(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113746
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ニトリル官能基を含む化合物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/24 20060101AFI20170403BHJP
C07D 307/68 20060101ALI20170403BHJP
C07D 307/14 20060101ALI20170403BHJP
B01J 27/182 20060101ALI20170403BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20170403BHJP
【FI】
C07D307/24
C07D307/68
C07D307/14
B01J27/182 Z
!C07B61/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-546504(P2014-546504)
(86)(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公表番号】特表2015-502961(P2015-502961A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2012075377
(87)【国際公開番号】WO2013087765
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】1161823
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508076598
【氏名又は名称】ロディア オペレーションズ
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロラン・ジャコ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マリオン
【審査官】
榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】
西独国特許第00912334(DE,B)
【文献】
特表2006−523671(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0288324(US,A1)
【文献】
西独国特許第02020866(DE,B)
【文献】
特開平09−003030(JP,A)
【文献】
Tetrahedron Letters,1997年,38(27),4811-4814
【文献】
モリソンボイド有機化学(中)第6版,東京化学同人,1994年 5月16日,第6版,pp1044-1047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
B01J 27/182
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】
または
一般式(III)の化合物
【化2】
を調製する方法であって、
(式中、Rは、
−鎖状または分岐アルキル基、
−鎖状または分岐モノ−、ポリ−または過ハロゲン化アルキル基、
−エーテルR4−O−またはチオエーテルR4−S−基(R4は、1〜6個の炭素原子またはフェニル基を有する鎖状または分岐アルキル基を表す)、
−アシルまたはアロイルR4−CO基(R4基は、上記と同じである)、
−ヒドロキシル基、
−ハロゲン原子
から選択される1つ以上の任意の置換基を表し、x、yは、0または1に等しく、(x+y)は1または2に等しい)
気相中で、アンモニアを一般式(II)の化合物
【化3】
または一般式(IV)の化合物
【化4】
(式中、同一または異なるR
1およびR
2は−OR
3を表し、R
3は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)
と、式Si
3(PO
4)
4のオルトリン酸ケイ素を含む触媒の存在下で、反応させることを含む、
前記方法。
【請求項2】
式(II)および/または式(IV)の前記化合物は、植物由来の再生可能な材料から得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが、
−1〜6個の炭素原子を有する鎖状または分岐アルキル基、
−1〜6個の炭素原子および1〜13個のハロゲン原子を有する鎖状または分岐モノ−、ポリ−または過ハロゲン化アルキル基、
−エーテルR4−O−またはチオエーテルR4−S−基(R4は、1〜4個の炭素原子またはフェニル基を有する鎖状または分岐アルキル基を表す)、
−アシルまたはアロイルR4−CO基(R4基は、上記と同じである)、
−ヒドロキシル基、
−フッ素原子
から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Rが、
−1〜4個の炭素原子を有する鎖状または分岐アルキル基、
−1〜4個の炭素原子および1〜9個のハロゲン原子を有する鎖状または分岐モノ−、ポリ−または過ハロゲン化アルキル基、
−エーテルR4−O−またはチオエーテルR4−S−基(R4は、1〜4個の炭素原子またはフェニル基を有する鎖状または分岐アルキル基を表す)、
−アシルまたはアロイルR4−CO基(R4基は、上記と同じである)、
−ヒドロキシル基、
−フッ素原子
から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
x+yは2に等しく、R1およびR2は同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(II)または式(IV)の前記化合物は、メチル2,5−フランジカルボキシレート、エチル2,5−フランジカルボキシレート、アンモニウム2,5−フランジカルボキシレート、メチル2−フロエート、エチル2−フロエートまたはアンモニウム2−フロエートから選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が、300〜450℃の温度で実施されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応が、固定触媒床を含むリアクターで実施されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒は、シリカをリン酸で含浸し、空気中か焼することにより得られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
か焼は、400℃〜800℃の温度で実施されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
形成された少なくとも前記ニトリル(I)および/または(III)は、対応のアミンを形成するために水素化されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
形成された少なくとも前記ニトリル(I)は、一般式(V)
【化5】
(ここで、R、x及びyは請求項1〜10のいずれかにおいて定義される通りである)
のアミンを形成するために
水素化されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトリル官能基を含む化合物の製造に関する。
【0002】
特に、有利には、天然および再生可能起源のカルボキシル官能基を含む化合物からのニトリル官能基を含む化合物の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
ニトリル官能基を含む化合物は、アミン化合物の製造にとって重要である。ジニトリル化合物から、例えば、ポリアミド等のポリマー源であるモノマーであるアミンが得られる。モノニトリル化合物からは、例えば、カチオン界面活性剤の製造に用いられるアミンまたはアミドが得られる。
【0004】
ニトリルの合成のための多くのプロセスが提供されており、特にアンモニアおよびカルボン酸から開始される合成プロセスがある。これらのプロセスは、出発原材料として、石油精製から得られる炭化水素化合物を主に用いている。
【0005】
石油資源が枯渇することを考えて、通常は破壊される、またはエネルギーの形態で付加価値を与えられる、再生可能とされる原材料または資源からの、あるいは、再利用原材料からの、数多くの用途に用いる材料の製造において重要である化合物の合成のためのプロセスを開発するために、多くの調査研究がなされている。これらの再生可能資源は、例えば、木、植物、具体的には、サトウキビ、トウモロコシ、キャッサバ、小麦、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、パーム、トウゴマ等の耕作または未耕作植物質から得られる。
【0006】
この植物質は、概して、いくつかの機械的、化学的および生物学的段階を含むプロセスにより変換される。
【0007】
2,5−フランジカルボン酸(FDCA)は、特に、バイオマスから得られる生成物である(特に、セルロースから得られる、粘液酸またはヒドロキシメチルフルフラールから得ることができる)。このように、それは、対応の生物学的起源のジニトリルを調製するための出発材料としてふさわしい候補と推測される。
【0008】
この化合物(FDCA)は、従来の溶媒に極めて不溶であり、特に熱安定性がないことが問題である。カルボキシル基が除去されて、複製(CMR)化学生成物にとって発がん性、変異原性または毒性であるフランを形成する。
【0009】
高温および加圧処理による、酸のニトリル化によるニトリルの調製の従来のプロセスは、特に、FDCAから出発するときは用いることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの欠点を呈さない、FDCAまたは誘導体からのニトリル調製のためのプロセスが尚求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は、
一般式(I)の化合物
【化1】
または
一般式(III)の化合物
【化2】
(式中、Rは、1つ以上の任意の置換基を表し、x、yは、0または1に等しく、(x+y)は1または2に等しい)を調製する方法を提供する。
この方法はアンモニアを、一般式(II)の化合物
【化3】
または一般式(IV)の化合物
【化4】
(式中、同一または異なるR
1およびR
2は、−NH
2または−ONH
4または−OR
3を表し、R
3は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、x、yおよびRは、上述された意味を持つ)と、Si
3(PO
4)
4のオルトリン酸ケイ素を含む触媒の存在下で、反応させることからなる。
【0012】
一般式(I)または(III)の化合物は、1つ以上の置換基を持つことができる。
【0013】
有利には、一般式(II)または(IV)の化合物は、植物由来の再生可能な材料から得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
再生可能な材料または資源は、天然、動物または植物資源であり、そのストックは、人間の時間尺度では短期間で再構成し得る。特に、消費されたら即座に再生できるストックが必要とされている。
【0015】
化石材料から得られる材料とは異なり、再生可能な材料は、高い割合で
14Cを含有している。本発明のニトリルは、再生可能な原材料から得られる有機炭素からなるのが好ましい。このように、この好ましい特徴は、ASTM規格D6866に記載された方法の1つに従って、特に、この規格に記載された質量分析法または液体シンチレーション分光分析に従って、
14C含量を求めることにより確保される。
【0016】
これらの再生可能資源は、例えば、木、植物、具体的には、サトウキビ、トウモロコシ、キャッサバ、小麦、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、パーム、トウゴマ等の耕作または未耕作植物質から得られる。
【0017】
例えば、一般式(II)または(IV)の化合物は、デンプンやセルロースといった天然多糖類等の再生可能資源から得ることができる。例えば、小麦、トウモロコシまたはジャガイモから抽出されるデンプンが考えられる。特に、様々な変換プロセス、特に、通常の化学プロセス、また酵素変換プロセスや発酵変換プロセスから得られる。
【0018】
例えば、式(II)の化合物は、それ自体は、セルロースから得られる、特に、粘液酸またはヒドロキシメチルフルフラールから得られる2,5−フランジカルボン酸から得ることができる。
【0019】
有利には、Rは、
−好ましくは、1〜6個の炭素原子、より好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する鎖状または分岐アルキル基、
−好ましくは、1〜6個の炭素原子および1〜13個のハロゲン原子、より好ましくは、1〜4個の炭素原子および1〜9個のハロゲン原子を有する鎖状または分岐モノ−、ポリ−または過ハロゲン化アルキル基、
−エーテルR
4−O−またはチオエーテルR
4−S−基(R
4は、1〜6個の炭素原子、より好ましくは、1〜4個の炭素原子またはフェニル基を有する鎖状または分岐アルキル基を表す)、
−アシルオキシまたはアロイルオキシR
4−CO−O−基(R
4は、上記と同じである)、
−アシルまたはアロイルR
4−CO基(R
4は、上記と同じである)、
−ヒドロキシル基、
−ハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子
から選択される。
【0020】
有利には、R
1およびR
2は、−OR
3基である。すなわち、式(II)または(IV)の化合物はエステルである。
【0021】
本発明の方法の特定の実施形態によれば、x+yは2に等しく、R
1およびR
2は同一である。
【0022】
好ましくは、式(II)または(IV)の化合物は、メチル2,5−フランジカルボキシレート、エチル2,5−フラン−ジカルボキシレート、アンモニウム2,5−フランジカルボキシレート、メチル2−フロエート、エチル2−フロエートまたはアンモニウム2−フロエートである。
【0023】
本発明の方法によれば、式(II)または(IV)の化合物とアンモニアを含むガス流が、本発明の触媒を通過する。
【0024】
含まれるアンモニアの量は、反応の化学量論により決まる理論量に等しくすることができる(すなわち、エステル官能基1モルあたりアンモニア1モル)が、過剰のアンモニアを用いて反応を実施するのが好ましい。概して、エステル官能基1モル当たり、少なくとも2モル、特に、2〜10モルのアンモニアを用いるのが好ましい。反応から得られる、ガス流に存在する過剰のアンモニアは、精製後、再利用することができる。
【0025】
ガス混合物の容積の1単位(標準圧力および温度条件で測定)が、触媒の見かけの容積の単位と接触する間の秒単位の時間と定義されるガス流と触媒の見かけの接触時間は、0.001秒〜10分、好ましくは、0.01秒〜2分とすることができる。
【0026】
本方法は、概して、大気圧で、200〜600℃、好ましくは、300℃〜450℃、より好ましくは、350℃〜425℃の温度で実施される。
【0027】
式(II)または(IV)の化合物は、触媒と接触する前に、概して、蒸発する。
【0028】
例えば、蒸発装置において、または、概して、予熱後に過熱(300〜400℃)アンモニア流にスプレーすることにより、蒸発させることができる。蒸発のこれらの2つの方法は、単なる例示に過ぎない。
【0029】
式(II)または(IV)の化合物は、蒸発前に、概して、液体の形態で供給される。溶融形態または溶液形態で供給することもできる。水溶液または溶媒中の溶液とすることもできる。
【0030】
R
1およびR
2が、式(II)または(IV)において、−ONH
4を表すときは、式(II)または(IV)の化合物は、概して、水溶液の形態にある。適した最大濃度は、溶液を触媒に供給するのに用いる蒸発装置に溶液を供給する温度での式(II)または(IV)の化合物の水中での溶解限度により設定される。
【0031】
R
1およびR
2が、−OR
3を表す、すなわち、式(II)または(IV)の化合物がエステルであるときは、この化合物は、溶融形態、あるいは、溶媒、有利には、アルコールまたはエーテルにおいて溶液の形態とすることができる。式(II)または(IV)のエステル化合物の調製中に用いたアルコールを用いるのが好ましい。適した最大濃度が、溶液を触媒に供給するのに用いる蒸発装置に溶液を供給する温度での式(II)または(IV)の化合物の溶媒中での溶解限度により設定される。
【0032】
溶媒の例としては、例えば、メタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタンが挙げられる。
【0033】
有利には、触媒は、5重量%未満のアモルファスオルトリン酸ケイ素を含む。
【0034】
オルトリン酸ケイ素を形成するために本発明に好適な触媒は、シリカを、水溶液中でリン酸に含浸した後、空気中でか焼することにより、有利には得ることができる。か焼温度は、有利には、450℃〜800℃、例えば、450℃〜550℃である。かかる製造方法は、特に、仏国特許第2 810 317号明細書に記載されている。
【0035】
様々な会社、例えば、UOPから販売されている触媒を用いることも可能である。ただし、結晶形態の含量を増やすために、これら市販の触媒を処理する、例えば、加熱処理する必要な場合がある。
【0036】
触媒は、概して、固体の形態、例えば、ビーズ、円筒形押出し物、ハニカム等の形態にある。触媒は、概して、式(II)または(IV)の化合物および蒸気の形態のアンモニアが中を通って送られる固定床の形態でリアクター中に位置する。
【0037】
本発明の触媒はまた、ドーピング元素または共触媒も含むことができる。
【0038】
本発明の他の特徴によれば、本発明の方法を実施するのに用いられる触媒は、450〜500℃の温度で、10〜20時間、触媒床を空気で処理することによって再生することができる。再生処理は、反応出口での空気中のCO
2の存在を検出することによりモニターすることができる。空気中のCO
2の存在が観察されなくなったら、処理を停止する。このように再生された触媒は、等価の触媒性能により、本発明の方法を新たに実施するのに用いることができる。
【0039】
リアクター出口で回収された蒸気は、ニトリル官能基を含む化合物を回収するために、凝縮される。これらの化合物は、続いて、蒸留、結晶化、抽出等といった従来の技術により、精製することができる。
【0040】
触媒は、有利には、化合物(II)または(IV)を供給する前に、特に、350℃〜500℃の温度で、空気で処理することにより活性化される。
【0041】
本発明の具体的な実施形態によれば、このようにして回収された式(I)または(III)のニトリルは、対応のアミンを形成するために、当業者に公知の方法により、水素化される。このように、全ての炭素が生物学起源である(生物学的起源のカルボン酸、すなわち、再生可能な出発材料から得られるカルボン酸から得られる)アミンが得られる。ジアミンを、ポリアミドを製造する出発材料として用いることができ、重合に用いる酸によっては、部分的または完全に生物学的起源となる。アミンはまた、界面活性剤を調製するのにも用いることができる。
【0042】
本発明の他の具体的な実施形態によれば、このように回収された式(I)のニトリルは、式(V)のアミンを形成するために水素化される。
【化5】
【0043】
本発明の他の詳細または利点は、以下の実施例によって、より一層明らかとなるであろう。
【実施例】
【0044】
実施例1
1mmの温度プローブを備え、電気管状路により加熱される内径2.54cmの管状ステンレス鋼リアクターを用いる。2〜3mmに粉砕され篩分けされたUOP製のSPA1という触媒3mlから構成される触媒床を、3l/hの空気流により、450℃で15時間、活性化する。
【0045】
活性化後、触媒床を400℃に戻し、空気流を2.7l/hのアンモニア流に交換する。触媒床を、425℃まで再加熱し、20%w/wのメタノールメチル2,5−フランジカルボキシレート溶液を、アンモニア流量を2.7l/hに維持しながら、触媒床に、6ml/hの流量で注入する。50ml注入後、凝縮物をGCにより分析する。ジエステルの変換率38%で、2,5−ジシアノフランの12%の収率が得られる。
【0046】
実施例2
1mmの温度プローブを備え、電気管状路により加熱される内径2.54cmの管状ステンレス鋼リアクターを用いる。2〜3mmに粉砕され篩分けされたUOP製のSPA1という触媒3mlから構成される触媒床を、3l/hの空気流により、450℃で15時間、活性化する。活性化後、触媒床を400℃に戻し、空気流を2.7l/hのアンモニア流に交換する。触媒床を、425℃まで再加熱し、20重量%のエタノールエチル2,5−フランジカルボキシレート溶液を、アンモニア流量を2.7l/hに維持しながら、触媒に、5ml/hの流量で注入する。溶液50ml注入後、凝縮物をGCにより分析する。ジエステルの変換率30%で、15%のジニトリル収率が得られる。
【0047】
実施例3
1mmの温度プローブを備え、電気管状路により加熱される内径2.54cmの管状ステンレス鋼リアクターを用いる。2〜3mmに粉砕され篩分けされたUOP製のSPA1という触媒3mlから構成される触媒床を、3l/hの空気流により、450℃で15時間、活性化する。活性化後、触媒床を400℃に戻し、空気流を2.4l/hのアンモニア流に交換する。触媒床を、425℃まで再加熱し、THF中エチル2,5−フランジカルボキシレート溶液を、45%のw/w濃度で、アンモニア流量を2.4l/hに維持しながら、触媒に、1.5ml/hの流量で注入する。50ml注入後、凝縮物をGCにより分析する。ジエステルの変換率45%で、14%のジニトリル収率および28%のエステルニトリル収率が得られる。
【0048】
実施例4:触媒の再生
触媒は、その活性が減少したら、空気の存在下での熱処理により再生することができる。空気流を、冷間触媒床に10l/hの流量で通過させ、500℃までの加熱を4時間にわたって徐々に行う。これらの条件は、その後、15時間維持する。リアクターから出るガスからはCO
2を排除しなければならない。続いて、10l/hの窒素下で温度を400℃まで戻し、この温度で、窒素の流量を、アンモニアの流量と徐々に置き換える。発熱しないようにする。その後、触媒を再生する。