(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置規制手段は、前記シート幅方向の両端側にそれぞれ、該シート幅方向の位置調整が可能に設けられ、一対の前記位置規制手段の間隔を維持して前記シート幅方向に移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポケット部を成形するPTPシート製造装置では、シートを加熱し、軟化した状態でポケット部を成形するが、その加熱によってシートが伸張し蛇行する問題がある。そこで特許文献1のPTPシート製造装置では、ポケット成形装置の外側にガイドプレートを設け、それによりシートの蛇行を防止している。
【0006】
しかし、ポケット成形装置の外側にガイドプレートを配置する構成では、ポケット成形装置の幅と比較して狭い幅のシートを用いる場合、蛇行したシートがガイドプレートと接触せず、蛇行を適切に直せない問題がある。また、ポケット成形装置より幅が広いシートは成形することができないという問題もある。
【0007】
また、ポケット成形装置では、ポケット部の成形後にシートが硬化するが、その直前(ポケット部成形時あるいはポケット部成形直前も含む)でシートがガイドプレートに接触して蛇行が修正された場合には、硬化した領域までの距離が短いためシートに歪みや皺が生じるなどし、シートの品質に影響を与える恐れもある。
【0008】
シートの伸長はシート材料の熱膨張係数の違いにより異なり、また静電気等の影響でも蛇行する。このようにシートの蛇行程度は不規則なものであり、一様に修正することも困難である。
【0009】
更に、ポケット部を成形する以前に、搬送されるシートの位置を検出し、蛇行している場合にはそれを直す技術も知られているが、その場合、シートの位置を検出するセンサが必要となり、装置の構成や制御が複雑化する問題もある。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ポケット部成形前の加熱によってシートが伸長して蛇行した場合であっても、その蛇行を容易に修正することが可能なPTPシート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、搬送されるシートに複数のポケット部を成形するPTPシート製造装置であって、前記シートの搬送経路上に設けられ、該シートを加熱する加熱手段と、該加熱手段より下流側の搬送経路上に前記加熱手段と離間して設けられ、該シートにポケット部を成形するポケット成形手段と、前記加熱手段の前記搬送経路の途中でシート幅方向の少なくとも一端側に該シート幅方向の位置調整が可能に設けられ、前記シートの位置を規制する位置規制手段と、
を備え、前記位置規制手段は、前記加熱手段の搬送方向における途中に位置する一部の領域内のみに設けられる、ことを特徴とするPTPシート製造装置である。
【0012】
本願のPTPシート製造装置によれば、搬送途中に加熱によってシートが伸長し蛇行した場合であっても、位置規制手段によって蛇行を直すことができる。
【0013】
また、位置規制手段は、シート幅方向に位置調整が可能であるので、シート幅が変わった場合であっても、それに追従させることができる。
【0014】
更に、位置規制手段を加熱手段の搬送方向の途中に配置することで、蛇行を直した後にシートは再度加熱される。したがって、位置規制手段の周囲でシートは軟化しており、また更に下流でポケット部の成形によって硬化する領域からは十分な距離を確保できるので、蛇行の修正によるシートの歪みや皺を防止できる。
【0015】
(2)本発明はまた、
前記加熱手段は、前記一部の領域によって少なくとも一部が上流側と下流側とに離間される、ことを特徴とする上記(1)に記載のPTPシート製造装置である。
また、前記加熱手段は、上流加熱手段と下流加熱手段とを有し、前記位置規制手段は、前記上流加熱手段より下流側で前記下流加熱手段より上流側に設けられることを特徴とする上記(1)に記載のPTPシート製造装置である。
【0016】
(3)本発明はまた、
前記加熱手段は、前記シートを挟んで対向する2つの加熱板を有し、一方の前記加熱板は、前記一部の領域において、前記位置規制手段の移動を許容する溝部が設けられ、他方の前記加熱板は、前記一部の領域において、該他方の加熱板を貫通し、前記位置規制手段の移動を許容する穴部が設けられる、ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のPTPシート製造装置である。
【0017】
(4)本発明はまた、
前記一部の領域の下流側端部から前記加熱手段の下流側端部までの前記搬送方向における長さ(以下、「下流側長さ」という。)は、前記ポケット成形手段の前記搬送方向の長さと同等以上であることを特徴とする上記(
1)
〜(3)
のいずれかにに記載のPTPシート製造装置である。
【0018】
(5)本発明はまた、
前記一部の領域の上流側端部から前記加熱手段の上流側端部までの前記搬送方向における長さは、前記
下流側長さより長いことを特徴とする上記(4)に記載のPTPシート製造装置である。
【0019】
(6)本発明はまた、
前記シートは、間欠的に所定距離を移動することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のPTPシート製造装置である。
【0020】
(7)本発明はまた、前記位置規制手段は、前記シートに対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のPTPシート製造装置である。
【0021】
(8)本発明はまた、前記シート幅方向の両端側にそれぞれ、該シート幅方向の位置調整が可能に設けられ、一対の前記位置規制手段の間隔を維持して前記シート幅方向に移動可能であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のPTPシート製造装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の上記(1)〜(
8)に記載のPTPシート製造装置によれば、ポケット部成形前の加熱によってシートが伸長して蛇行した場合であっても、その蛇行を容易に修正するこができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1から
図5を参照して、本発明に係るPTP(Press Through Packaging)シート製造装置10について詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のPTPシート製造装置10の一例を示す図であり、
図1(A)が上面図であり、
図1(B)が側面図である。
図2は、
図1のPTPシート製造装置10によって製造されるシート1の形状を示す図であり、
図2(A)がポケット部1a成形後のシート1の上面図であり、
図2(B)がその一部拡大断面図である。なお、本図および以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
【0026】
図1を参照して、PTPシート製造装置10は、上流加熱装置11と、下流加熱装置12と、ガイド部材15(15a、15b)と、ポケット成形装置13を有し、シート1に多数のポケット部1aを成形する製造装置である。
図1は、例えば、所定の幅Wを有する帯状のシート1(二点鎖線で示す)をその成型面(搬送面に平行な面であってポケット部1aが成形される面)が床面と略平行になるように搬送方向T(図示では左側から右側)に搬送する状態の上面図である。
【0027】
図1(A)を参照して、PTPシート製造装置10は、帯状のシート1を原反ロールから連続して引き出して搬送し、その搬送途中でシート1の所定位置に下に凸の凹状のポケット部1aを多数成形(成型または形成ともいう)するものであり、PTP包装体の製造装置に採用される。PTP包装体は、シート1のポケット部1aに被包装物(例えば、錠剤など)を収納し、シート1とは別体の上蓋をシート1に圧着することで被包装物を包装し、開封時にはポケット部1a側から中身を押し出して上蓋を破壊し、被包装物を取り出すようにした包装体である。
【0028】
シート1の搬送経路上には、上流側(図示に左側)から下流側(図示の右側)に向かって、上流加熱装置11、下流加熱装置12、ポケット成形装置13がこの順で配置される。そして、上流加熱装置11と下流加熱装置12の間にガイド部材15が配置される。
【0029】
図1(B)を参照して、上流加熱装置11は、シート1を挟んで対向する2つの加熱板(上流上方加熱板111、上流下方加熱板112)を有する。尚、上流上方加熱板111および上流下方加熱板112の「上」「下」は説明の便宜上のものであって、シート1を挟んで対向する加熱板が2つあることを意味する。つまり、ここではシート1の成形面が床面に略水平となるように搬送される場合に、シート1の第1成形面側S1に対向する加熱板を上流上方加熱板111とし、シート1の第2成形面側S2と対向する加熱板を上流下方加熱板112として説明する。しかしこれに限らず、シート1は略鉛直方向や鉛直方向に近い斜方(斜め上方、斜め下方)に搬送されるものでもよく、その場合は上流左方加熱板111、上流右方加熱板112などとなる。上流上方加熱板111および上流下方加熱板112のシート1との対向面はいずれも平坦面である。
【0030】
上流上方加熱板111および上流下方加熱板112は、シート1と非接触ではあるが近接して対向配置される。上流上方加熱板111および上流下方加熱板112は、シート1の成形面に対して垂直方向(ここでは、鉛直方向)に移動可能に設けられ、これらの間の距離(隙間)は、シート1の厚みによって適宜選択される。上流加熱装置11を通過するシート1は加熱され、軟化する。
【0031】
下流加熱装置12は、上流加熱装置11より下流で、上流加熱装置11とは離間して設けられ、シート1を挟んで対向する2つの加熱板(下流上方加熱板121、下流下方加熱板122)を有する。下流上方加熱板121および下流下方加熱板122の「上」「下」の称呼についても上流加熱装置11と同様である。下流上方加熱板121および下流下方加熱板122のシート1との対向面はいずれも平坦面である。
【0032】
下流上方加熱板121および下流下方加熱板122は、シート1と非接触ではあるが近接して対向配置される。下流上方加熱板121および下流下方加熱板122は、シート1の成形面に対して垂直方向(ここでは、鉛直方向)に移動可能に設けられ、これらの間の距離(隙間)は、シート1の厚みによって適宜選択される。下流加熱装置12を通過するシート1は引き続き加熱され、軟化する。
【0033】
ガイド部材15(15a、15b)は、上流加熱装置11および下流加熱装置12のいずれとも別体の金属の板状体であり、上流加熱装置11と下流加熱装置12の間、すなわち、上流加熱装置11の下流側で下流加熱装置12の上流側に配置される。ガイド部材15は、シート1の搬送方向Tと直交するシート幅W方向において、シート1の両外側(右端側および左端側)に位置するようにそれぞれ設けられる。
【0034】
図1(A)を参照して、ガイド部材15は、シート幅W方向に矢印の如く位置調整が可能に設けられ、搬送中のシート1の位置が許容範囲を超えて蛇行しないよう、規制する。ここでは、ガイド部材15は、シート幅W方向にスライド移動が可能に設けられる例を示す。
【0035】
ガイド部材15(15a、15b)は、搬送されるシート1のシート幅Wに応じて、シート1の左右端部から所定の距離で離間する位置に配置される。そしてガイド部材15aおよびガイド部材15bは個別に、シート幅W方向に近接または離間するようにスライド移動が可能である。例えば、板状体のガイド部材15a、15bはそれぞれ、ねじ軸(不図示)に取り付けられる。ねじ軸は2つのガイド部材15a、15bと接続可能な棒状体であり、その両端に互いに逆方向に回転するねじ溝が設けられている。ねじ軸を一方向に回転させることによって、ガイド部材15a、15bが互いに近接し、またねじ軸を他の方向に回転させることによってガイド部材15a、15bが互いに離間するようスライド移動する。あるいはガイド部材15a、15bは、レール上をローラーがスライドするスライダーによってシート幅W方向に移動するものであってもよい。
【0036】
また、対向配置される一対のガイド部材15a、15bはこれらのシート幅W方向の距離(ガイド部材15aとガイド部材15bの間隔)を維持したまま、上流加熱装置11および下流加熱装置12のいずれとも別体で、シート1の搬送方向Tに対して垂直方向(シート幅W方向、
図1(A)において上下方向)に移動可能となっている。
【0037】
このような構成により、ガイド部材15をシート幅Wに合わせた適切な位置に移動させることができる。つまり、異なるシート幅Wの複数のシート1について、適切に、蛇行を修正することができる。
【0038】
また、ガイド部材15のシート1と当接する(可能性のある)側面は、上面視において、曲率の小さい曲面形状となっている(
図1(A)参照)。このようにすることで、シート1がガイド部材15に当接した場合に、シート1との接触面積を小さくできる。また、シート1を側面に沿って規制したい位置に移動させることができ、シート1の挟み込みを防ぐことができる。また、この側面は、上面視において、上流側から下流側に向けて広がるテーパー形状であってもよく、この場合もシート1を側面に沿って規制したい位置に移動させることができる。
【0039】
なお、ガイド部材15は、シート1の成形面に対して垂直方向にも移動可能であるが、これについては後述する。
【0040】
上流加熱装置11と下流加熱装置12は、いずれもガイド部材15と非接触となるように配置される。上流加熱装置11と下流加熱装置12とは、ガイド部材15のシート幅W方向の移動を許容する程度に離間されていれば十分であり、一例として両者の離間距離(間隔G)は、2mm〜4mmである。
【0041】
ポケット成形装置13は、下流加熱装置12より下流で下流加熱装置12とは離間して設けられ、シート1にポケット部1aを成形する。
【0042】
ポケット成形装置13は、複数の凸状部(不図示)を有する上型131と、凸状部と噛み合う複数の凹状部(不図示)を有する下型132からなり、軟化したシート1を上下から挟み込んで凹状のポケット部1aを成形するとともに、成形したポケット部1aを含むシート1を冷却し、その形状を固定する。
【0043】
また、上流加熱装置11と下流加熱装置12の間にシート支持板16を設ける。シート支持板16は、ガイド部材15と同様の金属板等により構成され、例えば、2つのガイド部材15a、15bの間に配置されるとともに、シート1の成形面(S1,S2)に対して垂直方向(ここでは、鉛直方向)に移動可能となっている。後述するが、上流加熱装置11の上流上方加熱板111と上流下方加熱板112とは、シート1の成形面に対して垂直方向に、互いに離間しまたは互いに近接する方向に移動可能である。また、下流加熱装置12の下流上方加熱板121と下流下方加熱板122も同様にシート1の成形面に対して垂直方向に、互いに離間しまたは互いに近接する方向に移動可能である。このような構成において、上流上方加熱板111と上流下方加熱板112、および下流上方加熱板121と下流下方加熱板122とがそれぞれ上下方向に離間した状態となった場合、シート1が撓み、変形する恐れがある。シート支持板16は、このような場合に(必要に応じて上下方向に移動し)シート1と当接することで、これを支持する。図示は省略するが、シート1との当接面となる上端面が曲面形状であってもよい。
【0044】
図2を参照して、本実施形態のPTPシート製造装置10で製造されるシート1について説明する。
【0045】
シート1は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene:PP)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone:PVP)などの樹脂製シートであり、被包装物(例えば、錠剤など)を収納し、行列状に配列された複数のポケット部1aを有している。シート1は例えば、PTP包装体を構成するものであり、ここでの図示は省略するが、別の工程において、ポケット部1aに被包装物が収納され、シート1とは別体の上シートがシート1に圧着することで被包装物を包装する。
【0046】
ポケット部1aは、ここでは上面視においてポケット部1aの平面領域の形状を略円形とし、下に凸状の収納領域を成形している。ポケット部1aは、シート1の中央領域CRに行列状に複数配置され、シート1の左右端部は、余白領域SRが設けられる。また、ポケット部1aは、複数のブロックB(破線で示す)に分かれており、1つのブロックBのポケット部1aは同時に成形される。尚、ポケット部1aの配列は、図示の例に限らない。
【0047】
次に、
図1、
図2を参照して、PTPシート製造装置10によるシート1の製造方法について説明する。
【0048】
PTPシート製造装置10に搬送されたシート1は、上流加熱装置11および下流加熱装置12を通過することで軟化される。この状態のシート1をポケット成形装置13において上型131と下型132で挟むことで1つのブロックBのポケット部1aが成形される。すなわち、シート1は、ポケット成形装置13においてブロックB単位でポケット部1aを成形するのに十分な長さ(例えば、ブロックBの長さL)毎に、間欠的に移動する。シート1はポケット部1aを成形後に冷却される。これにより樹脂材料(PPまたはPVPなど)の温度降下(急冷)による再結晶化の促進を図るとともにポケット部1aの形状を固定化する。
【0049】
本実施形態では、シート1を加熱し軟化する加熱装置はシート1の搬送方向Tにおいて2分割されている。そしてこれらの間に、鉛直方向に突出するガイド部材15を配置する。これにより、上流加熱装置11を通過し、軟化によってシート1が伸長して蛇行した場合であっても、ガイド部材15によって蛇行を修正できる。蛇行が修正されたシート1は、再び下流加熱装置12内の所定距離を移動するとともに加熱され、その後ポケット成形装置13にて成形される。
【0050】
従来構造の如く、ガイド部材による蛇行修正直後に(あるいは蛇行を修正しつつ)、ポケットの成形と冷却が行われる場合、シートの蛇行を修正する位置から硬化されるシートまでの距離が短く、シートにストレスがかかり歪みや皺などの変形が生じる問題がある。
【0051】
本実施形態では、ガイド部材15の設置位置においては、上流加熱装置11によりシート1は加熱され、軟化している。一方で、ガイド部材15の設置位置は、長尺のシート1の搬送方向後方の未加熱状態(軟化前)の部分から離間し、且つ、シート1の搬送方向前方のポケット部1a成形後で硬化した部分からも離間している。
【0052】
つまり、ガイド部材15付近のシート1は軟化した状態にあり、ガイド部材15に接触した場合、この位置においてシート1はわずかな力で容易に水平移動させることができ、蛇行修正が可能となる。
【0053】
また、ガイド部材15のシート1と当接する側面は、シート1との接触面積が小さくなるよう、上面視において、曲率の小さい曲面形状となっている。従って、シート1が大きく蛇行しガイド部材15に強く接触する状態になっても無理なくシート1を移動させることができるので、蛇行を修正した場合であってもそれによりシート1が変形することを防止できる。
【0054】
シート1の蛇行程度は、シート材料の熱膨張係数の違いによりシート1の伸長の程度が異なったり、また静電気等が影響するなどして、不規則なものとなるが、その場合であっても、ガイド部材15の接触によるシート1のダメージを抑えて、シート1の位置を安定させることができる。
【0055】
なお、図示は省略するが、例えば上記のPTPシート製造装置10をPTP包装装置に採用する場合は、PTPシート製造装置10の下流(後の工程)に、成形されたポケット部内に(例えば、錠剤)を供給する被包装物供給装置と、被包装物が供給されたシート1の上に蓋シート(例えば、アルミシート)を被せるように供給する蓋シート供給装置と、シート1と蓋シートの対向する所定部位をシールして一体化し、ポケット部で成形される空間を閉塞するシール装置と、そのシール装置でシールされた所定位置をカットするカッター装置等を備える。
【0056】
次に、
図1(A)を参照して、ガイド部材15の位置についてより詳細に説明する。
【0057】
上流加熱装置11は上面視において、搬送方向に第1の長さ(シート1を両面から加熱する長さ)L1を有し、下流加熱装置12は上面視において、搬送方向に第2の長さ(シート1を両面から加熱する長さ)L2を有する。また、ポケット成形装置13は、上面視において、搬送方向に第3の長さL3を有する。
【0058】
そしてガイド部材15は、下流加熱装置12の第2の長さL2が、ポケット成形装置13の第3の長さL3より長く、上流加熱装置11の第1の長さL1より短くなるような位置に配置する。一例として、第1の長さL1は500mm、第2の長さL2は400mm、第3の長さL3は250mmである。
【0059】
上述の如く、ポケット部1aはブロックB毎に成形され、シート1は、例えば、ブロックBの搬送方向Tの長さL(あるいはそれより若干長い所定の長さ)毎に間欠的に搬送される。ここでブロックBの搬送方向Tの長さLは、ポケット成形装置13の第3の長さL3よりわずかに短い(または略同等)である。
【0060】
つまり、下流加熱装置12の第2の長さL2が、ポケット成形装置13の第3の長さL3未満であり、且つ、ブロックBの搬送方向Tの長さL未満の場合は、シート1の加熱されない一部の領域(ガイド部材15に挟まれた領域)がポケット成形装置13に移動することとなり、成形不良となる。
【0061】
従って、下流加熱装置12の第2の長さL2を、ポケット成形装置13の第3の長さL3と同等以上とすることで、ガイド部材15により蛇行が修正された後のシート1は、ポケット成形装置13の下方に間欠的に移動する。また、ポケット成形装置13に移動したシート1の全領域は、加熱され軟化された状態となる。つまり、ポケット成形装置13ではガイド部材15によって蛇行が修正されるとともに下流加熱装置12にて軟化されたシート1の適切な位置に、1ブロックB分のポケット部1aを成形することができる。また、蛇行の修正位置と、成形後に硬化される領域の距離を十分確保することができ、蛇行の修正時にシート1に係るストレスを軽減できる。
【0062】
一方、下流加熱装置12の第2の長さL2が長すぎると、軟化したシート1が搬送される領域が長くなるので、シート1が(再び)蛇行する恐れもあり、望ましくない。そこで、下流加熱装置12の第2の長さL2は、上流加熱装置11の第1の長さL1より短いものとする。これにより、下流加熱装置12通過中のシート1の蛇行を抑制できる。
【0063】
本実施形態では一例として、上流加熱装置11の第1の長さL1は、加熱装置(上流加熱装置11と下流加熱装置12)の搬送方向の全長(約900mm)の2分の1以上の距離とし、上流加熱装置11の下流にガイド部材15を配置する場合を例に説明したが、ガイド部材15の位置はこの例に限らない。
【0064】
ガイド部材15の位置を、加熱装置全体(上流加熱装置11および下流加熱装置12)の出口側に配置(下流加熱装置12の第2の長さL2がさらに小さくなるような位置に配置)することで、ガイド部材15通過後(蛇行が修正された後)のシート1のシート幅方向のずれ(蛇行)を小さくできる。一方、下流のポケット成形装置13(シート1の硬化した状態の領域)からの距離が小さくなるので、蛇行修正時にシート1に係る負担が大きくなる。したがって、ガイド部材15の位置は、これらを考慮して適宜選択する。
【0065】
図3は、PTPシート製造装置10の一例を示す側面図である。
図3(A)は、シート1の製造中のPTPシート製造装置10の側面図であり、
図3(B)は、例えばメンテナンス時などにおいて、上流加熱装置11および下流加熱装置12が開放された状態のPTPシート製造装置10の側面図である。
【0066】
図3(A)を参照して、上流加熱装置11の上流上方加熱板111および上流下方加熱板112は、シート1の製造中においては、シート1と非接触ではあるが近接して対向配置される。上流上方加熱板111および上流下方加熱板112を近接して配置することで、シート1の成形面に対して垂直方向の撓みを規制することも可能となる。下流加熱装置12の下流上方加熱板121および下流下方加熱板122についても、同様である。
【0067】
また、一対のガイド部材15a、15bはこれらのシート幅W方向の距離を維持したまま、上流加熱装置11および下流加熱装置12のいずれとも別体で、シート1の成形面(S1,S2)に対して垂直方向(ここでは鉛直方向)に移動可能となっている。この場合のガイド部15は、例えばスライドシリンダーなどによって上下に移動される。
【0068】
そして、メンテナンス時などには、ガイド部材15、上流加熱装置11および下流加熱装置12をそれぞれスライド移動させ、シート1との対向面を開放する。
【0069】
具体的には、まず、ガイド部材15を矢印1の如く図示の下方(鉛直方向下方)へ移動させる。これにより、上流加熱装置11と下流加熱装置12の間には、搬送方向Tにおいてガイド部材15が配置されない状態となる。その後、上流上方加熱板111および下流上方加熱板121を、両者の間隔Gを維持した状態で、矢印2の如く上流側(図示の左方(シート1の成形面に水平な方向))へ移動させ、ポケット成形装置13と離間させる。その後、上流加熱装置11の上流上方加熱板111と、下流加熱装置12の下流上方加熱板121を矢印3の如く図示の上方(鉛直方向上方)に移動させるとともに、上流加熱装置11の上流下方加熱板112と、下流加熱装置12の下流下方加熱板122を矢印4の如く図示の下方に移動させる。
【0070】
これにより、
図3(B)の如く、上流加熱装置11および下流加熱装置12のシート1との対向面を大きく開放することができる。また図示は省略するが、ポケット成形装置も上型131と下型132を図示の上下に開放可能である。このように、ガイド部材15を上下方向に移動可能とすることにより、上流加熱装置11および下流加熱装置12をシート1の搬送面と水平方向に移動可能とする構成であっても、水平移動時にガイド部材15が障害となることはない。
【0071】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態におけるPTPシート製造装置20を示す図であり、
図4(A)が上方加熱板21の上面図であり、
図4(B)が下方加熱板22の上面図であり、
図4(C)がPTPシート製造装置20の側面図である。尚、第1実施形態と同一構成要素は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0072】
第1実施形態では、上流加熱装置11と下流加熱装置12とが離間して別体に設けられる場合を例に説明したが、これに限らず、上流加熱装置と下流加熱装置は一体的に設けられていてもよく、以下これについて説明する。
【0073】
図4(A)〜(C)を参照して、PTPシート製造装置20は、加熱装置250とポケット成形装置13を有する。加熱装置250は、上方加熱板21と、下方加熱板22とを有し、上方加熱板21と下方加熱板22は、シート1を挟んで対向配置され、より詳細には、上方加熱板21は、シート1の第1成形面S1と対向し、下方加熱板22は、シート1の第2成形面S2と対向する。
【0074】
まず
図4(A)を参照して上方加熱板21について説明する。上方加熱板21のシート1側の表面(図示の裏面側)には、破線の如く溝部230が設けられる。溝部230は、上面視においてシート幅W方向に長い長円または矩形などの形状を有し、シート幅W方向の両端を除いて上方加熱板21の厚みを貫通しない深さに設けられる。そしてその上流側端部UE2から上方加熱板21の上流側端部UE1までの距離が第1の長さL1であり、溝部230の下流側端部UE2から上方加熱板21の下流側端部LE1までの距離が第2の長さL2となる位置に設けられる。溝部230の搬送方向Tの開口幅は、例えば2mm〜4mmである。
【0075】
また、
図4(B)を参照して、下方加熱板22のシート1側の表面には、長穴部232が設けられる。長穴部232は上面視においてシート幅W方向に長い長円または矩形などの形状を有し、シート幅W方向の両端を除いて下方加熱板22の厚みを貫通するように設けられた開口部である。長穴部232は、その上流側端部UE3から下方加熱板22の上流側端部UE1までの距離が第1の長さL1であり、長穴部232の下流側端部LE3から下方加熱板22の下流側端部LE1までの距離が第2の長さL2となる位置に設けられる。長穴部232の搬送方向Tの開口幅は、例えば2mm〜4mmである。
【0076】
ガイド部材25(25a、25b)は、上方加熱板21および下方加熱板22のいずれとも別体に設けられた金属の棒状体(略円柱状体)であり、ここではシート1の両外側に配置される。ガイド部材25(25a、25b)は、それぞれ、シート幅W方向に移動可能であるが、その移動範囲は、溝部230内または長穴部232内に限られ、上方加熱板21および下方加熱板22より外側には移動しない。この点を除き、ガイド部材25は第1実施形態のガイド部材15と同様の態様で移動可能である。
【0077】
図4(C)を参照して、ガイド部材25は、上方加熱板21および下方加熱板22の表面に対して垂直方向(ここでは鉛直方向)に延在し、製造工程中においては、ガイド部材25は、下方加熱板22の長穴部232に挿通され、その先端は上加熱板21の溝部230内に達する。
【0078】
上方加熱板21は溝部230によって、その上流側の領域と下流側の領域とに区画される。以下、上方加熱板21の、溝部230より上流側を上流上方加熱板211と称し、溝部230より下流側を下流上方加熱板212と称する。
【0079】
また、下方加熱板22は長穴部232によって、その上流側の領域と下流側の領域とに区画される。以下、下方加熱板22の、長穴部232より上流側を上流下方加熱板221と称し、長穴部232より下流側を下流下方加熱板222と称する。
【0080】
そして、上流上方加熱板211と上流下方加熱板221とにより上流加熱装置251が構成され、下流上方加熱板212と下流下方加熱板222とにより下流加熱装置252が構成される。
【0081】
このように第2実施形態では、上流側と下流側の上方加熱板21が一体化し、上流側と下流側の下方加熱板22が一体化している。そして、上方加熱板21に設けられた溝部230および下方加熱板22に設けられた長穴部232によって、両加熱板がそれぞれ上流側と下流側に区画され、上流加熱装置251と下流加熱装置252を構成する。つまり、上流加熱装置251と下流加熱装置252は、溝部230および長穴部232で区画されるが、一体化している。
【0082】
このような構成において、上流加熱装置251の下流側にガイド部材25が配置され、ガイド部材25より下流側に下流加熱装置252が配置される。また下流加熱装置252の下流側には、ポケット成形装置13が配置される。ポケット成形装置13は、第1の実施形態と同様の構成であり、一部の図示を省略する。
【0083】
上流加熱装置251の搬送方向Tにおける長さは、第1の長さL1であり、下流加熱装置252の搬送方向Tにおける長さは、第2の長さL2であり、ポケット成形装置13の搬送方向Tにおける長さは、第3の長さL3である。そして、第2の長さL2は、第1の長さL1より短く、第3の長さL3と同等以上である(
図1(A)参照)。
【0084】
また、第2の実施形態のPTPシート製造装置20も、第1実施形態と同様に、シート1との対向面を開放可能である。すなわち、
図4(C)に示したように、まず、ガイド部材25を矢印1の如く図示の下方(鉛直方向下方)へ移動させる。これにより、上流上方加熱板211と下流上方加熱板212の間の溝部230からガイド部材25が抜き取られ、加熱装置251と下流加熱装置252の間には、搬送方向Tにおいてガイド部材25が配置されない状態となる。その後、上流上方加熱板211および下流上方加熱板212(すなわち、上方加熱板21)を矢印2の方向へ移動させ、ポケット成形装置13と離間させる。その後、上方加熱板21を矢印3の如く図示の上方(鉛直方向上方)に移動させるとともに、上流下方加熱板221と下流下方加熱板222(すなわち下方加熱板21)を矢印4の如く図示の下方に移動させる。これにより、図示は省略するが、上方加熱板21と下方加熱板22との間が大きく開放する。
【0085】
なお、第2実施形態では、ガイド部材25のシート幅W方向の移動は、溝部230内または長穴部232内に限られる。したがって、ガイド部材25の形状を棒状体とすることで、シート1の幅の許容量を増加させることができる。しかしこれに限らず、第1実施形態と同様の板状体であってもよい。
【0086】
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態におけるPTPシート製造装置30を示す図であり、
図5(A)がPTPシート製造装置30の上面図であり、
図5(B)が側面図である。尚、第1実施形態と同一構成要素は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0087】
図5(A)、(B)を参照して、PTPシート製造装置30は、加熱装置350とポケット成形装置13を有する。加熱装置350は、上方加熱板31と、下方加熱板32を有し、上方加熱板31と下方加熱板32は、シート1を挟んで対向配置され、より詳細には、上方加熱板21は、シート1の第1成形面S1と対向し、下方加熱板22は、シート1の第2成形面S2と対向する。
【0088】
第3実施形態の加熱装置350は、上方加熱板31のシート1側の表面が略平坦面であり、下方加熱板32のシート1側の表面も略平坦面である。そして、加熱装置350の搬送経路Tの途中に、ガイド部材35(35a、35b)が配置される。ガイド部材35は、ここではシート幅W方向においてシート1の両外側に配置される場合を例に示すが、シート幅W方向の少なくとも一端側に設けられれば良い。ガイド部材35a、35bはそれぞれ、搬送方向Tに直角な方向(
図5(A)の矢印)および搬送方向Tに平行な方向に移動可能であり、また互いの対向する間隔を維持して、搬送方向Tに直角な方向および平行な方向に移動可能である。
【0089】
ガイド部材35は、例えば金属の板状体であり、上方加熱板31と下方加熱板32のシート幅W方向の両端側から、これらの対向面間に挿入される。この場合、ガイド部材35の厚み(この場合、加熱装置350に挿入した状態において鉛直方向の厚み)は、シート1の厚みと同等以上とすることが好ましい。
【0090】
ガイド部材35は、その上流側端部UE4から加熱装置350の上流側端部UE1までの距離が第1の長さL1であり、ガイド部材35の下流側端部LE4から加熱装置350の下流側端部LE1までの距離が第2の長さL2となる位置に設けられる。加熱装置350は、ガイド部材35よって上流側の領域と下流側の領域に区画され、上流加熱装置351と下流加熱装置352を構成する。
【0091】
つまり、上流加熱装置351の下流側にガイド部材35が配置され、ガイド部材35より下流側に下流加熱装置352が配置される。また下流加熱装置352の下流側には、ポケット成形装置13が配置される。ポケット成形装置13は、第1の実施形態と同様の構成であり、一部の図示を省略する。
【0092】
上流加熱装置351の搬送方向Tにおける長さは、第1の長さL1であり、下流加熱装置352の搬送方向Tにおける長さは、第2の長さL2であり、ポケット成形装置13の搬送方向Tにおける長さは、第3の長さL3である。そして、第2の長さL2は、第1の長さL1より短く、第3の長さL3と同等以上である(
図1(A)参照)。
【0093】
また、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0094】
例えば、
図1(A)において、ガイド部材15は上方にスライド移動するものであってもよい。
【0095】
また、上流加熱装置11と下流加熱装置12は、シート1の成形面に対して水平にスライド移動可能でなく、シート1の成形面に垂直方向にのみ移動可能とするものであってもよい。その場合には、ガイド部材15は、シート1の成形面に垂直方向に移動可能なものでなくてもよい。
【0096】
また、ガイド部材15は、シート幅W方向にスライド移動可能な構成を例に説明したが、シート幅Wに対応した交換部品としてもよい。
【0097】
更に、シート1の左右端の外側に2つのガイド部材15a、15b(25a、25b)を対向配置した場合を例に説明したが、ガイド部材15(25)はいずれか一方のみに設けられるものであってもよい。