特許第6113907号(P6113907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミリケン・アンド・カンパニーの特許一覧

特許6113907アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物およびそれから作製されたエポキシ生成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113907
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物およびそれから作製されたエポキシ生成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/26 20060101AFI20170403BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20170403BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20170403BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   C08G77/26
   C08G59/14
   C09D183/04
   C09D7/12
【請求項の数】41
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-506322(P2016-506322)
(86)(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公表番号】特表2016-520681(P2016-520681A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】US2014031233
(87)【国際公開番号】WO2014165325
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】61/807,293
(32)【優先日】2013年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/218,101
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599060788
【氏名又は名称】ミリケン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャーノ、スティーブン・ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ホイ、オルハ・ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】レバー、ジョン・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイェス、ナサニエル・オー.
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−181321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/26
C08G 59/14
C09D 7/12
C09D 183/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシロキサン繰り返し単位を含む、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物であって、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化1】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化2】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、(c)前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化3】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、シロキサン化合物。
【請求項2】
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の前記シロキサン繰り返し単位の%以上を構成する、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項3】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、ある分子量を有し、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の前記分子量の15%〜50%を構成する、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項4】
前記化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、100以下である、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項5】
前記化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、50以下である、請求項4に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項6】
前記シロキサン化合物が、8,000g/当量以下のアミン水素当量を示す、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項7】
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項8】
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、請求項7に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項9】
3が、アリール基からなる群から選択される、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項10】
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項11】
10が、水素およびアミノアルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
【請求項12】
エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることによって得られる生成物であって、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、複数のシロキサン繰り返し単位を含み、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化4】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化5】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、(c)前記化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化6】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルエポキシ樹脂、脂環式エポキシド、グリシジルアミンエポキシ樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の生成物。
【請求項14】
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の前記シロキサン繰り返し単位の%以上を構成する、請求項12に記載の生成物。
【請求項15】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、ある分子量を有し、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の前記分子量の15%〜50%を構成する、請求項12に記載の生成物。
【請求項16】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、100以下である、請求項12に記載の生成物。
【請求項17】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、50以下である、請求項16に記載の生成物。
【請求項18】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、8,000g/当量以下のアミン水素当量を示す、請求項12に記載の生成物。
【請求項19】
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、請求項12に記載の生成物。
【請求項20】
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、請求項19に記載の生成物。
【請求項21】
3が、アリール基からなる群から選択される、請求項12に記載の生成物。
【請求項22】
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、請求項12に記載の生成物。
【請求項23】
10が、水素およびアミノアルキル基からなる群から選択される、請求項12に記載の生成物。
【請求項24】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、0.8:11.2:1のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、請求項12に記載の生成物。
【請求項25】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、0.5:1以下のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、請求項12に記載の生成物。
【請求項26】
前記生成物の粘度が、10,000cP以下である、請求項25に記載の生成物。
【請求項27】
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、2:1以上のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、請求項12に記載の生成物。
【請求項28】
前記生成物の粘度が、10,000cP以下である、請求項27に記載の生成物。
【請求項29】
表面を有する基材、および前記表面の少なくとも一部に適用された固体コーティングを含み、前記コーティングが、請求項12に記載の生成物を含む、コーティングされた基材。
【請求項30】
式(L)の構造に一致する部分を含む生成物であって、
【化7】
式中、Xは、エポキシ樹脂中のエポキシド基を連結する基から得られた部分であり、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、R50は、−CH2CH(OH)CH2−および−CH2CH(CH2OH)−からなる群から選択される二価基であり、R51、R52、およびR53は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、および−X−R50−からなる群から独立に選択され、Yは、複数のシロキサン繰り返し単位を含む、実質的に直鎖状のシロキサン部分であり、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化8】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化9】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物。
【請求項31】
Xが、式(C)の構造に一致する部分であり、
【化10】
式中、R100およびR101は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択され、R102およびR103は、アルキル基およびアリール基からなる群から独立に選択され、aおよびbは、0、1、および2からなる群から独立に選択され、cは、0および1〜50の整数からなる群から選択される、請求項30に記載の生成物。
【請求項32】
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中の前記シロキサン繰り返し単位の%以上を構成する、請求項30に記載の生成物。
【請求項33】
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Yが、ある式量を有し、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分の前記式量の15%〜50%を構成する、請求項30に記載の生成物。
【請求項34】
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中のシロキサン繰り返し単位の総数が、100以下である、請求項30に記載の生成物。
【請求項35】
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中のシロキサン繰り返し単位の総数が、50以下である、請求項34に記載の生成物。
【請求項36】
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、請求項30に記載の生成物。
【請求項37】
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、請求項36に記載の生成物。
【請求項38】
3が、アリール基からなる群から選択される、請求項30に記載の生成物。
【請求項39】
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、請求項30に記載の生成物。
【請求項40】
前記生成物が、10,000cP以下の粘度を有する、請求項30に記載の生成物。
【請求項41】
表面を有する基材、および前記表面の少なくとも一部に適用される固体コーティングを含み、前記コーティングが、請求項30に記載の生成物を含む、コーティングされた基材。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本出願は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物、およびエポキシ生成物におけるこのような化合物の使用を対象とする。
【発明の背景】
【0002】
シロキサン化合物は、これらの熱安定性、低温で柔軟性を維持する能力、および表面に対して疎水性を与える能力のためによく知られている。したがって、エポキシ系中にシロキサン化合物を組み込む提案が一部でなされてきたことは驚くべきことではない。これらの解決法は、エポキシ系の脆性を低減させ、疎水性を増加させる手段として提案されてきた。このような解決法が提案されてきたが、これらの解決法は問題がないわけではなかった。シロキサン化合物は一般に、エポキシ樹脂系に混和できない。したがって、シロキサン化合物は、これが加えられるエポキシ系から相分離する可能性がある。このような相分離が起こる場合、これは硬化したエポキシに欠陥をもたらす可能性がある。
【0003】
したがって、エポキシ樹脂と反応することができ、かつ一連のエポキシ系との改善された相溶性または一連のエポキシ系への改善された溶解性を示すシロキサン化合物が依然として求められている。さらにこのようなシロキサン化合物とエポキシ樹脂とを反応させることによって作製されるエポキシ生成物も依然として求められている。ここに記載される発明は、このような要求を満たすことを試みるものである。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本発明は、複数のシロキサン繰り返し単位を含む、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物であって、
(a)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化1】
【0005】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、
(b)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化2】
【0006】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、
(c)化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化3】
【0007】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、シロキサン化合物を提供する。
【0008】
第2の態様において、本発明は、エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることによって得られる生成物であって、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、複数のシロキサン繰り返し単位を含み、
(a)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化4】
【0009】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、
(b)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化5】
【0010】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、
(c)化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化6】
【0011】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物を提供する。
【0012】
第3の態様において、本発明は、式(L)の構造に一致する部分を含む生成物であって、
【化7】
【0013】
式中、Xは、エポキシ樹脂中のエポキシド基を連結する基から得られた部分であり、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、R50は、−CH2CH(OH)CH2−および−CH2CH(CH2OH)−からなる群から選択される二価基であり、R51、R52、およびR53は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、および−X−R50−からなる群から独立に選択され、Yは、複数のシロキサン繰り返し単位を含む、実質的に直鎖状のシロキサン部分であり、
(a)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化8】
【0014】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、
(b)シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化9】
【0015】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本出願を通して使用される用語のいくつかを定義するために、下記の定義を提供する。
【0017】
ここで使用される場合、「置換アルキル基」という用語は、アルカンの炭素原子からの水素原子の除去によって置換アルカンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換アルカン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられており、かつ/あるいは(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子(エーテルの場合のように)または硫黄原子(スルフィドの場合のように)によって中断されている、非環状、非分枝状および分枝状の炭化水素から得られた化合物を指す。
【0018】
ここで使用される場合、「置換シクロアルキル基」という用語は、シクロアルカンの炭素原子からの水素原子の除去によって置換シクロアルカンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換シクロアルカン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられており、かつ/あるいは(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子によって中断されている、飽和単環式および多環式の炭化水素(側鎖を有する、または有さない)から得られた化合物を指す。
【0019】
ここで使用される場合、「アルケニル基」という用語は、オレフィンの炭素原子からの水素原子の除去によって非環状、非分枝状および分枝状のオレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素)から得られた一価の官能基を指す。
【0020】
ここで使用される場合、「置換アルケニル基」という用語は、オレフィンの炭素原子からの水素原子の除去によって非環状置換オレフィンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換オレフィン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられており、かつ/あるいは(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子(エーテルの場合のように)または硫黄原子(スルフィドの場合のように)によって中断されている、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する非環状、非分枝状および分枝状の炭化水素から得られた化合物を指す。
【0021】
ここで使用される場合、「シクロアルケニル基」という用語は、オレフィンの炭素原子からの水素原子の除去によって環式オレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する環状炭化水素)から得られた一価の官能基を指す。環式オレフィン中の炭素原子は、アルキル基および/またはアルケニル基で置換することができる。
【0022】
ここで使用される場合、「置換シクロアルケニル基」という用語は、環式オレフィンの炭素原子からの水素原子の除去によって置換環式オレフィンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換環式オレフィン」という用語は、炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられている、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する非芳香族、単環式および多環式の炭化水素から得られた化合物を指す。
【0023】
ここで使用される場合、「ヘテロシクリル基」という用語は、複素環化合物の環状部分中の原子からの水素原子の除去によって複素環化合物から得られた一価の官能基を指す。この定義において、「複素環化合物」という用語は、少なくとも2つの異なる元素の原子からなる環構造を有する非芳香族、単環式および多環式の化合物から得られた化合物を指す。これらの複素環化合物はまた、1つ以上の二重結合を含むことができる。
【0024】
ここで使用される場合、「置換ヘテロシクリル基」という用語は、化合物の環状部分中の原子からの水素原子の除去によって置換複素環化合物から得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換複素環化合物」という用語は、少なくとも2つの異なる元素の原子からなる環構造を有する非芳香族、単環式および多環式の化合物から得られた化合物を指し、ここで環式化合物水素原子の1つ以上は、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられている。これらの置換複素環化合物はまた、1つ以上の二重結合を含むことができる。
【0025】
ここで使用される場合、「置換アリール基」という用語は、環炭素原子からの水素原子の除去によって置換アレーンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換アレーン」という用語は、炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基)で置きかえられている、単環式および多環式の芳香族炭化水素から得られた化合物を指す。
【0026】
ここで使用される場合、「置換ヘテロアリール基」という用語は、環炭素原子からの水素原子の除去によって置換ヘテロアレーンから得られた一価の官能基を指す。この定義において、「置換アレーン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子の1つ以上が、非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基)で置きかえられており、かつ(2)炭化水素の少なくとも1つのメチン基(−C=)が、三価のヘテロ原子で置きかえられており、かつ/あるいは炭化水素の少なくとも1つのビニリデン基(−CH=CH−)が、二価のヘテロ原子で置きかえられている、単環式および多環式の芳香族炭化水素から得られた化合物を指す。
【0027】
ここで使用される場合、「アルカンジイル基」という用語は、アルカンからの2個の水素原子の除去によってアルカンから得られた二価の官能基を指す。これらの水素原子は、アルカン上の同じ炭素原子(エタン−1,1−ジイルの場合のように)から、または異なる炭素原子(エタン−1,2−ジイルの場合のように)から除去することができる。
【0028】
ここで使用される場合、「置換アルカンジイル基」という用語は、アルカンからの2個の水素原子の除去によって置換アルカンから得られた二価の官能基を指す。これらの水素原子は、置換アルカン上の同じ炭素原子(2−フルオロエタン−1,1−ジイルの場合のように)から、または異なる炭素原子(1−フルオロエタン−1,2−ジイルの場合のように)から除去することができる。この定義において、「置換アルカン」という用語は、置換アルキル基の定義において上に記載のものと同じ意味を有する。
【0029】
ここで使用される場合、「アルケンジイル基」という用語は、オレフィンからの2個の水素原子の除去によって非環状、非分枝状および分枝状のオレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素)から得られた二価の官能基を指す。これらの水素原子は、オレフィン上の同じ炭素原子(ブタ−2−エン−1,1−ジイルの場合のように)から、または異なる炭素原子(ブタ−2−エン−1,4−ジイルの場合のように)から除去することができる。
【0030】
第1の態様において、本発明は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を提供する。このシロキサン化合物に関して使用するように、「実質的に直鎖状」という用語は、シロキサン化合物が、主としてM単位(たとえば、下記の式(X)および(XI)の構造に一致するもの)とD単位(たとえば、下記の式(I)および(V)の構造に一致するもの)とからなるシロキサン骨格を有することを意味する。したがって、シロキサン化合物は、存在するとしても極めてわずかであるが、シロキサン化合物における分枝点を構成するT単位および/またはQ単位を有する。T単位および/またはQ単位が存在すると、鎖間の接続が形成される可能性があり、さらに高分子量の伸長した分枝状シロキサン構造の形成、加えて潜在的に架橋されたゲルの形成を引き起こす可能性があることから、これは、修飾されたエポキシ系の形成での使用には極めて望ましくなく、特にエポキシコーティングにおいて問題がある。好ましくは、「実質的に直鎖状」という用語は、MDシロキサン化合物が形成されるとき、シロキサン化合物が、ランダムに発生し得るこれらのT単位および/またはQ単位しか含有しない(すなわち、T単位および/またはQ単位は意図的に加えられない)ことを意味し、当業者が解釈するところのランダムに発生し得るT単位および/またはQ単位とは、極めてわずかである。さらに具体的には、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の分子の集団は好ましくは、1分子当たり平均して約3mol%未満のT単位およびQ単位を含有する。より好ましくは、分子の集団は好ましくは、1分子当たり平均して、約2.5mol%未満、約2mol%未満、約1.5mol%未満、約1mol%未満、約0.9mol%未満、約0.8mol%未満、約0.7mol%未満、約0.6mol%未満、約0.5mol%未満、約0.4mol%未満、約0.3mol%未満、約0.2mol%未満、約0.1mol%未満、または約0.05mol%未満のT単位およびQ単位を含有する。化合物中のT単位およびQ単位のmol%は、当業者には公知の技術を使用して29Si核磁気共鳴分光法を使用して決定することができる。
【0031】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、複数のシロキサン繰り返し単位を含む。シロキサン化合物は、シロキサン繰り返し単位の任意の適切な組合せを含むことができる。好ましくは、シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択される。
【化10】
【0032】
式(I)の構造において、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。式(I)の構造およびこれに続く構造において、部分結合(すなわち、波線によって切り詰められた結合)は、隣接する部分または繰り返し単位への結合を表す。
【0033】
上記の考察から見ることができるように、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位上のペンダントアリールまたはヘテロアリール基は、介在性のアルカンジイルまたはアルケンジイル基を介して付着している。いずれか特定な理論に拘束されることは望まないが、この様式でこれらの基をシロキサン部分に付着させることは、シロキサン部分中のケイ素原子に直接付着しているアリール基に関連する問題のいくつかを回避すると考えられる。たとえば、ケイ素原子に直接付着しているアリール基を含有するシロキサン化合物は生成するのに高価であり、これらの供給は限られている。さらに、これらの置換(すなわち、アリール基がケイ素原子に直接付着している置換)は典型的には、極微量のポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有し、または生成することができる反応物を使用して達成される。極微量のみのこのようなPCBが材料中に存在するにも関わらず、式(I)によって特定された置換は有益であると出願人等は考える。式(I)によって特定された置換は、反応物を使用して、PCBの生成を回避する様式で生成することができるからである。
【0034】
好ましい態様において、R1は、アルキル基、好ましくはC1〜C30アルキル基、より好ましくはC1〜C8アルキル基からなる群から選択される。特に好ましい態様において、R1は、メチル基である。
【0035】
好ましい態様において、R2は、C1〜C30アルカンジイル基およびC1〜C30アルケンジイル基、より好ましくはC1〜C8アルカンジイル基およびC1〜C8アルケンジイル基からなる群から選択される。より好ましくは、R2は、C1〜C30アルカンジイル基、最も好ましくはC1〜C8アルカンジイル基である。特に好ましい態様において、R2は、2−メチルエタン−1,2−ジイルである。
【0036】
好ましい態様において、R3は、アリール基、好ましくはC6〜C10アリール基からなる群から選択される。特に好ましい態様において、R3は、フェニルである。
【0037】
第1の部分中に存在するシロキサン繰り返し単位は、同じ基本構造(すなわち、式(I)に一致する構造)を有するが、繰り返し単位の全ては同じ基で必ずしも置換されない。言い換えると、シロキサン化合物は、R1、R2、およびR3の選択の点で異なる、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位を含有することができる。しかし、ある特定の好ましい態様において、置換基R1、R2、およびR3は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位の全てについて同じである。
【0038】
式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の任意の適切な量のシロキサン繰り返し単位を構成することができる。いずれか特定な理論に拘束されることは望まないが、ペンダント芳香族環を有する式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を、エポキシ樹脂系とより相溶性にし、またはエポキシ樹脂系に可溶性にすることを助けると考えられる。エポキシ樹脂系とのこの改善された相溶性またはエポキシ樹脂系へのこの改善された溶解性は、エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物との間の相分離を最小化するかまたは除去する。当業者が理解するように、エポキシ樹脂系中の部分間の相分離は、樹脂の反応性および硬化に悪影響を与える可能性があり、またコーティングにおける欠陥を生じさせる可能性がある。このように、この改善された相溶性および溶解性をもたらすために、式(I)に一致するシロキサン繰り返し単位が、化合物中で相当量のシロキサン繰り返し単位を構成していることが好ましい。好ましくは、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中で約1%以上、より好ましくは約5%以上のシロキサン繰り返し単位を構成する。あるいは、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位の量は、これらの特定の繰り返し単位が構成するシロキサン化合物の分子量の百分率に関して表すことができる。より好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の分子量の約15%以上、より好ましくは約20%以上を構成する。シロキサン化合物が相当量の式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位を含むことが好ましい一方で、化合物のために望ましいこのような繰り返し単位の量に上限が存在すると考えられる。このように、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の分子量の約60%以下、より好ましくは約50%以下を構成する。したがって、1つの特定の好ましい態様において、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の分子量の約15%〜約50%を構成する。
【0039】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、さらなるシロキサン繰り返し単位を含む。好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択される。
【化11】
【0040】
式(V)の構造において、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。好ましい態様において、R5およびR6は、アルキル基、好ましくはC1〜C30アルキル基、より好ましくはC1〜C8アルキル基からなる群から独立に選択される。特に好ましい態様において、R5およびR6は、メチル基である。
【0041】
好ましい態様において、R5およびR6は、アルキル基、好ましくはC1〜C30アルキル基、より好ましくはC1〜C8アルキル基からなる群から独立に選択される。特に好ましい態様において、R5およびR6は、メチル基である。
【0042】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、式(I)および式(V)の構造に一致するものに加えて他のシロキサン繰り返し単位を含むことができる。アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のシロキサン繰り返し単位は、ブロック配列(すなわち、互いに接続された複数の繰り返し単位のブロック中に配置された1つの式のシロキサン繰り返し単位を伴う)、またはランダム配列(すなわち、化合物内にランダムに分布している異なる式のシロキサン繰り返し単位を伴う)のいずれかで配置することができる。好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位は、ランダム配列で配置される。
【0043】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、連結されたシロキサン繰り返し単位によって形成されるシロキサン骨格の2つの末端において末端基をさらに含む。これらの末端基は好ましくは、少なくとも1つの第一級または第二級アミン基を含み、これは、化合物がエポキシ樹脂と反応するための部位を提供する。好ましい態様において、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含む。
【化12】
【0044】
式(X)および(XI)の構造において、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択される。R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。
【0045】
好ましい態様において、R10は、水素、アルキル基(たとえば、C1〜C30アルキル基)、およびアミノアルキル基(たとえば、C1〜C30アミノアルキル基)からなる群から選択される。より好ましくは、R10は、水素、C1〜C8アルキル基、およびC1〜C8アミノアルキル基からなる群から選択される。このような態様についての好ましいアミノアルキル基の例は、アミノメチル、2−アミノエチル、および3−アミノプロピルである。
【0046】
好ましい態様において、R11は、C1〜C30アルカンジイル基(たとえば、C1〜C8アルカンジイル基)およびC1〜C30置換アルカンジイル基(たとえば、C1〜C8置換アルカンジイル基)からなる群から選択される。より好ましくは、R11は、C1〜C8アルカンジイル基およびC1〜C8置換アルカンジイル基からなる群から選択される。このような態様についての好ましい基の例は、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、−CH2CH(OH)CH2OCH2CH2CH2−、および−CH2CH(CH2OH)OCH2CH2CH2−である。
【0047】
好ましい態様において、R12およびR13は、アルキル基、好ましくはC1〜C30アルキル基、より好ましくはC1〜C8アルキル基からなる群から独立に選択される。特に好ましい態様において、R12およびR13は、メチル基である。
【0048】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、任意の適切な数のシロキサン繰り返し単位を含有することができる。好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数は、約500以下、約400以下、約300以下、約200以下、約100以下、約50以下、約40以下、約30以下、約25以下、約20以下、約15以下、または約10以下である。別の好ましい態様において、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数は、約3以上、約4以上、または約5以上である。このように、特定の場合により好ましい態様において、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数は、約3〜約500(たとえば、約3〜約400、約3〜約300、約3〜約200、約3〜約100、約3〜約50、約3〜約40もしくはそれ未満、約3〜約30もしくはそれ未満、約3〜約25もしくはそれ未満、約3〜約20もしくはそれ未満、約3〜約15もしくはそれ未満、または約3〜約10もしくはそれ未満)、約4〜約500(たとえば、約4〜約400、約4〜約300、約4〜約200、約4〜約100、約4〜約50、約4〜約40もしくはそれ未満、約4〜約30もしくはそれ未満、約4〜約25もしくはそれ未満、約4〜約20もしくはそれ未満、約4〜約15もしくはそれ未満、または約4〜約10もしくはそれ未満)、または約5〜約500(たとえば、約5〜約400、約5〜約300、約5〜約200、約5〜約100、約5〜約50、約5〜約40もしくはそれ未満、約5〜約30もしくはそれ未満、約5〜約25もしくはそれ未満、約5〜約20もしくはそれ未満、約5〜約15もしくはそれ未満、または約5〜約10もしくはそれ未満)である。
【0049】
上で述べたように、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、少なくとも1つの第一級または第二級アミン基を好ましくは含む末端基を含む。式(X)および(XI)の構造によって示されるように、これらの末端基は、複数のこのようなアミン基を含むことができる。好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物上に存在するアミン基の数およびタイプは、約8,000g/当量以下のアミン水素当量を示す化合物を生じさせるのに十分である。より好ましくは、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、約7,000g/当量以下、約6,000g/当量以下、約5,000g/当量以下、約4,000g/当量以下、約3,000g/当量以下、約2,000g/当量以下、約1,000g/当量以下、約750g/当量以下、約500g/当量以下、約400g/当量以下、または約300g/当量以下のアミン水素当量を示す。
【0050】
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、任意の適切な方法によって生成することができる。しかし、別の態様において、本発明は、上記のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を生成するための方法を提供する。この方法は、ヒドロシロキサン含有化合物から始まる。このヒドロシロキサン含有化合物は、構造が実質的に直鎖状または環状のいずれかであり得る。ヒドロシロキサン含有化合物中のシロキサン繰り返し単位の少なくとも一部は、式(XX)の構造に一致するヒドロシロキサン基である。
【化13】
【0051】
式(XX)の構造において、R1は、本発明のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物と関連して上記の基から選択される。ヒドロシロキサン含有化合物は、式(XX)の構造に一致するものに加えて他のシロキサン繰り返し単位を含むことができる。たとえば、ヒドロシロキサン含有化合物は、上記のような式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位を含むことができる。化合物が直鎖状である場合、ヒドロシロキサン含有化合物は、末端基を含むことができる。末端基は、任意の適切な構造を有することができるが、好ましくは、末端基はヒドロシロキサン基を含有しない。好ましい態様において、ヒドロシロキサン含有化合物は、式(XXV)および(XXVI)の構造に一致する末端基を含む実質的に直鎖状のヒドロシロキサン含有化合物である。
【化14】
【0052】
式(XXV)および(XXVI)の構造において、R25、R26、およびR27は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。好ましい態様において、R25、R26、およびR27は、アルキル基、好ましくはC1〜C30アルキル基、より好ましくはC1〜C8アルキル基からなる群から独立に選択される。特に好ましい態様において、R25、R26、およびR27は、メチル基である。
【0053】
方法の第1の工程において、上記のヒドロシロキサン含有化合物は、式R30〜R3を有する芳香族置換アルケンまたはアルキンと反応する。R3は、上記の基から選択され、R30は、非分枝状および分枝状アルケニル基、ならびに非分枝状および分枝状アルキニル基からなる群から選択される。R30は好ましくは、C1〜C8アルケニル基およびC1〜C8アルキニル基、より好ましくはC1〜C4アルケニル基およびC1〜C8アルキニル基からなる群から選択される。適切な芳香族置換アルケンまたはアルキンの具体例には、これらに限定されないが、スチレン(すなわち、フェニルエチレン)およびα−メチルスチレン(すなわち、2−フェニルプロペン)が含まれる。
【0054】
ヒドロシロキサン含有化合物および芳香族置換アルケン/アルキンは、適切な触媒、たとえば、白金触媒の存在下でヒドロシリル化反応において反応する。多種多様のヒドロシリル化触媒が文献において記載されてきた。米国特許第6,030,919号(Lewis)は一般に、ヒドロシリル化反応における使用に適した白金触媒について記載している。適切な工業触媒には、これらに限定されないが、Speier触媒(2−プロパノール中のクロロ白金酸)、Ashby触媒(白金(0)−シクロビニルメチルシロキサン錯体)、およびKarstedt触媒(白金(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)が含まれる。文献はまた、有効なヒドロシリル化触媒として、酸化白金(Nicolas Sabourault at al.,Organic Letters,4,13,p.2117−2119,(2002))および白金カルベン錯体(Istvan E.Marko et al.,Science 298,p.204,(2002))についても言及している。種々の他の金属触媒、たとえば、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはイリジウムを含有するものも、ヒドロシリル化に関して活性であることが公知である(M.A.Brook,Silicon in Organic,Organometallic,and Polymer Chemistry,pp.401,John Wiley & Sons,2000)。最近の研究はまた、ヒドロシリル化が、非貴金属の金属錯体によってもまた効果的に触媒されることができることを示した。
【0055】
ヒドロシリル化反応において、アルケンまたはアルキン中の不飽和結合は、化合物中のヒドロシロキサン基と反応して、ケイ素原子とアルケンまたはアルキンとの間に結合を形成する。結果は、上記のような式(I)の構造に一致するシロキサン単位であり、R2は、アルケンまたはアルキンのR30から得られたアルカンジイルまたはアルケンジイル基を表す。このシロキサン単位は、実質的に直鎖状のシロキサン中間体(実質的に直鎖状のヒドロシロキサン含有化合物が使用されるとき)、または環状シロキサン中間体(環状ヒドロシロキサン含有化合物が使用されるとき)中に存在することができる。ヒドロシリル化反応が完了した後、このように得られたシロキサン中間体は、シロキサン中間体中の残留する任意のヒドロシロキサン基を完全に反応させるために、さらなるアルケンまたはアルキン、好ましくは直鎖状アルケンまたはアルキン、たとえば、オクテン、より好ましくは、1位において不飽和のポイントを有する直鎖状アルケンまたはアルキン、たとえば、オクタ−1−エンと反応させることができる。
【0056】
方法の最後の工程において、シロキサン中間体は、塩基触媒平衡化反応においてアミン末端シロキサン化合物と反応する。この意味において、「アミン末端シロキサン化合物」という用語は、末端シロキシ基が、上記の式(X)および(XI)の構造においてアミン含有官能基、たとえば、部分−NHR10によって表される基で高度に置換されているシロキサン化合物を指すために使用される。この平衡化反応において、シロキサン中間体およびアミン末端シロキサン化合物におけるシロキサン連結は分解し、次いで、再び合わさり、上記のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を形成する。
【0057】
さらに、実質的に直鎖状のシロキサン中間体が使用される場合、アミン非含有中間体の末端シロキシ基(すなわち、式(XXV)または(XXVI)の構造に一致するシロキシ基)を除去して、このように得られたシロキサン化合物が、相対的に大きな百分率のアミン末端シロキシ基、たとえば、式(X)および(XI)の構造に一致する末端基を含有することを確実にすることが必要である。これは、式(XXV)および(XXVI)の構造に一致するシロキシ基からなるジシロキサン化合物を形成させ、次いで、このように得られたジシロキサン化合物を塩基触媒反応媒体から取り出すことによって達成される。このように、所望のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を生じさせるために、実質的に直鎖状のシロキサン中間体がトリメチルシロキシ末端基を含有する場合、ヘキサメチルジシロキサンは好ましくは、塩基触媒反応媒体から取り出される。このジシロキサン化合物は、ヘキサメチルジシロキサンの中程度の沸点に基づいた蒸留プロセスによって反応媒体から取り出すことができる。
【0058】
塩基触媒平衡化反応は、上記の平衡化をもたらす任意の適切な条件下で行うことができる。適切な条件および反応物は、たとえば、Silicon−Containing Polymers:The Science and Technology of Their Synthesis and Applications(James et al.,Dordrecht:Kluwer Academic Publishers,2000)という書籍の第1章に記載されている。1つの特定の例において、塩基触媒平衡化反応は、塩基として水酸化テトラアルキルアンモニウム(たとえば、水酸化テトラエチルアンモニウム)を使用して行うことができる。反応混合物は好ましくは、反応を促進し、ジシロキサン化合物の蒸留を可能とするために、たとえば、約80℃の温度に加熱する。
【0059】
上で述べたように、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、エポキシ生成物における使用によく適していると考えられる。特に、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン基は、エポキシ樹脂のエポキシド基と反応して、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物をエポキシ生成物中に組み込み、生成物に望ましい物理的特性を与えると考えられる。たとえば、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、エポキシの表面特性、たとえば光沢と輝きを改善させることができ、加えてある程度の疎水性もエポキシに与えると考えられる。また、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、これが組み込まれるエポキシ生成物の柔軟性を改善させる(すなわち、脆性を低減させる)と考えられる。
【0060】
このように、第2の態様において、本発明は、エポキシ樹脂と上記のようなアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることによって得られるエポキシ生成物を提供する。アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、上記のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の任意の態様であり得る。この生成物の形成において、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、エポキシ樹脂のための唯一の硬化剤(hardener)(または硬化剤(curing agent))として使用することができ、またはアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、エポキシ樹脂を硬化させるのに適した他の硬化剤(hardener)と組み合わせて使用することができる。
【0061】
任意の適切なエポキシ樹脂を使用して、生成物を生成することができる。適切なエポキシ樹脂は、「Handbook of Epoxy Resins」、Henry LeeおよびKris Neville(McGraw Hill Book Company,1982、再発行)、「Protective Coatings Fundamental of Chemistry and Composition」、C.H.Hare (SSPC 1994)、および他の参照文献において記載されている。適切なエポキシ樹脂には、これらに限定されないが、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルエポキシ樹脂(たとえば、脂肪族グリシジルエーテルおよびエステルおよび脂環式グリシジルエーテル)、脂環式エポキシド、グリシジルアミンエポキシ樹脂、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0062】
使用に適したビスフェノールエポキシ樹脂には、これらに限定されないが、式(XC)の構造に一致するものが含まれる。
【化15】
【0063】
式(XC)の構造において、R100およびR101は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択される。R102およびR103は、ハロゲン、アルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択される。変数aおよびbは、0、1、および2からなる群から独立に選択され、変数cは、0および1〜50の整数、より好ましくは、0および1〜25の整数からなる群から選択される。これらのエポキシ樹脂の適切な商業例は、Momentive(以前はHexion)からの商品名「Epon」、Dow Chemical Company(商品名「D.E.R.」)、およびHuntsman CorporationのAdvanced Materialsビジネスユニット(商品名「Araldite」)で入手可能である。
【0064】
使用に適したノボラックエポキシ樹脂には、これらに限定されないが、式(XCI)の構造に一致するものが含まれる。
【化16】
【0065】
式(XCI)の構造において、R102は、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択される。変数aは、0、1、および2からなる群から選択され、変数mは、0および1〜50の整数、より好ましくは0および1〜25の整数からなる群から選択される。これらの樹脂の適切な商業例は、Dow Chemical Company(商品名「D.E.N.(商標)」)、およびHuntsman CorporationのAdvanced Materialsビジネスユニット(商品名「Araldite」)から入手可能である。
【0066】
使用に適した脂環式グリシジルエーテルエポキシ樹脂には、これらに限定されないが、式(XCII)の構造に一致するものが含まれる。
【化17】
【0067】
式(XCII)の構造において、R100およびR101は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択される。これらの材料の適切な商業例は、Momentive(以前はHexion)から商品名「Epon」で、またはCVC Thermoset Specialtiesから商品名「Epalloy(商標)」で入手可能であると考えられる。
【0068】
生成物の形成において、エポキシ樹脂およびアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を、任意の適切な量で反応させることができる。当業者が理解するように、これらの成分のそれぞれについての適切な量は、生成物についての所望の特性によって決まる。たとえば、硬化したエポキシ生成物を生成したいとき、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量およびエポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、0.6:1超〜1.4:1未満、より好ましくは約0.8:1〜約1.2:1のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる。あるいは、さらなる硬化剤(hardener)と後で反応し、硬化したエポキシ生成物を生成することができるエポキシに富んだ付加体を生成したいとき、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量およびエポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、約0.5:1以下、より好ましくは約0.4:1以下、約0.3:1以下、約0.2:1以下、または約0.1:1以下のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることができる。このようなエポキシに富んだ付加体は好ましくは室温にて液体であり、好ましくは約10,000cP以下の粘度を示す。さらなるエポキシ樹脂と後で反応して、硬化したエポキシ生成物を生成することができるアミンに富んだ付加体を生成したいとき、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量およびエポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、約2:1以上、より好ましくは約2.5:1以上、約3:1以上、約5:1以上、または約10:1以上のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることができる。このようなアミンに富んだ付加体は好ましくは室温にて液体であり、好ましくは約10,000cP以下の粘度を示す。アミン水素当量対エポキシ当量の化学量論比が1:1に近いほど、粘度がより高い傾向があり、比が1:1に近づくと、ゲルまたは固体を形成する傾向があることを当業者なら理解するであろう。より低い化学量論的含量である成分を、過剰な成分に加えるべきであり、添加を行っている間に、均一な反応および制限された反応速度を得るために混合および冷却が必要とされてもよく、一貫した使用可能な生成物を得るために反応に対する適当な制御が必要とされることはまた明らかである。米国特許第8,263,687号(Gianiniら)は、アミン−エポキシ付加体の形成について記載しており、反応条件の例を提供する。
【0069】
上で述べたように、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン基は、エポキシ樹脂上のエポキシド基と反応する。この反応は、アミンをベースとする硬化剤(hardener)とエポキシ樹脂との間の反応の典型的な様式で進行する。このような反応の結果は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物およびエポキシ樹脂が、式(L)の構造に一致する部分において連結されている生成物である。
【化18】
【0070】
式(L)の構造において、Xは、エポキシ樹脂中のエポキシド基を連結する基から得られた部分である。R11、R12およびR13は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物と関連して上記の基から選択される。R50は、求核性窒素とエポキシドの求電子性炭素の1つとの間の反応からもたらされるエポキシド基の開環によって生成された二価連結基である。このように、R50は好ましくは、−CH2CH(OH)CH2−および−CH2CH(CH2OH)−からなる群から選択される二価基である。
【0071】
式(L)の構造において、R51、R52、およびR53は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の末端基中に存在したアミン窒素原子のためのペンダント基から得られる。したがって、R51、R52、およびR53は、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物に関連するR10について上記で記載した基から選択することができる。さらに、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のR10が水素であった場合、アミン窒素は、上記のようなさらなるエポキシ基と反応することが可能である。結果は、アミン窒素に付着した構造−X−R50−を有する別の基である。この反応は、いくつかの要因、たとえば、エポキシ生成物を作製するために使用される反応混合物中に存在するアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物およびエポキシ樹脂の相対量によって起こってもよく、または起こらなくてもよい。たとえば、アミンに富んだ付加体が生成されている場合、アミン基の1つのみは、反応混合物中に存在する限定された量のエポキシ樹脂によって、エポキシ樹脂と反応してもよい。このように、R51、R52、およびR53は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、および−X−R50−からなる群から独立に選択される。
【0072】
式(L)の構造において、Yは、複数のシロキサン繰り返し単位を含む、実質的に直鎖状のシロキサン部分である。この部分は、上記のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物から得られる。このように、部分Yは、複数のシロキサン繰り返し単位を含み、その一部は式(I)の構造に一致し、その一部は上記のような式(V)の構造に一致する。シロキサン繰り返し単位についての特定の置換基、および各シロキサン繰り返し単位の相対量は、本発明のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物に関連する上記のもののいずれかでよい。
【0073】
上で述べたように、本発明のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、任意の適切なエポキシ樹脂と反応することができる。このように、部分Xは、任意の適切なエポキシ樹脂から得られたものでもよい。たとえば、エポキシ樹脂がビスフェノールエポキシ樹脂であるとき、部分Xは、式(C)の構造に一致する部分である。
【化19】
【0074】
式(C)の構造において、R100およびR101は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択される。R102およびR103は、ハロゲン、アルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択される。変数aおよびbは、0、1、および2からなる群から独立に選択され、変数cは、0および1〜50の整数、より好ましくは0および1〜25の整数からなる群から選択される。
【0075】
上記のエポキシ生成物は、多くの様々な用途に適している。たとえば、このようなエポキシ生成物は、基材上のエポキシコーティングの生成における使用によく適していると考えられる。このように、一態様において、本発明は、表面を有する基材、および表面の少なくとも一部に適用された固体コーティングを含む、コーティングされた基材を提供する。固体コーティングは、上記のようなエポキシ生成物を含む。基材は、任意の適切な基材、たとえば、金属(たとえば、鋼鉄)基材でよい。
【0076】
下記の例において上記の主題をさらに例示するが、当然ながら主題の範囲を制限すると決して解釈されないものとする。
【0077】
例1
この例は、α−メチルスチレン(2−フェニルプロペン)によるテトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル化を示す。このように得られた化合物は、本発明のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を生成することにおいて使用できる。
【0078】
250mLの丸底三つ口反応槽に、機械式撹拌機、窒素流アダプターを上に乗せた凝縮器、ならびに温度プローブ/温度調節器/加熱マントルおよび添加漏斗を取り付けたClaisenアダプターを取り付けた。178.65gのテトラメチルシクロテトラシロキサン(GelestからのSIT7530.0、0.0166当量のSiH)を反応槽に加え、窒素流で脱気し、温度を75℃に上昇させた。IPA中の600uLの1重量%H2PtCl6 H2O(Speier触媒)を加えた。421.35g(0.020当量)の2−メチルスチレンを添加漏斗に入れ、一部を反応混合物に滴下して添加した。総2−メチルスチレンの約4分の1を加えた後に、発熱が観察された。添加が完了した後、反応混合物の温度を100〜105℃に1時間上昇させた。較正済みのFTIRを使用して残留するSiH含量を試験した。反応混合物を165℃にて真空でストリッピングし、揮発性物質を除去した。1Hおよび29Si NMRによる分析は、1,3,5,7−テトラ−2−メチルエチルベンゼン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを形成させる完全な反応を確認する。
【0079】
例2
この例は、アミン含有末端基を含む本発明によるアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の生成を示す。
【0080】
250mLの丸底三つ口反応槽に、機械式撹拌機、窒素流アダプターを上に乗せた凝縮器、ならびに温度プローブ/温度調節器/加熱マントルおよび添加漏斗を取り付けた。38.41g(1.6mmol)のビス−3−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン(SiVance)、10.60g(0.539モル)のオクタメチルシクロテトラシロキサン(Gelest)、および例1によって調製した50.99g(0.0179モル)の1,3,5,7−テトラ−2−フェニルプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを丸底反応槽に加え、混合を開始し、次いで、0.75gの水酸化テトラメチルアンモニウム25%水溶液を加えた。次いで、温度を100℃に上昇させ、24時間保持した。平衡に達したとき、反応混合物中の遊離ビス−3−アミノプロピルテトラメチルジシロキサンは、較正済みのガスクロマトグラフィーによって測定した最初の含量の約10%未満であった。水酸化テトラメチルアンモニウムを、10%酢酸/トルエンで中和した。反応混合物を150℃にて真空でストリッピングし、未反応のビス−3−アミノプロピルテトラメチルジシロキサンおよび他の揮発性物質を除去した。
【0081】
例3
この例は、本発明のアミン末端を有し実質的に直鎖状のヒドロシロキサン含有化合物の作製で使用するのに適したジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物の生成を示す。
【0082】
機械式撹拌機、窒素注入チューブを上に乗せた凝縮器、温度プローブ、温度調節器/加熱マントルを取り付けた20Lの三つ口フラスコを組み立てた。丸底反応槽に、204.9g(1.26モル)のヘキサメチルジシロキサン、6312.9g(21.28モル)のオクタメチルシクロテトラシロキサン、および5464.3g(2.13モル)の直鎖状ポリメチル水素シロキサン液体(30cSt)を加えた。系を窒素でフラッシングし、17.9gのトリフリン酸を加えた。反応混合物を撹拌し、65〜70℃で5時間加熱した。揮発性試験およびガスクロマトグラフィー(GC)を使用して、揮発度がいつ約10重量%未満であったかを示した。反応物を35〜40℃に冷却し、150gのMgO粉末を加え、1時間撹拌した。混合物を中性であることについて試験し、濾過した。次いで、これを真空でストリッピングした。反応生成物を1Hおよび29Si NMRによって特性決定し、較正済みのFTIRを使用してSiH含量について定量化した。最終生成物は、6.69mmolのSiH/gを含有した。
【0083】
例4
この例は、ここに記載されているヒドロシリル化反応において使用に適した白金触媒マスターバッチの生成について記載する。
【0084】
6.67gのKarstedt触媒(Gelest SIP6830.3、3.0重量%のPtを含有)と93.33gのトルエンとを混合することによってマスターバッチを調製した。最終白金濃度は、0.200重量%であった。
【0085】
例5
この例は、ここに記載されているヒドロシリル化反応において使用に適した白金触媒マスターバッチの生成について記載する。
【0086】
295.6gのα−メチルスチレン(2−フェニルプロペン)を、4.40gの白金触媒マスターバッチと混合しながらブレンドした。
【0087】
例6
この例は、例3において生成したジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物のヒドロシリル化を示す。
【0088】
250mLの三つ口フラスコに、機械式撹拌機、窒素空気注入チューブを上に乗せた凝縮器、ならびに滴下漏斗および温度プローブ、加熱マントルおよび温度調節器を有するClaisenアダプターを取り付けた。40.57g(0.28当量のSiH)のジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物(例3)を反応フラスコ中に入れ、撹拌を開始した。系を窒素でパージした。0.29モルの2−メチルスチレンおよび0.48mgのPtに寄与する34.89gの2−メチルスチレン白金マスターバッチを、添加漏斗に入れた。温度を35℃に上昇させた。温度を達成した後、0.238gの白金触媒マスターバッチを反応槽に加えた。1分の混合の後、2−メチルスチレン白金マスターバッチのゆっくりとした添加を開始した。添加の速度を制御し、加熱マントルを除去し、反応混合物の温度を35〜55℃に維持した。添加の完了後、合わせた白金の投与量は、総反応性成分に対して20ppmのPtであった。反応混合物を35℃にて保持し、3時間撹拌した。試料を取り出し、1H NMRを使用して水素化ケイ素含量について試験した。反応混合物についての約4.7ppmでのピークの統合された面積を、同じ組成の非触媒反応混合物に対して比較した。3時間の反応後、最初の反応性シリコーン水素化物の約10%のみが残った。
【0089】
例7
この例は、例3において生成したジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物のヒドロシリル化を示す。
【0090】
250mLの三つ口フラスコに、機械式撹拌機、窒素空気注入チューブを上に乗せた凝縮器、ならびに滴下漏斗および温度プローブ、加熱マントルおよび温度調節器を有するClaisenアダプターを取り付けた。40.57g(0.28当量のSiH)のジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物(例1)を反応フラスコ中に入れ、撹拌を開始した。系を窒素でパージした。0.29モルの2−メチルスチレンおよび0.48mgのPtに寄与する34.89gの2−メチルスチレン白金マスターバッチを、添加漏斗に入れた。温度を85℃に上昇させた。温度を達成した後、0.238gの白金触媒マスターバッチを反応槽に加えた。1分の混合の後、2−メチルスチレン白金マスターバッチのゆっくりとした添加を開始した。添加の速度を制御し、加熱マントルを除去し、反応混合物の温度を85〜105℃に維持した。添加の完了後、合わせた白金の投与量は、総反応性成分に対して20ppmのPtであった。反応混合物を85℃にて保持し、3時間撹拌した。試料を取り出し、1H NMRを使用して水素化ケイ素含量について試験した。反応混合物についての約4.7ppmでのピークの統合された面積を、同じ組成の非触媒反応混合物に対して比較した。3時間の反応後、最初の反応性シリコーン水素化物の約33%が残った。
【0091】
例8
この例は、ジメチルメチルオクチルメチル2−メチルエチルベンゼンポリシロキサン化合物を生じさせる、例1において生成したジメチルメチル水素ポリシロキサン化合物のヒドロシリル化を示す。
【0092】
22Lの丸底フラスコに、機械式撹拌機、添加漏斗、温度プローブ、窒素ガス流アダプターを上に乗せ、温水浴を取り付けた還流凝縮器を取り付けた。8398.4gのジメチルメチル水素ポリシロキサン中間体(56.2当量のSiH)を、丸底反応槽中に入れた。6896.6gの2−メチルスチレン白金マスターバッチ(57.3モルの2−メチルスチレン)を、添加漏斗に入れた。窒素ガスを使用して、系をフラッシングした。反応槽中の温度を35℃にて安定化させた。35.6gの白金触媒マスターバッチ溶液を反応槽に加え、1分混合した。2−メチルスチレン白金マスターバッチのゆっくりとした添加を開始した。水浴に氷を加えることによって、反応混合物の温度を35〜50℃に保持した。2−メチルスチレン白金マスターバッチの添加の完了に続いて、反応混合物を35〜55℃に3時間保持した。較正済みのFTIRを使用してSiH含量を測定した。
【0093】
加熱マントルおよび温度調節器を設置して、水浴を置きかえた。669.4gのオクタ−1−エンを、添加漏斗に入れた。反応混合物を50℃に加熱した。オクタ−1−エンの添加によって、中程度の発熱が観察された。温度を85℃に上昇させ、16時間保持した。SiHは、0.02mmol/g未満に消費された。反応混合物を、真空、および165℃へと次第に熱に供し、揮発性物質を除去した。
【0094】
例9
この例は、本発明によるアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の生成を示す。
【0095】
機械的ミキサーを取り付けた12Lの4つ口丸底フラスコ、ガス流アダプターおよびバブラーを上に乗せた凝縮器を取り付けたBarrettトラップ、窒素流アダプター、ならびに温度調節器および加熱マントルに付着した熱電対を組み立てる。丸底反応槽中に、1361.67gの分子量375g/モルのビス−アミノプロピルジメチルシロキシポリジメチルシロキサン(1.70のジメチル基/分子)、2438.3gのジメチルメチルオクチルメチル2−メチルエチルベンゼンポリシロキサン中間体、および28.50gの水酸化テトラメチルアンモニウム、25%水溶液を入れる。混合を開始し、窒素でフラッシングし、最初の試料としてGC比較のために試料を取り出す。温度を110℃に上昇させる。中程度の窒素流を開始し、乾燥氷浴中で冷却したBarrettトラップ中にHMDSO(約80g)を捕獲する。2、4、および24時間の反応時間後にGC分析を行い、ビス−アミノプロピルテトラメチルジシロキサンの利用をモニターする。約23時間の反応時間で反応させ、平衡、および最初に存在したものの約6〜12%のビス−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン含量を達成する。平衡が達成されるとき、トルエン中の28.50gの10%酢酸を加える。1時間撹拌する。1グラムの試料上の水酸化テトラメチルアンモニウムの中和を確認する。1グラムの反応混合物毎に2滴の飽和インジゴカルミン指示薬(IPA/水、50重量%)溶液を加える。10分後に保持される青色は、中和を示す。165℃まで真空でストリッピングし、揮発性物質を除去する。このように得られたポリマー生成物を、29Siおよび1H NMRを使用して分析した。スペクトルは、平均で4.4のジメチルシロキシ基、2.9のメチル2−メチルエチルベンゼンシロキシ基および0.4のメチルオクチルシロキシ基を含有するα,ω−3−アミノプロピルジメチルをエンドキャップしたシロキサンターポリマーの形成と一致した。
【0096】
例10
この例は、例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を使用したエポキシ生成物の生成を示す。
【0097】
反応性混合物は、脂環式エポキシ樹脂、New Japan Ltd.からのHBE−100と、例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを合わせることによって調製した。表1において示すように、エポキシおよびシロキサンを、20mLのFlackTekねじ蓋プラスチック容器において1:1のエポキシ対アミン水素の当量比で合わせた。試料を、FlackTekミキサー(FlackTek Inc.、モデルDAC400.1FVZ)において2300RPMで1分間混合した。容器および混合した内容物を、70℃にて4時間硬化した。ディスクの形態の硬化したエポキシ対象物を容器から取り出し、ショアA硬度について測定した。
【表1】
【0098】
例11
この例は、例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を使用したエポキシ生成物の生成を示す。
【0099】
反応性混合物は、20mLのFlackTekねじ蓋プラスチック容器において25.0gのAdeka EP−4080E脂環式エポキシ樹脂(EEW235g/当量)と31.4gの例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物(AHEW299g/当量)とを合わせることによって調製した。試料を、FlackTekミキサー(FlackTek Inc.、モデルDAC400.1FVZ)において2300RPMで1分間混合した。反応性混合物は本質的に気泡非含有であり、ASTM D412によって均一な厚さの成型スラブを形成するように設計された磨いたステンレス鋼モールド中に離型剤(Henkel1711)と共に注いだ。充填されたモールドを、オーブン中に70℃にて4時間入れた。
【0100】
硬化の後、成型スラブをモールドから取り出し、ASTM D412法に従って試験ピースを打ち抜いた。ピースを、500Nロードセルを利用してDX2000High Strain Extensiometerを取り付けたMTSQ−Test/5機械的テスターを使用して機械的試験に供した。結果を下の表2に記載する。
【表2】
【0101】
例12
表3において示すように、モデルコーティング配合物を、1:1のエポキシ対アミン水素の当量比で様々なアミン硬化剤を使用して調製し、脂環式ジエポキシ樹脂、Adeka EP−4080Eを硬化した。表3において示すように、エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を、20mLのFlackTekねじ蓋プラスチック容器において重量によって合わせた。内容物を、FlackTekミキサー(FlackTek Inc.,モデルDAC400.1FVZ)において2300RPMで40秒間混合した。
【0102】
6インチの鋼鉄製Qパネルを、溶媒でふき取った。概ね1グラムの新たに混合したモデルコーティング処方をパネルの上に適用し、U形状のドローダウンバーを使用してドローダウンし、4ミルの厚さのコーティングを形成した。コーティングしたパネルを、70℃にて4時間硬化させた。
【0103】
KruessモデルDSA10固着液滴接触角システムを使用して水の平衡接触角を測定し、コーティングの疎水性をアセスメントした。得られた溶媒液滴像を、Drop Shape分析ソフトウェアを使用して評価し、平衡接触角を得た。5滴の平均を表3において示す。
【表3】
【0104】
例13
この例は、エポキシ樹脂および例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の付加体の生成を示す。
【0105】
44.451g(0.15アミン水素当量)の例9のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物を、5.549gのEPON828(Polysciences Inc.,カタログ番号02334、ロット:632980)(0.02エポキシ当量)と60mLのFlackTekカップ中で室温にて合わせた。この組合せを、FlackTekミキサーを2000RPMで使用して室温にて45秒間混合し、乳白色のエマルジョンを生成させた。次いで、磁気撹拌子を加え、混合物を磁気撹拌機上で室温にてゆっくりと撹拌した。一晩撹拌したところ反応性混合物は透明になった。
【0106】
ここにおいて引用した公開資料、特許出願、および特許を含めた全ての参照文献は、各参照文献が、参照により組み込まれていることが個別具体的に示され、ここでその全体が記載されているのと同一程度に、参照によりここに組み込まれている。
【0107】
本出願の主題の記載との関連において(特に、下記の特許請求の範囲との関連において)、用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の参照対象の使用は、ここで他に示さない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈される。「含む」、「有する」、「含めた」および「含有する」という用語は、特に断りのない限り、拡張可能な用語(すなわち、「これらに限定されないが、〜が含まれる」を意味する)として解釈される。ここで値の範囲の列挙は、ここで他に示さない限り、範囲内に入るそれぞれの別々の値を個々に列挙する簡単な方法としての役割を果たすことが単に意図されており、それぞれの別々の値は、ここで個々に列挙したかのように明細書に組み込まれている。全てのここに記載されている方法は、ここにおいて他に示さない限り、またはそれ以外にも文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。ここで提供さえるありとあらゆる例、または例示的な言語(たとえば、「など」)の使用は、出願の主題を単により良好に解明することを意図したものであって、特段の主張がない限り主題の範囲に対して制限を課すものではない。明細書における言語は、特許請求されていない任意の要素がここに記載された主題の実行に必須であることと意味すると解釈されないものとする。
【0108】
本出願の主題の好ましい態様は、特許請求した主題を行うために本発明者らに公知の最良の態様を含めてここに記載されている。これらの好ましい態様のバリエーションは、上記の記載を読めば当業者には明らかであろう。本発明者らは、当業者がこのようなバリエーションを必要に応じて用いることを予想し、本発明者らは、ここに記載されている主題が、ここに具体的に記載されているのと別に実施されることを意図する。したがって、この開示は、準拠法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求において列挙されている主題の全ての修正および同等物を含む。さらに、その全ての可能なバリエーションにおける上記の要素の任意の組合せは、ここにおいて他に示さない限り、または他に文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
複数のシロキサン繰り返し単位を含む、アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物であって、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化20】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化21】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、(c)前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化22】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、シロキサン化合物。
[2]
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の前記シロキサン繰り返し単位の約1%以上を構成する、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[3]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、ある分子量を有し、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の前記分子量の約15%〜約50%を構成する、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[4]
前記化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約100以下である、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[5]
前記化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約50以下である、[4]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[6]
前記シロキサン化合物が、約8,000g/当量以下のアミン水素当量を示す、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[7]
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[8]
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、[7]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[9]
3が、アリール基からなる群から選択される、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[10]
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[11]
10が、水素およびアミノアルキル基からなる群から選択される、[1]に記載のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物。
[12]
エポキシ樹脂とアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させることによって得られる生成物であって、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物は、複数のシロキサン繰り返し単位を含み、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化23】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化24】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、(c)前記化合物は、式(X)および式(XI)の構造に一致する末端基を含み、
【化25】
式中、R10は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物。
[13]
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルエポキシ樹脂、脂環式エポキシド、グリシジルアミンエポキシ樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[12]に記載の生成物。
[14]
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の前記シロキサン繰り返し単位の約1%以上を構成する、[12]に記載の生成物。
[15]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、ある分子量を有し、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物の前記分子量の約15%〜約50%を構成する、[12]に記載の生成物。
[16]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約100以下である、[12]に記載の生成物。
[17]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約50以下である、[16]に記載の生成物。
[18]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物が、約8,000g/当量以下のアミン水素当量を示す、[12]に記載の生成物。
[19]
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、[12]に記載の生成物。
[20]
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、[19]に記載の生成物。
[21]
3が、アリール基からなる群から選択される、[12]に記載の生成物。
[22]
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、[12]に記載の生成物。
[23]
10が、水素およびアミノアルキル基からなる群から選択される、[12]に記載の生成物。
[24]
アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、約0.8:1〜約1.2:1のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、[12]に記載の生成物。
[25]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、約0.5:1以下のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、[12]に記載の生成物。
[26]
前記生成物の粘度が、約10,000cP以下である、[25]に記載の生成物。
[27]
前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物のアミン当量および前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に基づき、約2:1以上のアミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とエポキシ樹脂との比で、前記エポキシ樹脂と前記アミン末端を有し実質的に直鎖状のシロキサン化合物とを反応させる、[12]に記載の生成物。
[28]
前記生成物の粘度が、約10,000cP以下である、[27]に記載の生成物。
[29]
表面を有する基材、および前記表面の少なくとも一部に適用された固体コーティングを含み、前記コーティングが、[12]に記載の生成物を含む、コーティングされた基材。
[30]
式(L)の構造に一致する部分を含む生成物であって、
【化26】
式中、Xは、エポキシ樹脂中のエポキシド基を連結する基から得られた部分であり、R11は、アルカンジイル基および置換アルカンジイル基からなる群から選択され、R12およびR13は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され、R50は、−CH2CH(OH)CH2−および−CH2CH(CH2OH)−からなる群から選択される二価基であり、R51、R52、およびR53は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、および−X−R50−からなる群から独立に選択され、Yは、複数のシロキサン繰り返し単位を含む、実質的に直鎖状のシロキサン部分であり、
(a)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(I)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化27】
式中、R1は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、R2は、アルカンジイル基およびアルケンジイル基からなる群から選択され、R3は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、(b)前記シロキサン繰り返し単位の一部は、式(V)の構造に一致するシロキサン繰り返し単位からなる群から独立に選択され、
【化28】
式中、R5およびR6は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される、生成物。
[31]
Xが、式(C)の構造に一致する部分であり、
【化29】
式中、R100およびR101は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群から独立に選択され、R102およびR103は、アルキル基およびアリール基からなる群から独立に選択され、aおよびbは、0、1、および2からなる群から独立に選択され、cは、0および1〜50の整数からなる群から選択される、[30]に記載の生成物。
[32]
式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中の前記シロキサン繰り返し単位の約1%以上を構成する、[30]に記載の生成物。
[33]
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Yが、ある式量を有し、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分中の式(I)の構造に一致する前記シロキサン繰り返し単位が、前記実質的に直鎖状のシロキサン部分の前記式量の約15%〜約50%を構成する、[30]に記載の生成物。
[34]
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約100以下である、[30]に記載の生成物。
[35]
前記実質的に直鎖状のシロキサン部分Y中のシロキサン繰り返し単位の総数が、約50以下である、[34]に記載の生成物。
[36]
1、R5、R6、R12、およびR13が、アルキル基からなる群から選択される、[30]に記載の生成物。
[37]
1、R5、R6、R12、およびR13が、メチル基である、[36]に記載の生成物。
[38]
3が、アリール基からなる群から選択される、[30]に記載の生成物。
[39]
2が、2−メチルエタン−1,2−ジイルであり、R3が、フェニルである、[30]に記載の生成物。
[40]
前記生成物が、約10,000cP以下の粘度を有する、[30]に記載の生成物。
[41]
表面を有する基材、および前記表面の少なくとも一部に適用される固体コーティングを含み、前記コーティングが、[30]に記載の生成物を含む、コーティングされた基材。