(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年においては、自宅など一定の充電場所以外の場所に充電器が設置されていることがあり、充電器としても様々なものが設置されている。このため、様々な充電器で充電したとしても充電効率を高めることができる携帯機器が求められている。ところが、上記特許文献1に開示された電子機器では、電子機器における位置決め凹部に対して腕時計に取り付けられたバンドを位置決めして腕時計のコンデンサに充電している。このため、この腕時計に対してほかの電子機器によって非接触充電を行おうとしても、充電装置と受電コイルとの位置を合わせることが難しく、充電効率を高めることが難しかった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる携帯機器及び携帯時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯機器は、ケースと、前記ケースに収容された受電部と、軟磁性材料を含んで構成されるバイパス部材と、前記バイパス部材が埋設され、充電装置からの充電が行われる際に前記受電部と前記充電装置との間に前記バイパス部材を配置するように変形可能である付属部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
バイパス部材に含まれる軟磁性材料は、保磁力が小さく透磁率が大きい。このため、充電装置と受電部との間にバイパス部材が配置されると、充電装置に電力を供給したときの電磁誘導が強くなる。したがって、受電部に発生する誘導起電力を大きくすることができる。よって、受電部と充電装置との間にバイパス部材が配置されることにより、充電効率を高めることができる。また、バイパス部材は、受電部と充電装置との間にバイパス部材を配置するように変形可能である付属部材に設けられている。このため、受電部と充電装置との間における誘導起電力が大きくなる位置にバイパス部材を配置することができる。したがって、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0010】
上記の携帯機器において、前記受電部は、前記ケースにおける前記充電装置に対向する対向面に沿った面上に形成され、中央に開口部が形成された受電コイルを備えており、前記付属部材は、前記充電装置からの充電が行われる際に、前記対向面に直交する軸方向に見て前記バイパス部材と前記受電部とが重ならない位置に前記バイパス部材を配置するように変形可能とされている。
【0011】
上記の携帯機器では、充電時にバイパス部材と受電部とが重ならない位置にバイパス部材が配置されるように付属部材が変形可能とされている。充電時にバイパス部材と受電部とが重ならない位置にバイパス部材を配置することで、受電部と充電装置との間における電磁誘導をより強くすることができる。したがって、さらに非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0012】
上記の携帯機器において、前記付属部材は、前記受電コイルにおける中央に形成された開口部及び前記受電コイルの外縁部に、前記バイパス部材を配置するように変形可能とされている。
【0013】
上記の携帯機器では、付属部材は、充電時に受電コイルにおける中央に形成された開口部及び受電コイルの外縁部にバイパス部材を配置するように変形可能とされている。受電コイルにおける中央に形成された開口部及び受電コイルの外縁部にバイパス部材を配置することで、受電部と充電装置との間における電磁誘導をより強くすることができる。したがって、さらに非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0014】
本発明に係る携帯時計は、時計本体と、前記時計本体における裏面側に収容された受電部と、軟磁性材料を含んで構成されるバイパス部材と、前記時計本体に取り付けられるとともに前記バイパス部材が埋設され、充電装置からの充電が行われる際に前記受電部と前記充電装置との間に前記バイパス部材を配置するように変形可能とされている付属部材と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記の携帯時計では、受電部と充電装置との間に軟磁性材料を含むバイパス部材を配置することにより、充電効率を高めることができる。また、バイパス部材は、受電部と充電装置との間にバイパス部材を配置するように変形可能である付属部材に設けられている。このため、受電部と充電装置との間における誘導起電力が大きくなる位置にバイパス部材を配置することができる。したがって、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0016】
上記の携帯時計において、前記付属部材は、前記受電部に沿う位置に前記バイパス部材を配置するように変形可能とされた変形部を備えるバンドである。
【0017】
上記の携帯時計では、付属部材は、受電部に沿う位置にバイパス部材を配置するように変形可能とされている。このため、受電部と充電装置との間における誘導起電力が大きくなる位置にバイパス部材を容易に配置することができる。
【0018】
上記の携帯時計において、前記付属部材は、前記時計本体に取り付けられたバンドに沿って移動可能となるように前記バンドに取り付けられ、互いの離間距離が変化することで変形する第1遊革及び第2遊革である。
【0019】
上記の携帯時計では、第1遊革及び第2遊革にバイパス部材が埋設されている。このため、バイパス部材を受電部と充電装置との間に容易に配置することができる。また、第1遊革と第2遊革とは互いの離間距離が変化することで変形するので、様々な形状の充電装置から非接触充電される場合であっても充電効率を高めることができる。
【0020】
上記の携帯時計において、前記第1遊革及び第2遊革の少なくとも一方に設けられた突起部と、前記バンドに形成され、前記突起部を挿嵌可能であるとともに、前記充電装置からの充電が行われる際に前記受電部と前記充電装置との間に配置される留孔と、を備える。
【0021】
上記の携帯時計では、第1遊革及び第2遊革の少なくとも一方に突起部が設けられ、充電装置からの充電が行われる際に受電部と充電装置との間に配置される留孔が形成されている。このため、充電装置からの充電を行う際に、第1遊革や第2遊革を受電部と充電装置との間の所望の位置に確実に配置することができる。
【0022】
上記の携帯時計において、前記付属部材は、前記時計本体に取り付けられた紐状のバンドである。
【0023】
付属部材が紐状のバンドであることにより、付属部材を容易に変形させることができ、バイパス部材を受電部と充電装置との間の所望の位置に容易に配置することができる。
【0024】
上記の携帯時計において、前記受電部は、前記時計本体における前記充電装置に対向する対向面に沿った面上に形成され、中央に開口部が形成された受電コイルを備えており、前記付属部材は、前記充電装置からの充電が行われる際に、前記対向面に直交する軸方向に見て前記バイパス部材と前記受電部とが重ならない位置に前記バイパス部材を配置するように変形可能とされている。
【0025】
上記の携帯時計では、充電時にバイパス部材と受電部とが重ならない位置にバイパス部材を配置することができるため、さらに非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0026】
上記の携帯時計において、前記付属部材は、前記受電コイルにおける中央に形成された開口部及び前記受電コイルの外縁部に、前記バイパス部材を配置するように変形可能とされている。
【0027】
上記の携帯時計では、充電時に受電コイルにおける中央に形成された開口部及び受電コイルの外縁部にバイパス部材を配置することができるため、さらに非接触充電における充電効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る携帯機器及び携帯時計によれば、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる携帯機器及び携帯時計を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、機能が共通する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0031】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
1−1.携帯時計の構成
図1は、第1実施形態に係る携帯時計の斜視図、
図2(A)は、第1実施形態に係る携帯時計の変形前の平面図、(B)は、その変形後の平面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の携帯機器の一例である携帯時計10Aは、本発明の時計本体の一例であるケース11Aを備えている。ケース11Aの表面には、液晶表示パネル等の表示装置が設けられており、時刻等の情報を表示する。また、ケース11Aには、ムーブメントが内蔵されている。ムーブメントは、駆動ユニット及びバッテリ(蓄電池)等を備えており、表示装置に表示される表示情報を制御する。
【0032】
ケース11Aの両端部には、かん12A〜12Dが形成されている。また、ケース11Aの裏面側には開口部が形成されている。開口部には、裏蓋13が取り付けられている。裏蓋13は、開口部を塞いでいる。一側のかん12A,12Cには、第1ピン14Aによって本発明の付属部材及びバンドの一例である第1バンド15Aが取り付けられている。他側のかん12B,12Dには、第2ピン14Bによって第2バンド15Bが取り付けられている。第1バンド15Aにおけるケース11Aに取り付けられた側と反対側の端部には、美錠16が設けられている。
【0033】
ケース11Aの内部には、アンテナ20が設けられている。アンテナ20は、本発明の受電部の一例である受電コイル21と、電磁シールド22(
図3参照)とを備えている。受電コイル21は、裏蓋13に近接した位置に配置されている。ここで、裏蓋13がケース11Aに組み込まれた際、外部に露出する露出面とは反対側の面を裏蓋13の裏面と定義する。受電コイル21は、本発明の対向面の一例である裏蓋13の裏面に沿った面上に設けられている。裏蓋13の裏面に沿った面は、裏蓋13の裏面に略平行な面である。
【0034】
受電コイル21は、上下方向に見て渦巻き状をなしている。なお、以下の説明において、裏蓋13の裏面に直交する軸方向を上下方向として説明を行う。また、上下方向に見た際の受電コイル21の中央には、本発明の開口部の一例である中央開口部21Aが形成されている。受電コイル21の外縁部21Bは、本発明の外縁部の一例である。
【0035】
図3に示すように、電磁シールド22は、受電コイル21を挟んで裏蓋13の反対側に配置されている。電磁シールド22は、受電コイル21のほぼ全体を覆っている。電磁シールド22には、ケース11Aに内蔵された図示しない蓄電池が載置されている。
【0036】
電磁シールド22は、受電コイル21を通過する磁力線の上方への漏えいを抑制している。蓄電池には、受電コイル21で発生した電力が供給される。蓄電池は、供給された電力を蓄電している。蓄電池は、ムーブメントの駆動ユニットを駆動させる駆動力等を発生させるための電力をムーブメントに供給する。
【0037】
また、第1バンド15Aは、伸縮可能な素材で形成されている。第1バンド15Aは、
図1及び
図2に示すように、本発明の変形部の一例である第1バイパス収容部15A1、第2バイパス収容部15A2、及び第3バイパス収容部15A3を備えている。第1バイパス収容部15A1は、第2バイパス収容部15A2と第3バイパス収容部15A3とに挟まれた位置に配置されている。第1バイパス収容部15A1と第2バイパス収容部15A2との間には、第1スリット15a1が形成されている。第1バイパス収容部15A1と第3バイパス収容部15A3との間には、第2スリット15a2が形成されている。
【0038】
第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、いずれも受電コイル21の外縁部21Bに沿うように変形可能とされている。第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、変形時に第1バンド15Aの延在方向に交差する方向に向けて広がるように変形する。
【0039】
非変形時の第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、
図2(A)に示すように、直線状をなしている。このとき、第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、いずれも第1バンド15Aの延在方向に沿って配置されている。このため、第1バイパス収容部15A1、第2バイパス収容部15A2、及び第3バイパス収容部15A3は、互いに略平行に配置されている。
【0040】
変形時の第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、
図2(B)に示すように、上下方向に見て弧状をなしている。このとき、第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3は、第1バイパス収容部15A1上の一点を中心とする円弧に沿って配置される。また、第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3の変形時における第1スリット15a1及び第2スリット15a2を平面視した際の形状は、いずれも略半円形状となる。
【0041】
第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3の変形時に略半円形状となる第1スリット15a1と第2スリット15a2には、アタッチメントが挿入可能とされている。第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3の変形時の形状は、略半円形状となった第1スリット15a1と第2スリット15a2にアタッチメントが挿入されていることで維持されている。
【0042】
アタッチメントは、
図2(B)に示す第1スリット15a1及び第2スリット15a2に対して挿入可能とされている。アタッチメントは、第1スリット15a1と第2スリット15a2とを互いに離反させて、略半円形状に変形させる部材である。例えば、第1スリット15a1に挿入されるアタッチメントの形状は、第1スリット15a1側が先細り、第1スリット15a1から遠ざかるにしたがって拡幅するテーパ状をなしている。また、アタッチメントの平断面のうち、もっとも面積が広い部分が略半円形状をなしている。第1スリット15a1は、アタッチメントが第1スリット15a1に挿入されることにより、略半円形状に変形させられる。第2スリット15a2に挿入可能とされたアタッチメントも同様の形状とすることができる。
【0043】
第1バンド15Aには、本発明のバイパス部材の一例であるバイパス部材30Aが収容されている。具体的に、第1バイパス収容部15A1には、第1バイパス31Aが埋設されている。第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3には、それぞれ複数、ここでは7個の第2バイパス32A及び第3バイパス33Aが埋設されている。複数の第2バイパス32Aは、第2バイパス収容部15A2の延在方向に沿って互いに略等間隔で離間して配置されている。同様に、複数の第3バイパス33Aは、第3バイパス収容部15A3の延在方向に沿って互いに略等間隔で離間して配置されている。
【0044】
第2バイパス収容部15A2及び第3バイパス収容部15A3の変形時には、複数の第2バイパス32A及び第3バイパス33Aは、第1バイパス31Aを中心とする円弧上に配列されている。この状態における第1バイパス31Aと第2バイパス32Aとの離間距離と、第1バイパス31Aと第3バイパス33Aとの離間距離とは、ほぼ同一とされている。また、向かい合う第2バイパス32Aと第3バイパス33Aの間の距離は、受電コイル21の直径とほぼ同一とされている。
【0045】
第1バイパス31A、第2バイパス32A、及び第3バイパス33Aは、いずれも軟磁性材料を含んで構成されている。軟磁性材料とは、保磁力が小さく透磁率が大きい材料であり、例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ(鉄−ニッケル合金)、センダスト(鉄−ケイ素−アルミニウム合金)、パーメンジュール(鉄−コバルト合金)、ソフトフェライト(酸化鉄を主成分とするセラミックス)、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金などを挙げることができる。
【0046】
1−2.充電時の態様
次に、携帯時計10Aのケース11Aに内蔵された蓄電池に対する充電時の態様について説明する。
図3は、第1実施形態に係る携帯時計の充電状態の正断面図である。
図3に示すように、携帯時計10Aの充電時には、携帯時計10Aが充電装置40の上に載置される。このとき、携帯時計10Aの裏蓋13の露出面が充電装置40に対向する。
【0047】
ここで、充電装置40について説明する。充電装置40は、箱状の筐体41を備えている。充電装置40は、給電コイル42を備えている。給電コイル42は、筐体41の内部に内蔵されている。給電コイル42は、受電コイル21とほぼ同じ形状をなしている。給電コイル42は、渦巻き状をなす。給電コイル42を上下方向に見た際の中央には、中央開口部が形成されている。給電コイル42は、略水平面に沿って形成されている。給電コイル42の下方には、シールド部材43が設けられている。シールド部材43は、給電コイル42を通過する磁力線の下方への漏えいを抑制している。
【0048】
また、携帯時計10Aにおける第1バンド15Aは、携帯時計10Aが充電装置40に載置される際に折曲させられる。このとき、受電コイル21の中央開口部21Aの下側に第1バイパス31Aが配置される。さらに、受電コイル21における外縁部21Bの外方の下側に第2バイパス32A及び第3バイパス33Aがそれぞれ配置される。充電装置40に設けられた給電コイル42は、受電コイル21とほぼ同じ形状をなしている。受電コイル21と給電コイル42は、平面視しておおよそ重なる位置に配置可能とされている。
【0049】
このため、第2バイパス32A及び第3バイパス33Aは、受電コイル21と給電コイル42における外縁部に挟まれた位置の外側に配置されている。また、第1バイパス31Aは、受電コイル21と給電コイル42における中央開口部に挟まれた位置に配置されている。このように、第1バイパス31A、第2バイパス32A、及び第3バイパス33Aは、上下方向に見て受電コイル21と重ならない位置に配置されている。
【0050】
また、変形時の第2バイパス収容部15A2は、第2バイパス32Aが受電コイル21における外縁部21Bに沿って配置される形状となっている。変形時の第3バイパス33Aは、第3バイパス33Aが受電コイル21における外縁部21Bに沿って配置される形状となっている。
【0051】
携帯時計10Aが充電装置40に載置されたら、充電装置40における給電コイル42に電気を流して、携帯時計10Aの充電を開始する。給電コイル42に電気が流れると、給電コイル42の周囲に磁界が発生する。給電コイル42の周囲に磁界が発生すると、給電コイル42とケース11Aに内蔵された受電コイル21との間で電磁誘導が発生する。この電磁誘導により、受電コイル21に電流が発生する。この電流による電気が蓄電池に充電される。
【0052】
ここで、受電コイル21と給電コイル42との上下方向の間に第1バイパス31A〜第3バイパス33Aが配置されていない場合を想定する。この場合、
図4(A)に示すように、給電コイル42から発生する磁界の磁力線Bは短いものとなる。このため、給電コイル42から発生する磁界が受電コイル21まで届きにくく、充電効率があまり高くないこととなる。
【0053】
この点、本実施形態では、受電コイル21と給電コイル42との上下方向の間に、軟磁性材料を含む第1バイパス31A〜第3バイパス33Aが配置される。第1バイパス31A〜第3バイパス33Aに含まれる軟磁性材料は、保磁力が小さく透磁率が大きい。このため、
図4(B)に示すように、上下方向に見て受電コイル21と給電コイル42との間に第1バイパス31A〜第3バイパス33Aを配置すると、給電コイル42から発生する磁界の磁力線Bは長いものとなる。このため、給電コイル42から発生する磁界が受電コイル21まで十分に届き、磁力線Bは、受電コイル21に十分にいきわたる。
【0054】
その結果、充電装置40に電力を供給したときの電磁誘導が強くなり、受電コイル21に発生する誘導起電力を大きくすることができる。したがって、受電コイル21における電磁誘導による電流の発生量を多くすることができるので、蓄電池に対する充電効率を高めることができる。
【0055】
また、第1バイパス31A〜第3バイパス33Aは、受電コイル21と給電コイル42との間に第1バイパス31A〜第3バイパス33Aを配置するように変形可能である第1バンド15Aに設けられている。このため、第1バンド15Aの折り曲げ位置などを調整することにより、受電コイル21との相対的な位置関係を容易に調整することができる。その結果、受電コイル21と給電コイル42との間における誘導起電力が大きくなる位置に第1バイパス31A〜第3バイパス33Aを容易に配置することができる。
【0056】
また、受電コイル21の上方に電磁シールド22が設けられ、給電コイル42の下方にシールド部材43が設けられている。このため、受電コイル21の上方及び給電コイル42の下方への磁力線Bの漏えいが抑制される。その結果、
図4(B)に示すように、磁力線Bは、第1バイパス31Aと第2バイパス32Aとを通過して給電コイル42と受電コイル21との間に確実に描かれる。あるいは、磁力線Bは、第1バイパス31Aと第3バイパス33Aとを通過して給電コイル42と受電コイル21との間に確実に描かれる。よって、上下方向に見て受電コイル21と給電コイル42との間における電磁誘導をより強くすることができ、蓄電池に対する充電効率をより高めることができる。
【0057】
ところで、充電装置には様々なものがある。例えば、充電装置によっては、給電コイルの大きさや形状が受電コイル21の大きさや形状と異なることがある。この場合、受電コイル21と給電コイルとが近接しにくい状態となることが考えられる。この点、携帯時計10Aでは、第1バンド15Aの折り曲げ位置を調整することで、第1バイパス31A〜第3バイパス33Aの位置を容易に調整できる。したがって、受電コイル21と給電コイルの位置が近接しない場合でも、受電コイル21と給電コイルの間にバイパス部材30Aを容易に配置することができる。したがって、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0058】
また、バイパス部材30Aは、上下方向に見て受電コイル21と重ならない位置に配置されている。具体的に、バイパス部材30Aの第1バイパス31A〜第3バイパス33Aは、受電コイル21と給電コイル42の中央開口部の間及び外縁部の間にそれぞれ配設されている。このように、バイパス部材30Aが上下方向に見て受電コイル21と重ならない位置に配置されることにより、上下方向に見て受電コイル21と給電コイル42との間における電磁誘導をより強くすることができる。したがって、蓄電池に対する充電効率をより高めることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、バイパス部材30Aとして1個の第1バイパス31A、7個の第2バイパス32A、7個の第3バイパス33Aを設けているが、バイパス部材として、1つのバイパスを設けてもよい。また、バイパス部材として、2個、3個など他の複数のバイパスを設けてもよい。また、バイパス部材30Aは、受電コイル21の中央開口部21Aの下側及び受電コイル21の外縁部21Bの外方の下側に配置されているが、受電コイル21の中央開口部21Aの下側または受電コイル21の外縁部21Bの外方の下側のみに配置されていてもよい。また、バイパス部材30Aは、上下方向に見て受電コイル21と重ならない位置に配置されているが、バイパス部材30Aは、上下方向に見て受電コイルと一部が重なる位置に配置されていてもよい。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
2−1.携帯時計の構成
図5(A)は、第2実施形態に係る携帯時計の平面図、(B)は、第2実施形態に係る携帯時計の側面図である。また、
図6(A)は、第2実施形態に係る携帯時計の充電時の平面図、
図6(B)は、第2実施形態に係る携帯時計の充電時の側断面図である。
図5(A)(B)に示すように、携帯時計10Bは、ケース11Bを備えている。ケース11Bには、表示装置が設けられ、ムーブメントが内蔵されている。ケース11Bには、アンテナ20が設けられている。アンテナ20は、受電コイル21及び電磁シールド22を備えている。受電コイル21の中央に中央開口部21Aが形成されている。受電コイル21には、外縁部21Bが形成されている。アンテナ20は、上記第1実施形態で説明したものと共通である。
【0061】
ケース11Bの両端部には、かん12A〜12Dが形成されている。ケース11Bにおける一側のかん12A,12Cには、第1ピン14Aによって第1バンド51Aが取り付けられている。他側のかん12B,12Dには、第2ピン14Bによって第2バンド51Bが取り付けられている。
【0062】
第1バンド51Aには、複数の子穴51a,51a…が第1バンド51Aの延在方向に沿って略等間隔を置いて離間して形成されている。第2バンド51Bにおけるケース11Bに取り付けられた側と反対側の端部には、美錠52が取り付けられている。第1バンド51Aと第2バンド51Bとは、美錠52に第1バンド51Aが挿入されて連結される。第1バンド51Aと第2バンド51Bとは、第1バンド51Aにおける複数の子穴51a,51a…のいずれかに美錠52のつく棒が挿入されて固定される。
【0063】
第2バンド51Bには、本発明の付属部材及び第1遊革の一例である第1遊革53Aが取り付けられている。第2バンド51Bには、本発明の付属部材及び第2遊革の一例である第2遊革53Bが取り付けられている。第1遊革53A及び第2遊革53Bは、1組となって第2バンド51Bに設けられている。第1遊革53A及び第2遊革53Bは、それぞれ第2バンド51Bの一部を包んでいる。第1遊革53A及び第2遊革53Bは、いずれも第2バンド51Bの延在方向に沿って移動可能とされている。
【0064】
第2バンド51B、第1遊革53A、及び第2遊革53Bには、バイパス部材30Bが埋設されている。さらにいうと、第2バンド51Bには第1バイパス31Bが埋設されている。第1遊革53Aには第2バイパス32Bが埋設されている。第2遊革53Bには第3バイパス33Bが埋設されている。
【0065】
第1バイパス31Bは、第2バンド51Bがかん12B,12Dの部分で折り返されたときに、受電コイル21における中央開口部21Aの真下に配置される位置に埋設されている。第2バイパス32Bは、第1遊革53Aの下側部分における幅方向の略中央位置に埋設されている。第3バイパス33Bは、第2遊革53Bの下側部分における幅方向の略中央位置に埋設されている。
【0066】
2−2.充電時の態様
第2の実施形態に係る携帯時計10Bは、充電されるときには、
図6(A)(B)に示すように、充電装置40に載置される。充電装置40は、筐体41、給電コイル42、及びシールド部材43を備えている。充電装置40は、上記第1実施形態で説明したものと共通のものである。
【0067】
携帯時計10Bでは、充電されるときに、第2バンド51Bがかん12B,12Dの部分で折り返される。また、第1遊革53A及び第2遊革53Bの互いの離間距離が変化させられることで、携帯時計10Bの全体的な形状が変形する。第1遊革53A及び第2遊革53Bの配置位置は、それぞれ受電コイル21における外縁部21Bの外方の下側とされる。
【0068】
第2実施形態に係る携帯時計10Bは、充電時には、受電コイル21と給電コイル42における中央開口部の間に、第1バイパス31Bが配置され、外縁部の外側の間に第2バイパス32B及び第3バイパス33Bが配置されている。このため、給電コイル42から発生する磁界の磁力線が、受電コイル21にまで十分にいきわたるので、受電コイル21における電磁誘導による電流の発生量を多くすることができる。その結果、充電装置40における給電コイル42と受電コイル21との位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態では第1遊革53Aに第2バイパス32Bが埋設され、第2遊革53Bに第3バイパス33Bが埋設されている。このため、第2バイパス32Bと第3バイパス33Bの離間距離を容易に調整することができる。したがって、充電装置におけるコイルが小さい場合や、逆に大きい場合であっても、適切な位置に第2バイパス32Bと第3バイパス33Bに配置しやすくされている。したがって、充電装置と受電コイルとの位置を合わせが難しい場合でも、第2バイパス32Bと第3バイパス33Bの配置位置を容易に調整できるので、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
3−1.携帯時計の構成
図7(A)は、第3実施形態に係る携帯時計の平面図、(B)は、第3実施形態に係る携帯時計の側断面図である。また、
図8(A)は、第3実施形態に係る携帯時計の充電時の平面図、
図8(B)は、第3実施形態に係る携帯時計の充電時の側断面図である。
図7(A)(B)に示すように、携帯時計10Cは、ケース11Cを備えている。ケース11Cには、表示装置が設けられ、ムーブメントが内蔵されている。ケース11Cには、アンテナ20が設けられている。アンテナ20は、受電コイル21及び電磁シールド22を備えている。受電コイル21の中央に中央開口部21Aが形成されている。受電コイル21には、外縁部21Bが形成されている。アンテナ20は、上記第1実施形態で説明したものと共通である。
【0071】
ケース11Cの両端部には、かん12A〜12Dが形成されている。ケース11Cにおける一側のかん12A,12Cには、第1ピン14Aによって第1バンド55Aが取り付けられている。ケース11Cにおける他側のかん12B,12Dには、第2ピン14Bによって第2バンド55Bが取り付けられている。
【0072】
第1バンド55Aには、複数の子穴55a,55a…が第1バンド55Aの延在方向に沿って略等間隔を置いて離間して形成されている。第2バンド55Bにおけるケース11Cに取り付けられた側と反対側の端部には、美錠57が取り付けられている。また、第2バンド55Bには、本発明の付属部材及び第1遊革の一例である第1遊革58Aが取り付けられている。第2バンド55Bには、本発明の付属部材及び第2遊革の一例である第2遊革58Bが取り付けられている。第1遊革58A及び第2遊革58Bは、1組となって第2バンド55Bに設けられている。第1遊革58A及び第2遊革58Bは、それぞれ第2バンド55Bの一部を包んでいる。第1遊革58A及び第2遊革58Bは、いずれも第2バンド55Bの延在方向に沿って移動可能とされている。
【0073】
さらに、第2バンド55Bには、本発明の留孔の一例である遊革留孔55bが形成されている。遊革留孔55bは、第2バンド55Bに複数形成されている。複数の遊革留孔55b,55b…は、第2バンド55Bの延在方向に沿って略等間隔を置いて離間して配置されている。第1遊革58Aには、遊革留孔55bに挿嵌可能な本発明の突起部の一例である第1突起部58A1が形成されている。第2遊革58Bには、遊革留孔55bに挿嵌可能な本発明の突起部の一例である第2突起部58B1が形成されている。第1突起部58A1を複数の遊革留孔55bのいずれかに挿嵌することにより、第1遊革58Aは、第2バンド55Bに対して位置決めされる。同様に、第2突起部58B1を複数の遊革留孔55bのいずれかに挿嵌することにより、第2遊革58Bは、第2バンド55Bに対して位置決めされる。
【0074】
また、第2バンド55B、第1遊革58A、及び第2遊革58Bには、バイパス部材30Cが埋設されている。さらにいうと、第2バンド55Bには複数の第1バイパス31C,31C…が埋設されている。また、第1遊革58Aにおける第1突起部58A1には第2バイパス32Cが埋設されている。第2遊革58Bにおける第2突起部58B1には第3バイパス33Cが埋設されている。
【0075】
第2バンド55Bに埋設された複数の第1バイパス31Cが埋設される位置は、隣り合う遊革留孔55b,55bの間とされている。第2バイパス32C及び第3バイパス33Cは、第1突起部58A1及び第2突起部58B1のそれぞれ上下方向に見て略中央位置に埋設されている。
【0076】
3−2.充電時の態様
第3の実施形態に係る携帯時計10Cは、充電されるときには、
図8(A)(B)に示すように、充電装置40に載置される。充電装置40は、筐体41、給電コイル42、及びシールド部材43を備えている。充電装置40は、上記第1実施形態で説明したものと共通のものである。
【0077】
携帯時計10Cでは、充電されるときに、第2バンド55Bがかん12B,12Dの部分で折り返される。携帯時計10Cの全体的な形状は、第1遊革58A及び第2遊革58Bの互いの離間距離が変化させられることで変形する。第1遊革58A及び第2遊革58Bの配置位置は、それぞれ受電コイル21における外縁部21Bの外方の下側とされる。
【0078】
第3実施形態に係る携帯時計10Cは、充電時には、受電コイル21と給電コイル42における中央開口部の間に、第1バイパス31Cが配置され、外縁部の外側の間に第2バイパス32C及び第3バイパス33Cが配置されている。このため、給電コイル42から発生する磁界の磁力線が、受電コイル21にまで十分にいきわたるので、受電コイル21における電磁誘導による電流の発生量を多くすることができる。その結果、充電装置40における給電コイル42と受電コイル21との位置合わせが難しい場合でも、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0079】
また、本実施形態では第1遊革58Aに第2バイパス32Cが埋設され、第2遊革58Bに第3バイパス33Cが埋設されている。このため、第2バイパス32Cと第3バイパス33Cの離間距離を容易に調整することができる。したがって、充電装置におけるコイルが小さい場合や、逆に大きい場合であっても、適切な位置に第2バイパス32Cと第3バイパス33Cに配置しやすくされている。したがって、充電装置と受電コイルとの位置合わせが難しい場合でも、第2バイパス32Cと第3バイパス33Cの配置位置を容易に調整できるので、非接触充電における充電効率を高めることができる。
【0080】
また、第2バイパス32C及び第3バイパスが埋設される第1遊革58Aの第1突起部58A1及び第2遊革58Bの第2突起部58B1は、第2バンド55Bに形成された遊革留孔55bに挿嵌される。このため、第2バイパス32C及び第3バイパス33Cが動かないようにすることができる。また、隣り合う遊革留孔55b、55bの間には、第1バイパス31Cが配置されている。このため、第2バイパス32Cと第3バイパス33Cとの間に第1バイパス31Cを配置させやすくすることができる。
【0081】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
4−1.携帯時計の構成
図9(A)は、第4実施形態に係る携帯時計の充電状態の側断面図、(B)は、バンドの平面図である。
図9に示すように、携帯時計10Dは、ケース11Dを備えている。ケース11Dには、風防18が設けられ、図示しないムーブメントが内蔵されている。ケース11Dには、アンテナ20が設けられている。アンテナ20は、受電コイル21及び電磁シールド22を備えている。受電コイル21の中央に中央開口部21Aが形成されている。受電コイル21には、外縁部21Bが形成されている。アンテナ20は、上記第1実施形態で説明したものと共通である。アンテナ20には、蓄電池80が載置されている。
【0082】
また、ケース11Dの裏面側には開口部が形成されている。この開口部には裏蓋13が取り付けられている。裏蓋13は開口部を塞いでいる。ケース11Dの裏面側の四隅には第1バンド取付部91A〜第4バンド取付部91Dが設けられている。第1バンド取付部91A〜第4バンド取付部91Dは、いずれも同一形状をなしている。
図9(A)(B)においては、第1バンド取付部91Aは、第3バンド取付部91Cの手前位置にある。第2バンド取付部91Bは、第4バンド取付部91Dの手前位置にある。これらの第1バンド取付部91A〜第4バンド取付部91Dには、本発明の紐状のバンドの一例である紐状をなすバンド70が取り付けられている。
【0083】
バンド70は、
図9(B)に示すように、バンド本体70Aを備えている。バンド本体70Aにおける延在方向には、略等間隔でバイパス位置が形成されている。バンド本体70Aにおけるバイパス位置には、バイパス31Dが埋設されている。バイパス31Dは、上記各実施形態と同様に、軟磁性材料で形成されている。
【0084】
4−2.充電時の態様
第4の実施形態に係る携帯時計10Dは、充電されるときには、
図9(A)に示すように、充電装置40に載置される。充電装置40は、筐体41、給電コイル42、及びシールド部材43を備えている。充電装置40は、上記第1実施形態で説明したものと共通のものである。
【0085】
第4実施形態に係る携帯時計10Dでは、充電されるときには、バンド70におけるバンド本体70Aが適宜変形させられ、受電コイル21と給電コイル42との間に、軟磁性材料を含むバイパス31Dが配置される。このため、給電コイル42から発生する磁界の磁力線が、受電コイル21にまで十分にいきわたるので、受電コイル21における電磁誘導による電流の発生量を多くすることができる。その結果、蓄電池に対する充電効率を高めることができる。また、バンド70は紐状であるため、バイパス31Dの配置位置を容易に調整することができる。
【0086】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0087】
各実施形態では、携帯機器として、携帯時計10A〜10Dを例に説明をしたが、充電用のアンテナを備えるのであれば、携帯時計10A〜10Dに限定されない。したがって、例えば、心拍計や体組成計等、他の携帯機器にも本発明を適用できる。また、付属部材としては、携帯時計のバンド、遊革等を挙げているが、他のものとしてもよい。例えば、ケースに引き出し部を設けて、当該引き出し部を付属部材として、付属部材にバイパス部材を埋設するようにしてもよい。
【0088】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【解決手段】携帯時計10Aは、ケース11Aと、ケース11Aに収容された受電コイル21と、軟磁性材料を含んで構成されるバイパス部材30Aと、バイパス部材30Aが埋設され、充電装置40からの充電が行われる際に受電コイル21と充電装置40との間にバイパス部材30Aを配置するように変形可能である第1バンド15Aと、を備える。