特許第6113735号(P6113735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113735
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】浮体式風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20170403BHJP
   F03D 9/30 20160101ALI20170403BHJP
【FI】
   F03D13/25
   F03D9/30
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-533235(P2014-533235)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公表番号】特表2014-528536(P2014-528536A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】NO2012050183
(87)【国際公開番号】WO2013048257
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】20111329
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】514078254
【氏名又は名称】ウィンデル アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トロ マグネー
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0148115(US,A1)
【文献】 特開2009−248792(JP,A)
【文献】 特開2002−147339(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0179986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/25
F03D 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電用の浮体式風力タービン(1)であって、風力タービン(1)が、風力がロータブレード(3’)に作用することによって回転するように配置された風力タービン(3)用の支柱(2’)に取り付けられた胴体(2)を備え、風力タービン(1)が連結装置(5)によって浮揚装置(4)に接続され、前記浮揚装置(4)が前記胴体(2)の少なくとも一部を囲むように配置され、前記浮揚装置(4)が、風力タービン(1)の質量の少なくとも一部を支えることができるように配置される、風力タービン(1)において、
前記連結装置(5)が、風力タービン(1)本質的に垂直な位置から水平な位置に向かって、または、水平な位置から本質的に垂直な位置に向かって回転可能な回転結合装置であり、前記胴体(2)が、本質的に垂直な位置と水平な位置との間の任意の位置において、前記回転結合装置(5)を中心として風力タービン(1)のバランスをとることができるように配置された調節可能なバラスト手段(9、12)を備えることを特徴とする、風力タービン(1)。
【請求項2】
前記バラスト手段が、前記風力タービン(1)の長手方向軸に沿って移動可能に配置された重り(12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の風力タービン(1)。
【請求項3】
前記バラスト手段が、前記胴体(2)に配置された少なくとも1つのチャンバ(9’)に出入りさせられるようになっている少なくとも1種の流体(9)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の風力タービン(1)。
【請求項4】
前記バラスト手段が、前記胴体(2)に配置された少なくとも2つのチャンバ(9’)に出入りさせられるようになっている少なくとも1種の流体(9)を含み、前記チャンバ(9’)のうちのそれぞれの流体(9)の量が調節可能になっており、
前記少なくとも1種の流体(9)が液体を含んでいることを特徴とする、請求項に記載の風力タービン(1)。
【請求項5】
前記浮揚装置(4)が、フレーム構造(4’’)に確実に接続された少なくとも3つの互いに離れた浮揚体(4’)を備え、前記フレーム構造(4’’)が前記連結装置(5)を支えることを特徴とする、請求項1に記載の風力タービン(1)。
【請求項6】
前記風力タービン(1)が、前記浮揚装置(4)に対して前記風力タービン(1)を少なくとも本質的に垂直な位置に固定できるように配置されたロック手段(6)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の風力タービン(1)。
【請求項7】
輸送およびメンテナンスに関連して、発電用の浮体式風力タービン(1)の垂直方向の範囲を制御する方法であって、前記風力タービン(1)が、風力がロータブレード(3’)に作用することによって回転するように配置された風力タービン(3)用の支柱(2’)に取り付けられた胴体(2)を備えるようなものであり、前記胴体(2)の少なくとも一部を少なくとも部分的に囲むように配置され、かつ前記風力タービン(1)の質量の少なくとも一部を支えることができるように配置された浮揚装置(4)に前記風力タービン(1)が接続されている、方法において、
前記風力タービン(1)が本質的に垂直な位置から水平な位置に向かって、または、水平な位置から本質的に垂直な位置に向かって回転可能な回転結合装置(5)によって、前記風力タービン(1)を前記浮揚装置(4)と相互接続させるステップと、
前記回転結合装置(5)を中心とした前記風力タービン(1)の回転動作を実行するステップと、
前記風力タービン(1)の前記胴体(2)に配置されたバラスト装置(9、12)を調節することによって、本質的に垂直な位置と水平な位置との間の任意の位置において、前記回転結合装置(5)を中心として前記風力タービン(1)のバランスをとるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記回転動作が、前記調節可能なバラスト装置(9、12)を制御することによって行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記調節可能なバラスト装置が、前記風力タービン(1)の長手方向軸(L)に沿って動かされる重り(12)によって実現されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
バランスをとるステップが、前記胴体(2)に配置された少なくとも1つのチャンバ(9’)に出入りさせられる少なくとも1種の流体(9)によって実現されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
バランスをとるステップが、前記胴体(2)に配置された少なくとも2つのチャンバ(9’)に出入りさせられる少なくとも1種の流体(9)によって実現され、
前記少なくとも1種の流体(9)が液体を含み、前記チャンバ(9’)のうちのそれぞれの液体の量が調節されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式風力タービン(フローティング(浮上式)・ウィンド・タービン:floating wind turbine)および風力タービンの垂直方向の範囲を制御する方法に関する。より具体的には、本発明は発電用の浮体式風車に関し、風車(ウィンドミル)は、風力がロータブレード(回転羽根)に作用することによって回転するように配置された風力タービンの支柱に取り付けられる胴体を備え、風力タービンは、連結装置によって浮揚(浮力)装置に接続され、浮揚装置は、胴体の少なくとも一部を囲むように配置され、浮揚装置は、風力タービンの質量の少なくとも一部を支えることができるように配置される。
【0002】
本発明の目的は、胴体の喫水および支柱の高さを低減するために、海面に浮かぶ浮揚装置に対して風力タービンを傾かせることによって、浮体式風力タービンの海での輸送および立設を簡易化できるようにし、それによって、制御された方法で、好ましくは外部の持ち上げ装置なしで、風力タービンを伏倒(寝かせる)および立設する(立てる)ことができる装置および方法を提供することである。
【背景技術】
【0003】
環境に優しい再生可能なエネルギーを求める要求がますます強まっていることに鑑みて、具体的には、資源の存在量および利用可能な領域が特に大きく、さらに、エネルギーを生み出すための設備が比較的迷惑にならず、自然を侵すこともない外洋で、風力エネルギーから資源を取り入れることが望ましい。したがって、海で発電するための風力タービンの必要性およびその市場が増加しており、着床式および浮体式の設備に対するさまざまな解決策が打ち出されている。
【0004】
海に風力タービンを設置するための先行技術は、海洋の浅い領域に適した、海底に固定される設備と、海洋の深い領域に適した浮体式設備の2つのカテゴリに大別することができる。
【0005】
海底に固定される基礎については種々の形態が打ち出されており、その中には、市場で既に十分に確立されているものもあれば、構想段階のものもある。これまでで最も広く普及しているのは、杭によって海底に固定される鋼製櫓(スチール・ジャケット:steel jacket)である。この解決策は、海洋のあまり深くない場所に非常に適している。この解決策および類似の解決策では共通して、支柱および風力タービンの設置、さらにはその後のメンテナンスおよび修理を、天候や波の状態が複雑かつ制限的な要因となり得る外洋で、大型でコストのかかるクレーン船舶によって行わなければならない。
【0006】
海底に固定される他の種類の構造は、浮力および安定性を有する鋼鉄またはコンクリートの基礎を用いる解決策に基づいており、それによって設備は岸で完成されてもよく、その後、浮かべて現場に曳航され、主として恒久的な設置のために海底に降ろされる。したがって、その後のメンテナンスおよび修理をその場所で実施しなければならない。
【0007】
さらに他の種類の構造は、胴体を海面より上に上げることができるように、海底に降下させ、設置することができる支持脚を備えた浮体式の胴体を有する。この解決策は、恒久的でない設備を意図されており、メンテナンスおよび修理のために比較的簡単に岸に戻し、返すことを可能にする。
【0008】
浮体式の設備の先行技術は、海に垂直に浮かぶ別個の支柱と、1つ以上の支柱を備える安定した胴体とを主として含む。
【0009】
浮体式の柱を用いる形態は、穏やかな水中で組み立てることができるが、十分な安定性を達成するための構造体の喫水により、組立体および係留場所への輸送経路の両方について比較的深い水深が要求され、したがって、この実施形態は、岸での組み立ておよびその後のメンテナンスには適していない。
【0010】
風力タービン用の1つ以上の支柱が装着される浮体式の胴体の既知の実施形態は、岸で完成され、メンテナンスおよび修理も岸で行うことができるという利点を有するが、十分な安定性を実現するための、胴体に要求される質量およびサイズによって、建設費用が比較的高い。
【0011】
刊行物のノルウェー国特許第330281B1号は、ロータと、ロータに取り付けられた上部の柱と、上部の柱と下部の柱の間に配置されたスタビライザタンクとを備えた浮体式風力タービンを開示しており、このスタビライザタンクは、上部および下部の柱の長手方向の中心軸に対して、その浮力の中心がずれて配置されている。
【0012】
さらなる浮体式風力タービンが、以下の刊行物、国際公開第2011051804A1号、米国特許公開第2011179986A1号および独国実用新案第20100588U1号によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】NO 330281 B1
【特許文献2】WO 2011051804 A1
【特許文献3】US 2011179986 A1
【特許文献4】DE 20100588 U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、先行技術の欠点のうちの1つ以上を改善もしくは低減するか、または先行技術に対する有用な代替を少なくとも提供することをその目的とする。
【0015】
その目的は、下記の説明および添付の特許請求の範囲において詳述される特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、発電用の浮体式風力タービンに関し、この風力タービンは、風力がロータブレードに作用することによって回転するように配置された風力タービン用の支柱に取り付けられた胴体を備え、風力タービンは連結装置(カップリング・デバイス)によって浮揚装置に接続され、浮揚装置は胴体の少なくとも一部を囲むように配置され、浮揚装置は、風力タービンの質量の少なくとも一部を支えることができるように配置され、連結装置は、風力タービンが実質的に垂直な位置から水平な位置に向かって、またはその反対方向に、ある角度で回転可能に配置されるように配置された回転結合装置(ロータリ・カップリング)であり、胴体は、前記位置の間の任意の位置において、回転結合装置を中心として風力タービンのバランスをとることができるように配置された調節可能なバラスト手段を備える。したがって、風力タービンは浮揚装置に対して回転させられてもよい。
【0017】
これには、風力タービンが回転される、または垂直な位置から水平な位置に向かって傾けられるとき、風力タービンの胴体の喫水が減少し、同時に支柱の高さも減少するという効果がある。したがって、浮揚装置に接続された風力タービンは、比較的浅い海域を通って、たとえばブリッジ構造物の下を輸送されてもよい。
【0018】
調節可能なバラスト手段によって所望の位置でバランスをとった風力タービンは、回転結合装置により、すべての実質的部分で、垂直方向の力を浮揚装置に対して伝達する。したがって、風力タービンと浮揚装置は、たとえば長手方向軸の水平成分と通常は平行になる動きの方向に、またはその反対方向に作用する波の中を曳航するとき、かなりの程度、互いに独立して移動することができる。
【0019】
一実施形態において、回転は、調節可能なバラスト手段によって風力タービンが単独で実施する。回転は、垂直な位置から水平な位置へ、また垂直でない位置から垂直な位置への両方であってもよい。
【0020】
一実施形態において、バラスト手段は、風力タービンの長手方向軸に本質的に沿って移動可能に配置された1つ以上の重りを含む。重りは、風力タービンの長手方向軸と同軸に配置されてもよい。重りは、駆動手段、たとえば図4を検討するときに以下で説明するような種類の駆動手段によって、それ自体が知られている方法で移動させられてもよい。
【0021】
一実施形態において、バラスト手段は、胴体に配置された少なくとも1つのチャンバに出入りさせられる少なくとも1種の流体を含む。少なくとも1種の流体のうちの1つは液体を含む。少なくとも1種の流体のうちの別のものは、チャンバ内の液体と気体の比率を調節するために少なくとも1つのチャンバに送り込まれる、たとえば空気などの気体を含んでいてもよい。そのような実施形態では、チャンバと液体貯蔵部の間に流体連通をもたらすための手段を設けなければならないことが当業者には理解されよう。液体貯蔵部は、風力タービンが浮かんでいる海でも、別のチャンバでもよい。したがって、少なくとも1つのチャンバは少なくとも2つのチャンバを含んでいてもよく、チャンバのうちのそれぞれの液体の量は調節可能になっている。この調節は、それ自体が知られている種類の1つ以上のポンプ装置によって行われてもよい。
【0022】
一実施形態において、浮揚装置は、フレーム構造に確実に接続された少なくとも3つの互いに離れた浮揚体を備え、フレーム構造は連結装置を支える。
【0023】
一代替実施形態において、浮揚装置は1つの本体を含む。本体は、たとえば、限定はしないが、U字形またはV字形であってもよい。連結装置は浮揚体に直接的に接続されてもよいし、連結装置はフレーム構造によって浮揚体に接続されてもよい。
【0024】
さらに別の代替実施形態において、浮揚装置は、互いに離れているが、フレーム構造によって相互接続された2つの細長い浮揚要素を含む。連結装置は、フレーム構造または浮揚要素から支持されていてもよい。
【0025】
風力タービンは、風力タービンを浮力の方向に対して少なくとも本質的に垂直な位置に留めるかまたは固定することができるように配置されたロック手段を備えていてもよい。したがって、浮揚装置は風力タービンの安定性に貢献する。
【0026】
本発明の第2の態様において、輸送およびメンテナンスと関連して、発電用の浮体式風力タービンの垂直方向の範囲を制御する方法であって、風力タービンが、風力がロータブレードに作用することによって回転するように配置された風力タービン用の支柱に取り付けられた胴体を備えるようなものであり、胴体の少なくとも一部を少なくとも部分的に囲むように配置され、かつ風力タービンの質量の少なくとも一部を支えることができるように配置された浮揚装置に風力タービンが接続されている方法が提供され、この方法は、
風力タービンが本質的に垂直な位置から水平な位置に向かって、またはその反対方向に、ある角度で回転できるように、回転結合装置によって、風力タービンを浮揚装置と相互接続させるステップと、
回転結合装置を中心とした風力タービンの回転動作を実施するステップと、
風力タービンの胴体に配置されたバラスト手段を調節することによって、前記位置の間の任意の位置において、回転結合装置を中心として風力タービンのバランスをとるステップとを含む。
【0027】
回転動作は、調節可能なバラスト装置を制御することによって行われてもよい。
【0028】
ある代替の方法においては、少なくとも最初の回転動作は力を加えることによって行われる。そのような代替の方法は、本質的に垂直な位置から垂直でない位置への最初の回転中に特に関連する。
【0029】
上記の実施形態は概して、通常の位置で胴体に確実に接続されることによって、浮力および安定性により、胴体の固有の浮力および安定性が結果的に減少され得るように胴体に貢献する周囲の浮体式フレームを備える点において、たとえばHywindおよびSwayで知られている種類のような、風力タービン用の浮体式の柱を備える既知の実施形態とは異なっている。Hywindは、水および石のバラストで満たされた鋼鉄シリンダを構造体が備える浮体式洋上風力タービンである。それは海中に約100メートル延び、海底に係留される。Swayは張力脚によって海底に係留される浮体式構造である。
【0030】
さらに上記の実施形態は概して、輸送位置の風力タービンの長手方向軸が、垂直な位置よりも水平な位置に近くてもよい点において、既知の実施形態とは異なっている。したがって、輸送中の風力タービンの垂直方向の範囲は、風力タービンの長手方向軸が実質的に垂直である通常の位置または稼働位置にある風力タービンの垂直方向の範囲よりも極めて小さくなり得、同時に、浮揚装置を備えた風力タービンは自己支持性で安定しており、何らかの補助船舶なしで浮かべて輸送することができるが、固定された(1つ以上の)支持柱を備える安定した浮体式の胴体を用いる既知の実施形態よりも遥かに軽量かつ小型となり得る。
【0031】
最後に、上記の実施形態は概して、実質的に外部の持ち上げ装置を使用することなく、胴体の重心を移動させ、かつ、胴体の質量を変えることによって、制御された方法で支柱を立設および伏倒することができる点において、既知の実施形態とは概して異なっている。
【0032】
以下、添付の図面に描かれる好ましい実施形態の一例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1a】浮体式の基部構造によって風力タービンが水面に直立した位置で支えられている、ある側面から見た風力タービンを示す立面図である。
図1b図1aと同じものを示すが、風力タービンを正面から見た図である。
図1c】上から見た図1aの風力タービンを示す図である。
図2a図1aの風力タービンを示すが、水平近くの位置まで回転させた後の図である。
図2b】水面に向かう方向から見た図2aの風力タービンを示す図である。
図3図2aおよび図2bに示した風力タービンを示す斜視立面図である。
図4図1bに示した風力タービンおよび基部構造の下部の一部をより大きい比率で示す立面図であり、風力タービンの一部を破断図に示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面において、類似するかまたは対応する要素は同じ参照符号によって示す。
【0035】
たとえば右、左、上、下、垂直、水平のような位置および状況の指定は、図に示す位置を指す。
【0036】
図面において、参照符号1は発電用の風力タービンを示す。風力タービン1は、支柱2’に取り付けられた胴体2を含む。支柱2’の上部の一部に、風力タービン3が配置されており、これは、それ自体が知られている方法で、風が3つのロータブレード3’に作用することによって回転するように配置される。
【0037】
風力タービン1は、浮揚装置4の質量、さらには、当業者には周知のはずであり、そのため本文書ではあまり詳細に説明しない係留システムの一部をなす係留装置7の質量に加えて、風力タービン1の質量の少なくとも一部を支えることができるように配置される浮揚装置4に接続されている。
【0038】
浮揚装置4は、図示の実施形態では、浮きによって形成された3つの浮揚体4’を含む。3つの浮揚体4’のそれぞれは、フレーム構造4’’によって別の浮揚体4’と相互接続されている。浮揚体4’は、図示の実施形態では、図1cおよび図2bに最も良く示されるV字形状で相互接続されている。
【0039】
風力タービン1は、回転結合装置によって形成された連結装置5によって浮揚装置4に接続されている。回転結合装置5は、図示の実施形態では、風力タービン1の胴体2の両側にあるフレーム構造4’’に装着されて固定される2つのフォーク要素5’を備える。フォーク要素5’は、胴体2から突き出た2つのピボット5’’に適合する形で補足している。したがって、連結装置5は、浮揚装置4に対する風力タービン1の長手方向軸Lの位置または傾きにかかわらず、すべての実質的部分で、垂直方向の力を風力タービン1から浮揚装置4に伝達する回転軸または傾斜軸Wを提供する回転結合装置または傾斜固定装置である。
【0040】
沈められる風力タービン1の胴体2の一部は、風力タービン1の全質量の一部を支えることになる。
【0041】
図1a〜1cにおいては、風力タービン1を垂直な位置で示している。垂直な位置または本質的に垂直な位置は、風力タービン1の通常の位置または稼働位置となろう。
【0042】
風力タービン1のタービン3は、それ自体が知られている方法で、図示しない軸受けによって、支柱2’上に回転可能に配置されていることを理解されたい。風の方向に対するロータブレード3’の向きは、風の方向センサからの信号によって制御される図示しないモータによって制御され得る。これは、当業者には既知であるとみなされるものであり、本文書ではあまり詳細に説明しない。風力タービン1のタービン3は、風力タービン1が輸送位置にあるとき、ロータブレード3’が水面8からできるだけ遠い距離に配向されるように、支柱2’に対して回転しないようにロック可能に配置されている。
【0043】
一代替実施形態(図示せず)において、支柱2’の全部または一部は、タービン3が支柱2’に確実に接続され得るように、回転可能に配置されてもよい。これは、たとえば、それ自体が知られている種類の回転結合装置を胴体2と支柱2’の間の移行部に配置するか、支柱2’自体に配置するか、または、たとえば回転結合装置を胴体2と浮揚装置4の間に配置することによって実現してもよい。回転結合装置は、この代替実施形態でもやはり、風力タービン1が輸送位置にあるとき、ロータブレード3’が水面8からできるだけ遠い距離に位置決め配向されるように、回転しないようにロック可能に配置される。
【0044】
図1bおよび図1cにおいて、胴体2の一部に取り付けられた板状の本体によって形成されており、フレーム構造4’’の一部とロック係合状態になれるように、それ自体が知られている方法で配置されたロック手段6がある。ロック係合は選択的に解除可能である。ロック手段6がフレーム構造4’’とロック係合し、それによって浮揚装置4とロック係合しているとき、風力タービン1の長手方向軸Lは、浮揚装置4に対して回転しないようにされている。浮揚装置4はそれによって、風力タービン1が風力にさらされているときに、そのタービン1の安定化に貢献することになる。
【0045】
図2a、図2bおよび図3において、風力タービン1の長手方向軸Lが垂直な位置よりも水平な位置に近い輸送位置に風力タービン1を示してある。それによって、胴体2の喫水および支柱2’の高さは、たとえば図1aの風力タービン1の位置と比べて著しく減少されており、これは、風力タービン1を移動させるときの輸送経路、ならびに風力タービン1の監視およびメンテナンス作業のために使用され得る波止場の両方に関わる柔軟性に関して極めて有利であり得る。
【0046】
図2aおよび図3において、風力タービン1は、図4を検討するときにより詳細に説明する調節可能なバラスト手段9、12によって、連結装置5を中心としてバランスのとれた状態に保たれる。ロック手段6は、図示の実施形態において、浮揚装置4との係合を外される。それによって、すべての本質的部分で、連結装置5を介して垂直方向の力が伝達され、それにより、浮揚装置4はその通常の位置を本質的に維持する。
【0047】
図4は、胴体2および浮揚装置4の一部をより大きい比率で示す立面図である。胴体2の一部を破断図に示してある。図4において風力タービン1は図1bに示す位置にある。
【0048】
重り12は、胴体2の下部に移動可能に配置されている。重り12はケーブル経路(ルーティング:routing)ブッシング14を囲む。重り12とケーブル経路ブッシング14は、重り経路ブッシング16の中に配置されている。重り12の移動または移行は、胴体2と重り12の間に配置された持ち上げ装置(図示せず)によって行われてもよい。重り12は、上に移行するときに、垂直な位置(図4に示すように重り12が胴体2の最下部に位置する)から、たとえば図2aに示した水平な位置(重り12が、図4に示したものよりも回転結合装置5の近くに位置する)に向かうまでの任意の位置において、風力タービン1が回転結合装置5を中心としてバランスをとれるように、胴体2の重心を変化させる。
【0049】
重り12に加えて、図4は、胴体2の質量および/または重心を変えるための調節可能な流体バラストシステムを含む調節可能なバラスト手段も示しており、それによって、浮揚装置4は本質的にその通常の位置を維持しながら、制御された方法で風力タービン1を立設および伏倒することができる。
【0050】
調節可能な流体バラストシステムは、図示の実施形態において、胴体2の中に配置されたいくつかの密閉されたチャンバ9’(図示されているのは4つ)を含む。チャンバ9’は、それ自体が知られている方法で、水がチャンバ9’およびその周囲を流れることを可能にする弁10の構成を介して、周囲の水に流体接続されている。弁10は、図示しない制御装置によって、それ自体が知られている方法で制御される。チャンバ9’を空にするために、図4に示すようにポンプ11を含むさらに別の構成があり、あるいは図示の実施形態ではなく代替形態において、周囲の水圧より高い圧力で、たとえばチャンバ9’のうちの1つに送り込まれる空気または別の気体によってバラスト水9が押しのけられることによって、チャンバ9’内の水9を、弁10を介して周囲の水の中に押し出す加圧されるシステムがある。
【0051】
上で説明した一代替形態としては、図4に示したように、重り12を胴体2の下部に確実に固定してもよい。それによって、この代替実施形態におけるバラスト手段9、12のすべての調節は、チャンバ9’内の流体9の調節または再分配によって行う必要がある。
【0052】
本発明の実施形態による前記の利点は、海洋の深所に固定するものとされ、かつ本発明によれば、胴体2、支柱2’およびロータブレード3’を寝かせた状態で、したがって、既知の風力タービンよりも喫水が短く、高さが低い状態で組み立ておよび輸送ができ、それによって、より浅い水深の場所、たとえば埠頭で完成およびメンテナンスができ、かつ特別な船舶を用いずに、たとえばブリッジのような構造物の下を輸送できる風力タービンに特に適したものとなろう。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4