【実施例】
【0054】
実施例
透明プライマー層を形成するアクリルシリコン樹脂プライマーとして,アルコキシシリル基とヒドロキシル基を有するアクリルシリコンオリゴマーにカネカゼムラックYC4611を,その他に石油系希釈剤としてターペンシンナー#50(商品名,亜細亜工業株式会社製)を,消泡剤としてBYK−066N(商品名,シリコン系消泡剤,株式会社ビックケミー社製)を表1に示す所定重量部を配合して主剤とした。また,無黄変のイソシアネートプレポリマーにデュラネートTSA100を,その他に希釈剤としてソルベッソ100(商品名,エクソン・モービル社製)を,硬化触媒としてBT452Z(商品名,化学名;有機錫化合物,有効錫成分;18.6 %,株式会社カネカ製)を,接着補助剤としてZQ964Z(商品名,アミノシラン,株式会社カネカ製)を表1に示す所定重量部配合し硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は7:1であり,これらの主剤と硬化剤とで実施例のアクリルシリコン樹脂プライマーを得た。
【0055】
透明補強層を形成するポリウレア樹脂塗材として,無黄変イソシアネートプレポリマーにデュラネートTSE100(商品名,HDI系イソシアネートプレポリマー,重量平均分子量(Mw);6000,旭化成ケミカルズ(株)製)を使用して主剤とし,脂環式ポリアミンにフジキュア8111及びフジキュア8111Gを,補強短繊維にミルドファイバーEFDE−50−31を,光安定剤にTINUBIN292を,紫外線吸収剤にTINUVIN400を,その他に消泡剤としてフローレンAC−303(商品名,アクリル系消泡剤,共栄社化学株式会社製)を,沈降防止剤としてBYK405(商品名,株式会社ビックケミー社製)を,補強短繊維との濡れ性を上げるため湿潤剤としてSH6020(商品名,アミノシラン,東レ・ダウコーニング社製)を表1に示す所定重量部配合して硬化剤とした。該SH6020の配合により透明補強層が日射により高温度になっても塗膜強度が保持される効果がある。主剤と硬化剤の重量配合比は20:16.6であり,これらの主剤と硬化剤とで実施例のポリウレア樹脂塗材を得た。
【0056】
透明保護層を形成するアクリルシリコン樹脂塗材として, アルコキシシリル基を有するアクリルシリコンオリゴマーに,カネカゼムラックYC4383を使用し, 光安定剤にTINUBIN292を,紫外線吸収剤にTINUVIN400を,その他に石油系希釈剤としてターペンシンナー#50を,消泡剤としてBYK−066N(商品名,シリコン系消泡剤,株式会社ビックケミー社製)を表1に示す所定重量部を配合して主剤とした。また硬化触媒BT405Zを硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は19:1であり,これらの主剤と硬化剤とで実施例のアクリルシリコン樹脂塗材を得た。
【0057】
【表1】
【0058】
比較例
比較例の透明プライマー層を形成する塗材及び透明保護層を形成する塗材として上記実施例のアクリルシリコン樹脂塗材を使用し,比較例の透明補強層を形成する塗材として,樹脂固形分が50%の透明アクリルエマルション(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体,粘度50Pa・s/20℃,T.I値(JISA6024 チキソトロピックインデックス)5.7,ナイロン短繊維(繊維長5mm)2重量%含有)を使用した。
【0059】
評価方法
【0060】
引張強度
23℃、RH50%条件下にて、透明補強層を形成する実施例及び比較例の塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ7日間養生後JIS K 6251加硫ゴムの引張試験方法規定の2号ダンベル片形状に成型した。その後、同試験方法に従い引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。試験は23℃及び60℃にて行なった。
【0061】
モルタル付着強度
23℃,RH50%下にて,70mm×70mm×20mmのモルタル試験板(JIS R 5201 10.4規定)の表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例の場合は,アクリルシリコン樹脂プライマー0.08kg/m
2を塗布し乾燥後ポリウレア樹脂塗材0.7kg/m
2を2回塗りし,乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m
2で2回塗りして、7日間養生したのちに、JIS A 6909 7.9 付着強さ試験に準拠して付着強さを測定した。比較例の場合は,アクリル樹脂塗材を0.12kg/m
2で塗布し乾燥後,透明アクリルエマルションを0.5kg/m
2で塗り広げ,乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げ,さらに乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げて乾燥させ,次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m
2で2回(層)塗布し7日間養生したのちに,JIS A 6909 7.9 付着強さ試験に準拠して付着強さを測定した。すべての試験体でモルタル板が破壊したため,その付着強さをモルタル付着強度(MPa)とした。試験は23℃にて行なった。
【0062】
耐紫外線性
23℃、RH50%条件下にて、実施例の場合はポリウレア樹脂塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ,乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m
2で2回塗りして、7日間養生する。比較例の場合は透明アクリルエマルションを厚さ2mmで塗り広げて乾燥させ,0.5kg/m
2で塗り広げ,乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げ,さらに乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げて乾燥させ,次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m
2で2回(層)塗布し7日間養生する。これらのシート状の硬化物をスーパーUVテスター(型式:SUV−W151、岩崎電気製、照射条件:水冷式メタルハライドランプ使用、温度63℃、湿度50%、照度100mW/cm
2)にて180時間連続照射した後、JIS K 6251加硫ゴムの引張試験方法規定のダンベル2号片形状に成型した。その後、外観を目視にて確認すると同時に、同試験方法に従い引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。試験は23℃にて行なった。
【0063】
曲げ強度
JIS R 5201 10.4に規定のモルタル板(100mm×200mm×30mm)を長手方向の中心部に載荷して2分割する。その破断面をつき合わせて固定した表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例の場合は,アクリルシリコン樹脂プライマー0.08kg/m
2で塗布し乾燥後ポリウレア樹脂塗材0.7kg/m
2を2回塗りし,乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m
2で2回塗りして、7日間養生したのちに、載荷速度を1.67mm/分で、4点曲げ方式にて曲げ試験を行い曲げ強度(N)を測定した。上側の荷重スパンは50mm、下側の荷重スパンは150mmとした。比較例の場合は,アクリル樹脂塗材を0.12kg/m
2で塗布し乾燥後,透明アクリルエマルションを0.5kg/m
2で塗り広げ,乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げ,さらに乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げて乾燥させ,次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m
2で2回(層)塗布し7日間養生したのちに,同様の試験を行い曲げ強度(N)を測定した。
【0064】
押し抜き最大荷重
JIS A5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ぶた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。)のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±3mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し実施例については,上記実施例記載のアクリルシリコン樹脂プライマーをローラ刷毛にて0.08kg/m
2塗付し乾燥させる。次に上記実施例記載のポリウレア樹脂塗材を金鏝にて0.7kg/m
2均一に塗付し,さらに上記実施例記載のポリウレア樹脂塗材を金鏝にて0.7kg/m
2均一に塗付する。次に上記実施例記載のアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m
2塗付し,指触乾燥後さらに上記実施例記載のアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m
2塗付する。23℃、RH50%条件下にて7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
比較例については,アクリル樹脂塗材を0.12kg/m
2で塗布し乾燥後,透明アクリルエマルションを0.5kg/m
2で塗り広げ,乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げ,さらに乾燥後,同一の材料を0.8kg/m
2で塗り広げて乾燥させ,次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m
2で2回(層)塗布し23℃、RH50%条件下にて7日間養生したのちに,同様の試験を行った。
【0065】
可使時間
実施例のポリウレア樹脂塗材について,主剤と硬化剤をそれぞれ23℃に調製し,主剤と硬化剤を混合直後にB型回転粘度計7号ローター20rpmで粘度を測定して初期粘度とし,その後5分毎に粘度を測定し,初期粘度の2倍の粘度に到達するまでの時間を可使時間として算出した。
【0066】
アンカーピン付着性
タイル固着用アンカーピンJB−TA(商品名,SUS304製,アイカ工業株式会社製)に固着する頭部キャップの平面部(アクリルシリコン樹脂塗膜)にアクリルシリコン樹脂プライマーを0.08kg/m
2で塗布し乾燥後7日間23℃にて養生後,カッターナイフの刃の先端を頭部フランジ部と硬化したアクリルシリコン樹脂プライマー層の界面に沿って入り込ませ,その際のアクリルシリコン樹脂プライマー層の剥離の状態を評価した。評価は以下によって行なった。
○:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲に剥離が生じない。
△:入り込ませたカッターナイフの刃の先端に周囲にわずかに剥離部分がある。
×:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲の全体に剥離が生じている。
【0067】
評価結果
評価結果を表2に示す。
【0068】
【表2】