特許第6113887号(P6113887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113887フコースアナログを用いるイン・ビボでのタンパク質フコシル化の阻害方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113887
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】フコースアナログを用いるイン・ビボでのタンパク質フコシル化の阻害方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/70 20060101AFI20170403BHJP
   A61K 31/7024 20060101ALI20170403BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170403BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A61K31/70
   A61K31/7024
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61K39/00 H
   A61K9/08
   A61K9/14
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2016-76930(P2016-76930)
(22)【出願日】2016年4月7日
(62)【分割の表示】特願2013-523380(P2013-523380)の分割
【原出願日】2011年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-175909(P2016-175909A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】61/371,116
(32)【優先日】2010年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シアトル ジェネティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(72)【発明者】
【氏名】センター,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】アレー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン,デニス
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−528037(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/081031(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/135181(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/005735(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/70
A61K 9/08
A61K 9/14
A61K 31/7024
A61K 39/00
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の下記式(III)および(IV)のうちの一つからなる群から選択されるフコースアナログまたはそれの生物学的に許容される塩を含む、哺乳動物における癌の治療において使用するための、哺乳動物への投与用に製剤された医薬組成物。
【化1】
[式中、
式(III)または(IV)のそれぞれはαもしくはβアノマーまたは相当するアルドース型であることができ;
R1、R3およびR4のそれぞれが独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルから選択され;
R2がFであり;
R2aおよびR3aがそれぞれHであり;
R5が-CH3である。]
【請求項2】
R1、R3およびR4のそれぞれが独立に-OHおよび-OAcから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R1、R3およびR4のそれぞれが-OHである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
フコースアナログが2-デオキシ-2-フルオロ-L-フコースもしくは相当するアルドース型またはそれの生物学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
癌関連抗原またはそれの抗原性断片を免疫原としてさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
粉剤の形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
液体の形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物がヒトへの投与用に製剤される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
哺乳動物におけるタンパク質フコシル化を低下させるための医薬の製造におけるフコースアナログの使用であって、前記フコースアナログが、下記式(III)および(IV)のうちの一つまたはそれの生物学的に許容される塩からなる群から選択される前記使用。
【化2】
[式中、
式(III)または(IV)のそれぞれはαもしくはβアノマーまたは相当するアルドース型であることができ;
R1、R3およびR4のそれぞれが独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され;
R2がFであり;
R2aおよびR3aがそれぞれHであり;
R5が-CH3である。]
【請求項10】
R1、R3およびR4のそれぞれが独立に-OHおよび-OAcから選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
フコースアナログが2-デオキシ-2-フルオロ-L-フコースもしくは相当するアルドース型またはそれの生物学的に許容される塩である、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フコースアナログを用いるイン・ビボでのタンパク質フコシル化の阻害方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2010年8月5日出願の米国暫定特許出願第61/371,116号の恩恵を主張するものであり、当該出願の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
6-デオキシ-L-ガラクトースとも称されるL-フコースは、動物におけるいくつかのN-およびO-連結グリカン類および糖脂質の成分である単糖類である(Becker and Lowe, Glycobiology 13:41R-51R (2003)参照。)。フコースは代表的には、血液型抗原、セレクチン類および抗体に結合するグリカンなどのグリカン類への末端修飾として加えられる。フコースは、特異的フコシルトランスフェラーゼによって、α(1,2)-、α(1,3)-、α(1,4)-およびα(1,6)-連結を介してグリカンに結合させることができる。α(1,2)-フコース連結は代表的には、H-血液型抗原に関連している。α(1,3)-およびα(1,4)-フコース連結は、ルイスX抗原の修飾に関連している。α(1,6)-フコース連結は、抗体上のものなどのN-連結GlcNAc分子に関連する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Becker and Lowe, Glycobiology 13:41R-51R (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質のフコシル化は、哺乳動物発達において何らかの役割を果たすと考えられている。FX遺伝子の標的突然変異に関してホモ接合性であるマウスは、致死表現型などの多形質異常を示す。ヘテロ接合性交差からのマウスの回復低下も報告されている(Becker et al., Mammalian Genome 14:130-139 (2003)。異常タンパク質フコシル化が、癌におけるシアリルルイスXおよびシアリルルイスyでの上昇などのヒト疾患に関連することが提案されている。これらのグリカン類は、E-およびP-セレクチン分子のリガンドである。癌細胞でのシアリルルイスXおよびシアリルルイスyグリカンの増加が内皮上でのE-およびP-セレクチンとの相互作用を介しての転移癌を増加させると予想される。関節リウマチ患者において、フコシル化グリカンの増加が観察されている。しかしながら現在では、タンパク質フコシル化レベルを標的とする治療手法で承認されたものはない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の方法および組成物は、一部において、実施例で提供される予想外の結果を前提とするものであり、フコースアナログを投与された動物でタンパク質フコシル化が低下することを示している。本明細書に記載のフコースアナログを用いて、抗体および他のタンパク質のフコシル化を調節することができる。
【0007】
1態様において、脱フコシル化タンパク質のイン・ビボ産生のための方法および組成物が提供される。フコースアナログ(式I、II、III、IV、VまたはVIを有する)を投与された哺乳動物などの動物は、フコシル化が低下した状態で、細胞表面タンパク質などのタンパク質を産生する。フコシル化の低下は、式I、II、III、IV、VまたはVIそれぞれを有するフコースアナログによる処理を行っていない動物と比較したものである。
【0008】
関連する態様において、コアフコシル化を低下させての抗体および抗体誘導体のイン・ビボ産生のための方法および組成物が提供される。フコースアナログ(式I、II、III、IV、VまたはVIを有する)を投与された動物は、コアフコシル化が低下した抗体および抗体誘導体を産生する(すなわち、糖鎖の還元末端のN-アセチルグルコサミンを介してFc領域に結合した複合体のN-グリコシド-連結糖鎖のN-アセチルグルコサミンのフコシル化低下)。コアフコシル化における低下は、それぞれ式I、II、III、IV、VまたはVIを有するフコースアナログで処理されていない動物と比較したものである。
【0009】
別の態様において、フコースアナログを含み、標的動物に投与するように製剤された医薬組成物が提供される。フコースアナログは、動物に投与して、イン・ビボでのフコシル化を阻害または低減するために製剤することができる。
【0010】
本発明のこれらの態様および他の態様については、下記の詳細な説明、具体的な実施形態の非限定的な実施例および添付の図面を参照することで理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】抗体フコシル化に関するフコースアナログの投与(腹腔内注射を介した)の結果を示す図である(ドットブロットを左のパネルに示してあり、グラフを右のパネルに示してある。抗体cAC10標準(下側ドットブロット、左最下点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、未処理対照(下側ドットブロット、左から2番目の点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、およびアルキニルフコース(SGD-1887;下側ドットブロット、中央点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890;下側ドットブロット、右から2番目の点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、および2-フルオロフコース(SGD-2083;下側ドットブロット、最右四角形および上側ドットブロットの相当する欄)についてのドットブロットタンパク質負荷レベル(左上)およびフコース特異的生物発光(左下)。負荷レベルについての補正を行った後、フコシル化%を右のグラフに示してある。)。
図2-1】飲料水を介したフコースアナログ投与の抗体コアフコシル化に対する効果を示す図である(グラフには、ガスクロマトグラフィー(GC)によって求めた抗体のフコシル化%を示してあり、パネルAおよびBには処理群から単離した抗KLH抗体(Abs)のフコシル化レベルを示し、パネルCおよびDには残りの(非KLH特異的)IgG抗体のフコシル化レベルを示してある。パネルAおよびCには、精製抗体標準曲線(0から100%フコシル化)を用いて測定される各動物のフコシル化パーセントを示してある。パネルBおよびDには、平均未処理対照群値のパーセントとしての処理群のフコシル化レベルを示してある。)。
図2-2】飲料水を介したフコースアナログ投与の抗体コアフコシル化に対する効果を示す図である(グラフには、ガスクロマトグラフィー(GC)によって求めた抗体のフコシル化%を示してあり、パネルAおよびBには処理群から単離した抗KLH抗体(Abs)のフコシル化レベルを示し、パネルCおよびDには残りの(非KLH特異的)IgG抗体のフコシル化レベルを示してある。パネルAおよびCには、精製抗体標準曲線(0から100%フコシル化)を用いて測定される各動物のフコシル化パーセントを示してある。パネルBおよびDには、平均未処理対照群値のパーセントとしての処理群のフコシル化レベルを示してある。)。
図3】飲料水を介したフコースアナログ投与の抗体コアフコシル化に対する効果を示す図である(この図では、非KLH特異抗体のフコシル化レベルを示してある。タンパク質負荷レベル(上側左)およびフコース特異的生物発光(下側左)のドットブロットを、cAC10標準(上側および下側ドットブロット、左最下四角形)、未処理対照(上側および下側ドットブロット、左(上側)および右から2番目の四角形),および2-フルオロフコース(上側および下側ドットブロット、左(下側)から2番目および右から2番目の四角形(上側および下側))について示してある。負荷レベルについて補正した後、フコシル化%を右のグラフに示してある。)。
図4】飲料水を介して投与した各種用量の2-フルオロフコースが抗体コアフコシル化に与える効果を示す図である(ドットブロットは、未処理対照および1、10および100mMのSGD-2083(指示の通り)についてのタンパク質負荷レベル(左)およびフコース特異的生物発光(中央)を示している。未処理の場合と比較したフコシル化%を、グラフの右に示している。)。
図5】2-フルオロフコース)投与が循環白血球および好中球に与える効果を示す図である(パネルA:個々のマウスから採血を行い、専有的(exclude)赤血球のチュルク試液を用いる血球計でカウントすることで白血球数を求めた。パネルB:好中球数を求めるため、Gr-1+であった白血球のパーセントをフローサイトメトリーによって求め、(A)で求めた総血球数に当てはめた。パネルC:個々のマウスから、リンパ節のプールを採取し、単個細胞懸濁液を調製し、血球を血球計でカウントした。記号は、個々のマウス(群当たりn=3;菱形、未処理;正方形、1mM 2-フルオロフコース(SGD-2083);三角形、10mM 2-フルオロフコース;円形、100mM 2-フルオロフコース)を表す。)。
図6】好中球へのE-セレクチン結合に対する2-フルオロフコース投与の効果を示す図である(パネルA:フローサイトメトリーによる好中球同定の1例。細胞を前方および側面散乱でゲーティングして生存白血球を含め、次にGr-1染色を描くヒストグラムに当てはめて好中球を確認した。陽性細胞をゲーティングし、陽性細胞のパーセントを求め(図5Bでの血球数に使用)、そのゲートを(B)におけるヒストグラムに当てはめる。パネルB:未処理動物(左)および100mMでの経口投与2-フルオロフコース(SGD-2083)で処理した動物(右)からの好中球へのE-セレクチン結合の例。灰色のヒストグラムはE-セレクチン結合を示し、点線は二次試薬単独の結合を示す。E-セレクチン結合について幾何平均蛍光強度を求めた。パネルC:(B)と同様にして、各動物についてE-セレクチン結合の幾何平均蛍光強度を求め、グラフ間で比較した(群当たりn=3;エラーバーは標準偏差を表す)。)。
図7A】ある種のフコースアナログとともに培養した細胞系についてのタンパク質フコシル化に対する効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60cyおよびCaki-1細胞系を調べた。)。
図7B】ある種のフコースアナログとともに培養した細胞系についてのタンパク質フコシル化に対する効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60cyおよびCaki-1細胞系を調べた。)。
図7C】ある種のフコースアナログとともに培養した細胞系についてのタンパク質フコシル化に対する効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60cyおよびCaki-1細胞系を調べた。)。
図7D】ある種のフコースアナログとともに培養した細胞系についてのタンパク質フコシル化に対する効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60cyおよびCaki-1細胞系を調べた。)。
図8A】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図8B】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図8C】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図8D】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図8E】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図8F】マウス異種移植片癌モデルに対するフコースアナログ投与の効果を示す図である(LS174T、PC-3、Ramos、HL-60およびCaki-1細胞系(2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理)でのマウス異種移植片モデルの結果を、それぞれパネルAからEに示している。未処理LS174T細胞系でのマウス異種移植片モデルの結果を、パネルFに示している。)。
図9A】屠殺A20マウスリンパ腫細胞を用いた予備免疫と、それに続くフコースアナログ(2-フルオロフコース)投与を行ったまたは行わない生存A20細胞接種に基づく腫瘍ワクチンモデルの試験計画(パネルA)および結果(パネルB)を示す図である。
図9B】屠殺A20マウスリンパ腫細胞を用いた予備免疫と、それに続くフコースアナログ(2-フルオロフコース)投与を行ったまたは行わない生存A20細胞接種に基づく腫瘍ワクチンモデルの試験計画(パネルA)および結果(パネルB)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
「抗体」という用語は、(a)免疫グロブリンポリペプチドおよび免疫グロブリンポリペプチドの免疫学的に活性な部分、すなわち、特異抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含み、複合N-グリコシド結合糖鎖を含むFcドメインを有する免疫グロブリンファミリーのポリペプチドもしくはそのフラグメント、あるいは(b)抗原に免疫特異的に結合するそのような免疫グロブリンポリペプチドもしくはフラグメントの保存的に置換された誘導体を意味する。抗体は、一般的に、例えば、Harlow & Lane、Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988)に記載されている。
【0013】
「抗体誘導体」は、例えば、異種ポリペプチド(例えば、異種タンパク質のリガンド結合ドメイン)の結合によるような異種分子の共有結合により、あるいはグリコシル化(コアフコシル化以外)、脱グリコシル化(非コアフコシル化以外)、アセチル化、リン酸化または抗体またはFcドメインもしくは領域に通常関連しない他の修飾により修飾されている、上で定義した抗体(抗体フラグメントを含む)または複合N-グリコシド結合糖鎖を含む抗体のFcドメインもしくは領域を意味する。
【0014】
「モノクローナル抗体」という用語は、真核または原核細胞クローン、あるいはファージクローンを含む単一細胞クローン由来の抗体を意味し、それを製造する方法ではない。したがって、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により製造される抗体に限定されない。
【0015】
「Fc領域」という用語は、抗体の定常領域、例えば、CH4ドメインを場合によって有する、CH1-ヒンジ-CH2-CH3ドメイン、またはそのようなFc領域の保存的に置換された誘導体を意味する。
【0016】
「Fcドメイン」という用語は、抗体の定常領域ドメイン、例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3もしくはCH4ドメイン、そのようなFcドメインの保存的に置換された誘導体を意味する。
【0017】
「抗原」は、抗体または抗体誘導体が特異的に結合する分子である。
【0018】
「特異的結合」および「特異的に結合する」という用語は、抗体または抗体誘導体がその対応する標的抗原と高度に選択的に結合し、複数の他の抗原と結合しないことを意味する。一般的に、抗体または抗体誘導体は、少なくとも約1×10-7M、好ましくは10-8Mから10-9M、10-10M、10-11Mまたは10-12Mの親和力で結合し、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対するその結合の親和力より少なくとも2倍大きい親和力で所定の抗原に結合する。
【0019】
「阻害する」または「の阻害」という用語は、測定可能な量減少させること、または完全に妨げることを意味する。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「アルキニルフコースペルアセテート」は、特に文脈で示されない限り、(2S,3S,4R,5R,6S)および(2R,3S,4R,5R,6S)異性体を含む6-エチニル-テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトライルテトラアセテート、(2S,3S,4R,5R)および(2R,3S,4R,5R)異性体を含む5-((S)-1-ヒドロキシプロプ-2-イニル)-テトラヒドロフラン-2,3,4-トリイルテトラアセテートを含む、R1-4位置(下の式IおよびIIを参照)にアセテート基を有するアルキニルフコース(5-エチニルアラビノース)の任意またはすべての形、ならびにアルドース形を意味する。「アルキニルフコーストリアセテート」、「アルキニルフコースジアセテート」および「アルキニルフコースモノアセテート」という用語は、それぞれアルキニルフコースの示したトリ、ジおよびモノアセテート形を意味する。
【0021】
特に文脈で示されない限り、「アルキル」という用語は、別段の断りがない限り、1から20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)を有する置換されているか置換されていない飽和直鎖または分枝炭化水素を指す。炭素原子1から3個、1から8個または1から10個のアルキル基が好ましい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンイチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチルおよび3,3-ジメチル-2-ブチルである。
【0022】
アルキル基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、置換されている場合、ハロゲン、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、=O、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNなど(これらに限定されるものではない。)、1以上の基、好ましくは1から3個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で置換されていることができ、各R′は-H、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニルまたはアリールから独立に選択される。
【0023】
特に文脈で示されない限り、「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、2から20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)を有する置換されていないか(指示の通りに)置換されていても良い直鎖および分枝炭素鎖を意味し、2から3個、2から4個、2から8個または2から10個の炭素原子が好ましい。アルケニル鎖は鎖における少なくとも一つの二重結合を有し、アルキニル鎖は鎖における少なくとも一つの三重結合を有する。アルケニル基の例には、エチレンまたはビニル、アリル、-1ブテニル、-2ブテニル、-イソブチレニル、-1ペンテニル、-2ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、-2メチル2ブテニルおよび-2,3ジメチル2ブテニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。アルキニル基の例には、アセチレン系、プロパルギル、アセチレニル、プロピニル、-1ブチニル、-2ブチニル、-1ペンチニル、-2ペンチニルおよび-3メチル1ブチニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
アルケニルおよびアルキニル基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、置換されている場合、ハロゲン、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、=O、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNなど(これらに限定されるものではない。)の1以上の基、好ましくは1から3個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で置換されていることができ、各R′はH、-C1-C8アルキル、-C2-Cアルケニル、-C2-C8アルキニルまたはアリールから独立に選択される。
【0025】
特に文脈で示されない限り、「アルキレン」という用語は、1から20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)を有する置換されていない飽和分枝または直鎖炭化水素基を指し、1から8個または1から10個の炭素原子が好ましく、親アルカンの同一または2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって得られる二つの1価基中心を有する。代表的なアルキレンには、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デカレン、1,4-シクロヘキシレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
アルキレン基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、置換されている場合、ハロゲン、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、=O、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNなど(これらに限定されるものではない。)の1以上の基、好ましくは1から3個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で置換されていることができ、各R′はH、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニルまたは-アリールから独立に選択される。
【0027】
「アルケニレン」は、アルケニル基(上記の通り)であって親アルケンの同一もしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子の脱離によって誘導される2個の1価基中心を有する不飽和で分岐もしくは直鎖もしくは環状の炭化水素基を指す。「アルケニレン」基は置換されていないか、アルケニル基について上記のように置換されていても良い(指示通り)。一部の実施形態において、「アルケニレン」基は置換されていない。
【0028】
「アルキニレン」は、アルキニル基(上記の通り)であって親アルキンの同一もしくは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子の脱離によって誘導される2個の1価基中心を有する不飽和で分岐もしくは直鎖もしくは環状の炭化水素基を指す。「アルキニレン」基は置換されていないか、アルキニル基について上記のように置換されていても良い(指示通り)。一部の実施形態において、「アルキニレン」基は置換されていない。
【0029】
特に文脈で示されない限り、「アリール」という用語は、親芳香環系の1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって得られる6から20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)の置換されているか置換されていない1価芳香族炭化水素基を意味する。いくつかのアリール基は、例示的な構造において「Ar」と表される。代表的なアリール基には、ベンゼン、置換ベンゼン、フェニル、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから得られる基を含むが、これらに限定されない。
【0030】
アリール基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、ハロゲン、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニル、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、-NO2、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNを含むが、これらに限定されない、1以上、好ましくは1から5個または1から2個の基で置換されていても良く、各R′はH、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニルまたはアリールから独立に選択される。
【0031】
特に文脈で示されない限り、「複素環」という用語は、少なくとも1個の環原子がN、O、PまたはSから選択されるヘテロ原子である、3から7個または3から10個の環原子(環員とも呼ばれる)(ならびにその中の炭素原子およびヘテロ原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)を有する置換されているか置換されていない単環式環系を意味する。複素環は、N、O、PまたはSから独立に選択される1から4個の環ヘテロ原子を有することができる。複素環における1以上のN、CまたはS原子は、酸化されていても良い。単環式複素環は、好ましくは3から7個の環員(例えば、2から6個の炭素原子およびN、O、PまたはSから独立に選択される1から3個のヘテロ原子)を有する。ヘテロ原子を含む環は、芳香族または非芳香族であることができる。特に言及しない限り、複素環は、安定な構造をもたらすいずれかのヘテロ原子または炭素原子におけるそのペンダント基に結合している。
【0032】
複素環は、Paquette, 「Principles of Heterocyclic Chemistry」(W.A. Benjamin, New Yorkk, 1968)、特に1、3、4、6、7および9章;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs」(John Wiley & Sons, New York, 1950年以降)、特に13、14、16、19および28章;ならびにJ. Am. Chem. Soc., 82:5566 (1960)に記載されている。「複素環」基の例には、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、フコシル、アジルジニル、アゼチジニル、オキシラニル、オキセタニルおよびテトラヒドロフラニルなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
複素環基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニル、ハロゲン、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、-NO2、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNなど(これらに限定されるものではない。)の1以上の基、好ましくは1個もしくは2個の基で置換されていることができ、各R′は-H、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニルまたは-アリールから独立に選択される。
【0034】
例として、限定的ではないが、炭素結合複素環は、次の位置:ピリジンの2、3、4、5または6位;ピリダジンの3、4、5または6位;ピリミジンの2、4、5または6位;ピラジンの2、3、5または6位;フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位;オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4または5位;イソオキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3、4または5位;アジリデンの2または3位;アゼチジンの2、3または4位で結合させることができる。炭素結合複素環の例には、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピリダジニル、3-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリルまたは5-チアゾリルなどがあり得る。
【0035】
例として、また限定されないが、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリンまたは1H-インダゾールの1位;イソインドールまたはイソインドリンの2位;およびモルホリンの4位で結合させることができる。さらにより代表的には、窒素結合複素環は、1-アジリジル、1-アゼチジル、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリルおよび1-ピペリジニルなどである。
【0036】
別段の断りがない限り、「炭素環」という用語は、すべての環原子が炭素原子である、3から6個の環原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび下位組合せ)を有する置換されているか置換されていない飽和または不飽和非芳香族単環式環系を意味する。
【0037】
炭素環基は、単独であるか他の基の一部としてであるかを問わず、置換されている場合、ハロゲン、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニル、-O-(C1-C8アルキル)、-O-(C2-C8アルケニル)、-O-(C2-C8アルキニル)、アリール、-C(O)R′、-OC(O)R′、-C(O)OR′、-C(O)NH2、-C(O)NHR′、-C(O)N(R′)2、-NHC(O)R′、-SR′、-SO3R′、-S(O)2R′、-S(O)R′、-OH、=O、-NH2、-NH(R′)、-N(R′)2および-CNなど(これらに限定されるものではない。)の例えば1以上の基、好ましくは1個もしくは2個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で置換することができ、各R′はH、-C1-C8アルキル、-C2-C8アルケニル、-C2-C8アルキニルまたはアリールから独立に選択される。
【0038】
単環式炭素環置換基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、-1,3-シクロヘキサジエニル、-1,4-シクロヘキサジエニル、-1,3-シクロヘプタジエニル、-1,3,5-シクロヘプタトリエニルおよび-シクロオクタジエニルなどがある。
【0039】
可変要素がいずれかの成分または式中で複数個ある場合、各個におけるその定義は、他のあらゆるそれの定義から独立である。置換基および/または可変要素の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたす場合にのみ許容される。
【0040】
特に文脈で示されない限り、ハイフン(-)は、ペンダント分子への結合の箇所を表す。したがって、「-(C1-C10アルキレン)アリール」または「-C1-C10アルキレン(アリール)」という用語は、アルキレン基がアルキレン基の炭素原子のいずれかにおいてペンダント分子に結合しており、アルキレン基の炭素原子に結合している水素原子の1個が本明細書で定義のアリール基で置換されている、本明細書で定義のC1-C10アルキレン基を意味する。
【0041】
特定の基が「置換されて」いる場合、当該基は、置換基のリストから独立に選択される1以上の置換基、好ましくは1から5個の置換基、より好ましく1から3個の置換基、最も好ましくは1から2個の置換基を有していてよい。しかし、当該基は、一般的にハロゲンから選択されるいずれかの数の置換基を有することができる。
【0042】
分子の特定の位置におけるいずれかの置換基または可変要素の定義は当分子の他の箇所におけるその定義からは独立であるものとする。本発明の化合物における置換基および置換パターンは、活性であり、化学的に安定であり、当技術分野で公知の技術ならびに本明細書で示す方法により容易に合成することができる化合物を提供する上で当業者が選択することができることは明らかである。
【0043】
「医薬として許容される」という用語は、動物、より詳細にはヒトにおける使用について連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、米国薬局方もしくは他の一般に認知されている局方に挙げられていることを意味する。「医薬として適合性である成分」という用語は、フコースアナログと共に投与する医薬として許容される希釈剤、補助剤、賦形剤または媒体を意味する。
【0044】
「小型電子求引基」は、例えば、水素原子もしくはヒドロキシ基より、またはフコース中の置換基結合部位に存在する置換基と比べて、置換基結合部位において大きい電気陰性度を有する任意の置換基を意味する。一般的に、小型電子求引基は、10個以下の原子(水素以外)を有し、ニトロ;シアノおよびシアノアルキル(例えば、-CH2CH2CN);ハロゲン;アセチレンまたは他のアルキンまたはハロアルキン(例えば、-C≡CCF3);アルケンまたはハロアルケン;アレン;カルボン酸、エステル、アミドおよびそのハロ置換型;スルホンおよびホスホン酸、エステルおよびアミド、ならびにそのハロ置換型;ハロアルキル基(例えば、-CF3、-CHF2、-CH2CF3)、アシルおよびハロアシル基(例えば、-C(O)CH3および-C(O)CF3);アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニル(例えば、-S(O)2アルキルおよび-S(O)2ハロアルキル);アリールオキシ(例えば、フェノキシおよび置換フェノキシ);アラルキルオキシ(例えば、ベンジルオキシおよび置換ベンジルオキシ);ならびにオキシランなどの基などがある。好ましい小型電子求引基は、8個、7個または6個またはそれ以下の原子(水素以外)を有するものである。
【0045】
当該フコースアナログは、代表的には、望ましくない不純物を実質的に含まない。これは、薬剤が代表的には少なくとも50重量%(重量/重量)の純度であること、ならびに妨害タンパク質および他の不純物が実質的にないことを意味する。場合により、薬剤は、少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも90%または約95重量%の純度である。従来のタンパク質精製技術を用いて、少なくとも99重量%の均一な製品を得ることができる。
【0046】
概要
本発明は、動物におけるタンパク質フコシル化を低減させる方法および組成物を提供する。当該方法は、一部において、対象者(例えば哺乳動物)へのフコースアナログ投与によってコアフコシル化が低減した抗体または抗体誘導体およびやはりフコシル化が低減した他のタンパク質が生じることを示す、実施例で提供される予想外の結果を前提とするものである。タンパク質の文脈における「フコシル化低減」とは、α(1,2)-、α(1,3)-、α(1,4)-およびα(1,6)-連結を介したフコースのグリカンへの付加が低減することを指す。抗体の文脈での「コアフコシル化」とは、抗体のN-連結グリカンの還元末端でのN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)へのフコースの付加(「フコシル化」)を指す。抗体の文脈での「コアフコシル化低減」とは、未処理動物と比較して、抗体のN-連結グリカンの還元末端でのN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)に連結したフコースの低減を指す。
【0047】
本明細書に記載の各種態様において、フコースアナログを投与される動物は、代表的には哺乳動物であり、好ましくはヒトである。従って本発明はさらに、ヒトなどの哺乳動物でのタンパク質フコシル化を低減する方法および組成物を提供する。
【0048】
他の態様においては、有効量のフコースアナログが動物への投与に好適な賦形剤と混合されている、フコースアナログおよび医薬賦形剤の医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、当該フコースアナログは乾燥型であり(例えば、凍結乾燥品)、貯蔵期間を延長するために組成物安定性を高める安定剤を含んでいても良い。一部の実施形態において、フコースアナログおよび医薬賦形剤の医薬組成物は、哺乳動物への投与用に製剤される。一部の別の実施形態では、フコースアナログおよび医薬賦形剤の医薬組成物は、ヒトへの投与用に製剤される。
【0049】
一部の実施形態において、抗体のFc領域(またはドメイン)に結合している複合N-グリコシド結合糖鎖のフコシル化は低い。本明細書で用いられる場合、「複合N-グリコシド結合糖鎖」は、代表的にはアスパラギン297(Kabat番号付けシステムによる)に結合しているが、ただし複合N-グリコシド結合糖鎖は他のアスパラギン残基に結合させることもできる。本明細書で用いられる場合、複合N-グリコシド結合糖鎖は、主として下記の構造を有する二分枝型複合糖鎖を有する。
【化1】
【0050】
ここで、±は糖分子が存在するかまたは不存在であり得るかを示し、数は糖分子の間の結合の位置を示す。上の構造において、アスパラギンに結合する糖鎖末端は、還元末端(右)と呼ばれ、反対側は、非還元末端と呼ばれる。フコースは、一般的にα1,6結合により還元末端のN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)に通常結合する(GlcNAcの6位がフコースの1位に結合する)。「Gal」はガラクトースを意味し、「Man」はマンノースを意味する。
【0051】
「複合N-グリコシド結合糖鎖」は、マンノースのみがコア構造の非還元末端に組み込まれている高マンノース型の糖鎖を除外するが、1)コア構造の非還元末端側がガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも呼ぶ)の1以上の分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側がシアル酸、バイセクティングN-アセチルグルコサミンまたは同等のものを場合によって有する、複合型、あるいは2)コア構造の非還元末端側が高マンノースN-グリコシド結合糖鎖および複合N-グリコシド結合糖鎖の両分岐を有するハイブリッド型を含む。
【0052】
一部の実施形態において、「複合N-グリコシド結合糖鎖」は、コア構造の非還元末端側がガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも呼ぶ)の0個、1個またはそれ以上の分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側がシアル酸、バイセクティングN-アセチルグルコサミンまたは同等のものなどの構造を場合によってさらに有する複合型を含むが、高マンノース成分を有する鎖は除く。
【0053】
本発明の方法によれば、代表的には微量のフコースが、フコースアナログ投与後に、糖鎖(例えば、グリカンまたは複合N-グリコシド連結糖鎖)に組み込まれている。例えば、各種実施形態において、フコースアナログの投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の血清における約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満の抗体がコアフコシル化される。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物の血清中の抗体でコアフコシル化されないものは実質的にない(すなわち、0.5%未満)。
【0054】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)における細胞表面タンパク質に関して、タンパク質フコシル化が約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%低減する。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)での細胞表面タンパク質について、α(1,2)-連結を介したタンパク質フコシル化は約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%低減する。
【0055】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)における細胞表面タンパク質に関して、α(1,3)-連結を介したタンパク質フコシル化が約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%低減する。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)での細胞表面タンパク質について、α(1,4)-連結を介したタンパク質フコシル化は約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%低減する。
【0056】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)での細胞表面タンパク質について、α(1,6)-連結を介したタンパク質フコシル化は約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%低減する。
【0057】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の血清における白血球のフコシル化が少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%または少なくとも約5%低減する。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の血清における白血球のα(1,3)連結を介したフコシル化が少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%または少なくとも約5%低減する。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の血清における白血球のα(1,4)連結を介したフコシル化が少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%,または少なくとも約5%低減する。
【0058】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の血清における抗体のフコシル化が少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%または少なくとも約5%低減する。
【0059】
ある種の実施形態において、抗体、抗体誘導体またはタンパク質の他のグリカンのグリカン(例えば、複合N-グリコシド連結糖鎖)に組み込まれるフコースアナログ(またはフコースアナログの代謝物もしくは産生物)はごく少量である。例えば、各種実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、約60%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満のフコースアナログ(またはフコースアナログの代謝物もしくは産生物)が、動物の血清中の抗体のグリカンに組み込まれる。一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、約60%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満のフコースアナログ(またはフコースアナログの代謝物もしくは産生物)が、動物の細胞表面タンパク質のグリカンに組み込まれる。
【0060】
一部の実施形態において、フコースアナログ投与を受けない動物と比較して、約60%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満のフコースアナログ(またはフコースアナログの代謝物もしくは産生物)が、動物の血清中の白血球のグリカンに組み込まれる。
【0061】
フコースアナログ
本発明の方法に好適なフコースアナログ(下記において式I、II、III、IV、VおよびVIと確認される)は、抗体または抗体誘導体の複合N-グリコシド連結糖鎖のコアフコシル化を阻害する上で有効な量で哺乳動物に安全に投与することができるものである。宿主細胞によってイン・ビトロで産生される抗体または抗体誘導体の複合N-グリコシド連結糖鎖へのフコースの組み込みを低減するフコースアナログは、公開米国特許出願第2009-0317869号に記載されている。そのフコースアナログは、非経口、経口または他の好適な投与形態によって対象動物(例えば、哺乳動物)に投与することができる。
【0062】
一部の実施形態において、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、フコースサルベージ経路における酵素を阻害する(本明細書で用いられる場合、細胞内代謝物は、例えば、GDP修飾アナログまたは完全もしくは部分的脱エステル化アナログであってよい。生成物は、例えば、完全もしくは部分的脱エステル化アナログであってよい。)。例えば、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、フコキナーゼまたはGDP-フコース-ピロホスホリラーゼの活性を阻害することができる。一部の実施形態において、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、フコシルトランスフェラーゼ(1,2-フコシルトランスフェラーゼ、1,3-フコシルトランスフェラーゼ、1,4-フコシルトランスフェラーゼまたは1,6-フコシルトランスフェラーゼ(例えば、FUT8タンパク質))を阻害する。一部の実施形態において、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、フコースの新規合成における酵素の活性を阻害することができる。例えば、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよび/またはGDP-フコースシンテターゼの活性を阻害することができる。一部の実施形態において、フコースアナログ(またはフコースアナログの細胞内代謝物もしくは産生物)は、フコーストランスポーター(例えば、GDP-フコーストランスポーター)を阻害することができる。
【0063】
一部の実施形態において、フコースアナログは、下記の式(I)または(II):
【化2】
【0064】
あるいはアナログの生物学的に許容される塩または溶媒和物を有し、式(I)または(II)のそれぞれは、アルファもしくはベータアノマーまたは対応するアルドース形であってよい。上式において、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリル、-OC1-C10アルキル、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)アルケニル、-OCH2OC(O)アルキニル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)複素環、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)Oアルケニル、-OCH2OC(O)Oアルキニル、-OCH2OC(O)Oアリールおよび-OCH2OC(O)O複素環からなる群から独立に選択され、各nは、0から5から独立に選択される整数であり、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである)、-CHX2(XはF、BrまたはClである)およびメトキシラン(methoxiran)からなる群から選択される。
【0065】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3シリル、-OC1-C10アルキル、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリールおよび-OCH2OC(O)Oアリールからなる群から独立に選択され、各nは、0から5から独立に選択される整数であり、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである)、-CHX2(XはF、BrまたはClである)およびメトキシランからなる群から選択される。
【0066】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)および-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである)、-CHX2(XはF、BrまたはClである)およびメトキシランからなる群から選択される。
【0067】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-O-トリ-C1-C3シリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはBr、ClまたはIである)およびメトキシランからなる群から選択される。
【0068】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)アルケニル、-OCH2OC(O)アルキニル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)複素環、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)Oアルケニル、-OCH2OC(O)Oアルキニル、-OCH2OC(O)Oアリールおよび-OCH2OC(O)O複素環からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである)、-CHX2(XはF、BrまたはClである)およびメトキシランからなる群から選択される。
【0069】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CNおよびメトキシランからなる群から選択される。
【0070】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-CH2F、-CH2I、-CH2Brおよび-CH2Clからなる群から選択される。
【0071】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-CHF2、-CHBr2および-CHCl2からなる群から選択される。
【0072】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3および-CH2C≡CHからなる群から選択される。
【0073】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)および-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-(CH2)n(CN)(n=0または1)および-CO(O)CH3からなる群から選択される。
【0074】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)および-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2CNおよび-CO(O)CH3からなる群から選択される。
【0075】
一部の実施形態において、フコースアナログは、式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)および-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)からなる群から独立に選択され、R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH(OAc)CH3、-CH2CNおよび-CO(O)CH3からなる群から選択される。
【0076】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R5は本明細書で定義の通りであり、R1からR4のそれぞれはヒドロキシルまたは-OC(O)C1-C10アルキルである。
【0077】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R5は本明細書で定義の通りであり、R1からR4のそれぞれはヒドロキシルまたは-OAcである。
【0078】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-C≡CH、-C≡CCH3、-CH(OAc)CH3、-CH2CN、-CO(O)CH3、-CH2Fおよび-CHF2からなる群から選択される。
【0079】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立-OHおよび-OAcにからなる群から選択され、R5は-C≡CH、-C≡CCH3、-CH(OAc)CH3、-CH2CN、-CO(O)CH3、-CH2Fおよび-CHF2からなる群から選択される。
【0080】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-C≡CH、-CH2Fおよび-CHF2からなる群から選択される。
【0081】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OAcからなる群から選択され、R5は-C≡CH、-CH2Fおよび-CHF2からなる群から選択される。
【0082】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-C≡CHである。
【0083】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OAcからなる群から選択され、R5は-C≡CHである。
【0084】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-CHF2である。
【0085】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OAcからなる群から選択され、R5は-CHF2である。
【0086】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは-OHまたは-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3(nは0から5である。)および-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3(nは0から5である。)からなる群から選択されるエステルであり、R5は-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)、-CHX2(各XはF、BrまたはClである。)およびメトキシランからなる群から選択される。
【0087】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)である。
【0088】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OAcからなる群から選択され、R5は-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)である。
【0089】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択され、R5は-CH2Brである。
【0090】
一部の実施形態において、フコースアナログは式(I)または(II)を有し、R1からR4のそれぞれは独立に-OHおよび-OAcからなる群から選択され、R5は-CH2Brである。
【0091】
一部の実施形態において、フコースアナログは2000ダルトン未満の分子量を有する。一部の実施形態において、フコースアナログは1000ダルトン未満の分子量を有する。
【0092】
一部の実施形態において、R5は置換されていない。
【0093】
一部の実施形態において、R1からR4のそれぞれは置換されていない。
【0094】
一部の実施形態において、R5はケトン(-C(O)アルキル)ではない。
【0095】
一部の実施形態において、R5は-CH(CH3)OAcではない。
【0096】
一部の実施形態において、R1からR4のそれぞれが-OAcである場合には、R5は-CH(CH3)OAcではない。
【0097】
一部の実施形態において、R5は-C≡CHではない。
【0098】
一部の実施形態において、R1からR4のいずれかが-OAcである場合、R5は-C≡CHではない。
【0099】
一部の実施形態において、R1からR4のいずれかが-OC(O)アルキルである場合、R5は-C≡CHではない。
【0100】
一部の実施形態において、R1からR4のそれぞれが-OC(O)アルキルである場合、R5は-C≡CHではない。
【0101】
一部の実施形態において、R1からR4のそれぞれがOHである場合、R5は-C≡CH3ではない。
【0102】
一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコースペルアセテートである。一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコーストリアセテートである。一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコースジアセテートである。一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコースペルアセテート、アルキニルフコーストリアセテートおよびアルキニルフコースジアセテートの混合物である。
【0103】
一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコースペルアセテート、アルキニルフコーストリアセテート、アルキニルフコースジアセテートおよびアルキニルフコースモノアセテートの混合物である。
【0104】
各種実施形態のいずれかにおいて、フコースアナログはフコースではない。一部の実施形態において、フコースアナログはアルキニルフコースペルアセテートではない。一部の実施形態において、フコースアナログはガラクトースでもL-ガラクトースでもない。
【0105】
実施形態の別の群では、フコースアナログは下記式(III)または(IV)を有するか、それの生物学的に許容される塩または溶媒和物である。
【化3】
【0106】
式中、式(III)または(IV)のそれぞれはαまたはβアノマーまたは相当するアルドース型であることができ;
R1からR4のそれぞれは独立に、フルオロ、クロロ、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニル(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から選択され、各nは0から5から独立に選択される整数であり;
R2aおよびR3aのそれぞれは独立にH、FおよびClからなる群から選択され;
R5は-CH3、-CHF2、-CH=C=CH2、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択され;
R5が-CH=C=CH2、-CH2Fまたは-CHF2以外である場合、R1、R2、R3、R2aおよびR3aのうちの少なくとも一つがフルオロまたはクロロである。
【0107】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1はFである。
【0108】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R2はFである。
【0109】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R3はFである。
【0110】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1およびR2はそれぞれFである。
【0111】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R2およびR2aはそれぞれFである。
【0112】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルから選択され;R2はFであり、R5は-CH3である。
【0113】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OAcから選択され;R2はFであり、R5は-CH3である。
【0114】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルから選択され;R2はFであり;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CH3である。
【0115】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OAcから選択され;R2はFであり;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CH3である。
【0116】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルから選択され;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CHF2である。
【0117】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OAcから選択され;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CHF2である。
【0118】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OC(O)C1-C10アルキルから選択され;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CH2Fである。
【0119】
式(III)または(IV)の一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に-OHおよび-OAcから選択され;R2aおよびR3aはそれぞれHであり、R5は-CH2Fである。
【0120】
別の群の実施形態において、フコースアナログは下記式(V)または(VI):
【化4】
【0121】
を有するか、それの生物学的に許容される塩または溶媒和物であり、
式中、式(V)または(VI)のそれぞれはαまたはβアノマーまたは相当するアルドース型であり;
R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のそれぞれは独立に、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリル、-OC1-C10アルキルおよび小型電子吸引基からなる群から選択され、各nは0から5から独立に選択される整数であり;
R5は、-CH3、-CHX2、-CH2X、-CH(X')-置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C4アルキル、-CH(X')-置換されていないかハロゲンで置換されているC2-C4アルケン、-CH(X')-C置換されていないかハロゲンで置換されているC2-C4アルキン、-CH=C(R10)(R11)、-C(CH3)=C(R12)(R13)、-C(R14)=C=C(R15)(R16)、-置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3炭素環、-CH(X')-置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3炭素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3複素環、-CH(X')-置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3複素環、-CH2N3、-CH2CH2N3およびベンジルオキシメチルからなる群から選択される構成員であるか、R5は小型電子吸引基であり;R10は水素または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;R11は置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;R12は水素、ハロゲンまたは置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;R13は水素または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;R14は水素またはメチルであり;R15およびR16は独立に水素、メチルおよびハロゲンから選択され;Xはハロゲンであり;X′はハロゲンまたは水素であり;
さらに、R1、R2、R2a、R3およびR3aのそれぞれは水素であっても良く;隣接する炭素原子上の2個のR1、R2、R2a、R3およびR3aが一体となって、その隣接する炭素原子間に二重結合を形成していても良く;
ただし、(i)R2およびR2aがいずれも水素である場合、(ii)R3およびR3aがいずれも水素である場合、(iii)R1が水素である場合、(iv)前記隣接する炭素原子間に二重結合が存在する場合、または(v)R5がベンジルオキシメチルである場合を除き、R1、R2、R2a、R3、R3a、R4およびR5のうちの少なくとも一つが小型電子吸引基であるか、R5がハロゲン、不飽和部位、炭素環、複素環またはアジドを含み;
イン・ビボで産生されるタンパク質、抗体または抗体誘導体で、フコースアナログの非存在下にイン・ビボで産生されるタンパク質、抗体または抗体誘導体と比較してフコシル化が低減している。
【0122】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、R2aおよびR3aはそれぞれ水素である。
【0123】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、R5は-CH3、-CH2CH3、-CH2C≡CH、-CH=CHCH3、-シクロプロピル、-オキシラン、-メチルで置換されたオキシラン、-CH2F、-CH2Cl、-CH2Br、-CH2I、-CHF2、-CH=C=CH2、-CH2N3および-CH2CH2N3からなる群から選択される。
【0124】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、小型電子吸引基はフルオロ、クロロ、ブロモ、-CHF2、-CH=C=CH2、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはBr、ClまたはIである。)およびメトキシランから選択される。
【0125】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、R5は-CH3、-C≡CH、-CH2F、-CH2Brおよび-CHF2からなる群から選択される。一部の別の実施形態において、R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のそれぞれは独立に-OH、-OC(O)Hおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択される。
【0126】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、小型電子吸引基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CHF2、-CH=C=CH2、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはBr、ClまたはIである。)およびメトキシランから選択される。
【0127】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のうちの少なくとも二つが、独立に選択される小型電子吸引基である。
【0128】
式(V)または(VI)の一部の実施形態において、フコースアナログは、表1、2または3の化合物から選択される。
【0129】
医薬組成物
式I、II、III、IV、VおよびVIのフコースアナログ(以下、「フコースアナログ」と称する)は治療用途用に製剤することができる。フコースアナログは、治療上または予防上有効な量の抗体または誘導体および1以上の医薬として適合性の(許容される)成分を含む医薬組成物として製剤することができる。例えば、医薬または非医薬組成物は、代表的には1以上の担体(例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成由来のものを含む、水および油などの滅菌液体)を含む。水は、医薬組成物を静脈投与する場合のより代表的な担体である。生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も特に注射用溶液の液体担体として用いることができる。適切な賦形剤としては、例えば、アミノ酸、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどがある。組成物は、所望の場合、微量の湿展剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含んでいてよい。これらの組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとり得る。適切な医薬担体の例は、E. W. Martinにより「Remington′s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形を与えるための、適切な量の担体とともに、代表的には精製された形の治療上有効量のフコースアナログを通常は含む。製剤は、投与形式に対応する。
【0130】
本明細書に記載の医薬組成物は、動物(例えば、哺乳動物)への組成物の投与を可能とする形態であることができる。本明細書に記載の医薬組成物は、哺乳動物への組成物の投与を可能とする形態であることができる。本明細書に記載の医薬組成物は、ヒトへの組成物の投与を可能とする形態であることができる。
【0131】
組成物は、固体または液体の形態であることができる。代表的な投与経路には、経口、非経口、舌下および眼球投与などがあるが、これらに限定されるものではない。非経口投与には、皮下注射、静脈、筋肉、胸骨内の注射もしくは注入技術などがある。好ましくは、組成物は非経口投与または経口投与される。これらの医薬組成物は、動物への組成物投与時にフコースアナログが生物学的に利用可能となるように製剤することができる。組成物は、1以上の用量単位の形態を取ることもでき、その場合、例えば錠剤は単一用量単位であることができ、固体でのフコースアナログの容器に複数用量単位を入れることができる。
【0132】
医薬組成物の製造に用いられる材料は、使用される量で無毒であることができる。医薬組成物中の有効成分の最適用量は、各種要因によって決まることことは当業者には明白である。関連する要素には、動物の種類(例えば、ヒト)、フコースアナログの特定の形態、投与様式、使用される組成物および治療される疾患もしくは状態の重度などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
医薬として許容される担体もしくは媒体は粒状であることで、組成物を例えば錠剤もしくは粉剤の形態とすることができる。担体は液体であることができ、その際に組成物は例えば経口シロップや注射液となる。
【0134】
経口投与を意図する場合、組成物は好ましくは、固体もしくは液体であり、その場合に半固体、半液体、懸濁液およびゲル形態が固体または液体と本発明において考えられる形態の範囲に包含される。
【0135】
経口投与用の固体組成物としては、組成物は粉剤、粒剤、圧縮錠、丸薬、カプセル、チューインガム、ウェハなどの形態で製剤することができる。そのような固体組成物は代表的には、1以上の希釈剤を含む。さらに、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースまたはゼラチンなどの結合剤;デンプン、乳糖またはデキストリン類などの賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーなどの香味剤;および着色剤の1以上が存在しても良い。
【0136】
組成物がゼラチンカプセルのようなカプセルの形態の場合、それは上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコール、シクロデキストリンまたは脂肪油などの液体担体を含むことができる。
【0137】
当該組成物は、エリキシル剤、シロップ、液剤、乳濁液または懸濁液などの液体の形態であることができる。当該液体は、経口投与または注射による送達に有用であることができる。経口投与を意図した場合、組成物は、甘味剤、保存剤、色素/着色剤および香味促進剤のうちの1以上を含むことができる。注射による投与用の組成物(上記の通り)では、界面活性剤、保存剤、湿展剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤および等張剤のうちの1以上も含めることができる。
【0138】
液体組成物は、それらが溶液、懸濁液その他の同様な形態であるか否かに関わらず、以下の1種以上を含むこともできる:注射用水、塩類溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム液などの滅菌希釈液、溶媒または懸濁媒体として働き得る合成モノまたはジグリセリドなどの固定油、ポリプロピレングリコール類、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールその他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節のための薬剤のうちの1以上を含むこともできる。
【0139】
上記のように、特定の障害または状態の治療に有効であるフコースアナログの量は、その障害または状態の性質によって決まり、標準的な臨床技術によって決めることができる。さらに、イン・ビトロまたはイン・ビボアッセイを用いて、至適な用量範囲の決定を行いやすくしても良い。組成物で用いられる正確な用量は、投与経路および疾患もしくは状態の重篤度によっても決まり、医師の判断および各患者の環境に従って決定すべきものである。
【0140】
当該組成物は、好適な用量が得られるような有効量のフコースアナログを含む。代表的には、この量は、組成物の重量基準で少なくとも約0.01%のフコースアナログである。経口投与を意図した場合、この量を変動させて、組成物の約0.1重量%から約80重量%の範囲とすることができる。好ましい経口組成物は、組成物の重量基準で約4%から約50%のフコースアナログを含むことができる。本発明の好ましい組成物は、非経口用量単位が約0.01重量%から約2重量%のフコースアナログを含むように調製する。
【0141】
静脈投与の場合、組成物は、動物体重1kg当たりフコースアナログ約1から約250mgを含むことができる。一部の実施形態において、投与される量は、約1から約25mg/kg体重のフコースアナログの範囲である。好ましくは、投与される量は、約4から約25mg/kg体重のフコースアナログの範囲である。
【0142】
概して、動物に投与されるフコースアナログの用量は代表的には、約0.1mg/kgから約250mg/kg動物体重である。好ましくは、動物に投与される用量は、約0.1mg/kgから約20mg/kg動物体重、より好ましくは約1mg/kgから約10mg/kg動物体重である。
【0143】
当該組成物は、好適な容量が得られるような有効量のフコースアナログを含む。代表的には、この量は、組成物の重量基準で少なくとも約0.01%のフコースアナログである。経口投与を意図した場合、この量を変動させて、組成物の約0.1重量%から約80重量%の範囲とすることができる。好ましい経口組成物は、組成物の重量基準で約4%から約50%のフコースアナログを含むことができる。本発明の好ましい組成物は、非経口用量単位が約0.01重量%から約2重量%のフコースアナログを含むように調製する。
【0144】
静脈投与の場合、組成物は、動物体重1kg当たりフコースアナログ約1から約250mgを含むことができる。一部の実施形態において、投与される量は、約1から約25mg/kg体重のフコースアナログの範囲である。好ましくは、投与される量は、約4から約25mg/kg体重のフコースアナログの範囲である。
【0145】
概して、フコースアナログまたはそれの医薬組成物は、所望される効果に応じて、1日1回、1週間に1回、2週間に1回または1ヶ月に1回で投与することができる。フコースアナログまたはそれの医薬組成物は、約1から5サイクル、約1から約10サイクル、約1から約15サイクル、またはそれ以上のサイクルで投与することができ、各サイクルは1ヶ月続く。各サイクル内の用量は1日1回、2日に1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1ヶ月に1回で投与することができる。サイクルには休止期間があっても良く、その期間においてはタンパク質(例えば、抗体または他のタンパク質)のフコシル化が増える。あるいは、サイクル間に休止期間を設けることができる。そのような休止期間は、必須機能に関与するタンパク質のフコシル化の回復を許すものとなり得る。
【0146】
フコースアナログまたはそれの医薬組成物の好ましい投与形態は、医師の裁量に委ねられるものであり、部分的に、医学的状態の部位(例えば癌もしくは自己免疫疾患の部位)によって決まるものである。1実施形態において、当該フコースアナログまたは組成物は非経口的に投与される。別の実施形態において、当該フコースアナログまたは組成物は経口投与される。
【0147】
具体的な実施形態において、1以上のフコースアナログまたは組成物を治療を要する領域に局部投与することが望ましい場合がある。それは、例を挙げると、手術時の局部注入;局所塗布;注射;またはインプラントによって行うことができるが、これらに限定されるものではなく、インプラントは多孔質、無孔質またはゼラチン状材料製であり、例えばシアラスティック(sialastic)膜などの膜または繊維である。1実施形態において、投与は、癌、腫瘍または新生物組織もしくは前癌性組織の部位(または以前の部位)での直接注射によって行うことができる。
【0148】
別の実施形態では、投与は、自己免疫疾患発現の部位(または以前の部位)での直接注射によって行うことができる。
【0149】
別の実施形態では、フコースアナログは、小胞、特にはリポソームで送達させることができる(Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., LIPOSOMES IN THE THERAPY OF INFECTIOUS DISEASE AND CANCER, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, ibid., pp. 317-327を参照; 同書参照)。
【0150】
さらに別の実施形態では、フコースアナログまたは組成物は、徐放系で送達させることができる。1実施形態では、ポンプを用いることができる(Langer, supra; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を用いることができる(MEDICAL APPLICATIONS OF CONTROLLED RELEASE, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974); CONTROLLED DRUG BIOAVAILABILITY, DRUG PRODUCT DESIGN AND PERFORMANCE, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61 (1983)を参照;Levy et al., Science 228:190 (1985); During et al., Ann. Neurol. 25:351 (1989); Howard et al., J. Neurosurg. 71:105 (1989)も参照)。Langerによる総覧(Science 249:1527-1533 (1990))に記載されている他の徐放系を用いることができる。
【0151】
「担体」という用語は、フコースアナログの投与に用いられる希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を指す。そのような医薬担体は、水ならびに落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成由来の油などの液体であることができる。担体は、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであることができる。さらに、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を用いることができる。1実施形態において、動物に投与される場合、フコースアナログまたは組成物および医薬として許容される担体は無菌である。フコースアナログを静脈投与する場合には、水が好ましい担体である。生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセリン溶液も、特に注射液用の液体担体として用いることができる。好適な医薬担体には、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレングリコール、水、エタノールなどもある。本発明の組成物は所望に応じて、少量の湿展剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含んでいても良い。
【0152】
フコースアナログを用いてイン・ビボでの抗体および他のタンパク質フコシル化を低下させる治療方法
本発明で提供される式I、II、III、IV、VおよびVIのフコースアナログ(以下、「フコースアナログ」と称する)は、動物における癌、自己免疫疾患または感染性疾患の治療において有用である。
【0153】
癌の治療
フコースアナログは、患者における癌の治療に有用である。処置を必要とする動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)へのフコースアナログの投与によって、腫瘍細胞もしくは癌細胞の増殖阻害または動物(例えば、ヒト患者)における癌の治療を行うことができる。従って、当該フコースアナログを、動物癌の治療における多様な状況で用いることができる。
【0154】
当該フコースアナログは、コアフコシル化がない抗体のイン・ビボ産生を促進する上でも有用である。患者における癌標的に対するそのような抗体の割合が高くなることで、腫瘍細胞または癌細胞の増殖を阻害したり、動物(例えば、ヒト患者)において癌の治療を行うことができる。従って、当該フコースアナログを、動物癌の治療における多様な状況で用いることができる。
【0155】
当該フコースアナログで治療可能な癌の特定の種類には、固形腫瘍および血液悪性腫瘍などがある。そのような癌には、(1)線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨肉腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、咽喉癌、扁平細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽腫、多形性星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、皮膚癌、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫など(これらに限定されるものではない)の固形腫瘍;(2)急性リンパ性白血病「ALL」、急性リンパ性B細胞白血病、急性リンパ性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ性白血病「CLL」、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病、例えばリンパ芽球性骨髄性およびリンパ性骨髄球性白血病など(これらに限定されるものではない)の血液伝播性癌、および(3)ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病および真性多血症などのリンパ腫などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0156】
癌の集学的治療
腫瘍、転移または制御されない細胞増殖を特徴とするあらゆる疾患もしくは障害など(これらに限定されるものではない)の癌は、上記で提供される式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかのフコースアナログを、処置を必要とする動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することで治療または予防することができる。一部の実施形態において、本発明は、処置を必要とする動物に対して、有効量のフコースアナログおよび適宜に化学療法薬を投与する段階を有する、癌の治療または予防方法を提供する。1実施形態において、化学療法薬は、癌の治療が難治性であることが認められていないものである。別の実施形態では、化学療法剤は、癌の治療が難治性であることが認められているものである。当該フコースアナログは、癌治療として手術も受けている動物に投与することができる。
【0157】
1実施形態において、別の治療方法は放射線療法である。
【0158】
具体的な実施形態において、フコースアナログは、化学療法薬または放射線療法と同時に投与される。別の具体的な実施形態では、化学療法薬の投与または放射線療法を、フコースアナログ投与の前または後に行い、好ましくはフコースアナログ投与の前または後の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月または数ヶ月(例えば3ヶ月以内)である。
【0159】
化学療法薬は、一連の期間をかけて投与することができるか、本明細書で提供される化学療法薬のいずれか一つまたは組み合わせであることができる。放射線照射に関しては、治療すべき癌の種類に応じて、いずれの放射線療法プロトコールも使用可能である。例えば(それに限定されるものではないが)、X線療法を行うことができ、特には深部腫瘍および電子ビームには高エネルギー超高電圧(1MeVより大きいエネルギーの照射)を用いることができ、皮膚癌には常用電圧X線照射を用いることができる。ラジウム、コバルトおよび他の元素の放射性同位元素などのγ線放出性放射性同位元素も投与可能である。
【0160】
さらに本発明は、その化学療法または放射線療法が、治療を受ける対象者について毒性が強すぎることがわかっているか明らかになる可能性がある、例えば許容できないか耐えられない副作用を生じる場合に、化学療法または放射線療法に対する代替法としてのフコースアナログによる癌の治療方法を提供する。治療を受ける動物は、どの治療が許容できるか耐えられるかわかっているかに応じて、手術、放射線療法または化学療法などの別の癌治療法で治療しても良い。
【0161】
癌の多剤療法
本発明には、処置を必要とする動物に対して、有効量のフコースアナログおよび抗癌剤である治療薬を投与する段階を有する癌の治療方法が含まれる。好適な抗癌剤には、メトトレキセート、タキソール、L-アスパラギナーゼ、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素類、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、トポテカン、ナイトロジェンマスタード、シトキサン、エトポシド、5-フルオロウラシル、BCNU、イリノテカン、カンプトテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセルおよびドセタキセルなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では、抗癌剤には、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード類(シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル)、ニトロソ尿素類(カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート類(ブスルファン、トレオスルファン)、トリアゼン類(ダカルバジン)、白金含有化合物(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン)、植物アルカロイド類(ビンカアルカロイド類-ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、タキソイド類(パクリタキセル、ドセタキソール)、DNAトポイソメラーゼ阻害薬、エピポドフィリン類(エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトセシン、カンプトセシン)、クリスナトール、マイトマイシン類(マイトマイシンC);抗葉酸薬などの代謝拮抗薬:DHFR阻害薬:メトトレキセート、トリメトレキサート;IMPデヒドロゲナーゼ阻害薬:ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR;リボ核酸レダクターゼ阻害薬:ヒドロキシ尿素デフェロキサミン;ピリミジンアナログ:ウラシルアナログ:5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド(Ratitrexed);シトシンアナログ:シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、フルダラビン;プリンアナログ:メルカプトプリン、チオグアニン;ホルモン療法:受容体拮抗薬:抗エストロゲン薬:タモキシフェン、ラロキシフェン、メゲストロール;LHRH作動薬:ゴセレリン(goscrclin)、酢酸ロイプロリド;抗アンドロゲン薬:フルタミド、ビカルタミド;レチノイド類/デルトイド類:ビタミンD3アナログ:EB1089、CB1093、KH1060;光線力学的療法:ベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、デメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA);サイトカイン類:インターフェロン-α、インターフェロン-γ;腫瘍壊死因子:その他:イソプレニル化阻害薬:ロバスタチン;ドーパミン作動性神経毒:1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン;細胞周期阻害薬:スタウロスポリン;アクチノマイシン類:アクチノマイシンD、ダクチノマイシン;ブレオマイシン類:ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン;アントラサイクリン類:ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン;MDR阻害薬:ベラパミル;およびCa2+ATPase阻害薬:タプシガルジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
癌のアジュバント療法
フコースアナログは、癌ワクチンと組み合わせてアジュバントとして用いることができる。本明細書で使用される「癌ワクチン」という用語は、腫瘍細胞に対する特異的免疫応答を誘発および/または促進することで腫瘍細胞に選択的に損傷を与える化合物を意味する。癌ワクチンは例えば、TAAまたはTSAのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む医薬およびTAAまたはTSAのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む医薬組成物であることができる。本明細書で使用される場合、TSAは「腫瘍特異的抗原」を指し、TAAは腫瘍関連抗原を指す。TSAは、癌細胞に固有の分子である。TAAsは、癌細胞と正常細胞によって共有されるが異なって発現される分子である。
【0163】
癌ワクチンの用量は、ワクチンに対する免疫応答の刺激の範囲に応じて適切な改変を行って決定することができる。概して、それは活性成分として0.01から100mg/日/成人、または好ましくは0.1から10mg/日/成人である。癌ワクチンは、数日ごとから数ヶ月ごとに投与することができる。投与は、皮下投与、静脈投与または筋肉投与などの医療用途用のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を投与する公知の方法に従って行うことができる。投与時の免疫応答を誘発および/または促進するために、適切なアジュバントの存在下または非存在下に、担体への連結を行うか行わずに、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を用いることができる。ヒト身体に対して自体では有害効果を生じることがなく、抗原性を高めることができる限りにおいて担体には限定はなく、セルロース、ポリマーアミノ酸、アルブミンなどを担体の例として挙げることができる。アジュバントは、ペプチドワクチン接種に一般に使用されるものであることができ、不完全フロインドアジュバント(FIA)、アルミニウムアジュバント(ALUM)、百日咳菌ワクチン、鉱油などを例として挙げることができる。さらに、製剤はペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を製剤する好適な公知の方法を用いることで好適に選択することができる。
【0164】
他の点では、有効な癌ワクチン効果は、患者の末梢血から単核球の画分を採取し、本発明のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質とともにそれをインキュべートし、次にCTLの誘発および/またはCTLの活性化が認められた単核球の画分を患者の血液に戻すことによっても得ることができる。フコースアナログは、単核球の再投与時または再投与後に共投与することができる。単核球濃度、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の濃度、培養時間などの培養条件は、試験を簡単に繰り返すことで決定することができる。インターロイキン-2などのリンパ球の増殖を促進する能力を有する物質を培養中に加えることができる。
【0165】
自己免疫疾患の治療
フコースアナログは、自己免疫疾患の調節または自己免疫疾患の治療を行って、症状および/または自己免疫応答を軽減する上で有用である。従ってフコースアナログは、動物での自己免疫疾患の治療のための各種設定で用いることができる。
【0166】
1実施形態において、フコースアナログは、特定の自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を低下または低下調節する。
【0167】
当該フコースアナログで治療可能な特定の種類の自己免疫疾患には、Th2-リンパ球関連障害(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症および移植片対宿主病);Th1リンパ球関連障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ヴェーゲナー肉芽腫および結核);活性化Bリンパ球関連障害(例えば、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、関節リウマチおよびI型糖尿病);および下記に開示のものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
すなわち、活動性慢性肝炎、アジソン病、アレルギー性肺胞炎、アレルギー反応、アレルギー性鼻炎、アルポート症候群、アナフィラキシー、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、関節炎、回虫症、アスペルギルス症、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、ベーチェット病、鳥飼育者肺、気管支喘息、カプラン症候群、心筋症、セリアック病、シャーガス病、慢性糸球体腎炎、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性風疹感染、CREST症候群、クローン病、クリオグロブリン血症、クッシング症候群、皮膚筋炎、円板状ループス、ドレスラー症候群、イートン・ランバート症候群、エコーウイルス感染、脳脊髄炎、内分泌性眼障害、エプスタイン・バーウイルス感染症、ウマ慢性肺気腫(Equine Heaves)、エリテマトーデス、エバンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛、フックス毛様体炎、胃の萎縮症、消化管アレルギー、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病、グレーブス病、ギラン−バレー病、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性副腎萎縮、特発性肺線維症、IgA腎症、炎症性腸疾患、インシュリン依存性糖尿病、若年性関節炎、若年型糖尿病(I型)、ランバート・イートン症候群、蹄葉炎、扁平苔癬、ルポイド肝炎、ループスリンパ球減少症(Lupus Lymphopenia)、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、多腺性症候群、初老期認知症、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、反復流産、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サムプター症候群、住血吸虫症、シュミット症候群、強皮症、シュルマン症候群、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺炎、血小板減少症、甲状腺中毒症、中毒性表皮剥離症B型、インスリン抵抗性I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎白斑、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症およびヴェーゲナー肉芽腫である。
【0169】
自己免疫疾患の多剤療法
本発明はまた、処置を必要とする動物(例えば、哺乳動物)に対して、有効量のフコースアナログおよび適宜に自己免疫疾患の治療用に公知の治療薬を投与する段階を有する自己免疫疾患の治療方法を提供する。1実施形態において、前記抗自己免疫疾患薬には、シクロスポリン、シクロスポリンA、ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、タクロリムス、エタネルセプト、プレドニゾン、アザチオプリン、メトトレキセート、シクロホスファミド、プレドニゾン、アミノカプロン酸、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ヒドロコルチゾン、デキサメサゾン、クロランブシル、DHEA、ダナゾール、ブロモクリプチン、メロキシカムまたはインフリキシマブなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0170】
感染性疾患の治療
当該フコースアナログは、免疫応答を高めて感染性疾患を起こす細胞の殺害または阻害を生じさせたり、感染性疾患を治療する上で有用である。従って当該フコースアナログは、動物における感染性疾患の治療における各種状況で用いることができる。
【0171】
1実施形態において、当該フコースアナログは免疫応答を高めて、特定の感染性疾患を生じさせる細胞の殺害または増殖阻害を行うか、その細胞の殺害または増殖阻害を増やす。
【0172】
当該フコースアナログによって治療可能な感染性疾患の特定の種類には、(1)細菌性疾患:ジフテリア、百日咳、潜在性菌血症、尿路感染症、胃腸炎、蜂窩織炎、喉頭蓋炎、気管炎、アデノイド肥大、後咽頭膿瘍、膿痂疹、膿瘡、肺炎、心内膜炎、敗血症性関節炎、肺炎球菌性腹膜炎、細菌性髄膜炎、急性化膿性髄膜炎、尿道炎、子宮頚管炎、直腸炎、咽頭炎、卵管炎、副睾丸炎、淋病、梅毒、リステリア症、炭疽病、ノカルジア症、サルモネラ、腸チフス、赤痢、結膜炎、副鼻腔炎、ブルセラ病、野兎病、コレラ、腺ペスト、破傷風、壊疽性腸炎、放線菌症混合型嫌気性感染症、梅毒、回帰熱、レプトスピラ病、ライム病、ネズミ咬熱、結核、リンパ節炎、ハンセン病、クラミジア、クラミジア肺炎、トラコーマ、封入体性結膜炎、全身性;(2)真菌性疾患:ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、分芽菌症、スポロトリクム症、クリプトコックス症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、菌腫、クロモミセス症;(3)リケッチア性疾患:発疹チフス、ロッキー山発疹熱、エーリキア症、東半球ダニ媒介性リケッチア症、リケッチア痘、Q熱およびバルトネラ症;(4)寄生虫症:マラリア、バベシア症、アフリカ睡眠症、シャガス病、リーシュマニア症、ダムダム熱、トキソプラズマ症、髄膜脳炎、角膜炎、アメーバ症、ジアルジア鞭毛虫症、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、シクロスポラ症、微胞子虫病、回虫症、鞭虫感染症、十二指腸虫感染、蟯虫感染、眼幼虫移行症、旋回虫症、糸状虫症、リンパ管フィラリア症、ロア糸状虫症、河川盲目症、犬糸状虫感染、住血吸虫症、沼地皮膚症、東洋肺吸虫、東洋肝吸虫、肝蛭症、肥大吸虫症、オピストルキス感染症、サナダムシ感染、包虫症、多包虫症;(5)ウィルス性疾患:麻疹、亜急性硬化性汎脳炎、感冒、おたふくかぜ、風疹、バラ疹、リンゴ病、水痘、呼吸合包体ウイルス感染症、偽膜性喉頭炎、細気管支炎症、伝染性単核細胞増加症、灰白脊髄炎、疱疹性アンギナ、手足口病、ボルンホルム病、性器ヘルペス、陰部疣贅、無菌性髄膜炎、心筋炎、心嚢炎、胃腸炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)、ライエ症候群、川崎症候群、インフルエンザ、気管支炎、ウィルス性「ウォーキング(Walking)」肺炎、急性熱性呼吸器疾患、急性咽頭結膜熱、流行性角膜結膜炎、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、帯状疱疹、巨細胞封入体症、狂犬病、進行性多巣性白質脳症、クールー、致死性家族性不眠症、クロイツフェルト-ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、熱帯性痙性不全対麻痺、西部ウマ脳炎、カリフォルニア脳炎、セントルイス脳炎、黄熱病、デング熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、ラッサ熱、出血熱、ハンタウイルス肺症候群、マールブルグウイルス感染症、エボラウイルス感染症および天然痘などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0173】
感染性疾患の多剤療法
本発明はまた、処置を必要とする動物(例えば、哺乳動物)に対して、フコースアナログおよび適宜に抗感染症薬である治療薬に投与する段階を有する感染性疾患の治療方法も提供する。1実施形態において、当該抗感染症薬には、(1)抗細菌薬:β-ラクタム系抗生物質:ペニシリンG、ペニシリンV、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、アンピシリン、アモキシリン、バカンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン;アミノグリコシド類:アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン;マクロリド類:アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン;テトラサイクリン類:デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン;キノロン類:シノキサシン、ナリジクス酸、フルオロキノロン類:シプロフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン;ポリペプチド類:バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB;スルホンアミド類:スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファメチゾール、スルファセタミド;各種抗細菌剤:トリメトプリム、スルファメトキサゾール、クロラムフェニコール、バンコマイシン、メトロニダゾール、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リファンピン、スペクチノマイシン、ニトロフラントイン;抗ウィルス薬:一般的抗ウィルス薬:イドクスウリジン、ビダラビン、トリフルリジン、アシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、フォスカーネット、リバビリン、アマンタジン、リマンタジン、シドフォビル;アンチセンスオリゴヌクレオチド類;免疫グロブリン類;インターフェロン類;HIV感染用薬剤:ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、ネビラピン、デラビルジン、サキナビル、リトナビル、インジナビルおよびネルフィナビルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0174】
他の治療薬
本発明の方法はさらに、フコースアナログおよび治療薬またはそれの医薬として許容される塩もしくは溶媒和物の投与を含むことができる。当該フコースアナログおよび当該治療薬は、相加的にまたはより好ましくは相乗的に作用し得る。好ましい実施形態では、フコースアナログを含む組成物は、同一組成物の一部であることができるかフコースアナログを含むものとは異なる組成物であることができる1以上の治療薬の投与と同時に投与される。別の実施形態において、フコースアナログは治療薬の投与の前または後に投与される。
【0175】
本発明の癌、自己免疫疾患または感染性疾患の治療方法では、治療薬は抗嘔吐薬であることもできる。好適な抗嘔吐薬には、メトクロプラミド、ドンペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシン・モノエタノールアミン、アリザプリド、アゼセトロン、ベンズキナミド、ビエタナウチン(bietanautine)、ブロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリナート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール、メトピマジン、ナビロン、オキシペンジル(oxypemdyl)、ピパマジン、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール類、チエチルペラジン、チオプロペラジンおよびトロピセトロンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
別の実施形態において、治療薬は、造血コロニー刺激因子であることができる。好適な造血コロニー刺激因子には、フィルグラスチム、サルグラモスチム、モルグラモスチムおよびエポエチンアルファなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
さらに別の実施形態において、治療薬はオピオイド性または非オピオイド性鎮痛剤であることができる。好適なオピオイド性鎮痛剤には、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、オキシコドン、メトポン、アポモルヒネ、ノルモルヒネ、エトルフィン、ブプレノルフィン、メペリジン、ロペルミド(lopermide)、アニレリジン、エトヘプタジン、ピミニジン(piminidine)、ベタプロジン、ジフェノキシレート、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、レボルファノール、デキストロメトルファン、フェナゾシン、ペンタゾシン、シクラゾシン、メサドン、イソメサドンおよびプロポキシフェンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な非オピオイド性鎮痛剤には、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサール、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカムおよびスリンダクなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0178】
下記の実施例では、本発明についてさらに説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0179】
実施例1:非フコシル化抗体のイン・ビボ産生
方法
本試験開始の30から60日前に、雌BALB/cマウスをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で免疫化した。第1の試験に関しては、マウスに1日1回7日間にわたって150mg/kgのアルキニルフコース(SGD-1887)、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)、2-フルオロフコース(SGD-2083)または2-フルオロフコーストリアセテート(SGD-2084)を腹腔内投与するか未投与とした。第2日に、マウスをKLHでも追加免疫した。最後の腹腔内投与後の当日、マウスを放血させて屠殺し、血清を得た。第2の試験に関しては、マウスに、7日間にわたり、飲料水に入れた100mMの2-フルオロフコース(SGD-2083)を与えるか未処理水を与え、KLHで追加免疫し、100mM2-フルオロフコースを含む飲料水または未処理水をさらに7日間投与を続けてから、放血して屠殺した。次に、血清を得た。いずれの試験でもマウスは死亡しなかった。両方に試験に関して、血清を市販の抗KLHアフィニティカラムに通して、KLH特異ポリクローナル抗体を得た。抗KLHアフィニティカラムからの溶出液を市販のタンパク質Aカラムに通して、残っている抗体を得た。
【0180】
ドットブロット:未処理動物および処理動物からの各抗体、ならびに既知量のコアフコシル化(0から100%フコース)を有する抗体cAC10の標準品0.5μgを、ニトロセルロース膜上にブロットした。タンパク質レベルをポンソー染色によって肉眼観察できるようにした。ブロットをビオチン処理コウジカビ(Aspergillus ryzae)L-フコース特異レクチン(AOL)(フコシル化抗体に結合)でプロービングし、ストレプトアビジンHRPおよびECLで現像した。ゲル負荷(可視)およびフコースシグナル(生物発光)をアルファイノテック(Alpha Innotech)カメラで測定し、機械のソフトウェアを用いて定量した。
【0181】
ガスクロマトグラフィー(GC):水に対して透析しておいた未処理動物および処理動物からの各抗体40μgについて、メタノール性HCl中でのメタノリシスを行った。0%から100%フコースを有する抗体cAC10の対照サンプルを同様に処理した。得られたメチルグリコシドを、市販のカクテルであるTri-Silを用いて単糖類アルコールのトリメチルシリル化によって誘導体化した。得られたトリメチルシリルメチルグリコシドを、アジレント(Agilent)J&W DB-1カラムでの温度勾配を用いる火炎イオン化検出を用いるヒューレット・パッカード(Hewlet Packard)ガスクロマトグラフィーで調べた。Abサンプルと並列で誘導体化した糖標準品と比較して保持時間によって、関連するピークを確認した。ピークはGCソフトウェアを用いて積分した。フコース/マンノースピーク面積比を用いて、抗体のフコシル化状況を求めた。
【0182】
結果
試験1:図1に、KLHに結合せずにタンパク質Aカラムから回収された抗体からのドットブロット(左側)を示している。結果は、cAC10標準(下側ドットブロット、左最下点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、未処理対照(下側ドットブロット、左から2番目の点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)およびアルキニルフコース(SGD-1887;下側ドットブロット、中央点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890、下側ドットブロット、右から2番目の点線四角形および上側ドットブロットの相当する欄)および2-フルオロフコース(SGD-2083;下側ドットブロット、最右四角形および上側ドットブロットの相当する欄)について示してある。負荷レベルについて正規化して、フコシル化パーセントも右のグラフに示してある。平均して、抗体のフコシル化レベルは、未処理対照と比較して約1/3低下した。
【0183】
図2には、抗KLH抗体(パネルAおよびB)および処理群から単離された残りの血清IgG分子(パネルCおよびD)の両方のフコシル化レベルを示してある。フコシル化レベルは、いずれもcAC10抗体標準に基づくフコシル化パーセント(パネルAおよびC)として示し、処理群の平均値は未処理対照群についての平均値のパーセントとして示している(パネルBおよびD)。平均して、抗KLH抗体のフコシル化レベルは3種類のフコースアナログでの処理によって約1/3低下した。残りの回収抗体も、約1/4のコアフコシル化における低下を示した。本試験では、全体の抗体レベル(KLH特異的および比特異的)は、KLHに対する曝露後のマウスにおいて上昇した。結果的に、治療期間中にほとんどの抗体が新たに合成された。これらの所見は、新たに産生された抗体が、フコースアナログ投与後にコアフコシル化低下を示し得ることを示している。
【0184】
試験2:本試験では、フコースアナログの経口投与の効果を調べた。図3には、フコースアナログの経口投与によるマウスの処置の結果を示してある。調べた抗体フコシル化レベルは、KLHに結合せずにタンパク質Aカラムから回収された抗体のものであった。結果は、cAC10標準(上側および下側ドットブロット、左最下四角形)、未処理対照(上側および下側ドットブロット、左から2番目(上側)および右の四角形)および2-フルオロフコース(上側および下側ドットブロット、左から2番目(下側)および右から2番目の四角形(上側および下側))について示している。負荷レベルについて正規化して、フコシル化パーセントも右にグラフで示してある。処理動物からの抗体のコアフコシル化レベルはほとんどなくなっており、平均で、フコシル化レベルは処理動物で7%、未処理動物で81%であった。これらの所見は、フコースアナログの経口投与が抗体フコシル化レベルを低下させる上で有効な手段であることを示している。
【0185】
実施例2:細胞培養におけるイン・ビボでのフコースアナログの活性
フコースアナログについて、公開米国特許出願第2009-0317869号に記載の方法にほぼ従って、濃度50μMおよび1mMでの抗体コアフコシル化に対する効果を評価した。すなわち、プロトコールは次の通りである。6ウェル組織培養プレートにおいて、7.5×105細胞/mLにてCHO培地2mL中37°、5%CO2下に、100RPMで振盪しながら、ヒト化IgG1抗CD70モノクローナル抗体h1F6を産生するCHODG44細胞系(国際特許公開WO06/113909参照)を培養した。培地にインシュリン様増殖因子(IGF)、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび1mMもしくは50μMのどちらかのフコースアナログを補充した。接種後5日に、培地を13000RPMで5分間遠心して細胞をペレット化し、次に上清から抗体を精製した。
【0186】
1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4で予め平衡としておいたタンパク質A樹脂に馴化培地を加えることで、抗体精製を行った。20倍樹脂床体積の1XPBSで樹脂を洗浄した後、5倍樹脂床体積のImmunopure IgG溶離緩衝液(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)で抗体の溶離を行った。10体積%の1M Tris pH8.0を加えて、溶出した分画を中和した。結果を下記の表に示してある。
【表1】
【0187】
【0188】
【0189】
「ND」は、フコースアナログ存在下での抗体産生の低下または細胞増殖の阻害のために検出されないことを意味する。
【表2】
【0190】
「ND」は、フコースアナログ存在下での抗体産生の低下または細胞増殖の阻害のために検出されないことを意味する。
【0191】
ある種の他のフコースアナログについて、抗体に組み込まれる能力を調べた。これらのフコースアナログは、上記の方法を用いて濃度50μMおよび1mMで調べた。結果を下記の表に示す。
【表3】
【0192】
【0193】
【0194】
これらのアッセイによって、哺乳動物におけるコア抗体フコシル化の阻害における候補化合物を確認した。
【0195】
実施例3:経口投与後のイン・ビボでの非フコシル化抗体の産生
本試験では、フコースアナログ2-フルオロフコース(SGD-2083)の経口投与の効果をさらに調べた。雌BALC/cマウスに、14日間にわたって飲料水に入れて1、10および100mM2-フルオロフコースを与えた。マウスをTiterMAX Classicで免疫感作し、さらに7日間にわたって飲料水に入れて1、10および100mM2-フルオロフコースを与えた。その後、マウスを放血によって屠殺し、血清を得た。タンパク質Aカラムに血清を通すことで、内因性抗体を精製した。
【0196】
回収抗体について、下記のようなドットブロットによってフコシル化レベルを評価した。未処理動物および処理動物からの抗体(各0.5μg)、ならびに0%から100%フコースを含むcAC10の標準品(試験1のみ)を、ニトロセルロース膜上にブロットした。タンパク質レベルをポンソー染色によって肉眼観察できるようにした。ブロットをビオチン処理AOLレクチンでプロービングし、ストレプトアビジンHRPおよびECL(上記)で現像した。ゲル負荷(可視)およびフコースシグナル(生物発光)をアルファイノテック(Alpha Innotech)カメラで測定し、機械のソフトウェアを用いて定量した。
【0197】
結果
3濃度の2-フルオロフコース(SGD-2083)にわたって抗体のフコシル化レベルに用量依存的低下があった。図4について説明すると、抗体フコシル化レベルは、未処理対照および1mM2-フルオロフコース群(左および中央パネル、上側の2個の四角形)において最も高かった。中間濃度の2-フルオロフコースからの抗体は、高濃度の100mM2-フルオロフコースとほぼ同等にフコースが激減した。これらの結果によって、マウスへの2-フルオロフコースの投与によりコア抗体フコシル化が阻害可能であることが確認される。
【0198】
実施例4:ヒト細胞に対するフコースアナログの影響
ヒト骨髄腫細胞によって産生されるIgG抗体のフコシル化ならびにヒト癌細胞系の表面タンパク質のフコシル化を各種フコースアナログが阻害する能力を調べた。第1の試験では、フコースアナログが細胞系LP-1、ヒト多発性骨髄腫細胞系によって産生されるIgGのフコシル化を阻害する能力を調べた。未処理LP-1細胞によって産生され、その培地で認められた抗体が、抗ヒトIgG検出を用いるウェスタンブロットによってIgG型のものであることが確認された(データは示していない)。これは、37℃で加湿雰囲気の5%CO2において、IgG欠乏組織培地(10%IgG欠乏熱失活FBS含有の90%RPMI)で5日間にわたり、T-75培地フラスコ(細胞250000個/mL)においてLP-1細胞20mLを増殖させることで行った。細胞の回収を遠心によって行い(200×g、4℃、5分)、培地を回収した。培地を0.22μmフィルターで濾過し、50%MabSelect(商標名)タンパク質A樹脂スラリー/PBS 1mLとともに4℃で回転下に終夜にわたってインキュベートして、IgGを捕捉した。樹脂スラリーを静置し、ほとんどの培地を除去した。樹脂スラリーを培地約0.5mLを用いて2個の酢酸セルロースフィルター遠心カップに移し入れ、5000×gで1分間遠心した。樹脂床をPBS 0.5mLで3回洗浄した。Pierce IgG溶離緩衝液700μLでIgGを溶離した(9MTris緩衝液52μL、pH9.5を加えて溶離後のpHを調節)。得られた溶離液を10,000分子量カットオフ遠心濃縮装置に移し入れ、サンプルを濃縮して約20μLとした。濃縮サンプル1μLを分離用のSDSポリアクリルアミドゲルに負荷し、次にニトロセルロース膜上にブロットした。総タンパク質についてのブロットの染色をポンソー染色で行い、抗ヒトIgG抗体によるアイソタイプの同定を行った。総タンパク質染色はIgG重鎖および軽鎖の分子量と一致するバンドを示し、抗ヒトIgG染色は予想される重鎖の分子量と一致するタンパク質バンドとの反応を示した。
【0199】
抗体フコシル化は、抗体のα-1,6連結フコースに特異的に結合するビオチン標識コウジカビ(Aspergillus oryzae)L-フコース特異レクチン(AOL)を用いて測定することもできる。このフコース検出方法は、SDS-PAGEによって分離されている両方のブロットタンパク質または分離せずにニトロセルロースに付与されたタンパク質に有効である。ストレプトアビジン-HRP結合およびECL検出によりAOL-ビオチン複合体を用いて発生する蛍光シグナルをAlpha Innotech FlourChem(登録商標)Qシステムを用いて定量することができる。LP-1培地から単離されたIgGは、予想される重鎖の分子量に相当するバンドにAOL依存性シグナルを示した(データは示していない)。アナログである2-フルオロフコース(SGD-2083)および2-フルオロフコースペルアセテート(SGD-2084)は抗体のフコシル化を阻害しなかったが、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)は阻害した。
【0200】
各種フコースアナログの活性をさらに評価するため、48種類の異なるフコースアナログおよび他の4種類のグリコシル化阻害薬について、LP-1-発生IgGのフコシル化に影響する能力を調べた。37℃にて5%CO2の加湿雰囲気でIgG欠乏組織培地(10%IgG欠乏熱失活FBSを含む90%RPMI)において5日間にわたって、LP-1細胞(細胞250,000個/mL、6ウェルプレートで化合物当たり3mL)を、100μMの各フコースアナログとともにインキュベートした。9MTris緩衝液pH9 25μLを含むIgG溶離緩衝液400μLでの溶離を用いMabSelect(商標名)タンパク質A樹脂スラリー0.5mLおよび1個の遠心カップ/サンプルのみを用いて、上記の方法に従ってIgGを単離した。溶出液をサンプル当たり10から20μLまで濃縮し、各濃縮溶出液2μLをニトロセルロース膜上に乗せ、ポンソー染色によって染色して、AOL染色についてサンプル負荷を推算および調節した。各サンプルについての総タンパク質の推算から、各サンプル約0.5μgを膜に付与し、風乾し、ポンソー染色によって染色した。この染色膜の画像をAlpha Innotech FlourChem(登録商標)Qシステムを用いてキャプチャーした。次に、膜をTris緩衝生理食塩水(TBS)中にて5%ウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロックし、TBST(Triton含有TBS)で3回洗浄し、5μg/mLビオチン処理AOLとともに1時間インキュベートした。膜をTBSTで再度3回洗浄し、次に30分間にわたってストレプトアビジン-HRPインキュベーションし、最後にTBSTで3回洗浄した。化学発光試薬(ECL)を用いて生物発光シグナルを目視化し、Alpha Innotech FlourChem(登録商標)QシステムおよびAlphaview(登録商標)ソフトウェアを用いて分析した。結果を下記の表に示す。いくつかのアナログについて、表に示したように、複数のサンプルを分析した。
【0201】
【表4】
【0202】
【0203】
3種類のフコースアナログを全SDS-PAGE/ウェスタンブロット分析用に選択して、この技術によって重鎖上のフコースシグナルにおける変化を検出することができることを明らかにした。50μMの濃度で選択された3種類のアナログを用いた。これらの分析によって、未処理細胞からの抗体と2-フルオロフコース(SGD-2083)、2-フルオロフコースペルアセテート(SGD-2084)およびアルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)の活性を比較した。アルキニルフコースペルアセテートを用いることで、ビオチン処理AOLとの反応性を示さないIgGが産生され、AOLシグナルにおける変化をこの方法によって検出できることが確認されたが、2-フルオロフコース(SGD-2083)および2-フルオロフコースペルアセテート(SGD-2084)がAOLシグナルにおける明瞭な変化を示さなかった。これらの結果は、表4におけるこれら化合物についての結果と一致する。
【0204】
表4で調べたフコースアナログの多くがヒト骨髄腫細胞によって産生される抗体のフコシル化を低下させるように思われた。化合物のドットブロットによって、阻害の指標としてAOLシグナル低下を用いると、これらのうちの10種類がヒト細胞におけるIgGフコシル化の強力な阻害薬である可能性があることが明らかになった。これらのフコースアナログは、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)、アルキニルフコーステトラプロピオネート(SGD-2010)、1-メチルフコーストリアセテート(SGD-2039)、5-エチルフコーステトラアセテート(SGD-1989)、6-フルオロフコーステトラアセテート(SGD-1988)、6-ブロモフコーステトラアセテート(SGD-1969)、6,6-ジフルオロフコーステトラアセテート(SGD-2046)、6-ケト-6-エチルフコーステトラアセテート(SGD-2067)、5-エポキシフコーステトラアセテート(SGD-2020)および5-メチルケトフコーステトラアセテート(SGD-1964)である。
【0205】
AOLドットブロットの結果をさらに明確にするため、下記のフコースアナログ(ドットブロットAOLシグナルにおける中等度ないし強度の低下を与えたもの)で処理した細胞が産生したIgGのサンプルを単離し、PLRP-MSを減らすことで調べて、重鎖の分子量を用いてフコシル化状況を確認した。すなわち、アルキニルフコースペルアセテート;5-ビニルフコーステトラアセテート;5-メチルケトフコーステトラアセテート;6-ブロモフコーステトラアセテート;6-フルオロフコーステトラアセテート;5-エチルフコーステトラアセテート;5-エポキシフコーステトラアセテート;6,6-ジフルオロフコーステトラアセテート;6-ケト-6-エチルフコーステトラアセテート;および2-フルオロフコースペルアセテートである。
【0206】
LP-1細胞の40mLサンプル(細胞250,000個/mL)を、上記の方法に従って100μMのフコースアナログで5日間処理し、タンパク質A樹脂を用いて記載の方法に従ってIgGを精製した。消衰係数1.4AU/(mg/mL)と仮定してUVスペクトル測定によって、収率を計算した。10種類の化合物のうち7種類が分析を行う上で十分なIgGを生じた(SGD-2067、SGD-1964およびSGD-2020を用いることで<10μgのIgGを得たが、それは細胞に対するアナログの毒性のためであると考えられる)。残ったIgGを10mM DTTで37℃にて15分間還元し、PLRPで分離し、次にQTOF質量分析装置を用いるMS分析を行った。得られた重鎖ピークを調べ、未処理細胞によって生じたIgGと比較した。
【0207】
質量分析結果を表5(下記)に示す。重鎖のピーク高さを重鎖-フコースおよび重鎖-フコース+フコースアナログ質量(抗体炭水化物へのアナログの組み込みがあったと仮定した場合に生じると考えられるもの)と比較することで、質量分析シグナルを評価した。調べた10種類の化合物のうちの4種類が、抗体での1,6-フコシル化の部分もしくは完全阻害薬であった。アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)によって完全阻害が提供され、2-フルオロフコースペルアセテート(SGD-2084)がその次に良好で70%阻害であり、それに続いて6,6-ジフルオロフコーステトラアセテート(SGD-2046)および6-ブロモフコーステトラアセテート(SGD-1969)であり、炭水化物へのアナログの組み込みとの混合で約33%および20%阻害であった。
【0208】
表5
PLRP-MSとLP-1生成IgGについてのドットブロットの結果
【表5】
【0209】
実施例5:タンパク質フコシル化に対するフコースアナログの影響
4種類の部分ないし完全阻害薬であるアルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)、2-フルオロフコースペルアセテート(SGD-2084)、6,6-ジフルオロフコーステトラアセテート(SGD-2046)および6-ブロモフコーステトラアセテート(SGD-1969)のタンパク質細胞表面フコシル化に対する効果を、5種類の異なるヒト由来癌細胞系(Caki-1、PC-3、Ramos、LS174tおよびHL60cy)のインキュベーションによってヒト癌細胞について調べた。新鮮な阻害薬を含む培地を定期的に交換しながら標準的な培養条件下で約1から2週間にわたって、100μMの各阻害薬を用いた。インキュベーション期間後、細胞を、4種類の異なる検出試薬:ビオチン化レンズ豆アグルチニン-A(LCA)、抗ルイスx抗体(抗SSEA1)、抗ルイスy抗体(cBR96)および組換えヒトP-セレクチン/CD62P/Fc融合タンパク質を用いるFACSによって分析した。その手順では、FACS緩衝液(PBS+10%ウシ血清アルブミン+0.02%アジ化ナトリウム)によって細胞を3回洗浄し、次に4℃で1時間にわたり一次検出試薬とともにインキュベートし、次にFACS緩衝液で3回洗浄し、次に二次検出試薬とともに4℃で1時間インキュベートした。最後に、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁させ、BDFACScan装置を用いて調べた。LCA試薬は、α-連結マンノース残基を含む配列を識別し、それのアフィニティはコアオリゴ糖のN-アセチルキトビオース部分に結合したα-連結フコース残基によって顕著に高められる。P-セレクチン融合タンパク質は、細胞表面上に存在するP-セレクチンリガンドを検出し、それの相互作用にはP-セレクチンリガンドに存在するシアリルルイスxエピトープが関与する。
【0210】
調べた細胞系の全てが、α連結マンノース残基を含む配列を識別するLCA試薬による染色を示し、それのアフィニティはコアオリゴ糖のN-アセチルキトビオース部分に結合したα連結フコース残基によって顕著に高められる。この糖エピトープのLCA検出は、全ての阻害薬(100μM)による細胞の処理によって低下した。これは、細胞表面上のフコースの全体的な存在が、調べた6種類のフコースアナログによる処理によって影響を受けることを示唆している。
【0211】
図7には、これらの試験の結果を示してある。調べた細胞系のルイスXに関して、未処理LS1745tおよびHL60cyのみが、細胞表面で検出される有意なルイスXを有していた(抗SSEAI染色)(図7A)。この構造の抗SSEAI検出は、フコースアナログの全て(100μM)による細胞処理で有意に減少した。
【0212】
調べた細胞系のルイスXに関して、未処理LS1745tおよびHL60cyのみが細胞表面上で検出される有意なルイスYを有していた(cBR96染色)(図7B)。この構造のcBR96検出は、フコースアナログの全て(100μM)による細胞の処理で有意に低下した。
【0213】
調べた細胞系のP-セレクチンに関して、未処理HL60cyのみが細胞表面上で検出される有意なP-セレクチンリガンドを有していた。このリガンドの検出は、アルキニルフコースペルアセテート(SGD-1890)(100μM)を除く全てのフコースアナログによる細胞処理によって若干減少した(図7C)。未処理のRamos細胞はP-セレクチンリガンドをほとんど示さなかったが、フコースアナログによって処理すると、このリガンドに関するシグナルが増加した。これは普通ではなく、2-フルオロフコース(SGD-2083)またはアルキニルフコース(SGD-1887)によるこれら細胞の以前の処理では認められていない。
【0214】
この結果は、これらフコースアナログによる処理が細胞表面上のフコースの存在ならびに具体的には細胞表面上でのルイスXおよびルイスY修飾およびP-セレクチンリガンド上に存在するシアリルルイスXのフコシル化に影響し得ることを示唆している。
【0215】
実施例6:2-フルオロフコースの経口投与後の白血球増多症およびE-セレクチン結合減少
白血球増多症およびE-セレクチン結合に対するフコースアナログの効果をマウスで調べた。雌Balb/cマウスに飲料水中にて2-フルオロフコース(SGD-2083)を経口投与するか、未処理のままとした。投与前とその後週1回で3週間にわたってマウスから採血して、循環血球数およびそれらがE-セレクチンを結合させる能力を評価した。1試験では、2-フルオロフコースを飲料水中にて1mM、10mMまたは100mMに製剤した(群当たりn=3)。第14日に、マウスをTiterMAX(登録商標)Classicアジュバント(Sigma)で処理して、B細胞によるポリクローナルで抗原非特異的抗体産生を刺激し、2-フルオロフコース含有水に第21日まで留まらせた。第2の試験では、飲料水中10mMおよび100mMで製剤した2-フルオロフコースを3週間にわたってマウスに経口投与して、他の処理は行わなかった(n=6)。第21日に、3匹の動物それぞれからのリンパ節プール(腋窩、上腕、浅鼠径および腸間膜)を、血液に加えて評価した。リンパ節を均質化して単細胞懸濁液とし、死亡細胞を除外するためにトリパンブルーを用い、血球計でのカウンティングによって総細胞数を求めた。総白血球数/μL血液を求めるため、赤血球(RBC)を除外するためにチュルク試液(3%酢酸中の0.01%ゲンチアナ・バイオレット)を用いて、個々の動物からの血液検体を血球計でカウントした。フローサイトメトリー分析のための浸透圧溶解によって血液の残りからRBCを除去した。細胞を抗Gr-1-FITC抗体(BD Biosciences)とともにインキュベートして、好中球および組換えE-セレクチン-ヒトFc融合タンパク質(R&D Systems)を確認した。細胞を洗浄し、PE標識ヤギ抗ヒトIgG-Fc二次抗体(Jackson Immunoresearch)とともにインキュベートして、結合E-セレクチンを検出した。FACSCaliburフローサイトメーターでサンプルを採取し、CellQuestソフトウェアを用いて分析した。Gr-1+細胞のパーセントを求め、血球計カウントからの総白血球数を用いて好中球の絶対数を計算した。さらに、フローサンプルをGr-1+細胞について制限することで、ヒストグラム分析によって好中球へのE-セレクチン結合を評価した。E-セレクチン蛍光シグナルの幾何平均をヒストグラムから求めた。
【0216】
結果
図5Aおよび5Bにおける結果は、2-フルオロフコース(SGD-2083)の経口投与によって、循環白血球および好中球に用量依存的に上昇が生じたことを示している。1mMで投与された2-フルオロフコースはほとんど効果がなかったが、用量10mMおよび100mM2-フルオロフコースに上昇させると効果の上昇が認められた。図5Aおよび5Bに示したデータは第1の試験の第14日からのものである。同様の結果が、第1の試験における第7日および第21日、ならびに第2の試験における第7日、第14日および第21日(データは示していない)で認められた。リンパ節は第2の試験の第21日でも評価し、図5Cは、2-フルオロフコースの経口投与によって、リンパ節における細胞性に顕著な低下が生じることを明示している。その効果は、10mMと比較して100mMでより強かった。
【0217】
2-フルオロフコースの経口投与によって、好中球へのE-セレクチン結合にも低下が生じる(図6)。フコースアナログの効果はやはり用量依存的であり、1mMではほとんど効果がなく、10mMおよび100mMでは効果が上昇した(図5Bおよび5C)。
【0218】
循環白血球および好中球において認められた増加(白血球増多症)は、好中球によるE-セレクチン結合の阻害と一致する。E-セレクチンは末梢およびリンパ節への白血球の滲出に介在し、E-セレクチン結合の阻害(フコシル化の阻害による)は滲出を低減し、血液中の白血球蓄積を生じるとも考えられる。これらの結果は、特にタンパク質フコシル化およびE-セレクチンフコシル化を阻害するフコースアナログが自己免疫を阻害する作用をし得ることを示唆している。
【0219】
実施例7:フコースアナログの投与による腫瘍成長阻害
試験1
ヒト由来細胞系を、イン・ビトロでのフコースアナログである2-フルオロフコースに対する感受性について評価した。細胞系は、LS174T結腸腺癌、PC-3結腸腺癌、HL-60急性骨髄性白血病、ラモス・バーキットリンパ腫およびCaki-1腎細胞癌であった。細胞系を、100μM2-フルオロフコース(SGD-2083)/成長培地、100μMアルキニルフコース(SGD-1887)/成長培地または対照成長培地(フコースアナログを含まない)の存在下に2週間培養した。成長培地は、10%FBS(LS174T)含有MEMイーグル、10%FBS(PC-3)含有50:50F12およびRPMI、10%FBS(HL-60)含有RPMI、10%FBS含有IMDM(Ramos)および10%FBS含有McCoy(PC-3)であった。ルイスYの検出に抗体cBR96を用い、ルイスXの検出に抗体SSEA-1を用い、P-セレクチンの検出にP-セレクチンリガンドを用い、フコシル化の全般的レベル検出にAOLレクチンを用いるFACSによって、細胞についての細胞表面フコシル化を評価した。
【0220】
結果
FACS評価の結果、異なる細胞系上のフコシル化細胞表面タンパク質のレベルが可変であることが明らかになった(データは示してない)。2-フルオロフコース(SGD-2083)は概して、アルキニルフコース(SGD-1887)より良好なタンパク質フコシル化阻害薬であった。
【0221】
試験2
これらフコースアナログの活性をさらに評価するため、フコースアナログの存在下に培養することで前処理しておいた腫瘍細胞を用いるか、未処理腫瘍細胞を用いて、さらなる試験をイン・ビボで行った。腫瘍細胞を、下記のように群当たり10匹のマウスに移植した。LS174T、PC-3およびCaki-1細胞系については、25%Matrigel中の細胞5×105個を、雌ヌードマウスに皮下移植した。HL-60およびRamos細胞系については、雌SCIDマウスに細胞5×106個を皮下移植した。未処理腫瘍細胞を移植したマウスについては、マウスには通常の飲料水を与えた。2-フルオロフコース(SGD-2083)で前処理した腫瘍細胞を移植したマウスについては、マウスには20mM2-フルオロフコース(SGD-2083)を補充した飲料水を与えた。アルキニルフコース(SGD-1887)で前処理した腫瘍細胞を移植したマウスについては、マウスには通常の飲料水を与えた。マウスは、アルキニルフコースを含む飲料水は飲まなかった。
【0222】
2-フルオロフコース含有飲料水投与を3週間受けた後、マウスを通常の飲料水に戻したがCaki-1腫瘍を有するマウスは除いた。後者のマウスを1週間にわたり通常の飲料水に戻した。通常水を飲んだ週の後、20mM2-フルオロフコースを補充した飲料水または通常飲料水を飲む各5匹の2群にマウスを無作為に分けた。腫瘍が約1000mm3に達した時点でマウスを屠殺した。
【0223】
図8AからEについて説明すると、2-フルオロフコース(SGD-2083)で処理したLS174T、PC-3およびCaki-1細胞について、イン・ビボでの腫瘍増殖阻害が認められた。HL-60およびRamos細胞については腫瘍増殖に変化は認められなかった。Caki-1については、第1の処理期間中には腫瘍増殖阻害は認められなかったが、マウスを2-フルオロフコース処理に戻した後には認められた。他の細胞系については、腫瘍の大きさが約150mm3に達した時に腫瘍増殖阻害の開始が現れた。2-フルオロフコース(SGD-2083)による第2の処理期間まで、緩やかに増殖するCaki-1腫瘍はこの点に到達しなかった。これらの結果は、フコースアナログによる処理が腫瘍増殖を阻害し得ることを示している。
【0224】
試験3
第3の試験では、フコースアナログによる事前の処理を行わずに腫瘍細胞を移植した。LS174T結腸腺癌細胞(25%Matrigel中の細胞5×105個)を雌ヌードマウスに皮下移植した。マウスには、移植7日前から移植後21日まで飲料水中の50mM2-フルオロフコース(SGD-2083)を与えるか、通常の飲料水を与えた。
【0225】
結果
図8Fについて説明すると、飲料水中の50mM2-フルオロフコース(SGD-2083)を与えたマウスは、腫瘍増殖にかなりの阻害を示し、通常の飲料水を与えたマウスの場合の734mm3に対して110mm3の平均腫瘍サイズとなった。総合すると、これらの結果は、フコースアナログの投与が腫瘍増殖を阻害し得ることを示唆している。
【0226】
実施例8:腫瘍ワクチンモデル
第-21日および第-7日にA20マウスリンパ腫細胞(放射線によって屠殺)100万個の皮下移植によって、雌Balb/cマウスを免疫化した。別のマウス群には免疫化は行わなかった。第0日に、全てのマウスに生存A20細胞150万個または500万個を静注接種した。第-14日から第+21日に、飲料水中の50mM2-フルオロフコース(SGD-2083)を与えるか、通常の飲料水を与えた。8処理群は下記の通りであった。
【0227】
1.免疫化なし、生存A20細胞150万個、通常飲料水
2.免疫化なし、生存A20細胞500万個、通常飲料水
3.免疫化なし、生存A20細胞150万個、50mMSGD-2083/飲料水
4.免疫化なし、生存A20細胞500万個、50mMSGD-2083/飲料水
5.免疫化、生存A20細胞150万個、通常飲料水
6.免疫化、生存A20細胞500万個、通常飲料水
7.免疫化、生存A20細胞150万個、50mMSGD-2083/飲料水
8.免疫化、生存A20細胞500万個、50mMSGD-2083/飲料水。
【0228】
結果
図9Aについて説明すると、試験計画を示してある。図9Bについて説明すると、免疫化を受けなかったマウスに、第22日から第35日に生存A20負荷を行った。2-フルオロフコース(SGD-2083)投与を受けたマウスは、通常飲料水を与えたマウスより数日長く生存した。死滅A20細胞500万個で免疫化され、通常飲料水を与えたマウス2匹について、生存A20負荷を行った。免疫化および飲料水中の2-フルオロフコース(SGD-2083)投与を受けた全てのマウスが、データ収集時になお生存していた。
【0229】
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態によってその範囲は限定されない。本明細書に記載のもの以外の本発明の各種変更形態は、前記の説明および添付の図面から当業者には明らかになろう。そのような変更は添付の特許請求の範囲に包含されるものである。文脈から別途に明らかでない限り、本発明のあらゆる段階、要素、実施形態、特徴または態様も他のいかなるものとも組み合わせて用いることができる。本願で言及された全ての特許出願および科学刊行物、受託番号などは、参照により本明細書において、あたかも個別にそのように示されているのと同程度に全体が組み込まれるものとする。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)哺乳動物においてタンパク質フコシル化を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、有効量の下記式(V)または(VI)のうちの一つからなる群から選択されるフコースアナログまたはそれの生物学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与する段階を有する方法、
【化5】
[式中、
式(V)または(VI)のそれぞれはαまたはβアノマーまたは相当するアルドース型であり;
R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のそれぞれは独立に、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリル、-OC1-C10アルキルおよび小型電子吸引基からなる群から選択され、各nは0から5から独立に選択される整数であり;
R5は、-CH3、-CHX2、-CH2X、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C1-C4アルキル、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C2-C4アルケン、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C2-C4アルキン、-CH=C(R10)(R11)、-C(CH3)=C(R12)(R13)、-C(R14)=C=C(R15)(R16)、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-C3炭素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-CH(X')-C3炭素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3複素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-CH(X')-C3複素環、-CH2N3、-CH2CH2N3およびベンジルオキシメチルからなる群から選択される構成員であるか、R5は小型電子吸引基であり;
R10は水素であり、または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R11は置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R12は水素、ハロゲンまたは置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R13は水素または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R14は水素またはメチルであり;
R15およびR16は独立に水素、メチルおよびハロゲンから選択され;
Xはハロゲンであり;
X′はハロゲンまたは水素であり;
さらに、R1、R2、R2a、R3およびR3aのそれぞれは水素であっても良く;隣接する炭素原子上の2個のR1、R2、R2a、R3およびR3aが一体となって、その隣接する炭素原子間に二重結合を形成していても良く;
ただし、(i)R2およびR2aがいずれも水素である場合、(ii)R3およびR3aがいずれも水素である場合、(iii)R1が水素である場合、(iv)前記隣接する炭素原子間に二重結合が存在する場合、または(v)R5がベンジルオキシメチルである場合を除き、R1、R2、R2a、R3、R3a、R4およびR5のうちの少なくとも一つが小型電子吸引基であるか、R5がハロゲン、不飽和部位、炭素環、複素環またはアジドを含む]、
ここで式VまたはVIの当該フコースアナログの投与を行わない場合のタンパク質フコシル化の量と比較して、当該哺乳動物においてタンパク質フコシル化が少なくとも10%低減する。
(2)前記フコースアナログが下記式(I)または(II)のうちの一つからなる群またはそれらの生物学的に許容される塩もしくは溶媒和物から選択される(1)に記載の方法。
【化6】
[式中、
式(I)または(II)のそれぞれは、アルファもしくはベータアノマーまたは対応するアルドース形であって良く;
R1からR4のそれぞれは、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、−OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、−OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から独立に選択され、各nは、0から5から独立に選択される整数であり、
R5は、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CHX2(XはF、BrまたはClである)、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである)およびメトキシランからなる群から選択される。]
(3)前記哺乳動物が癌を有する(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記哺乳動物が自己免疫障害を有する(1)または(2)に記載の方法。
(5)癌関連抗原またはそれの抗原性断片を免疫原として投与する段階をさらに有する(3)に記載の方法。
(6)R1からR4のそれぞれが独立に、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、−OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3および-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3からなる群から選択され、R5が-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択される(1)または(2)に記載の方法。
(7)R1からR4のそれぞれが独立に-OH-OC(O)Hおよび-OC(O)C1-C10アルキルからなる群から選択される(1)または(2)に記載の方法。
(8)R1からR4のそれぞれが独立に、-OHおよび-OAcからなる群から選択される(7)に記載の方法。
(9)R5が-C≡CHおよび-C≡CCH3からなる群から選択される(1)または(2)に記載の方法。
(10)R5が-C≡CHである(9)に記載の方法。
(11)R5が-CH2Xであり、XがF、Br、ClまたはIである(1)または(2)に記載の方法。
(12)R5が-CH2Xであり、XがFである(11)に記載の方法。
(13)R5が-CH2Xであり、XがBrである(11)に記載の方法。
(14)R5が-CHX2であり、XがFである(1)または(2)に記載の方法。
(15)R5が-CHX2であり、XがFである(1)または(2)に記載の方法。
(16)R5が-CHF2であり、R1からR4が-OAcである(1)または(2)に記載の方法。
(17)R5が-CH2Brであり、R1からR4が-OAcである(1)または(2)に記載の方法。
(18)R5が-C≡CHであり、R1からR4が-OAcである(1)または(2)に記載の方法。
(19)前記フコースアナログが下記式(III)または(IV)のうちの一つまたはそれの生物学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される(1)に記載の方法。
【化7】
[式中、
式(III)または(IV)のそれぞれはαもしくはβアノマーまたは相当するアルドース型であることができ;
R1からR4のそれぞれは独立に、フルオロ、クロロ、-OH、−OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、−OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、−OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、−OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、−OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、−O-トリ-C1-C3アルキルシリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から選択され、各nは0から5から独立に選択される整数であり;
R2aおよびR3aのそれぞれは独立に、H、FおよびClからなる群から選択され;
R5は、-CH3、-CHF2、-CH=C=CH2、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択される。]
20)R1がFである(19)に記載の方法。
(21)R2がFである(19)に記載の方法。
(22)R3がFである(19)に記載の方法。
(23)R2およびR2aがそれぞれFである(19)に記載の方法。
(24)R1およびR2がそれぞれFである(19)に記載の方法。
(25)R2aおよびR3aがそれぞれ水素である(19)に記載の方法。
(26)R5が-CH3、−CH2CH3、−C≡CH、−CH2C≡CH、−CH=CHCH3、−シクロプロピル、−オキシラン、−メチルで置換されたオキシラン、−CH2F、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2I、−CHF2、−CH=C=CH2、−CH2N3および-CH2CH2N3からなる群から選択される(19)に記載の方法。
(27)前記小型電子吸引基がフルオロ、クロロ、ブロモ、−CHF2、−CH=C=CH2、−C≡CH、−C≡CCH3、−CH2C≡CH、−CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択される(19)に記載の方法。
(28)R5が-C≡CHである(19)に記載の方法。
(29)R5が-CH2Xであり、XがF、Br、ClまたはIである(19)に記載の方法。
(30)R5が-CH2Xであり、XがFである(29)に記載の方法。
(31)R5が-CH2Xであり、XがBrである(29)に記載の方法。
(32)R5が-CHX2であり、XがFである(19)に記載の方法。
(33)R5が-CHX2であり、XがFである(25)に記載の方法。
(34)R5が-CHF2であり、R1からR4が-OAcである(19)に記載の方法。
(35)R5が-CH2Brであり、R1からR4が-OAcである(19)に記載の方法。
(36)R5が-C≡CHであり、R1からR4が-OAcである(19)に記載の方法。
(37)R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のうちの少なくとも二つが小型電子吸引基である(19)に記載の方法。
(38)前記フコースアナログが表1、2および3の化合物から選択される(19)に記載の方法。
(39)有効量の下記式(V)または(VI)のうちの一つからなる群から選択されるフコースアナログまたはそれの生物学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、哺乳動物への投与用に製剤された医薬組成物、
【化8】
[式中、
式(V)または(VI)のそれぞれはαまたはβアノマーまたは相当するアルドース型であり;
R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のそれぞれは独立に、-OH、-OC(O)H、-OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、-OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、-OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、-OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリル、-OC1-C10アルキルおよび小型電子吸引基からなる群から選択され、各nは0から5から独立に選択される整数であり;
R5は、-CH3、-CHX2、-CH2X、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C1-C4アルキル、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C2-C4アルケン、置換されていないかハロゲンで置換されている-CH(X')-C2-C4アルキン、-CH=C(R10)(R11)、-C(CH3)=C(R12)(R13)、-C(R14)=C=C(R15)(R16)、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-C3炭素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-CH(X')-C3炭素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されているC3複素環、置換されていないかメチルもしくはハロゲンで置換されている-CH(X')-C3複素環、-CH2N3、-CH2CH2N3およびベンジルオキシメチルからなる群から選択される構成員であるか、R5は小型電子吸引基であり;
R10は水素または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R11は置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R12は水素、ハロゲンまたは置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R13は水素であり、または置換されていないかハロゲンで置換されているC1-C3アルキルであり;
R14は水素またはメチルであり;
R15およびR16は独立に水素、メチルおよびハロゲンから選択され;
Xはハロゲンであり;
X′はハロゲンまたは水素であり;
さらに、R1、R2、R2a、R3およびR3aのそれぞれは水素であっても良く;隣接する炭素原子上の2個のR1、R2、R2a、R3およびR3aが一体となって、その隣接する炭素原子間に二重結合を形成していても良く;
ただし、(i)R2およびR2aがいずれも水素である場合、(ii)R3およびR3aがいずれも水素である場合、(iii)R1が水素である場合、(iv)前記隣接する炭素原子間に二重結合が存在する場合、または(v)R5がベンジルオキシメチルである場合を除き、R1、R2、R2a、R3、R3a、R4およびR5のうちの少なくとも一つが小型電子吸引基であるか、R5がハロゲン、不飽和部位、炭素環、複素環またはアジドを含む]、
ここで当該哺乳動物において、前記式VまたはVIのフコースアナログの投与を行わない場合のタンパク質フコシル化の量と比較してタンパク質フコシル化が低減する。
(40)R1からR4のそれぞれがは独立に、-OH、-OC(O)H、−OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、−OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、−OC(O)C2−C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、−OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、−OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から選択され、各nが0から5から独立に選択される整数であり;
R5が、-C≡CH、-C≡CCH3、-CH2C≡CH、-C(O)OCH3、−CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CHX2(各XはF、BrまたはClである)、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択される(39)に記載の医薬組成物。
(41)R1、RおよびR4のそれぞれが独立に、-OH、-OC(O)H、−OC(O)C1-C10アルキル、-OC(O)C2-C10アルケニル、-OC(O)C2-C10アルキニル、-OC(O)アリール、−OC(O)複素環、-OC(O)C1-C10アルキレン(アリール)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(アリール)、−OC(O)C2−C10アルキニレン(アリール)、-OC(O)C1-C10アルキレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルケニレン(複素環)、-OC(O)C2-C10アルキニレン(複素環)、-OCH2OC(O)アルキル、−OCH2OC(O)Oアルキル、-OCH2OC(O)アリール、-OCH2OC(O)Oアリール、−OC(O)CH2O(CH2CH2O)nCH3、-OC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3、-O-トリ-C1-C3アルキルシリルおよび-OC1-C10アルキルからなる群から選択され、各nが0から5から独立に選択される整数であり;
R2がFであり、R2aおよびR3aがそれぞれHであり、R5が-CH3である(39)に記載の医薬組成物。
(42)R1がFである(39)に記載の組成物。
(43)R2がFである(39)に記載の組成物。
(44)R3がFである(39)に記載の組成物。
(45)R2およびR2aがそれぞれFである(39)に記載の組成物。
(46)R1およびR2がそれぞれFである(39)に記載の方法。
(47)R2aおよびR3aがそれぞれ水素である(39)に記載の組成物。
(48)R5が-CH3、−CH2CH3、−C≡CH、−CH2C≡CH、−CH=CHCH3、−シクロプロピル、−オキシラン、メチルで置換された−オキシラン、−CH2F、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2I、−CHF2、−CH=C=CH2、−CH2N3および-CH2CH2N3からなる群から選択される(39)に記載の組成物。
(49)前記小型電子吸引基が、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CHF2、−CH=C=CH2、−C≡CH、−C≡CCH3、−CH2C≡CH、−CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CH(OAc)CH3、-CN、-CH2CN、-CH2X(XはF、Br、ClまたはIである。)およびメトキシランからなる群から選択される(39)に記載の組成物。
(50)R5が-C≡CHである(39)に記載の組成物。
(51)R5が-CH2Xであり、XがF、Br、ClまたはIである(39)に記載の組成物。
(52)R5が-CH2Xであり、XがFである(39)に記載の組成物。
(53)R5が-CH2Xであり、XがBrである(39)に記載の組成物。
(54)R5が-CHX2であり、XがFである(39)に記載の組成物。
(55)R5が-CHX2であり、XがFである(39)に記載の組成物。
(56)R5が-CHF2であり、R1からR4が-OAcである(39)に記載の組成物。
(57)R5が-CH2Brであり、R1からR4が-OAcである(39)に記載の組成物。
(58)R5が-C≡CHであり、R1からR4が-OAcである(39)に記載の組成物。
(59)R1、R2、R2a、R3、R3aおよびR4のうちの少なくとも二つが小型電子吸引基である(39)に記載の組成物。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B