特許第6113602号(P6113602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113602
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】SOFCチューブ形セル評価ホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170403BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20170403BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 N
   H01M8/12
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-163409(P2013-163409)
(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-32553(P2015-32553A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 直毅
(72)【発明者】
【氏名】江川 益博
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−105662(JP,A)
【文献】 特開2007−109515(JP,A)
【文献】 特開2009−76308(JP,A)
【文献】 特開2011−171003(JP,A)
【文献】 特開2004−327129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質からなるセル部の内周面又は外周面の一方に燃料極、他方に空気極が形成された固体酸化物形燃料電池のチューブ形セルの性能評価試験を行うSOFCチューブ形セル評価用ホルダにおいて、
前記チューブ形セルの両端部が挿入される挿入穴が形成されるとともに、該挿入穴に連通する連通穴が形成された一対の受け台を有するアルミナ製のセル取付部材と、
前記チューブ形セルが取り付けられた前記セル取付部材の一方の受け台に付勢力を付与して該セル取付部材を着脱可能に収容するセル収容部を有し、燃料ガスと空気ガスの一方のガスを供給するガス導入管及び未反応のガスを排出するガス排出管と前記セル収容部との間を接続する第1のガス流路が形成されたアルミナ製の第1の筐体と、
前記チューブ形セルが取り付けられた前記セル取付部材が前記セル収容部に収容された状態で、前記燃料ガスと空気ガスの他方のガスを供給するガス導入管及び未反応のガスを排気するガス排出管と前記セル収容部との間を接続して第2のガス流路を形成するように前記第1の筐体と突き合わせて固定されるアルミナ製の第2の筐体と、
前記チューブ形セルと前記挿入穴との間、前記第1のガス流路と前記連通穴との間、前記第2のガス流路と前記セル収容部との間をそれぞれシールするシール部材とを備えたことを特徴とするSOFCチューブ型セル評価用ホルダ。
【請求項2】
前記セル取付部材の一対の受け台には、複数のチューブ形セルの両端部が挿入可能な複数の挿入穴が形成されていることを特徴とする請求項1記載のSOFCチューブ型セル評価ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ形セルからなる固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell :SOFC)の性能評価試験を行うためのチューブ形セル評価ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
SOFCは、電解質として酸素イオン導電性固体電解質を使用した燃料電池であり、燃料と酸化剤の2種類のガスをそれぞれ酸素イオン導電性固体電解質によって隔てられた燃料極と空気極に供給して、それぞれの電極で電気化学反応を進行させることで外部に電力を取り出している。
【0003】
SOFCは、低公害・高効率な発電方式として、作動温度が高温で出力密度が高いため装置の小型化が可能、電解質が固体であるため取り扱いが容易、高温の排出ガスを利用することで全体の高効率化(コジェネレーション)を図れる等の利点から、例えば大規模発電システムや分散定置型電源として実用化するべく研究開発が進められている。
【0004】
ところで、一般的な電気化学セル評価ホルダは、SOFCの作動温度(650〜1000℃)と同程度の雰囲気温度によるセルの性能評価試験を実施可能とするため、耐熱性を有し、さらにその加工性や安価な製造コスト等を実現するために装置筐体の材料としてステンレス等の金属が用いられている。
【0005】
しかしながら、SOFCの作動温度による性能評価試験では、作動温度が高温であるため筐体を構成する金属中の成分(例えば、Cr)が蒸発して酸化した酸化物(例えば、Cr2 3 )がセルの電極表面に付着して汚染されることにより、評価試験に悪影響を及ぼす虞があった。
【0006】
また、一般的な電気化学セル評価用ホルダは、セルを両極側からガス導入管で挟持する縦型の三重管構造を採用しているため、それに対応する電気炉にしか使用することができず、またホルダ自体が大型であるため設置時の取り扱いが不便であるという問題があった。
【0007】
さらに、この種の電気化学セル評価用ホルダでは、セル部を挟んで一対のガラスO−リングを設置し、電気炉内の熱によって溶融させることでセル部の両極側のシールを行って燃料ガス及び空気ガスのガス漏れを防止する気密構造を実現しているが、O−リングがガラス製であるため、次の性能評価試験を行うために使用したガラスO−リングの除去や清掃作業が必要となり面倒であった。
【0008】
そこで、上述した問題を解決するために、本件出願人は、下記特許文献1に開示されるチューブ形セル評価ホルダを出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−76308号公報(特許第5107643号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1を含む従来の多重管方式の評価ホルダは、セルを管状部材によって上下から挟持する構成なので、性能評価試験の対象となるチューブ形セルのサイズ変更に合わせて管状部材を変更する必要があり、チューブ形セルのサイズ変更に簡単に対応することができなかった。しかも、特許文献1を含む従来の多重管方式の評価ホルダでは、外径の小さいチューブ形セルや長いサイズのチューブ形セルにサイズ変更して性能評価試験を行う場合、チューブ形セルの保持状態が不安定であり、安定して性能評価試験を行うのが困難であった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、チューブ形セルのサイズ変更に対応して安定した性能評価試験を行うことができるチューブ形セル評価ホルダを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するため、請求項1記載のチューブ形セル評価ホルダは、電解質からなるセル部の内周面又は外周面の一方に燃料極、他方に空気極が形成された固体酸化物形燃料電池のチューブ形セルの性能評価試験を行うSOFCチューブ形セル評価用ホルダにおいて、
前記チューブ形セルの両端部が挿入される挿入穴が形成されるとともに、該挿入穴に連通する連通穴が形成された一対の受け台を有するアルミナ製のセル取付部材と、
前記チューブ形セルが取り付けられた前記セル取付部材の一方の受け台に付勢力を付与して該セル取付部材を着脱可能に収容するセル収容部を有し、燃料ガスと空気ガスの一方のガスを供給するガス導入管及び未反応のガスを排出するガス排出管と前記セル収容部との間を接続する第1のガス流路が形成されたアルミナ製の第1の筐体と、
前記チューブ形セルが取り付けられた前記セル取付部材が前記セル収容部に収容された状態で、前記燃料ガスと空気ガスの他方のガスを供給するガス導入管及び未反応のガスを排気するガス排出管と前記セル収容部との間を接続して第2のガス流路を形成するように前記第1の筐体と突き合わせて固定されるアルミナ製の第2の筐体と、
前記チューブ形セルと前記挿入穴との間、前記第1のガス流路と前記連通穴との間、前記第2のガス流路と前記セル収容部との間をそれぞれシールするシール部材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載のチューブ形セル評価ホルダは、請求項1のチューブ形セル評価ホルダにおいて、
前記セル取付部材の一対の受け台には、複数のチューブ形セルの両端部が挿入可能な複数の挿入穴が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のようなセルを管状部材によって上下から挟持することがなく、性能評価試験の対象となるチューブ形セルの外径寸法や断面形状、長さ、一度に試験するチューブ形セルの本数などの試験対象物条件に応じてセル取付部材を用いることにより、チューブ形セルのサイズ変更にも容易に対応して安定した性能評価試験を行うことができる。
【0015】
また、一対の受け台に複数の挿入穴を設けたセル取付部材を用いれば、複数のチューブ形セルの性能評価試験を一度にまとめて行うことができ、試験の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るチューブ形セル評価ホルダの全体構成を示す分解斜視図である。
図2図1のチューブ形セル評価ホルダの組立状態におけるA−A線断面図である。
図3図1のチューブ形セル評価ホルダの組立状態におけるB−B線断面図である。
図4図1のチューブ形セル評価ホルダの組立状態におけるC−C線断面図である。
図5】(a)チューブ形セルの側面図である。 (b)(a)の拡大断面図である。 (c)チューブ形セルの他の構成例を示す断面図である。
図6】(a)チューブ形セルの他の構成例の概略を示す斜視図である。 (b)(a)の一部拡大断面図である。
図7】(a)〜(c)チューブ形セルを取り付けるためのセル取付部材の各例を示す平面図である。
図8】本発明に係るチューブ形セル評価ホルダの燃料極側筐体及び空気極側筐体に取り付けられるハーメチック端子の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
チューブ形セル評価ホルダ1は、チューブ形セル11からなる固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell :SOFC)の性能評価試験を行う際に用いられるものであって、図1及び図8に示すように、筐体2、セル取付部材3、シール部材4、固定手段5、ハーメチック端子6を備えて概略構成される。
【0019】
まず、性能評価試験の対象となるチューブ形セル11の構成について説明する。図5(a),(b)に示すチューブ形セル11は、中空棒状に形成され、燃料極11aと空気極11bとの間に電解質11cを一体化してセル部を構成している。燃料極11aは、例えばYSZ/Niサーメットなどで構成され、チューブ本体の内周面側に形成される。空気極11bは、例えば(La,Sr)MnO3 などで構成され、チューブ本体の外周面側に形成される。電解質11cは、例えばYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)などで構成され、燃料極11aと空気極11bとの間に形成される。
【0020】
尚、チューブ形セル11の種類としては、図5(a),(b)の中空棒状に限定されるものではない。例えば図5(c)や図6(a),(b)に示す形状のチューブ形セル11を性能評価試験の対象とすることもできる。
【0021】
図5(c)のチューブ形セル11は、平板円筒形状に形成されるもので、チューブ本体の内周面側に燃料極11aが形成され、チューブ本体の外周面側に空気極11bが形成され、燃料極11aと空気極11bとの間に電解質11cを一体化してセル部を構成している。
【0022】
図6(a),(b)のチューブ形セル11は、ハニカム形状の多孔質体からなる四角柱のチューブ本体に複数のセル部をマトリックス状に一体化して構成している。複数のセル部は、図6(b)の断面図に示すように、中空をなす電解質11cの内周面側に燃料極11aが形成され、電解質11cの外周面側に空気極11bが形成されている。
【0023】
次に、チューブ形セル評価ホルダ1を構成する筐体2、セル取付部材3、シール部材4、固定手段5、ハーメチック端子6の構成について説明する。
【0024】
筐体2は、第1の筐体2Aと第2の筐体2Bとに2分割され、一方の筐体2A又は2Bにチューブ形セル11を収容した状態で第1の筐体2Aと第2の筐体2Bとを突き合わせて固定手段5により固定される構成である。
【0025】
尚、本例では、図1に示すように、第1の筐体2Aを燃料極側筐体とし、第2の筐体2Bを空気極側筐体として説明するが、これらを逆転した構成であっても良い。
【0026】
燃料極側筐体2Aは、図1に示すように、長手方向の両側面に突出部2a,2aを有する断面略T字形状に形成され、チューブ形セル11の性能評価試験時の高温に耐え、かつセル部の汚染を防止する効果を備えたアルミナから構成される。
【0027】
燃料極側筐体2Aの空気極側筐体2Bとの突き合わせ面側には、図1に示すように、セル収容部12が一体形成されている。セル収容部12は、矩形状の凹部からなり、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3を収容するものである。セル収容部12の短手方向の一方の内壁面には、後述する付勢手段24を装着するための装着穴12aが形成されている。
【0028】
燃料極側筐体2Aの突出部2a,2aの周縁部には、図1に示すように、固定手段5の後述するボルト5aが挿入される燃料極側挿入穴13が複数箇所(図1では6箇所)に形成されている。
【0029】
また、燃料極側筐体2Aの短手方向の一側面には、図1に示すように、チューブ形セル11の燃料極11aに燃料ガスを供給するための燃料ガス導入管14と、燃料極11aからの未反応の燃料ガスを排出するための燃料ガス排出管15とが並設されている。
【0030】
さらに、セル収容部12の底部には、燃料ガス導入管14と連通する燃料ガス供給穴16が開口形成されている。燃料ガス供給穴16は、燃料ガス導入管14のガス導入口14aから導入された燃料ガスを、セル取付部材3の後述する挿入穴25及び連通穴26を介してチューブ形セル11の燃料極11aに導くための燃料ガス流路(第1のガス流路)G1の一部を形成している。
【0031】
また、セル収容部12の底部には、燃料ガス排出管15と連通する燃料ガス排出穴17が開口形成されている。燃料ガス排出穴17は、チューブ形セル11の燃料極11aからの未反応の燃料ガスを、セル取付部材3の挿入穴25及び連通穴26を介して燃料ガス排出管15に導くための燃料ガス流路G1の一部を形成している。
【0032】
燃料ガス流路(第1のガス流路)G1は、図1に点線で概略を示すように、燃料ガス導入管14→燃料ガス供給穴16→一方のセル取付部材3の挿入穴25及び連通穴26→チューブ形セル11→他方のセル取付部材3の挿入穴25及び連通穴26→燃料ガス排出穴17→燃料ガス排出管15の経路からなる。これにより、燃料ガス導入管14のガス導入口14aから導入された燃料ガスは、燃料ガス導入管14内を通って燃料ガス供給穴16からセル取付部材3の挿入穴25及び連通穴26を介してチューブ形セル11の燃料極11aに供給される。また、未反応の燃料ガスは、セル取付部材3の挿入穴25及び連通穴26を介して燃料ガス排出穴17から燃料ガス排出管15内を通ってガス排出口15aから排出される。
【0033】
次に、空気極側筐体2Bは、図1に示すように、直方体形状をなし、燃料極側筐体2Aと同様に、チューブ形セル11の性能評価試験時の高温に耐え、かつセル部の汚染を防止する効果を備えたアルミナから構成される。
【0034】
空気極側筐体2Bの短手方向の一側面には、図1に示すように、チューブ形セル11の空気極11bに空気ガスを供給するための空気ガス導入管18と、空気極11bからの未反応の空気ガスを排出するための空気ガス排出管19とが並設されている。
【0035】
空気極側筐体2Bの周縁部には、図1に示すように、固定手段5の後述するボルト5aが挿入される空気極側挿入穴20が燃料極側挿入穴13と対応して複数箇所(図1では6箇所)に形成されている。
【0036】
また、空気極側筐体2Bの燃料極側筐体2Aとの突き合わせ面側には、図4に示すように、矩形状の空気ガス導入溝21が開口形成されている。空気ガス導入溝21は、図2に示すように、チューブ形セル11の長手方向に延出する長溝により形成され、連通穴21aを介して空気ガス導入管18とセル収容部12との間を接続している。空気ガス導入溝21は、空気ガス流路(第2のガス流路)G2の一部を形成し、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3がセル収容部12に収容された状態で、チューブ形セル11の長さに対応してチューブ形セル11のほぼ直上に位置している。
【0037】
さらに、空気極側筐体2Bの燃料極側筐体2Aとの突き合わせ面側には、図4に示すように、空気ガス排出孔22が形成されている。空気ガス排出孔22は、小径の孔で形成され、空気ガス排出管19とセル収容部12との間を接続している。空気ガス排出孔22は、セル収容部12内の未反応の空気ガスを空気ガス排出管19に導くための空気ガス流路G2の一部を形成している。
【0038】
空気ガス流路(第2のガス流路)G2は、図1に点線で概略を示すように、空気ガス導入管18→空気ガス導入溝21→セル収容部12→チューブ形セル11→セル収容部12→空気ガス排出孔22→空気ガス排出管19の経路からなる。これにより、空気ガス導入管18から導入された空気ガスは、空気ガス導入管18内を通って空気ガス導入溝21からセル収容部12内のチューブ形セル11の長さ方向全体に行き渡って空気極11bに供給される。また、セル収容部12内の未反応の空気ガスは、空気ガス排出孔22から空気ガス排出管19内を通ってガス排出口19aから排出される。
【0039】
尚、図示の例では、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bのそれぞれに設けられるガス導入管14,18及びガス排出管15,19を円筒状としているが、その断面形状が特定されるものではなく、中空であれば良い。また、ガス導入管14,18及びガス排出管15,19は、図1に示す位置に限定されるものではない。
【0040】
次に、セル取付部材3は、チューブ形セル11をセル収容部12に対して着脱交換可能に取り付けるための部材であり、一対のブロックからなる矩形状の受け台23,23と付勢手段24とを備えている。
【0041】
一対の受け台23,23は、直方体形状をなし、チューブ形セル11の性能評価試験時の高温に耐え、かつセル部の汚染を防止する効果を備えたアルミナで構成される。
【0042】
一対の受け台23,23は、長手方向の寸法がセル収容部12の短手方向の寸法に合わせて設定されている。また、一対の受け台23,23が向き合う面の中央には、図2に示すように、チューブ形セル11の端部が挿入される挿入穴25が形成されている。さらに、各受け台23の底面側には、図2及び図3に示すように、挿入穴25と連通して矩形状の連通穴26が開口形成されている。連通穴26は、燃料ガス導入管14から導入された燃料ガスをチューブ形セル11の燃料極11aに導き、未反応の燃料ガスをチューブ形セル11から燃料ガス排出管15より排出するため、一方の挿入穴25と燃料ガス供給穴16との間、他方の挿入穴25と燃料ガス排出穴17との間をそれぞれ接続している。
【0043】
付勢手段24は、セラミックスプリングで構成され、図1図2に示すように、セル収容部12の装着穴12aに一部が挿入装着される。付勢手段24は、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3をセル収容部12に収容したときに、付勢手段24の反対側に位置する一方のセル取付部材3の長手方向の面がセル収容部12の内壁面に押し付けられるように他方のセル取付部材3の長手方向の面を付勢している。これにより、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3は、付勢手段24の付勢力により、セル収容部12に対して着脱交換可能に固定保持される。
【0044】
尚、セル取付部材3は、チューブ形セル11の外径寸法や断面形状、長さ、一度に試験するチューブ形セル11の本数などの試験対象物条件に応じて一対の受け台23,23の長さ、挿入穴25の数や内径寸法、断面形状などを適宜設定して予め用意しておくことができる。
【0045】
図7(a)〜(c)はチューブ形セル11の試験対象物条件に応じて予め用意されるセル取付部材3の各例を示している。図7(a)のセル取付部材3は、1本のチューブ形セル11を一対の受け台23,23間の中心位置に取り付けて性能評価試験を行う場合に用いられる。図7(b)のセル取付部材3は、3本のチューブ形セル11を一対の受け台23,23間に等間隔で取り付けて性能評価試験を行う場合に用いられる。図7(c)のセル取付部材3は、図7(a)や図7(b)とは異なる外径寸法及び長さの1本のチューブ形セル11を一対の受け台23,23間の中心位置に取り付けて性能評価試験を行う場合に用いられる。
【0046】
このように、チューブ形セル11の外径寸法や断面形状、長さ、一度に試験するチューブ形セル11の本数などの試験対象物条件に応じて一対のブロック23,23の長さ、挿入穴25の数や内径寸法、断面形状などが設定されたセル取付部材3を予め用意しておけば、試験対象物条件に応じてセル取付部材3を交換することにより、複数のチューブ形セル11の性能評価試験を同時に行ったり、様々な種類のチューブ形セル11の性能評価試験に対応することができる。
【0047】
次に、シール部材4は、例えばバーミキュライト、マイカ、アルミナファイバーなどの弾力性を有するセラミック製のガスケットからなる。シール部材4は、燃料ガスと空気ガスとが混合することなく、チューブ形セル11の燃料極11aと空気極11bにそれぞれ燃料ガスと空気ガスを独立して供給するため、ガス漏洩防止用の部材として複数箇所に設けらる。具体的に、本例のシール部材4は、図1及び図2に示すように、リング状のガスケット4a、矩形状のガスケット4b、板状のガスケット4cからなる。リング状のガスケット4aは、チューブ形セル11の断面形状に対応しており、チューブ形セル11の中空部に対応して開口部4a1を有し、チューブ形セル11と一対の受け台23,23の挿入穴25との間にそれぞれ配置される。矩形状のガスケット4bは、一対の受け台23,23の底面形状に対応しており、一対の受け台23,23の連通穴26に対応して開口部4b1を有し、一対の受け台23,23の底面とセル収容部12の燃料ガス供給穴15及び燃料ガス排出穴17との間にそれぞれ配置される。板状のガスケット4cは、セル収容部12の開口形状に対応して開口部4c1を有するとともに、燃料極側挿入穴13及び空気極側挿入穴20に対応して貫通穴4c2が開口しており、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとの間に配置される。
【0048】
次に、固定手段5は、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとを固定するためのもので、ネジ5a、スプリング5b、ナット5cで構成され、それぞれがアルミナ製からなる。固定手段5を用いて燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとを固定する場合には、セル収容部12の装着穴12aに付勢手段24としてのセラミックスプリングの一端側を装着した状態で、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3を矩形状のガスケット4bを介してセル収容部12に収容する。そして、チューブ形セル11と空気ガス導入溝21との間に板状のガスケット4cを配置し、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとを対面させ、スプリング5bが介挿されたネジ5aを燃料極側挿入穴13及び空気極側挿入穴20に挿入してナット5cにより締め付ける。これにより、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3がセル収容部12に固定保持された状態で燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bが固定される。
【0049】
次に、ハーメチック端子6は、図8に示すように、燃料ガス導入管14のガス導入口14aに設けられる燃料極側ハーメチック端子6Aと、空気ガス導入管18のガス導入口18aに設けられる空気極側ハーメチック端子6Bとを備えている。燃料極側ハーメチック端子6A及び空気極側ハーメチック端子6Bは、電流取出用リード線31と電圧測定用リード線32と温度センサ33とをガス漏れさせずに外部から導入して筐体2内の所定箇所に配置するための気密端子であり、端子本体6a、第1係合部材6b、第2係合部材6cを備えている。
【0050】
さらに各構成について説明すると、端子本体6aは、図8に示すように、燃料ガス導入管14や空気ガス導入管18におけるガス導入口14a,18aに装着され、燃料ガスや空気ガスを筐体2内に導入するガス導入路6dが設けられている。第1係合部材6bは、燃料ガス導入管14や空気ガス導入管18に挿入され、中間部材6eと端子本体6aとの間にO−リング6eを介在させて端子本体6aに螺合することでガス漏れを防止している。第2係合部材6cは、端子導入部材6gと端子本体6aとの間にO−リング6hを介在させて端子本体6aに螺合することでガス漏れを防止している。
【0051】
ここで、電流取出用リード線31は、チューブ形セル11の燃料極に設けられる不図示の燃料極用集電体と空気極に設けられる不図示の空気極用集電体を介してチューブ形セル11で発電した電流を取り出すためのものである。尚、不図示の燃料極用集電体は、還元雰囲気で安定なNi網などからなる。また、不図示の空気極用集電体は、高温で酸化しにくい貴金属であって、例えば金(Au)や白金(Pt)製の網などからなる。
【0052】
電圧測定用リード線32は、チューブ形セル11の各電極の電圧測定を行うためのものである。また、温度センサ33は、チューブ形セル11の近傍の温度測定を行うためのものである。
【0053】
ところで、図8の例では、燃料ガス導入管14のガス導入口14aに燃料極側ハーメチック端子6Aを設けた構成としているが、燃料ガス排出管15のガス排出口15aにも燃料極側ハーメチック端子6Aを設け、電流取出用リード線31と電圧測定用リード線32を振り分けて配置することもできる。空気極側ハーメチック端子6Bについても同様である。
【0054】
そして、上記のように構成されるチューブ形セル評価ホルダ1を用いてチューブ形セル11の性能評価試験を行う場合には、性能評価試験の対象となるチューブ形セル11の外径寸法や断面形状、長さ、一度に試験するチューブ形セル11の本数などの試験対象物条件に応じてセル取付部材3を選択して用いる。そして、選択したセル取付部材3の一対の受け台23,23の挿入穴25に対し、リング状のガスケット4aを介してチューブ形セル11の両端を挿入してチューブ形セル11をセル取付部材3に取り付ける。
【0055】
次に、燃料極側筐体2Aのセル収容部12の装着穴12aに付勢手段24としてのセラミックスプリングの一端側を装着する。この状態で、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3を矩形状のガスケット4bを介してセル収容部12に収容し、セル収容部12に対してセル取付部材3を固定保持する。
【0056】
次に、チューブ形セル11と空気ガス導入溝21との間に板状のガスケット4cを配置し、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとを対面させ、スプリング5bが介挿されたネジ5aを燃料極側挿入穴13及び空気極側挿入穴20に挿入してナット5cにより締め付ける。これにより、チューブ形セル11が取り付けられたセル取付部材3がセル収容部12に固定保持された状態で燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bが固定され、チューブ形セルホルダ1の組立が完了する。
【0057】
そして、組立が完了したチューブ形セル評価ホルダ1を、SOFCの作動温度(650〜1000℃)と同程度の雰囲気温度に設定された炉内に設置し、燃料ガス導入管14のガス導入口14aから燃料ガスを導入するとともに、空気ガス導入管18のガス導入口18aから空気ガスを導入し、チューブ形セル11の性能評価試験を行う。
【0058】
このように、本発明に係るチューブ形セル評価ホルダ1は、挿入穴25と連通穴26が形成された一対の受け台23,23を有するアルミナ製のセル取付部材3と、一方の受け台23を付勢してセル取付部材3を着脱可能に収容するセル収容部12を有し、ガス導入管14及びガス排出管15とセル収容部12との間を接続する燃料ガス流路(第1のガス流路)G1が形成されたアルミナ製の燃料ガス側筐体2Aと、セル取付部材3をセル収容部12に収容し、空気ガス導入管18及び空気ガス排出管19とセル収容部12との間を接続して空気ガス流路(第2のガス流路)G2を形成するように燃料極側筐体2Aと固定されるアルミナ製の空気極側筐体2Bとを備え、セル11と挿入穴25との間、燃料ガス流路G1と連通穴26との間、空気ガス流路G2とセル収容部12との間をシール部材4でシールする構成としている。
【0059】
そして、チューブ形セル評価ホルダ1にチューブ形セル11を装着する場合には、一対の受け台23,23の挿入穴25にチューブ形セル11の両端を挿入して取り付けたセル取付部材3を燃料極側筐体2Aのセル収容部12に収容固定した状態で、燃料極側筐体2Aと空気極側筐体2Bとを突き合わせて固定手段5により固定される。
【0060】
これにより、従来のようなセルを管状部材によって上下から挟持することがなく、性能評価試験の対象となるチューブ形セル11の外径寸法や断面形状、長さ、一度に試験するチューブ形セル11の本数などの試験対象物条件に応じてセル取付部材3を選択して用いれば、チューブ形セル11のサイズ変更に容易に対応することができる。しかも、セル11と挿入穴25との間、燃料ガス流路G1と連通穴26との間、空気ガス流路G2とセル収容部12との間をシール部材4でそれぞれシールする構成なので、燃料ガスと空気ガスとが混合することなく、安定した性能評価試験を行うことができる。
【0061】
また、一対の受け台23,23に複数の挿入穴25を設けたセル取付部材3を選択して用いれば、複数のチューブ形セル11の性能評価試験を一度にまとめて行うことができ、試験の効率化を図ることができる。
【0062】
以上、本発明に係るチューブ形セル評価ホルダ1の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 チューブ形セル評価ホルダ
2 筐体
3 セル取付部材
4 シール部材
5 固定手段
6 ハーメチック端子
11 チューブ形セル
11a 燃料極
11b 空気極
11c 電解質
12 セル収容部
13 燃料極側挿入穴
14 燃料ガス導入管
15 燃料ガス排出管
16 燃料ガス供給穴
17 燃料ガス排出穴
18 空気ガス導入管
19 空気ガス外出管
20 空気極側挿入穴
21 空気ガス導入溝
22 空気ガス排出孔
23 受け台
24 付勢手段
25 挿入穴
26 連通穴
31 電流取出用リード線
32 電圧測定用リード線
33 温度センサ
G1 燃料ガス流路(第1のガス流路)
G2 空気ガス流路(第2のガス流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8