特許第6113900号(P6113900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤本 展担の特許一覧

<>
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000002
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000003
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000004
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000005
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000006
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000007
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000008
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000009
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000010
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000011
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000012
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000013
  • 特許6113900-刀剣動作速度計測装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6113900
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】刀剣動作速度計測装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/02 20060101AFI20170403BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20170403BHJP
   G04F 10/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A63B69/02 Z
   A63B71/06 N
   A63B71/06 S
   G04F10/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-202300(P2016-202300)
(22)【出願日】2016年10月14日
【審査請求日】2016年10月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516308836
【氏名又は名称】藤本 展担
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】藤本 展担
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04627620(US,A)
【文献】 特開2008−029571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 67/00 − 71/16
A63F 9/00 − 13/98
G04F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀剣動作速度を計測する刀剣動作速度計測装置であって、
動作の開始合図を示す信号を表示する表示ランプと、
刀剣の定点ポイント通過を検知するセンサーと、
前記表示ランプにより前記信号が表示された後、前記センサーにより前記刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間を計測する計測手段と、
前記時間を表示する表示手段と、を有し、
前記センサーは、第1のセンサーと第2のセンサーとを含み、
前記定点ポイントは、空間上、前記第1のセンサーと第2のセンサーとが結ばれて形成される直線であること、
を特徴とする刀剣動作速度計測装置。
【請求項2】
所定範囲値の中から、一の乱数値を取得する抽選手段を有し、
前記表示ランプは、前記一の乱数値に基づいて決定されたタイミングで前記信号を表示すること、
を特徴とする請求項1に記載の刀剣動作速度計測装置。
【請求項3】
前記第1のセンサーと第2のセンサーとを支持する回転機構を有し、
前記直線は、床面に対して水平又は垂直であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の刀剣動作速度計測装置。
【請求項4】
請求項1ないし何れか一項記載の刀剣動作速度計測装置であって、
他の前記刀剣動作速度計測装置と接続されており、
第1の前記表示ランプは、動作の開始合図を示す信号を表示し、
第1の前記センサーは、刀剣の定点ポイント通過を検知し、
他の前記刀剣動作速度計測装置における第2の前記表示ランプは、第1の前記センサーにより前記刀剣の定点ポイント通過が検知された後、動作の開始合図を示す信号を表示し、
他の前記刀剣動作速度計測装置における第2の前記センサーは、刀剣の定点ポイント通過を検知し、
前記計測手段は、第1の前記表示ランプにより前記信号が表示された後、第2の前記センサーにより前記刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間を計測し、
前記表示手段は、前記時間を表示すること、
を特徴とする刀剣動作速度計測装置。
【請求項5】
請求項1ないし何れか一項記載の刀剣動作速度計測装置が複数接続され、
複数の刀剣動作速度計測装置のうち何れか一の刀剣動作速度計測装置において、
前記表示ランプは、動作の開始合図を示す信号を表示し、
前記センサーは、刀剣の定点ポイント通過を検知し、
前記計測手段は、前記表示ランプにより前記信号が表示された後、前記センサーにより前記刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間を計測し、
前記表示手段は、前記時間を表示すること、
を特徴とする刀剣動作速度計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作者の刀剣動作速度を計測する刀剣動作速度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本古来より「抜刀術」(居合、居合術ともいう)と呼ばれる武術が知られている。抜刀術は、日本刀を鞘に収めた状態で帯刀し、素早く鞘から刀を抜いて斬る一刀目(抜き付けなどという)、更に一刀目で倒せなかった場合は二刀目又は三刀目太刀で相手にとどめを刺す形や技術を中心に構成された武術をいう。また抜刀術では、一刀目(「抜き付け」)、即ち鞘からいかに素早く刀を抜いて斬るという動作が肝要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−325763
【特許文献2】特開2001−137546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来抜刀術を競技という観点から見た場合、型や立ち振る舞いといった観点に主眼が置かれており、素早く鞘から刀を抜いて斬るという動作速度を客観的に測ることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、抜刀術にかかる動作速度を客観的に測ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る刀剣動作速度計測装置は、刀剣動作速度を計測する刀剣動作速度計測装置であって、動作の開始合図を示す信号を表示する表示ランプと、刀剣の定点ポイント通過を検知するセンサーと、前記表示ランプにより前記信号が表示された後、前記センサーにより前記刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間を計測する計測手段と、前記時間を表示する表示手段と、を有し、前記センサーは、第1のセンサーと第2のセンサーとを含み、前記定点ポイントは、空間上、前記第1のセンサーと第2のセンサーとが結ばれて形成される直線である
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、抜刀術にかかる動作速度を客観的に測ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る計測装置の斜視図を示す図である。
図2】本実施形態に係る計測装置の正面図(A)及び側面図(B)を示す図である。
図3】本実施形態に係る計測装置の上面図を示す図である。
図4】本実施形態に係る計測装置のシステム構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係る制御ユニットのハードウェア構成例を示す図である。
図6】本実施形態に係る制御ユニットのソフトウェア構成例を示す図である。
図7】本実施形態に係る1ヶ所斬り配置図例を示す図である。
図8】本実施形態に係る1ヶ所選択斬り配置図例を示す図である。
図9】本実施形態に係る2ヶ所並び斬り配置図例を示す図である。
図10】本実施形態に係る2ヶ所前後斬り配置図例を示す図である。
図11】本実施形態に係る斬り方例を示す図である。
図12】本実施形態に係る計測装置の情報処理を示すフローチャート図である。
図13】本実施形態に係る計測装置のMODE動作概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る刀剣動作速度計測装置(以下、単に「計測装置」と呼ぶ)について説明し、次いで本計測装置を用いた競技例について説明する。
【0010】
<装置構成>
図1は、本実施形態に係る計測装置の斜視図を示す図である。図2は、本実施形態に係る計測装置の正面図(A)及び側面図(B)を示す図である。図3は、本実施形態に係る計測装置の上面図を示す図である。
【0011】
図1〜3に示されるように計測装置1は、スタンド11、シグナルランプユニット12、センサーアーム13、センサー14(センサー14a及びセンサー14b)、制御ケーブル15、制御ユニット(コントローラ)16を有する。
【0012】
スタンド11は、例えば三脚など、計測装置1全体を支持するスタンドである。
【0013】
シグナルランプユニット12は、競技者に競技開始のタイミングを通知する信号を点灯させる表示ランプである。競技者が視認しやすい位置、例えば、スタンド11の上部先端等に設置される。
【0014】
センサーアーム13は、2つの先端部にそれぞれセンサー14a及びセンサー14bが支持されたコの字形状の機構である。センサーアーム13は、スタンド11と接続され、接続部と中心軸で360度回転可能である(図2参照)。
【0015】
センサー14は、センサー間に物体が通過したことを検知するセンサーである。具体的には、競技用刀剣(以下、単に刀剣という)が空間上センサー14aとセンサー14bとが結ばれて形成される直線を斬るようにして通過すると、センサー14a及びセンサー14bから検知信号が制御ユニット16に送信される。
【0016】
なお、センサーアーム13の形状を変化させて、センサー14aとセンサー14bの距離を大きくするほど直線が長くなるため(斬れる範囲が広くなるため)、斬りやすくなる。即ち競技難易度が低くなることを意味する。一方、センサー14aとセンサー14bの距離を小さくするほど直線が短くなるため(斬れる範囲が狭くなるため)、斬りにくくなる。即ち競技難易度が高くなることを意味する。
【0017】
制御ケーブル15は、シグナルランプユニット12、センサー14、及び制御ユニット16を接続する通信ケーブルである。
【0018】
制御ユニット16は、シグナルランプユニット12を制御し、競技者に競技開始のタイミングを通知する信号を点灯させる。また制御ユニット16は、センサー14からの検知信号を受信すると、競技開始のタイミングから検知信号受信までの経過時間(競技タイム)を計測する。
【0019】
図4は、本実施形態に係る計測装置のシステム構成例を示す図である。図4に示されるように、計測装置1のシステムは、制御ユニット16、シグナルランプユニット12、及びセンサー14を含み構成される。
【0020】
制御ユニット16は、電源スイッチ16a、パイロットランプ16b、選択スイッチ16c、スタートスイッチ16d、LCD(liquid crystal display)16eを有する。制御ユニット16は、シグナルランプユニット12及びセンサー14と、制御ケーブル15を介して接続される。
【0021】
シグナルランプユニット12は、カウントアップランプ12a、カウントアップランプ12b、抜刀ランプ12c、チェックランプ12dを有する。
【0022】
競技の審判が制御ユニット16の電源スイッチ16aをONすると、パイロットランプ16bが点灯し、LCD16eが表示される。次いで審判は選択スイッチ16cを操作し、LCD16eの画面上でモード切替えなどの設定を行い、スタートスイッチ16dを押下する。
【0023】
審判によりスタートスイッチ16dが押下されると、カウントアップランプ12a、カウントアップランプ12bが1秒間隔で右から順に点灯する。
【0024】
カウントアップランプ12b点灯後、制御ユニット16により決定されたランダム秒数(例えば、1〜8秒のいずれか)が経過すると、抜刀ランプ12cが点灯する。抜刀ランプ12c点灯は、競技者に対する競技開始信号、即ち抜刀斬の開始合図を意味する。
【0025】
ここで、抜刀斬とは、鞘から刀剣を抜いて斬ることを意味し、本競技においては、刀剣を抜いて刀剣がセンサー14aとセンサー14bとの間の定点ポイントを通過させることをいう。
【0026】
抜刀ランプ12c点灯後、刀剣が空間上の定点ポイント(空間上、センサー14aとセンサー14bとが結ばれて形成される直線)を通過すると、斬る動作の完了を示すチェックランプ12dが点灯する。
【0027】
制御ユニット16は、刀剣がセンサー14aとセンサー14bとの間の定点ポイントを通過すると、競技開始合図から、刀剣の定点ポイント通過迄の経過時間(抜刀ランプ12c点灯からチェックランプ12d点灯迄の経過時間)を計測し、計測結果を競技タイムとしてLCD16eの画面に表示する。
【0028】
また、カウントアップランプ12a、カウントアップランプ12b、抜刀ランプ12c、チェックランプ12dが点灯するごとに点灯告知音を発生させる。競技者に対してランプ点灯のみならず、音声によっても競技に係るタイミングを分かり易く告知する。
【0029】
<ハードウェア構成>
図5は、本実施形態に係る制御ユニットのハードウェア構成例を示す図である。制御ユニット16は、CPU(Central Processing Unit)16A、ROM(Read Only Memory)16B、RAM(Random Access Memory)16C、LCD16e、外部端子16D、スイッチ16Eを有する。
【0030】
CPU16Aは、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM16Bは、動作に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM16Cは、CPU16Aでの処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。LCD16eは、液晶ディスプレイである。外部端子16Dは、シグナルランプユニット12、センサー14及び外部PCなどの外部装置と接続するための接続端子である。スイッチ16Eは、電源スイッチ16a、選択スイッチ16c及びスタートスイッチ16dなどの各種スイッチである。
【0031】
なお、LCD16eは、画面上のタップ座標(タッチ座標)を検知可能なタッチパネルを用いてもよい。この場合、スイッチ16Eを省略しうる。入力操作は、画面上のタッチパネルと、プログラムにより制御されるソフトウェアキー等とにより実現される。
【0032】
<ソフトウェア構成>
図6は、本実施形態に係る制御ユニットのソフトウェア構成例を示す図である。制御ユニット16は、主な機能部として、抽選部101、シグナルランプユニット制御部102、通信部103、計測部104、表示制御部105を有する。
【0033】
抽選部101は、所定範囲値(例えば、1〜8の整数)の中から、ランダム抽選を実行し、一の乱数値を取得する。
【0034】
シグナルランプユニット制御部102は、シグナルランプユニット12に対して各ランプの点灯制御を実行する。
【0035】
通信部103は、センサー14及び外部PCなどの外部装置との通信を実行する。特にセンサー14から検知信号を受信する。
【0036】
計測部104は、シグナルランプユニット12により抜刀ランプ12cが点灯された後、センサー14より検知信号を受信する迄の時間(刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間)を計測する。
【0037】
表示制御部105は、各種情報をLCD16eの画面に表示させる。
【0038】
なお、各機能部は、制御ユニット16を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0039】
<競技実施例>
以下、本実施形態に係る計測装置1を用いた競技例を説明する。
【0040】
[競技概要]
本競技は、抜刀斬の速さを競う競技である。計測装置1を用いて、競技者が行う抜刀斬(抜刀及び斬り)の動作速度を計測する。
【0041】
従来、抜刀術や居合術の型、演舞などでは、自分のタイミングで刀剣を抜き、斬るの動作を行うことが多い。また、採点競技のために審判による点数のばらつきや採点基準の不明瞭さがある。本競技において、競技者はシグナルランプの開始合図に反応して抜刀斬を行うため、客観的で明瞭な採点を行うことが可能である。
【0042】
[競技の流れ]
競技に先立って、競技者は動きやすい服装で帯を着用する。刀剣は帯に差し、完全に納刀しておく。
【0043】
(1)礼
競技者はスタートラインに立ち、一礼を行う。
【0044】
(2)構え
自然体(両手は軽く太股にふれ、両足はラインと平行で立つ)に構える。
手は、刀剣の柄に触れない状態。
【0045】
(3)スタート
審判が合図し、制御ユニット16のスタートスイッチ16dを押下。
カウントアップランプ12a、カウントアップランプ12bが1秒間隔で順に点灯。
【0046】
(4)抜刀及び斬り
抜刀ランプ12cが点灯したら、種目に従い、競技者は抜刀及び斬りの動作を行う。
斬りの動作は、刀剣がセンサー14aとセンサー14bとの間で形成される空間上の定点ポイントを確実に通過するように行う。
【0047】
(5)競技タイム表示
斬りの動作が正常に行われると、チェックランプ12dが点灯する。
LCD16eの画面上、計測された競技タイムが表示される。
【0048】
(6)正眼から納刀
一歩さがりつつ正眼に構え、納刀する。
スタートラインに戻る。
【0049】
(7)礼
競技者は一礼して退場する。
【0050】
[競技のルール]
・服装は自由。帯着用。
・スタート前待機時、競技者は刀剣に触れてはならない。両手は軽く太股に触れる。
・抜刀ランプ12cが点灯する迄、スタートラインを超えてはならない。
・抜刀ランプ12cが点灯する迄、動いてはならない。
・抜刀及び斬りの動作時、刀剣を離したり、落としてはならない。
・計測装置1の一部、周囲の床、壁又は天井、自分や他人の体(手足等)等に刀剣が当たってはならない。
・刀剣が破損してはならない(例えば、目釘が抜けたりして刀剣が柄から抜ける、刃が折れるなど)
・競技用の刀剣を使用する。競技用の刀剣の規定は次の通りである。
居合い・剣道練習用の摸擬刀を使用する。ディスプレイ用模造刀、真剣、演劇用のアルミ刀剣の使用は不可。
大刀の場合、刃渡70cm以上、鞘なしで900g以上。
小刀の場合、刃渡40cm以上50cm以下、鞘なしで500g以上。
なお、規定重量以上の刀剣でも、柄側に重量が集中しているような極端なバランスのものは使用不可。
競技前によく事前点検を行い、安全確認を十分に行った刀剣であること。
【0051】
[競技種目]
はじめに、「1ヶ所斬」、「1ヶ所選択斬り」、「2ヶ所並び斬り」、「2ヶ所前後斬り」について説明する。
【0052】
(1)1ヶ所斬り
図7は、本実施形態に係る1ヶ所斬り配置図例を示す図である。競技者はスタートラインに立ち、スタートラインから1800mm先にセンサー14が来るように配置された計測装置1aに対して抜刀し斬りの動作を行う。
【0053】
(2)1ヶ所選択斬り
図8は、本実施形態に係る1ヶ所選択斬り配置図例を示す図である。競技者はスタートラインに立ち、スタートラインから1800mm先にセンサー14が来るように配置された計測装置1a及び計測装置1bの何れか一つに対して抜刀し斬りの動作を行う。ランダムで計測装置1a及び計測装置1bの2台のうち、ランダムでどちらかの抜刀ランプ12cが点灯する。競技者は点灯した方の計測装置を選択して斬る。
【0054】
(3)2ヶ所並び斬り
図9は、本実施形態に係る2ヶ所並び斬り配置図例を示す図である。計測装置1を2台使用する。競技者はスタートラインに立ち、スタートラインから1800mm先にセンサー14が来るように配置された計測装置1aに対してまず抜刀し斬りの動作を行う。さらに続けて、計測装置1aから150mm先にセンサー14が来るように並んで配置された計測装置1bに対して斬りの動作を行う。
【0055】
(4)2ヶ所前後斬り
図10は、本実施形態に係る2ヶ所前後斬り配置図例を示す図である。計測装置1を2台使用する。競技者はスタートラインに立ち、スタートラインから1800mm先にセンサー14が来るように配置された計測装置1aに対してまず抜刀し斬りの動作を行う。さらに続けて、計測装置1aとは反対の、スタートラインから1200mm先にセンサー14が来るように配置された計測装置1bに対して斬りの動作を行う。
【0056】
2、次いで、斬り方について説明する。
【0057】
図11は、本実施形態に係る斬り方例を示す図である。(a)逆袈裟切りは、抜刀後刀剣を下から上への垂直方向に切り上げる。(b)袈裟切りは、抜刀後刀剣を上から下への垂直方向に切り下げる。(c)水平切りは、抜刀後刀剣を床面と水平方向に切る。なお、斬り方を変更するにはセンサーアーム13を自在に回転させれば容易に変更可能である。
【0058】
以上より、競技種目としては、まず1ヶ所斬り、1ヶ所選択斬り、2ヶ所並び斬り又は2ヶ所前後斬りのいずれか、斬り方が逆袈裟切り、袈裟切り又は水平切りのいずれか、さらに使用刀剣が大刀又は小剣のいずれかとなるため、全部で24種目のバリエーションがある。
【0059】
<情報処理>
図12は、本実施形態に係る計測装置の情報処理を示すフローチャート図である。図13は、本実施形態に係る計測装置のMODE動作概要を示す図である。図12及び13を参照しながら以下説明する。
【0060】
はじめに、審判が制御ユニット16の電源スイッチ16aをONすると、パイロットランプ16bが点灯し、LCD16eが表示される。審判は選択スイッチ16cを操作し、LCD16eの画面上でモード(MODE1、MODE2又はMODE3)切替えなどの設定を行い、スタートスイッチ16dを押下する。なお、1ヶ所斬りの場合にはMODE1が選択され、2ヶ所並び斬り及び2ヶ所前後斬りの場合にはMODE2が選択され、1ヶ所選択斬りの場合にはMODE3が選択される。
【0061】
S1:制御ユニット16は、スタートスイッチ16dが押下されたか否かを判定し、押下されると、S2へ進む。
【0062】
S2:制御ユニット16は、設定されたモードを判定する。MODE1の場合S3へ、MODE2の場合S9へ進む。
【0063】
「MODE1の場合」・・・計測装置1aを使用(図7参照)
S3:抽選部101は、所定範囲(例えば、1〜8の整数)の乱数値の中から、ランダム抽選を実行し、一の乱数値を取得する。
【0064】
S4:シグナルランプユニット制御部102は、シグナルランプユニット12のカウントアップランプ12a、カウントアップランプ12bを1秒間隔で右から順に点灯させる。そして、S3で取得した一の乱数値に基づいて決定されたタイミングで抜刀ランプ12cを点灯させる。抜刀ランプ12c点灯は、競技者に対する競技開始信号、即ち抜刀斬の開始合図を意味する。
【0065】
なお、乱数値に基づいて抜刀ランプ12cを点灯させるのは、競技者に抜刀ランプ12cの点灯タイミングを予知させないようにするためである。仮に抜刀ランプ12cが点灯するタイミングが一定であると、競技者は抜刀ランプ12cの点灯タイミングを予知できてしまい、競技として抜刀の反応動作を正確に測ることが困難となる。乱数値のため、いうまでもなく審判も予知不可能である。
【0066】
S5:通信部103は、センサー14から検知信号を受信したか否かを判定する。抜刀ランプ12c点灯後、センサー14が刀剣が空間上の定点ポイント(空間上、センサー14aとセンサー14bとが結ばれて形成される直線)を通過したことを検知すると、制御ユニット16に検知信号を送信する。通信部103が検知信号を受信した場合、S6へ進む。
【0067】
S6:シグナルランプユニット制御部102は、チェックランプ12dを点灯させる。
【0068】
S7:計測部104は、抜刀ランプ12c点灯から、S5でセンサー14より検知信号を受信する迄の時間(刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間)を計測する。
【0069】
S8:表示制御部105は、LCD16eの画面に、計測した経過時間を競技タイムとして表示する。
【0070】
「MODE2の場合」・・・計測装置1a及び計測装置1bを使用(図9参照)
S21:計測装置1aの抽選部101は、所定範囲(例えば、1〜10の整数)の乱数値の中から、ランダム抽選を実行し、一の乱数値を取得する。
【0071】
S22:計測装置1aのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1aのシグナルランプユニット12のカウントアップランプ12a、カウントアップランプ12bを1秒間隔で右から順に点灯させる。そして、S21で取得した一の乱数値に基づいて決定されたタイミングで抜刀ランプ12cを点灯させる。
【0072】
S23:計測装置1aの通信部103は、1台目である計測装置1aのセンサー14から検知信号を受信したか否かを判定する。通信部103が検知信号を受信した場合、S24へ進む。
【0073】
S24:計測装置1aのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1aのシグナルランプユニット12のチェックランプ12dを点灯させる。
【0074】
S25:計測装置1bのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1bのシグナルランプユニット12(サブ)の抜刀ランプ12cを点灯させる。
【0075】
S26:計測装置1bの通信部103は、2台目である計測装置1bのセンサー14から検知信号を受信したか否かを判定する。通信部103が検知信号を受信した場合、S27へ進む。
【0076】
S27:計測装置1bのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1bのシグナルランプユニット12(サブ)のチェックランプ12dを点灯させる。
【0077】
S28:計測装置1aの計測部104は、計測装置1aの抜刀ランプ12c点灯から、計測装置1bのセンサー14より検知信号を受信する迄の時間(刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間)を計測する。次いでS8へ進む。
【0078】
なお、MODE2の場合、計測装置1aのシグナルランプユニット制御部102が、計測装置1bのシグナルランプユニット制御部102も兼ねて、計測装置1aのシグナルランプユニット12および計測装置1bのシグナルランプユニット12の両方を制御するようにしてもよい。
【0079】
「MODE3の場合」・・・計測装置1a及び計測装置1bを使用(図8参照)
S31:計測装置1aの抽選部101は、所定範囲(例えば、1〜10の整数)の乱数値の中から、ランダム抽選を実行し、一の乱数値を取得する。
【0080】
S32:計測装置1aのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1aのシグナルランプユニット12のカウントアップランプ12a、カウントアップランプ12bを1秒間隔で右から順に点灯させる。
【0081】
S33:計測装置1a又は計測装置1bのシグナルランプユニット制御部102は、計測装置1aのシグナルランプユニット12の抜刀ランプ12c、又は計測装置1bのシグナルランプユニット12の抜刀ランプ12cのいずれか片方一つを、S31で取得した一の乱数値に基づいて決定されたタイミングで点灯させる。なお、いずれの抜刀ランプ12cを点灯するかは、都度ランダム抽選等を行って決定すればよい。
【0082】
S34:抜刀ランプ12cが点灯した方の計測装置(計測装置1a又は計測装置1bのいずれか)の通信部103は、センサー14から検知信号を受信したか否かを判定する。通信部103が検知信号を受信した場合、S35へ進む。
【0083】
S35:抜刀ランプ12cが点灯した方の計測装置(計測装置1a又は計測装置1bのいずれか)のシグナルランプユニット制御部102は、シグナルランプユニット12のチェックランプ12dを点灯させる。
【0084】
S36:抜刀ランプ12cが点灯した方の計測装置(計測装置1a又は計測装置1bのいずれか)の計測部104は、抜刀ランプ12c点灯からセンサー14より検知信号を受信する迄の時間(刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間)を計測する。次いでS8へ進む。
【0085】
なお、MODE3の場合、計測装置1aのシグナルランプユニット制御部102が、計測装置1bのシグナルランプユニット制御部102も兼ねて、計測装置1aのシグナルランプユニット12および計測装置1bのシグナルランプユニット12の両方を制御するようにしてもよい。
【0086】
以上、本実施形態に係る計測装置1によれば、抜刀術にかかる動作速度を客観的に測ることが可能である。
【0087】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0088】
例えば、MODE2、3は、必ずしも2台に限定されず、3台以上であってもよい。MODE2且つ3台の場合、競技者は3台のセンサーを斬り、MODE3且つ3台の場合、競技者は3台のうち何れか一のセンサーを斬るものである。
【符号の説明】
【0089】
1 計測装置
11 スタンド
12 シグナルランプユニット
13 センサーアーム
14 センサー
15 制御ケーブル
16 制御ユニット
101 抽選部
102 シグナルランプユニット制御部
103 通信部
104 計測部
105 表示制御部
【要約】
【課題】抜刀術にかかる動作速度を客観的に測る。
【解決手段】本発明に係る刀剣動作速度計測装置は、刀剣動作速度を計測する刀剣動作速度計測装置であって、動作の開始合図を示す信号を表示する表示ランプと、刀剣の定点ポイント通過を検知するセンサーと、表示ランプにより信号が表示された後、センサーにより刀剣の定点ポイント通過が検知される迄の時間を計測する計測手段と、時間を表示する表示手段と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13