(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113729
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】光学記憶装置用のダイレクトリードアフターライト
(51)【国際特許分類】
G11B 7/0045 20060101AFI20170403BHJP
G11B 7/004 20060101ALI20170403BHJP
G11B 7/007 20060101ALI20170403BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20170403BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20170403BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20170403BHJP
【FI】
G11B7/0045 B
G11B7/004 C
G11B7/007
G11B20/10 301A
G11B20/18 520C
G11B20/18 572C
G11B20/18 572G
G11B7/135
G11B20/10 321Z
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-527167(P2014-527167)
(86)(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公表番号】特表2014-527253(P2014-527253A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012049893
(87)【国際公開番号】WO2013028354
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2015年7月23日
(31)【優先権主張番号】13/214,662
(32)【優先日】2011年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マフナド,ファラマルズ
【審査官】
中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−063749(JP,A)
【文献】
特開昭63−166025(JP,A)
【文献】
特開平08−255345(JP,A)
【文献】
特開平05−073913(JP,A)
【文献】
特開平10−241108(JP,A)
【文献】
特開2009−026371(JP,A)
【文献】
特開2011−100502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/0045
G11B 7/004
G11B 7/007
G11B 7/135
G11B 20/10
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶するために複数のトラックを有する光学媒体を受入れる光学記憶システムであって、
光ビームを高パワーメインビームおよび少なくとも1つの低パワーサイドビームに分割する光学系を有する光学ヘッドを備え、これらビームは前記複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成し、さらに
前記光学ヘッドに結合された少なくとも1つのコントローラを備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記高パワーメインビームを用いて前記選択された1本のトラックに沿ってデータを書込みつつ、前記少なくとも1つの低パワーサイドビームを用いて前記選択された1本のトラックから、書込の後すぐにデータを読出すために、光学ヘッドを選択的に位置付け、
前記少なくとも1つの低パワーサイドビームによって検出されたデータに関連付けられた読出信号からDC成分を取り除いた信号と、前記高パワーメインビームに関連付けられた時間シフトされた書込信号からDC成分を取り除いた信号との間の類似性を判断して、書込の後すぐに前記選択された1本のトラックに書込まれたデータを検証する相関検出器を備える、システム。
【請求項2】
前記相関検出器は、前記読出信号および前記時間シフトされた書込信号を合成し、結果の信号を関連付けられたしきい値と比較して、前記選択された1本のトラックに書込まれたデータを検証する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記結果の信号が前記関連付けられたしきい値と比較される前に前記結果の信号をフィルタ処理するローパスフィルタをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記結果の信号が前記関連付けられたしきい値と比較される前に前記結果の信号を積分するリセット可能積分器をさらに備え、前記リセット可能積分器は前記光学媒体に書込まれた各データブロックに関連付けられたデータブロック同期信号に応答してリセットされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
高パワーメインビームに与えられ、前記高パワーメインビームと前記少なくとも1つの低パワーサイドビームとの間で移動する光学媒体の移動遅延に基づき時間シフトされた書込信号と、前記移動遅延の後前記少なくとも1つの低パワーサイドビームからの読出信号との間の相関を判断する相関検出器をさらに備え、当該相関が対応するしきい値を超えたことに基づき、有効データが判断される、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学媒体は、光学テープを含み、光学テープの幅にわたって全体的に延在する複数のトラックを有し、前記システムは前記光学テープを受入れる光学テープドライブを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラは、固定パワーとランダムなデータとの交互の期間を有する、高パワーメインビーム用の所定の検証パターンを生成する、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記光学媒体に書込まれる各データブロックについて前記所定の検証パターンを生成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコントローラは、診断のリクエストに応答して前記所定の検証パターンを生成する、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記光学ヘッドは前記光ビームを高パワーメインビームと第1および第2の低パワーサイドビームとに分割し、前記第1の低パワーサイドビームは前記光学媒体が第1の方向に進む場合にデータを読出し、第2の低パワーサイドビームは前記光学媒体が前記第1の方向と反対の第2の方向に進む場合にデータを読出す、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
光学ヘッドを有する光学記憶装置用のダイレクトリードアフターライト機能を提供するための方法であって、光学ヘッドは、光ビームを中央ビームおよび少なくとも1つの衛星ビームに分割し、これらビームは光学記憶媒体の複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成し、前記方法は
前記中央ビームを用いて前記選択された1本のトラックにデータを書込むこと、
前記少なくとも1つの衛星ビームを用いて、直前に書込まれたデータを書込の後すぐに読出すこと、および
前記少なくとも1つの衛星ビームによって読出されたデータに関連付けられた第1の信号からDC成分を取り除いた信号と、前記中央ビームから前記少なくとも1つの衛星ビームに移動する前記光学記憶媒体の移動時間に基づいて時間シフトされたデータを書込むための中央ビームに与えられる第2の信号からDC成分を取り除いた信号との間の類似性を判断することを備える、方法。
【請求項12】
前記光学記憶媒体は、光学テープを含み、複数のトラックは前記光学テープの幅にわたって全体的に延在する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
光学ヘッドを有する光学記憶装置用のダイレクトリードアフターライト機能を提供するためのプログラム命令を備えるコンピュータプログラムであって、請求項11または12に記載の方法を実施することにより、光学ヘッドは、光ビームを中央ビームおよび少なくとも1つの衛星ビームに分割し、これらビームは光学記憶媒体の複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成する、コンピュータプログラム。
【請求項14】
光学ヘッドを有する光学記憶装置用のダイレクトリードアフターライト機能を提供するための論理を有する製造物であって、光学ヘッドは、光ビームを中央ビームおよび少なくとも1つの衛星ビームに分割し、これらビームは光学記憶媒体の複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成し、前記製造物は、
前記中央ビームを用いて複数のトラックのうちの選択された1本のトラックへのデータの書込を制御する論理と、
前記少なくとも1つの衛星ビームを用いて、直前に書込まれたデータの書込の後すぐの読出を制御する論理と、
前記少なくとも1つの衛星ビームによって読出されたデータに関連付けられた第1の信号からDC成分を取り除いた信号と、前記中央ビームから前記少なくとも1つの衛星ビームに移動する前記光学記憶媒体の移動時間に基づいて時間シフトされたデータを書込むための中央ビームに与えられる第2の信号からDC成分を取り除いた信号との間の類似性を判断する論理とを備える、製造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学記憶装置において、データを書込んだ後すぐにデータを読出すためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
光学ディスクおよび光学テープドライブといった光学記録装置は一般に光ピックアップユニット(OPU)またはリード/ライトヘッドを用いて関係のある光学媒体からデータを書込および検索する。従来のOPUは、複雑な光路オプティックスおよび電気機械エレメントを備えて、異なる波長の半導体レーザダイオードを用いて、媒体上の1つ以上の予めフォーマット化されたトラック内で光ビームを集束およびトラッキングし、データを書込または記憶し、後でデータを読出す。高パワーのレーザで媒体に書込まれたデータは、低いレーザパワーを用いて書込後の別の動作もしくは処理において検証できる、または別のレーザもしくはレーザビームによって書込動作の際に検証できる。書込動作の際にデータを読出しおよび検証できる機能は「ダイレクトリードアフターライト(DRAW)」とも呼ばれる。DRAW機能を提供する1つの方式では、複数の独立したOPUを使用し、1つのOPUはデータを書込み、その間第2のOPUは書込を検証するためにデータを読出し、これはたとえば米国特許第6,141,312号に開示されている。この技術は一部の用途には適するが、記憶装置のコストおよび複雑性を増加させる。
【0003】
現在のOPUはレーザ経路に回折格子または同様の光学系を用いて単一のレーザエレメントから3本のビームを生成し、これはデータの読出/書込および集束のために用いられる高パワービームと、トラッキングに用いられる2つのより低いパワーの衛星ビームとを含む。3本のビームは、OPUのさまざまな光学および電気機械エレメントによって用いられる光学記憶媒体の表面上に3つの対応するスポットに集束される。一般に、より高いパワーのスポットは2つの衛星スポットの中央または真中に位置付けられる。データの読出/書込および集束に加えて、中央スポットは一部の用途においてある特定の種類のトラッキング動作にも用いることができる。より低いパワーのサイドビームから生成されるより低いパワーの衛星スポットは、特定の種類の媒体に対する別の種類のトラッキング動作で一般に用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
複数のトラックを有する光学媒体上にデータを記憶するためのシステムおよび方法は、光ビームを高パワーメインビームおよび少なくとも1本の低パワーサイドビームに分割することを含み得、これらビームは複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成し、ビーム/スポットを複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って選択的に位置付けおよび整列させて、高パワーメインビームを用いてデータを書込みつつ、少なくとも1つの低パワーサイドビームを用いて前に書込まれたデータを読出すことを含む。当該システムおよび方法は、読出信号を時間シフトされた書込信号に相関させてダイレクトリードアフターライト機能を提供しながら、書込信号の変調に関連付けられたノイズを減少させて光学媒体に書込まれたデータを検証することを含み得る。
【0005】
一実施の形態において、光学テープドライブは、データを記憶するために、テープの幅にわたって全体的に広がる複数のトラックを有する光学テープを受入れ、高パワーメインビームおよび少なくとも1本の低パワーサイドビームに分割する光学系を有する光ピックアップユニット(OPU)またはヘッドを含み、これらビームは、コヒーレント光ビームを複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿って間隔を空けられた対応するスポットを形成する。光学ヘッドに結合される少なくとも1つのコントローラは、光学ヘッドおよび/またはビームを選択的に位置付けおよび配列させて、高パワーメインビームを用いて複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに沿ってデータを書込みつつ、少なくとも1本の低パワーサイドビームを用いて選択された1本のトラックから前に書込まれたデータを読出し、その間メインビームはデータの書込を続けてダイレクトリードアフターライト(DRAW)機能を提供する。
【0006】
本開示に従うさまざまな実施の形態は、低パワーサイドビームによって検出されたデータに関連付けられた読出信号と高パワーメインビームに関連付けられた時間シフトされた書込信号との類似性を定める相関検出器を含み、書込の後すぐに複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに書込まれたデータを検証する。相関検出器は、読出信号および時間シフトされた書込信号を合成し、結果の信号を関連付けられたしきい値と比較して、選択された1本のトラックに書込まれたデータの整合性を検証する。一実施の形態において、相関検出器はローパスフィルタを含み、これは結果の信号が関連付けられたしきい値と比較される前に、結果の信号をフィルタ処理する。代替的に、または組合せて、結果の信号が関連付けられたしきい値と比較される前に結果の信号を積分するリセット可能積分器を用いることもでき、積分器は、光学媒体に書込まれたデータの各ブロックに関連付けられたデータブロック同期信号に応答してリセットされる。さまざまな実施の形態は、固定パワーおよびランダムデータの交互の期間を有する高パワーメインビーム用の所定の検証パターンの生成を含み得る。所定の検証パターンは、書込まれたデータの各ブロックに対して対応するDRAWフィールドに含まれる、および/または診断のリクエストに応答して生成され得る。
【0007】
本開示に従う実施の形態はさまざまな利点を提供し得る。たとえば、本開示の一実施の形態に従う光学記憶装置は、単一のOPUまたは光学ヘッドを用いてデータ検証のためにダイレクトリードアフターライト機能を提供する。本開示に従うシステムまたは方法のさまざまな実施の形態は、相関検出方式を用いて、メインビームの変調および他のノイズの存在下で低パワー衛星ビームから反射されたビームにあるデータマークを確実に検出する。本開示の実施の形態に従うダイレクトリードアフターライト機能および相関検出器方式は、光学記憶装置のドライブチャネルのためのリアルタイム診断情報および機能をも提供する。たとえば、本開示の実施の形態に従うシステムおよび方法を用いて書込方式を拡張させ、書込パターンジッタについての情報を提供し、OPU性能およびレーザパワーを調整および向上させるための情報を提供し、OPU異常を予測する。
【0008】
上記の利点ならびに本開示のさまざまな実施の形態に伴う他の利点および特徴は、添付の図面に照らして以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示のさまざまな実施の形態に従うダイレクトリードアフターライト(DRAW)機能を有する光学データ記憶システムまたは方法の動作を示す図である。
【
図1B】本開示のさまざまな実施の形態に従うダイレクトリードアフターライト(DRAW)機能を有する光学データ記憶システムまたは方法の動作を示す図である。
【
図2】本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を提供するために、中央ビームおよび2本の衛星またはサイドビームにスプリットまたは分割されるコヒーレント光ビームを有する光ピックアップユニット(OPU)の動作を示すブロック図である。
【
図3】本開示のさまざまな実施の形態に従う光学データ記憶のためのDRAWシステムまたは方法の動作を示すブロック図である。
【
図4】本開示に従う光学データ記憶装置のための相関検出器の一実施の形態を示すブロック図である。
【
図5A】本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図5B】本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図5C】本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図5D】本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を提供するために、所定のデータ検証パターンを用いた光学データ記憶のためのDRAWシステムまたは方法の動作を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を提供するために、所定のデータ検証パターンを用いた光学データ記憶のためのDRAWシステムまたは方法の動作を示す図である。
【
図8A】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図8B】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図8C】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【
図8D】本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本開示のさまざまな実施の形態がここに記載される。しかし、開示されている実施の形態は単なる例であって、他の実施の形態も明確に図示または記載されていないさまざまなおよび代替の形を取り得る。図面は尺度通りに示されず、一部の特徴は特定のコンポーネントの詳細を示すために拡大または縮小され得る。したがって、ここに開示されている具体的構造および機能上の詳細は限定の意図はなく、当業者に本発明を多様に用いることを教示する代表的ベースであると理解される。当業者が理解するように、いずれかの図面を参照して示しおよび記載されているさまざまな特徴は、他の図面に示される特徴と組合せて、ここに明確に示されていないまたは記載されていない実施の形態をもたらし得る。示される特徴の組合せは、典型的な用途の代表的実施の形態を提供する。しかし、本開示の教示と一致する特徴のさまざまな組合せおよび変形は、特定の用途または実施に望ましいこともある。
【0011】
開示される処理、方法、論理または方式は、処理装置、コントローラ、またはコンピュータであって、既存のプログラマブル電子制御部または専用の電子制御部を含む装置に与えるおよび/または実施できる。同様に、処理、方法、論理または方式は、多様な形でコントローラまたはコンピュータによって実行可能であるデータおよび命令として記憶することができるが、その形はROM装置といった継続する非書込可能記憶媒体を含むさまざまな種類の製造物に恒久的に記憶される情報、およびフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD、RAM装置ならびに他の磁気および光学媒体に変更可能に記憶されている情報を含むが、これらに限定されない。処理、方法、論理または方式は、ソフトウェアで実行可能なものにも実施できる。代替的に、その全体または一部は適切なハードウェアコンポーネント、たとえば特定用途向き集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、状態マシン、コントローラ、または他のハードウェアコンポーネントもしくは装置、またはハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアコンポーネントの組合せを用いて、実現できる。
【0012】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、本開示のさまざまな実施の形態に従うダイレクトリードアフターライト(DRAW)機能を有する光学データ記憶システムまたは方法の動作を描くブロック図が示される。
図1Aは側面図であり、
図1Bは上面または平面図である。
図1Aおよび
図1Bに示される代表的実施の形態において、光学データ記憶システム10は光学テープドライブ12によって実施され、これは光学テープ16によって実現される光学データ記憶媒体14を受入れる。光学テープドライブを参照して示されおよび記載されるが、本開示の教示は、たとえば光学ディスクといったさまざまな種類の1回のみの書込可能または再書込可能光学媒体を使用できるさまざまな他の種類の光学データ記憶装置にも適用できることは当業者なら認識するであろう。一実施の形態において、光学テープ16は2分の1インチ(12.7mm)幅のテープであり、テープの幅にわたって全体的に延在する複数のトラックを有し、ここで示されかつより詳細に記載される所望の記憶容量および性能特性に応じて、長さが変わり得る。光学テープ16は、手動でまたは自動的に光学テープドライブ12に装填または取付けられる保護ケースまたはカートリッジ18内に含まれる、関連付けられたスプール30に巻取られる。移動機構24は、光学テープ16をカートリッジの中で少なくとも1つの光ピックアップユニット(OPU)または光学ヘッド20を通って、テープドライブ12内に一般に残る巻取りスプール22に進行させる。OPU20は、少なくとも1つのコントローラおよび関連エレクトロニクス26に応答して、移動機構24が光学テープ16をカートリッジ18と巻取りスプール22との間で移動させる間に光学テープ16に対してデータを書込および読出す。以下でより詳細に説明するように、テープ16がOPU20のどちらの方向を通る間、すなわち、カートリッジ18から巻取りスプール22に、または巻取りスプール22からカートリッジ18に移動する間、データは複数のトラックのうちの1つ以上のトラックに蛇状の態様で光学テープ16に読出/書込まれる。
【0013】
光学ヘッド20は、参照符号30によって示される関連付けられた光学系および関係のある電気機械サーボ制御装置を含むことができ、これらはレーザビームといった光ビームを2本以上のビームにスプリットまたは分割し、これらのビームは記憶媒体の対応するスポットに集束されて、
図2を参照してより詳細に図示および説明されるように、データが読出される/書込まれる。さまざまなサーボ機構(具体的には示されていない)を用いて光を光学テープ16の複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに位置付ける/配列することができる。
【0014】
図2は光ピックアップユニット(OPU)20の動作を示すブロック図であり、コヒーレント光ビームが中央ビーム40ならびに2本の衛星またはサイドビーム44および48にスプリットまたは分割され、本開示の実施の形態に従うDRAW機能を提供する。ビーム40、44および48は、たとえばレーザダイオードといった単一のまたは共通のコヒーレント光源によって生成され得る。ソースビームはたとえば回折格子を含み得る関連付けられた光学系を通り、そのソースビームは中央ビーム40、第1のサイドビーム44、および第2のサイドビーム48に分割またはスプリットされ、ビームは光学テープ16の表面上の複数のトラック36のうちの選択されたトラック上に対応するスポット50、54および58に集束される。3つの光学スポット50、54および58は、OPU20のさまざまな光学および電気機械エレメントによって操作されて、光学テープ16にデータを書込および光学テープ16からデータを検索する。
【0015】
光源ビームを分割し、もたらされるビームをスポット50、54および58に集束するために用いられる光学エレメントは、中央ビーム40および中央スポット50には高いパワーを与えるよう、ならびにサイドビーム44、48および関連付けられたスポット54、58には低いパワーを与えるよう、設計され得る。たとえば、中央スポット40は、ソースビームパワーの約60から70%を含み、サイドビーム44および48は、光源ビームパワーの残りの40から30%を分ける。中央ビーム40は、OPU20によって変調されて、光学テープ16へのデータの書込の際に書込マーク60を生成し、これは前に記憶されたデータを読出すよりも約10倍多くの平均パワーを必要とし得る(たとえば、データを書込むのに約10mWが必要であり、データを読出すのに約0.7mWが必要である)。こうして、ソースビームが変調されて、中央ビーム/スポット40/50を用いてデータを書込むための十分なパワーを生成するのなら、サイドビーム44および48は同様の態様で変調されるが、テープ16を変えるにはパワーが不十分である。示される代表的実施の形態において、スポット50、54および58はOPU製造処理において機械的に配列されて、予めフォーマット化された光学テープ媒体16上のデータトラック36の軸に対応する。さらに、衛星スポット54および58は中央スポット50に対して対称的に位置付けられ、中央スポット50と衛星/サイドスポット54および58の一方との間のテープ16の移動距離(d)は実質的に同じである。代表的実施の形態は、約10から20μm間の距離(d)を含み得る。
【0016】
従来の光学記憶装置の一部は、高パワー放射ビーム40からの中央スポット50を用いて、1種類のトラッキング動作に加えて、読出、書込、および集束させる。低パワーサイドビーム44および48によって形成される衛星スポット54および58は、特定の種類の媒体用の別の種類のトラッキングのために用いられる。これらの用途において、サイドスポット54および58は、1本のトラック36に沿って、互いに対して、または光学テープ16の中央スポット50に対して、配列されないこともある。衛星ビーム44および48の従来の機能と比べて、本開示に従うさまざまな実施の形態は、メインスポット50から反射された光を用いてトラッキングを提供し、衛星スポット54および58は以下で説明するように、ダイレクトリードアフターライト(DRAW)機能を提供するために用いることができる。一実施の形態において、メインビーム40から反射された光は、トラッキング用に衛星ビーム44および48を必要としない差動プッシュ/プルトラッキング方式で用いられる。もちろん、媒体移動の現行の方向に対してメインビーム40の上流にある衛星ビームは、所望ならトラッキングの使用に利用可能である。
【0017】
上記のように、ソースレーザビームは(データ読出/検索の際の動作に対して)より高いパワーで動作および変調されて、光学テープ媒体16上の複数のトラック36のうちの選択された1本のトラック上にデータマーク60を書込む。しかし、データマーク60によって示されるように、光学的能動層の構造を実際に変える十分なパワーを光学テープ16に放射できるのは中央ビーム40だけである。回折格子パワー分布によって定められるように、はるかに低いパワーの衛星ビーム44および48は、テープ16を変えない。本開示で認識されるように、衛星ビーム44および48は光学テープ16から反射された後、データマーク60を検出するのに十分なパワーを有する。したがって、光学テープ16の進行方向に応じて、関係のある衛星スポット54および58からの反射はOPU20によって検出でき、メインビーム/スポット40/50によって書込まれた後すぐにデータマーク60を検証するために用いることができ、DRAW動作を提供する。
【0018】
衛星ビーム44および48の一方に関係のある反射ビーム(テープ16の進行方向に依存)はテープ媒体16上のデータマーク60に関係のある情報を含むが、反射されビームは中央ビーム40の変調および他のノイズ源によってかなり劣化しているので、一般に非常に低い信号対ノイズ比(SNR)を示す。これにより、本開示のさまざまな実施の形態は相関検出器を含み、DRAW動作の際中央スポット50によって直前に書込まれたデータに対応して、反射衛星スポット54からのデータマーク60に関連付けられた反射されたビームでの情報を確実に検索する。
図2に示される代表的実施の形態において、テープ16は矢印64によって概して示されるように、右から左への第1の方向に進行している。本システムはテープ16が第1方向と反対の第2の方向に進行している場合にも、同様の態様で動作し、中央スポット50によって書込まれたデータは、衛星スポット58からの反射光を用いて、書込の後すぐに読出され、衛星スポット58および中央スポット50は、
図2において「トラックn」と示されるように、複数のトラック36のうちの選択された同じ1本のトラックと実質的に配列させられる。
【0019】
図3は本開示のさまざまな実施の形態に従う光学データ記憶のためのDRAWシステムまたは方法の動作を示すブロック図である。コントローラ26(
図1)はデータをDCフリー書込パターン符号器100に送る。OPUレーザ変調器102は符号器100から受取られた書込パターンに基づきソースレーザビームを変調して変調された中央ビーム104を生成し、これは光学媒体14が進行する間複数のトラックのうちの選択された1本のトラック内の第1の場所に、光学媒体14上の対応するスポットに集束させられる。第1の場所は、媒体速度に基づき移動遅延に関連付けられた後の時間(T
d)において下流の衛星ビームスポットの場所に到達する。中央ビーム104がデータを光学媒体14の第2の場所に書込み、書込まれたデータに基づき衛星ビームを同様の態様で変調している間、下流衛星ビーム/スポット110から反射されたビームは、OPU衛星スポットマーク検出器112によって検出される。こうして、反射されたビームは、中央ビーム104によって第1の場所に直前に書込まれたデータマークに関連付けられた情報、および第2の場所において光学媒体14にそのときに書込まれるデータを含む。
【0020】
OPU衛星スポットマーク検出器112からの信号または関連付けられた情報は、DC−フリープロセッサ120によって処理され、変調ノイズキャンセラ130に送られて、衛星ビーム/スポット110が第1の場所から前に書込まれたデータを読出す間、第2の場所にそのとき書込まれるデータに対して、中央ビーム104の変調に関連付けられた変調ノイズを減少またはなくす。キャンセラ130は識別パターン発生器132を含み、これは書込パターン符号器100からの情報を用いて加算ブロック134において中央ビーム104の変調の影響を減らす。
【0021】
さらに
図3に示されるように、相関検出器140は、少なくとも1つの低パワーサイドビーム/スポット110によって検出されたデータに関係のある読出信号と、書込パターン符号器100および高パワーメインビーム104に関連付けられた時間遅延(T
d)ブロック144によって与えられる時間シフトされた書込信号との間の類似性を定めて、書込の後すぐに光学媒体14に書込まれたデータを検証する。時間遅延T
dは、メインスポット50と下流のサイドスポット54および58との間を移動する光学媒体14に関係のある移動時間または移動遅延を表わし、光学媒体14の実際のまたは推定された速度に基づき変動し得る。ブロック142はブロック134からの変調ノイズ取消し読出信号とブロック144からの時間シフト書込信号とを合成し、その結果の信号をレベル検出器148によって示される関連付けられたしきい値と比較し、複数のトラックのうちの選択された1本のトラックに書込まれたデータを検証する。
図3に示される代表的実施の形態において、システム10での信号の比較は、ブロック142によって表わされるように、乗算するまたは積を定め、結果の信号がレベル検出器148によって関連付けられたしきい値と比較される前に、リセット可能積分器またはエリア検出器146に与えられることによりなされる。リセット可能エリア検出器または積分器146は、光学媒体14に書込まれる各データブロックに関連付けられたデータ同期信号といった関係のある信号により、所定の値(たとえば0または他の指示された値)に周期的にリセットされ得る。代替的に、一定のブリーダーまたは減衰機能を用いて経時的に積分値を調整することができる。
【0022】
図4は本開示に従う光学データ記憶のためのシステムまたは方法における相関検出器の一実施の形態を示すブロック図である。一般に、相関推定器または検出器の基本的機能は、
図3および
図4の代表的実施の形態に示されるように、2つの信号またはデータパターン間の類似性を測定または推定することである。本開示で示されかつ説明される代表的実施の形態で用いられるように、相関検出器または推定器は非常にノイズのある信号内の特定のデータパターンの存在を検出し、2つのパターンまたは信号間の相関または類似の程度を測るために用いることができる対応する信号またはその他の出力を提供する。
【0023】
図4のDRAW実施の形態において、データブロック書込パターン100′を用いて、一般にP
w(t)によって表わされるデータ信号にメインビーム40を変調し、対応するマークをメインスポット場所の光学媒体14上に作成する。衛星ビーム44はメインビーム40に対してdの距離だけ下流のスポットを作成して、上記のように書込んだ後すぐにデータを読み出す。衛星ビーム44から反射された光に関係のある信号は、T
d秒前にメインビーム40によって書込まれた(P
w(t−T
d)によって表わされる)衛星ビーム44が通過するデータマークからの情報を含み、さらにメインビーム40によって付加的データが書込まれる際のメインビーム40および他のソースの変調からのノイズも含まれる。この信号はOPU検出器によって検出され、一般にP
r(t)によって表わされる。このP
r(t)信号内のP
w(t−T
d)データ−ブロックパターンの「タイムスタンプ」は既知であり、媒体の速度およびメインビーム40と衛星ビーム44との間の距離「d」に基づき、移動遅延160を用いて決定/推定することができる。
【0024】
対応するDC−フリープロセッサ162および164を通った後、衛星ビームによって読出され、かつP
r(t)によって表わされるデータに関連付けられた衛星信号は、データ書込のために中央ビームに与えられた信号と比較されるが、この信号はブロック142′において中央またはメインビーム40から衛星ビーム44に移動する光学媒体14の移動時間に基づいて時間シフトされている。本実施の形態において、ブロック142′はP
r(t)によって表わされる衛星信号を時間調整されたデータブロック書込パターンP
w(t−T
d)でリアルタイム乗算(アナログまたはデジタル)する。これは2つの信号の類似性または相関を表わすDC値を有するパターンをもたらす。2つの信号での相関しない信号またはノイズは、「ゼロ平均値」を有する添加パターンをもたらす。したがって、ローパスフィルタブロック172および/またはリセット可能積分器146′を比較の結果(本例では乗算)に適用することにより、衛星信号内にある書込パターンを示す大きさを有する信号が生成される。リセット可能積分器146′は、たとえばデータブロック同期パルス170といった対応する信号に応答して、0または他の値にリセットされ得る。リセット可能積分器146′からの出力は、レベル検出器178により対応するしきい値と比較される。結果がしきい値を超えると、ブロックの書込は有効であると判断される。同様に、ローパスフィルタ(LPF)172からの出力はレベル検出器174によって対応するしきい値と比較され、結果がしきい値を超えた場合にはブロック書込有効信号となる。
【0025】
図3および
図4の代表的実施の形態に示される相関検出器が用いる信号相関方式は、信号処理技術において一般に既知である。上記のように、衛星ビーム44からの検出されたマークパターン(データ)がメインビーム40によって書込まれたマークパターンと同じまたは十分に相関するのなら、
図3および
図4に示される遅延パターン相関フィルタまたは検出器は、書込まれるデータの類似性を検出かつ検証することができる。しかし、衛星スポットによって読出された遅延データはメインビームの相関されない変調によって非常に劣化しているので、これら代表的実施の形態における書込データの検出処理はデータブロックにわたり累積的であり、結果は本来一意に定まるものよりもむしろ一般に統計的なものである。これはデータ記憶装置では一般に問題とならない。なぜなら、データはブロックで一般にバッファリングおよび記録されるからである。さらに、書込エラーはデータブロック全体の再度書込を一般にもたらす。
【0026】
図5Aから
図5Dは本開示のさまざまな実施の形態に従うDRAW機能を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す。示される代表的信号は
図4のブロック図のコンピュータモデルを用いて生成され、書込データブロックのパターンを表わすランダムな2進数の10個の連続するデータブロックが適用される。線200は、書込パターンを表わす。線200′は、線202によって表わされる移動遅延時間Tdによってシフトされている、遅延されたまたは時間シフトされた書込パターンを表わす。線206は衛星またはサイドビーム信号を表わす。衛星信号206のパターンをランダムな場所およびランダムな間/期間で変形することにより、ランダム書込誤り期間が組込まれた。さらに、書込処理によるレーザビームの相関しない変調の影響は、モデルで実施され、これは相関されないデータ書込パターンでの衛星ビームの継続振幅変調により実施された。
【0027】
図5Bはリセット可能積分器146′(
図4)の動作を示し、線220は積分値を示し、線222は対応するしきい値を表わし、線224は組込まれた誤りを表わし、線
226はデータブロック同期パルスを表わす。
図5Bに示されるように、積分値220が対応するしきい値222を超える箇所が有効なデータブロックである。線220によって表わされる積分値が、しきい値222に到達しない領域であって、230で示される領域は、線224によって示される誤りに対応し、
図5Dの相関信号260によって表わされるように、無効なデータブロックまたは書込エラーとして検出される。同様に、
図5Cはローパスフィルタ172(
図4)の動作を示し、線240は出力信号を表わし、線242は対応するしきい値を表わし、線224は組込まれた誤り信号を表わし、線226はデータ同期パルスを表わす。
図5Cに示されるように、レベル検出器174(
図4)によって判断されるように、出力240が対応するしきい値242を超えた場合に、有効データブロック書込が示される。特定の用途および実施に応じて、リセット可能積分器またはローパスフィルタは単独で、または組合せて、用いることができる。
【0028】
図6および
図7は、本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を提供するために、所定のデータ検証パターンを用いる光学データ記憶のためのDRAWシステムまたは方法の動作を示す。示される代表的信号は、上記のモデルと類似したコンピュータモデルを用いて生成されているが、信号は以下に記載するように変形されている。上記の相関検出器の統計的態様は、並行な書込処理からの衛星ビームにある無相関変調から一般にもたらされる。上記の相関方式の安定性を向上させるために、衛星ビーム読出信号に対するメインビームの書込変調の影響を減少またはなくすために選択された所定の検証パターンを有する特定のデータフィールドを1つ以上のデータブロックで用いて、一意に定まるDRAW動作を提供することができる。
【0029】
図6は、本開示のさまざまな実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を提供するために用いることができる代表的信号またはパターンを示す。線300は参照符号330によって概して表わされる、検証パターンまたはDRAWフィールドを有する書込パターンを表わす。検証パターンまたはDRAWフィールド330は、書込ビームの338および340で示される固定パワー期間(適切な衛星ビームまたはスポット用の読出パワー値に設定)を含み、この期間は332、334および336で示されるランダムなデータマークの期間と交互にある。時間シフトされたまたは遅延された書込パターン信号は線300′によって表わされ、一般に一定のパワーの対応する時間シフトされた期間は、時間シフトされた検証期間またはDRAWフィールド330′の間、ランダムなデータマーク332′、334′および336′の時間シフトされた期間と交互にある。一定のまたは固定されたパワーの期間が実質的に移動時間または遅延(T
d)に対応するのなら、下流の衛星ビームはたとえばメインビームの一定のパワー(変調なし)期間338および340の際、それぞれランダムなデータマーク332′および334′と出合って検出する。こうして、メインビーム変調の影響は衛星信号から実質的に取除かれる。なぜなら、これらの期間の間書込パルスはないからである。したがって、相関検出器およびリセット積分ブロックの結果は、
図7で一般に示されるように、書込パワー変調を含まない。
【0030】
図7の線400は、時間シフトされたまたは遅延された書込パターンを表わし、これは一定パワーの期間338′および340′とランダムなデータマーク332′、334′および336′の期間を交互に含む。線410は、レベル検出器によって与えられた対応するしきい値420を有するリセット可能な積分器であって、有効書込データを判断する動作を示す。積分器は一般に430で示されるデータ同期信号に応答してリセットできる。
図7に示されるように、積分器信号は上記のDCフリー処理により、一定パワー期間338′および340′の間は、有効データを検出しない。この結果は、用いられる特定の符号化方式に依存して変わり得る。しかし、当該システムは有効データを示すために、またはこれらの期間の際別の表示を提供する適切な論理を含み得る。一実施の形態において、検証フィールドまたはDRAWフィールド330′は各データブロックにおいて少なくとも1つ設けられて、書込処理の整合性の一意に定まる状況を提供する。本方法はそれ自体で用いる、または上記の相関検出方式と関連して用いることができ、OPUの安定性を向上させる。代替的に、または組合せて、DRAWフィールドまたは検証パターンは、たとえば診断のリクエストといった信号に応答して生成され得る。一実施の形態において、書込機能の整合性に疑問がある場合はいつでも読出/書込チャネルはこのような間欠DRAWフィールドまたは検証動作をリクエストすることができる。
【0031】
図8Aから
図8Dは、本開示の実施の形態に従う一意に定まるDRAW動作を有する光学データ記憶システムまたは方法における代表的信号を示す。
図5Aから
図5Dを参照して説明した実施の形態と同様に、
図8Aから
図8Dの代表的信号は対応するコンピュータモデルを用いて生成され、上記のように、DRAWフィールドまたは検証パターンを有する一意に定まるDRAW動作を示す。
図8Aにおいて、線500は書込パターンを表わし、線500’は少なくとも1つの検証パターンまたはDRAWフィールドを含む時間シフトされたまたは遅延された書込パターンを表わす。線520は衛星信号を表わす。
図8Bの線530はリセット可能積分器の値を表わす。線560は組込まれた誤り信号を表わし、線570はデータブロック同期パルスを表わす。
図8Cはローパスフィルタブロックの動作を示し、線580はフィルタ出力を表わし、これはレベル検出器による対応するしきい値590と比較され、出力580がしきい値590を超えた場合に、有効データが示される。
図8Dは、線660によって表わされる相関検出器の出力を示し、これはリセット可能積分器出力および/またはローパスフィルタ出力に基づく。
【0032】
図8Aから
図8Dに示されるように、メインビームの下流の衛星ビームを用いた一意に定まるダイレクトリードアフターライト(DRAW)を有する光学データ記憶のためのシステムまたは方法は、DRAWフィールドまたは検証パターンを用いて、衛星ビームデータ読出/検証の際のメインビーム変調の影響を減少またはなくして安定性を向上させることができる。
【0033】
前に示されおよび説明されたように、本開示に従う光学データ記憶システムおよび/または方法はさまざまな利点を提供し得る。たとえば、本開示の一実施例に従う光学データ記憶装置は、1つのOPUまたは光学ヘッドを用いて、データ検証用のダイレクトリードアフターライト機能を提供する。本開示に従うシステムまたは方法のさまざまな実施の形態は、相関検出器方式を用いてメインビーム変調または他のノイズがある場合に、低パワー衛星ビームから反射されたビームのデータマークを確実に検出する。本開示の実施の形態に従うダイレクトリードアフターライト機能および相関検出器方式は、光記憶装置のドライブチャネル用のリアルタイム診断情報および機能を提供することができる。たとえば、本開示の実施の形態に従うシステムおよび方法を用いて書込方式を拡張する、書込パターンジッタについての情報を提供する、OPU性能およびレーザパワーを調整および向上させるための情報を提供する、OPU異常を予測するなどできる。
【0034】
例示的実施の形態が示されているが、これらの実施の形態は請求項によって含まれるすべての可能な形を記載しているものではない。明細書で用いられる文言は限定よりも説明のための文言であり、本開示および請求項の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更がなされ得る。上記のように、さまざまな実施の形態の特徴を組合せて、ここで明確に説明または示されていない別の実施の形態を形成することができる。さまざまな実施の形態が1つ以上の所望の特徴について、利点を提供するとして、または他の実施例よりももしくは先行技術の実施よりも好ましいと説明されているが、当業者なら所望の全体のシステムの属性を達成するために1つ以上の特性または特徴を落とすこともでき、これは特定の用途および実施に依存する。これらの属性は、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、パッケージ化、大きさ、保守性、重量、製造性、組立の容易さなどを含むが、これらに限定されない。こうして、1つ以上の特性について、他の実施の形態または先行技術の実施と比べて好ましさが低いと説明されている実施の形態は、本開示の範囲の外にあるものではなく、特定の用途に望ましいこともあり得る。