特許第6114088号(P6114088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114088
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル用架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20170403BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20170403BHJP
【FI】
   H02S20/10 B
   H02S20/10 C
   H02S20/10 J
   H02S20/10 M
   H02S20/30 A
   H02S20/30 E
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-72541(P2013-72541)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197610(P2014-197610A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504288535
【氏名又は名称】ホリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】高宮 章好
(72)【発明者】
【氏名】立花 秀男
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−170790(JP,A)
【文献】 特開2004−033204(JP,A)
【文献】 特開2011−082433(JP,A)
【文献】 特開2008−210711(JP,A)
【文献】 特開2012−036594(JP,A)
【文献】 特開2012−069929(JP,A)
【文献】 特表2012−516059(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3181778(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭と、長さ方向が鉛直方向又は略鉛直方向となっている前記基礎杭の前記頭部で支持されているとともに、ソーラーパネルが配置される下地フレームと、を含んで構成されるソーラーパネル用架台において、
前記下地フレームと、前記基礎杭の前記頭部との間に配置され、水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を中心に前記下地フレームを前記基礎杭に対して回動可能とするための第2回動手段を備えており、
前記回動中心軸の軸方向と直交する方向における前記基礎杭の本数は1本であり、この基礎杭と前記下地フレームとが、前記基礎杭から前記回動中心軸の軸方向と直交する方向における斜め上側へ延びている方杖部材により連結され、前記基礎杭と前記方杖部材の連結部と、前記下地フレームと前記方杖部材の連結部とのうち、少なくとも一方が、前記第2回動手段による前記下地フレームの前記基礎杭に対する回動に応じて位置調整可能になっており、
前記基礎杭と前記方杖部材の連結部と、前記下地フレームと前記方杖部材の連結部とが、上下方向に回動自在となっている回動連結部になっており、
前記下地フレームと、前記基礎杭の前記頭部との間に、鉛直方向又は略鉛直方向を軸方向とする回動中心軸を中心に前記下地フレームを前記基礎杭に対して回動可能とするための第1回動手段が設けられ、
前記基礎杭と前記方杖部材の前記連結部は、ボールジョイント手段による回動連結部となっていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項2】
請求項1に記載のソーラーパネル用架台において、前記ボールジョイント手段は、前記方杖部材に結合されたボールと、前記基礎杭に配置され、前記ボールを包持している包持体とを含んで構成されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項3】
請求項2に記載のソーラーパネル用架台において、前記包持体は、前記基礎杭の長さ方向に位置調整可能に前記基礎杭に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項4】
請求項3に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭には、この基礎杭の周囲に巻かれたバンド部材が配置され、前記包持体が取り付けられているこのバンド部材が、前記基礎杭の長さ方向に位置調整可能に前記基礎杭に配置されていることにより、前記包持体が、前記基礎杭の長さ方向に位置調整可能に前記基礎杭に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のソーラーパネル用架台において、前記下地フレームと、前記基礎杭の前記頭部との間に、水平のベース部から立上り部が鉛直に立ち上がったL字形状のブラケット部材が配置され、前記立上り部に形成された孔に前記第2回動手段の前記回動中心軸が挿入され、前記ベース部に形成された孔に前記第1回動手段の前記回動中心軸が挿入されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のソーラーパネル用架台において、前記第2回動手段の前記回動中心軸の軸方向と平行する方向における前記基礎杭の本数は複数本であり、これらの基礎杭ごとに前記第2回動手段及び前記第1回動手段が設けられていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項7】
請求項6に記載のソーラーパネル用架台において、前記下地フレームは、前記複数本の基礎杭ごとに設けられ、前記第2回動手段の前記回動中心軸の軸方向と直交する方向に延びている根太部材と、これらの根太部材の上側に配置され、前記第2回動手段の前記回動中心軸の軸方向と平行の方向に延びている梁部材とを含んで構成され、前記第2回動手段及び前記第1回動手段は、前記根太部材と前記基礎杭との間に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のソーラーパネル用架台において、前記第2回動手段及び前記第1回動手段は、それぞれの前記基礎杭の頭部に高さ位置調整可能に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項9】
請求項8に記載のソーラーパネル用架台において、それぞれの前記基礎杭の頭部に、前記第2回動手段及び前記第1回動手段が配置されたヘッド部材が取り付けられ、これらのヘッド部材の前記基礎杭における高さ位置が調整可能になっていることにより、前記第2回動手段及び前記第1回動手段が、それぞれの前記基礎杭の頭部に高さ位置調整可能に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のソーラーパネル用架台において、前記第2回動手段の前記回動中心軸及び前記第1回動手段の前記回動中心軸は、ボルトの軸部であることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電のためのソーラーパネルを地盤上に設置するためのソーラーパネル用架台に係り、例えば、大規模発電のためのメガソーラーシステムに利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光で発電するソーラーパネルを地盤上に設置するためには、ソーラーパネルをソーラーパネル用架台に取り付けることが行われ、このソーラーパネル用架台は、下記の特許文献1に示されているように、ソーラーパネルを配置するための下地フレームと、この下地フレームを頭部で支持し、この頭部を地上に残して地盤の内部に侵入し、長さ方向が鉛直方向又は略鉛直方向となっている基礎杭と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−69929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーラーパネルが配置される下地フレームは、太陽光発電効率を向上させるために、太陽に対する適切な仰角をもって基礎杭の頭部で支持されるが、この適切な仰角は、ソーラーパネル用架台が設置される場所についての地球上の緯度に応じて異なる。また、太陽の南中高度も季節によって変化するため、下地フレームの太陽に対する適切な仰角は、季節によっても異なる。
【0005】
本発明の目的は、地球上の緯度や季節に応じて下地フレームの太陽に対する仰角を調整することができるようになるソーラーパネル用架台を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るソーラーパネル用架台は、頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭と、長さ方向が鉛直方向又は略鉛直方向となっている前記基礎杭の前記頭部で支持されているとともに、ソーラーパネルが配置される下地フレームと、を含んで構成されるソーラーパネル用架台において、前記下地フレームと、前記基礎杭の前記頭部との間に配置され、水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を中心に前記下地フレームを前記基礎杭に対して回動可能とするための回動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
このソーラーパネル用架台は、下地フレームと、基礎杭の記頭部との間に配置された回動手段を備えたものとなっており、この回動手段は、水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を中心に下地フレームを基礎杭に対して回動可能とするものであるため、ソーラーパネル用架台が設置される場所の地球上の緯度や季節に応じて下地フレームの太陽に対する仰角を調整することができるようになる。
【0008】
本発明において、前記回動中心軸の軸方向と直交する方向における基礎杭の本数は、1本でもよく、間隔をあけた複数本でもよい。
【0009】
この本数を1本とする場合には、基礎杭と下地フレームとを、基礎杭から回動中心軸の軸方向と直交する方向における斜め上側へ延びている方杖部材により連結し、基礎杭と方杖部材の連結部と、下地フレームと方杖部材の連結部とのうち、少なくとも一方を、回動手段による下地フレームの基礎杭に対する回動に応じて位置調整可能とする。
【0010】
これによると、回動手段よる下地フレームの基礎杭に対する回動が行われても、基礎杭と下地フレームとを方杖部材により連結することができる。
【0011】
なお、基礎杭と方杖部材の連結部の位置を調整可能とすることは、連結部の位置を基礎杭に長さ方向に調整可能とすることであり、また、下地フレームと方杖部材の連結部の位置を調整可能とすることは、連結部の位置を前記回動中心軸の軸方向と直交する方向に調整可能とすることである。
【0012】
また、このように基礎杭と下地フレームとを、基礎杭から回動中心軸の軸方向と直交する方向における斜め上側へ延びている方杖部材により連結し、基礎杭と方杖部材の連結部と、下地フレームと方杖部材の連結部とのうち、少なくとも一方を、回動手段による下地フレームの基礎杭に対する回動に応じて位置調整可能とする場合には、基礎杭と方杖部材の連結部と、下地フレームと方杖部材の連結部とを、上下方向に回動自在となっている回動連結部とする。
【0013】
これによると、基礎杭と方杖部材の連結部と、下地フレームと方杖部材の連結部とが、上下方向に回動自在の回動連結部となっているため、前記回動手段よる下地フレームの基礎杭に対する回動が行われ、基礎杭と方杖部材の連結部と、下地フレームと方杖部材の連結部とのうち、少なくとも一方についての位置調整を行っても、方杖部材より基礎杭と下地フレームとを連結することができる。
【0014】
なお、上述のように回動手段よる下地フレームの基礎杭に対する回動が行われても、基礎杭と下地フレームとを方杖部材により連結することができるようにするためには、方杖部材を伸縮可能とし、これにより、方杖部材の長さ寸法を調整できるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明において、前記回動中心軸の軸方向と平行する方向における基礎杭の本数は、1本でもよく、間隔をあけた複数本でもよい。
【0016】
この本数を複数本とする場合には、これらの基礎杭ごとに前記回動手段を設ける。
【0017】
このように前記回動中心軸の軸方向と平行する方向における基礎杭の本数を複数本とし、これらの基礎杭ごとに回動手段を設ける場合には、一例として、下地フレームを、複数本の基礎杭ごとに設けられ、回動中心軸の軸方向と直交する方向に延びている根太部材と、これらの根太部材の上側に配置され、回動中心軸の軸方向と平行の方向に延びている梁部材とを含んで構成し、回動手段を、根太部材と基礎杭との間に配置してもよい。
【0018】
また、回動中心軸の軸方向と平行する方向における基礎杭の本数を複数本とする場合には、回動手段を、それぞれの基礎杭の頭部に高さ位置調整可能に配置してもよい。
【0019】
これによると、それぞれの基礎杭についての地盤の内部への打ち込み深さに相違が生じ、これにより、地表面から露出している基礎杭の上下長さが相違しても、それぞれの基礎杭の頭部における回動手段の高さ位置を調整することにより、これらの回動手段を介してそれぞれの基礎杭の頭部で下地フレームを支持することができる。
【0020】
このように回動中心軸の軸方向と平行する方向における本数が複数本となっているそれぞれの基礎杭の頭部に回動手段を高さ位置調整可能に配置するためには、一例として、それぞれの基礎杭の頭部に、回動手段が配置されたヘッド部材を取り付け、これらのヘッド部材の基礎杭における高さ位置を調整可能とすればよく、これにより、回動手段を、それぞれの基礎杭の頭部にヘッド部材を介して高さ位置調整可能に配置することができる。
【0021】
また、前述したように下地フレームと、基礎杭の記頭部との間に回動手段を配置し、この回動手段の水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を中心に下地フレームを基礎杭に対して回動可能とするためには、回動手段を任意の構造で構成することができる。その一例は、回動手段を、基礎杭の頭部に配置され、立上り部を有しているブラケット部材と、この立上り部に形成された孔及び下地フレームに形成された孔に軸部が挿入されたボルトとを含んで構成し、このボルトの軸部を回動中心軸とすることである。
【0022】
以上説明した本発明において、基礎杭は、任意の材料によって形成されたものでよく、この基礎杭は、角型鋼管や丸型鋼管によるものでもよく、あるいは、溝型鋼、H型鋼、I型鋼、L型鋼、Z型鋼等によるものでもよい。
【0023】
また、地盤の内部に侵入する基礎杭の先部の形状を、水平方向の幅寸法が下向きに次第に小さくなる先細り形状としてもよい。これによると、地盤の内部へ基礎杭を打ち込むときに、地盤からの抵抗力を小さくできる。
【0024】
さらに、基礎杭の全長のうち、地盤の内部に侵入する部分に、この地盤からの基礎杭の抜け出しに対する抵抗力を生じさせるための抜け出し抵抗力発生部を設けてもよい。これによると、例えば、太陽に対する仰角を確保するために水平方向に対し傾斜して下地フレームに配置されたソーラーパネルが後方からの風圧を受けても、地盤の内部に打ち込まれた基礎杭が地盤から抜け出すことを有効に阻止することができる。
【0025】
このような抜け出し抵抗力発生部は、任意の形状のものとして基礎杭に設けることができ、その一例の抜け出し抵抗力発生部は、基礎杭に対して上向きに末広がり状に傾斜した形状で形成されたものである。そして、この抜け出し記抵抗力発生部は、基礎杭の一部の切り起こし加工により形成してもよく、基礎杭に抜け出し抵抗力発生部材を結合することによって形成してもよい。
【0026】
さらに、基礎杭の長さ方向の途中であって地盤の地表面の位置と対応する箇所に、基礎杭が地盤の内部に侵入することに対する抵抗力を発生させる侵入抵抗力発生部を設けてもよい。これによると、基礎杭を杭打ち機等の装置により地盤の内部に侵入させる作業を行うときに、侵入抵抗力発生部により、地盤の内部への基礎杭の侵入深さ(基礎杭の打ち込み深さ)を正確に設定できるようになる。
【0027】
このような侵入抵抗力発生部は、任意の形状のものとして基礎杭に設けることができ、その一例の侵入抵抗力発生部は、基礎杭に結合された水平又は略水平の板状部材により形成されたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、地球上の緯度や季節に応じて下地フレームの太陽に対する仰角を調整することができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るソーラーパネル用架台を示す斜視図である。
図2図2は、地盤を二点鎖線で示したソーラーパネル用架台の正面図である。
図3図3は、図2のソーラーパネル用架台を真上から見た平面図である。
図4図4は、ソーラーパネル用架台の基礎杭と下地フレームとの連結構造を示すソーラーパネル用架台の要部の斜視図である。
図5図5は、基礎杭と方杖部材との連結部を示す図4のS5−S5線断面図である。
図6図6は、基礎杭に対して下地フレームが、鉛直方向又は略鉛直方向を軸方向とする回動中心軸を有している回動手段により回動可能となっていることを示す平面図である。
図7図7は、基礎杭に対して下地フレームが、水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を有している回動手段により回動可能となっていることを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係るソーラーパネル用架台の全体の斜視図が示され、図2には、平地の地盤に設置されたソーラーパネル用架台の正面図が示されている。
【0031】
図1に示されているように、ソーラーパネル用架台は、ソーラーパネルを配置するための下地フレーム1と、この下地フレーム1を頭部で支持し、この頭部を地上に残して図2の平地の地盤2の内部に鉛直又は略鉛直に侵入している基礎杭3と、を含んで構成されている。本実施形態において、長さ方向が鉛直方向又は略鉛直方向となっている基礎杭3の前後方向の本数は、1本であり、基礎杭3の左右方向における本数は、複数本(図示例では3本)となっている。なお、本実施形態における左右方向とは、下地フレーム1の長さ方向のことであり、前後方向とは、下地フレーム1の長さ方向と直交する方向のことである。
【0032】
図2に示されているように、地盤2に左右方向の間隔をあけて打ち込み配置されているそれぞれの基礎杭3について、地盤2の地表面2Aから露出している上側の上下長さは、同じになっている。すなわち、長さ寸法が同じになっているそれぞれの基礎杭3について、地盤2の内部への打ち込み深さは同じになっている。
【0033】
図3は、図2のソーラーパネル用架台を真上から見た平面図であり、この図3には、基礎杭3を配置すべき位置を示す通り芯Lを、例えば、墨だし作業により地表面2Aに表示することが示されている。
【0034】
すなわち、本実施形態では、それぞれの基礎杭3を地盤2に打ち込む作業を行なう前に、左右方向へ延びる通り芯Lを地表面2Aに設定する作業が行なわれ、次いで、この通り芯Lにしたがった位置において、それぞれの基礎杭3を左右方向の同じ間隔をあけて打ち込む作業を行い、この打ち込み作業のときに、それぞれの基礎杭3における地表面2Aから露出する上側の上下長さを同じとする。
【0035】
本実施形態におけるそれぞれの基礎杭3は、図1から分かるように前後のフランジ部3A,3Bと、互いに平行になっているこれらのフランジ部3A,3Bを繋ぐウエブ部3CとからなるH型鋼によるものとなっている。このため、図3から分かるように、基礎杭3の前後面となっているフランジ部3A,3Bの外面が通り芯Lと平行になるようにして、それぞれの基礎杭3の打ち込み作業を行わなければならない。
【0036】
言い換えると、本実施形態におけるそれぞれの基礎杭3は、この基礎杭3の長さ方向と直交する断面の形状が非円形となっているH型鋼によるものであるため、フランジ部3A,3Bは、基礎杭3の平坦となっている平坦面を形成するものとなっており、本来、これらの平坦面が通り芯Lと平行になるようにして、それぞれの基礎杭3の打ち込み作業を行うべきである。
【0037】
そして、この打ち込み作業後に行うそれぞれの基礎杭3の頭部で下地フレーム1を支持するための作業は、図3に示されているように、平面視で四隅が直角の平行四辺形となっている下地フレーム1の前辺部1A及び後辺部1Bが通り芯Lと平行になるように行わなければならない。
【0038】
図1図3に示されているように、下地フレーム1は、それぞれの基礎杭3ごとに設けられていて、前後方向に延びる長さを有している根太部材4と、根太部材4の上側においてこれらの根太部材4に跨って配置され、下地フレーム1の長さ方向となっている左右方向に延びている梁部材5とを含んで構成されており、この梁部材5は、互いに平行となって前後方向に複数本(図示例では4本)設けられている。そして、それぞれの梁部材5は、それぞれの根太部材4の上に配置されていて、左右方向の寸法が短い第1短寸法部材5Aと、これらの第1短寸法部材5A同士の間に架け渡されていて、左右方向の寸法が長い長寸法部材5Bと、左右方向に複数本となっている基礎杭3のうち、右端の基礎杭3に配置された第1短寸法部材5Aの右側の端部に連結されていて、左右方向の寸法が短い第2短寸法部材5Cと、左端の基礎杭3に配置された第1短寸法部材5Aの左側の端部に連結されていて、左右方向の寸法が短い第3短寸法部材5Dとで構成され、第2短寸法部材5Cの左右方向長さと、第3短寸法部材5Dの左右方向長さは、同じである。言い換えると、第2短寸法部材5Cと第3短寸法部材5Dは、同じ部材となっている。
【0039】
図4には、下地フレーム1と基礎杭3との連結構造が示されている。この図4に示されているように、それぞれの基礎杭3の頭部にはヘッド部材6が取り付けられている。このヘッド部材6は、H型鋼で形成された基礎杭3のフランジ部3Aの外面と対面している前プレート6Aと、基礎杭3のフランジ部3Bの外面と対面している後プレート6Bと、これらの2個のプレート6A,6Bの幅方向端部同士を連結している連結プレート6Cと、これらの3個のプレート6A,6B,6Cの上端に結合された水平のヘッドプレート6Dとからなる。ヘッド部材6は基礎杭3の頭部にボルト7A及びナット7Bによる締結具7により結合され、前プレート6Aと後プレート6Bには、ボルト7Aの軸部が挿通された上下に長い長孔8が形成されており、このボルト7Aの軸部は基礎杭3のフランジ部3A,3Bに形成された孔に挿入されており、これらの孔から突出したボルト7Aの軸部の先端にナット7Bを螺合して締め付けることにより、ヘッド部材6は基礎杭3の頭部に締結具7で結合されている。
【0040】
また、ナット7Bを緩めることにより、長孔8の長さ分だけ基礎杭3におけるヘッド部材6の高さ位置を上下方向に調整することができる。
【0041】
ヘッド部材6のヘッドプレート6Dには、ブラケット部材9を介して根太部材4が取り付けられている。このブラケット部材9は、水平のベース部9Aから立上り部9Bが鉛直に立ち上がったL字形状となっており、ベース部9Aは、ヘッド部材6のヘッドプレート6Dにボルト10A及びナット10B(図7を参照)による止着具10により止着されている。このため、ボルト10Aの軸部10C(図6及び図7を参照)は、ベース部9Aの孔とヘッドプレート6Dの孔とに上から挿入され、ボルト10Aの軸部10Cの先端に、ヘッドプレート6Dの下面側において、ナット10Bが螺合されており、このナット10Bを緩めることにより、ブラケット部材9は、鉛直方向が軸方向となっているボルト10Aの軸部10Cを中心に回動可能となる。このため、ボルト10Aの軸部10Cは、ブラケット部材9を基礎杭3に対して水平方向へ回動させることができる回動中心軸となっている。
【0042】
図4に示されているように、ブラケット部材9の立上り部9Bには、根太部材4がボルト11A及びナット11B(図6を参照)による締結具11により結合されている。この結合は、ボルト11Aの軸部11C(図7を参照)を、立上り部9Bに水平方向に長く形成されている長孔9Cと、根太部材4に形成されている孔とに挿入し、この孔から突出したボルト11Aの軸部11Cの先端にナット11Bを螺合して締め付けることにより行なわれている。本実施形態に係る根太部材4は、図4に示されているように、Z型鋼によるものとなっている。このため、この根太部材4は、上下のフランジ部4A,4Bと、上側のフランジ部4Aの幅方向の一方の端部と下側のフランジ部4Bの幅方向の他方の端部とを繋ぐウエブ部4Cとからなり、このウエブ部4Cにおいて、根太部材4は締結具11によりブラケット部材9に結合されている。
【0043】
そして、根太部材4は、長孔9Cの長さ分だけブラケット部材9に対して、言い換えると、基礎杭3に対して水平方向へ位置調整自在となっている。また、ナット11Bを緩めることにより、根太部材4が、言い換えると、この根太部材4が構成部材となっている下地フレーム1が、ボルト11Aの軸部11Cを回動中心軸として基礎杭3に対し上下方向に回動可能となっている。
【0044】
そして、ボルト11Aの軸部11Cは、水平方向であって、左右方向に延びる軸となっており、このように左右の水平方向を軸方向としている軸部11Cを中心に下地フレーム1は、基礎杭3に対して上下方向に回動可能となっている。
【0045】
また、本実施形態では、ボルト11Aの軸部11Cの軸方向と直交する方向になっている前後方向については、前述したように基礎杭3の本数は、1本となっており、ボルト11Aの軸部11Cの軸方向と平行する左右方向については、基礎杭3の本数は、間隔をあけた複数本となっている。
【0046】
また、図4から分かるように、前述した梁部材5の第1短寸法部材5Aには、長寸法部材5Bと、第2短寸法部材5Cと、第3短寸法部材5Dとが、ボルト12A及びナット12Bによる締結具12により結合されている。このように第1短寸法部材5Aと、長寸法部材5Bと、第2短寸法部材5Cと、第3短寸法部材5Dとで形成されている梁部材5もZ型鋼によるものとなっているため、梁部材5は、上下のフランジ部13,14と、上側のフランジ部13の幅方向の一方の端部と下側のフランジ部14の幅方向の他方の端部とを繋ぐウエブ部15とからなる。
【0047】
図4から分かるように、それぞれの根太部材4ごとに配置されている第1短寸法部材5Aは、根太部材4にボルト16A及びナット16Bによる締結具16により結合されている。この結合構造は、図7に示されている。ボルト16Aの軸部16Cは、第1短寸法部材5Aの下側のフランジ部14に形成された孔17と根太部材4の上側のフランジ部4Aに形成された孔18とに上から挿入され、ボルト16Aの軸部16Cの先端にナット16Bを螺合して締め付けることにより、根太部材4に第1短寸法部材5Aが、言い換えると、この第1短寸法部材5Aが構成部材となっている梁部材5が結合されている。そして、孔17と孔18とのうち、一方は下地フレーム1の長さ方向である左右方向に長い長孔となっている。
【0048】
このため、この長孔により、梁部材5は根太部材4に対して左右方向へ位置調整可能となっている。
【0049】
図4に示されているように、基礎杭3の上下の長さ方向の途中箇所と、根太部材4の長さ方向の途中箇所であって、基礎杭3の真上から外れた箇所とは、基礎杭3から斜め上側へ延びる長さを有している方杖部材20によって連結されている。延び方向が前後方向となっているこの方杖部材20は、本実施形態ではチャンネル材によるものであり、方杖部材20の先端部は、ボルト及びナットによる締結具21により根太部材4に連結され、また、方杖部材20の基端部は、図5に示されているように、ボールジョイント手段22により基礎杭3に連結されている。すなわち、図5図4のS5−S5線断面図であり、この図5に示されているように、基礎杭3には、この基礎杭3の周囲に巻かれて両端部がボルト23A及びナット23Bによる締結具23で結合されているバンド部材24が配置され、締結具23の締付力で基礎杭3に固定されているこのバンド部材24に、方杖部材20の基端部に結合されたボール25を包持しているボール包持体26が取り付けられている。このため、方杖部材20は、基端部のボール25を中心として基礎杭3に対し左右方向や上下方向に回動自在となっており、ボールジョイント手段22は、方杖部材20の基端部と基礎杭3とを回動自在に連結するための回動連結部となっている。
【0050】
なお、本実施形態におけるボール包持体26は、それぞれの内部にボール25の形状と対応する半球状の凹部が形成され、これらの凹部でボール25を滑動自在に保持している2個の半部材26A,26Bと、これらの半部材26A,26B同士を結合しているボルト27を含んで構成されたものとなっている。
【0051】
前述したように、下地フレーム1は、それぞれの基礎杭3ごとに設けられている根太部材4と、これらの根太部材4の上側において、これらの根太部材4と角度をなして根太部材4に締結具16で結合された梁部材5とを含んで構成されており、この下地フレーム1には、図3の二点鎖線で示す複数個のソーラーパネルSPが配置される。このソーラーパネルSPは、本実施形態では、左右方向には7個、前後方向には2個配置されている。これらのソーラーパネルSPは、梁部材5の上面を形成している上側のフランジ部13に載せられているとともに、このフランジ部13に形成されている孔に挿入されるボルトにより、フランジ部13に固定して配置される。
【0052】
このため、下地フレーム1のうち、梁部材5の上側のフランジ部13は、ソーラーパネルSPを配置するためのソーラーパネル配置面を形成するものとなっている。
【0053】
なお、以上の説明から分かるように、本実施形態に係るソーラーパネル用架台によると、ソーラーパネルSPを配置するための下地フレーム1を構成する梁部材5は、第1短寸法部材5Aと、長寸法部材5Bと、第2短寸法部材5Cと、第3短寸法部材5Dとにより形成されるものとなっているため、基礎杭3及び長寸法部材5Bの個数や、基礎杭3の頭部に配置される根太部材4等の個数を増やすだけにより、言い換えると、別種の部材を追加することなく、ソーラーパネル用架台の左右方向の寸法を大きくすることができ、配置することが要求されるソーラーパネルの個数に対応した任意の左右寸法を有するソーラーパネル用架台を製作できるため、大規模発電のためのメガソーラーシステムのために、本実施形態に係るソーラーパネル用架台を適用することができる。
【0054】
本実施形態のソーラーパネル用架台を図2の地盤2に設置するためには、前述したように、最初に、地盤2の地表面2Aに左右方向へ延びる通り芯Lを墨だし作業等で表示し、次いで、この通り芯Lにしたがったそれぞれの位置において、杭打ち機等の装置により、それぞれの基礎杭3を左右方向の同じ間隔をあけて地盤2の内部に鉛直又は略鉛直に打ち込む作業を行い、この後に、地表面2Aから露出している上下長さが同じになっているそれぞれの基礎杭3の頭部に締結具7で結合されているそれぞれのヘッド部材6に、ブラケット部材9、止着具10及び締結具11により根太部材4を取り付け、これらの根太部材4に締結具16により梁部材5の第1短寸法部材5Aを結合し、この第1短寸法部材5Aに長寸法部材5B、第2短寸法部材5C、第3短寸法部材5Dを締結具12で結合することにより、根太部材4の上に、この根太部材4と角度をなす梁部材5を形成する。
【0055】
また、それぞれの基礎杭3と根太部材4との間に方杖部材20を架け渡す作業を行い、この作業を行うことにより、基礎杭3の本数が前後方向に1本となっていても、基礎杭3から前後方向における上側へ延びている方杖部材20により、下地フレーム1を有効に支持することができる。
【0056】
上述のように、通り芯Lにしたがったそれぞれの位置において、杭打ち機等の装置により、それぞれの基礎杭3を地盤2の内部に打ち込む際に、基礎杭3が、鉛直方向に延びる軸を中心とした回動方向へのずれ角度をもって打ち込まれる場合があり、図6には、このずれ角度αが示されている。このようなずれ角度αが生ずると、H型鋼で形成されている基礎杭3の平坦面となっている前後のフランジ部3A,3Bが、通り芯Lと平行にならず、このままの状態でそれぞれの基礎杭3の頭部で下地フレーム1を支持させても、図3に示されている下地フレーム1の前辺部1Aと後辺部1Bが通り芯Lと平行にならない。
【0057】
しかし、本実施形態では、それぞれの基礎杭3の頭部と下地フレーム1との間に、図4及び図6で示されているブラケット部材9と止着具10とで構成される回動手段Aが設けられており、この回動手段Aは、止着具10の構成要素となっているボルト10Aの軸部10Cを中心に下地フレーム1を基礎杭3に対して回動させることができるものとなっており、そして、ボルト10Aの軸部10Cは、鉛直方向が軸方向となっている。このため、この軸部10Cを中心軸にして下地フレーム1を基礎杭3に対し水平方向に回動させることにより、下地フレーム1を、基礎杭3の頭部において、ずれ角度αの影響を受けることなく、下地フレーム1の長さ方向を左右方向にして支持することができ、この後に、止着具10の前述したナットの締め付け作業を行う。
【0058】
すなわち、本実施形態によると、回動手段Aは、ボルト10Aの軸部10Cが鉛直方向又は略鉛直方向を軸方向とする回動中心軸となって、基礎杭3のずれ角度αの影響をなくしながら下地フレーム1を基礎杭3の頭部で支持させることができるものとなっており、この回動手段Aによる下地フレーム1の基礎杭3に対する回動により、下地フレーム1の前辺部1Aと後辺部1Bとを通り芯Lと平行にさせて、この下地フレーム1をそれぞれの基礎杭3の頭部で支持させることができる。
【0059】
なお、以上のように本実施形態では、それぞれの基礎杭3の頭部と下地フレーム1との間には、ボルト10Aの軸部10Cを鉛直方向又は略鉛直方向に延びる回動中心軸にして、基礎杭3のずれ角度αの影響をなくしながら下地フレーム1を基礎杭3の頭部で支持させることができる回動手段Aが設けられているため、基礎杭3の頭部に締結具7で結合されるヘッド部材6や、このヘッド部材6の上面に配置される回動手段Aを基礎杭3に取り付けるための作業を予め工場で行っておき、これにより、ソーラーパネル用架台の施工現場で行う作業の工数を削減することができる。
【0060】
しかし、ヘッド部材6や回動手段Aを基礎杭3に取り付けるための作業を工場で行わず、地盤2の地表面2Aに通り芯Lを設定する作業や基礎杭3の打ち込み作業が行なわれるソーラーパネル用架台の施工現場において行うようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、下地フレーム1と基礎杭3とを連結するために、基礎杭3から斜め上側へ延びている方杖部材20が、この方杖部材20と基礎杭3との連結部が図5のボールジョイント手段22による回動連結部となって基礎杭3に連結されており、この回動連結部は、方杖部材20を基礎杭3に対して回動自在に連結するものとなっているため、図6のずれ角度αが基礎杭3に生じていても、このずれ角度αの影響を受けることなく、下地フレーム1と基礎杭3とを所定どおり方杖部材20で連結して、この方杖部材20と基礎杭3とにより下地フレーム1を支持することができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、それぞれの基礎杭3の頭部で下地フレーム1を支持するために、これらの基礎杭3の頭部と下地フレーム1との間には、図4及び図7で示されているブラケット部材9と締結具11で構成される回動手段Bが設けられており、この回動手段Bは、締結具11の構成要素となっているボルト11Aの軸部11Cを中心に下地フレーム1を基礎杭3に対して回動させることができるものとなっており、そして、ボルト11Aの軸部11Cは、左右の水平方向が軸方向となっているものである。
【0063】
このため、ボルト11Aの軸部11Cを回動手段Bの回動中心軸として、下地フレーム1を基礎杭3に対して上下に回動させることにより、下地フレーム1の太陽に対する仰角を、本実施形態に係るソーラーパネル用架台が設置される場所の地球上の緯度に応じた適切な大きさに変更、設定することができ、この後に、締結具11のナット11Bを行うことにより、下地フレーム1の太陽に対する仰角をその大きさで固定することができる。
【0064】
また、地球上の緯度が同じ場所であっても、太陽の南中高度は季節によって変化するため、上述のように回動手段Bによって下地フレーム1の太陽に対する仰角を変更することは、季節が変化するときに行うようにしてもよい。
【0065】
このため、本実施形態によると、ソーラーパネル用架台が設置される場所の地球上の緯度や季節に応じて、下地フレーム1の太陽に対する仰角を回動手段Bによって調整することができ、これにより、太陽光発電効率を向上させることができる下地フレーム1の太陽に対する最適の仰角を選択できることになる。
【0066】
また、本実施形態では、方杖部材20の基端部は、図5のボールジョイント手段22と、締結具23による締め付けで基礎杭3に取り付けられているバンド部材24とにより、下地フレーム1に結合されているため、太陽に対する適切な仰角を下地フレーム1に付与するために、この下地フレーム1を回動手段Bにより基礎杭3に対して上下に回動させるときには、締結具23のナット23Bを緩めることによってバンド部材24の基礎杭3における高さ位置を調整した後に、ナット23Bの締め付け作業を行うことにより、基礎杭3における方杖部材20の基端部の高さ位置を、下地フレーム1の仰角と対応した適切な位置に変更することができる。
【0067】
そして、このように基礎杭3における方杖部材20の基端部の高さ位置を変更、調整するときにおいて、方杖部材20の基端部と基礎杭3との連結部は、ボールジョイント手段22による上下に回動可能の回動連結部となっているため、この変更、調整作業を所定どおり行えることになる。
【0068】
また、方杖部材20と下地フレーム1との連結部は、図4で説明したようにボルト及びナットによる締結具21で構成されており、この連結部も締結具21のボルトの軸部を中心に上下に回動可能の回動連結部となっているため、基礎杭3における方杖部材20の基端部の高さ位置を下地フレーム1の仰角と対応した適切な位置に変更する作業を、方杖部材20の基端部と基礎杭3との回動連結部の回動と、方杖部材20と下地フレーム1との回動連結部の回動とにより、基礎杭3と下地フレーム1とを方杖部材20によって連結した状態で行える。
【0069】
さらに、以上説明した2個の回動手段AとBは、基礎杭3の頭部に下地フレーム1を支持させるために、これらの基礎杭3と下地フレーム1との間に配置されたL字形状のブラケット部材9を共通の構成部材として構成されたものとなっており、このため、このブラケット部材9により、下地フレーム2を基礎杭3に対し、鉛直方向又は略鉛直方向を軸方向とする回動中心軸を中心に水平方向に回動可能とするための第1回動手段Aを構成できるとともに、ブラケット部材9により、下地フレーム2を基礎杭3に対し、水平方向又は略水平方向を軸方向とする回動中心軸を中心に上下方向に回動可能とするための第2回動手段Bも構成でき、このため、これらの第1及び第2回動手段A,Bの構造の簡単化を図ることができる。
【0070】
また、地盤2に打ち込まれるそれぞれの基礎杭3は、地盤2の地表面2Aから上側へ露出する上下長さを同じにしなければならないが、それぞれの基礎杭3の打ち込み深さに誤差があるために、この上下長さに相違があるときには、図4のヘッド部材6に形成した上下に長い長孔8により、この上下長さの相違を解消することができる。
【0071】
すなわち、本実施形態では、第2回動手段Bはヘッド部材6の上面に配置されたものとなっているため、この第2回動手段Bは、ヘッド部材6を介して基礎杭3の頭部に配置されており、このヘッド部材6の基礎杭3における高さ位置は、長孔8により変更、調整可能となっているため、第2回動手段Bの回動中心軸となっているボルト11の軸部11Cの軸方向と平行になっている左右方向の基礎杭3の本数が複数本となっていて、これらの基礎杭3の打ち込み深さに誤差があるために、地表面2Aから上側へ露出するそれぞれの基礎杭3の上下長さに相違がある場合には、ヘッド部材6の長孔8により、それぞれの基礎杭3ごとに設けられている第2回動手段Bの高さ位置を同じにすることができ、これにより、これらの第2回動手段Bを介してそれぞれの基礎杭3の頭部で下地フレーム1を支持することができる。
【0072】
さらに、左右方向に複数本が配置されるそれぞれ基礎杭3が、図3で示した通り芯Lに対して前後方向に正確に配置されておらず、これらの基礎杭3の打ち込み位置に前後方向のずれが生じているときには、このずれをブラケット部材9の長孔9Cにより解消することができる。
【0073】
また、それぞれの基礎杭3の左右方向の間隔が所定の大きさとなっておらず、この間隔に誤差が生じているときには、この誤差を、図7で説明した孔17と孔18とのうち、下地フレーム1の長さ方向である左右方向に長い長孔となっている孔により、解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、地盤に設置されるソーラーパネル用架台に利用することができ、大規模発電のためのメガソーラーシステムにも利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 下地フレーム
2 地盤
2A 地表面
3 基礎杭
4 根太部材
5 梁部材
9 ブラケット部材
9B 立上り部
10C 軸方向が鉛直方向又は略鉛直方向となっている第1回動手段の回動中心軸であるボルトの軸部
11C 軸方向が水平方向又は略水平方向となっている第2回動手段の回動中心軸であるボルトの軸部
20 方杖部材
21 下地フレームと方杖部材との回動可能の回動連結部を構成しているボルト及びナットによる締結具
22 基礎杭と方杖部材との回動連結部となっているボールジョイント手段
A 第1回動手段
B 第2回動手段
SP ソーラーパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7