(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
調理器具の先端部分は、フライパンや鍋に強く衝突したり擦りつけられたりするため、容易に摩耗する。特に樹脂製の場合、先端が薄いため溶けて変形しやすく、摩耗が激しい。また、調理の幅を広げることを考えると、これまでの調理器具は必ずしも使い勝手が良いとは言えない。
本発明は、これまでにない形態により、これまでにない使い勝手を実現可能な調理器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は例えば、食材に触れる部分である作用部と、前記作用部に接続する柄とを有する調理器具であって、
前記作用部の先端付近において厚さが当該作用部の平均的な厚さより厚く形成され
、当該作用部に掬われる食材が載る側に隆起した盛上部と、前記盛上部から前記作用部の中央方向に前記作用部の肉厚が漸次薄くなるよう形成された斜面と、が形成されている。
前記調理器具は、スパチュラであり、前記盛上部は、作用部の先端辺に沿って形成されていてもよい。
前記調理器具は、ターナーであり、前記盛上部は、作用部の湾曲した先端辺に沿って形成されていてもよい。
前記調理器具は、フォーク状のターナーであり、前記盛上部は、フォークの先端付近に形成されていてもよい
。
また、前記盛上部の先端側の傾斜角は、柄側の傾斜角より急であってもよい。
また、前記調理器具は、少なくとも前記作用部をナイロン樹脂で形成することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、これまでにない形態により、これまでにない使い勝手を実現可能な調理器具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面に基づいて本発明の調理器具の実施形態の例を説明する。
【0008】
<調理用スパチュラ>
図1は、本実施形態1における調理用スパチュラ(ヘラ)1の外観を示した図である。
図1(a)は平面図であり、
図1(b)は正面図であり、
図1(c)は
図1(a)のA−A断面図である。
調理用スパチュラ1は、棒状の柄10と、食材に接触する部分である作用部20とを有する。また、引っかけ用のループ状のフック12を備えている。
【0009】
作用部20は、柄10の根本13に接続し、柄10の根本13から広がる略三角形状をなし、左肩部21、右肩部22、及び先端部25で囲まれる部分に、略均等な厚さで薄く平坦な掬い部24が形成されている。
【0010】
掬い部24は、作用部20の底面をなし、柄10の側に、底面から湾曲してせり上がり食材が零れ落ちるのを塞き止めるための塞止部23が形成されている。
塞止部23は、左肩部21の全体から根本13及び右肩部22の一部に渡り、三日月状に設けられている。
【0011】
掬い部24の先端部25には、先端辺の形状に沿って、掬い部24の平均的な肉厚より厚く盛り上がっている盛上部26がある。盛上部26の最高肉厚D1は、掬い部24の平均的な肉厚D2の1.5〜4倍(好ましくは、1.5〜2.5倍)である。
【0012】
盛上部26の先端側の斜面27は、40〜70°であり、柄10側の緩やかな斜面28(10〜20°)より急であるが、斜面とすることで、盛上部26がありながら食材を滑らかに掬うことを可能としている。また、先端が鋭利でなくなるので、柔らかい食材が切断されてしまうのを防止することができる。
【0013】
柄10及び作用部20は、ナイロン、エラストマー、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂などによって一体成型されても良いし、グリップ11を別素材とする場合には、二重成型で形成されても良い。もちろん、全体をアルミ、ステンレスなどの金属製とすることもできるし、フッ素加工されていてもよい。
【0014】
一般的に調理用スパチュラは、扁平な板状の道具であるが、粘り気のあるものをかき混ぜたり、またはそれを何かに塗り付けたり、あるいは削り取ったり、場合によっては柔らかい食材を刃のように押し切ったりする機能があるため、作用部の主面には、所定の薄さが要求される。一方で、先端部25は、フライパンや鍋に激しく衝突したり擦れたりするので、摩耗の虞がある。本実施形態の調理用スパチュラ1によれば、先端が分厚くなっているため、摩耗して薄くなるのを防止できる。
【0015】
また、ある程度の丈夫さがある調理用スパチュラは、肉片などの細い隙間に押し込んで引き離したり、または梃子にして押し上げたりといったことにも利用される。そのため、先端に力がかかるが、調理用スパチュラ1によれば、先端が分厚いので、十分な強度を確保できる
【0016】
また、食材に最初に当たる部分である作用部の先端部が分厚く形成されていることにより、調理者の意図に反して柔らかい食材が容易に切断されてしまうのを防止することができる。もちろん、食材を切断したい場合は、強い力で押し当てれば、食材を切断することができるのは言うまでもない。
【0017】
さらに、作用部20の主面は薄さを備え、一方先端は分厚く若干の重みがあるので、操作時に反発力を生み出し、かき混ぜる作業などの使い勝手が良い。
図5は、作用部の先端の形状の変形例を示す図である。
図5(a)に示すように、作用部20dの先端部25dは、斜面28dから先端に向かうにつれて盛り上がり、最も盛り上がった盛上部26dを備える。盛上部26dは、その断面が鋭角となっており、斜面27dが底側に向いている。盛上部26dの高さD9は、掬い部24の平均的な肉厚D10の2〜4倍である。底面と斜面27dの間の角度θ1は、100〜130°である。この形状により、
図5(b)に示すように鍋50の横を滑らかに滑らせて、食材を掬うことが出来る。
【0018】
<調理用ターナー>
次に、本実施形態2における調理用ターナーについて説明する。
図2は、本実施形態2における調理用ターナー2の外観を示した図である。
図2(a)は平面図であり、
図2(b)は正面図であり、
図2(c)は
図2(a)のA−A断面図である。
【0019】
調理用ターナー2は、棒状の柄10aと、食材に接触する部分である作用部20aとを有する。また、引っかけ用のループ状のフック12aを備えている。
【0020】
作用部20aは、柄10aの根本13aに接続し、柄10aの根本13aから広がる雫形状をなし、左肩部21a、右肩部22a、及び先端部25aで囲まれる部分に、略均等な厚さで薄く平坦な掬い部24aが形成されている。
【0021】
掬い部24aは、作用部20aの底面をなし、柄10aの側に、底面から湾曲してせり上がり食材が零れ落ちるのを塞き止めるための塞止部23aが形成されている。
塞止部23aは、左肩部21aの全体から根本13、右肩部22aの全体に渡り、三日月状に設けられている。
【0022】
掬い部24aには、さらに、滑り止め用の凸部241がマトリクス状に配されている。
【0023】
掬い部24aの先端部25a付近には、湾曲した先端部25aの形状に沿って、掬い部24aの平均的な肉厚より厚く盛り上がっている盛上部26aがある。盛上部26aの最高肉厚D3は、掬い部24の平均的な肉厚D4の1.5〜2.5倍である。
【0024】
盛上部26aの先端側の斜面27aは、40〜70°であり、柄10a側の緩やかな斜面28a(10〜20°)より急であるが、斜面とすることで、盛上部26aがありながら食材を掬うことを可能としている。また、先端が鋭利でなくなるので、柔らかい食材が切断されてしまうのを防止することができる。
【0025】
柄10a及び作用部20aは、ナイロン、エラストマー、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂などによって一体成型されても良いし、グリップ11を別素材とする場合には、二重成型で形成されても良い。もちろん、全体をアルミ、ステンレスなどの金属製とすることもできるし、フッ素加工されていてもよい。
【0026】
一般的に調理用ターナーは、扁平な板状の道具であるが、粘り気のあるものをかき混ぜたり、またはそれを何かに塗り付けたり、あるいは削り取ったり、場合によっては柔らかい対象を刃のように押し切ったりする機能があるため、作用部の主面には、所定の薄さが要求される。一方で、先端部は、フライパンや鍋に激しく衝突したり擦れたりするので、摩耗の虞がある。本実施形態の調理用ターナー2によれば、先端が分厚くなっているため、摩耗して薄くなるのを防止できる。
【0027】
また、ある程度の丈夫さがある調理用ターナーは、肉片などの細い隙間に押し込んで引き離したり、または梃子にして押し上げたりといったことにも利用される。そのため、先端に力がかかるが、調理用ターナー2によれば、先端が分厚いので、十分な強度を確保できる。
【0028】
また、盛上部26aは、一旦掬い部24aに載せた食材が滑り落ちるのを防ぐストッパーの役目も果たす。
【0029】
また、食材に最初に当たる部分である作用部の先端部が分厚く形成されていることにより、調理者の意図に反して柔らかい食材が容易に切断されてしまうのを防止することができる。もちろん、食材を切断したい場合は、強い力で押し当てれば、食材を切断することができるのは言うまでもない。
【0030】
さらに、作用部20aの主面は薄さを備え、一方先端は分厚く若干の重みがあるので、操作時に反発力を生み出し、返しなどの使い勝手が良い。
図6は、作用部の先端の形状の変形例を示す図である。
図6(a)に示すように、作用部20eの先端部25eは、斜面28eから先端に向かうにつれて盛り上がり、最も盛り上がった盛上部26eを備える。盛上部26eから最も先端方向に向けて底側に傾斜する傾斜面27eを備え、最先端部30eを経て、底側に傾斜面29eを備える。盛上部26eの最高肉厚D11は、掬い部24bの平均的な肉厚D12の2〜4倍である。最先端部30eの断面角度θ2は40〜70°である。この形状により、
図6(b)に示すように鍋50の横を滑らかに滑らせて、食材を掬うことが出来る。
【0031】
<フォーク状の調理用ターナー>
図3は、本実施形態3におけるフォーク状の調理用ターナー3の外観を示した図である。
図3(a)は平面図であり、
図3(b)は正面図であり、
図3(c)は
図3(a)のA−A断面図である。
調理用ターナー3は、棒状の柄10bと、食材に接触する部分である作用部20bとを有する。なお、引っかけ用のループ状のフックを備えていてもよい。
【0032】
作用部20bは、柄10bの根本13bに接続し、柄10bの根本13bから一旦広がり、櫛状に分岐する形状をなす。すなわち、左肩部21b及び右肩部22bで挟まれる領域に、略均等な厚さで薄く平坦な、4つのフォーク状に分岐した掬い部24bが形成されている。
【0033】
掬い部24bは、作用部20bの底面をなし、柄10bの側に、底面から湾曲してせり上がり食材が零れ落ちるのを塞き止めるための塞止部23bが形成されている。
【0034】
塞止部23bは、左肩部21bの全体から根本13b、右肩部22bの全体に渡り湾曲して設けられている。
【0035】
掬い部24bのフォークの先端部25b付近には、先端部25bの形状に沿って、掬い部24bの平均的な肉厚より厚く盛り上がっている盛上部26bがある。盛上部26bの最高肉厚D5は、掬い部24bの平均的な肉厚D6の2〜4倍である。
【0036】
盛上部26bの先端側の斜面27bは、40〜70°であり、柄10b側の緩やかな斜面28b(10〜20°)より急であるが、斜面とすることで、盛上部26bがありながら食材を掬うことを可能としている。また、先端が鋭利でなくなるので、柔らかい食材が切断されてしまうのを防止することができる。
【0037】
柄10b及び作用部20bは、ナイロン、エラストマー、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂などによって一体成型されても良いし、グリップ11を別素材とする場合には、二重成型で形成されても良い。もちろん、全体をアルミ、ステンレスなどの金属製とすることもできるし、フッ素加工されていてもよい。
【0038】
一般的に調理用ターナーは、扁平な板状の道具であるが、粘り気のあるものをかき混ぜたり、またはそれを何かに塗り付けたり、あるいは削り取ったり、場合によっては柔らかい対象を刃のように押し切ったりする機能があるため、作用部の主面には、所定の薄さが要求される。一方で、先端部は、フライパンや鍋に激しく衝突したり擦れたりするので、摩耗の虞がある。特にフォーク状のターナーでは、フォークが細いため劣化し易い。これに対して、本実施形態の調理用ターナー3によれば、先端が分厚くなっているため、摩耗して薄くなるのを防止できる。
【0039】
また、盛上部26bは、一旦掬い部24bに載せた食材が滑り落ちるのを防ぐストッパーの役目も果たす。
【0040】
また、食材に最初に当たる部分である作用部の先端部が分厚く形成されていることにより、調理者の意図に反して柔らかい食材が容易に切断されてしまうのを防止することができる。もちろん、食材を切断したい場合は、強い力で押し当てれば、食材を切断することができるのは言うまでもない。
【0041】
さらに、作用部20bの主面は所定の薄さを備え、一方先端は分厚く若干の重みがあるので、操作時に反発力を生み出し、返し動作における使い勝手が良い。
【0042】
<調理用穴あきスプーン>
図4は、本実施形態4における調理用穴あきスプーン4の外観を示した図である。
図4(a)は左側面図であり、
図4(b)は平面図であり、
図4(c)は正面図(掬い部については
図4(b)のA−A断面図を示す)であり、
図4(d)は
図4(b)のA−A断面拡大図である。
【0043】
調理用穴あきスプーン4は、棒状の柄10cと、食材に接触する部分である作用部20cとを有する。なお、引っかけ用のループ状のフック12cを備えている。
【0044】
作用部20cは、柄10cの根本13cに接続し、根本13cから広がり、器形状をなす。すなわち、左肩部21c及び右肩部22cと、円弧状の縁25cで挟まれる領域に、略均等な厚さで薄く半球状に形成された掬い部24cが形成されている。
【0045】
掬い部24cは、作用部20cの底部をなし、柄10cの側に、底部から湾曲してせり上がり食材が零れ落ちるのを塞き止めるための塞止部23cが形成されている。
【0046】
掬い部24cには、直径4〜8mmの水切り用の丸い貫通孔242が複数(例えば、24個)、設けられている。貫通孔242の形状、その数には制限はないが、食材を掬い上げるためには、孔が大きすぎると食材を保持できないし、小さすぎると水切りが悪くなる。
【0047】
掬い部24cの縁部25cには、円弧に沿って、高さが0.3〜1.5cm程度(好ましくは、0.5〜1.0cm)の複数の突起30が設けられている。突起30は、麺類を絡め取る動作などに利用される。麺類が切断されてしまうのを防ぐため、突起30は丸みを帯びており、突起30の間の谷33は、丸く面取りされている。突起部30の最高肉厚D7は、掬い部24cの平均的な肉厚D8の1.3〜3倍である。
【0048】
また、突起部30の先端面32は、内側(掬い部24cの側)に5〜20°の範囲で傾斜している。
【0049】
柄10c及び作用部20cは、ナイロン、エラストマー、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂などによって一体成型されても良いし、グリップ11を別素材とする場合には、二重成型で形成されても良い。もちろん、全体をアルミ、ステンレスなどの金属製とすることもできるし、フッ素加工されていてもよい。
【0050】
本実施形態の調理用穴あきスプーン4によれば、掬い部24cを利用すれば、食材を水切りしながら掬う作業が簡単にできるし、突起部30を利用すれば、麺類を掬う作業が簡単にできる。
貫通穴は、麺類を茹であげる用途としては、大きな穴としても良く、形状も円形でなくとも良い。
【0051】
軽量性の観点からも、作用部の主面には、所定の薄さが要求される。一方で、先端部は、フライパンや鍋に激しく衝突したり擦れたりするので、摩耗の虞がある。特に小さな突起は、強度が低く劣化し易い。本実施形態の調理用穴あきスプーン4によれば、先端が分厚くなっているため、摩耗して薄くなるのを防止できる。
また、食材に最初に当たる部分である作用部の先端部が分厚く形成されていることにより、柔らかい食材が切断されてしまうのを防止することができる。さらには、樹脂を使用した場合に作用部の重さが重量感を増し、操作する時のバランスが取りやすい。
【0052】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。本発明の構成要素は、発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。