(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114021
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】歯ブラシ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20170403BHJP
B65D 85/20 20060101ALI20170403BHJP
B65D 25/22 20060101ALN20170403BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D85/20 Z
!B65D25/22 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-269245(P2012-269245)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-114044(P2014-114044A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年6月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】井上 伸平
【審査官】
佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−117715(JP,U)
【文献】
特開平10−095457(JP,A)
【文献】
実開昭63−049380(JP,U)
【文献】
実開平05−049664(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 85/20
B65D 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、植毛部、首部、及びハンドル部を有する歯ブラシを収容する収容部を形成し、前記基材に貼着されたブリスターと、からなる歯ブラシ容器であって、
前記基材は、歯ブラシの一部を視認可能とする透明部を有し、
前記基材の前記ブリスター側とは反対側の表面を店頭展示側とする表示面とされ、
前記基材と前記ブリスターとが封止された状態で、前記収容部に収容される歯ブラシの前記ハンドル部の一部分が前記基材と前記ブリスターとの間で押圧される被押圧部をなし、
前記歯ブラシの前記被押圧部を押圧する前記基材及び前記ブリスターのそれぞれの支持部の剛性が異なるとともに、その剛性が小さい方が弾性変形可能な部材からなり、前記剛性が小さい方が弾性変形により前記ハンドル部の一部分に密着していることを特徴とする歯ブラシ容器。
【請求項2】
前記透明部は、前記基材の、前記歯ブラシの被押圧部を押圧する支持部であり、前記ブリスターよりも剛性が小さいシートから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ容器。
【請求項3】
前記基材は、接着剤と、透過性を有する窓部を有する紙材と、該紙材を被覆する透明シートと、が前記ブリスター側から順に積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシを収容する歯ブラシ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の歯ブラシ容器として、例えば下記特許文献1に示されているような、歯ブラシの特徴を視認し易く、店頭展示性に優れ、生産性に優れているブリスターパックが知られている。このようなブリスターパックを差別化するために、台紙においては打ち抜き形状の多様化や、台紙表面の素材や意匠の工夫による外観の差別化が行われ、中には台紙の透明化を図ることによる差別化も行われている。透明なブリスター部においては、歯ブラシを斜めの姿勢で収容する成形形状での差別化も行われ、更に、台紙の表面において部分的に印刷やラベルの貼着を行って、商品の特徴を表示するという差別化も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−26743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の歯ブラシ容器では、以下のような問題があった。
すなわち、上記した特許文献1の歯ブラシ容器では、台紙の表面側で歯ブラシが収容されるブリスター部分がドーム状に突出している。そのため、ドーム状に凸となるブリスターの稜線が台紙表面に表示される文字やデザインと重なることにより、その文字等が見え難くなり、店頭展示性が低下するという問題があった。
【0005】
また、従来のブリスターパックによる歯ブラシ容器では、搬送時等の揺れや衝撃を受けることで、硬い収容部内で硬い歯ブラシが動いて回転する等、姿勢が変わることがあり、例えば差別化を目的として斜め姿勢で前記収容部に歯ブラシを収容しても、その姿勢を確実に保持することができないことから、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、歯ブラシ用のブリスターパックにおいて、歯ブラシを確実に保持しつつ歯ブラシの視認性の向上を図ることで、店頭展示性に優れた歯ブラシ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る歯ブラシ容器では、基材と、
植毛部、首部、及びハンドル部を有する歯ブラシを収容する収容部を形成し、前記基材に貼着されたブリスターと、からなる歯ブラシ容器であって、前記基材は、歯ブラシの一部を視認可能とする透明部を有し、前記基材の前記ブリスター側とは反対側の表面を店頭展示側とする表示面とされ、前記基材と前記ブリスターとが封止された状態で、前記収容部に収容される歯ブラシの
前記ハンドル部の一部分が前記基材と前記ブリスターとの間で押圧され
る被押圧部をなし、前記歯ブラシの
前記被押圧部を押圧する前記基材及び前記ブリスターのそれぞれの支持部の剛性が異なるとともに、その剛性が小さい方が弾性変形可能な部材からなり、前記剛性が小さい方が弾性変形により前記
ハンドル部の一部分に密着していることを特徴としている。
【0008】
本発明では、基材に透視可能な透明部を設けることで、基材の店頭展示側となる表面側から基材の裏面側に設けられるブリスターに収容されている歯ブラシの一部を前記透明部を介して視認することができる。この場合、基材の表面側にブリスターが設けられていないので、透明部を除いた表面部分に印刷される表示が見易く、表面側に凸状のブリスターがある従来の場合にように、そのブリスターの稜線などで基材表面に印刷される表示が見えにくくなることがなく、店頭表示性の向上を図ることができる。
また、歯ブラシ容器を裏面側から見ることで、ブリスターの収容部に収容されている歯ブラシ全体を視認することができる。
【0009】
しかも、基材の表面に歯ブラシやブリスターが突出していないので、歯ブラシ容器の表面がすっきりとした見た目となり、商品イメージを高められるという利点もある。そして、基材の表面側に歯ブラシが配置されないので、透明部を除いた部分のすべてが印刷範囲となり、表面における印刷可能な面積を増大させることが可能となる。
【0010】
さらに、ブリスターの収容部内に収容される歯ブラシの一部を基材とブリスターによって押圧することにより、歯ブラシの姿勢を保持することができるので、歯ブラシが収容部内でずれたり、姿勢が変わることがなくなり、透明部を介して表面側より歯ブラシが見えにくくなるのを防ぐことができる。このように歯ブラシの位置決めや固定を基材とブリスターとの間で押圧するだけで容易に行うことができ、歯ブラシを所望の姿勢でブリスター内に収容することができる。例えば、従来、収容部内において保持が難しいとされる斜め姿勢で歯ブラシを収容した場合でも、その姿勢を変動させずに保持することができる。
【0012】
そして、この場合には、歯ブラシが前記基材及び前記ブリスターのいずれかの弾性変形により保持されるので、歯ブラシの被押圧部における保持力を高めることができる。
【0013】
また、本発明の歯ブラシ容器では、前記透明部は、前記基材の、前記歯ブラシの被押圧部を押圧する支持部であり、前記ブリスターよりも剛性が小さいシートから形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合には、歯ブラシが透明部のシートによって押圧されて収容部内で保持されるので、基材には硬い材質のものを使用することができる。そのため歯ブラシ容器としての剛性を確保しつつ、上述した歯ブラシの被押圧部に対してより大きな保持力を持たせることが可能となる。しかも、基材の透明部を剛性の小さいシートから形成することによって、ブリスターに収容される歯ブラシに対する密着性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の歯ブラシ容器では、前記基材は、接着剤と、透過性を有する窓部を有する紙材と、該紙材を被覆する透明シートと、が前記ブリスター側から順に積層されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、歯ブラシ容器を構成する基材として、紙台紙やユポのような合成紙を好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る歯ブラシ容器によれば、歯ブラシ用のブリスターパックにおいて、歯ブラシを確実に保持しつつ歯ブラシの視認性の向上を図ることで、優れた店頭展示性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態よる歯ブラシ容器を表面側から見た平面図である。
【
図2】
図1に示すA−A線矢視図であって、歯ブラシ容器の側面図である。
【
図3】歯ブラシ容器を裏面側から見た平面図である。
【
図4】
図3に示すB−B線矢視図であって、歯ブラシ容器を歯ブラシの底部側から見た側面図である。
【
図5】
図3に示すC−C線断面図であって、歯ブラシの被押圧部を示す図である。
【
図6】歯ブラシ容器の台紙表面に表示を印刷した一例を示す平面図であって、
図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による歯ブラシ容器の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示す本実施の形態の歯ブラシ容器1は、台紙3(基材)と、歯ブラシ2(
図3参照)の収容部41を形成し、台紙3の裏面3bに貼着されたブリスター4と、を備えている。
【0020】
歯ブラシ2は、
図3に示すように、植毛部21、首部22、ハンドル部23からなる。なお、植毛部21には、図示しないキャップを被着させたものであっても良い。歯ブラシ2は、台紙3の裏面3bに対して植毛部21が表面3a側を向く斜め姿勢で配置させてブリスター4の収容部41に収容され、ブリスター4の外周部が台紙3の裏面3bに接着されている。
【0021】
台紙3は、
図1及び
図3に示すように、収容される歯ブラシ2が配置される長方形状の本体部31と、本体部31の長手方向の一端に連設されるとともに該本体部31を店頭に陳列する際に図示しない棒状部材等に係止するための係止部32と、を備えている。係止部32には、本体部31との間に鍵形状の凹部33が形成されている。
【0022】
台紙3には、ブリスター4の収容部41内に収容される歯ブラシ2の一部(本実施の形態では歯ブラシ2の植毛部21、首部22、及びハンドル部23の首部22側の一部)を表面3a側から視認可能とする透明部34が形成されている。
図1に示すように、具体的に透明部34の形状は、斜め姿勢の歯ブラシ2の植毛部21に対応する位置に配置される円形状の第1透明部34aと、この第1透明部34aに連設して歯ブラシ2の首部22及びハンドル部23の幅寸法に沿って細長く延びる第2透明部34bと、から形成されている。
【0023】
台紙3は、接着剤と、透過性を有する窓部35を有する紙材と、紙材を被覆する透明シートとが、ブリスター4側(裏面3b側)から表面3a側に向かう順に積層されている。ここで、前述した紙部の窓部35を透明シートで覆う部分が前記透明部34となる。
接着剤としては、例えばヒートシール剤やホットメルトタイプのもの等が一例として挙げられる。紙材としては、例えば270g/m
2のものを採用することができる。また、透明シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂が挙げられる。また、透明シートと紙材との間にはエポキシ等の接着剤が用いられる。
なお、台紙3は、紙台紙のみではなく、ユポのような合成紙を好適に使用することができる。
【0024】
ブリスター4は、
図2及び
図3に示すように、台紙3の裏面3bの全面にわたって接着されており、その一部に歯ブラシ2を収容することが可能な収容部41を形成している。収容部41は、歯ブラシ2の植毛部21を収容する第1周壁部42と、首部22及びハンドル部23を収容する第2周壁部43と、が連設している。第2周壁部43には、ハンドル部23の底部側の位置で第1周壁部42と同じ高さ寸法となる形状に膨出された第3周壁部44(
図4参照)を備えている。
【0025】
ブリスター4としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられ、とくに透明性に優れるポリエステル系樹脂のポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
【0026】
そして、
図5に示すように、歯ブラシ容器1は、台紙3の表面3aを店頭展示側とする表示面とされ、台紙3とブリスター4とが封止された状態で、収容部41に収容される歯ブラシ2のハンドル部23の一部分(被押圧部2a)が台紙3における窓部35内の透明部34とブリスター4によって押圧されている。
また、歯ブラシ2の被押圧部2aを押圧する台紙3の透明部34及びブリスター4のそれぞれの支持部の剛性が異なるとともに、その剛性が小さい透明部34が弾性変形可能な部材からなる。
【0027】
次に、上述したように構成された歯ブラシ容器1の作用について説明する。
図1に示すように、本実施の形態では、台紙3に透視可能な透明部34を設けることで、台紙3の店頭展示側となる表面3a側から台紙3の裏面3b側に設けられるブリスター4に収容されている歯ブラシ2の一部を前記透明部34を介して視認することができる。この場合、台紙3の表面3a側にブリスター4が設けられていないので、透明部34を除いた表面部分に印刷される表示が見易く、表面3a側に凸状のブリスターがある従来の場合にように、そのブリスターの稜線などで台紙表面に印刷される表示が見えにくくなることがなく、店頭表示性の向上を図ることができる。
また、歯ブラシ容器1を裏面3b側から見ることで、ブリスター4の収容部41に収容されている歯ブラシ2全体を視認することができる。
【0028】
しかも、台紙3の表面3aに歯ブラシ2やブリスター4が突出していないので、歯ブラシ容器1の表面がすっきりとした見た目となり、商品イメージを高められるという利点もある。
そして、
図6に示すように、台紙3の表面3a側に歯ブラシ2が配置されないので、透明部34を除いた部分のすべてが印刷範囲となり、表面3aにおける印刷可能な面積を増大させることが可能となる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、ブリスター4の収容部41内に収容される歯ブラシ2の一部を台紙3とブリスター4によって押圧することにより、歯ブラシ2の姿勢を保持することができるので、歯ブラシが収容部内でずれたり、姿勢が変わることがなくなり、透明部34を介して表面3a側より歯ブラシ2が見えにくくなるのを防ぐことができる。このように歯ブラシ2の位置決めや固定を台紙3(ここでは透明部34)とブリスター4との間で押圧するだけで容易に行うことができ、歯ブラシ2を所望の姿勢でブリスター4内に収容することができる。すなわち本実施の形態のように、歯ブラシ2を収容部41内において斜め姿勢で収容した場合でも、その姿勢を変動させずに保持することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、透明部34がブリスター4よりも剛性が小さいシートから形成され、歯ブラシ2が透明部34の弾性変形により保持されるので、歯ブラシ2の被押圧部2aにおける保持力を高めることができる。そして、歯ブラシ2が透明部34のシートによって押圧されて収容部41内で保持されるので、台紙3には硬い材質のものを使用することができる。そのため、歯ブラシ容器1としての剛性を確保しつつ、上述した歯ブラシ2の被押圧部2aに対してより大きな保持力を持たせることが可能となる。しかも、台紙3の透明部34を剛性の小さい前記透明シートから形成することによって、ブリスター4に収容される歯ブラシ2に対する密着性を高めることができる。
【0031】
上述のように本実施の形態による歯ブラシ容器1では、歯ブラシ用のブリスターパックにおいて、歯ブラシ2を確実に保持しつつ歯ブラシ2の視認性の向上を図ることで、優れた店頭展示性を確保することができるという効果を奏する。
【0032】
以上、本発明に係る歯ブラシ容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0033】
例えば、本実施の形態では、基材として台紙3を使用しているが、例えばプラスチック等の他の材質の基材を用いることも可能である。
また、本実施の形態では、歯ブラシ2のハンドル部23の一部を押圧しているが、この被押圧部2aの位置は歯ブラシ2の形状等に応じて任意に変更することができる。また、歯ブラシの被押圧部2aの箇所は、複数箇所に設けられていても良い。さらに、本実施の形態では、透明部34(透明シート)で歯ブラシ2の被押圧部2aを押圧しているが、これに限定されず、台紙3の紙材部分で被押圧部2aを押圧するようにしても良い。
【0034】
また、透明部34の材質、形状は、歯ブラシ2の形状や収容する姿勢、或いは台紙3の表面3aの表示部の面積などに応じて任意に設定することができる。例えば、表面3aに印刷される表示を少なくし、表面3a側からの歯ブラシ2の見える割合を大きくしたい場合には透明部34の面積を大きくすればよいし、前記印刷される表示面積を増やしたい場合には透明部34の面積を小さくすればよい。
【0035】
さらに、本実施の形態では、透明部34の透明シートを弾性変形可能とし、ブリスター4の剛性よりも小さい構成としているが、歯ブラシ2を押圧する支持部において、一方の部材の剛性を小さくすることで押圧することに限定されることがなく、双方の部材の剛性をそれぞれ小さくするようにしてもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 歯ブラシ容器
2 歯ブラシ
2a 被押圧部
3 台紙(基材)
3a 表面
3b 裏面
4 ブリスター
34 透明部
34a 第1透明部
34b 第2透明部
35 窓部
41 収容部