(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステル系ポリウレタンフィルム基材と、該基材の少なくとも片面に形成された粘着層とを有し、引張強度が8800〜13000psi(60689640〜89655150N/m2)、破断伸度が550%以上である防湿材であって、当該防湿材を、幅1インチ(2.54cm)、長さ40cmのテープに切断し、該テープTの一方の端部(長さ1インチ(2.54cm)部分)をガラス板に貼り合わせ、他方の端部をテープの軸線方向に2kgの力で引っ張りながら、テープTの長さ30cm分を被着体に貼り合わせたときの、該テープTの最小幅部の幅(W)が23mmより大きいことを特徴とする、防湿材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
図1に示されるように、本発明の防湿材1は、ポリウレタンフィルム基材2と、該基材2の少なくとも片面に形成された粘着層3とを備える。そして、本発明の防湿材1は引張強度が7500psi以上、破断伸度が550%以上の物性を有する。なお、1psiは約6.89kPaである。
【0011】
本発明の防湿材1は、一般的には、
図2、3に示されるように、フロアーパネル10上にカーペット11を敷設する際に、フロアーパネル10に直接貼り付けて、フロアーパネル10とカーペット11との間に介在させる。
図2はカーペット11の全体に対してその下地となるように防湿材を適用した例であり、
図3はカーペットの継ぎ目の下に防湿材を適用した例である。なお、
図2、3に示されるように、カーペット11の下面には、通常、両面粘着テープまたはシート12が貼付され、該両面粘着テープまたはシート12が防湿材1のポリウレタンフィルム基材2に接着する。
【0012】
本明細書中でいう、「フロアーパネル」とは、床(すなわち、輸送機や建造物内の空間を水平に仕切る底面)を形成するパネルを意味し、例えば、特定のガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からなる材料等の種々の素材からなる。また、「カーペット」とは、一般的な繊維製床敷物だけでなく、塩ビタイル、オレフィン系シート、リノリウムシート、フローリング材等の床面を覆う種々のカバー材料を包含する概念である。
【0013】
[ポリウレタンフィルム基材]
ポリウレタンフィルム基材2を構成するポリウレタンとしては、特に限定はされないが、ポリオール成分がポリエーテルポリオールからなるポリエーテル系ポリウレタン、ポリオール成分がポリエステルポリオールからなるポリエステル系ポリウレタン、ポリオール成分がポリカーボネートポリオールからなるポリカーボネート系ポリウレタンなどが挙げられる。なかでも、強度、耐熱性、粘着剤との投錨性の観点からポリエステル系ポリウレタンが好ましい。
【0014】
ポリエステル系ポリウレタンのポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどのアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールや、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリオール成分は1種または2種以上を使用できる。防湿材の耐水性の観点からは、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールが好ましい。
【0015】
ポリエステル系ポリウレタンのポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を一分子中に2個以上有する公知の脂肪族、脂環式または芳香族の有機イソシアネート化合物を用いることができる。
【0016】
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。また、脂環式イソシアネート化合物としては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。また、芳香族イソシアネート化合物としては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。なお、ポリイソシアネート成分には、アダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体などの3官能以上のポリイソシアネート化合物も用いることができる。ポリイソシアネート成分は1種または2種以上を使用できる。
【0017】
ポリイソシアネート成分は、耐黄変性の観点から、脂肪族および/または脂環式イソシアネート化合物が好ましい。
【0018】
ポリウレタンフィルム基材を構成するポリウレタンは1種または2種以上を使用できる。また、ポリウレタンの平均分子量は限定されるものではないが、一般的には数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であり、好ましくは10,000〜300,000である。
【0019】
ポリウレタンフィルム基材は、例えば、ポリウレタンのペレットを加熱溶融して押出成形をするか、カレンダー加工などの方法によりフィルム状に成形することで作製される。
【0020】
ポリウレタンフィルム基材の厚さは特に限定はされないが、防湿材の低重量性と防湿材の貼付時直線性とのバランスから4〜16milが好ましく、より好ましくは4〜10milであり、特に好ましくは4〜9milである。なお、1milは約25.4μmである。
【0021】
ポリウレタンフィルム基材は、市販品を使用できる。ポリエーテル系ポリウレタンフィルム基材としては、アメリカンポリフィルム製のMT2001(厚さ7mil)等が挙げられる。また、ポリエステル系ポリウレタンフィルム基材としては、アメリカンポリフィルム製のVLM4001(厚さ4mil)、VLM3301(厚さ7mil)、VLM3301(厚さ10mil)等が挙げられる。
【0022】
[粘着層]
ポリウレタンフィルム基材2の少なくとも片面に形成される粘着層3には、例えば、ポリウレタン粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができる。航空機、船舶等の輸送機や建造物等の室内用材料には、難燃性、再剥離性、長期耐久性などが要求されるため、これらの観点から、ポリウレタン粘着剤が好ましい。
【0023】
ポリウレタン粘着剤(A)としては、ポリイソシアネート(a1)とポリオール(a2)との反応物であるポリウレタン(A1)か、或いは、ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、および一分子中に水酸基2個とカルボキシル基1個とを有するジヒドロキシカルボン酸(a3)を反応させてなるポリウレタン(A2)にポリイソシアネート硬化剤(B)を添加した粘着剤組成物(すなわち、「硬化剤含有ポリウレタン粘着剤」)を使用することができる。
【0024】
ポリイソシアネート(a1)は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートに分けられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアナト−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナト)、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。また、ポリイソシアネート(a1)は上述の例示化合物に基づくアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体などであってもよい。ポリイソシアネート(a1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ポリオール(a2)としては、ポリエステルポリオール(a2−1)、ポリエーテルポリオール(a2−2)などが挙げられる。
【0026】
ポリエステルポリオール(a2−1)は、多価カルボン酸成分とポリオール成分を反応させたものである。このような多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
【0027】
上記ポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール(例えば、1,4−ブタンジオール)、ヘキセングリコール(例えば、1,6−ヘキサンジオール)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3'−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β―メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合したポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオール(a2−2)は、低分子量ポリオールを開始剤として用いてオキシラン化合物を重合させることで得られる。上記オキシラン化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラビドロフランなどが挙げられる。又、上記低分子量ポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0029】
ポリオール(a2)は、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。また、ポリオール(a2)は、低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量(Mn)が500〜20,000、更に好ましくは数平均分子量(Mn)が500〜10,000である。
【0030】
一分子中に水酸基2個とカルボキシル基1個とを有するジヒドロキシカルボン酸(a3)[以下、ジヒドロキシカルボン酸(a3)と表記する場合がある。]としては、例えば、ジヒドロキシフマル酸、ジヒドロキシマレイン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタン酸(別名、ジメチロール酢酸)、2,3−ジヒドロキシプロパン酸(別名、グリセリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(別名、2,2−ジメチロールプロピオン酸)、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(別名、3,3−ジメチロールプロピオン酸)、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(別名、ジメチロール酪酸)、2,2−ジヒドロキシブタン酸(別名、2,2−ジメチロールブタン酸)、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシブタン酸(別名、3−デオキシテトロン酸)、3,4−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−エチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−イソプロピルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−ブチルブタン酸、(R)−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸(別名、パントイン酸)、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(別名、酒石酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタン酸(別名、ジメチロール吉草酸)、3,5−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸(別名、メバロン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘキサン酸(別名、ジメチロールカプロン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタン酸(別名、ジメチロールエナント酸)、3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)オクタン酸(別名、ジメチロールカプリル酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ノナン酸(別名、ジメチロールペラルゴン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)デカン酸(別名、ジメチロールカプリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ドデカン酸(別名、ジメチロールラウリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)テトラデカン酸(別名、ジメチロールミリスチン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタデカン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘキサデカン酸(別名、ジメチロールパルミチン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタデカン酸(別名、ジメチロールマルガリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)オクタデカン酸(別名、ジメチロールステアリン酸)、ジメチロールオレイン酸、ジメチロールリノール酸、ジメチロールリノレン酸、ジメチロールアラキドン酸、ジメチロールドコサヘキサエン酸、ジメチロールエイコサペンタエン酸等の脂肪族ジヒドロキシカルボン酸類;2,3−ジヒドロキシ安息香酸(別名、o−ピロカテク酸)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸(別名、β−レゾルシン酸)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(別名、ゲンチジン酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(別名、γ−レゾルシン酸)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(別名、プロトカテク酸)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(別名、α−レゾルシン酸)、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸(別名、o−オルセリン酸)、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸、2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸、2,4−ジ(ヒドロキシメチル)安息香酸、3,4−ジ(ヒドロキシメチル)安息香酸、4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−2,6−ジヒドロキシ安息香酸、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸(別名、バニルマンデル酸)、D,L−3,4−ジヒドロキシマンデル酸、2,5−ジヒドロキシフェニル酢酸(別名、ホモゲンチジン酸)、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(別名、ホモプロトカテク酸)、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル酢酸、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン酸(別名、ヒドロカフェー酸)、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸(別名、ウンベル酸)、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸(別名、カフェー酸)、4,4’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロピオン酸、2,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2,5−ジヒドロキシ桂皮酸、シンナミル−3,4−ジヒドロキシ―α―シアノ桂皮酸、2−ブロモ−4,5−メチレンジオキシ桂皮酸、3,4−メチレンジオキシ桂皮酸、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロ桂皮酸、2,6−ジヒドロキシイソニコチン酸、DL−3,4−ジヒドロキシマンデル酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、4,8−ジヒドロキシキノリン−2−カルボン酸(別名、キサンツレン酸)、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,6−ジヒドロキシピリジン−4−カルボン酸(別名、シトラジン酸)、2,4−ジヒドロキシチアゾール−5−酢酸、2−(1−チエニル)エチル−3,4−ジヒドロキシベンジリデンシアノ酢酸、二プロピオン酸−6−エストラジオール、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼン二酢酸、(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−(フェニルカルバモイル)プロピオン酸等の芳香環あるいはヘテロ環含有ジヒドロキシカルボン酸類等が挙げられる。
【0031】
ジヒドロキシカルボン酸(a3)は水酸基を2個有するので、前述のポリオール(a2)と同様に水酸基成分として、ポリイソシアネート(a1)と重付加(ウレタン化反応)し、ポリウレタン(A2)を生成する。そして、ジヒドロキシカルボン酸(a3)由来のカルボキシル基がポリウレタン(A2)の側鎖のカルボキシル基となる。
【0032】
ウレタン化反応の際の活性に富むという点で、ジヒドロキシカルボン酸(a3)中の2個の水酸基は、共に一級炭素原子に結合していることが好ましい。一方、ジヒドロキシカルボン酸(a3)中のカルボキシル基がウレタン化反応の際に、反応成分として機能すると、反応の際にゲル化し易く、ゲル化せずにウレタン樹脂(Ax)が得られても部分的に凝集し易かったりする。そこで、ウレタン化反応の際にはジヒドロキシカルボン酸(a3)が、専ら水酸基成分として機能し、カルボキシル基はウレタン化反応の反応成分としては、機能しないように、ジヒドロキシカルボン酸(a3)中のカルボキシル基は、二級または三級炭素原子に結合していることが好ましい。ジヒドロキシカルボン酸(a3)は、二級炭素原子または三級炭素原子に結合しているカルボキシル基を1分子中に1個有することができる。又、ジヒドロキシカルボン酸中のカルボキシル基は、ウレタン化反応を促進する触媒的な働きをする。
【0033】
この様にジヒドロキシカルボン酸(a3)の中でも、1分子中に一級炭素原子に結合している水酸基を2個、二級または三級炭素原子に結合しているカルボキシル基を1個有する化合物を使用することで、部分凝集し難く、均一性に富み、良好な流動性を呈するポリウレタン(A2)を得ることができる。更にこのようなポリウレタン(A2)に後述するポリイソシアネート硬化剤(B)を配合した場合、硬化後に凝集力に富む粘着剤層を形成し得るポットライフの比較的長い粘着剤組成物を得ることができる。
【0034】
ポリウレタン(A2)は酸価が20〜80mgKOH/gであることが好ましい。
【0035】
ポリイソシアネート硬化剤(B)としては、前述のポリイソシアネート(a1)で例示した化合物の中で3官能以上の化合物を挙げることができる。なかでも、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、およびイソシアヌレート体から選ばれる少なくとも1つであるのが好ましく、さらにそれらの中でも、ジイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートであるものがより好ましい。
【0036】
ポリウレタン(A2)は、ジヒドロキシカルボン酸(a3)由来の構造を1〜25重量%含有することが好ましい。即ち、側鎖に導入されるカルボキシル基の量は、ジヒドロキシカルボン酸(a3)由来の構造に依存する。側鎖に導入されたカルボキシル基は、後述のポリイソシアネート硬化剤(B)と架橋し粘着剤層を形成し、凝集力、接着性、耐熱性、耐湿熱性の向上に寄与する。しかし、ジヒドロキシカルボン酸(a3)によって導入されたカルボキシル基が多すぎると粘着剤組成物のポットライフが短くなる。そこで、粘着剤組成物としてのポットライフと、粘着剤層の性能とのバランスから、ジヒドロキシカルボン酸(a3)由来の構造は、ポリウレタン(A2)中に5〜20重量%であることが特に好ましい。
【0037】
ポリウレタン粘着剤(A)は、防湿材の難燃性、防湿性、柔軟性、密着性等の観点から、ポリオール(a2)にポリエステルポリオール(a2−1)を使用して得られたポリエステル系ポリウレタン粘着剤よりも、ポリオール(a2)にポリエーテルポリオール(a2−2)を使用して得られたポリエーテル系ポリウレタン粘着剤が好適である。
【0038】
また、ポリウレタン粘着剤(A)として、ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、および一分子中に水酸基2個とカルボキシル基1個とを有するジヒドロキシカルボン酸(a3)を反応させてなるポリウレタン(A2)にポリイソシアネート硬化剤(B)を添加してなる粘着剤組成物を用いる場合、その硬化条件は80〜140℃×1〜5分が好ましい。
【0039】
ポリウレタンは一般に約10
6Pa以下の弾性率にて粘着性を発現する。ポリウレタン粘着剤(A)の弾性率(室温)は約10
6Pa以下であり、ポリウレタンフィルム基材に比べて低い弾性率である。
【0040】
粘着層3の厚さは特に限定はされないが、防湿材の防湿性、防湿材を貼り替える際の作業性(糊残りの防止)の観点から、2〜5milが好ましい。2mil以上であることで防湿材の防湿性がより向上し、5mil以下であることで防湿材の貼り替える際の作業性(糊残りの防止)により有利である。
【0041】
[難燃剤]
本発明の防湿材において、粘着層3には難燃剤を含有してもよいが、実質的に含有しないことが好ましい。
難燃剤としては、特に限定されないが、環境面から、ノンハロゲン系難燃剤が好ましく、ノンハロゲン系難燃剤としては、例えば、公知の水和金属化合物系難燃剤、無機化合物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、有機金属化合物系難燃剤が挙げられる。なかでも、難燃性の付与効果、燃焼時のドリップ抑制、環境規制への適合性などに優れる点でリン系難燃剤が好ましい。
【0042】
水和金属化合物系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。また、無機化合物系難燃剤としては、アンチモン化合物、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、ナノフィラー(モンモリロナイト(MMT)、ナノ水和金属化合物、シリカ)、カーボンナノチューブ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0043】
リン系難燃剤としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類などが挙げられる。リン酸エステル類の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート(TEP)、トリn−ブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)などが挙げられる。芳香族縮合リン酸エステル類の具体例としては、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェートなどが挙げられる。ポリリン酸アンモニウム類の具体例としては、ポリリン酸アンモニウム(APP)、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、被覆ポリリン酸アンモニウムが挙げられる。ここで被覆ポリリン酸アンモニウムとは、ポリリン酸アンモニウムを樹脂で被覆もしくはマイクロカプセル化して耐水性をあげたものである。なお、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類は併用することができる。中でも、リン酸エステル類による炭化層形成の難燃効果と、ポリリン酸アンモニウム類による不燃性ガス発生の難燃効果の組み合わせにより、固相と気相の双方を難燃化できる点で、リン酸エステル類とポリリン酸アンモニウム類の併用が好ましい。
【0044】
シリコーン系難燃剤としては、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンなどが挙げられる。
【0045】
窒素化合物系難燃剤としては、ヒンダードアミン化合物、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物などが挙げられる。
【0046】
有機金属化合物系難燃剤としては、エチレンジアミン4酢酸銅、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0047】
難燃剤は1種または2種以上を併用することができる。また、難燃剤の使用量は難燃剤の種類によっても異なるが、一般的には、防湿材の透明性および粘着層の凝集力の低下抑制の観点から、防湿材全体当たり5重量%未満であるのが好ましく、3重量%未満がより好ましく、2重量%未満であることがさらに好ましく、1重量%未満であることが特に好ましい。難燃剤を防湿材全体当たり5重量%以上配合すると、防湿材の透明性が低下して、貼付作業において、貼付対象面(被貼付面)を防湿材越しに観察することが困難になるため、貼付作業性が低下する傾向となる。
【0048】
[剥離ライナー]
本発明の防湿材には、使用時まで粘着層3の表面保護、粘着層の粘着力の低下抑制などの観点から、粘着層3に剥離ライナーを積層してもよい。かかる剥離ライナーは防湿材をフロアーパネルなどの被貼付面に貼付する際に剥離される。
【0049】
上記剥離ライナーとしては、例えば、基材(剥離ライナー用基材)の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成された剥離ライナー、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体など)、或いは、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂など)製の低接着性基材からなる剥離ライナーなどを挙げることができる。
【0050】
上記基材(剥離ライナー用基材)としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチックフィルム(合成樹脂フィルム)、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらをラミネートや共押し出しなどによって複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。剥離処理層に使用する剥離処理剤は特に限定されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
本発明の防湿材は、引張強度が7500psi以上、破断伸度が550%以上であり、かかる機械特性を備えることで、優れた貼付時直線性を示す。貼付時直線性とは、防湿材を被着面に真っ直ぐに貼り付ける作業のしやすさであり、以下の方法で評価することができる。
【0052】
(貼付時直線性試験)
図4に示すように、幅1インチ、長さ40cmのテープTを準備し、テープTの一方の端部(長さ1インチ部分)を被着体50に貼り合わせ、他方の端部をテープの軸線方向に2kgの力で引っ張りながら、テープTの長さ30cm分を被着体50に貼り合わせ、被着体50に貼付されたテープTの最小幅部の幅(W)を測定する。最小幅部の幅(W)の試験前のテープの幅(1インチ)に対する減少の程度が小さい程、貼付時直線性が優れている。なお、1インチは約2.54cmである。
【0053】
防湿材の引張強度は好ましくは8100psi以上であり、より好ましくは8500psi以上である。また、破断伸度は好ましくは650%以上であり、より好ましくは775%以上である。なお、防湿材の引張強度は防湿材の柔軟性の観点から15000psi以下が好ましく、また、防湿材の破断伸度は防湿材の貼付作業における作業性の観点から1500%以下が好ましい。
【0054】
防湿材の引張強度および破断伸度は、ASTM D3759に準拠した測定方法で測定することができる。なお、「ASTM D3759」等はASTMインターナショナルが定める規格である。
【0055】
ポリエステル系ポリウレタンは総じてポリエーテル系ポリウレタンに比べて高強度であり、ポリエステル系ポリウレタンフィルム基材は比較的薄い厚さで高い引張強度を有する。従って、ポリウレタンフィルム基材にポリエステル系ポリウレタンフィルム基材を使用することで、防湿材の軽量化を図りつつ、貼付時直線性に優れる防湿材を得ることが可能である。また、ポリエステル系ポリウレタンからなるフィルムはポリエーテル系ポリウレタンからなるフィルムに比べて粘着剤(特にポリウレタン粘着剤)との接着性に優れる。このため、ポリウレタンフィルム基材にポリエステル系ポリウレタンフィルム基材を使用することで、防湿材をフロアーパネル等の被着面に貼付後、メンテナンスなどのために被着面から防湿材を剥離する際に糊残りが生じくい。
【0056】
本発明の防湿材は比較的薄い厚さでも目的の良好な貼付時直線性を示す。このため、軽量化も容易であり、その単位面積あたりの重量が好ましくは1.2oz/sqft以下であり、より好ましくは1.0oz/sqft以下である。単位面積あたりの重量が1.2oz/sqft以下であることで、航空機、船舶等の輸送機用の防湿材として特に好適に使用できる。なお、1oz/sqftは約305g/m
2である。
【0057】
本発明の防湿材はフロアーパネル等の防湿を図るべき対象物に直接貼り付けて使用する。その接着力は、室温および湿度50%RHで好ましくは5.0lbs/inch以上、160°F(71.1℃)および湿度50%RHで好ましくは7.5lbs/inch以上、120°F(48.9℃)および湿度95%RHで好ましくは5.0lbs/inch以上である。かかる接着力はASTM D1000に準拠した測定方法で測定することができる。なお、1lbs/inchは約17.9kg/mである。
【0058】
本発明の防湿材は、水分が透過しにくく、かつ、水分を吸収しにくいものであり、水蒸気透過率が好ましくは9.0%以下、より好ましくは4.1%以下であり、水分吸収率が好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。水蒸気透過率はASTM D3833に準拠した測定方法で測定することができ、水分吸収率は下記実施例に記載する測定方法で測定することができる。なお、水蒸気透過率、水分吸収率ともに、下記にて、詳しい測定方法を説明する。
【0059】
航空機、船舶等の輸送機に使用する防湿材には特に高度の防湿性が要求されるが、本発明の防湿材は充分にその要求に応えることができる。
【0060】
本発明の防湿材は、難燃剤を特に配合しなくても優れた難燃性を示す。本発明の防湿材は、BSS7230燃焼性試験での燃焼時間が好ましくは2秒以内、より好ましくは1秒以内であり、燃焼長さが好ましくは5inch以下、より好ましくは3.5inch以下であり、焼落物の燃焼時間が0秒である。なお、「BSS7230」は The Boeing Company によって発行された規格である。
【0061】
通常、床面に覆うカーペットは、
図2、3に示されるように、両面粘着テープを介して防湿材に接着するか、或いは、防湿材とフロアパネルに接着する。かかる両面粘着テープは、通常、基材厚さが100μm程度、テープ総厚さが300μm程度であり、一般に、手切れ性の観点から、難燃剤入りのコットン素材からなる基材に、難燃剤入のゴム系粘着剤による粘着層を形成したものが使用される。本発明の防湿材のポリウレタンフィルム基材がポリエステル系ポリウレタンフィルム基材である場合、両面粘着テープとの接着性もより向上し得る。
【実施例】
【0062】
以下、実施例と比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。
実施例および比較例の防湿材の評価試験は次の方法で行った。
【0063】
1.厚さ、重量
重量:24±2時間、75±5°F[即ち、70°F(21.1℃)〜80°F(26.7℃)]で放置後、平面形状が2×3インチのサイズの矩形からなるサンプルの重量を最小目盛り0.001gの量りで測定し、5つのサンプルの平均値を採用した。
厚さ:最小目盛りが0.0005インチで7.0〜9.0psiの圧力が測定物にかかるダイヤルシックネスゲージで測定した。
【0064】
2.接着力、投錨性(糊残り)
ASTM D1000に準拠して、(i)室温×湿度50%RH、(ii)160°F×湿度50%RH、および(iii)120°F×湿度95%RHの条件下で、180°ピール強度を測定し、該180°ピール強度を接着力とした。被着体にはハニカム被着体(BMS4−17)を使用した。投錨性については、180°ピール強度を測定した後の被着体を目視で観察し、糊残りの有無をみた。
【0065】
3.引張強度および破断伸度
ASTM D3759に準拠。
詳細には、12.5mmのサンプル幅で、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minの条件にて、引張強度、破断伸度を測定した。
【0066】
4.燃焼性試験
BSS7230に準拠。
詳細には、長さ12インチ×幅3インチのテープ状にカットした試料の長さ方向の一方の端部を固定して鉛直方向に吊るし、長さ方向の他方の端部に12秒間接炎し、(1)燃焼時間、(2)燃焼長さ、(3)焼落物の燃焼時間を測定した。
【0067】
5.水蒸気透過率
ASTM D3833に準拠。
詳細には、ASTM指定の容器(フランジの外側寸法が50.8mm×152.4mm、内側寸法が25.4mm×101.6mm、容器本体の寸法が25.4mm×101.6mm×38.1mm(深さ))にCaCl
2を一杯になる3mm手前くらいの深さまで入れる。フランジの外側寸法と同じサイズにカットしたサンプルをシワや泡が入らないようにフランジに貼り合わせる。38℃×湿度95%RHのオーブンに24時間放置して、取り出し、室温で15分間放置後、重さを測定する(W1)。再び72時間、38℃×湿度95%RHのオーブンに放置して、取り出し、15分室温で放置後、再度重さを測定する(W2)。そして、以下の式[I]により、WVTR(水蒸気透過率)を算出する。
【0068】
式[I]:WVTR(水蒸気透過率)=(W2−W1)×2400/(T×A)
式中、Tは暴露時間(72時間)、Aは容器の開口面積(4inch
2)である。
【0069】
6.水分吸収率
1.5×4インチの2024のアルミニウムパネルに1×4インチのサンプルを貼り付けて、24時間、75°F(23.9℃)×湿度50%RHで保管し、初期の重さを測定する。その後、120°F(48.9℃)×湿度95%RHで7日間保管して、取り出し、ガーゼで余分な水分などをふき取ったあと、取り出してから30分以内に重さを測定し、初期と比較して、水分吸収率を測定した。
【0070】
7.貼付時直線性
前述の方法(
図4)にて試験・評価を行った。
被着体50にガラスプレートを使用し、テープの端部(長さ1インチ部分)の中心部分にばね秤51を係着してテープを2kgの力で引っ張った。試験は室温下で実施した。最小幅部の幅(W)が23mmより大きい場合は良好(○)、23mm以下の場合は不良(×)とした。
【0071】
[実施例および比較例]
・ポリエーテル系ポリウレタン粘着剤
ポリエーテル系ポリウレタン(東洋インキ製SP−210)を100重量部、これにイソシアネート系硬化剤(東洋インキ製T−510B)を1.5重量部、2重量部、3重量部と分けて配合し、3種の粘着剤を作製した。粘着剤の硬化条件は120℃×2分に設定した。
【0072】
・ポリエステル系ポリウレタン粘着剤
ポリエステル系ポリウレタン(東洋インキ製のSH101)100重量部に、イソシアネート系硬化剤(東洋インキ製T−501B)を2重量部配合し、粘着剤を作製した。粘着剤の硬化条件は120℃×2分に設定した。
【0073】
・基材
実施例の基材にはアメリカンポリフィルム製のポリエステル系ポリウレタンフィルム基材である、厚さが4milのVLM−4001、厚さが7milのVLM3301、厚さが10milのVLM3301の3種を用意した。
比較例1の基材にはアメリカンポリフィルム製のポリエーテル系ポリウレタンフィルム基材(厚さ:7mil、商品名:MT2001)を用意した。
【0074】
下記の表1の条件(基材種、基材厚さ、粘着剤種、硬化剤部数、粘着剤厚さ)で防湿材を作製し、引張強度と破断伸度を測定した。なお、表1中の硬化剤部数はウレタン100部(重量部)当たりの部数である。そして、得られた防湿材に対して前述の試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】