特許第6114069号(P6114069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114069
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20170403BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20170403BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   F24C3/12 E
   F24C7/04 301A
   F24C15/00 M
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-40375(P2013-40375)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-169801(P2014-169801A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 政憲
(72)【発明者】
【氏名】垣内 資正
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−030867(JP,A)
【文献】 特開2006−010248(JP,A)
【文献】 特開2006−064273(JP,A)
【文献】 特開平11−132471(JP,A)
【文献】 特開2009−243763(JP,A)
【文献】 特開2009−002542(JP,A)
【文献】 特開2005−024219(JP,A)
【文献】 特開平11−204777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C3/00−3/14
F24C7/00
F24C7/04−7/06
F24C9/00−15/14
H05B6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部によるタイマ調理が実行可能で、前記タイマ調理の実行中は、タイマ時間設定手段で設定された前記タイマ調理の残時間をタイマ時間表示部に表示し、前記タイマ時間表示部に表示された前記残時間が時間の経過と共に減少して前記タイマ時間表示部に更新表示されると共に、前記残時間がゼロになった時点で前記加熱部における加熱を停止して前記タイマ調理を終了する減算式タイマを備えた加熱調理器において、
前記加熱部を複数備え、これら複数の加熱部に対する前記残時間を表示する前記タイマ時間表示部を一つ設け、
前記複数の加熱部から一の加熱部を選択手段によって選択することで前記一の加熱部に対する前記残時間の設定が可能で、
前記一の加熱部における前記タイマ調理の実行中は前記複数の加熱部のうちの前記一の加熱部以外の他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対する前記残時間を設定することができず、前記一の加熱部において前記タイマ調理の実行中でないときのみ前記他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対し前記残時間を設定することが可能であり、
麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段と、前記麺茹でモードにおいて前記加熱部により加熱される調理容器への麺投入完了を指令する麺投入指令手段とを備え、
前記一の加熱部における前記タイマ調理として、前記加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令されるまでは時間の経過によっても前記残時間が減少せず前記一の加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令された後には前記残時間が時間の経過と共に減少する麺茹でタイマ調理と、前記一の加熱部による加熱中の間は継続して前記残時間が時間の経過と共に減少される通常タイマ調理とが実行可能であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記タイマ時間表示部に、前記一の加熱部に対応する前記残時間が表示されている場合、前記タイマ調理の実行前で、かつ、前記一の加熱部によって加熱を開始する前に限り、前記他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対し前記残時間を設定することが可能であることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱部によるタイマ調理が実行可能で、前記タイマ調理の実行中はタイマ時間設定手段で設定された前記タイマ調理の残時間をタイマ時間表示部に表示し、前記タイマ時間表示部に表示された前記残時間が時間の経過と共に減少して前記タイマ時間表示部に更新表示されると共に、前記残時間がゼロになった時点で前記加熱部における加熱を停止して前記タイマ調理を終了する減算式タイマを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる加熱調理器は、減算式タイマによってタイマ調理が実行できるもので、種々の煮物調理、或いは、素麺、冷麦、パスタ、生うどん等の麺を茹でる際に、使用者の所望する加熱時間に亘り加熱した後には加熱部による加熱を停止するものであるから、使い勝手がよい。
【0003】
一方、加熱調理器には加熱部を複数備えるものが多く普及している。そして加熱部を複数備える加熱調理器によって加熱調理を行う場合、複数備える加熱部においてタイマ調理が実行可能であるようにするために、複数備える加熱部のうちのタイマ調理が実行可能な加熱部の夫々に対応してタイマ時間表示部を複数備えることが考えられる。
【0004】
このように、タイマ時間表示部を複数備える加熱調理器として、ガスバーナや誘導加熱コイルなどの加熱部を複数個備え、各加熱部を用いて調理対象物の加熱調理を行うことが可能に構成されたガスコンロや電磁調理器があり、加熱部による調理対象物の加熱時間をタイマによって設定するタイマ調理機能が、加熱調理器に搭載されている。そして、それら加熱時間を表示するタイマ時間表示部は、複数の加熱部の夫々に対応して加熱調理器に設けられて構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−142245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の加熱調理器のように複数の加熱部に対応するタイマ時間を上述のようにタイマ時間表示部で表示するためには、複数の加熱部の夫々に対応した複数のタイマ時間表示部を加熱調理器前面の操作し易い位置に設けなければならない。しかし、現実的には加熱調理器前面に複数の加熱部の夫々に対応したタイマ時間表示部を設け得る大きなスペースを確保することは困難である。そのため、加熱調理器前面の小さなスペース内に複数のタイマ時間表示部を設けたとすると、タイマ時間設定用の入力ボタン配置用のスペースが狭くなり、入力ボタンの押し間違いなどが発生してタイマ時間の確実な入力を行えなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的小さなスペース内に複数の加熱部に対応するタイマ時間表示部を設け、しかも、タイマ時間の設定が確実に設定できタイマ調理を適切に実行することのできる加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器は、加熱部によるタイマ調理が実行可能で、前記タイマ調理の実行中は、タイマ時間設定手段で設定された前記タイマ調理の残時間をタイマ時間表示部に表示し、前記タイマ時間表示部に表示された前記残時間が時間の経過と共に減少して前記タイマ時間表示部に更新表示されると共に、前記残時間がゼロになった時点で前記加熱部における加熱を停止して前記タイマ調理を終了する減算式タイマを備えるように構成されたものであって、その第1特徴構成は、前記加熱部を複数備え、これら複数の加熱部に対する前記残時間を表示する前記タイマ時間表示部を一つ設け、前記複数の加熱部から一の加熱部を選択手段によって選択することで前記一の加熱部に対する前記残時間の設定が可能で、前記一の加熱部における前記タイマ調理の実行中は前記複数の加熱部のうちの前記一の加熱部以外の他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対する前記残時間を設定することができず、前記一の加熱部において前記タイマ調理の実行中でないときのみ前記他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対し前記残時間を設定することが可能であり、麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段と、前記麺茹でモードにおいて前記加熱部により加熱される調理容器への麺投入完了を指令する麺投入指令手段とを備え、前記一の加熱部における前記タイマ調理として、前記加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令されるまでは時間の経過によっても前記残時間が減少せず前記一の加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令された後には前記残時間が時間の経過と共に減少する麺茹でタイマ調理と、前記一の加熱部による加熱中の間は継続して前記残時間が時間の経過と共に減少される通常タイマ調理とが実行可能であるように構成されている点を特徴とする。
【0009】
すなわち、加熱部を複数備え、これら複数の加熱部に対する残時間を表示するタイマ時間表示部を一つ設ける。そして、複数の加熱部から一の加熱部を選択手段によって選択することで一の加熱部に対する残時間の設定が可能であるように構成するのである。このように、複数の加熱部に対する残時間を表示するタイマ時間表示部を一つ設けるだけでよいから、比較的小さなスペース内に複数の加熱部に対応するタイマ時間表示部を設けることができる。
【0010】
また、一の加熱部におけるタイマ調理の実行中は複数の加熱部のうちの一の加熱部以外の他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対する残時間を設定することができず、一の加熱部においてタイマ調理の実行中でないときのみ他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することが可能であるように構成されているから、複数の加熱部に対する残時間を表示するタイマ時間表示部を一つ設けた場合にも、一の加熱部におけるタイマ調理の実行中に、一の加熱部に対するタイマ時間が表示されているタイマ時間表示部に誤って他の加熱部に対する残時間を設定してしまうことができないため、一の加熱部に対するタイマ時間が適正値である状態が維持できることになり、タイマ時間の設定が確実に設定でき、設定されたタイマ時間が不用意に取り消されることなくタイマ調理を適切に実行することができる加熱調理器とすることが可能となる。
【0011】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、比較的小さなスペース内に複数の加熱部に対応するタイマ時間表示部を設けることができ、しかも、タイマ時間の設定が確実に設定でき、設定されたタイマ時間が不用意に取り消されることなくタイマ調理を適切に実行することができる加熱調理器とすることが可能となる。
【0012】
また、本発明の第1特徴構成は、麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段と、前記麺茹でモードにおいて前記加熱部により加熱される調理容器への麺投入完了を指令する麺投入指令手段とを備え、前記一の加熱部における前記タイマ調理として、前記加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令されるまでは時間の経過によっても前記残時間が減少せず前記一の加熱部による加熱中に前記麺投入指令手段によって麺投入完了が指令された後には前記残時間が時間の経過と共に減少する麺茹でタイマ調理と、前記一の加熱部による加熱中の間は継続して前記残時間が時間の経過と共に減少される通常タイマ調理とが実行可能であるように構成されている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、加熱調理器が麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段と、この麺茹でモードにおいて加熱部により加熱される調理容器への麺投入完了を指令する麺投入指令手段とを備え、一の加熱部におけるタイマ調理として、使用者が、調理容器に麺を投入し、引き続いて、麺投入指令手段を操作することによって、麺投入完了が指令されるまでは時間の経過によってもタイマ時間表示部に表示される残時間が減少せず、使用者が、調理容器に麺を投入し、引き続いて、麺投入指令手段を操作することによって、麺投入完了が指令されると、タイマ時間表示部に表示される残時間が時間の経過と共に減少する麺茹でタイマ調理と、一の加熱部による加熱中の間は継続してタイマ時間表示部に表示される残時間が時間の経過と共に減少される通常タイマ調理とが実行可能であるから使い勝手のよい加熱調理器とすることができる。
【0014】
つまり、うどんやパスタなどを茹でる場合は、麺茹でモード指令手段によって麺茹でモードを指令し、茹でる面の種類に応じた茹で時間に亘り加熱部によって加熱することになるが、この麺茹でモードにおいては、一般的に茹でる麺の種類に応じて推奨される茹で時間が定められているものであるから、この茹で時間を予め設定しておき、使用者が、調理容器に麺を投入し、引き続いて、麺投入指令手段を操作することによって、麺投入完了を指令することでタイマ時間表示部に表示される残時間が減少するから、茹でる面の種類に応じた茹で時間に亘り適切に加熱することができる。
【0015】
一方、煮物調理などを行う場合、調理途中に調理容器の内容物の調理状態に応じて調理時間を設定することになるが、この場合、通常タイマ調理を実行することで、一の加熱部による加熱中の間は継続してタイマ時間表示部に表示される残時間が時間の経過と共に減少されるから、調理途中に調理状態に応じて設定した調理時間に亘り加熱することができるのである。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、使い勝手のよい加熱調理器とすることができる。
【0017】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、前記タイマ時間表示部に、前記一の加熱部に対応する前記残時間が表示されている場合、前記タイマ調理の実行前で、かつ、前記一の加熱部によって加熱を開始する前に限り、前記他の加熱部を前記選択手段により選択して前記他の加熱部に対し前記残時間を設定することが可能であるように構成されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、一の加熱部においてタイマ時間表示部に残時間が表示されている場合、タイマ調理の実行前で、かつ、一の加熱部によって加熱を開始する前に限り、他の加熱部を前記選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することが可能である、つまり、一の加熱部においてタイマ時間表示部に残時間が表示されている場合、タイマ調理の実行前であっても、一の加熱部によって加熱を開始した後には他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することができないから、一の加熱部における調理ミスが防止できる。
【0019】
例えば、他の加熱部において煮物調理中に、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に麺茹で用に残時間を表示した後、一の加熱部によって加熱を開始する前に、先ず、他の加熱部において調理途中の煮物調理に関する通常タイマ調理を行うべく予定を変更する場合には、他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することが可能であるから、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に時間を表示した後であっても、一の加熱部によって加熱を開始する前であれば他の加熱部においてタイミングよく煮物用に通常タイマ調理を行うことができることになり使い勝手がよい。また、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に麺茹で用に残時間を表示してあるものの、麺茹で調理が開始される前であるから、麺茹で調理の開始後に麺茹で調理が中断されることはないから、麺茹で調理の中断による麺茹で調理の失敗には至らず、麺茹でタイマ調理が適切に実行できることになる。
【0020】
これに対し、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に麺茹で用に残時間を表示した後、麺投入指令手段を操作することによって、麺投入完了を指令しタイマ時間表示部に表示される残時間が減少するタイマ調理の実行前であれば他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することが可能なように構成したときには、以下のような不都合が生じることになる。
【0021】
例えば、もし、他の加熱部において煮物調理中に、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に麺茹で用に残時間を表示した後、麺投入完了を指令しタイマ時間表示部に表示される残時間が減少するタイマ調理の実行前に、先ず、他の加熱部において調理途中の煮物調理に関する通常タイマ調理を行うべく予定を変更する場合に、他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することができるように構成すると、一の加熱部において麺茹でタイマ調理を行うためにタイマ時間表示部に時間を表示した後に、一の加熱部によって加熱を開始後において、一の加熱部によって加熱中の鍋など調理容器に麺を投入した後、つまり、一の加熱部において麺茹で調理を開始した後であっても、他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部において残時間が設定できるから、一の加熱部における麺茹で調理の開始後であっても麺茹でタイマ調理用の残時間の変更が可能であることになり、一の加熱部における麺茹でタイマ調理が適切に実行できないことになってしまう。
【0022】
これに対し、本発明の第2特徴構成によれば、上述のように、一の加熱部においてタイマ時間表示部に残時間が表示されている場合、タイマ調理の実行前であっても、一の加熱部によって加熱を開始した後には他の加熱部を選択手段により選択して他の加熱部に対し残時間を設定することができないから、使い勝手が良く、しかも、タイマ調理が適切に実行されることになる。
【0023】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、使い勝手が良く、しかも、タイマ調理を適切に実行できる加熱調理器とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によって、比較的小さなスペース内に複数の加熱部に対応するタイマ時間表示部を設けることができ、しかも、タイマ時間の設定が確実に設定でき、設定されたタイマ時間が不用意に取り消されることなくタイマ調理を適切に実行することができる加熱調理器とすることが可能となる。
また、使い勝手のよい加熱調理器とすることが可能となる。
請求項2の発明によって、使い勝手が良く、しかも、タイマ調理が適切に実行できる加熱調理器とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ガスコンロの斜視図
図2】ガス燃料の流路構成を示す概略図
図3】コンロバーナを示す縦断側面図
図4】制御構成を示すブロック図
図5】調理入力部を示す正面図
図6】制御動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、例示する加熱調理器としてのガスコンロは、コンロ本体の上面部に、加熱手段として、3つのコンロバーナ1を備え、コンロ本体の内部のグリル部Gに、グリルバーナ2(図2参照)を備える状態に構成され、そして、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている。
3つのコンロバーナ1は、左側に配設される高火力バーナ1A、右側に配設される標準バーナ1B、及び、横幅方向の中央の奥側箇所に配設される小火力バーナ1Cである。
【0027】
ガスコンロの上面は、ガラス製のトッププレート3にて覆われ、ガスコンロの上面の後部側には、グリル部Gの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成される。
また、トッププレート3の上部には、3つのコンロバーナ1の夫々にて加熱される鍋等の調理容器を載置するための五徳5が設けられる。
【0028】
ガスコンロの前面部の右側箇所には、3つのコンロバーナ1に対する操作部Jが設けられ、その操作部Jには、左側から右側に向けて、高火力バーナ1Aに対する高火力用の操作具6A、小火力バーナ1Cに対する小火力用の操作具6C、及び、標準バーナ1Bに対する標準用の操作具6Bが配設される。
尚、以下の記載において、高火力用の操作具6A、小火力用の操作具6C、及び、標準用の操作具6Bを区別して記載する必要がないときには、操作具6A〜6Cと記載する。
【0029】
各操作具6A〜6Cは、対応するコンロバーナ1についての燃焼開始指令(以下、点火指令と略称する)及び燃焼停止指令(以下、消火指令と略称する)を指令し、且つ、対応するコンロバーナ1について火力調節指令を指令するものであって、具体的には、後方側に押し込み操作されるごとに、点火指令と消火指令とを交互に指令し、また、前後方向軸心周りで正逆に回動操作されることにより、火力調節指令を指令するように構成される。
【0030】
また、各操作具6A〜6Cは、押し操作される毎に回転軸心方向に移動して、図示しない位置保持機構によって、コンロ本体の内部側に押し込まれた押し込み位置と前方に突出する突出位置とに切り換え自在に構成され、各操作具6A〜6Cが突出位置に切り換えられているときに、正転方向及び逆転方向の夫々にその軸心周りで回動操作可能となるように構成される。
【0031】
そして、各操作具6A〜6Cに対応して点消火スイッチ7A〜7C(図4参照)が装備され、これらの点消火スイッチ7A〜7Cは、各操作具6A〜6Cが押し込み位置に操作されると、OFF(オフ)状態となり、各操作具6A〜6Cが突出位置に操作されると、ON(オン)状態となるように構成される。
図4に示すように、点消火スイッチ7A〜7Cの検出情報は、運転制御手段としての運転制御部Hに入力される。
【0032】
また、各操作具6A〜6Cの回転操作に伴ってパルス信号を出力するパルス発生手段としてのロータリーエンコーダ8A〜8C(図4参照)が、各操作具6A〜6Cに対応して装備される。
ロータリーエンコーダ8A〜8Cは、各操作具6A〜6Cの一方向への回転操作に伴って2つのパルス信号のうちの一方のパルス信号が他方のパルス信号より位相が進み、各操作具6A〜6Cの他方向への回転操作に伴って他方のパルス信号が前記一方のパルス信号より位相が進む状態で、各操作具6A〜6Cの回転操作に伴って互いに異なる位相の2つのパルス信号を出力するように構成される。
【0033】
図4に示すように、各ロータリーエンコーダ8A〜8Cの検出情報は、運転制御部Hに入力される。
運転制御部Hは、各ロータリーエンコーダ8A〜8Cのパルス信号に基づいて、各操作具6A〜6Cが右方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力増加指令が指令されたと判断し、また、各操作具6A〜6Cが左方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力減少指令が指令されたと判断するように構成される。
【0034】
なお、図示しないが、各操作具6A〜6Cに対してクリック感を付与する付与手段が、各操作具6A〜6Cが左方向及び右方向に設定角度回転されるごとにクリック感を付与する状態で設けられており、各操作具6A〜6Cを左方向及び右方向に設定角度ずつ回転操作することが行い易いようになっている。
【0035】
また、操作部Jの下方側箇所には、調理メニュー等の情報を入力するコンロ用設定操作部D(図5参照)が設けられている。
そして、図4に示すように、このコンロ用設定操作部Dの設定情報が、運転制御部Hに入力される。
【0036】
運転制御部Hは、マイクロコンピュータを主要部として構成されて、ガスコンロの運転を制御するものであり、点消火スイッチ7A〜7C及びロータリーエンコーダ8A〜8Cの検出情報に基づいて、コンロバーナ1夫々についての、消火指令、点火指令、及び、火力調節指令(火力増加指令、火力減少指令)を判別して、コンロバーナの燃焼を制御するように構成され、また、コンロ用設定操作部Dの設定情報に基づいて、設定された調理メニューに対応するタイマ調理等の自動調理を実行すべく、コンロバーナ1の燃焼を制御されるように構成され、その詳細は後述する。
【0037】
本実施形態においては、火力が5段階に調節され、また、小火力バーナ1Cについては、火力が3段階に変更設定されるように構成され、コンロ用設定操作部Dの上方箇所には、電源スイッチ11が設けられ、運転制御部Hは、電源スイッチ11が入り操作されたときに、運転制御を実行するための電力が供給されるように構成される。
【0038】
ガスコンロの前面の左側箇所、つまり、中央側に位置するグリル部Gの左側箇所には、グリルバーナ2に対するグリル用設定操作部Eが配設される。
そして、このグリル用設定操作部Eの設定情報に基づいて、運転制御部Hが、グリルバーナ2の燃焼を制御されるように構成されているが、本書では、グリルバーナ2の燃焼制御についての詳細な説明は省略する。
【0039】
図2に示すように、都市ガス等のガス燃料が供給される元ガス供給路15に、3つのコンロバーナ1に対する3つのコンロ用分岐路16A、16B、16C、及び、グリルバーナ2に対するグリル用分岐路17が接続される。
グリルバーナ2は、一般に、被加熱物を上方から加熱する上バーナと被加熱物を下方から加熱する下バーナとを備えることがあるが、本実施形態では、上バーナのみが備えられるものとして説明する。
【0040】
元ガス供給路15には、閉じ付勢された電磁式の元ガス弁18が配設され、3つのコンロ用分岐路16A〜16Cの夫々には、3つのコンロバーナ1に供給するガス燃料の供給量を調節するコンロ用流量調節弁19A、19B、19Cが配設され、さらに、グリル用分岐路17には、グリルバーナ2に供給するガス燃料の供給量を調節するグリル用流量調節弁20が配設される。
【0041】
コンロ用流量調節弁19A〜19Cは、コンロ用のステッピングモータ21A、21B、21Cにて操作されるように構成され、同様に、グリル用流量調節弁20が、グリル用のステッピングモータ22にて操作されるように構成される。
【0042】
図2及び図3に示すように、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2の夫々に対して、点火用の点火プラグB、熱電対等を用いて構成される着火状態検出用の着火センサFが装備される。
尚、グリルバーナ2として、上バーナと下バーナとを備えさせる場合には、夫々のバーナに対して、点火プラグB及び着火センサFが装備される。
図3は、3つのコンロバーナのうちの、標準バーナ1Bを代表として例示する。
【0043】
また、3つのコンロバーナ1の夫々に対して、鍋等の調理容器の存否を検出し且つその温度を検出する被加熱物検出センサSが装備される。
被加熱物検出センサSは、上下方向に伸縮自在でかつ上方に復帰付勢された伸縮体S1を備えて、この伸縮体S1が被加熱物に押されて下方に移動したことを伸縮検知部S2にて検出することにより被加熱物の存在を検出するように構成され、また、伸縮体S1の上端部に設けた温度検知部S3が、調理容器に接触してその温度を検出するように構成される。
【0044】
運転制御部Hは、3つのコンロバーナ1に対する基本的な制御として、点火処理及び消火処理を行う燃焼制御、3つのコンロバーナ1の火力の調節を行う火力調節制御、設定された調理メニューに対応する自動調理制御、及び、火力の大きさ等を表示する表示制御を実行するように構成される。
【0045】
尚、運転制御部Hは、基本的な制御として、例えば、伸縮検知部S2にて鍋等の調理容器が検出されない状態で点火指令が指令されたときに、「鍋をおいてください」というコメントを音声で報知する等、各種の報知情報や警報情報を、スピーカK(図4参照)やブザー(図示せず)にて報知する報知処理を実行するが、本実施形態においては、それらの詳細な説明は省略する。
【0046】
点火処理は、コンロ用の操作具6A〜6Cにて操作される点消火スイッチ7A〜7Cの点火指令に基づいて、コンロバーナ1に対して点火用流量にてガス燃料を供給すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Cを操作したのち、コンロバーナ1に対する点火プラグBを作動させ且つ着火センサFにて着火を検出する処理である。
なお、運転制御部Hは、点火処理を行うときに、元ガス弁18が閉じているときには、この元ガス弁18を開き操作する。
【0047】
消火処理は、コンロ用の操作具6A〜6Cにて操作される点消火スイッチ7A〜7Cの消火指令に基づいて、コンロバーナ1に対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Cを操作する処理である。また、この消火処理は、設定された調理メニューに対応するタイマ調理等の自動調理制御が終了した際にも実行されることになる。
なお、運転制御部Hは、消火処理を行うときに、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2の全てが消火される状態になるときには、元ガス弁18を閉じ操作する。
【0048】
タイマ調理等の自動調理制御は、コンロ用設定操作部Dの設定情報や被加熱物検出センサSの検出情報等に基づいて、コンロ用流量調節弁19A〜19Cを操作して、3つのコンロバーナ1に対するガス燃料供給量を調節する制御や、コンロバーナ1への燃料供給を停止する制御を行う。
【0049】
運転制御部Hが自動調理制御として実行する自動調理処理は、被加熱物検出センサSにて検出される温度を変更設定される設定目標温度tSになるように火力を調整する揚げもの運転処理、被加熱物検出センサSにて検出される温度が沸騰を検出すると消火する湯沸し運転処理、運転開始からの時間経過に伴って火力を設定パターンにて変更させる炊飯運転処理、設定されたタイマ調理用残時間が経過すると自動的に消火するタイマ運転処理、及び、吹き零れを抑制しながら麺を茹でる麺茹で運転処理等がある。
【0050】
すなわち、コンロ用設定操作部Dには、図5に示す如く、3つのコンロバーナ1に対するタイマ調理用タイマ設定値としての残時間時間を入力するためのタイマ入力部D1、高火力バーナ1Aに対する調理入力部D2、及び、標準バーナ1Bに対する調理入力部D3と設けられている。
【0051】
高火力バーナ1Aに対する調理入力部D2と、標準バーナ1Bに対する調理入力部D3とは同様に構成されるものであって、以下、標準バーナ1Bに対する調理入力部D3を代表として説明する。
【0052】
調理入力部D3は、揚げもの、炊飯、湯沸し、麺茹での調理メニューを設定するように構成される。
調理入力部D3には、調理メニュー選択するスイッチとして、揚げものモードを指令する揚げものスイッチ26A、炊飯モードを指令する炊飯スイッチ26B、湯沸しモード及び麺茹でモードを指令する湯沸しスイッチ26C、及び、直前に行った設定を取り消すための取消スイッチ26Dが設けられている。
【0053】
なお、本実施形態においては、湯沸しスイッチ26Cは、後述の如く、麺茹でモードを指令する際にも押し操作され、また、麺茹で運転処理の実行中において、麺の投入に伴って麺投入完了を指令する際にも押し操作されるように構成される。
つまり、湯沸しスイッチ26Cは、湯沸しモードを指令する湯沸しモード指令手段としての機能に加えて、麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段、及び、麺投入完了を指令する麺投入指令手段として機能するように構成される。
【0054】
揚げものスイッチ26Aは、押し操作されるごとに、200℃、180℃、160℃といった複数種の設定目標温度を順次選択して設定できるように構成され、そして、調理入力部D3には、設定された温度の揚げもの調理を点灯により表示する温度表示部27A、27B、27Cが設けられている。
【0055】
炊飯スイッチ26Bは、押し操作されるごとに、ごはんの処理とおかゆの処理との異なる炊飯調理を選択して設定できるように構成され、そして、設定された炊飯調理がごはんの処理であることを点灯により表示するごはん表示部28Aと、設定された炊飯調理がおかゆの処理であることを点灯により表示するおかゆ表示部28Bが、調理入力部D3に設けられている。
【0056】
湯沸しスイッチ26Cは、最初に、押し操作されることによって、湯沸しモードのうちの自動消火モードを指令し、次に、押し操作されることによって、湯沸しモードのうちの5分保温モードを指令し、さらに、押し操作されることによって、麺茹でモードを指令するものであって、以下、押し操作されるごとに、自動消火モード、5分保温モード、麺茹でモードを指令する状態を繰り返すように構成される。
【0057】
自動消火モードは、沸騰を検出するまでは大きな火力で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火するモードであり、5分保温モードは、沸騰検出するまでは大きな火力で加熱した後、沸騰検出後は小さな火力に減少させ、その後5分間加熱した後に消火するモードであるが、詳しい説明は省略する。
【0058】
そして、調理入力部D3には、設定されたモードが自動消火モードであることを点灯にて表示する自動消火表示部29Aと、設定されたモードが5分保温モードであることを点灯にて表示する5分保温表示部29Bと、設定されたモードが麺茹でモードであることを点灯により表示する麺茹で表示部29Cが設けられている。
【0059】
したがって、運転制御部Hは、調理入力部D2、D3にて、揚げもの運転、炊飯運転、湯沸し運転、及び、麺茹で運転が設定されると、操作具6A、6Bの点火指令により、高火力バーナ1A又は標準バーナ1Bを点火して燃焼させた状態において、調理入力部D2、D3の設定情報に基づいて、揚げもの運転処理、炊飯運転処理、湯沸し運転処理、及び、麺茹で運転処理を行うことになり、そして、揚げもの運転処理、炊飯運転処理、湯沸し運転処理、及び、麺茹で運転処理の夫々において、高火力バーナ1Aや標準バーナ1Bの火力を調節するために、コンロ用流量調節弁19A、19Bを操作する処理を行う。
【0060】
タイマ入力部D1は、高火力バーナ1Aと標準バーナ1Bの2つのコンロバーナ1に対して一つのみ設けられ、高火力バーナ1Aと標準バーナ1Bの2つのコンロバーナ1の内の何れのコンロバーナ1に対するタイマ調理に関する設定入力を行うかについて選択するための選択手段として選択スイッチ30Sを備え、選択スイッチ30Sを押し操作する毎に、選択表示部30Hの表示によって、高火力バーナ1A(左)と標準バーナ1B(右)の2つのコンロバーナ1の内の何れが選択されているかの表示が切り替わる。
【0061】
また、タイマ入力部D1は、時間増加スイッチ30A、時間減少スイッチ30B、及び、設定時間表示部30Cを備え、時間増加スイッチ30A及び時間減少スイッチ30Bを用いてタイマ調理用の残時間が設定される。なお、タイマ調理としては、以下説明するように、麺茹でタイマ調理と通常タイマ調理の減算式タイマによるタイマ調理が実行可能である。
【0062】
〔通常タイマ調理〕
選択スイッチ30Sを押し操作して、高火力バーナ1A(左)と標準バーナ1B(右)の2つのコンロバーナ1のうち、一方のコンロバーナ1を選択した後、タイマ時間設定手段としての時間増加スイッチ30A及び時間減少スイッチ30Bを用いてタイマ調理用の残時間を設定してタイマ時間表示部30Cに表示し、上述の麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段、及び、麺投入完了を指令する麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cを操作せず、つまり、麺茹でモードを指令せず、上記一方のコンロバーナ1に対して点火指令を指令して上記一方のコンロバーナ1による加熱を開始すると、設定したタイマ調理用残時間を、時間の経過と共に減少させタイマ時間表示部30Cに更新表示しながら、上記一方のコンロバーナ1による加熱を継続して、タイマ時間表示部30Cに表示される残時間が、ゼロになった時点で上記一方のコンロバーナ1による加熱を停止してタイマ調理を終了すべく、上記一方のコンロバーナ1を消火する処理が行われる、通常タイマ調理が実行される。
【0063】
つまり、通常タイマ調理では、上記一方のコンロバーナ1による加熱中の間は継続して前記残時間が時間の経過と共に減少されて更新表示されることになる。
【0064】
〔麺茹でタイマ調理〕
選択スイッチ30Sを押し操作して、高火力バーナ1A(左)と標準バーナ1B(右)の2つのコンロバーナ1のうち、一方のコンロバーナ1を選択した後、タイマ時間設定手段としての時間増加スイッチ30A及び時間減少スイッチ30Bを用いてタイマ調理用の残時間を設定してタイマ時間表示部30Cに表示し、上述の麺茹でモードを指令する麺茹でモード指令手段、及び、麺投入完了を指令する麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cを操作して、つまり、麺茹でモードを指令して、上記一方のコンロバーナ1に対して点火指令を指令して上記一方のコンロバーナ1による加熱を開始しても設定したタイマ調理用残時間が、時間の経過と共に減少されず、使用者が調理容器の中の湯が沸騰していることを確認したり、使用者が調理容器の中に塩などの調味料や調理対象の麺を投入した後に、麺投入完了を指令する麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cを操作した後に、設定したタイマ調理用残時間を、時間の経過と共に減少させタイマ時間表示部30Cに更新表示しながら、上記一方のコンロバーナ1による加熱を継続して、タイマ時間表示部30Cに表示される残時間が、ゼロになった時点で上記一方のコンロバーナ1による加熱を停止してタイマ調理を終了すべく、上記一方のコンロバーナ1を消火する処理が行われる、麺茹でタイマ調理が実行される。
【0065】
つまり、麺茹でモードにおいて実行される麺茹でタイマ調理では、麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cの操作によって麺投入完了が指令されるまでは時間の経過によってもタイマ時間表示部30Cに表示される残時間が減少せず、上記一方のコンロバーナ1による加熱中に麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cの操作によって麺投入完了が指令された後にはタイマ時間表示部30Cに表示される残時間が時間の経過と共に減少されて更新表示されることになる。
【0066】
なお、図6のフローチャートに示すように、上記一方のコンロバーナ1によるタイマ調理の実行中は、上記一方のコンロバーナ1と異なる他方のコンロバーナ1を選択スイッチ30Sを押し操作することにより選択しようとしても選択できず、上記他方のコンロバーナ1に対する前記残時間を設定することができない。そして、上記一方のコンロバーナ1において通常タイマ調理及び麺茹でタイマ調理の何れのタイマ調理も実行中でないときに限り上記他方のコンロバーナ1を択スイッチ30Sを押し操作することにより選択して上記他方のコンロバーナ1に対しタイマ調理用残時間を設定することができるように構成される。
【0067】
ただし、図6のフローチャートに示すように、上記一方のコンロバーナ1が選択されて上記一方のコンロバーナ1に対応するタイマ調理用の残時間が設定されてタイマ時間表示部30Cに表示されている場合であっても、上記一方のコンロバーナ1に対応して設定されたタイマ調理用残時間が、時間の経過と共に減少させタイマ時間表示部30Cに更新表示される上記一方のコンロバーナ1におけるタイマ調理の開始前で、かつ、上記一方のコンロバーナ1による加熱を開始する前に限り、他方のコンロバーナ1を選択スイッチ30Sを押し操作することにより選択して上記他方のコンロバーナ1に対するタイマ調理用残時間を設定することができるように構成される。
【0068】
上述の、選択スイッチ30Sの押し操作とタイマ調理用残時間を設定の設定との関連について、図6のフローチャートを用いて、以下に説明を加える。
図6の#001において、選択スイッチ30Sが押し操作されるコンロ選択入力があるかどうかが判定される。#001でコンロ選択入力があると判定された場合は#002に進み、タイマ時間表示部30Cに残時間表示があるかどうかが判断される。なお、#001でコンロ選択入力がないと判定された場合は、そのままリターンする。
【0069】
#002で、タイマ時間表示部30Cに残時間表示があると判断された場合は、#003に進み、タイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1においてタイマ調理中、つまり、時間表示部30Cに表示されている残時間が時間の経過と共に減少してタイマ時間表示部30Cに更新表示されている状態であるかどうかが判断される。なお、#002でタイマ時間表示部30Cに残時間表示がないと判断された場合は、#005に進み、選択スイッチ30Sの押し操作によって、タイマ時間表示部30Cに表示される残時間と対応するコンロバーナ1の選択や切り替えを行い、そして、時間増加スイッチ30A及び時間減少スイッチ30Bを用いたタイマ調理用の残時間の設定が可能な状態となり、リターンする。
【0070】
#003で、タイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1においてタイマ調理中ではない、つまり、時間表示部30Cに表示されている残時間が時間の経過と共に減少してタイマ時間表示部30Cに更新表示されている状態ではない、と判断された場合は、#004に進み、タイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1において加熱を開始した加熱中であるかどうかが判断される。
【0071】
なお、#003でタイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1においてタイマ調理中である、つまり、時間表示部30Cに表示されている残時間が時間の経過と共に減少してタイマ時間表示部30Cに更新表示されている状態である、と判断された場合は、#006に進み、選択スイッチ30Sの押し操作によってもタイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1を別のコンロバーナ1に切り替えることができない状態、つまり、選択スイッチ30Sを押し操作によってもタイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1として、別のコンロバーナ1を選択することができない状態が確定して、リターンする。
【0072】
#004で、タイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1において加熱を開始した加熱中であると判断された場合は、#006に進み、選択スイッチ30Sの押し操作によってもタイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1を別のコンロバーナ1に切り替えることができない状態、つまり、選択スイッチ30Sを押し操作によってもタイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1として、別のコンロバーナを選択することができない状態が確定して、リターンする。
【0073】
#004で、タイマ時間表示部30Cに表示されている残時間と対応するコンロバーナ1において加熱を開始した加熱中ではないと判断された場合は、#005に進み、タイマ時間表示部30Cに表示される残時間と対応するコンロバーナ1を選択スイッチ30Sの押し操作によって選択することや、タイマ時間表示部30Cに表示される残時間と対応するコンロバーナ1の切り替えを行い、そして、時間増加スイッチ30A及び時間減少スイッチ30Bを用いたタイマ調理用の残時間の設定が可能な状態となり、リターンする。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0074】
(1)上記実施形態では、3つのコンロバーナ1を備え、そのうちの、高火力バーナ1Aと標準バーナ1Bの2つのコンロバーナ1に対してタイマ入力部D1が一つ設けられる形態のガスコンロを例示したが、ガスコンロにはコンロバーナ1を2つだけ備える構成や、ガスコンロに備える複数備えるコンロバーナ1のうちの3つ以上のコンロバーナ1に対してタイマ入力部D1が一つ設けられる構成等、本願発明を適用するガスコンロの形態は種々変更できるものである。
【0075】
(2)上記実施形態では、加熱調理器としてガスコンロを例示したが、本発明は、加熱手段として、電磁誘導式加熱器を備える加熱調理器にも適用できるものである。
【0076】
(3)上記実施形態では、麺茹でモードにおける麺投入指令手段として機能する湯沸しスイッチ26Cにて、麺投入完了が指令される構成を例示したが、例えば、麺茹でモードにおいて、被加熱物検出センサSによる検出温度の上昇率が平衡状態となることにより沸騰状態を検出してこの沸騰状態の検出後において被加熱物検出センサSによる検出温度の所定値より大きい落ち込みを検出すると、麺投入完了が指令されたとする構成、つまり、被加熱物検出センサSが麺投入指令手段として機能する形態で実施してもよい。
【0077】
(4)上記実施形態では、湯沸しスイッチ26Cを、麺茹でモード指令手段や麺投入指令手段を兼用する場合を例示したが、麺茹でモード指令手段を構成する専用のスイッチや、麺投入指令手段を構成する専用のスイッチを設ける形態で実施してもよい。
【0078】
(5)加熱調理器として、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている形態を例示したが、加熱調理器としてビルトインタイプに限定されず、卓上に載置される形態の加熱調理器にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 コンロバーナ(加熱部)
26C 湯沸しスイッチ(麺茹でモード指令手段、麺投入指令手段)
30A 時間増加スイッチ(タイマ時間設定手段)
30B 時間減少スイッチ(タイマ時間設定手段)
30C タイマ時間表示部
30S 選択スイッチ(選択手段)
H 運転制御部
S 加熱物検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6