(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導入チャネル(225a、225b)は、前記熱モジュール(3a、3b)の長手軸(A)に実質的に平行な軸を中心とする実質的にらせん形状の流体のための案内斜面(234)を有する、請求項1に記載の装置。
前記導入箱(9a、109a、209a)は、熱モジュールの前記案内回路に流体的に接続された実質的に円筒形状を有する少なくとも1つの供給ボウル(27a、27b、127a、127b、227a、227b)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
前記導管(231a、231b)は、流体を案内するための関連付けられた回路に流体的に連通されるとともに前記熱モジュール(3a、3b)の長手軸(A)に実質的に平行な軸を中心とする実質的にらせん形状の流体のための案内斜面(234)を呈する末端をそれぞれ有する、請求項5に記載の装置。
前記2つの導管(231a、231b)は、共通の流体導入ヘッダ(230)を呈しており、前記2つの導管(231a、231b)および前記共通の流体導入ヘッダ(230)は、前記導入箱(209a)と一体に実現されている、請求項5または6に記載の装置。
前記導入箱(9a、109a、209a)は、熱モジュール(3a、3b)の長手軸(A)に対して径方向に配置された流体導入マニホールド(29、129、229)を呈する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
熱モジュール(3a、3b)の前記コア(11)は、流体を案内するための前記回路と前記導入箱の空洞(28a、28b)内に収容される導入端(23a、23b)とが周囲に定められたコア本体(12)を有しており、
当該装置は、前記コア(11)の前記コア本体(12)と前記導入端(23a、23b)との間に配置されたデフレクタ(35、335)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
室内の暖房を目的とする空気の再加熱は、通常は、空気の流れを熱交換器に通すことによって確保され、より具体的には、空気の流れと流体との間の熱交換によって確保される。流体は、一般に、内燃機関の場合における冷却液である。
【0003】
そのような加熱方法は、自動車の室内の暖房ならびに曇り取りおよび霜取りを保証するには、不適当または不適切となる可能性がある。
【0004】
しかしながら、特には室内の再暖房を保証するために車両の室内を迅速かつ効率的に暖房し、あるいはきわめて低温の環境またはきわめて急な温度上昇の場合において使用に先立って車両を霜取りまたは曇り取りするための方法が、望まれている。
【0005】
加えて、電気自動車の場合には、暖房機能が、もはや熱交換器の内部の冷却液の循環では実現されない。しかしながら、室内の暖房のための水回路を設けることが可能であるが、この暖房方法も、車両の室内の迅速かつ効率的な暖房を保証するには、不適当または不適切となる可能性がある。
【0006】
さらに、追加の水回路によって占められる空間および追加の水回路のコストを減らすために、ヒートポンプモードで機能する空調ループを電気自動車において使用することも、よく知られている。冷却液の助けによって空気の流れの冷却を従来法により可能にする空調ループが、この場合には、空気の流れを再加熱するように利用される。これを達成するために、空調ループの蒸発器をコンデンサとして利用することが必要である。
【0007】
しかしながら、この暖房方法も、不適当または不適切となる可能性がある。実際、ヒートポンプモードの空調ループの性能は、外部の気候条件に依存する。例えば、外気温が低すぎる場合には、この空気を熱エネルギーの源として使用することが不可能である。
【0008】
公知の技術的解決策として、追加の電気加熱装置を熱交換器または水回路あるいは空調ループへと接続することが挙げられる。
【0009】
追加の電気加熱装置を、内燃機関の冷却液、あるいは電気自動車の室内の暖房用の水回路に存在する水、もしくは空調ループの冷媒流体などの流体について、上流における加熱を提供するように構成してもよい。
【0010】
それ自身公知の方法で、追加の電気加熱装置は、加熱対象の流体に接触させた1つまたは複数の加熱モジュールを備える。
【0011】
より正確には、加熱モジュールが、コアと、コアを囲む円筒形のシェルの形態に作られた加熱素子とを備え、コアと円筒形のシェルとの間に流体を案内するための回路が定められている。したがって、円筒形のシェルが、熱エネルギー源である。
【0012】
ある公知の技術的解決策によれば、加熱素子が、例えば加熱素子の外面の抵抗性の電路の形態のスクリーン印刷によって生成された1つまたは複数の加熱抵抗器の加熱のための電気的手段を呈する。
【0013】
しかしながら、コアと円筒形のシェルとの間の案内回路の内部における流体の軸方向の循環は、円筒形のシェルと流体との間の熱伝達を小さくする。
【0014】
したがって、加熱素子と、コアと円筒形のシェルとの間を循環する流体との間の熱交換の出力を大きくするために、流体が円筒形要素の形態の加熱素子の軸に平行に循環することは避けることが好ましい。
【0015】
公知の技術的解決策は、案内回路を循環する流体にらせん運動を生じさせることである。例えば円筒形のシェルの形態の加熱素子と、この円筒形のシェルの内部を循環する流体との間の熱交換が、このように増やされる。
【0016】
したがって、コアが、その外面に、実質的にらせん形の溝を呈するべきであると、提案されている。その結果、そのようなコアの設計が、本質的に複雑になる。
【0017】
このらせん形の溝は、流体への渦運動の付与を可能にする。しかしながら、そのような技術的解決策では、流体を案内するための回路への入り口で速度が均質ではなく、圧力の低下が大きい。
【発明の概要】
【0018】
したがって、本発明の目的は、熱的調節のための装置、特には出力が改善された電気加熱のための装置を提案することにある。
【0019】
この目的のため、本発明は、その対象として、
コアおよびシェルを備えており、該コアと該シェルとの間に加熱または冷却対象の流体を案内するための回路が定められている少なくとも1つの熱モジュールと、
流体導入箱および流体排出箱と
を備えており、
流体導入箱は、流体を案内するための回路との連通のための少なくとも1つの導入チャネルを有する自動車用の流体の熱的調節のための装置であって、
流体のための導入チャネルは、流体に渦運動を生じさせるように構成された少なくとも1つの実質的に湾曲した部分を有することを特徴とする装置を有する。
【0020】
したがって、案内回路への流体の到着の直前に、流体の渦を「自然に」生じさせることができる。流体の渦の生成を促進する熱モジュールのコアまたは任意の他の構成部品の外面において実現されるらせんの追加は、任意である。
【0021】
流体の渦運動は、流体とコアを囲んでいるシェルとの間の熱伝達を改善するように、案内回路において、コアの全長にわたって続く。
【0022】
例えば、加熱装置の場合に、装置は円柱形のシェルによって生成される熱エネルギーの最大量を流体へと与えるが、システムを、流体からの熱の除去にも同様に適用することができる。
【0023】
そのような装置は、数時間にわたって機能することができる。
【0024】
さらに、この装置は、1000 l/hあるいは2500 l/hにもなる流量においても、流体回路において生じる圧力損失が少ないという利点を有する。
【0025】
さらに装置は、以下の特徴的な特徴のうちの1つまたはそれ以上を、個別または組み合わせにて含んでもよい。
−導入チャネルが、熱モジュールの長手軸に実質的に平行な軸を中心とする実質的にらせん形の形態の流体のための案内斜面を備え、特には該案内斜面の形状が、渦運動の維持または増幅さえ可能にする、
−導入チャネルが、実質的にエルボ(elbow)の形態の形状を呈する、
−導入箱が、熱モジュールの案内回路に連通した実質的に円柱形の形状を有する少なくとも1つの供給ボウルを備える、
−本装置が、並列に横並びで配置された少なくとも2つの熱モジュールを備え、導入チャネルは、導入箱の2つの供給ボウルに対して接線方向である部位を呈する、
−本装置が、並列に横並びで配置された少なくとも2つの熱モジュールを備え、2つの流体導入チャネルが、熱モジュールの案内回路にそれぞれ連通する、
−本装置が、2つの流体導入チャネルを定めるように分離壁によって隔てられた2つの導管を備える、
−導管が、流体を案内するためのそれぞれの回路に連通した末端をそれぞれ備え、該末端は、熱モジュールの長手軸に実質的に平行な軸を中心とする実質的にらせん形の形態の流体のための案内斜面を呈する、
−2つの導管が、共通の流体導入ヘッダを呈し、2つの導管および共通の流体導入ヘッダが、導入箱と一体に実現される、
−2つの導管が、導入箱と一体に形成される、
−導入箱は、熱モジュールの長手軸に対して径方向に配置された流体導入マニホールドを呈する、
−熱モジュールのコアが、流体を案内するための回路と導入箱の空洞内に収容される導入端とが周囲に定められたコア本体を備え、本装置は、コアのコア本体と導入端との間に配置されたデフレクタを備える、
−デフレクタが、熱モジュールの長手軸に対して径方向に配置される、
−デフレクタが、流体導入チャネルによって生成される流体の渦の方向に配置される、
−デフレクタが、コアと一体に実現される、
−導入箱が、デフレクタを備える、
−本装置が、前記自動車の室内の暖房のための回路に配置される。
【0026】
さらに本発明は、自動車用の暖房および/または空調設備であって、上記定義のとおりの熱的調節装置を備えることを特徴とする暖房および/または空調設備に関する。
【0027】
例示的かつ非限定的な例により提示される以下の説明を読むと、また添付の図面から、本発明の他の特徴的な特徴および利点がより明瞭に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これらの図において、実質的に同一の構成要素は、同じ参照符号で示されている。
【0030】
図1は、暖房および/または空調設備のための自動車における流体の電気加熱装置1などの熱的調節のための装置を示している。
【0031】
電気加熱装置1は、例えば電気自動車の室内の暖房を目的とする流体を加熱するための回路への進入の前に流体を加熱することを可能にする追加の加熱装置である。
【0032】
別の例によれば、電気加熱装置1は、冷媒流体を加熱するために、ヒートポンプモードで機能することができる空調ループの蒸発器の上流に配置される。
【0033】
さらに別の例によれば、電気加熱装置1は、熱伝達媒体として内燃機関の冷却液を利用する熱交換器の上流に配置される。
【0034】
そのような電気加熱装置1を、電気またはハイブリッド走行の車両に向けた電気エネルギーの貯蔵装置(バッテリパックと称されることもある)の熱的調節を目的とする熱交換器の上流に設けてもよい。
【0035】
また、本発明は、流体の冷却を可能にする装置にも関する。
【0036】
図示の電気加熱装置1は、
第1の加熱モジュール3aおよび第2の加熱モジュール3bと、
加熱モジュール3a、3bへの電力の供給を制御するための制御手段5と、
流体導入箱9aなどの流体導入部と、
流体排出箱9bなどの流体排出部9bと
を備える。
【0037】
当然ながら、電気加熱装置は、必要に応じて、加熱モジュールを1つだけ備えても、3つ以上の加熱モジュールを備えてもよい。
【0038】
図2を参照すると、加熱モジュール3a、3bは、
コア11と、
加熱素子13a、13bと
を備える。
【0039】
図示の例によれば、加熱素子13a、13bは、コア11の本体12を囲むシェルの形態で実現される。
【0040】
コア11および加熱素子13a、13bは、例えば実質的に円筒形であり、長手軸
Aにて延びている。
【0041】
コア11および加熱素子13a、13bは、同心であってよい。
【0042】
したがって、加熱モジュール3a、3bは、加熱素子13a、13bによって定められる実質的に円筒形の全体形状を呈する。
【0043】
コア11および加熱素子13a、13bが、液体などの加熱対象の流体を案内するための回路を定めている。案内回路は、コア11の本体12の外面の周囲に定められ、したがってハブ11の外側かつ加熱素子13aまたは13bの内側に位置する。換言すると、コア11の本体12の外面および該当の加熱素子13aまたは13bの内面が、コア11の周囲に加熱対象の流体のための循環の空間を定めている。流体導入箱9aに到達する流体は、この循環の空間を循環してもよく、次いで排出箱9bへと進んでもよい。
【0044】
図1および2に示される実施形態によれば、各々の加熱モジュール3a、3bは、コア11とそれぞれの加熱素子13a、13bとの間に流体を案内するための回路を備える。
【0045】
さらに、加熱素子13a、13bは、加熱素子13a、13bと案内回路を循環する流体との間の熱の交換によって流体を加熱するために、制御手段5によって制御される。
【0046】
図示の実施形態によれば、加熱素子13a、13bは、加熱抵抗器17などの少なくとも1つの電気加熱手段を呈する。この加熱抵抗器17を、抵抗性の電路17の形態で実現してもよい。図示の例示の実施形態によれば、加熱素子13a、13bは、2つの抵抗性の電路17の形態で実現された2つの電気加熱手段を呈する。
【0047】
より正確には、2つの抵抗性の電路17は、例えば平行に、加熱素子13a、13bの高さの少なくとも一部分について延びている。2つの抵抗性の電路17は、例えば一方が他方の内側に埋め込まれ、あるいは相互に巻き付けられている。
【0048】
抵抗性の電路17は、例えば加熱素子13a、13bの外面(すなわち、コア11に対する加熱素子13a、13bの内面とは反対側の表面)へのスクリーン印刷によって生成される。したがって、抵抗性の電路17は、加熱対象の流体を案内するための回路の外側に位置する。
【0049】
この実施形態のおかげで、抵抗器によって生み出される熱が、該当の加熱素子13aまたは13bの壁を介して加熱対象の流体へと直接伝えられ、したがって熱の損失が最小限になり、装置の熱慣性が小さくなり、したがって流体を迅速に加熱することができる。
【0050】
制御手段5は、この例においては抵抗性の電路17の形態で実現される加熱抵抗器17への電力の供給を制御することによって、加熱素子13a、13bを制御する。
【0051】
この目的のため、抵抗性の電路17は、制御手段5へと接続される。これを行うために、抵抗性の電路17の末端へと電気的に接続された接続端子18が設けられる。制御手段5は、これらの接続端子18に電気的に接続される。
【0052】
加えて、温度センサ(図には示されていない)を、該当の加熱素子13a、13bの温度を測定するために設けてもよい。これは、抵抗が温度につれて一様に減少する「CTN」(Coefficient de Temperature Negatif)プローブ(英語では、「NTC」(Negative Temperature Coefficient)プローブ)などのサーミスタであってよい。この温度センサを、該当の加熱素子13a、13bの外面へとろう付けまたは溶接してもよい。
【0053】
この場合、制御手段5は、加熱の設定点および温度センサによって測定される温度に応じて、加熱抵抗器への電力の供給を制御する。
【0054】
この加熱素子13a、13bの制御手段5は、プリント基板(あるいは、英語では「Printed circuit board」を略してPCB)などの電気回路支持体19を備える。この電気回路支持体19は、電子および/または電気部品を保持する。これらの電子および/または電気部品として、特には、加熱素子13a、13bへの電力の供給を制御する目的のための1つまたは複数の電流回路遮断器が挙げられる。
【0055】
電流回路遮断器に加え、これらの電子および/または電気部品として、例えばマイクロコントローラ、加熱抵抗器17を電流回路遮断器へと接続する電気コネクタ、高電圧の電力コネクタ20、ならびに低電圧の電力およびデータバスコネクタ21が挙げられる。
【0056】
加えて、電気回路支持体19の位置を決めるための、スナップ固定手段などの手段22を、例えば電気回路支持体19の4つの角に配置してもよい。
【0057】
さらに、加熱モジュール3a、3bは、例えば同一である。
【0058】
図示の実施形態によれば、2つの加熱モジュール3a、3bは、実質的に平行に、横並びに配置される。
【0059】
当然ながら、例えば2つの加熱モジュール3a、3bを加熱モジュール3a、3bの長手方向に端部同士を隣り合わせて配置するなど、他の配置も考えられる。
【0060】
横並びの配置は、加熱装置1が占める空間が長手方向に広がらないようにすることができる。さらに、この配置においては、熱慣性が小さく、圧力の損失が少ない。
【0061】
加熱モジュール3a、3bは、長手方向において反対を向いた2つの末端をそれぞれ呈し、すなわち導入箱9aおよび排出箱9bにそれぞれ接続される1つの導入端23a、23bおよび1つの排出端を呈する。
【0062】
これを行うために、それぞれのコア11は、コア11の本体12へと接続された1つの導入端23a、23bおよび1つの排出端を備える。
【0063】
流体導入箱9aに関しては、流体導入箱9aが、第1の加熱モジュール3aの案内回路および第2の加熱モジュール3bの案内回路に連通した流体導入チャネル25を備える。
【0064】
流体導入チャネル25は、流体が加熱モジュール3a、3bの案内回路に到達する前に、流体の渦運動を生じさせるように構成される。
【0065】
これを行うために、導入チャネル25は、流体の渦を生じさせるために、少なくとも1つの実質的に湾曲した部位を呈する。
【0066】
より正確には、この導入チャネル25を境界付ける少なくとも1つの壁が、流体の渦を生じさせるように実質的に湾曲している。
【0067】
図1、3a、および3bに示される第1の実施形態によれば、流体導入箱9aが、2つの対向する大きな側面と2つの対向する小さな側面とを有する実質的に平行六面体のベース10を呈する。このベースに、第1の供給ボウル27aおよび第2の供給ボウル27bが設けられている。これらの供給ボウル27a、27bは、加熱モジュール3a、3bのそれぞれの導入端23a、23bを受け入れるために、円柱の形態でありかつ球形の底部を有する第1の空洞28aおよび第2の空洞28b(
図3bを参照)をそれぞれ呈する。
【0068】
さらに、流体導入箱9aは、突き出している流体導入マニホールド29を備え、この導入マニホールド29は、2つの加熱モジュール3a、3bに共通である。
【0069】
この変形例の実施形態によれば、導入マニホールド29は、2つの供給ボウル27aおよび27bに接するように配置されている。
【0070】
流体導入マニホールド29は、例えば流体導入箱9aに対して実質的に対角線の方向に延びている。
【0071】
したがって、導入チャネル25は、流体導入マニホールド29および流体導入箱9aの空洞28a、28bによって定められる。このようにして、導入チャネル25は、導入マニホールド29を流体導入箱9aの供給ボウル27a、27bの2つの空洞28a、28bに連通させる。
【0072】
この第1の変形例によれば、導入チャネル25は、2つの供給ボウル27a、27bへと開く地点までは2つの加熱モジュール3a、3bに共通であり、導入チャネル25は、2つの空洞28a、28bにおいて2つに分かれている。2つの空洞
【0073】
供給ボウル27a、27bに対して接するような導入マニホールド29、したがって導入チャネル25の一部分の配置、ならびに供給ボウル27a、27bの空洞28a、28bの円柱形の形状が、
図3aに矢印によって概略が示されるとおりの流体の渦の生成を可能にする。その結果供給ボウル27a、27bの壁は湾曲しており、加熱モジュール3a、3bの案内回路へと出る導入チャネル25の末端を定めている。
【0074】
同様に、流体排出チャネルが、流体排出箱9bに形成され、第1の加熱モジュール3aの案内回路および第2の加熱モジュール3bの案内回路に連通する。
【0075】
図1において理解できるとおり、流体排出箱9bは、実質的に流体導入箱9aと同じ形状を呈する。すなわち、加熱モジュール3a、3bの排出端を受け入れるように意図された2つの空洞が設けられたボウルを呈し、かつ加熱後の流体回路へと接続されるように意図された電気加熱装置1の流体排出マニホールドを突出させている実質的に平行六面体のベース1を呈する。
【0076】
この例によれば、導入箱9aおよび排出箱9bが、加熱モジュール3a、3bの反対向きの2つの末端へと対称に接続される。
【0077】
したがって、流体の流れは、導入箱9aの流体導入マニホールド29から導入チャネル25に生じ、次いで加熱モジュール3a、3bの案内回路に並列に生じ、その後に排出箱9bの排出チャネルへと現れ、排出マニホールドを介して進む。
【0078】
加熱モジュール3a、3bの内部の案内回路に到達する前に流体に生じる渦の結果として、流体が、コア11の外面に配置されるらせん形の溝または何らかの他の手段の存在を必要とせずに、実質的にらせん状の経路を辿る。実際、流体は、円筒形の外皮13a、13bの内面へと連続的に投射される。
【0079】
図4aおよび4bに示される第2の実施形態によれば、流体導入箱109aが、加熱モジュール3a、3bのそれぞれの導入端23a、23bを受け入れるように意図された空洞128a、128bをそれぞれ呈する2つの供給シリンダ127a、127bを有する実質的に平行六面体のベース110を呈する。したがって、空洞128a、128bは、実質的に円柱形である。
【0080】
流体導入箱109aも、2つの加熱モジュール3a、3bと共通な突出する流体導入マニホールド129を備える。図示の例では、この導入マニホールド129は、流体導入箱109aのベース110の大きい方の一側面に配置される。
【0081】
この第2の実施形態は、導入マニホールド129が加熱モジュール3a、3bの長手軸
Aに対して径方向に延びているという事実によって、
図3a、3bに示した第1の実施形態から相違する。したがって、導入マニホールドは、導入箱109aのベース110の一側面に対して実質的に垂直に配置される。加えて、導入チャネル125は、2つの供給シリンダ127a、127bのそれぞれへの並列な供給のために、2つに分かれている。
【0082】
供給シリンダ127a、127bの円柱形の形状が、
図4aに矢印によって概略的に示されるとおりの流体の渦の生成を可能にする。
【0083】
当然ながら、流体排出箱(
図4a、4bには示されていない)は、流体導入箱109aと同一であってよい。
【0084】
図5a〜7に示される第3の実施形態によれば、流体導入箱209aが、加熱モジュール3a、3bのそれぞれの導入端23a、23bを受け入れるために例えば円柱形でありかつ球形の底部を有する第1の空洞228aおよび第2の空洞228bが設けられた実質的に平行六面体のベース210を呈する。
【0085】
流体導入箱209aも、電気加熱装置1のための突出した流体導入マニホールド229を備えている。この導入マニホールド229は、加熱モジュール3a、3bの長手軸
Aに対して径方向に延びている。図示の例では、導入マニホールド229が、流体導入箱209aのベース210の小さい側面に配置され、この小さい側面に実質的に垂直である。
【0086】
この第3の実施形態によれば、流体導入箱209aは、一方では導入マニホールド229に連通し、他方では流体導入箱209aのそれぞれの空洞228a、228bに連通した2つの導入チャネル225aおよび225bを備える。
【0087】
このようにして、導入チャネル225a、225bは、共通の導入マニホールド229を流体導入箱209aの2つの空洞228a、228bに連通させる。
【0088】
第1の導入チャネル225aは、導入マニホールド229を空洞228aに連通させ、第2の導入チャネル225bは、同じ導入マニホールド229を流体導入箱209aの他方の空洞228bへと接続する。
【0089】
第1のチャネル225aは、例えば手前側の空洞228aへと接続され、第2のチャネル225bは、遠方の空洞228bへと接続される。手前側という概念は、導入マニホールド229が配置される側面を基準にして定められる。
【0090】
この目的のため、第1の導管231aおよび第2の導管231bを、導入箱209aに形成してもよく、第1の導入チャネル225aおよび第2の導入チャネル225bをそれぞれ定めることが可能となる。
【0091】
変形例として、これら2つの導管231a、231bを、導入箱209aに取り付けられる追加の構成部品の形態にて実現してもよい。この場合、流体導入ヘッダ230と2つの導管231a、231bとを備える
図5cに示されるとおりの構成部品を設けてもよい。例えば、流体導入ヘッダ230は、2つの導管231a、231bに共通であり、これら2つの導管231a、231bと一体に実現される。
【0092】
導入チャネル225a、225bを定める導管231a、231bが、導入箱209aの内側に形成され、あるいは追加の構成部品である一方で、少なくとも1つの導入チャネル225a、225bは、流体に渦を付与するように構成される。
【0093】
流体の渦は、空洞228a、228bの円柱形の形状によって引き起こされる。
【0094】
流体の運動は、
図5bの矢印が概略を示す。
【0095】
加えて、
図5bに矢印が概略を示すように、流体がこの湾曲形状233にぶつかるときに流体の方向を変えることができるように、導管(例えば、第2の導入チャネル225bを定める第2の導管231b)が、湾曲形状233を呈してもよい。
【0096】
この湾曲形状233は、導入箱209aの供給ボウルへと開く第1の導入チャネル225aの丸みを帯びた末端に隣接している。
【0097】
さらに、
図5cおよび5dにおいて理解できるとおり、導管231a、231bは、流体のための実質的にらせん形の案内斜面234を備えてもよい。
【0098】
より正確には、この斜面234が、らせんの始まりを形成する。案内斜面234は、コア11の導入端23a、23bの上流に配置される。したがって、この斜面234は、コア11の周囲のらせん状の下向きの運動の開始を可能にする空気の流れにとっての踏み切り板を形成する。
【0099】
さらに、
図6の矢印によって概略的に示されるとおり、この渦運動は、加熱モジュール3a、3bのコア11に沿って継続する。
【0100】
したがって、流体は、加熱モジュール3a、3bのコア11の外面のらせん形の溝を必要とすることなく、実質的にらせん形の軌跡を辿る。
【0101】
加熱モジュール3a、3bの案内回路への導入部における流体の渦運動が、
図7に矢印によって概略的に示されている。
【0102】
導入箱209aと同様に、排出箱(
図5a〜7には示されていない)は、排出箱と一体であっても、あるいは排出箱へと取り付けられる構成部品であってもよい上述のとおりの導管231a、231bと同様の導管を備えてもよい。
【0103】
導入箱9a、109a、209aの3つの実施形態を上述したが、当然ながら、一実施形態の特徴的な特徴を、別の実施形態の特徴的な特徴と組み合わせてもよい。
【0104】
さらに、導入箱9a、109a、209aの実施形態にかかわらず、案内回路の定義を可能にするコア11の本体12とコア11の導入端23a、23bとの間の連結部を形成する
図8に示されるようなデフレクタ35を設けてもよい。デフレクタ35を、所定の刻み角度に従って規則的に分布させてもよい。当然ながら、デフレクタ35を、不規則に分布させてもよい。
【0105】
同様に、そのようなデフレクタ35を、コア11の本体12と排出端との間に設けてもよい。
【0106】
図8に示される実施形態によれば、これらのデフレクタ35が、コア11の一部である。より正確には、これらのデフレクタ35を、コア11と一体に実現してもよい。
【0107】
これに加え、あるいはこれに代えて、デフレクタ35を、導入箱9a、109a、209a、および/または排出箱9b、109b、209bに配置してもよい。
【0108】
導入端23a、23bを介して到来する流体は、コア11の本体12の外面とシェル13a、13bの内面との間に定められる案内回路へと導かれ、案内回路の全体を全表面について潤わす。
【0109】
同様に、案内回路を循環した後で、流体排出部の流体は、排出箱9b、109b、209bを介して排出されるように排出端へと導かれる。
【0110】
この場合に、デフレクタ35は、流体の軌跡内に存在し、したがって流体の流れを乱すためのバッフル35を形成する。
【0111】
これらのデフレクタ35を、径方向に配置してもよい。より正確には、これらのデフレクタ35は、
図8に示される例のように、加熱モジュール3a、3bの長手軸
Aに対して実質的に径方向に向けられる。
【0112】
さらに、
図8に示した例では、デフレクタ35が、実質的に三角形の全体形状を呈する。デフレクタ35の縁は、例えば実質的に丸みを帯びている。
【0113】
図9に示される好ましい代案によれば、デフレクタ335が、すでに説明したように導入チャネル25、125、225a、225bの形状によって生成される流体の渦の方向に延びるように配置される。
【0114】
したがって、これらのデフレクタ335は、流体の渦の方向に対して接線方向である。
【0115】
図9に示した例によれば、デフレクタ335が、実質的に凸状形態にて実現され、それらの凸面がコア11の外側へと向けられる。
【0116】
デフレクタ335を流体の渦の方向に配置することで、流体案内回路の上流で生成された流体の渦運動の「破壊」を回避することができる。その結果、流体の渦、特には流体のらせん状の運動が、コア11の周囲の案内回路において生じる。これは、流体が長手軸
Aに実質的に平行に、案内回路を直線的に循環することを防止する。
【0117】
したがって、流体の渦運動を、流体がコア11と円筒形のシェル13との間の案内回路に到達する前に、例えばコア11の外面にらせん形の溝の形態で製造されるらせんの寄与なしに、「自然に」生じさせることができる。
【0118】
このように、この渦を、供給ボウル27a、27b、127a、127bの空洞28a、28b、128a、128bの円柱形の形状ならびにらせんの形状を開始させる案内斜面234によって生成してもよい。
【0119】
最後に、導入箱9a、109a、209aの供給ボウルと加熱モジュール3a、3bのコア11との間の具体的な必要性を満たすためにデフレクタ35、335が必要である場合、これらのデフレクタ35、335の形状を、導入チャネル25、125、225a、225bの内部に生じる渦の効果を打ち消すおそれを伴う流体の循環の乱れを引き起こすことがないように設けなければならない。この目的のため、デフレクタ335は、好ましくは生成された渦の方向に対して接線方向である。
【0120】
したがって、流体は、上流において生成された渦を維持しつつ、例えばコア11の周囲を上昇する運動に従い、したがって加熱素子13a、13bと流体との間の熱伝達の増大を可能にするらせん形の運動をとる。
【0121】
図8および9に示したコア11の種々の実施形態は、当然ながら、
図1〜7に示した任意の実施形態と組み合わせてもよい。