特許第6113871号(P6113871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113871水不溶性スポンジに紫外線遮断機能を有する化粧料組成物が含浸された化粧品
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  • 特許6113871-水不溶性スポンジに紫外線遮断機能を有する化粧料組成物が含浸された化粧品 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113871
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】水不溶性スポンジに紫外線遮断機能を有する化粧料組成物が含浸された化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20170403BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170403BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20170403BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/29
   A61K8/06
   A61K8/81
   A61Q1/02
   A61Q17/04
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-849(P2016-849)
(22)【出願日】2016年1月6日
(65)【公開番号】特開2016-130237(P2016-130237A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0004142
(32)【優先日】2015年1月12日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0013647
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0109816
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビョン−ギュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン−ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】サン−ウク・パク
(72)【発明者】
【氏名】キョン−ソブ・キム
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/154391(WO,A1)
【文献】 特開2002−284638(JP,A)
【文献】 特開平07−101847(JP,A)
【文献】 特開平02−231463(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/154392(WO,A1)
【文献】 特開2013−053073(JP,A)
【文献】 特開2006−008691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性単量体高分子で形成された水不溶性スポンジと、前記水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物とを含む化粧品において、
前記化粧料組成物は水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤を含み、かつ油溶性有機紫外線遮断剤を全く含まないか、あるいは油溶性有機紫外線遮断剤を化粧料組成物に含まれる有機紫外線遮断剤総重量の10%未満の量で含むことを特徴とする化粧品。
【請求項2】
前記化粧料組成物は、無機紫外線遮断剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記化粧料組成物の剤形は、最外相が油相であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項4】
前記疎水性単量体高分子が、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項5】
前記化粧料組成物は、ファンデーションであることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性スポンジに含浸させて提供する優れた紫外線遮断機能を有する化粧料組成物に関する。より具体的に、本発明は、水不溶性スポンジに含浸させて提供する化粧料組成物において、該化粧料組成物に含まれる紫外線遮断剤の総含量に比べて発揮される紫外線遮断効果が低いという問題を認識し、このような問題点を解決しようとして成されたものであり、優れた紫外線遮断効果を発揮する化粧料組成物及び該化粧料組成物が水不溶性スポンジに含浸された化粧品に関する。
【0002】
本出願は、2015年1月12日出願の韓国特許出願第10−2015−0004142号、2015年1月28日出願の韓国特許出願第10−2015−0013647号及び2015年8月4日出願の韓国特許出願第10−2015−0109816号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、環境汚染によるオゾン層の破壊により、紫外線への露出の危険性が高まりつつある。紫外線は肌に紅斑、浮腫、そばかす、皮膚癌などを引き起こす主な原因として作用するため、紫外線から肌を保護する製品の開発が求められている。特に、生活が豊かになるにつれて、生活紫外線からの肌保護だけでなく、スキー、ゴルフ、水上スポーツなどのレジャー活動の際にも紫外線から肌を保護することが求められ、このような要求に応えるために多くの研究が行われている。
【0004】
一般に、紫外線は波長によって3つの領域に区分されるが、200〜290nmの波長が紫外線C(UVC)、290〜320nmの波長が紫外線B(UVB)、及び320〜400nmの波長が紫外線A(UVA)である。そのうち、UVCはオゾン層を通過しながら地表面に到達できずに消失する。一方、UVBは肌の表皮まで浸透して紅斑、そばかす、浮腫などを引き起こし、UVAは肌の真皮まで浸透して皮膚癌、しわ、及びメラニン形成の促進など、肌老化及び肌刺激を誘発することが知られている。
【0005】
長波長紫外線(UVA)は、真皮層内のタンパク質の変性、毛細血管の拡張、核酸(DNA)の破壊などによる肌老化を促進し、警戒すべき対象として注目されている。一方、肌の表皮部分で殆ど吸収される中波長紫外線(UVB)は、表皮に急激に作用してやけどを負わせるため、有害紫外線と呼ばれることもある。長波長紫外線は1年中肌に当るが、自覚症状がないため、知らない間に肌は老けるようになる。
【0006】
太陽光への露出の危険性が知られるとともに、紫外線遮断製品に対する関心が増して、多様な紫外線遮断指数(SPF;Sun Protection Factor)及び紫外線A遮断等級(PA;Protection grade of UVA)を有する製品が発売されている。
【0007】
一方、化粧品の剤形のうち液状化粧品は、伸びが良くて使用感に優れるため好まれるが、手にとって伸ばして塗らなければならず使用が不便であり、携帯性が良くないという問題点がある。そこで、このような問題を解決するため、低粘度乳化剤形である液状化粧料組成物をスチレンブタジエンゴム(SBR;styrene‐butadiene rubber)、ブタジエンゴム(BR;butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR;acrylonitrile‐butadiene rubber)、アクリロニトリル‐ブタジエンスチレン(ABS;acrylonitrile‐butadiene styrene )、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリビニルアルコール(PVA;polyvinyl alcohol)、エチレンビニルアセテート(EVA;ethylene vinyl acetate)、ポリウレタン(PU;polyurethane)などを発泡加工した水不溶性スポンジに含浸させることで、使用及び携帯が簡便な化粧品を開発した。その中でもポリウレタンスポンジに含浸させた化粧品が大衆的に使用されている。
【0008】
一方、本発明者らは水不溶性スポンジに含浸させた化粧料組成物に紫外線遮断機能を与えようとしたが、紫外線遮断機能を有する化粧料組成物を水不溶性スポンジに含浸させた場合、化粧料組成物に含まれる紫外線遮断剤の総含量から予想される紫外線遮断指数/等級に比べて実際発揮される紫外線遮断指数/等級が低いという問題があることを見つけた。
【0009】
さらに、本発明者らは、水不溶性スポンジと直接接触する油溶性有機紫外線遮断剤が水不溶性スポンジに吸着し、結果的に含浸前と同じ濃度で紫外線遮断剤が排出されないことにこのような問題の原因があることを明らかにした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、油溶性有機紫外線遮断剤が水不溶性スポンジに吸着しないように、紫外線遮断剤の組成及び/または化粧料組成物の相(phase)を選択することで、与えられた紫外線遮断機能が完全に発揮できるだけでなく、優れた紫外線遮断機能(SPF30以上、PA++以上)を発揮し、さらに白濁現象が生じない化粧料組成物、該化粧料組成物が含浸された水不溶性スポンジを含む化粧品、及び前記化粧料組成物及び/または化粧品の製造方法を提供することにある。
【0011】
より具体的に、本発明が解決しようとする課題は、第一に、紫外線遮断剤を含む化粧料組成物において、前記化粧料組成物は水不溶性スポンジに含浸されて提供され、前記化粧料組成物の最外相に油溶性有機紫外線遮断剤が実質的に存在しないか、または、最外相に存在するものの水不溶性スポンジに吸着しない油溶性有機紫外線遮断剤を含むことを特徴とする化粧料組成物を提供することにある。
【0012】
また、前記化粧料組成物は、SPF30以上及びPA++以上であることを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0013】
また、前記紫外線遮断剤は、無機紫外線遮断剤であることを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0014】
また、前記紫外線遮断剤は、以下のいずれか1つ以上であることを特徴とする化粧料組成物を提供する。
I.水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤;
II.水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤;若しくは
III.カプセル化された有機紫外線遮断剤。
【0015】
また、前記化粧料組成物の剤形は、水相単独、水中油型エマルション、または最外相が水相である多重エマルションであることを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0016】
また、前記化粧料組成物の剤形は、水中油型または多重エマルションであり、前記化粧料組成物の最外相以外には油溶性有機紫外線遮断剤を含むことを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0017】
また、前記水不溶性スポンジは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR;natural rubber)またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が含まれる疎水性単量体高分子で形成されたことを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0018】
また、前記化粧料組成物は、ファンデーションであることを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0019】
また、本発明が解決しようとする課題は、第二に、水不溶性スポンジと、前記水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物とを含む化粧品において、前記化粧料組成物は紫外線遮断剤を含み、最外相に油溶性有機紫外線遮断剤が実質的に存在しないか、または、最外相に存在するものの水不溶性スポンジに吸着されない油溶性有機紫外線遮断剤を含むことを特徴とする化粧品を提供することにある。
【0020】
また、水不溶性スポンジと、前記水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物とを含む化粧品において、前記化粧料組成物は、以下のいずれか1つ以上の有機紫外線遮断剤を含み、
I.水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤;
II.水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤;若しくは
III.カプセル化された有機紫外線遮断剤、
油溶性有機紫外線遮断剤を化粧料組成物に含まれる有機紫外線遮断剤総重量の10%未満で含むことを特徴とする化粧品を提供する。
【0021】
また、前記化粧料組成物は、無機紫外線遮断剤をさらに含むことを特徴とする化粧品を提供する。
【0022】
また、前記化粧料組成物の剤形は、水相単独、水中油型エマルション、または最外相が水相である多重エマルションであることを特徴とする化粧品を提供する。
【0023】
また、前記水不溶性スポンジは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が含まれる疎水性単量体高分子で形成されたことを特徴とする化粧品を提供する。
【0024】
また、前記化粧料組成物は、ファンデーションであることを特徴とする化粧品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の課題を解決するため、本発明は油溶性有機紫外線遮断剤が水不溶性スポンジに吸着しない組成及び/または相の化粧料組成物を提供する。
【0026】
より具体的に、本発明は、紫外線遮断剤を含む化粧料組成物において、前記化粧料組成物は水不溶性スポンジに含浸されて提供され、前記化粧料組成物の最外相に油溶性有機紫外線遮断剤が実質的に存在しないか、または、最外相に存在するものの水不溶性スポンジに吸着しない油溶性有機紫外線遮断剤を含み、優れた紫外線遮断効果、望ましくはSPF30以上及びPA++以上を発揮することを特徴とする化粧料組成物を提供する。また、前記化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、水不溶性スポンジと、前記水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物とを含む化粧品において、前記化粧料組成物の最外相に油溶性有機紫外線遮断剤が実質的に存在しないか、または、最外相に存在するものの水不溶性スポンジに吸着されない油溶性有機紫外線遮断剤を含むことで、優れた紫外線遮断効果、望ましくはSPF30以上及びPA++以上を発揮することを特徴とする化粧品を提供する。また、前記化粧品の製造方法を提供する。
【0028】
[化粧料組成物]
本発明による化粧料組成物は紫外線遮断剤を含む。
【0029】
本明細書において、「紫外線遮断剤」との用語には、肌に到達した紫外線を散乱、反射または吸収するなどの機序により遮断できる成分であれば何れも含まれ、例えば、無機紫外線遮断剤、有機紫外線遮断剤及びこれらの混合物が含まれ得る。
【0030】
したがって、本発明による化粧料組成物には、有機紫外線遮断剤、無機紫外線遮断剤、またはこれらの混合物が含まれ得る。
【0031】
前記有機紫外線遮断剤は、紫外線吸収効果があって白濁現象がないという長所を有し、油溶性、水溶性、油分散性または水分散性有機紫外線遮断剤に分けられる。例えば、油溶性または油分散性としては、4‐メチルベンジリデンカンファー、ジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビス‐ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ジガロイルトリオレート、3‐(4‐メチルベンジリデン)‐カンファー、メチルアントラニレート、ビス‐エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ベンゾフェノン‐3、ベンゾフェノン‐4、ベンゾフェノン‐8、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、シノキセート、オクチルトリアゾン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、パラアミノ安息香酸、ホモサレート、イソアミル‐p‐メトキシシンナメート、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びポリシリコーン‐15などが挙げられ、水溶性または水分散性としては2‐フェニルベンズイミダゾール‐5‐スルホン酸、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩類などが挙げられるが、これらに制限されることはない。
【0032】
また、前記無機紫外線遮断剤は、紫外線散乱、反射効果があるものの、白濁現象が生じ得る。例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウム、酸化(カルシウム/セリウム)(Calcium Cerium Oxide)などが挙げられるが、これらに制限されることはない。
【0033】
本発明者らは、本発明による化粧料組成物で与えられた紫外線遮断機能が完全に発揮できないという問題は、油溶性有機紫外線遮断剤が水不溶性スポンジに吸着されることにその原因があるとし、化粧料組成物の最外相における油溶性有機紫外線遮断剤の含量または形態などの調節を通じて上記の問題を解決しようとした。
【0034】
したがって、本発明の化粧料組成物に含まれる油溶性有機紫外線遮断剤の外の紫外線遮断剤は、種類/分散性(例えば、水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤、水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤、若しくは無機紫外線遮断剤などを含む)、含量または化粧料組成物内の位置を選択する際、水不溶性スポンジへの吸着と関係なく、当業界に属する通常の技術者が適切に選択できるであろう。
【0035】
また、本発明による化粧料組成物において、最外相以外には如何なる紫外線遮断剤が含まれても良く、例えば、紫外線遮断剤の種類/分散性/水・油溶性(例えば、油溶性または油分散性有機紫外線遮断剤、水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤、水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤、若しくは無機紫外線遮断剤などを含む、すなわち油溶性または油分散性有機紫外線遮断剤も含まれる)、含量などを問わず、当業界で通常使用される紫外線遮断剤であれば何れも使用することができる。例えば、油中水中油型(O/W/O)または水中油中水型(W/O/W)において、「油相(O)」には油溶性有機紫外線遮断剤を含めて如何なる紫外線遮断剤も使用することができる。
【0036】
本明細書において、「含浸」とは、染み込ませる操作を意味し、当業界で通常用いられる浸透、密着、吸収などの用語と転用でき、より具体的に水不溶性スポンジが化粧料組成物を含有している形態であり得る。ただし、通常化粧料組成物を肌に塗布するために加える物理的圧力(例えば、3bar以下)により、含浸された物質(化粧料組成物)が(水不溶性スポンジから)排出、脱着、分離または吐出される程度で制限する。ここで、通常化粧料組成物を肌に塗布するために加える物理的圧力は、指または道具(例えば、パフ)を用いて加えられ得る。
【0037】
本明細書において、「吸着」とは、物質が粘着、結合、結着、または濃縮されることを意味し、より具体的に、油溶性有機紫外線遮断剤が水不溶性スポンジに粘着、結合、結着、または濃縮されることを称し、それにより通常化粧料組成物を肌に塗布するために加える物理的圧力(例えば、3bar以下)によっては(油溶性有機紫外線遮断剤の水不溶性スポンジへの)吸着状態が維持されて、前記物理的圧力によって吸着された物質(油溶性有機紫外線遮断剤)が(水不溶性スポンジから)排出、脱着、分離または吐出されないことを意味する。ここで、通常化粧料組成物を肌に塗布するために加える物理的圧力は、指または道具(例えば、パフ)を用いて加えられ得る。
【0038】
一態様として、本発明による化粧料組成物の最外相には、油溶性有機紫外線遮断剤が実質的に存在しない。
【0039】
本明細書において、「最外相」とは、化粧料組成物が水不溶性スポンジに含浸されるとき、水不溶性スポンジとの直接接触面を最も多く有する部分を意味する。例えば、単一相からなる場合(すなわち、単独水相または単独油相)は該単一相が最外相になり、油中水型エマルションの場合は油相が最外相になり、水中油型エマルションの場合は水相が最外相になる。多重エマルションを「(X)/(X)n/Y」のように記載する場合(ここで、X、Yは水相または油相であり、水相であれば「W」に略称し、油相であれば「O」に略称できる。前記「n」は1以上である)、「Y」が最外相に該当し、一例として油中水中油型(O/W/O)において最外相は「油相(O)」である。
【0040】
本明細書において、「実質的に存在しない」とは、化粧料組成物の最外相に存在する含量が化粧料組成物に含まれる総重量の10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.05重量%未満、0.0005重量%未満であることを意味し、最も望ましくは0.00001重量%未満であることを意味し得る。一例として、本発明による化粧料組成物の最外相に含まれた油溶性有機紫外線遮断剤の含量が化粧料組成物に含まれた有機紫外線遮断剤の総含量に比べて10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.05重量%未満、0.0005重量%未満、または最も望ましく0.00001重量%未満であることを意味し得る。他の例として、本発明による化粧料組成物において、最外相に紫外線遮断剤として無機紫外線遮断剤のみが含まれ、有機紫外線遮断剤は全く含まれない場合も「実質的に存在しない」に該当し得る。さらに他の例として、本発明による化粧料組成物において、最外相に紫外線遮断剤として水溶性、水分散性有機紫外線遮断剤のみが含まれ、油溶性有機紫外線遮断剤は全く含まない場合も「実質的に存在しない」に該当し得る。
【0041】
他の様態として、本発明による化粧料組成物の最外相には、水不溶性スポンジに吸着しない油溶性有機紫外線遮断剤を含むことができる。
【0042】
本明細書において、「吸着しない」とは、「水不溶性スポンジに吸着された(油溶性有機)紫外線遮断剤の重量」/「化粧料組成物の最外相に含まれる(油溶性有機)紫外線遮断剤の重量」×100(%)に換算した値が10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.05重量%未満、0.0005重量%未満、または最も望ましく0.00001重量%未満であることを意味し、前記(油溶性有機)紫外線遮断剤は化粧料組成物に含まれた1以上の(油溶性有機)紫外線遮断剤を意味する。
【0043】
本発明による「最外相に存在するものの水不溶性スポンジに吸着しない油溶性有機紫外線遮断剤」は、化粧料組成物の相調節及び/または油溶性有機紫外線遮断剤の組成を選択することで具現することができる。
【0044】
より具体的に、化粧料組成物の相選択において、化粧料組成物の最外相を水相で構成することで、本発明の効果を達成することができる。前記最外相が水相である化粧料組成物の剤形には、上述したように、例えば、単独水相(水相単独)、水中油型、または多重エマルション(「(X)/(X)n/Y」)でYが水相の場合(すなわち、最外相が水相である多重エマルション)が含まれ得る。化粧料組成物の最外相が水相である場合、水相の最外相に存在する油溶性有機紫外線遮断剤は水溶性または水分散性、あるいは水溶性または水分散性に転換されたものが望ましく、油溶性または油分散性であればカプセル化(encapsulation)などの方法で水相に分散可能に改質されたものが望ましい。
【0045】
また、化粧料組成物に含まれる油溶性有機紫外線遮断剤の組成の選択において、水不溶性スポンジに吸着しないように改質された油溶性有機紫外線遮断剤を使用することができる。
【0046】
ここで、「改質」とは、有機紫外線遮断剤の化学的または物理的変形を全て包括する意味であるが、例えば最外相に存在する油溶性有機紫外線遮断剤と水不溶性スポンジとの間の直接接触を防止する方法(例えば、油溶性有機紫外線遮断剤のカプセル化)、または油溶性有機紫外線遮断剤と水不溶性スポンジとが接触しても吸着反応が起きないようにする方法(例えば、化合物構造の変形、水溶性・水分散性への変形など)などが挙げられる。
【0047】
本発明の一実施例による化粧料組成物は、以下のいずれか1つ以上の有機紫外線遮断剤を含み、
I.水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤;
II.水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤;若しくは
III.カプセル化された有機紫外線遮断剤、
油溶性有機紫外線遮断剤を化粧料組成物に含まれる有機紫外線遮断剤総重量の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.05重量%未満、0.0005重量%未満、または最も望ましくは0.00001重量%未満で含むことができる。
【0048】
また、選択的に、無機紫外線遮断剤をさらに含むことができる。
【0049】
本発明による化粧料組成物は、優れた紫外線遮断効果を有し、望ましくは紫外線遮断指数(SPF)30以上及び/または紫外線A遮断指数(PFA;Protection Factor of UVA)4以上、紫外線A遮断等級(PA)++以上であり得る。また、白濁現象がほとんど生じない。
【0050】
前記「紫外線遮断指数(SPF)」は、UVBを遮断する製品の遮断効果を示す指数であり、紫外線遮断製品を塗布したときに生じた最少紅斑量を、紫外線遮断製品を塗布しなかったときに生じた最少紅斑量で除した値である。前記「最少紅斑量(MED;Minumum Erythema Dose)」は、UVBをヒトの肌に照射した後、16〜24時間内に照射領域の全体に紅斑が現れる最小限の紫外線照射量を言う。紫外線遮断指数の測定方法として、被験者の選定、試験部位、製品無塗布部位の最少紅斑量の測定、製品塗布部位の最少紅斑量の測定、光源選定、標準試料、製品塗布量、製品塗布面積及び照射部位の区画、光量増加、紫外線遮断指数の計算、及び紫外線遮断指数の表示方法は韓国食品医薬品安全処告示第2013−28号、2013年4月5日施行、「機能性化粧品審査に関する規定」の別表3の第2章紫外線遮断指数(SPF)の測定方法の告示に従う。
【0051】
前記「紫外線A遮断指数(PFA)」は、UVAを遮断する製品の遮断効果を示す指数であり、紫外線遮断製品を塗布したときに起きた最少持続型即時黒化量を、紫外線遮断製品を塗布しなかったときに起きた最少持続型即時黒化量で除した値である。前記「最少持続型即時黒化量(MPPD;Minimal Persistent Pigment darkening Dose)」は、UVAをヒトの肌に照射した後、2〜4時間内に照射領域の全体に薄い黒化が認識される最少紫外線照射量のことを言う。また、「紫外線A遮断等級(PF)」はUVA遮断効果の程度を意味する。PFA2以上はPA、PFA2以上4未満はPA+、PFA4以上8未満はPA++、PFA8以上はPA+++で表記することができる(ただし、PFA値の小数点以下を切り捨て、整数で表記したものを前提にする)。紫外線A遮断指数の測定方法として、被験者選定、試験部位、試験前最少持続型即時黒化量の測定、製品無塗布及び塗布部位の最少持続型即時黒化量の測定、光源選定、標準試料、製品の塗布量、製品塗布面積及び照射部位の区画、光量増加、及び紫外線A遮断指数の計算は、韓国食品医薬品安全処告示第2013−28号、2013年4月5日施行、「機能性化粧品審査に関する規定」の別表3の第4章紫外線A遮断指数の測定方法の告示に従う。
【0052】
本発明による化粧料組成物は優れた紫外線遮断効果を発揮しながら、白濁現象は殆ど生じない。一例として、本発明による化粧料組成物に含まれる無機紫外線遮断剤は、化粧料組成物総重量の15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下であり得る。化粧料組成物総重量の15重量%を超える無機紫外線遮断剤を使用すれば、白濁現象が問題になり得る。
【0053】
本発明による化粧料組成物は、水不溶性スポンジへの吸着抑制効果を妨害しない範囲で必要に応じて色素、抗酸化剤、活性剤、保湿剤、薬剤、金属イオン封鎖剤、多価アルコール、防腐剤及び香料などを当業者が容易に配合することができる。
【0054】
本発明による化粧料組成物は、成分の種類、含量及び剤形などを考慮して、当業界で公知の通常の方法によって製造することができる。
【0055】
また、本発明による化粧料組成物は、化粧料組成物に含まれる成分の種類、含量、化粧料組成物の剤形、または水不溶性スポンジ種類などを考慮して、当業界で公知の通常の方法によって水不溶性スポンジに含浸させることができる。
【0056】
本発明による化粧料組成物(または化粧品)は、例えば、メイクアッププライマー、メイクアップベース、ファンデーション、スキンカバー、リップスティック、リップグロス、フェイスパウダー、リップライナーペンシル、アイブローペンシル、アイシャドウ、チークカラー、コンパクトパウダー、ツインケーキ、ファクト、パウダーファクト、アイブロー、アイシャドー、コンシーラー、頬紅、パウダーファンデーションまたはエアリースなどが含まれるが、これらに制限されることはない。
【0057】
[水不溶性スポンジ]
本発明による水不溶性スポンジは、化粧料組成物含浸用として当業界で通常用いられるものであれば制限なく使用でき、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル‐ブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVA)、ポリウレタン(PU)などの高分子を発泡加工したものであり得る。
【0058】
本発明による水不溶性スポンジのうち化粧料組成物の吸着防止効果が著しく発揮されるものは、疎水性単量体高分子を発泡加工した水不溶性スポンジであり得、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。
【0059】
本発明による化粧料組成物を水不溶性スポンジに含浸させる工程は、当業界で公知の通常の方法によって行われ得る。
【0060】
[化粧品]
本発明は、水不溶性スポンジと、前記水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物とを含む化粧品を提供する。
【0061】
水不溶性スポンジとそれに含浸させる化粧料組成物については、上述したため、重複する説明は省略する。
【0062】
特に、一実施態様によれば、水不溶性スポンジに含浸させる化粧料組成物は、以下のいずれか1つ以上の有機紫外線遮断剤を含み、
I.水溶性または水分散性有機紫外線遮断剤;
II.水不溶性から水溶性または水分散性に転換された有機紫外線遮断剤;若しくは
III.カプセル化された有機紫外線遮断剤、
油溶性有機紫外線遮断剤を化粧料組成物に含まれる有機紫外線遮断剤総重量の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.05重量%未満、0.0005重量%未満、または最も望ましく0.00001重量%未満で含むことができる。
【0063】
また、選択的に、無機紫外線遮断剤をさらに含むことができる。
【0064】
本発明による化粧品には、水不溶性スポンジ及びそれに含浸された化粧料組成物の以外に、当業界の通常の技術者が適切に構成を追加(例えば、パフ)することができる。
【発明の効果】
【0065】
本発明による紫外線遮断機能を有する化粧料組成物は、水不溶性スポンジに含浸させる場合にも水不溶性スポンジへの紫外線遮断剤の吸着が防止されるため、化粧料組成物に含まれた紫外線遮断剤から予想される紫外線遮断効果(紫外線遮断指数/等級)を完全に発揮できる化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】ファンデーションが水不溶性スポンジに含浸された化粧品を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲がこのような実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例】
【0068】
<実施例>有機紫外線遮断剤を含む油中水型ファンデーションの製造
下記表1に記載された成分及び含量で油中水型ファンデーションを製造した。
比較例1では、油溶性有機紫外線遮断剤(エチルヘキシルメトキシシンナメート(EHMC)、イソアミルP‐メトキシシンナメート(IAMC)、エチルヘキシルサリチレート(EHS))及び無機紫外線遮断剤(二酸化チタン)を含む油中水型ファンデーションを製造した。一方、実施例1及び実施例2では、水溶性有機紫外線遮断剤(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA))及び無機紫外線遮断剤(二酸化チタン)を含む油中水型ファンデーションを製造した。
【0069】
油中水型ファンデーションは次のように製造した。
油相槽に油相成分と増粘剤を入れ、80℃に熱を加えて均一にした後、顔料を入れて分散させた。水相槽には水相成分を入れ、80℃に熱を加えて原料を完全に溶解させた後、顔料が分散している油相槽に添加してホモミキサーで乳化し、低粘度紫外線遮断油化物を製造した。40mlの安定性容器に内容物を充填し、25℃のチャンバに1日以上保管した後、ブルックフィールドLVII粘度計にスピンドル4番を用いて30rpmで1分間作動させた後、25℃で粘度を測定した結果4,000cpsであった。
【0070】
【表1】
【0071】
<実験例>水不溶性スポンジへの紫外線遮断剤の吸着試験
比較例1−2と実施例1−2のファンデーションをそれぞれSBR、NBR、そしてPUに15gずつ含浸させた後、25℃のチャンバで1日以上保管した。スポンジの表面から含浸されていないファンデーションを除去した後、以下のように試験を行った。
【0072】
まず、比較例1−2と実施例1−2のファンデーションが含浸されたスポンジをそれぞれ指で押下してファンデーションを取得した。
【0073】
韓国食品医薬品安全処告示第2013−28号機能性化粧品基準及び試験方法(KFCC)に従って、スポンジに含浸させる前のファンデーションとスポンジから取得したファンデーションをそれぞれ溶媒に溶かし、液体クロマトグラフ法によって紫外部吸光光度計で試験して、エチルヘキシルメトキシシンナメート(EHMC)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA)、エチルヘキシルサリチレート(EHS)、イソアミルP‐メトキシシンナメート(IAMC)のピーク面積AT及び標準品のピーク面積Asを求めて含浸以前と含浸以後の変化値を分析した。
【0074】
エチルヘキシルメトキシシンナメートの量(mg)=AT/As×エチルヘキシルメトキシシンナメート標準品の量(mg)
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の量(mg)=AT/As×フェニルベンズイミダゾールスルホン酸標準品の量(mg)
エチルヘキシルサリチレートの量(mg)=AT/As×エチルヘキシルサリチレート標準品の量(mg)
イソアミルP‐メトキシシンナメートの量(mg)=AT/As×イソアミルP‐メトキシシンナメート標準品の量(mg)
その結果は表2(比較例1)、表3(実施例1)のようであった。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
また、比較例1−2と実施例1−2のファンデーションが含浸されたスポンジを用いて人工皮膚(vitro skin)にそれぞれ均一に塗布して10分間放置した後、紫外線遮断指数測定機(SPF‐290S)を用いてSPF、PFA数値を測定した。
その結果は表4(比較例1−2と実施例1−2に対するin−vitro SPF、in−vitro PFA数値)のようである。
【0078】
【表4】
【0079】
水不溶性スポンジへの紫外線遮断剤の吸着試験の結果、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミルP‐メトキシシンナメート及びエチルヘキシルサリチレートなどのような油溶性有機紫外線遮断剤が油相に存在する場合(比較例1−2)、水不溶性スポンジに吸着されて取得量が大幅に減少し、紫外線遮断指数が格段に落ちることを分かった。また、紫外線遮断機能性化粧品法に基づく主成分の含量が90%に達せず、法的にも問題があることが分かった。一方、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸のように水溶性または水分散性紫外線遮断剤を使用する場合(実施例1−2)、水不溶性スポンジに吸着されることなく、完全に検出されることが分かった。さらに、SPF30以上、PFA4以上の優れた紫外線遮断効果を発揮することが分かった。
【0080】
水不溶性スポンジの場合、SBRやNBRでは紫外線遮断剤が相当量吸着され、PUの場合は紫外線遮断剤の吸着が起きるもののSBRやNBRに比べて相対的に少ないため、SBRまたはNBRスポンジに含浸した場合より優れた紫外線遮断効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明による紫外線遮断機能を有する化粧料組成物は、水不溶性スポンジに含浸させる場合にも水不溶性スポンジへの紫外線遮断剤の吸着が防止されるため、化粧料組成物に含まれた紫外線遮断剤から予想される紫外線遮断効果(紫外線遮断指数/等級)を完全に発揮できる化粧品を提供することができる。
図1