【実施例】
【0201】
以下の実施例は、単に例証を目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0202】
実施例1−腫瘍標的化薬剤へのLightのカップリングまたは結合体化
変異体LIGHT送達システムまたは等価の送達システムの送達を可能にするために、変異体LIGHTを腫瘍標的化薬剤、例えば腫瘍特異的抗体にカップリングするまたは結合体化させることができる。例えば、LIGHTまたは変異体LIGHTに結合体化させた腫瘍特異的抗体を使用して、腫瘍部位に融合タンパク質を選択的に送達することができる。加えて、腫瘍特異的抗体を、ウイルス送達システムまたはリポソームビヒクル送達システムとカップリングするように設計することができる。変異体LIGHTを発現するおよび腫瘍標的化薬剤を内部に持つ送達ビヒクルは、先ず、特定の腫瘍細胞に標的化し、その後、その腫瘍細胞を、その細胞の表面で変異体LIGHTを発現するように形質転換させることになる。腫瘍細胞の表面でのこの標的化された変異体LIGHT発現は、その腫瘍の周囲の間質細胞上のケモカインを誘導して、T細胞を誘引し、T細胞のプライミングを開始させることになる。かかる処置は、固形腫瘍を含めて、すべての腫瘍に適している。4T1、MC38、B16および肥満細胞腫をAd−LIGHTで処置し、それらは、原発性および/または続発性腫瘍の低減を示した。したがって、抗体−LIGHTを使用して、様々な腫瘍に、特に、遠隔部位への原発性腫瘍細胞移動の結果として形成する転移に、標的化させることができる。例えば、全身注射により、抗her2/neu抗体とLIGHTは、her2/neuを発現する転移性腫瘍にLIGHTを運び、その後、局所免疫応答を発生させて腫瘍を一掃することができる。したがって、前記融合タンパク質を任意の全身および局所経路によって送達することができ、前記融合タンパク質は、抗体または別の薬剤の腫瘍抗原に対する特異性のため、より多く腫瘍に局在することになる。
【0203】
実施例2−LIGHT結合体化抗体の機能活性
LIGHT、LTβRおよびHVEMの受容体に結合する抗体−LIGHTの能力を、LTβR−IgおよびHVEM−Igをそれぞれ用いてフローサイトメトリーによって判定する。抗体−LIGHTの機能活性を、先ず、最適未満の用量のプレート結合抗CD3の存在下でT細胞を共刺激するその能力についてin vitroで試験する。抗体−LIGHTの機能性は、抗CD28のものに匹敵するようである。
【0204】
抗体−LIGHT融合タンパク質が、in vivoで腫瘍成長を阻害するかどうかを試験するために、マウスに5×10
4腫瘍細胞を10日間、皮下注射し、その後、10μgの前記融合タンパク質で処置する。腫瘍成長の阻害が、小用量、すなわち10μg、の融合タンパク質で実証され、この用量で腫瘍に対する強い免疫が可能になる。
【0205】
この実施例は、LIGHT、LTβRおよびHVEMの受容体に結合する抗体−LIGHTの能力を、LTβR−IgおよびHVEM−Igをそれぞれ用いてフローサイトメトリーによって実証し、ならびにLIGHTとカップリングさせた腫瘍特異的抗体が免疫を刺激して腫瘍成長を低減させることを実証する。
【0206】
実施例3−抗体−LIGHTカップルの併用処置およびアデノウイルス発現LIGHTの局所送達
抗体−LIGHT融合タンパク質または結合体の重要な有用性は、かかる標的化薬剤が、免疫系を有効に刺激しない少数の転移性腫瘍細胞または残留癌細胞の一掃に非常に効くことができることである。抗体−LIGHTと、アデノウイルス発現LIGHT、すなわちAd−LIGHTとを含む併用療法を試験する。
【0207】
腫瘍細胞を2部位に、一方には10
6個を用いて、他方の側には1×10
4個を用いて接種した。2週間後、大きいほうの腫瘍(10
6個)をAd−LIGHTで処置し、処置の2週間後に外科的に除去する。本明細書に記載する用量の抗体−LIGHTでマウスを全身処置する。このモデルは、原発性腫瘍へのAd−LIGHTの局所送達と併用での抗体−LIGHTが、遠位腫瘍の処置によく効く試薬であるかどうかを判定するものである。腫瘍特異的CD8
+T細胞のためのモデルとして、クロノタイプ抗体(1B2)によって容易に同定される2C T細胞を腫瘍保有マウスに養子移入することができる。養子移入した2C T細胞の輸送、増殖および活性化をモニターし、別の治療戦略と比較する。
【0208】
2つの臨床的に意義のある送達システム、Ad−LIGHTおよび抗体−LIGHTは、LIGHTを腫瘍組織に有効に標的化させ、その後、原発性腫瘍ばかりでなく遠位転移も破壊すると予想される。LIGHT媒介リンパ様構造の作製のために十分な長さのLIGHTの持続発現が、所望の抗腫瘍CD8
+T細胞応答を誘導する。
【0209】
実施例4−乳癌のための抗Her2/neu抗体−LIGHT療法
乳癌および結腸癌患者の五分の一は、Her2/neuを発現する。一般に、Her2に対する抗体は、これらの腫瘍の成長を減速させるが、それらを根絶しない。LIGHTとカップリングさせた抗Her2/neu抗体は、LIGHTを転移性腫瘍部位に標的化させる。前記抗Her2/neu抗体は、腫瘍成長を減速させ、アポトーシスを誘導し、それにより、そのカップリングされたLIGHTは、T細胞のLIGHT媒介動員および活性化が腫瘍内部で起こるように誘導することが可能になる。加えて、LIGHTはまた、FcR+ 細胞を動員して抗neu抗体の治療効果を強化する。ある実験モデルでは、LIGHTと連結させた抗体の10μgほども低い用量によりマウスにおいて腫瘍の成長が減速された。他のより低いまたはより高い用量が企図される。抗Her2/neu抗体−LIGHTは、乳癌転移のための新規処置剤である。
図2は、Adv−mmlitがneu+ N202腫瘍成長を阻害することを示す。
【0210】
実施例5−抗体−LIGHT融合体または結合体と化学療法薬の併用
腫瘍特異的抗体−LIGHT融合タンパク質または結合体を、抗腫瘍剤、例えばドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、メトトレキサート、シクロホスファミド、5−フルオロウリジン、ロイコボリン、イリノテカン(CAMPTOSAR(商標)もしくはCPT−11もしくはカンプトテシン−11もしくはカンプト)、カルボプラチン、フルオロウラシル・カルボプラチン、エダトレキサート、ゲムシタビン、もしくはビノレルビン、またはこれらの組み合わせなどと、さらにカップリングさせることができる。これらの薬物を別々に投与することができ、または抗体−LIGHT融合タンパク質または結合体との結合体化またはカップリングによって併用投与することができる。
【0211】
この併用療法を遺伝子療法と併用投与し、それによってプロテアーゼ耐性LIGHTを発現することが可能な核酸を腫瘍内部に送達することもできる。LIGHT核酸配列を内部に持つアデノウイルスベクター、すなわちAd−LIGHTが適している。
【0212】
実施例6−抗Her2抗体およびAd−LIGHT処置による腫瘍の相乗的抑制
抗neu抗体とLIGHT.TUBOの相乗作用。TUBOは、BALB−neuTマウスからの自然発生乳腺腫瘍から産生されるクローン化細胞系であり、細胞膜上でHER−2タンパク質を高度に発現する。この腫瘍系統は、in vitroおよびin vivoでの抗neu抗体処置に対して感受性である。しかし、腫瘍が十分に定着すると、抗体またはLIGHTいずれかのみの効果は、減少される。抗neu細胞を中断すると、3〜4週間以内にTUBO細胞は回復することができる。この2つの間に相乗作用があるかどうかを判定するために、TUBO細胞を18日間、定着させ、その後、ad−LIGHTと抗neu抗体の両方で週1回、3週間にわたって処置した。印象的に、この併用で検出できる癌はなく、その一方でいずれかの単独処置では腫瘍が漸進的に成長する(
図4〜5)。前記併用処置を投与したものを除き、各群の5匹のマウスすべてが腫瘍を有した。
【0213】
したがって、LIGHT媒介療法、例えば、Ad−LIGHT発現ベクターによるまたは腫瘍細胞への別の安定したLIGHT提示による療法と、任意の他の抗癌療法の併用は、相乗的腫瘍抑制治療法になる。
【0214】
実施例7−抗体−LIGHT融合タンパク質の産生
sc−Fv−LIGHTを発現させるために、scFV−58LIGHT(アミノ酸位置58−240を有するLIGHT断片)およびscFV−85LIGHT(81−84のプロテアーゼ部位を迂回してアミノ酸位置85−240を有するLIGHT断片)を構築した。抗Flag抗体は、非常に特異的かつ感受性であるので、ウエスタンブロット法に従ってFlag tapを前記LIGHT断片に取り付けた。かかるプラスミドを293細胞系にトランスフェクトした。それらの細胞を1週間後に回収し、溶解産物を調製し、抗flag抗体でブロットした。抗Flagウエスタンブロットの可視化により、scFV−85LIGHT発現の発現が、scFV−58LIGHTより高度であることが証明される。
【0215】
これは、抗体−LIGHT融合構築物が、融合タンパク質を産生すること、および結果として生ずる融合タンパク質を単離することができ、精製することができ、それを使用して、抗体−LIGHT融合タンパク質が腫瘍細胞に特異的に標的化し、それらの腫瘍細胞に対するT細胞の生産を刺激することを実証できることの証拠となる。LIGHTの同様の融合タンパク質を、腫瘍細胞表面抗原に対して作られるおよび好ましくは腫瘍特異的細胞表面抗原に標的化する任意の他の抗体を用いて作製することができる。
【0216】
実施例8−抗体−LIGHT融合構築物
腫瘍標的化抗体−LIGHT免疫サイトカインを産生させるために、次の工程を踏んだ:
a.LIGHTを安定性/親和性増加のために作出した;
b.scFV(neu)−LIGHT融合タンパク質を生産のために産生させた;および
c.そのscFV(neu)−LIGHT融合タンパク質をin vitroおよびin vivoで試験した。
【0217】
LIGHTを作出するために:
ヒトLIGHTをその作出のプラットホームとして使用した。
ヒトLIGHTは、マウスLIGHTより安定しているようであり(YDおよび事前発現);および
ヒトLIGHTは、ネズミ受容体と(弱く)交差反応する。
【0218】
LIGHTの作出の基準
a.ネズミおよびヒトLTbRおよびHVEMへの同等の結合、および可能であれば、DcR3への結合減少;および
b.生産を容易にするための改善された発現/安定性。
【0219】
酵母ディスプレイを使用して作出したタンパク質は、次のものを含む:2C T細胞受容体;Ly49C−c型レクチンNKR、2B4(CD244)−Ig様NKR、CD48−Ig様NKRならびにネズミおよびヒトKLRG1−c型レクチンNKR。他のCDRにおけるより親和性の高いクローンは、卓越したペプチド特異性を示す(
図12〜13)。
【0220】
LY49Cの作出は、LY49C−OVA/K
b複合体の高分解能結晶構造を可能にした(
図14)。pepMHC結合および特異性に対するペプチドの影響には「ドミノ効果」がある。そのペプチドから下方のLy49C接触領域まで水素結合ネットワークが相互作用する(
図15)。
【0221】
作出したCD48は、2B4−CD48複合体の結晶化を助長した(
図16)。
【0222】
酵母ディスプレイを使用してhLIGHTを作出した。正規化のためにエピトープタグを使用して、hLIGHTを接合接着受容体Aga2に融合させた。平衡、動態および熱安定性分析は、フローサイトメトリーによった(
図17〜19)。
【0223】
ヒトLIGHTの変異体は、マウスおよびヒトLTβRおよびHVEMに対して試験したとき、改善された結合特性および親和性を有した(
図20〜21)。
【0224】
scFV(neu)−LIGHT融合タンパク質を産生させた。グルタミンシンセターゼベクターは、MSXでの遺伝子増幅を可能にし、アデノE1aコトランスフェクションを転写増進のために使用した。C末端Strep−Tag II配列は、ウエスタンブロット、ELISA、フローサイトメトリーおよび高特異性1工程精製による検出をもたらす(
図22)。
【0225】
4つの所望の受容体すべてについて好適な結合を有するクローンの新たなセットを単離した。scFV−LIGHT融合体をCHO細胞において生産した。scGVおよびLIGHTの両方がそれらのそれぞれのリガンドを結合した(
図23〜24)。
【0226】
scFV(neu)−LIGHT融合タンパク質は、培養中のTubo細胞の成長を低下させる。融合タンパク質媒介細胞死は、腫瘍細胞上で発現されたLTβRに対するLIGHTの直接的効果のためであった(
図25〜27)。
【0227】
材料および方法
抗体−LIGHTの融合タンパク質の産生。標準的なプロトコルを用いて、腫瘍抗原または腫瘍細胞に高親和性で結合する抗体へのLIGHTの特異的標的化を可能にするヘテロミニボディと称する組換え抗体構築物を開発した。
【0228】
マウス、細胞系、および試薬。メスC3HXC57BL/6 F1(C3B6F1)マウス、4〜8週齢を米国国立癌研究所(National Cancer Institute)フレデリック癌研究施設(Frederick Cancer Reserch
Facility)(メリーランド州フレデリック)から購入した。C57BL/6−RAG−1−欠損(RAG−1
−/−)マウスをJackson Laboratory(メイン州バーハーバー)から購入した。RAG−2欠損/B6バックグラウンドのH−Y TCRトランスジェニックマウス(H−−Yマウス)をTaconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から購入した。10世代にわたって交配してB6にしたRAG−1欠損バックグラウンドの2C TCRトランスジェニックマウス(2Cマウス)は、J.Chen(マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)、マサチューセッツ州ボストン)によって提供された。OT−1 TCRトランスジェニックマウス(OT−1マウス)は、A.Ma(シカゴ大学(The University of Chicago))によって提供された。RAG−1
−/−、H−Y、2C、OT−1マウスをシカゴ大学の特定病原体除去施設において繁殖させ、維持した。動物の管理および使用は、施設のガイドラインに従った。
【0229】
AG104細胞のトランスフェクタントである、AG104A発現ネズミH−2L
d(AG104−L
d)は、以前に記載されている(Wick M、1997、JEM 186:229−38)。これらの腫瘍細胞系を、10%FCS(Sigma−Aldrich)と、100U/mL ペニシリンと、100μg/mL ストレプトマイシン(BioWhittaker)とを補足したDMEM(Mediatech)中で維持した。抗L
d(クローン30−5−7)および抗2C TCR(1B2)抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を、D.Sachs(米国国立衛生研究所(National Institute of Health)、メリーランド州ベセズダ)およびT.Gajweski(シカゴ大学)からそれぞれ得た。
【0230】
プロテインGカラムを用いて、当業者に公知の手順により、ハイブリドーマによって生産されたモノクローナル抗体を培養上清から精製した。その前駆1B2抗体は、シカゴ大学のモノクローナル抗体施設(Monoclonal Antiboy Facility)によってFITCまたはビオチンに結合体化された。PE結合抗CD8抗体、Cy−クロム(CyC)結合ストレプトアビジン、CyC結合抗CD44抗体、PE結合抗CD62L抗体、およびPE結合Th1.2抗体をBD Biosciencesから購入した。FITC結合体化ヤギ抗マウスIgGをCaltagから購入した。PE結合ストレプトアビジンをImmunotechから購入した。PE結合ロバ抗ヒトIgGをJackson Immunological Rsearch Lab(ペンシルバニア州ウエストグローブ)から購入した。ビオチン化ヤギ抗SLC抗体をR&D system Inc.(ミネソタ州ミネアポリス)から購入した。AP結合体化ウサギ抗ヤギIg抗体をVector Laboratories Inc.(カリフォルニア州バーリンゲーム)から購入した。精製されたヤギ抗SLC抗体をPeproTech(ニュージャージー州ロックヒル)から購入した。コラゲナーゼ(4型)をSigma−Aldrichから購入した。CFSEをMolecular Probeから購入した。
【0231】
in vivoでの腫瘍成長。腫瘍細胞をマウスの下背、すなわち尾の付け根の0.5〜1cm上、に皮下注射した。キャリパーで3から4日おきに腫瘍成長を測定した。立方センチメートルでのサイズを式πabc/6(式中、a、bおよびcは、直交する3つの直径である)によって計算した。
【0232】
組織学。組織学的検査のための腫瘍組織を示されている時間に採取し、10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィン包埋用に処理し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。SLCの免疫組織化学染色のために、腫瘍組織を回収し、OCT化合物(Miles−Yeda、イスラエル国レホヴォト)に包埋し、−70℃で凍結した。凍結切片(5〜10μm厚)をPBS中2%の冷ホルマリンで固定し、0.1%サポニン/PBSで透過性化した。それらの切片を加湿チャンバの中で半時間、室温で、0.1%サポニン/PBS中の5%ヤギ血清でプレブロックした。SLCの染色は、ブロッキングバッファ中、1/25希釈でのビオチン化ヤギ抗SLC抗体(R&D systems Inc.ミネソタ州ミネアポリス)とともに先ずインキュベートすることによって行った。アルカリホスファターゼ結合体化抗ヤギIg抗体(Vector Laboratories Inc.カリフォルニア州バーリンゲーム)を2時間後に添加した。免疫蛍光染色のために、切片を加湿チャンバの中で半時間、室温で、PBS中の2%正常マウス血清、ウサギ血清およびヤギ血清でブロックした。ブロッキング溶液を50μLの一次Absと交換した。ブロッキング溶液で1/100希釈したPE結合体化抗Th1.2(BD PharMingen)またはPE結合体化抗CD8(BD PharMingen)と切片とを加湿チャンバの中で1時間、室温でインキュベートした。10%1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタンを含有するMowiol 4−88(BD Biosciences、カリフォルニア州ラホーヤ)に検査試料を入れた。Zeiss Axioplan顕微鏡(Zeiss、ドイツ国オーバーコッヘン)およびPhotometrics PXL CCDカメラ(Photometrics、アリゾナ州トゥーソン)を使用して、48時間以内に試料を分析した。Openlab v2.0.6(Improvision、マサチューセッツ州レキシントン)を使用して、無近接デコンボリューション(no−neighbor deconvolution)を行った。
【0233】
CCL21についてのELISA。腫瘍ホモジネートを調製し、CCL21について分析した。腫瘍保有マウスから匹敵する量の腫瘍組織を採取し、計量し、プロテアーゼ阻害剤を含有するPBS中で均質化し、上清を遠心分離によって回収した。ポリスチレン96ウェルマイクロタイタープレート(Immulon 4、Dynatech Laboratories、バージニア州シャンティリー)をPBS中の2μg/mLのヤギ抗マウスCCL21でコーティングし、その後、PBS中の0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)で30分間、室温でブロックした。洗浄後、既知濃度の標準物質(組換えCCL21、50ng/mL、R&D)および試料の系列希釈物を添加し、2時間、室温でインキュベートした。3回の洗浄後、ビオチン化ウサギ抗SLC Abをウェルに添加した。2時間のインキュベーションおよび洗浄の後、50μLの1/1000希釈アルカリホスファターゼ結合体化アビジン(Dako)を1時間にわたって添加し、その後、現像した。自動プレートリーダー(Spectra−Max 340、Molecular Devices、カリフォルニア州サニーヴェール)を用いて405nmで発色現像を測定し、CCL21の量をELISAにより標準曲線から決定し、組織重量に従って正規化した。データは、平均+−標準偏差である。
【0234】
T細胞共刺激アッセイ。製品(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバン)による指図どおりに磁場でのネガティブ選択法によってT細胞を精製した。単離されたT細胞の純度は、CD3に対するモノクローナル抗体を使用するフローサイトメトリーによって評価して95%より高かった。CD3に対するモノクローナル抗体(0.2g/mL)をコーティングしたプレートを37℃で4時間、さらに変異体LIGHT−flagでコーティングした。洗浄した後、精製されたT細胞(1×10
6細胞/mL)をそれらのウェルで培養した。CD28に対するモノクローナル抗体(1μg/mL)を可溶性形態で使用した。すべてのアッセイにおいて、3日培養の最後の15時間の間、1Ci/ウェルの
3H−チミジンの添加によりT細胞の増殖を評価し、
3H−チミジン組み込みをTopCountマイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Packard instrument、コネチカット州メリデン)で測定した。
【0235】
腫瘍組織からの細胞単離。先ず、マウスを出血させて腫瘍組織の血液濃度を低下させた。それらの腫瘍組織を採取し、PBSで洗浄し、細片に切断し、2%FCSと1.25mg/mLのコラゲナーゼD(コラゲナーゼD溶液)とを補足したDMEMに40分間、37℃振盪インキュベーターにおいて再浮遊させた。その単個細胞浮遊液を40分後に回収し、すべての腫瘍組織が単個細胞浮遊液に分解されるまで細胞集塊をさらに40分間、コラゲナーゼD溶液中で消化した。
【0236】
医薬組成物。ここで用いる治療用組成物を、所望の送達方法に適する担体を含む医薬組成物に調合することができる。適する担体は、その治療用組成物と併せたときにその治療用組成物の抗腫瘍機能を保持する材料を含む。例としては、多数の標準的医薬担体、例えば、滅菌リン酸緩衝食塩溶液、静菌水、およびこれらに類するものが挙げられる。治療調合物を可溶化することができ、その治療用組成物の腫瘍部位への送達に適する任意の経路によって投与することができる。潜在的に有効な投与経路としては、静脈内投与経路、非経口投与経路、腹腔内投与経路、筋肉内投与経路、腫瘍内投与経路、皮内投与経路、器官内投与経路、同所投与経路およびこれらに類するものが挙げられる。静脈内注射のための調合物は、保存静菌水、滅菌非保存水の溶液中の、および/または注射用の滅菌塩化ナトリウムが入っているポリ塩化ビニルもしくはポリエチレンバッグの中で希釈された、治療用組成物を含む。治療用タンパク質製剤を凍結乾燥させ、滅菌粉末として、好ましくは真空下で保管することができ、その後、注射の前に静菌水(例えば、ベンジルアルコール保存薬を含有するもの)中でまたは滅菌水で再構成することができる。本明細書に開示する方法を用いる癌の処置のための投薬量および投与プロトコルは、その方法およびその標的癌によって様々であり得、一般に、当該技術分野において正しく認識されているおよび了解されている多数の因子に依存する。
【0237】
脾臓および腫瘍におけるサイトカインの測定。腫瘍および脾臓ホモジネートを記載されている(Yuら、2003、JEM197:985−995)ように調製した。簡単に言うと、匹敵する量の腫瘍または脾臓組織を採取し、計量し、プロテアーゼ阻害剤を含有するPBS中で均質化し、上清を遠心分離によって回収した。それらの上清の中のサイトカインの量を、CellQuestProおよびCBAソフトウェア(Becton Dickinson)を装備したFACS Caliberサイトメーターでサイトメトリック・ビーズ・アレイ・キット(cytometric bead array:CBA)(BD Biosciences)をその製品の使用説明書に従って使用して定量した。
【0238】
腫瘍成長の差についての統計分析。腫瘍成長をある期間にわたって繰り返し同じマウスで観察したため、長期的データのための変量モデルを用いてかかるデータを分析した。各実験について、腫瘍成長は、処置に依存すると、およびある期間にわたって線形成長速度に従うと想定した。このモデルにより、各群についての線形成長の切片および傾きの総合推定値を得た。その切片および傾きの両方を個々のマウス間で変化させる。傾き、すなわち、成長速度を比較し、異なる処置群間で異なった。なぜなら、実際の腫瘍成長は、全追跡調査期間にわたっては線形成長傾向に従わないことがあるからである。一部の実験では、腫瘍成長の増加は、初期に遅く、後期に早くなった。上記ランダム効果モデルにおける追跡調査時間に二次項を追加した。
【0239】
変異体LIGHT発現ベクターおよびクローンpcDNA3.1−LIGHTの産生をテンプレートとして使用して、PCRにより2つのdsDNA断片AおよびBを産生させた。断片A(約500b.p.)の産生のために、センスプライマー
【0240】
【化37】
【0241】
(太字は、BamHI部位を示す)およびアンチセンスプライマー
【0242】
【化38】
【0243】
を使用した。断片B(約200b.p.)を産生させるために、センスプライマー
【0244】
【化39】
【0245】
およびアンチセンスプライマー
【0246】
【化40】
【0247】
(下線付きのテキストはXbaI部位を示す)を使用した。断片Aについてのアンチセンスプライマーは、アミノ酸(a.a.)73−87についての配列であって、その中のa.a.79−82が欠失されている配列をカバーする断片Bについてのセンスプライマーと相補的(complimentary)である。断片AおよびBを混合し、94℃で変性させ、室温に冷却して2つのDNA断片をアニールした。アニールされたDNA産物をPCR反応のためのテンプレートとして使用し、BamHIおよびXbaIを使用してその産物をpcDNA3.1にクローニングした。a.a.79−82の欠失をシークエンシングによって検証した。pMFG−変異体LIGHTを産生させるために、pcDNA3.1−変異体LIGHTをNcoIおよびBamHIで消化し、NcoIおよびBamHIで消化されたpMFG−S−TPAプラスミド(Mulligan R C、マサチューセッツ工科大学、マサチューセッツ州ボストン)にライゲートした。
【0248】
変異体ヒトLIGHTをコードする核酸の患者への送達は、直接的であることがあり、この場合は前記患者を前記核酸もしくは核酸担持ベクターに直接曝露し、または間接的であることもあり、この場合は、生検から得た腫瘍細胞を先ずin vitroで前記核酸で形質転換し、照射し、その後、前記患者に移植する。これらのアプローチは、腫瘍の抑制または他の病気の処置のための遺伝子療法において常例的に実施されている。
【0249】
核酸の送達。核酸配列をin vivoで直接投与し、投与された場所でそれらの核酸は発現され、コードされている産物を生産する。これは、当該技術分野において公知の非常に多くの方法のうちのいずれかにより、例えば、それらを適切な発現ベクターの一部として構築し、それを、それらが細胞内になるように投与することによって、例えば、欠陥もしくは弱毒レトロウイルスまたは他のウイルスベクターを使用する感染(米国特許第4,980,286号明細書)によって、または裸のDNAの直接注射によって、または微粒子ボンバードメントの使用、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でのコーティング、リポソーム、微粒子もしくはマイクロカプセル内への封入によって、または核に侵入することが公知であるペプチドに連結した状態でそれらを投与することによって、受容体媒介エンドサイトーシスを受けるリガンドに連結した状態でそれを投与すること(これを用いて、前記受容体を特異的に発現する細胞タイプに標的化させることができる)によって果たすことができる。あるいは、前記核酸を細胞内に導入することができ、発現のために宿主細胞DNA内に相同組換えによって組み込むことができる。
【0250】
生体分解性マイクロスフェアは、核酸を封入するものであり、遺伝子送達においても使用されている。ジヒドラジドで誘導体化され、核酸に架橋されて徐放性マイクロスフェアを形成するヒアルロン酸(HA)を含むマイクロスフェア、例えば、マトリックス、フィルム、ゲルおよびヒドロゲルは、核酸を送達するために使用されている。米国特許第6,048,551号明細書には、遺伝子ベクターを封入するためにポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースおよびコポリマーマイクロスフェアを利用する制御放出遺伝子送達システムが開示されている。
【0251】
上述の方法の実施の際に使用する治療用組成物を、所望の送達方法に適する担体を含む医薬組成物に調合することができる。適する担体は、その治療用組成物と併せたときにその治療用組成物の抗腫瘍機能を保持する材料を含む。例としては、多数の標準的医薬担体、例えば、滅菌リン酸緩衝食塩溶液、静菌水、およびこれらに類するものが挙げられる。治療調合物を可溶化することができ、その治療用組成物の腫瘍部位への送達が可能な任意の経路によって投与することができる。潜在的に有効な投与経路としては、静脈内投与経路、非経口投与経路、腹腔内投与経路、筋肉内投与経路、腫瘍内投与経路、皮内投与経路、器官内投与経路、同所投与経路およびこれらに類するものが挙げられる。静脈内注射のための好ましい調合物は、保存静菌水、滅菌非保存水の溶液中の、および/または注射用の滅菌塩化ナトリウムが入っているポリ塩化ビニルもしくはポリエチレンバッグの中で希釈された、治療用組成物を含む。治療用タンパク質製剤を凍結乾燥させ、滅菌粉末として、好ましくは真空下で保管することができ、その後、注射の前に静菌水(例えば、ベンジルアルコール保存薬を含有するもの)中でまたは滅菌水で再構成することができる。上述の方法を用いる癌の処置のための投薬量および投与プロトコルは、その方法およびその標的癌によって様々であり得、一般に、当該技術分野において正しく認識されている多数の因子に依存することになる。
【0252】
ウイルスベクターを使用する送達。本発明の抗体をコードする核酸配列を含有するウイルスベクターを特定の核酸の送達に使用する。例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みに必要な成分を含有する。遺伝子療法に使用される所望のタンパク質をコードする核酸配列を、遺伝子の患者への送達を助長する1つ以上のベクターにクローニングする。アデノウイルスは、遺伝子療法において使用することができる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、気道上皮に遺伝子を送達するための特に魅力的なビヒクルであり、アデノウイルス系送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスには、非分裂細胞を感染させることが可能であるという利点がある。アデノ関連ウイルス(adeno−associated virus:AAV)も遺伝子療法での使用に提案されている(米国特許第5,436,146号明細書)、レンチウイルスは、遺伝子療法での使用に有望である。
【0253】
組織培養中の細胞のトランスフェクション、その後の患者への送達。遺伝子療法へのもう1つのアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法による組織培養中の細胞への遺伝子の移入を含む。通常、前記移入方法は、選択可能マーカーの細胞への移入を含む。その後、それらの細胞を選択下に置いて、移入遺伝子を取り込んだおよびその移入遺伝子を発現する細胞を単離する。その後、それらの細胞を患者に送達する。この方法では、核酸を細胞に導入した後、結果として生ずる組換え細胞をin vivo投与する。かかる導入を当該技術分野において公知の任意の方法によって行うことができ、その方法としては、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、前記核酸配列を含有するウイルスもしくはバクテリオファージでの感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子移入、微小核細胞融合法、スフェロプラスト融合などが挙げられるが、これらに限定されない。前記技法は、前記核酸が前記細胞によって発現可能であるような、好ましくはその細胞の子孫によって遺伝可能および発現可能であるような、前記核酸の前記細胞への安定した移入に備えるものである。
【0254】
結果として得られる組換え細胞を照射してもよく、および当該技術分野において公知の様々な方法によって患者に送達することができる。組換え細胞(例えば、造血幹または前駆細胞)を好ましくは静脈内投与する。使用が考えられる細胞の量は、所望の効果、患者の状態などに依存し、当業者はそれを決めることができる。遺伝子療法を目的として核酸を導入することができる細胞は、任意の所望の、利用可能な細胞タイプを包含し、それらとしては、上皮細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞、血球、例えばTリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球;様々な幹または前駆細胞、特に、造血幹または前駆細胞、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などから得られるようなものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
ワクチン。本明細書において用いる場合、用語「ワクチン」は、腫瘍特異的免疫応答を惹起する組成物(例えば、変異体ヒトLIGHT抗原およびアジュバント)を指す。これらのワクチンは、予防用(新たな腫瘍を防止する)ワクチンおよび治療用(親腫瘍を根絶する)ワクチンを含む。変異体ヒトLIGHTをコードするDNAワクチンなどのワクチンベクターを使用して、腫瘍に対する免疫応答を惹起することができる。その応答をある部位(例えば、腫瘍から遠隔の部位)へのワクチン組成物の投与によって被験者自体の免疫系から惹起する。その免疫応答が、結果として、体内の腫瘍細胞(例えば、原発性腫瘍細胞と転移性腫瘍細胞の両方)を根絶させることになり得る。腫瘍ワクチンの産生方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,994,523号および同第6,207,147号明細書を参照されたし。これらの参照資料の各々が参照により本明細書に援用されている)。
【0256】
前記ワクチンは、医薬組成物中に1つ以上の腫瘍抗原を含むことがある。一部のケースでは、前記腫瘍抗原は、投与前に不活性化される。他の実施形態では、前記ワクチンは、1つ以上の追加の治療薬(例えば、サイトカインまたはサイトカイン発現細胞)をさらに含む。
【0257】
一定のケースでは、例えば常例的皮膚生検から得た、線維芽細胞などの、患者からの選択された細胞を、1つ以上の所望のタンパク質を発現するように遺伝子修飾する。あるいは、免疫系において通常は抗原提示細胞としての役割を果たす患者細胞、例えば、マクロファージ、単球およびリンパ球もまた、1つ以上の所望の抗原を発現するように遺伝子修飾することができる。その後、それらの抗原発現細胞を、患者の腫瘍細胞(例えば、腫瘍抗原)、例えば、照射腫瘍細胞の形態でのもの、または代替的に、精製された自然もしくは組換え腫瘍抗原の形態でのものと混合し、免疫処置において例えば皮下的に用いて、全身性の抗腫瘍免疫を誘導する。上に記載したものをはじめとする(しかしそれらに限定されない)任意の適する方法によって、前記ワクチンを投与することができる。
【0258】
ケモカイン、接着分子、およびナイーブT細胞のプライミングのための共起刺激分子を含む、以下のもののうちの少なくとも1つの刺激によって、癌転移を低減させることができる。癌タイプとしては、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌および皮膚癌が挙げられる。
【0259】
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「移入」残基と呼ばれ、これらの残基は、典型的には「移入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、Winterおよび共同研究者[Jones ら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、 332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988)]の方法に従って、齧歯動物CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって行うことができる。したがって、かかる「ヒト化」抗体は、インタクトヒト可変ドメインより実質的に少ないヒト可変ドメインが非ヒト種からの対応する配列によって置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号明細書)である。実際、ヒト化抗体は、典型的に、一部のCDR残基およびことによると一部のFR残基が齧歯動物抗体における類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
【0260】
様々な形態のヒト化抗体−LIGHT融合体または結合体が企図される。例えば、前記ヒト化抗体は、LIGHTまたはその細胞外断片と結合体化している抗体断片、例えばFabであってもよい。あるいは、前記ヒト化抗体は、インタクト抗体、例えばインタクトIgG1抗体であってもよい。
【0261】
ヒト化の代案として、ヒト抗体を産生させることができる。例えば、免疫処置により内因性免疫グロブリン生産不在下で様々ヒト抗体を生産することが可能であるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生産することができる。例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255−258(1993)を参照されたし。
【0262】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら。Nature 348:552−553(1990))を用いて、免疫処置を受けたドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体断片をin vitroで生産することができる。この技法によると、抗体Vドメイン遺伝子を糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfd、のメジャーまたはマイナーコートタンパク質いずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面に機能性抗体断片としてディスプレイさせる(例えば、Johnson、Kevin S、およびChiswell,David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564−571 (1993)を参照されたし)。ヒト抗体をin
vitro活性化B細胞によって産生させることもできる(例えば、米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号明細書を参照されたし)。
【0263】
抗体断片の生産のために様々な技術が開発されている。伝統的に、これらの断片は、インタクト抗体のタンパク質分解性消化によって誘導された。しかし、これらの断片を組換え宿主細胞によって直接生産することもできる。Fab、FvおよびScFv抗体断片すべてを大腸菌(E.coli)において発現させ、大腸菌から分泌することができ、かくして大量のこれらの断片の容易な生産を可能にすることができる。抗体断片を抗体ファージライブラリーから単離することができる。例えば、前記抗体断片は、例えば米国特許第5,641,870号明細書に記載されているような「線状抗体」であることもある。かかる線状抗体断片は、単一特異性であることもあり、または二重特異性であることもある。
【0264】
抗体と共起刺激分子、例えばLIGHT、の結合体を、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジピミド酸ジメチル・HCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トルエン(tolyene)2,6−ジイソシアナート)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して、作製することができる。LIGHTまたはその断片の細胞外ドメインを、腫瘍抗原、好ましくは表面腫瘍抗原、に特異的である抗体または抗体断片に結合体化させる。
【0265】
あるいは、抗腫瘍抗原抗体とLIGHTとを含む融合タンパク質を例えば組換え法またはペプチド合成によって作製することができる。DNAの長さは、前記結合体の2つの部分をコードしているそれぞれの領域を含むことができ、これらの領域は、互いに隣接しているか、前記結合体の所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって隔てられている。
【0266】
本明細書に開示する抗体−LIGHT複合体を免疫リポソームとして調合することもできる。「リポソーム」は、哺乳動物への薬物の送達に有用である様々なタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤で構成された小胞である。リポソームの成分は、一般に、生体膜の脂質配列に類似した二層構成で配列されている。抗体を含有するリポソームを当該技術分野において公知の方法、例えば、米国特許第4,485,045号明細書および第4,544,545号明細書ならびに1997年10月23日に公開された国際公開第97/38731号パンフレットに記載されている方法によって調製する。循環時間が増されたリポソームは、米国特許第5,013,556号明細書に開示されている。
【0267】
疾患の予防または処置のための投薬量および投与方式は、医師により公知の基準に従って選ばれることになる。LIGHT、抗体−LIGHT結合体または融合産物の適切な投薬量は、処置すべき癌のタイプ、疾患の重症度および経過、腫瘍のサイズ、転移の程度、抗体を予防目的で投与するのかまたは治療目的で投与するのか、以前の治療、患者の臨床履歴および抗体に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。LIGHTまたは抗体−LIGHT組成物を患者に1回でまたは一連の処置を用いて適切に投与することができる。好ましくは、前記組成物を静脈内注入によってまたは皮下注射によって投与する。疾患のタイプおよび重症度に依存して、約1μg/kgから約50mg/kg体重(例えば、約0.1〜15mg/kg/用量)の抗体が、例えば、1回以上の別々の投与によろうと、または持続注入によろうと、患者への投与のための初期の候補投薬量であり得る。ある投薬レジメンは、約5mg/kgの初期負荷用量、続いて、約2mg/kgの週間維持用量の抗TAT抗体の投与を含むことがある。しかし、他の投薬レジメンが有用であることもある。典型的な日用量は、上で言及した要因に依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上にわたり得る。数日以上にわたる反復投与については、その病態に依存して、疾患の症状の所望の抑制、例えば腫瘍サイズ/体積の縮小および転移の低減、が起こるまで、処置を継続する。この治療の進捗を従来の方法およびアッセイによって、ならびに医師または他の当業者に公知の基準に基づいて、モニターすることができる。
【0268】
【表1】
【0269】
(項目1)
核酸配列によってコードされたアミノ酸配列を有する変異体LIGHT分子であって、
i)野生型ヒトLIGHTと比較して増大した親和性でLIGHTのネズミ受容体に結合し、かつ
ii)野生型ヒトLIGHTと少なくとも同じ親和性でLIGHTのヒト受容体に結合する、
変異体LIGHT分子。
(項目2)
変異が、LIGHTの細胞外ドメインのコーディング配列内にある、項目1に記載の変異体LIGHT分子。
(項目3)
上記細胞外ドメインが、
図6または7に列挙されているアミノ酸配列(出現順に、それぞれ、配列番号6−8、8−10、10、4、3、5、5、11−13、12、14−17、20、19−23、45、20、および25)から成る群より選択される、項目2に記載の変異体LIGHT分子。
(項目4)
野生型ヒトLIGHTタンパク質の細胞外ドメインの214位にリシンからグルタミン酸へのアミノ酸置換を有する、項目2に記載の変異体LIGHT分子。
(項目5)
変異体LIGHTタンパク質、ペプチド、タンパク質またはペプチドの断片、および変異体LIGHTをコードする核酸分子の発現産物から成る群より選択される、項目1に記載の変異体LIGHT分子。
(項目6)
ヒトLIGHT配列に由来するアミノ酸配列を含む、項目1に記載の変異体LIGHT分子。
(項目7)
項目1に記載の変異体LIGHT分子を含む免疫学的組成物。
(項目8)
項目1に記載の変異体LIGHT分子に連結、結合体化または融合された腫瘍特異的薬剤を含む医薬組成物であって、腫瘍細胞に対して細胞傷害性のTリンパ球を刺激するために十分なものである、医薬組成物。
(項目9)
上記薬剤が、上記変異体LIGHT分子に化学的に結合体化されている、項目8に記載の組成物。
(項目10)
上記薬剤が、ヒト化モノクローナル抗体である、項目8に記載の組成物。
(項目11)
上記薬剤が、キメラ抗体である、項目8に記載の組成物。
(項目12)
上記薬剤が、ヘテロミニボディである、項目8に記載の組成物。
(項目13)
上記薬剤が、一本鎖抗体である、項目8に記載の組成物。
(項目14)
上記薬剤が、腫瘍抗原を認識するために十分な抗体断片である、項目8に記載の組成物。
(項目15)
上記変異体LIGHT分子が、細胞傷害性T細胞を刺激するために十分な細胞外ドメインのセクションを含む、項目8に記載の組成物。
(項目16)
上記セクションが、LIGHTの約100〜150個のアミノ酸をヒトLIGHTアミノ酸の順序で含む、項目15に記載の組成物。
(項目17)
上記セクションが、ヒトLIGHTタンパク質の約85〜240位からのアミノ酸配列を含む、項目15に記載の組成物。
(項目18)
変異体LIGHTが、プロテアーゼ認識配列EQLI(残基81〜84)(配列番号1)に変異を含み、それによって上記プロテアーゼ認識配列が不活性化される、項目8に記載の組成物。
(項目19)
変異体LIGHTが、欠失を含む、項目8に記載の組成物。
(項目20)
上記変異体LIGHTが、アミノ酸配列
【0270】
【化41】
【0271】
を含む細胞外ドメインに変異を含む、項目8に記載の組成物。
(項目21)
m4−14、m4−7およびm4−16と称する変異体LIGHT細胞外ドメイン配列。
(項目22)
原発性腫瘍の成長の低減に使用するためのまたは癌転移の処置のための、項目1に記載の変異体LIGHT分子に連結、結合体化または融合された腫瘍特異的薬剤を含む医薬組成物。
(項目23)
図6および7(出現順に、それぞれ、配列番号6−8、8−10、10、4、3、5、5、11−13、12、14−17、20、19−23、45、20、および25)に記載のヒト(hLIGHT)変異体分子。
(項目24)
項目23に記載の分子とHer−2に対する抗体とを含む融合タンパク質。
(項目25)
腫瘍細胞を特異的に認識する薬剤との組み合わせでプロテアーゼ耐性LIGHTタンパク質の断片を含む組成物。
(項目26)
上記薬剤が、腫瘍抗原に対する抗体である、項目25に記載の組成物。
(項目27)
上記薬剤が、腫瘍表面受容体を結合するリガンドである、項目25に記載の組成物。
(項目28)
LIGHT分子と連結、融合または結合体化された腫瘍抗原を認識するアミノ酸領域を含むキメラタンパク質であって、上記LIGHT分子が、腫瘍環境でプロテアーゼ消化に対して耐性であるか、または変異体LIGHT分子である、キメラタンパク質。
(項目29)
項目1に記載の変異体LIGHT分子を腫瘍に送達するための方法であって、上記方法は:(a)上記分子をコードする核酸分子を有するアデノウイルスまたは;(b)ナノ粒子;または(c)直接移入(direct transfer)を含む、方法。
(項目30)
原発性腫瘍の成長または癌転移を低減させる方法であって、上記方法は:(a)LIGHTポリペプチド変異体または断片に連結、結合体化または融合された腫瘍特異的薬剤を含む医薬組成物を投与する工程であって、ここで、上記組成物は、細胞傷害性Tリンパ球の生産を刺激するために十分なものである、工程;および(b)上記原発性腫瘍の成長または癌転移を、上記腫瘍に対する腫瘍特異的T細胞の活性化を刺激することによって低減させる工程を含む、方法。
(項目31)
上記薬剤が、表面腫瘍抗原を認識する抗体である、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記薬剤が、HER2、HER4、HERB、EGFR、STEAP、c−MET、アルファフェトプロテイン(AFP)、癌胎児抗原(CEA)、CA−125、MUC−1;rasまたはp53の異常産物;およびDcR3から成る群より選択される腫瘍抗原に特異的な抗体である、項目30に記載の方法。
(項目33)
上記薬剤が、上記LIGHT断片に化学的に結合体化されているか、または上記LIGHT断片に組換え融合されている抗体である、項目30に記載の方法。
(項目34)
上記LIGHT断片が、ヒトLIGHTタンパク質のアミノ酸85−240を含むLIGHTの細胞外ドメインを含む、項目30に記載の方法。
(項目35)
上記医薬組成物が、静脈内投与される、項目30に記載の方法。
(項目36)
上記癌転移が、ケモカイン、接着分子、およびナイーブT細胞をプライミングするための共起刺激分子の少なくとも1つの生産を刺激することにより低減される、項目30に記載の方法。
(項目37)
上記癌が、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、腎癌、肝臓癌、白血病および皮膚癌から成る群より選択される、項目30に記載の方法。
(項目38)
化学療法薬または放射線療法を投与する工程をさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目39)
腫瘍の成長および癌転移を低減させる方法であって、上記方法は:(a)項目8に記載の組成物を投与する工程;または(b)LIGHTをコードする核酸分子もしくはその断片を個体の腫瘍部位に導入する工程であって、上記LIGHTは、細胞外ドメインに変異を含むか、プロテアーゼ耐性であり、かつLIGHTは、腫瘍細胞表面に安定して存在する、工程;および(c)上記原発性腫瘍の成長・癌転移を、上記腫瘍に対する腫瘍特異的T細胞の活性化を刺激することにより低減させる工程を含む、方法。
(項目40)
核酸が、既存の腫瘍部位に送達されるか、または既存の腫瘍部位に対して遠位の部位に送達される、項目39に記載の方法。
(項目41)
原発性腫瘍の成長および癌転移を低減させる方法であって、上記方法は:(a)腫瘍特異的抗体を含む医薬組成物を投与する工程;(b)LIGHTタンパク質をコードする核酸分子を腫瘍部位に導入する工程であって、上記LIGHTは、ヒトLIGHTタンパク質またはその変異体もしくは断片であるか、あるいはプロテアーゼ耐性である、工程;(c)腫瘍細胞の表面で上記LIGHTタンパク質またはその断片を安定して発現させる工程;および(d)上記腫瘍の成長および癌転移を、上記腫瘍に対する腫瘍特異的T細胞の活性化を刺激することによって低減させる工程を含む、方法。