(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113834
(24)【登録日】2017年3月24日
    
      
        (45)【発行日】2017年4月12日
      
    (54)【発明の名称】圧縮空気の供給装置を有するエアジェット織機
(51)【国際特許分類】
   D03D  47/30        20060101AFI20170403BHJP        
【FI】
   D03D47/30
【請求項の数】2
【全頁数】6
      (21)【出願番号】特願2015-511975(P2015-511975)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
    
      (65)【公表番号】特表2015-520304(P2015-520304A)
(43)【公表日】2015年7月16日
    
      (86)【国際出願番号】EP2013058549
    
      (87)【国際公開番号】WO2013171045
(87)【国際公開日】20131121
    【審査請求日】2015年1月9日
      (31)【優先権主張番号】102012208158.5
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
    
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】591021578
【氏名又は名称】リンダウェル、ドルニエ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LINDAUER  DORNIER  GESELLSCHAFT  MIT  BESCHRANKTER  HAFTUNG
          (74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井  浩之
          (74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼  宏仁
          (74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝  克臣
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】マルクス、ギーレン
              
            
        
      
    
      【審査官】
        山本  杏子
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特開2009−068160(JP,A)      
        
        【文献】
          特開平05−209342(JP,A)      
        
        【文献】
          米国特許出願公開第2003/0079792(US,A1)    
        
        【文献】
          国際公開第2007/107019(WO,A1)    
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D    29/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  いくつかの空圧式に調整可能な圧力調整器(1.1、1.2、1.3)と、単一の電気的に制御可能な圧力調整手段(4)と、を有する圧縮空気の供給用装置を備えたエアジェット織機であって、
  前記空圧式に調整可能な圧力調整器(1.1、1.2、1.3)は、それぞれ、空気の制御入口(3.1、3.2、3.3)を有しており、
  前記単一の電気的に制御可能な圧力調整手段(4)によって様々な異なる空気圧の値が生成され得る制御圧力ライン(5)が存在しており、
  いくつかの電気的に切替可能な弁(6.1、6.2、6.3)が存在しており、その各々は、前記空圧式に調整可能な圧力調整器(1.1、1.2、1.3)の前記空気の制御入口(3.1、3.2、3.3)に割り当てられており、それぞれの当該電気的に切替可能な弁(6.1、6.2、6.3)を介して前記関連付けられた空気の制御入口(3.1、3.2、3.3)が前記制御圧力ラインに接続可能である
ことを特徴とするエアジェット織機。
【請求項2】
  織機コントローラを更に備え、
  当該織機コントローラによって、前記空圧式に調整可能な圧力調整器(1.1、1.2、1.3)の前記空気の制御入口(3.1、3.2、3.3)が、それぞれ、様々な異なる時点において前記電気的に切替可能な弁(6.1、6.2、6.3)を介して前記制御圧力ライン(5)に接続可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、圧縮空気の供給用の機器または装置を有するエアジェット織機に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  圧縮空気の供給装置を有するエアジェット織機は、例えば、EP1  288  359A1により、示されている。これは、様々な異なる圧縮空気の供給部品を有するエアジェット織機を開示しており、当該供給部品には、中央の圧縮空気供給ライン及び内部の圧縮空気分配ラインを介して供給ネットワークから圧縮空気が、供給される。いくつかの圧力調整器または圧力コントローラ、つまり減圧弁が、内部の圧縮空気分配ラインに接続されている。圧力調整器は、空圧式のまたは動力化された態様で、制御される、あるいは、調整可能である。様々な異なるエアノズルのグループに対して様々な異なる空気圧を電気的に調整またはセッティングするために、EP1  288  359A1において、空圧式に制御される圧力調整弁に関連して、エアノズルの各グループがこのグループに割り当てられるそれぞれ1つのモータ制御された圧力調整弁によって起動されることを許容する、ということが提案されている。そのような配置は、高価であり、その組立において複雑である。
【0003】
  本発明は、エアジェット織機上のエアノズルの様々なグループまたは他の空気の消費装置のための様々な異なる空気圧の電気的に調整されたセッティングのために、単一の電気的に制御される圧力調整手段のみを用いる、という目的を有する。
 
【発明の概要】
【0004】
  前記目的は、独立請求項による機器または装置を有するエアジェット織機により、達成される。
 
【0005】
  エアジェット織機は、いくつかの空圧式に調整可能な圧力調整器を、有している。そのような圧力調整器は、一般に、供給空気用の入口、及び、空気の圧力制御用の入口を有しており、同様に、空気の出口も有している。様々な異なる制御圧力が空圧式に調整可能な圧力調整器の空気の制御入口に適用される、という点で―例えば、エアノズル、つまり様々な異なるグループまたはタイプのエアノズル、の供給に対して―、様々な異なる空気圧が調整可能である。
 
【0006】
  そのような空圧式に調整可能な圧力調整器、つまり減圧弁は、当業者にとって既知である。制御入口におけるある空気の制御圧力の適用の際に、これらの装置は、圧力調整器の空気の出口において、一定の値まで、織機の中央の圧縮空気供給ラインからの、または、内部の圧縮空気分配ラインからの、空気圧を減少させる、及び、調整する。
 
【0007】
  エアジェット織機は、空気の出口を有する電気的に制御可能な圧力調整手段を、更に有している。そのような電気的に制御可能な圧力調整手段は、例えば、EP  1  288  359A1からのモータ制御される減圧弁として、当業者にとって既知である。モータは、減圧弁つまり圧力調整器の内部の調整部材または制御要素を移動させ、この調整部材または制御要素を介して、電気的に制御可能な圧力調整の空気の出口において、一定の値まで、織機の中央の圧縮空気供給ラインからの、または、内部の圧縮空気分配ラインからの、空気圧が減少される、及び、調整される。
 
【0008】
  当然ながら、当業者にとって既知であるように、モータの代わりに圧力調整器の電気的制御のための他の原理(磁気、圧電等)も、可能である。
 
【0009】
  電気的な起動は、一般に、織機コントローラを介して達成される。本発明によれば、圧力制御ラインが存在しており、電気的に制御可能な圧力調整手段によって、様々な異なる空気圧または制御圧力が生成可能である。更に、いくつかの電気的に切替可能な弁が存在しており、それぞれ、空圧式の圧力調整器の空気の制御入口に割り当てられている。
 
【0010】
  これらの電気的に切替可能な弁を介して、それぞれ1つの関連付けられた空気の制御入口が、圧力制御ラインに接続され得る。一般に、エアジェット織機の運転の間、それぞれ、常に1つの空気の制御入口のみが圧力制御ラインに接続されるように、弁が交互に開かれる。
 
【0011】
  これは、関連付けられた電気的に切替可能な弁が開かれる瞬間に、圧力制御ライン内に存在する現在の制御圧力が空圧式に制御可能な圧力調整器の制御入口に適用される、ということを意味する。圧力制御ライン内の様々な異なる圧力の調整されたセッティングの後に弁を開閉することによって、様々な異なる空圧式に調整可能な圧力調整器が、空気の制御入口においてそれぞれ適切に合致または適合された制御圧力で、供給され得る。弁は、圧力制御ライン内で、及び、接続された圧力調整器で、所望の圧力のシーケンスまたは推移(progression)を要求する時点で、織機コントローラから源を発して起動され得る。
 
【0012】
  エアノズルの様々な異なるグループのために様々な異なる制御圧力が必要とされる場合には、それらのグループのそれぞれが、それに割り当てられるそれ自身の空圧式に調整可能な圧力調整器を、有し得る。圧力制御ライン内で様々な異なる制御圧力を電気的に調整することによって、及び、空圧式に調整された圧力調整器の前にそれぞれ迂回接続された(circuit-connected)様々な異なる弁を開くことによって、これにより、それぞれ様々な異なる空気圧―例えば、様々な異なるグループのエアノズルのための―が、空圧式に調整可能な圧力調整器において調整されてセットされ得る。しかしながら、このため、単一の電気的に制御可能な圧力調整手段のみ―従って、例えば、1つの電気的に調整可能な圧力調整器―、及び、エアノズルの各グループに対して1つの追加的な電気的に切替可能な弁、が必要とされる。それに適する弁―例えば電磁弁―は、電気的に調整可能な圧力調整器よりも、構造的に非常にシンプルであり、制御及び起動が容易であり、及び、非常に安価である。
 
【0013】
  単純なタイプ及び態様でエアノズルの様々な異なるグループについて様々な異なる圧力を調整して設定することを可能にするために、一般に、様々な異なる空気圧をエアノズルに供給するための入力装置を有する電子的な織機コントローラが提供されなければならない。当然ながら、圧力調整のための関連付けられた値はまた、外部または内部のメモリ記憶媒体から読み込まれ得て、または、ロードされ得て、コントローラ内で処理され得る。
 
【0014】
  説明された有利な弁制御の時間的な推移またはシーケンスを実行することを可能にするために、織機コントローラが電子的手段を有する場合が、有利である。当該電子的手段は、空圧式に調整可能な圧力調整器の空気の制御入口が、前述の時点において、電気的に切替可能な弁を介して圧力制御ラインに接続され得る。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による、エアジェット織機の圧縮空気供給器のための装置の例示的な一実施の形態の概略図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0016】
  図1は、本発明による、エアジェット織機の圧縮空気供給器のための装置の一実施の形態を、示している。当該エアジェット織機は、圧縮空気の分配ネットワーク7を有しており、当該エアジェット織機内の構成部品には、当該分配ネットワーク7を介して、外部の供給ネットワークから圧縮空気が、提供される。本実施の形態では、3つの空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3がある。その供給物の入口には、圧縮空気の分配ネットワーク7から供給物(空気)が提供または供給される。各空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3は、空気の出口2.1、2.2、2.3と空気の制御入口3.1、3.2、3.3とを、有している。圧縮空気は、出口2.1、2.2、2.3から、更に様々な異なる空気の消費装置に方向付けられている。空圧式に調整可能な圧力調整器1.1及び1.2の場合、これらは、エアジェット織機上での緯糸挿入用の2つの異なるエアノズルのグループ(不図示)である。更に、それぞれ、1つの空気タンク8.1または8.2、及び、不図示の弁が、エアノズルと、関連付けられた空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2の出口2.1、2.1と、の間に位置付けられている。
 
【0017】
  本実施の形態では、不図示の追加的な空気タンクを有しない空気消費要素が、第3の空圧式に調整可能な圧力調整器1.3の出口2.3に、接続されている。
 
【0018】
  空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3は、それぞれ、空気の制御入口3.1、3.2、3.3を有している。これらの制御入口3.1、3.2、3.3に様々な異なる大きさの制御圧力を適用する際に、空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3の出口2.1、2.2、2.3における空気圧は、様々な異なる大きさの空気圧の値に、調整される。
 
【0019】
  様々な異なる大きさの制御圧力を調整して設定するために、単一の電気的に調整可能な圧力調整弁4が、存在する全ての空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3の空気の制御入口3.1、3.2、3.3に対して、提供されている。この電気的に調整可能な圧力調整弁4は、本例示的な実施の形態では、既知のタイプ及び態様でモータ調整可能(motor-adjustable)に具現化されており、当該モータは、不図示の織機コントローラからその制御信号を得る。更に、空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3の出口において必要とされる様々な空気圧が可能な入口(不図示)が、織機コントローラ上に、提供されている。
 
【0020】
  織機コントローラは、様々な異なる空気圧の値のシーケンスが、圧力制御ライン5において―すなわち、電気的に調整可能な圧力調整器4の出口において、所定の時間のシーケンスまたは推移において生成される、というような態様で具現化または構成されている。これらの空気圧の値の1つが、電気的に調整可能な圧力調整器4の出口において、及び、それと共に圧力制御ライン5において、存在する時には、常に電気的に切替可能な弁6.1、6.2、6.3が開けられ、圧力制御ライン5を空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3の空気の制御入口3.1、3.2、3.3に接続する。現在普及している、または、適用されている制御圧力を介して、空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3の出口の圧力が、調整されて設定される。次に、電気的に切替可能な弁6.1、6.2、6.3が閉じられ、電気的に調整可能な圧力調整器4が、織機コントローラによって規定される新たな値に調整されて設定され、その次に、電気的に切替可能な弁6.1、6.2、6.3が開けられる。これにより、次の空圧式に調整可能な圧力調整器1.1、1.2、1.3が、その出口2.1、2.2、2.3において規定された空気圧の値に調整されて設定される。必要であれば、織機コントローラの対応するプログラミングを介して、例えばいくつかの電気的に切替可能な弁の同時の切替等の、切替処理の他の時間シーケンスまたは時間進行が可能である。
 
【0021】
  圧力制御ライン5を有する、または、電気的に調整可能な圧力調整器4を有する、対応して割り当てられた、更なる電気的に切替可能な弁6.Nを介して接続され得る、更なる空圧式に調整可能な圧力調整器1.N、を提供することが、更なる努力なしで直接的に可能である(
図1における破線)。この態様において、エアジェット織機の様々な異なる空気ノズルのための様々な異なる空気圧が、単一の電気的に調整可能な圧力調整器4を用いて、織機コントローラへの対応する入力によって電気的に調整され得て、設定され得る。
 
 
【符号の説明】
【0022】
1.1  空圧式に調整可能な圧力調整器
1.2  空圧式に調整可能な圧力調整器
1.3  空圧式に調整可能な圧力調整器
2.1  出口、空気圧の調整器
2.2  出口、空気圧の調整器
2.3  出口、空気圧の調整器
3.1  空気の制御入口、圧力調整器
3.2  空気の制御入口、圧力調整器
3.3  空気の制御入口、圧力調整器
4  電気的に調整可能な圧力調整器
5  圧力制御ライン
6.1  電気的に切替可能な弁
6.2  電気的に切替可能な弁
6.3  電気的に切替可能な弁
7  織機の内部圧縮空気分配ネットワーク
8.1  圧縮空気タンク
8.2  圧縮空気タンク