、補聴器10の機能ブロックについて説明する。なお、補聴器10の機能ブロックは、演算処理装置14に実装されるCPUが読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。そのため、ROMには、各機能部の処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0035】
また、補聴器10の機能ブロックは、本実施形態において実現される補聴器10の機能を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。また、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。なお、補聴器10の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、一つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0036】
また、補聴器10の機能部は、ハードウェアにより構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0037】
図6は、補聴器10の機能ブロックを示した図である。補聴器10は、制御部51と、音声処理部52と、を有している。
【0038】
制御部51は、補聴器10の様々な処理を行う中心的な機能部である。具体的には、制御部51は、マイクロフォン15を介して取得した外部音声を音声データに変換し、これを録音用メモリ16に格納する。また、制御部51は、マイクロフォン15から取得した外部音声を音声処理部52に出力する。
【0039】
また、制御部51は、モーションセンサ19から取得した信号の出力値が所定の閾値以上である場合、信号が示すイヤホンの傾き方向31に対応付けられているリピート関連処理32を実行する。
【0040】
音声処理部52は、制御部51から取得した外部音声にノイズを低減させる音質調整処理や音量増幅処理など所定の音声処理を施す。また、音声処理部52は、音声処理後の外部音声をスピーカ12に出力する。なお、音声処理部52は、必ずしも演算処理装置14の一機能として構築される必要はなく、例えば、音声信号増幅回路やローパスフィルタといった従来からある制御回路で構築されても良い。
【0041】
以上、本実施形態に係る補聴器10の機能ブロックについて説明した。
【0042】
次に、補聴器10のリピート関連処理について説明する。
図7は、かかる処理を示したフロー図である。本フローは、補聴器10の電源がONになると開始される。
【0043】
制御部51は、モーションセンサ19から信号を取得したか否かを監視する(ステップS001)。そして、信号を取得した場合(ステップS001でYes)、制御部51は、信号の出力値が所定の閾値よりも大きいか否かを判定し(ステップS002)、閾値よりも大きい場合には(ステップS002でYes)、処理をステップS003に移行する。一方で、モーションセンサ19から信号を取得していない場合(ステップS001でNo)または取得した信号の出力値が閾値よりも小さい場合(ステップS002でNo)、制御部51は、処理をステップS001に戻し、再び信号取得の有無を監視する。なお、制御部51は、モーションセンサ19が所定方向の傾きを検知した際に出力する割り込み要求信号の取得、または、インターバルタイマーにより、所定時間(例えば、0.3秒〜0.5秒)ごとに信号取得の有無を判定することで信号取得の有無を監視する。
【0044】
ステップS003では、制御部51は、信号が示すイヤホン12の傾き方向31に応じて処理のリピート関連処理32を実行する。以下、リピート関連処理の各々の場合について説明する。
【0045】
(1)モーションセンサ19から取得した信号が左方向の傾きを示すものである場合、制御部51は、信号を取得した時刻から所定時間前(例えば、30秒間前)までの音声データを録音用メモリ16から抽出し、これにリピート番号41(n)を対応付けたリピート用音声データ42としてリピート音声用メモリ17に格納する。また、制御部51は、リピート番号に1を加え、リピート算出用番号(n+1)としてRAMに保持する。
【0046】
(2)モーションセンサ19から取得した信号が前方向の傾きを示すものである場合、制御部51は、リピート番号41を選択する。具体的には、制御部51は、かかる信号の取得数を積算する。例えば、前方向の傾きを示す信号を3つ取得すると、制御部51は、リピート算出用番号(n+1)から「3」を減算し、かかる番号の決定から所定時間(例えば、10秒間)RAMで保持する。なお、信号を複数取得した場合、最後に取得した時刻から所定時間(例えば、3秒間)が経過すると、制御部51は、所定時間経過前までに取得した信号数とリピート算出用番号とから算出したリピート番号41を決定する。なお、最後に取得した時刻から所定時間が経過しなくとも、所定時間経過前に取得した信号が右方向の傾きを示す者である場合、制御部51は、再生するリピート番号41を決定する。
【0047】
(3)モーションセンサ19から取得した信号が右方向の傾きを示すものである場合、制御部51は、音声データを再生する。具体的には、制御部51は、かかる信号の取得時にRAMにリピート番号41が保持されている場合、対応する番号が付加されているリピート用音声データ42をリピート音声用メモリ17から抽出して再生を行う。
【0048】
一方で、信号の取得時にRAMにリピート番号41が保持されていない場合、制御部51は、信号を取得した時刻から所定時間前(例えば、30秒間前)までの音声データを録音用メモリ16から抽出して再生を行う。
【0049】
(4)右方向の傾きからゆっくりと傾きの無い状態に戻ることを示す信号を取得した場合、制御部51は、通常の速度で再生している音声データをスロー再生に変更する。具体的には、制御部51は、右方向の傾きを示す信号の取得後に、所定範囲に収まる出力値を示す信号であって、右方向の傾きの大きさが小さくなることを示す信号を所定時間(例えば、3秒間)継続して取得したか否かを判定する。なお、出力値の範囲は、ゆっくりの度合いに応じて適宜設定されれば良い。
【0050】
このような信号を取得すると、制御部51は、音声データの再生速度を変更し、スロー再生を行う。
【0051】
このような補聴器10によれば、ボタン操作を必要としない、より簡単な操作でリピート再生が可能となる。特に、イヤホン12を装着している頭部(首)を傾けることにより、体感的に外部音声のリピート再生を実行することができる。例えば、首を左方向に傾ける(聴き逃した動作に似ている)と、所定範囲の時間内に録音した音声データをリピート用音声データとして保存することができる。また、首を右方向に傾けると、録音した音声データを再生することができる。また、首を前方向に傾けると、保存したリピート用音声データのリピート番号を選択することができる。また、首を右方向に傾けた後でゆっくりと傾きのない状態に戻すと、スロー再生にすることができる。したがって、比較的にボタン操作が苦手なお年寄りなどにとって、非常に使い勝手の良いリピート機能を備えた補聴器を提供することができる。また、補聴器10では、素早い録音操作が可能であるため、リピートにより聴き直したいと思った音声データを適切に録音することができる。
【0052】
なお、前述の補聴器10では、所定方向の傾きを示す信号を検知した場合に所定のリピート関連処理を実行したが、本発明は本実施形態に限られるものではない。例えば、補聴器10は、所定方向への変位や振動およびそれらの回数に応じて所定のリピート関連処理を実行するようにしても良い。
【0053】
例えば、モーションセンサ19の構成にジャイロセンサが含まれている場合、補聴器10は、軸方向に対する回転(捻れ)方向やその回数に応じて、対応する所定のリピート関連処理を実行する。具体的には、補聴器10の制御部51は、左方向に1回転したことを示す信号をモーションセンサ19から取得すると、リピート用音声データを保存する。また、例えば、右方向に1回転したことを示す信号を取得すると、制御部51は、音声データの再生を行う。また、例えば、モーションセンサ19により、右方向に半回転した後で左方向に所定回数の回転が検知されると、制御部51は、左方向の回転数に応じたリピート番号の選択を実行する。
【0054】
また、モーションセンサ19の構成に振動センサが含まれている場合、補聴器10は、振動の大きさや回数に応じて、対応する所定のリピート関連処理を実行する。具体的には、補聴器10の制御部51は、所定時間内(最初の振動検知から3秒以内)に振動を1回検知したことを示す信号をモーションセンサ19から取得すると、リピート用音声データを保存する。また、例えば、所定時間内に振動を2回検知したことを示す信号を取得すると、制御部51は、音声データの再生を行う。また、例えば、モーションセンサ19により、3回の振動が検知された後で所定時間内(例えば、3秒以内)に所定数の振動を検知されると、制御部51は、所定時間内に検知された振動回数に応じたリピート番号の選択を実行する。
【0055】
なお、各リピート関連処理に対応付けられる動作(振動回数や回数の組合せ)は適宜設定されれば良く、例えば、
図2に示すリピート関連データ30としてROMなどに格納されていれば良い。
【0056】
また、音声データの再生中に、所定の動作(例えば、所定方向への動き、傾き、振動など)を示す信号をモーションセンサ19から取得した場合、制御部51は、再生を停止し、マイクロフォン15を介して取得した外部音声をイヤホン12から出力するようにしても良い。
【0057】
また、音声データの再生中には、通常、マイクロフォン15を介して取得した外部音声はイヤホン12に出力されない制御が制御部51により行われるが、音声データの再生中にかかる信号を取得した場合、制御部51は、一方のイヤホン12に音声データを出力し、他方のイヤホン12からマイクロフォン15を介して取得した外部音声を同時に出力するようにしても良い。また、制御部51は、このような場合に、再生中の音声データと外部音声とを重ねて両方のイヤホン12に出力するようにしても良い。
【0058】
また、モーションセンサ19で検知された傾き方向、所定方向への動き、振動回数、およびそれらの組み合わせにより、所定のリピート関連処理を実行するようにしても良い。例えば、右方向への傾きを検知した後で、所定時間内(例えば、3秒以内)に所定回数(例えば、3回)の振動をモーションセンサ19が検知すると、制御部51は、振動回数に応じてリピート番号を選択する。
【0059】
なお、各リピート関連処理に対応付けられる動作(傾き、振動、動作方向など)は適宜設定されれば良く、例えば、
図2に示すリピート関連データ30としてROMなどに格納されていれば良い。
【0060】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る補聴器10は、ボタン操作を必要としないより簡単な操作によって、再生中の音声データを停止、または、消去する機能を備える。具体的には、リピート用音声データ42を再生中に本体11を1回「トン」と叩くことにより、再生を停止させる。また、リピート用音声データ42を再生中に本体11を2回「トントン」と叩くことにより、再生中のリピート用音声データ42をリピート音声用メモリ17から削除する。なお、補聴器10の基本的構成は前述の第一実施形態と同様であるが、本実施形態の本体にはモーションセンサ19の構成に振動センサが内蔵されている。
【0061】
なお、振動を検知した場合に実行される演算処理装置14の具体的な動作は、ROMに格納されているリピート関連データで定義付けられていれば良い。
図8は、第二実施形態に係るリピート関連データ60の一例を示したものである。リピート関連データ60は、振動センサによって検知された本体11への振動パターン61と、演算処理装置14による処理内容(リピート関連処理)62と、が対応付けて記録されている。具体的には、1回「トン」と叩いた時の振動を検知した場合、演算処理装置14の動作として「リピート再生を停止する」が対応付けられている。また、2回「トントン」と叩いた時の振動を検知した場合、演算処理装置14の動作として「再生中のリピート用音声データをリピート音声用メモリから削除する」が対応付けられている。
【0062】
このようなリピート関連処理は、前述の制御部51が実行する。制御部51は、リピート用音声データ42の再生を開始すると、振動センサから信号を取得したか否かを監視する。そして、振動を検知したことを示す信号(1回目の信号)を取得した場合、所定時間内(例えば、1秒以内)に再び振動を検知したことを示す信号(2回目の信号)を取得したか否かを監視する。
【0063】
1回目の信号を取得してから所定時間(例えば、1秒)経過しても2回目の信号を取得しない場合、制御部51は、1回「トン」に対応付けられている処理を実行する。すなわち、制御部51は、「リピート再生を停止する」という処理を実行する。
【0064】
一方で、所定時間内に2回の信号を取得した場合、制御部51は、2回「トントン」に対応付けられている処理を実行する。すなわち、制御部51は、「再生中のリピート用音声データをリピート音声用メモリから削除する」という処理を実行する。
【0065】
このような第二実施形態に係る補聴器10によれば、ボタン操作を必要としないより簡単な操作によって、再生中の音声データを停止、または、消去することができる。
【0066】
<第一変形例>
前述の実施形態では、イヤホン12にモーションセンサ19を内蔵したが、本発明は本実施形態に限られるものではない。第一変形例では、手首に固定する腕時計型のリストバンドを補聴器の付属具として設け、該リストバンドにモーションセンサ19を内蔵することにより、腕の動きに応じて補聴器10に所定の指示を出力できるものである。
【0067】
図9は、第一変形例に係るリストバンド70を示した図である。第一変形例に係る補聴器10は、本体11と、イヤホン12と、リストバンド70と、を備え、リストバンド70と本体11とが通信ケーブル72で接続されている構成となっている。なお、前述の実施形態と同一の構成は、同一の符号を附して説明を省略する。
【0068】
リストバンド70は、バンド本体71と、センサーケーブル72と、を有している。なお、バンド本体71は、モーションセンサ19と、リピート関連処理の処理マークを表示するディスプレイ22と、を備えている。センサーケーブル72は、モーションセンサ19が検知した傾き方向や出力値を示す信号を本体11の演算処理装置14に出力するための通信ケーブルである。
【0069】
モーションセンサ19は、腕に装着されたバンド本体71に内蔵され、腕の動きによるリストバンド70の傾き方向およびその大きさを検知する。また、モーションセンサ19は、検知したリストバンド70の傾き方向と、動作の加速度に比例する出力値と、を示す信号を生成し、センサーケーブル72を介して本体11の演算処理装置14に出力する。
【0070】
なお、本変形例に係る補聴器10は、バンド本体71に内蔵されるモーションセンサ19を介して腕の動きを検知する。そして、所定の動きを検知したことを示す信号をモーションセンサ19から取得すると、制御部51は、リピート関連処理受け付けモードに移行する。また、制御部51は、リピート関連処理受け付けモードに移行した後で、所定の時間内(例えば、5秒以内)に所定の動きを示す信号を取得すると、リピート関連処理を実行する。
【0071】
具体的には、制御部51は、モーションセンサ19がほぼ水平であることを示す信号を取得してから所定時間内(例えば、3秒以内)に、モーションセンサ19が横方向に複数回(例えば、2回)振られた動きを示す信号を取得すると、リピート関連処理受け付けモードに移行する。すなわち、補聴器の使用者が腕を水平にした後で、横方向に複数回腕を振る動作を行うことにより、リピート関連処理を実行するためのリピート関連処理受け付けモードに移行する。なお、所定のリピート関連処理に対応付けられている傾き方向は、前述の実施形態と同様である。
【0072】
次に、第一変形例に係るリピート関連処理について説明する。
図12は、かかる処理を示したフロー図である。本フローは、補聴器10の電源がONになると開始される。
【0073】
制御部51は、リピート関連処理受け付けモードに移行するための信号をモーションセンサ19から取得したか否かを監視する(ステップS011)。具体的には、制御部51は、モーションセンサ19がほぼ水平であることを示す信号を取得してから所定時間内(例えば、3秒以内)に、モーションセンサ19が横方向に複数回(例えば、2回)振られる動きを示す信号を取得したか否かを監視する。
【0074】
かかる動きを示す信号を取得した場合(ステップS011でYes)、制御部51は、リピート関連処理受け付けモードに移行し(ステップS012)、処理をステップS013に移行する。なお、ステップS013移行の処理は、前述の実施形態に係るステップS001〜ステップS003と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
このような構成によれば、使用者の腕の動きに応じてリピート再生などの処理を実行することができる。具体的には、使用者が、前後方向に水平にした腕を横方向に複数回振ることにより、制御部51は、リピート関連処理を受け付けるモードに移行する。その後で、使用者が腕を左方向に傾ければ、所定範囲の時間内(信号取得時から30秒前まで)に録音された音声データをリピート用の音声データが記録される。また、使用者が腕を右方向に傾ければ、録音されている音声データが再生される。
【0076】
また、リピート関連処理受け付けモードに移行するための動作を予め設定することにより、腕の動きによる誤作動すなわち誤ってリピート関連処理が実行されないようにすることができる。なお、リピート関連処理受け付けモードに移行するための傾き方向やその組合せ(前述の例では、水平方向+横方向に複数回移動)は、特に限定されるものではない。例えば、制御部51は、モーションセンサ19がほぼ水平であることを示す信号を取得した後で、所定時間内に、所定方向(例えば、左方向)に所定回数(例えば、3回)傾いたことを示す信号を取得した場合にリピート関連処理受け付けモードに移行するようにしても良い。また、例えば、モーションセンサ19が、右方向および左方向への傾きを2回ずつ交互に検知することによりリピート関連処理受け付けモードに移行するようにしても良い。
【0077】
なお、使用者が腕を前後方向に水平にすることにより、制御部51がモーションセンサ19の水平状態を示す信号を取得した場合、リピート関連処理受け付けモードに移行するようにしても良い。
【0078】
このようにすれば、使用者が、例えば、リストバンド70を装着した腕を前後方向に水平にした後で、腕を右方向(または左方向もしくは右方向および左方向を交互に)に3回捻れば(水平な腕の軸方向に対して四半回転させる動き)、制御部51は、リピート関連処理受け付けモードに移行する。そして、かかるモードに移行した後に受け付けた信号に応じて、制御部51は、所定の傾き方向に対応付けられているリピート関連処理32が実行される。
【0079】
また、リピート関連処理に対応付けられる所定の動作は、前述の回転(捻れ)方向、振動およびこれらの組合せであっても良い。
【0080】
また、演算処理装置14は、使用者からリピート番号41の選択指示(例えば、リストバンド70を前方向に傾けることによる指示)を受け付けた場合、選択されているリピート番号41や、録音された日時情報をディスプレイ22に表示させる情報を生成する。なお、リピート番号41の表示に限らず、例えば、モーションセンサ19が検知したリストバンド70の傾き方向が表示されるようにしても良い。
【0081】
このような第一変形例に係る補聴器によれば、ボタン操作を必要としない、より簡単な操作でリピート再生が可能となる。特に、腕に装着するリストバンド70にモーションセンサ19を内蔵することで、操作性が向上する。また、ディスプレイ22を設けることで傾き方向やリピート番号41を表示できるため、使用者にとって使い勝手が良いものとなる。また、補聴器10では、素早い録音操作が可能であるため、リピートにより聴き直したいと思った音声データを適切に録音することができる。
【0082】
また、
図10に示すように、前述の実施形態に係る各構成は、マイクロフォン15とイヤホン12とが本体と同一の筐体81に搭載されている耳掛け式の補聴器に適用されても良い。すなわち、このような耳掛け式の補聴器の筐体81にモーションセンサ19および振動センサを内蔵し、使用者が首を傾けることで所定の処理を指示できるようにしても良い。
【0083】
また、前述の実施形態に係る各構成は、マイクロフォン15とイヤホン12とが同一の筐体に取り付けられ、筐体とは別な本体とコードで接続された補聴器に適用されても良い。
【0084】
<第二変形例>
また、前述の実施形態では、所定の動作を示す信号を取得すると、制御部51は、リピート用音声データをリピート音声用メモリに17格納したが、本発明は本実施形態に限られるものではない。第二変形例では、リピート音声用メモリ17を用いず、録音用メモリ16に格納した外部音声の音声データにリピート再生を行う開始位置を示したポイントマーク(アドレス番号やインデックス)を付加する。
【0085】
図13(a)は、第二変形例に係る録音用メモリ16およびポイントマークを示した図である。図示するように、制御部は、所定の傾き方向を示す信号を取得する度に、所定時間前(例えば、30秒前)に遡った位置にポイントマークを付加する。なお、
図13(b)に示すように、制御部51は、各ポイントマーク102に固有の識別番号101を対応付けたポイントマーク情報100を生成し、これをRAMなどのメモリに格納する。
【0086】
そして、制御部51は、前述のリピート番号41と同様に、使用者から識別番号101の選択を受け付けると、対応するポイントマーク102が付加されている音声データを再生する。
【0087】
なお、前述の第二変形例では、所定の傾き方向を示す信号を取得する度、所定時間前(例えば、30秒前)に遡った位置にポイントマークが付加されたが、信号取得の有無に関係なく、所定時間ごと(例えば、10秒ごと)に音声データにポイントマークを付加して録音用メモリ16に格納しても良い。
【0088】
なお、各ポイントマークには固有のアドレス値やインデックス番号が対応付けられてRAMなどのメモリに格納されているものとする。
【0089】
このような補聴器では、所定の時間間隔でポイントマークが付加された音声データが連続的に録音用メモリ16に格納される。制御部51は、音声データのリピート再生を指示する所定の動作(所定方向の傾き、回転、振動など)を示した信号を取得すると、所定数前(例えば、3つ)のポイントマークが付加されている位置から音声データのリピート再生を開始する。
【0090】
なお、録音用メモリ16に格納される音声データおよびポイントマーク(ポイントマークの位置を示すアドレス値やインデックスを含む)は、録音メモリに空き容量に応じて古いものから順に削除されても良く、または、録音から所定時間経過後(例えば、1時間経過後)に録音メモリ内の所定領域に待避して保存するようにしても良い。
【0091】
このような第二変形例に係る補聴器によっても、ボタン操作を必要としない、より簡単な操作でリピート再生が可能となる。
【0092】
また、前述の実施形態において、制御部51が音声データを再生する際、再生区間中の音声データに無音区間が存在する場合には、無音区間を飛ばしてリピート再生を行うようにしても良い。
【0093】
例えば、リピート再生を行う再生区間(全長30秒間)の中で、所定の区間(例えば、14秒目〜16秒目)が無音区間である場合、制御部51は、かかる再生区間を構成する音声データの音量や周波数帯域などを示すスペクトログラムにより、人の声が含まれているか否かを分析する。そして、人の声が含まれていない場合、制御部51は、かかる区間を無音区間として特定し、その区間を飛ばして音声データの再生を行う。
【0094】
また、リピート関連処理の内容は、リピート関連データ30で定義付けられている所定の処理に限られるものではなく、適宜設定されれば良い。例えば、所定の動作(傾き、回転、振動など)を示す信号を取得すると、制御部51は、補聴器10の電源スイッチのON/OFFを行うようにしても良い。また、制御部51は、所定の動作を示す信号の取得に応じて、補聴器の音量(ボリューム)調整を行っても良い。
【0095】
また、制御部51は、所定の動作(傾き、回転、振動など)を示す信号の取得に応じて、マイクロフォン15の指向性を調整するようにしても良い。例えば、制御部51は、外部音声を取得した方向に応じて音声を遅延させる演算処理を行うことにより、マイクロフォン15の指向性(方向や範囲)を調整する。
【0096】
また、本体11に種類の異なるマイクロフォンを複数設け、所定の動作(傾き、回転、振動など)を示す信号の取得に基づき、状況に応じて切り替えて使用するようにしても良い。例えば、電車の車内では、上方向に指向性が広いマイクロフォンを使用し、人と対話するときには前方方向にやや狭い指向性のマイクロフォンを使用し、講演会場などでは前方方向に狭い指向性のマイクロフォンを使用する。制御部51は、モーションセンサ19で検知されたイヤホン12またはリストバンド70の動作に応じて、これらの処理を実行する。
【0097】
また、前述の第一変形例に係るリストバンド70にマイクロフォンを設け、外部音声の発生源(例えば、対話相手やテレビ、ラジオなど)に向かってマイクロフォンを向けることで、外部音声をより鮮明に取得することができるようにしても良い。マイクロフォンには所定範囲の指向性があることから、リストバンド70に搭載することにより、指向性の方向に向きを自由に変更することができ、より鮮明に外部音声を取得することができる。また、その際、リストバンド70で検知された動作に連動させて、補聴器の音量や音質の調整が可能となるようにしても良い。また、制御部51や音声処理部52といった機能部を有する演算処理装置をリストバンド70に搭載しても良く、イヤホンケーブルを前述のセンサーケーブル72としても良い。
【0098】
また、各リピート関連処理に対応付けられている傾き方向は、いずれの方向であっても良い。例えば、前述の実施形態では、「音声データの再生」というリピート関連処理が右方向の傾きに対応付けられていたが、かかる処理が左方向または前方向の傾きに対応付けられていても良い。また、「スロー再生」は、右方向の傾きからゆっくりと傾きの無い状態に戻るという行為に対応付けられていたが、例えば、左方向の傾きや右方向の傾きに対応付けられていても良い。また、ゆっくりと右方向の傾きを示す信号を取得した場合にスロー再生が行われるようにしても良い。
【0099】
また、前述の実施形態では、所定の振動が検知されると、制御部51は、再生中の音声データを削除したが、所定方向の傾きを検知したことを示す信号を取得したタイミングで再生中の音声データを消去するようにしても良い。
【0100】
また、所定のリピート関連処理を実行する際に、制御部51は、かかる処理に対応する音声ガイドを再生するようにしても良い。例えば、実行するリピート関連処理が外部音声の再生である場合、制御部51は、「再生します」といった所定の音声ガイダンスをイヤホン12から出力させる。また、実行するリピート関連処理がポイントマークの付加である場合、制御部51は、「再生位置を記録しました」といった所定の音声ガイダンスをイヤホン12から出力させる。なお、音声ガイダンスで流れる音声は、予め録音用メモリ16やROMなど所定の記録媒体に格納されていれば良い。