特許第6113573号(P6113573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113573
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】センターベアリングサポート
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/06 20060101AFI20170403BHJP
   B60K 17/22 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   F16C27/06 B
   B60K17/22 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-98226(P2013-98226)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-219049(P2014-219049A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(72)【発明者】
【氏名】池田 政弘
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−106016(JP,U)
【文献】 特開2004−108485(JP,A)
【文献】 特開2008−281099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/06
B60K 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸孔を設けたブロック状のゴム状弾性体を有し、前記軸孔の内周面にセンターベアリングを装着し、前記軸孔にプロペラシャフトを挿通し、前記センターベアリングを介して前記プロペラシャフトを防振支持するセンターベアリングサポートであって、前記ゴム状弾性体を軸方向に貫通する空間としてのスグリ部が前記軸孔の周りに複数設けられているセンターベアリングサポートにおいて、
前記スグリ部は、前記軸孔の比較的近くに設けられた内周側スグリ部と、比較的遠くに設けられた外周側スグリ部との組み合わせよりなり、
前記内周側スグリ部および外周側スグリ部は、円周上交互に設けられるとともに円周上一部でオーバーラップして設けられることにより、当該内周側スグリ部および外周側スグリ部間に前記ゴム状弾性体の一部よりなる繋ぎ部を有し、
前記繋ぎ部は、軸方向一方からこれを見て、円周方向および軸直角方向の双方に対し傾斜する向きに延設されていることを特徴とするセンターベアリングサポート。
【請求項2】
請求項1記載のセンターベアリングサポートにおいて、
前記繋ぎ部は、軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える直線状または曲線状に形成されていることを特徴とするセンターベアリングサポート。
【請求項3】
請求項1または2記載のセンターベアリングサポートにおいて、
円周上互いに隣り合う前記繋ぎ部同士は、前記傾斜する向きが円周上互いに反対の向きとされていることを特徴とするセンターベアリングサポート。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のセンターベアリングサポートにおいて、
前記ゴム状弾性体は、装着時シャシに対向する部分に、凹部状の抜き形状を有していることを特徴とするセンターベアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センターベアリングを介してプロペラシャフトを防振支持するセンターベアリングサポートに関する。本発明のセンターベアリングサポートは、自動車等車両用プロペラシャフトを防振支持するために用いられ、またはその他のプロペラシャフトもしくは推進軸などを防振支持するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来から図9に示すように、軸孔53を設けたブロック状のゴム状弾性体52を有し、軸孔53の内周面にセンターベアリング(図示せず)を装着し、軸孔53にプロペラシャフト(図示せず)を挿通し、センターベアリングを介してプロペラシャフトを防振支持するブロックタイプのセンターベアリングサポート51が知られている。
【0003】
上記センターベアリングサポート51は、ゴム状弾性体52を軸方向に貫通する空間としてのスグリ部54を軸孔53の周りに複数設けることにより弾性体としてのばね定数を調整する構造とされているが、図10に示すベロー状のゴム状弾性体62を有するベロータイプのセンターベアリングサポート61と比較してプロペラシャフトの軸方向挙動に対する追随性が良くなく、大変位入力に対する耐久性に問題があると指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281099号公報(図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に鑑みて、ブロック状のゴム状弾性体を有するブロックタイプのセンターベアリングサポートでありながら、プロペラシャフトの軸方向挙動に対する追随性に優れ、大変位入力に対する耐久性を向上させることができるセンターベアリングサポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるセンターベアリングサポートは、軸孔を設けたブロック状のゴム状弾性体を有し、前記軸孔の内周面にセンターベアリングを装着し、前記軸孔にプロペラシャフトを挿通し、前記センターベアリングを介して前記プロペラシャフトを防振支持するセンターベアリングサポートであって、前記ゴム状弾性体を軸方向に貫通する空間としてのスグリ部が前記軸孔の周りに複数設けられているセンターベアリングサポートにおいて、前記スグリ部は、前記軸孔の比較的近くに設けられた内周側スグリ部と、比較的遠くに設けられた外周側スグリ部との組み合わせよりなり、前記内周側スグリ部および外周側スグリ部は、円周上交互に設けられるとともに円周上一部でオーバーラップして設けられることにより、当該内周側スグリ部および外周側スグリ部間に前記ゴム状弾性体の一部よりなる繋ぎ部を有し、前記繋ぎ部は、軸方向一方からこれを見て、円周方向および軸直角方向の双方に対し傾斜する向きに延設されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2によるセンターベアリングサポートは、上記した請求項1記載のセンターベアリングサポートにおいて、前記繋ぎ部は、軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える直線状または曲線状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3によるセンターベアリングサポートは、上記した請求項1または2記載のセンターベアリングサポートにおいて、円周上互いに隣り合う前記繋ぎ部同士は、前記傾斜する向きが円周上互いに反対の向きとされていることを特徴とする。
【0009】
更にまた、本発明の請求項4によるセンターベアリングサポートは、上記した請求項1、2または3記載のセンターベアリングサポートにおいて、前記ゴム状弾性体は、装着時シャシに対向する部分に、凹部状の抜き形状を有していることを特徴とする。
【0010】
上記図9の従来技術に対し、比較例として図11に示すように、スグリ部を軸孔の比較的近くに設けられた内周側スグリ部55と比較的遠くに設けられた外周側スグリ部56との組み合わせよりなるものとし、この内周側スグリ部55および外周側スグリ部56を円周上交互に設けるとともに円周上一部でオーバーラップして設けるようにすると、この内周側スグリ部55および外周側スグリ部56間にゴム状弾性体52の一部よりなる繋ぎ部57が設けられ、この繋ぎ部57は軸方向に弾性変形しやすい特性を備えるため、プロペラシャフトの軸方向挙動に対する追随性を高めることが可能とされる。
【0011】
しかしながら、上記円周上のオーバーラップ量Rを一定として、図示するように両スグリ部55,56の開口形状を円弧形とし、繋ぎ部57を円周方向に延びるものとして形成すると、繋ぎ部57の長さを大きく確保することができないため、軸方向変形量も限られたものとなる。
【0012】
そこで、本発明では、繋ぎ部を円周方向および軸直角方向の双方に対し傾斜する向きに延びるものとして形成することにし、このように繋ぎ部を斜め方向に延びるものとして形成することにより、繋ぎ部の長さを上記比較例対比で大きく確保することが可能とされる。したがって本発明では、プロペラシャフトの軸方向挙動に対する優れた追随性が発揮される。
【0013】
繋ぎ部は、軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える直線状のものとして形成するが、所定の幅寸法を備える曲線状のものとして形成しても良く、曲線状の場合には、繋ぎ部の長さが一層大きく確保される。
【0014】
また、繋ぎ部が傾斜する向きについては、円周上互いに隣り合う繋ぎ部同士において傾斜する向きを同じ向きとしても良いが、この場合には、ゴム状弾性体の円周方向ばね特性について円周方向一方で高く(硬く)、他方で低い(柔らかい)と云う方向性が設定されることになる。これに対し、円周上互いに隣り合う繋ぎ部同士において傾斜する向きを円周上互いに反対の向きとすることにより、ゴム状弾性体の円周方向ばね特性についての方向性を無くすことが可能される。
【0015】
また、一般的にプロペラシャフトを防振支持する際にはセンターベアリングサポートの支持剛性として、ばね定数が低いこと(低ばねであること)が望ましいが、支持するプロペラシャフトをマスとするとともにセンターベアリングサポートをばねとするばね−マス系における固有振動数との兼ね合いからして、もしくは分担荷重が高い(例えばトラック用)際には、有る程度大きな支持剛性が必要となる場合がある。これに対応するには、支持方向(車両下方向)のばね成分を圧縮ばねとすることによりばね定数を高く設定することができる(高ばね化が実現される)が、圧縮ばねはその反力が2次曲線的に立ち上がってしまうため、プロペラシャフトの挙動が部分的に制限され、実車における振動の発生が問題となるケースがある。
【0016】
そこで、これに対応するには、ゴム状弾性体におけるシャシに対向する部分に凹部状の抜き形状を設けるのが好適であり、このように凹部状の抜き形状を設けると、支持方向(車両下方向)のばね成分がせん断ばねおよび圧縮ばねの組み合わせ(抜き形状がつぶれるまではせん断、つぶれた後は圧縮)とされるため、反力の立ち上がりを低減させ、振動の発生を抑制することが可能とされる。尚、本発明のセンターベアリングサポートはシャシの上方に配置(シャシの上面に装着)されるため、センターベアリングサポートの下面部に凹部状の抜き形状が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0018】
すなわち、本発明においては以上説明したように、繋ぎ部の長さが大きく設定されるため、プロペラシャフトの軸方向挙動に対し優れた追随性が発揮され、大変位入力に対しゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる。繋ぎ部を曲線状とする場合には、繋ぎ部の長さを一層大きく設定することができ、円周上互いに隣り合う繋ぎ部同士において傾斜する向きを反対の向きとする場合には、円周方向のばね特性についての方向性を無くすことができる。また、ゴム状弾性体におけるシャシに対向する部分に凹部状の抜き形状を設けることにより、支持方向のばね成分がせん断ばねおよび圧縮ばねの組み合わせとされるため、反力の立ち上がりを低減させ、振動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施例に係るセンターベアリングサポートの斜視図
図2】同センターベアリングサポートの正面図
図3】同センターベアリングサポートの断面図であって図2におけるA−0−B線断面図
図4】本発明の第2実施例に係るセンターベアリングサポートの正面図
図5】軸方向変位と径・軸剛性比との関係を示すグラフ図
図6】径方向変位と反力との関係を示すグラフ図
図7】本発明の第3実施例に係るセンターベアリングサポートの正面図
図8】径方向変位と反力との関係を示すグラフ図
図9】従来例に係るセンターベアリングサポートの斜視図
図10】他の従来例に係るセンターベアリングサポートの断面図
図11】比較例に係るセンターベアリングサポートの正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)
構成・・・
(1−1)自動車用等プロペラシャフトの中間軸受を防振支持するセンターベアリングサポートの弾性体に形成されたスグリにおいて、略三角形を対向させた形状を持つもの(図2)。同様にスグリ形状を凹凸形状としても良い(図4)。これらのスグリは等配設定が望ましいが、円周各方向のばね定数調整のために不等配としても良い。
(1−2)図2に示すごとく略三角形のスグリを対向させように配置し、弾性体部が薄くなる繋ぎ部の長さを確保する。図4のごとく凹凸形状の組み合わせとしても良い。
効果・・・
(1−3)上記構成により軸方向変形時に負荷の高い繋ぎ部の長さを長く設定することができ、耐久性の向上を見込むことができる。同じ支持剛性(径方向ばね定数)とした場合の径方向および軸方向の剛性比(径・軸剛性比)は図5に示すようになる。
(1−4)略三角形状において円周方向のクリアランスが確保できるため、予圧縮を与えた際にも低支持ばねを長いストロークで確保できる。図6に径方向の変位に対する反力を示す。
【0021】
(2)
構成・・・
(2−1)自動車用等プロペラシャフトの中間軸受を防振支持するセンターベアリングサポートの弾性体において、車両下方向に略逆U字形などの抜きを設けることで、車両下方向のバネ成分を圧縮+せん断としたもの。
(2−2)相手部品となるシャシ側を上記抜きに沿わせる形状としても良い。
(2−3)車両下方向、シャシとの間に略逆U字形などの抜きを設けることで、車両下方向のバネ成分を圧縮+せん断とする。
効果・・・
(2−4)上記構成により高い支持剛性を維持しつつ、プロペラシャフトの挙動(ストローク)し得るスペースが確保できる。
(2−5)スグリおよび抜き部の形状により圧縮+せん断バネ成分の比率を変えることにより、弾性体における弾性率(例えばゴム硬さ)による調整のみでなく、形状による特性チューニングの幅が広がり、設計自由度を高めることが可能となる。また、抜き部の深さ(高さ)により、支持剛性を変えずにストローク量の調整も可能となる。
(2−6)シャシ側を抜きに沿う形状にすることで、従来の圧縮バネによる特性も再現可能となり、例えば車両特性によるセンターベアリングサポートへの支持剛性違いの要求に対しても、1つの仕様にて追随することが可能となり、製品仕様の統合が可能となる。
【実施例】
【0022】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0023】
第1実施例・・・
図1ないし図3は、本発明の第1実施例に係るセンターベアリングサポート11を示している。当該実施例に係るセンターベアリングサポート11は、自動車等車両においてセンターベアリング(中間軸受、図示せず)を介してプロペラシャフト(推進軸、図示せず)を弾性的に防振支持するものであって、以下のように構成されている。
【0024】
すなわち先ず、当該センターベアリングサポート11は、ブロック状に成形されたゴム状弾性体(弾性体)12を有しており、このゴム状弾性体12の正面中央部に軸孔13が設けられている。またゴム状弾性体12は、軸孔13の周りに設けられた円筒状の軸挿通部14と、軸挿通部14の外周側に設けられた防振支持部15とを一体に有し、図3の断面に示すように後者の防振支持部15が断面略長方形のブロック状に成形されているため、全体としてブロックタイプのセンターベアリングサポートとされている。図2に示すように防振支持部15は軸方向一方(正面方向)からこれを見て、上方を軸孔13と同心の円形とするとともに下方を方形とする略逆U字形の正面形状とされ、その平面状の下面部16をシャシ(図示せず)の上面部に対向させ接触させた状態で、正面形状を略逆U字形とするブラケット(図示せず)を上方から被せてシャシに固定することによりシャシに装着される。また図3に示すように軸挿通部14には、環状を呈する内周側の補強部材17が埋設され、防振支持部15の外周部には、正面形状を略逆U字形とする外周側の補強部材18が埋設されている。以上の構成により当該センターベアリングサポート11は、軸孔13を設けたブロック状のゴム状弾性体12を有し、軸孔13の内周面にセンターベアリングを装着し、軸孔13にプロペラシャフトを挿通し、センターベアリングを介してプロペラシャフトを防振支持するものとされている。
【0025】
上記ゴム状弾性体12における軸孔13および軸挿通部14の周りに、当該ゴム状弾性体12を軸方向に貫通する空間としてのスグリ部21,22が複数設けられている。すなわちこのスグリ部21,22は、ゴム状弾性体12における軸孔13および軸挿通部14の周りであって弾性支持部15にこの弾性支持部15をその厚み方向に貫通するように設けられており、軸孔13の比較的近くに設けられた内周側スグリ部21と、比較的遠くに設けられた外周側スグリ部22との組み合わせにより構成されている。
【0026】
内周側スグリ部21は、軸孔13および軸挿通部14の周りに複数(図では8箇所)が等配状に設けられている。内周側スグリ部21の開口形状は、頂角を径方向外方へ向けた略二等辺三角形状とされている。
【0027】
一方、外周側スグリ部22は、ゴム状弾性体12の正面を時計の文字盤に見立てて9時位置から右回りに3時位置へかけての位置(上記略逆U字形における上方の円形の部位)に複数(図では5箇所)が円周方向に一定の間隔をあけて設けられている。外周側スグリ部22の開口形状は、頂角を径方向内方へ向けた略二等辺三角形状とされ、あるいはその底辺部が円弧形であるので、略扇形とされている。
【0028】
内周側スグリ部21および外周側スグリ部22は、円周上交互に設けられるとともに円周上一部でオーバーラップして(重複して、或いは重なり合って)設けられ、また径方向についても一部でオーバーラップして設けられている。したがって互いに隣り合う内周側スグリ部21および外周側スグリ部22の間には、ゴム状弾性体12の一部よりなる繋ぎ部23が設けられている。
【0029】
この繋ぎ部23は、軸方向一方からこれを見て、円周方向および軸直角方向の双方に対し傾斜する向きに延設され、すなわち円周方向でも径方向でもなく斜め方向へ向けて設けられている。
【0030】
また、この繋ぎ部23は、軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える直線状に形成されている。
【0031】
また、円周上互いに隣り合う繋ぎ部23同士は、傾斜する向きが円周上互いに反対の向きとされている。すなわち図2に描かれた10本の繋ぎ部23のうち、左から数えて奇数本目の5本の繋ぎ部23は、その内周端部より外周端部のほうが左回り方向(円周方向一方)へ変位した位置に配置されており、よってこの5本の繋ぎ部23は左回り方向に傾斜している。これに対し左から数えて偶数本目の5本の繋ぎ部23は、その内周端部より外周端部のほうが右回り方向(円周方向他方)へ変位した位置に配置されており、よってこの5本の繋ぎ部23は右回り方向に傾斜している。したがって左回り方向に傾斜した繋ぎ部23と右回り方向に傾斜した繋ぎ部23とが円周上交互に設けられている。
【0032】
上記構成のセンターベアリングサポート11においては、繋ぎ部23が斜め方向へ向けて延設され、図11の比較例対比でその長さが大きく設定されているため、プロペラシャフトの軸方向挙動に対し優れた追随性が発揮される。したがって軸方向の大変位入力に対しゴム状弾性体12の耐久性を向上させることができる。また、円周上互いに隣り合う繋ぎ部23同士において傾斜する向きが円周上互いに反対の向きとされているため、円周方向のばね特性についての方向性を無くすことができる。ちなみに当該実施例に係るセンターベアリングサポート11は図2に示したように、左右対称形状の成形品とされている。
【0033】
第2実施例・・・
上記第1実施例において、繋ぎ部23は軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える直線状に形成されているが、これに替えて、繋ぎ部23は軸方向一方からこれを見て、所定の幅寸法を備える曲線状に形成されたものであっても良い。
【0034】
図4は、この態様に係る実施例を示し、図示するように繋ぎ部23が曲線状に形成されている。尚、その前提として、内周側スグリ部21には、その外周側スグリ部22と対向する部分に凹状の円弧面が形成され、一方、外周側スグリ部22には、その内周側スグリ部21と対向する部分に凸状の円弧面が形成されている。この構成によると繋ぎ部23の長さが第1実施例対比で一層大きく設定されることになる。
【0035】
第3実施例・・・
上記第1および第2実施例において、装着時シャシに対向するゴム状弾性体12の下面部16は平面状に形成されているが、このように下面部16が平面状であると下面部16はシャシに対し全面接触するため、プロペラシャフトの荷重や振動などが作用したとき、ゴム状弾性体12は軸孔13および軸挿通部14の直下位置(図2または図4において図面上に点々を付した部位)において、そのばね成分が圧縮ばねのみとされる。しかしながら上記したように圧縮ばねはその反力が2次曲線的に大きく立ち上がってしまうため(図8における比較例の線)、プロペラシャフトの挙動が部分的に制限され、実車における振動の発生が問題となるケースがある。
【0036】
そこで、これに対応するため、当該第3実施例では図7に示すように、ゴム状弾性体12におけるシャシに対向する部分である下面部16の幅方向中央部に凹部状の抜き形状25が設けられており、このように凹部状の抜き形状25が設けられると、その上方におけるゴム状弾性体12のばね成分がせん断ばねおよび圧縮ばねの組み合わせ(抜き形状25がつぶれるまではせん断ばね、つぶれた後は圧縮ばね)とされる。したがって反力の立ち上がりを低減させることができ(図8における本発明の線)、振動の発生を抑制することができる。
【0037】
抜き形状25は軸方向一方からこれを見て、円弧状または略逆U字形に形成されている。また、この抜き形状25はその高さ寸法hや幅寸法wを適宜変更することにより、そのばね特性を調整することができる(図8における一点鎖線で示す仕様は実線で示す仕様に対し高さ寸法hを大きくした場合を示している)。
【符号の説明】
【0038】
11 センターベアリングサポート
12 ゴム状弾性体
13 軸孔
14 軸挿通部
15 防振支持部
16 下面部
17,18 補強部材
21 内周側スグリ部
22 外周側スグリ部
23 繋ぎ部
25 抜き形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11