【実施例】
【0054】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が、これらに制限されず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるということは、当業者に自明である。
【0055】
1.中間体化合物の合成
(1)化学式Iで表わされる化合物の合成
下記反応式1に従い、化学式Iで表わされる化合物を合成した。
【0056】
【化5】
【0057】
トルエン100gにN,N−ジエチルアミノ安息香酸0.249molを添加して撹拌した。次いで、塩化チオニル0.400molを滴下した後、80℃に昇温した後に、1時間反応させた。反応後、減圧蒸留して塩化チオニルとトルエンとを除去して、N,N−ジエチルアミノベンゾイルクロリドを得た。
【0058】
無水塩化アルミニウム0.310mmolをジクロロエタン120gと混合して、その混合物を撹拌して冷却した。上述のようにして得られたN,N−ジエチルアミノベンゾイルクロリドをジクロロエタン120gに溶解し、前記混合物に滴下した後、5℃以下に保持しながら30分間撹拌した。その後、N,N−ジエチルメタトルイジン0.249molを反応液に滴下した。反応液が室温になった後、氷水を投入して反応を終了させた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を投入して、pH11以上にした後、珪藻土濾過を行って、不溶分を除去した。反応混合物が層分離した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた化合物に対してカラムクロマトグラフィーを行い、上記化学式Iで表わされる化合物0.075molを得た。
【0059】
(2)化学式IIで表わされる化合物の合成
下記反応式2に従い、化学式IIで表わされる化合物を合成した。
【0060】
【化6】
【0061】
N,N−ジエチルメタトルイジンの代わりに、N,N−ジエチルメタクロロアニリンを用いたことを除き、化学式Iの合成と同様にして上記化学式IIで表わされる化合物0.068molを得た。
【0062】
(3)化学式IIIで表わされる化合物の合成
下記反応式3に従い、化学式IIIで表わされる化合物を合成した。
【0063】
【化7】
【0064】
N,N−ジエチルメタトルイジンの代わりに、N,N−ジエチルメタメトックシアニリンを用いたことを除き、化学式Iの合成と同様にして化学式IIIで表わされる化合物0.053molを得た。
【0065】
(4)化学式IVで表わされる化合物の合成
下記反応式4に従い、化学式IVで表わされる化合物を合成した。
【0066】
【化8】
【0067】
N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−ナフチルアミン0.220molと、トリエチルアミン0.242molとをジクロロメタン50mLに添加して撹拌し溶解した。次いで、メタクリル酸無水物0.242molを添加し、40℃に昇温して保持した。反応終了後、反応混合物に水を添加し、層分離した。さらに、飽和塩化ナトリウム溶液20mLを追加して30分間撹拌した。層分離後、有機層を減圧乾燥し、精製して、化学式IVで表わされる化合物0.190molを得た。
【0068】
(5)化学式Vで表わされる化合物の合成
下記反応式5に従い、化学式Vで表わされる化合物を合成した。
【0069】
【化9】
【0070】
化学式Iで表わされる化合物0.030molをクロロホルム140gを添加して撹拌した。次いで、オキシ塩化リン0.045molを追加し、15分間撹拌した。4−メトキシフェノール0.001molと化学式IVで表わされる化合物0.030molとを投入し、昇温して、4時間還流させた。反応終了後、室温まで冷却して、水を追加した後、撹拌した。層分離後、減圧濃縮し、得られた化合物を精製して、化学式Vで表わされる化合物0.025mmolを得た。
【0071】
(6)化学式VIで表わされる化合物の合成
下記反応式6に従い、化学式VIで表わされる化合物を合成した。
【0072】
【化10】
【0073】
化学式Iで表わされる化合物の代わり、化学式IIで表わされる化合物を用いたことを除き、化学式Vで表わされる化合物の合成と同様にして、化学式VIで表わされる化合物0.023molを得た。
【0074】
(7)化学式VIIで表わされる化合物の合成
下記反応式7に従い、化学式VIIで表わされる化合物を合成した。
【0075】
【化11】
【0076】
化学式Iで表わされる化合物の代わり、化学式IIIで表わされる化合物を用いたことを除き、化学式Vで表わされる化合物の合成と同様にして、化学式VIIで表わされる化合物0.022molを得た。
【0077】
2.本発明によるトリアリールメタン青色染料化合物の合成
(1)合成例1:化学式2で表わされる化合物の合成
下記反応式8に従い、化学式2で表わされる化合物を合成した。
【0078】
【化12】
【0079】
化学式Vで表わされる化合物0.010molをMeOH 50gに溶解した後、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド0.011molを20%水溶液に添加して、塩を置換した。濾過後、得られた化合物をクロロホルムに溶解後、水で洗浄し、減圧濃縮して、化学式2で表わされる化合物0.009molを得た。
【0080】
(2)合成例2〜6:化学式3〜化学式7で表わされる化合物の合成
前記合成例1と同じ方法で、下記表1のように、化学式V〜化学式VIIで表わされる化合物をリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(A)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(B)に置換して合成した。
【0081】
【表1】
【0082】
【化13】
【0083】
(3)比較例1
下記反応式9に従い、比較例1の化合物を合成した。
【0084】
【化14】
【0085】
Basic Blue7 0.010molをメタノール50mLを加えて溶解後、p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩0.011molを20%水溶液に添加して、塩を置換した。濾過後、得られた化合物をクロロホルムに溶解後、水で洗浄し、減圧濃縮して、比較例1の化合物0.005molを得た。
【0086】
3.実験例1:溶解度の評価
合成例1〜6と比較例1、比較例2(Basic Blue7)染料化合物をPGMEAに溶解して、それぞれの溶解度を確認し、その結果を下記表2に示した。
【0087】
【表2】
【0088】
前記表2より、本発明による合成例1〜6の化学式2〜化学式7の青色染料化合物は、PGMEAに5%以上の高溶解度を有することが分かる。比較例2の場合、PGMEAに対する溶解度が1%未満であり非常に低いことが分かる。また、比較例2においてp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩に置換した比較例1の場合にも、溶解度が比較例2に比べては改善されたが、本発明による化合物に比べては非常に低いということが分かる。このように、本発明による青色染料化合物は、PGMEAのような有機溶媒に対して優れた溶解度を有することを確認することができる。
【0089】
4.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造及び耐熱性の測定
実施例1.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
次のような組成で感光性青色樹脂組成物を製造した。
(a)バインダー樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(60:40質量比)の共重合体(Mw=20000) 2.7g
(b)アクリルモノマー:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート 10g
(c)青色染料化合物:合成例1 2.3g
(d)光重合開始剤:BASF社のIrgacure OXE−01 2g
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83g
【0090】
実施例2.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
青色染料化合物として合成例2の化合物2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様にして感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0091】
実施例3.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
青色染料化合物として合成例3の化合物2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0092】
実施例4.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
青色染料化合物として合成例4の化合物2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0093】
実施例5.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
青色染料化合物として合成例5の化合物2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0094】
実施例6.カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造
青色染料化合物として合成例6の化合物2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0095】
比較例3.
合成例1の化合物の代わりに、前記比較例1の化合物を用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0096】
比較例4.
合成例1の化合物の代わりに、Basic Blue7の化合物を2.3gを用いたことを除き、前記実施例1の組成と同様に感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0097】
実験例2.耐熱性の測定
耐熱性の測定のために、10cm×10cmのガラス基板上に前記実施例及び比較例で製造したカラーフィルター用青色樹脂組成物を、スピンコーティングによりそれぞれ2μmの厚さに塗布した。次いで、90℃のホットプレートで3分間プリベーク(pre−bake)を行った後、室温で1分間冷却した。それを露光器を用いて100mJ/cm
2の露光量(365nm基準)で露光した。
【0098】
次に、コンベクションオーブン(convection oven)で220℃、30分間ポストベーク(postbake)を行い、分光光度計Otsuka electronic社のMCPD3700を使って、色特性を確認した。220℃のコンベクションオーブンで1時間さらに熱処理を進行した後、再び色特性を確認して、ΔEab
*値を求めた。結果を下記表3に示した。
【0099】
【表3】
【0100】
一般的に、ΔEab
*の数値が3以下であると信頼性を満足することが知られている。
実施例1〜6においては、ΔEab
*の数値が3以下であり信頼性を満足していることが分かる。比較例3と比較例4の場合、耐熱性が大きく落ちることが分かる。従って、本発明によるカラーフィルター用青色樹脂組成物の場合、耐熱性に優れていることが分かる。