特許第6113899号(P6113899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113899
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20170403BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20170403BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20170403BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/35
   A61Q17/04
   A61K8/29
   A61K8/36
   A61Q1/02
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-188954(P2016-188954)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-66137(P2017-66137A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-194610(P2015-194610)
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】長井 宏一
(72)【発明者】
【氏名】松田 崇志
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 卓也
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−058934(JP,A)
【文献】 特表2000−503677(JP,A)
【文献】 特開2007−106714(JP,A)
【文献】 特開2010−195773(JP,A)
【文献】 特開昭58−049307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61K 8/29
A61K 8/35
A61K 8/36
A61Q 1/02
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジベンゾイルメタン誘導体、及び
(b)高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体、を含むことを特徴とする日焼け止め化粧料。
【請求項2】
前記アルカリ土類金属がカルシウムまたはマグネシウムである、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記高級脂肪酸が炭素数12〜18の脂肪酸である、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(a)ジベンゾイルメタン誘導体の配合量が0.5〜4.0質量%であり、前記(b)表面疎水化処理された粉体の配合量が1.0〜15.0質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記(a)ジベンゾイルメタン誘導体の配合量と、前記(b)表面疎水化処理された粉体の配合量との配合量比率が、(a):(b)=1:24〜3:1の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
ジベンゾイルメタン誘導体を含有する組成物に、高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を配合することを含む、前記組成物を安定化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け止め化粧料に関する。より詳細には、紫外線吸収剤であるジベンゾイルメタン誘導体と特定の表面処理をされた紫外線散乱剤とを含み、UVAからUVBに渡る広い波長領域で高い紫外線防御能を発揮し、なおかつ安定性にも優れた日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線の害から皮膚を守ることはスキンケア、ボディケアにおける重要な課題の一つであり、紫外線が皮膚に与える悪影響を最小限に抑えるために種々のUVケア化粧料が開発されている。UVケア化粧料の一種である日焼け止め化粧料(サンスクリーン化粧料)は、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合した塗膜で皮膚を覆うことによりUVA及びUVBを吸収又は散乱させて皮膚に到達する紫外線量を抑制し、紫外線の害から皮膚を守ることを意図した化粧料である(非特許文献1)。
【0003】
ジベンゾイルメタン誘導体はUVA領域に吸収ピークを持つ有機紫外線吸収剤として日焼け止め化粧料に汎用されているが、光分解による光防御能の低下や、共存する他の成分、特に金属イオンとの相互作用による結晶析出や変色(黄変)といった問題を有している。
【0004】
特許文献1では、ジベンゾイルメタン誘導体と酸化チタンとを配合した組成物において生ずる変色(黄変)や光保護力の減少を、酸化チタン表面をシリコーン(シロキサンもしくはシラン誘導体)で被覆することにより抑制している(段落0009〜0012)。
特許文献2には、ジベンゾイルメタンと酸化亜鉛との反応による劣化を防止するために酸化亜鉛粒子を表面処理することが開示され、当該表面処理物質として、シリコーン、脂肪酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、N−アシルアミノ酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、鉱油、シリカ、リン脂質、ステロール、炭化水素、ポリアクリレート、アルミナ及びその混合物が挙げられている(第13頁)。
【0005】
酸化チタンや酸化亜鉛等の金属酸化物粉体は紫外線散乱剤として日焼け止め化粧料に配合されているが、油中での分散性や透明性の向上を目的として表面疎水化処理される場合もある。例えば特許文献3では、金属石鹸で表面処理した酸化チタンの微粒子を用いると透明性が向上するが、紫外線遮蔽効果は低下することが記載されている(第3頁)。
しかし、前記特許文献1や2に挙げられているような一般的な表面処理物質の一部(例えばアルミナ)には金属が含まれているので、これらの物質で表面処理した粉体をジベンゾイルメタン誘導体と共存させると変色や結晶析出を生じる可能性は否定できない。一方、シリカ被覆した酸化チタンを配合すると皮膚に塗布した際の白さが不自然に目立ってしまう傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−2929号公報
【特許文献2】特表2000−503677号公報
【特許文献3】特開昭58−49307号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「新化粧品学」第2版、光井武夫編、2001年、南山堂発行、第497〜504頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明における課題は、UVA吸収剤であるジベンゾイルメタン誘導体の不安定性を解消し、UVAからUVBに渡る広い波長領域で優れた紫外線防御能を発揮できるとともに、耐光性に優れ、経時的にも安定で、変色や結晶析出を生じず、なおかつ不自然に白くならない日焼け止め化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、紫外線散乱剤として配合する金属酸化物の表面に、高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸による処理、あるいは、高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物とによる複合処理を施すことにより、ジベンゾイルメタン誘導体と共存させても結晶の析出や変色を起こさず、安定な日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(a)ジベンゾイルメタン誘導体、及び
(b)高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体、を含むことを特徴とする日焼け止め化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、変質、分解する性質を持つことが知られたジベンゾイルメタン誘導体に、特定の表面処理を施した粉体(紫外線散乱剤)を共配合することによって、保存中に紫外線遮蔽能が低下することがなく、結晶の析出や変色といった使用上又は外観上の問題も生じない日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の日焼け止め化粧料は、(a)ジベンゾイルメタン誘導体、及び(b)高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を必須成分として含有している。
【0013】
(a)ジベンゾイルメタン誘導体
ジベンゾイルメタン誘導体(成分a)は、UVA領域に最大吸収波長を持つ紫外線吸収剤として化粧料等に広く用いられている。
本発明で用いられるジベンゾイルメタン誘導体としては、例えば、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0014】
前記のジベンゾイルメタン誘導体の中でも、4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタン(表示名称:t−ブチルメトキシベンゾイルメタン)が特に好ましく用いられる。
ジベンゾイルメタン誘導体は市販品を用いてもよく、例えば、「パルソール1789」の名称でDSMニュートリションジャパン株式会社から市販されている4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタンを例示することができる。
【0015】
本発明の日焼け止め化粧料におけるジベンゾイルメタン誘導体の配合量は、0.5〜4.0質量%とするのが好ましく、1.0〜3.0質量%とするのが更に好ましい。配合量が0.5質量%未満では十分な紫外線防御効果が得られず、4.0質量%を超えて配合しても紫外線防御効果の更なる向上は得られず、べたつき等の使用性の問題を生ずることがある。
【0016】
(b)粉体(紫外線散乱剤)
本発明の日焼け止め化粧料に配合される粉体は、反射もしくは散乱により紫外線を物理的に遮断する粉体(「紫外線散乱剤」とも呼ばれる)であり、特定の表面疎水化処理をされた粉体である。
【0017】
本発明における特定の疎水化処理とは、(1)高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸による処理、又は(2)高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物とによる複合処理を意味する。ここで用いられる高級脂肪酸は、炭素数8〜24(好ましくは炭素数12〜18)の直鎖状もしくは分岐鎖状のカルボン酸とするのが好ましい。具体例としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられ、イソステアリン酸が特に好ましい。
また、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムが好ましく、マグネシウムが特に好ましい。
なお、粉体表面に高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物とによる複合処理を施すと、当該粉体表面には高級脂肪酸とアルカリ土類金属との塩からなる金属石鹸の層が形成されると考えられる。即ち、前記(1)又は(2)の処理によって粉体表面に形成される表面被覆層は同等の組成を有すると推測される。
【0018】
疎水化処理方法としては、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等を用いることができ、特に限定されない。
【0019】
前記特定の疎水化処理される粉体(母核)は、化粧料の分野で紫外線散乱剤として用いられる粉体であれば特に限定されない。具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化鉄、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、シリカ、酸化セリウム等から選択される1種又は2種以上が挙げられる。特に、1.5以上の屈折率を有する粉体を用いるのが光学的特性から好ましい。
【0020】
前記粉体(母核)は、従来から化粧料等に配合されているものであればよく、特に限定されないが、例えば、平均一次粒子径が100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下のものが好適に用いられる。平均一次粒子径の下限値は特に限定されるものでないが、粒径が小さくなるほど高価になるので、経済性を考慮すれば5nm以上でよく、好ましくは10nm以上である。ここで、本明細書における平均一次粒子径とは、一般的に用いられる方法で測定される粉体の一次粒子の径を意味するものであり、具体的には透過電子顕微鏡写真から、粒子の長軸の長さと短軸の長さの相加平均として求められる値である。
また、粉体の粒子形態も特に限定されるものでなく、球状、楕円形状、破砕状等が含まれ、一次粒子の状態であっても、凝集した二次集合体を形成したものでもよい。
なお、以下では、前記特定の処理を施された粉体(成分b)を単に「紫外線散乱剤」と呼称する。
【0021】
本発明の日焼け止め化粧料における紫外線散乱剤(成分b)の配合量は、1〜15質量%とするのが好ましく、2〜8質量%とするのが更に好ましい。配合量が1質量%未満では十分な紫外線防御効果が得られず、15質量%を超えて配合すると使用性が低下する傾向がある。
【0022】
本発明の日焼け止め化粧料にあっては、(a)ジベンゾイルメタン誘導体と(b)紫外線散乱剤との配合量比率を、(a):(b)=1:24〜3:1、より好ましくは、1:10〜2:1、さらに好ましくは1:5〜1:1の範囲に調整するのが好ましい。配合量比率を前記範囲内とすることにより、UVAからUVBの波長範囲に渡って効果的に紫外線防御効果が得られる。
【0023】
ジベンゾイルメタン誘導体、中でも4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタンは、UVA領域の有機紫外線吸収剤として従来から化粧料に汎用されており、酸化チタン等の粉体も紫外線散乱剤として知られ、各種の表面疎水化処理された粉末が用いられている。しかしながら、粉体の表面処理に用いられる金属石鹸として最も汎用されているのは3価金属であるアルミニウムを含む金属石鹸であり、マグネシウム等のアルカリ土類金属を含む金属石鹸で表面処理された粉体とジベンゾイルメタン誘導体とを組み合わせた例は知られていない。
【0024】
本発明は、公知の表面処理剤の中から金属石鹸を選択し、さらに金属石鹸の中からアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを含む金属石鹸を特に選択することにより、ジベンゾイルメタン誘導体とともに配合しても結晶析出を起こさず安定性を維持できることを初めて見出したものである。
【0025】
従って本発明は、ジベンゾイルメタン誘導体を含有する組成物に、高級脂肪酸とアルカリ土類金属からなる金属石鹸処理又は高級脂肪酸とアルカリ土類金属水酸化物との複合処理によって表面疎水化処理された粉体を配合することを含む、前記組成物の安定化方法を提供するものである。
【0026】
本発明の日焼け止め化粧料は、(a)ジベンゾイルメタン誘導体及び(b)紫外線散乱剤に加えて、日焼け止め化粧料に通常配合し得る他の任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で含んでいてもよい。
【0027】
他の任意成分は特に限定されないが、例えば、ジベンゾイルメタン誘導体以外の紫外線吸収剤を更に配合することにより、UVA及び/又はUVB領域の紫外線防御能を更に向上させることができる。
ジベンゾイルメタン誘導体以外の紫外線吸収剤としては、化粧料に通常用いられるものから選択でき、特に限定されるものでない。例えば、パラ−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、β,β−ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体等から選択される1種又は2種以上が例示される。
【0028】
他の任意成分としては、水溶性高分子、油溶性高分子、ロウ類、アルコール類、炭化水素油、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、シリコーン油、界面活性剤、紫外線散乱剤以外の粉末成分、薬剤等が挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。
【0029】
水溶性高分子としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」と略記する)のホモポリマー、あるいはコポリマーが挙げられる。コポリマーは、ビニルピロリドン、アクリル酸アミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル等のコモノマーとからなるコポリマーである。すなわち、AMPSホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、ジメチルアクリルアミド/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体等が例示される。
【0030】
さらには、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が例示される。
【0031】
油溶性高分子としては、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等が例示される。
【0032】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が例示される。
【0033】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどの多価アルコール等が例示される。
【0034】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が例示される。
【0035】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、アラキドン酸等が例示される。
【0036】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、エライジルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、オクチルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール等が例示される。
【0037】
脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、ミツロウ脂肪酸2−オクチルドデシル等が例示される。
【0038】
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、オクタメチルシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を例示することができる。好ましくは、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン等が例示される。
【0039】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤が挙げられ、シリコーン系又は炭化水素系の界面活性剤が含まれる。
紫外線散乱剤(成分b)以外の粉末成分としては、ナイロンやアクリル系のポリマー球状粉末、シリカ粉末、シリコーン粉末、金属を含まない表面処理剤で表面処理された金属酸化物粉末等が例示される。ただし、表面処理されていない金属酸化物粉末、例えば酸化亜鉛粉末等はジベンゾイルメタン誘導体の安定性を阻害する可能性があるため配合しないのが好ましい。
【0040】
薬剤としては、L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸およびその誘導体、アラントイン、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩、アラントイン、アズレンなどが例示される。
【0041】
本発明の日焼け止め化粧料は、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料、あるいは油性化粧料の形態で提供することが可能である。具体的な剤型としては、日焼け止め乳液、日焼け止めクリームといった剤型であり、各剤型に適した常法を用いて製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
【0043】
下記表1に掲げる処方で油中水型乳化日焼け止め化粧料の試料を調製した。次いで、調製した各例の試料について、(1)結晶析出、(2)塗布時の白さ、及び(3)油分への分散性を以下のように評価した。評価結果も表1に併せて示す。
【0044】
(1)結晶析出
−10℃〜20℃の温度サイクルで1か月間保管した後、偏光顕微鏡で結晶析出の有無を確認した。
A:結晶析出が認められない。
B:結晶析出が認められた。
【0045】
(2)塗布時の白さ
女性パネル(10名)が各実施例、比較例の試料を塗布した後の白さについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
A:塗布後の白さが許容しがたいと回答した人数が4名以下。
B:塗布後の白さが許容しがたいと回答した人数が5名以上。
【0046】
(3)油分への分散性(粉末凝集等の有無)
各例の試料を黒色プレート上に塗布した際に生じる粉末の細かな凝集塊(粉末ブツ)や粉末凝集から生ずる色むらの有無を目視観察した。
(評価)
A:プレートに塗布した際に粉末の細かな凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが全く見られない。
B:プレートに塗布した際に極く小さな粉末の凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが僅かに見られた。
C:プレートに塗布した際に小さな粉末の凝集塊や凝集から生ずる粉末色むらが見られた。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示した結果から明らかなように、基材(母核)が酸化チタンであっても硫酸バリウムであっても、その表面をアルカリ土類金属(マグネシウム)を含む金属石鹸で疎水化処理(被覆)した実施例1及び2は、ジベンゾイルメタン誘導体が共存しても結晶析出が起こらず、不自然な白さも感じず、粉体(紫外線散乱剤)の油中分散性も良好であった。
【0049】
基材(母核)が実施例1と同じ酸化チタンであっても、含水シリカで表面処理した比較例1は、結晶析出は起こらないものの、塗布時の白さが不自然で許容しがたく、粉体の油中分散性も劣っていた。酸化チタンをステアリン酸アルミニウムで表面処理した比較例2では、塗布時の白さや油中分散性は許容できるが、結晶析出が生じた。表面が酸化亜鉛である比較例3及び5は、基材(母核)がシリコーン樹脂であってもマグネシウム含有化合物(タルク)であっても結晶析出が起こり、酸化亜鉛をシリコーン表面処理した比較例4でも同様に結晶析出が観察された。
【0050】
以上より、アルカリ土類金属を含む金属石鹸で表面処理することによりジベンゾイルメタン誘導体との間での結晶析出を抑制できる本発明の効果は、粉体の基材(母核)の種類によらず達成できるが、表面処理剤の金属を3価金属(アルミニウム)を含む金属石鹸、金属酸化物あるいはシリコーンに置換した場合には本発明の効果が得られないことが明らかになった。
【0051】
ジベンゾイルメタン誘導体に対する各種金属イオンの直接的な影響を確認するため、以下の試験を実施した。
下記表2に記載した処方で油中水型乳化組成物(試料)を調製した。なお、各試料に含まれる金属イオンのモル数が等しくなるように金属塩化物の配合量を決定した。
まず、ビーカーに油相パーツ(軽質イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)を添加して撹拌・混合し、前記と別容器で、イオン交換水の中に各金属塩化物を添加・溶解して水相パーツとした。次いで、油相パーツに水相パーツを添加し、ホモジェナイザーで乳化した。
【0052】
得られた各試料について、以下の要領で色調変化(変色)の有無を測定した。
<測定方法>
各試料を1か月間、50℃で保管した後、目視で変色の有無を確認した。
<測定結果>
A:変色が認められない。
B:変色が認められた。
【0053】
【表2】
【0054】
表2に示した結果により、アルカリ土類金属であるマグネシウム及びカルシウムのイオンが共存していてもジベンゾイルメタン誘導体(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)の変色は起こらないが、他の金属であるアルミニウムや遷移金属である亜鉛が共存すると変色が生じることが確認された。
【0055】
以下に本発明にかかる日焼け止め化粧料の処方例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
処方例1:W/Oサンスクリーン
配合成分 配合量(質量%)
イオン交換水 残余
エタノール 5
グリセリン 3
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2
軽質イソパラフィン 20
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
2−エチルヘキサン酸セチル 10
デカメチルシクロペンタシロキサン 15
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
サイコエキス 0.05
加水分解コンキオリン 0.03
テアニン 0.01
イソステアリン酸マグネシウム処理微粒子酸化チタン 10
ミリスチン酸マグネシウム被覆硫酸バリウム 3
【0056】
処方例2:P/O/Wサンスクリーン
配合成分 配合量(質量%)
イオン交換水 残余
エタノール 5
グリセリン 3
1,3ーブチレングリコール 5
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油 1.5
オクトクリレン 5
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10
軽質イソパラフィン 10
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシル
オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン 2
2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−
ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−
1,3,5−トリアジン 0.5
イソステアリン酸マグネシウム処理微粒子酸化チタン 5
イソステアリン酸 0.5
ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa
クロスポリマー 0.3
サクシノグルカン 0.2
球状セルロース粉末 3
トラネキサム酸 2
加水分解シルク 0.01
ハイビスカス花エキス 0.1
アセチルヒアルロン酸Na 0.0001
タイムエキス 0.01
ウコンエキス 0.03
EDTA−3Na・2HO 0.001
【0057】
処方例3:化粧下地
配合成分 配合量(質量%)
イオン交換水 残余
ジプロピレングリコール 9
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油 1
カルボキシメチルセルロース 0.1
キサンタンガム 0.6
ソルビタンセスキイソステアレート 0.35
イソステアリン酸 0.5
ミリスチン酸イソプロピル 2
イソドデカン 12
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 1.5
オクトクリレン 5
オキシベンゾン 1.5
イソステアリン酸マグネシウム処理顔料級酸化チタン 1
イソステアリン酸マグネシウム処理微粒子酸化チタン 5
球状セルロース粉末 2
多孔質シリカ 1
4−メトキシサリチル酸カリウム 1
トウキ根エキス 0.001
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1
PEG−12ジメチコン 0.01
ポリクオタニウム−51 0.04
【0058】
処方例4:W/Oサンスクリーン
配合成分 配合量(質量%)
イオン交換水 残余
エタノール 2
グリセリン 3
ジプロピルグリコール 5
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2
軽質イソパラフィン 20
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
ジメチコン 5
コハク酸ジ2−エキルヘキシル 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 15
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 0.5
トリエタノールアミン 0.2
ミリスチン酸カルシウム被覆タルク 5
グチチルリチン酸ジカリウム 0.001
エチルビタミンC 0.01
トレハロース 0.5