特許第6114216号(P6114216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6114216包装機における原反ロールのフィルム接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114216
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】包装機における原反ロールのフィルム接続方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/18 20060101AFI20170403BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B65H19/18
   B65H19/12 B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-44367(P2014-44367)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-168514(P2015-168514A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】井上 清和
(72)【発明者】
【氏名】竹島 義人
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−79495(JP,A)
【文献】 特開2000−264509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H19/00−19/30、21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中の原反ロールを取り外して収容位置に収容すると共に該収容位置に収容された新たな原反ロールに自動交換して、新たな原反ロールのフィルムを自動接続するようにした包装機における原反ロールのフィルム接続方法であって、
ロボットにおける第1アーム部に接続された第1支持部によって回転可能に支持された原反ロールからフィルム成形手段に向けて引き出されて、展張されたフィルムを保持手段で保持し、
前記ロボットにおける第2アーム部に接続された第2支持部によって支持された工具ユニットに配設された切断手段により、前記フィルムを前記保持手段による保持位置よりもフィルム搬送方向上流側で切断し、
前記第1アーム部を動作して、前記フィルムを切断した原反ロールを搬送して収容位置に収容し、
該収容位置に収容されている新たな原反ロールを前記第1支持部で支持すると共に前記第1アーム部を動作することで搬送して、該原反ロールにおけるフィルムの始端部を前記保持手段で保持されているフィルムの終端部に押し付けて両フィルムを接続し、
前記第1アーム部を動作して、前記第1支持部で支持した前記新たな原反ロールを両フィルムの接続位置から離間した位置で位置決めし、該原反ロールの回転を許容した状態で第1支持部により支持するようにした
ことを特徴とする包装機における原反ロールのフィルム接続方法。
【請求項2】
前記第1支持部で支持した前記原反ロールを水平な軸周りに回転させて前記切断手段で切断したフィルムを巻き取る際に、前記第2支持部に装着された工具ユニットに配設された押圧手段によって該原反ロールの周面を押さえるようにしたことを特徴とする請求項1記載の包装機における原反ロールのフィルム接続方法。
【請求項3】
前記ロボットは、前記第2アーム部を動作して、前記保持手段で保持されたフィルムに対して前記切断手段による切断予定位置よりもフィルム搬送方向上流側に、前記第2支持部に装着した工具ユニットに配設された接着準備手段により乾燥固化型接着剤を付与し、
前記フィルムを前記保持手段による保持位置と乾燥固化型接着剤の付与位置との間で前記第2支持部に装着した工具ユニットに配設された切断手段により切断した後、前記第1支持部で支持した前記原反ロールを水平な軸周りに回転させて前記切断手段で切断したフィルムを巻き取るようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の包装機における原反ロールのフィルム接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原反ロールを自動交換して、新旧のフィルムを自動接続し得る包装機における原反ロールのフィルム接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原反ロールから引き出したフィルムを成形して包装する包装機においては、使用中の原反ロールのフィルムが終了する際や、パッケージデザインやフィルム仕様の変更等の包装品種を変える際などに、フィルム接続装置によって、使用していた原反ロールのフィルムを切断して新たな原反ロールに交換し、新たな原反ロールにおけるフィルムの始端部を、フィルム供給路に残されたフィルムの終端部に接続することが行われる。このようなフィルムの接続作業は、できるだけ作業者の手間がかからないように自動化することが望まれており、例えば特許文献1のように、ロボットによって新たな原反ロールをパレタイズステーションからフィルム接続装置に供給し、ロボットによってフィルムが空になったリールをパレタイズステーションに排出する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−264509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の装置では、ロボットがパレットとフィルム接続装置の間で原反ロールを搬送するのに用いられるだけであり、新旧のフィルムの接続作業にロボットが活用されていない。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、ロボットを活用した包装機における原反ロールのフィルム接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の包装機における原反ロールのフィルム接続方法は、
使用中の原反ロールを取り外して収容位置に収容すると共に該収容位置に収容された新たな原反ロールに自動交換して、新たな原反ロールのフィルムを自動接続するようにした包装機における原反ロールのフィルム接続方法であって、
ロボットにおける第1アーム部に接続された第1支持部によって回転可能に支持された原反ロールからフィルム成形手段に向けて引き出されて、展張されたフィルムを保持手段で保持し、
前記ロボットにおける第2アーム部に接続された第2支持部によって支持された工具ユニットに配設された切断手段により、前記フィルムを前記保持手段による保持位置よりもフィルム搬送方向上流側で切断し、
前記第1アーム部を動作して、前記フィルムを切断した原反ロールを搬送して収容位置に収容し、
該収容位置に収容されている新たな原反ロールを前記第1支持部で支持すると共に前記第1アーム部を動作することで搬送して、該原反ロールにおけるフィルムの始端部を前記保持手段で保持されているフィルムの終端部に押し付けて両フィルムを接続し、
前記第1アーム部を動作して、前記第1支持部で支持した前記新たな原反ロールを両フィルムの接続位置から離間した位置で位置決めし、該原反ロールの回転を許容した状態で第1支持部により支持するようにしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、原反ロールをロボットにおいて第1アーム部により動作する第1支持部で支持すると共に、切断手段が配設された工具ユニットをロボットにおいて第2アーム部により動作する第2支持部に装着して、使用中の原反ロールから引き出されたフィルムを切断手段で切断してから該原反ロールを収容位置に収容した後に、新たな原反ロールにおけるフィルムの始端部とフィルムの終端部との接続までの一連の作業を、ロボットによって行うことで、原反ロールの自動交換およびフィルムの自動接続における設計などの自由度を広げることができる。すなわち、原反ロールの種類やサイズなどが違っても、ロボットによって原反ロールに合わせて交換、搬送および接続の各作業を行うことができると共に、第1支持部で原反ロールを回転可能に支持してフィルム成形手段へ向けたフィルムの供給を許容し得る。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記第1支持部で支持した前記原反ロールを水平な軸周りに回転させて前記切断手段で切断したフィルムを巻き取る際に、前記第2支持部に装着された工具ユニットに配設された押圧手段によって該原反ロールの周面を押さえるようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、原反ロールを自動交換する際に、原反ロールの周面を押圧手段で押さえながら該原反ロールを回転して、切断したフィルムを巻き取ることから、原反ロールを収容位置に収容するときや、該原反ロールを収容位置から取り出して再使用するときなどに、フィルムが巻き崩れることを防止できる。すなわち、新旧のフィルムを自動接続する際に、両フィルムを位置ずれなく良好に接続することができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記ロボットは、前記第2アーム部を動作して、前記保持手段で保持されたフィルムに対して前記切断手段による切断予定位置よりもフィルム搬送方向上流側に、前記第2支持部に装着した工具ユニットに配設された接着準備手段により乾燥固化型接着剤を付与し、
記フィルムを前記保持手段による保持位置と乾燥固化型接着剤の付与位置との間で前記第2支持部に装着した工具ユニットに配設された切断手段により切断した後、前記第1支持部で支持した前記原反ロールを水平な軸周りに回転させて前記切断手段で切断したフィルムを巻き取るようにしたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、原反ロールを自動交換する際に、切断したフィルムを巻き取ることで乾燥固化型接着剤によりフィルムの始端部を接着することから、原反ロールを収容位置に収容するときや、該原反ロールを収容位置から取り出して再使用するときなどに、フィルムが巻き崩れることをより好適に防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る包装機における原反ロールのフィルム接続方法によれば、ロボットを活用してフィルムを良好に接続し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るフィルム処理装置を備えた横形製袋充填機の全体構成を示す概略側面図であり、新旧のフィルムを接続している状況を示す。
図2】実施例のフィルム処理装置の要部を示す概略平面図である。
図3】(a)は原反ロールが使用位置にある状況を示す要部概略側面図であり、(b)は原反ロールが展張位置にある状況を示す要部概略側面図である。
図4】(a)は実施例の第1工具ユニットを示す概略斜視図であり、(b)は実施例の第2工具ユニットを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る係る包装機における原反ロールのフィルム接続方法につき、実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0012】
図1に示すように、実施例に係るフィルム処理装置を備えた横形製袋充填機からなる包装機は、ロボットRによって回転可能に支持された原反ロール10から製袋手段(フィルム成形手段)12に向けて、フィルム供給手段によって展張するように帯状のフィルムFを引き出し、製袋手段12によって、そのフィルムFの両側端縁を重ね合わせるように筒状に成形すると共に、そのフィルムF内にコンベヤ等の物品供給手段14によって所定間隔毎に物品Gを供給する。そして、フィルム供給手段と協働する移送手段16の回転駆動によって、筒状フィルムFを物品Gと共に搬送しつつ、筒状フィルムFの重合端縁部に縦シール手段18で縦シールを施し、更に物品Gを挟む筒状フィルムFの前後位置に横シール手段20によって搬送方向と交差する方向に横シールを施すと共に切断して包装品Hを得る。包装機では、ロボットRが使用中の原反ロール10から新たな原反ロール10に自動交換し、またロボットRが原反ロール10から製袋手段12までのフィルム供給部22に保持された使用中のフィルムFの終端部と新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部を自動接続する。
【0013】
図3(a)に示すように、前記フィルム供給手段は、ロボットRにより物品供給手段14の上方となる所定の使用位置で水平方向に向いた軸周りに回転可能に位置決め支持された原反ロール10の前斜め下方に配置され、図示しないサーボモータなどによって回転駆動される駆動ローラ24とゴムローラ26となどからなる繰出し手段で構成される。使用位置にある原反ロール10から引き出されたフィルムFは、駆動ローラ24の周面に巻き掛けられ、該駆動ローラ24の前斜め上方に対向配置されたゴムローラ26の周面に、下方に配置された製袋手段12に向かうように巻き掛けられる。このように、原反ロール10から製袋手段12までのフィルム供給部22は、原反ロール10から引き出されたフィルムFがガイドローラを介すことなく繰出し手段に直接巻き掛けられ、繰出し手段から製袋手段12にフィルムFが直接受け渡される。そして、駆動ローラ24、ゴムローラ26および該駆動ローラ24を回転駆動する駆動手段のサーボモータ(図示せず)などが一体となって前後位置および上下位置へのスライド移動調節可能に本体フレーム(図示せず)に配設されており、そのスライド位置を調節することで、製袋手段12へ向けたフィルムFの進入角度を調節し得る。
【0014】
図2に示すように、前記ロボットRは、物品供給手段14の側方に配設されている。ロボットRは、複数の関節によって直列状に接続された複数のアームの夫々が回転または屈伸可能な関節とされたアーム部28,30を備え、互いに独立して動作可能なアーム部28,30の動作によって該アーム部28,30の先端に接続された支持部32,34を、上下、前後、左右の三次元空間において適宜経路で移動させ得る双腕型ロボットであり、例えば双腕型15軸多関節ロボットを用いることができる。また、ロボットRは、物品排出側に配設された一方のアーム部(第1アーム部)28の先端に設けられた支持部(第1支持部)32によって原反ロール10を支持して、物品供給手段14の上方で原反ロール10を左右方向に水平に延在させた使用位置で位置決め固定する。また、第1アーム部28を動作して、第1支持部32に支持した原反ロール10を原反ロール収容部36の収容位置に搬送して収容し、原反ロール収容部36の別の収容位置から取り出した新たな原反ロール10を前記使用位置に搬送することに加えて、新たな原反ロール10のフィルムFを、使用していた旧フィルムFに接続するための各接続作業位置に原反ロール10を搬送し得る。ロボットRは、物品供給側に配設された他方のアーム部(第2アーム部)30の支持部(第2支持部)34によって、原反ロール10の自動交換およびフィルムFの自動接続作業において用いられる各種作業手段46,48,50,52が配設された工具ユニット38,40を、工具収容部42で装着して支持し、第2アーム部30の動作により、工具ユニット38,40による所定の作業を行った後に、工具ユニット38,40を工具収容部42の元の位置に収容する。
【0015】
前記各支持部32,34は、原反ロール10の装着孔11または工具ユニット38,40における中空円筒状のユニット本体39,41に設けられた装着孔39a,41aに嵌り込み、原反ロール10または工具ユニット38,40を支持する。各支持部32,34は、該支持部32,34を装着孔39a,41aに挿入した際に原反ロール10または工具ユニット38,40を保持または保持解除し得る係合手段44を備えている。係合手段44は、支持部32,34の周面から出没する複数の係合片44aからなり、支持部32,34の周面から突出した係合片44aで装着孔39a,41aを内側から押さえることで原反ロール10または工具ユニット38,40を相対回転不能に保持し、係合片44aが支持部32,34内に退避することで、原反ロール10または工具ユニット38,40の着脱が許容される。ここで、使用位置で原反ロール10と係合している第1支持部32は、該第1支持部32を回転駆動するまたは制動するサーボモータ等の駆動手段(図示せず)により軽い制動力を受けながら、繰出し手段によりフィルムFが引き出される際には、該第1支持部32を軸とする原反ロール10の水平な軸周りの回転を許容する。このため、第1支持部32を回転軸として原反ロール10から引き出されたフィルムFの張りが調整可能となる。すなわち、ロボットRにおける第1支持部32は、フィルム供給部22の一部として機能する。また、支持部32,34は、前記駆動手段によりアーム部28,30に対して回転駆動または制動し得るよう構成され、その回転駆動または制動によって該支持部32,34で支持した原反ロール10または工具ユニット38,40の回転位置が調整される。
【0016】
前記ロボットRは、フィルム供給手段の繰出し手段、物品供給手段14、移送手段16やシール手段18,20などの各種作動機構など、包装機の包装に関する動作を制御する包装制御部と連携したロボット制御部を備え(何れも図示せず)、ロボット制御部からの指令によって、アーム部28,30や支持部32,34や係合手段44などの動作が制御される。ロボットRは、使用中の原反ロール10のフィルム残量などを検知する残量検知手段による情報または包装品種の切り換え情報等に基づく包装制御部からの原反ロール10の交換指令を受けて、ロボット制御部により動作制御されて、使用中の原反ロール10から、予備あるいは包装品種などに応じた新たな原反ロール10に自動交換して、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部を使用中のフィルムFの終端部に接続して包装可能な状態にするまでの一連の作業を自動で行う。
【0017】
前記原反ロール収容部36は、ロボットRの周辺において、第1アーム部28の動作による第1支持部32の可動域内に配設されており、複数の原反ロール10を収容可能に構成される。原反ロール収容部36は、テーブル36aから上方へ突出し、その先端がテーパ加工によって小径とされた位置決め突起36bの夫々に、原反ロール10の装着孔11を嵌め合わせて位置規制した状態で、夫々の原反ロール10を該テーブル36aに載置して立てた姿勢で収容する。また、原反ロール収容部36は、原反ロール10を検出するロール検出手段(図示せず)を備え、ロール検出手段からの情報に基づき、原反ロール10が存在していない収容位置にロボットRにより原反ロール10を収容すると共に、交換指令の対象となる原反ロール10が収容された収容位置からロボットRにより原反ロール10が取り出される。
【0018】
前記工具収容部42は、ロボットRの周辺において、第2アーム部30の動作による第2支持部34の可動域内に配設されており、複数の工具ユニット38,40を収容可能に構成されている。ロボットRは、第1工具ユニット38と第2工具ユニット40とを第2支持部34に付け替えて、原反ロール10の交換作業を行っている。工具収容部42では、テーブル42aから上方へ突出し、その先端がテーパ加工によって小径とされた位置決め突起42bに工具ユニット38,40の装着孔39a,41aを嵌め合わせる等の位置決め手段によって、工具ユニット38,40を該テーブル42aに載置して立てた姿勢で収容する。第1工具ユニット38は、ユニット本体39の外周面に配設され、フィルムFに対して接着剤(接着手段)を付与し得る接着準備手段46と、ユニット本体39の外周面に接着準備手段と周方向反対側に配設され、フィルムFに対してマークを付与し得るマーク付与手段48とを備えている。接着準備手段46は、その先端部に設けられた塗布部がフィルムFに当接することによって、配合された水や溶媒が蒸発して固化する乾燥固化型接着剤を塗布し、工具収容部42に収容した際には、該工具収容部42に配設した蓋に塗布部が嵌合して該塗布部における接着剤が乾燥しないようになっている。マーク付与手段48は、油性ペン等のマーカーやテープ等の貼着物を付与し得るものを用いることができ、図4(a)はマーク付与手段48としてマーカーペンを採用した場合を示している。マーク付与手段48は、工具収容部42に収容した際には、該工具収容部42に配設した蓋に、図4(a)において下方に向いたペン先が嵌合して該ペン先のインクが乾燥しないようになっている。そして、第1工具ユニット38は、第2支持部34に装着して工具収容部42から取り出すことで、接着準備手段46の蓋およびマーク付与手段48の蓋が工具収容部42に残って、接着準備手段46の塗布部およびマーク付与手段48のペン先が露出する。また、第1工具ユニット38は、接着準備手段46の塗布部を蓋に収めると共に、マーク付与手段48のペン先を蓋に収めるように工具収容部42に収容することで位置決めされる。すなわち、位置決め突起42bがユニット本体39を位置決めガイドする際に、工具収容部42に配設した蓋が、第1工具ユニット38のテーブル42aへの収容位置および周方向の角度を位置決めする位置決めガイドとして機能する。
【0019】
前記第2工具ユニット40は、ユニット本体41の外周面に配設され、フィルムFを切断し得る切断手段50と、ユニット本体41の外周面に切断手段50と周方向の位置を変えて配設され、原反ロール10の周面を押さえる押圧手段52とを備えている。切断手段50は、ユニット本体41の外周面に周方向の位置を変えて配設された2枚のカッター51,51を備えている。切断手段50は、一方のカッター51が刃をユニット本体41の半径方向外側に向けて配設されると共に、他方のカッター51が刃をユニット本体41の軸方向に向けて配設されており、両カッター51,51が互いに刃先の向きが異なっている。押圧手段52は、原反ロール10の周面に当接した際に、フィルムFを傷付けないように、弾力性や柔軟性などを有すると共に、フィルムFを巻き取る際に、原反ロール10の回転を妨げないように、フィルムFに対する摩擦抵抗が小さいものが用いられ、可撓性を有する樹脂シートを丸めた筒状体(図4(b))や、発泡体、不織布、ゴムなどを採用し得る。第2工具ユニット40のユニット本体41の周面には、位置決め凸部41bが設けられ、この位置決め凸部41bを工具収容部42に設けられた位置決めガイド(図示せず)に嵌め合わせて、第2工具ユニット40のテーブル42aへの収容位置および周方向の角度を位置決めしている。なお、図4(b)は、カッター51,押圧手段52および位置決め凸部41bの位置関係を理解し易くするために、第2工具ユニット40を上下反転して示している。
【0020】
前記フィルム供給手段としての駆動ローラ24の上方には、使用中の原反ロール10から引き出されたフィルムに対する接着剤の付与およびマーキングや、使用中の原反ロール10から引き出されたフィルムFの切断作業や、新旧のフィルムFの接続作業を行うための接続作業部54が設けられている。図3(b)に示すように、接続作業部54は、第1アーム部28が第1支持部32によって支持している原反ロール10を使用位置から前斜め上方の展張位置へ移動した際に、原反ロール10から駆動ローラ24に渡るフィルムFに当接して該フィルムFを帯状に維持しながらフィルム搬送方向に展張させる。なお、原反ロール10が使用位置から展張位置へ移動する際と移動した後も、第1支持部32には、軽い制動力がかけられ、フィルムFの張りが維持される。すなわち、ロボットRと接続作業部54とが、フィルムFへの接着剤の付与やマーキングやフィルムFの切断作業などに際して、フィルムFを張った状態とする展張手段として機能している。接続作業部54は、展張手段によって展張しているフィルムFを保持する保持手段56と、この保持手段56よりもフィルム搬送方向上流側となる上方に配設された第1受け部58と、保持手段56よりもフィルム搬送方向下流側となる下方に配置された第2受け部60とを備えている。保持手段56は、図示しない負圧発生手段によって、後方に向いた平坦な吸着面56aに開いた複数の孔を介してフィルムFを吸着し得るよう構成されており、吸着面56aが展張手段によって展張しているフィルムFに当接して、そのフィルムFの幅方向における全域を吸着保持する。
【0021】
前記第1受け部58は、フィルムFより幅広で平坦な第1受け面58aが後方に向いた板状に形成されると共に、原反ロール10から引き出されて展張しているフィルムFに対して、保持手段56による保持位置よりフィルム搬送方向上流側に付与するよう設定された接着剤の付与位置およびマーキング位置に対応して配設されている。そして、第1受け部58は、接着準備手段46により後方から接着剤をフィルムFの裏面における幅方向中央部に塗布する際およびマーク付与手段48により後方からフィルムFの裏面における一方の側縁部にマーキングする際に、第1受け面58aがフィルムFの表面側を支持している。保持手段56と第1受け部58とは、上下に間隔をあけて配設されており、保持手段56で保持されたフィルムFの切断作業時に、保持手段56と第1受け部58との間の空間に切断手段50のカッター51が挿入される。すなわち、保持手段56は、使用中の原反ロール10から引き出されたフィルムFを切断手段50で切断した際に、使用中のフィルムFの終端部を保持している。
【0022】
前記第2受け部60は、フィルムFより幅広で平坦な第2受け面60aが後方に向いた板状に形成されると共に、保持手段56によるフィルムFの保持位置よりフィルム搬送方向下流側で行われる新旧のフィルムF,Fの接続位置に対応して配設されている。そして、第2受け部60は、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部表面を、保持手段56で保持されたフィルムFの終端部裏面に後方から押し付ける際に、後方に向いた平坦な第2受け面60aがフィルムFの表面側を支持している。第2受け部60は、前後方向に弾力的に変位可能に配設されており、新旧のフィルムF,Fの接続作業において新たな原反ロール10を後方から押し付けた際に両フィルムF,Fを前方から押し返している。ここで、接続作業部54は、保持手段56の吸着面56aが第1受け部58の第1受け面58aより後方に配置されており、原反ロール10が展張位置に位置決めされた際には、原反ロール10の径がいかように変化しても、第1受け部58の第1受け面58aよりも前方から該第1受け面58aに向けてフィルムFが進入して第1受け面58aに対して適切に当接するように設定される。なお、第2受け部60の第2受け面60aは、保持手段56の吸着面56aより後方または同一垂直面上に並ぶように配置され、展張したフィルムFが吸着面56aから離れず、また第2受け部60における新旧のフィルムF,Fの接続作業に際して保持手段56が邪魔にならないよう設定される。
【0023】
前記第1アーム部28の動作による第1支持部32の可動域内には、該第1支持部32で支持された原反ロール10におけるフィルムFの始端部に関連付けて付されたマークの位置を検出するマーク位置検出手段62が配設されている。マーク位置検出手段62は、フィルムFの始端部に付されたマークを検出し得る光電センサやカメラ等の撮像手段などであり、ロボットRにより原反ロール10をマーク位置検出手段62の検出可能範囲に搬送して当該検出範囲で第1支持部32を回転駆動して原反ロール10を回転することで、マークが付されたフィルムFの始端部の位置を判別している。また、第1アーム部28の動作による第1支持部32の可動域内には、該第1支持部32で支持された原反ロール10におけるフィルムFの始端部に、接続手段としての両面テープを付与し得る接続準備手段64が配設されている。マーク位置検出手段62で得られたマーク位置情報に応じて、第1支持部32で支持した原反ロール10における周面の向きを回転調整し、接続準備手段64に沿って原反ロール10をその幅方向に移動することで、フィルムFの始端部に合わせて接続準備手段64から両面テープをフィルムFの幅方向に延在するように付与している。
【0024】
次に、前述したフィルム処理装置を用いたフィルム処理方法について説明する。包装運転中は第1支持部32に支持されて第1アーム部28により使用位置で位置決め固定された使用中の原反ロール10のフィルムFが、繰出し手段によって巻き掛け案内されて製袋手段12に向けて供給される。包装運転停止時などに包装制御部からロボット制御部に原反ロール10の交換指令が入ると、ロボットRによって以下の新旧原反ロール10の交換および新旧フィルムFの接続作業を自動で行うために、まず、第1支持部32に対して原反ロール10の回転を許容する程度の軽い制動をかけながら、第1アーム部28の動作により原反ロール10を前斜め上方へ平行移動して、原反ロール10からフィルムFを引き出し、その引き出したフィルムFを、保持手段56の吸着面56a、第1受け部58の第1受け面58aおよび第2受け部60の第2受け面60aに当接させる。これにより、原反ロール10から駆動ローラ24までの間でフィルムFを張った状態として、原反ロール10と駆動ローラ24の間において保持手段56でフィルムFを吸着保持する。なお、保持手段56は、新旧のフィルムF,Fの接続作業が終了するまでに亘ってフィルムFを吸着保持する。
【0025】
前記第1アーム部28の動作によるフィルムFの展張作業に合わせて、第2アーム部30を動作して、工具収容部42で第2支持部34に第1工具ユニット38を装着した後に第1工具ユニット38を接続作業部54の後方に移動し、第1受け部58の第1受け面58aで帯状に広げられて支持されている箇所のフィルムFの裏面に対し、第1工具ユニット38の接着準備手段46によって接着剤を幅方向中央部に付与する。また、第2受け部60の第2受け面60aで支持されている箇所のフィルムFの裏面に対し、接着準備手段46によって接着剤を幅方向の一方の側縁に付与する。すなわち、フィルムFの切断後に原反ロール10から引き出されたフィルムFの始端部となる部位およびフィルムFの終端部となる部位の夫々に合わせて接着剤が予め付与される。次に、第2支持部34を回転駆動して第1工具ユニット38をマーク付与手段48がフィルムFに相対するように切り換え、第1受け部58の第1受け面58aで支持されている箇所のフィルムFの裏面に対し、マーク付与手段48によって接着剤の付与部位から外れた側縁部にマークを付ける。なお、マークの付与位置は、フィルム搬送方向において接着剤の付与位置より原反ロール10に近い位置に設定される。
【0026】
前記第1工具ユニット38による接着剤付与およびマーキング作業の後に、第2アーム部30を動作して、第2支持部34から第1工具ユニット38を取り外して工具収容部42に収容した後に、該工具収容部42に収容された第2工具ユニット40を第2支持部34に装着する。第2アーム部30を動作して、第2工具ユニット40を接続作業部54の後方に移動し、第2工具ユニット40の切断手段50によって、展張位置にある原反ロール10から引き出して展張されたフィルムFを、保持手段56の保持位置とこの保持位置よりフィルム搬送方向上流側の接着剤の付与位置との間で切断する。具体的には、切断手段50における一方のカッター51でフィルムFの幅方向中央部から切り込んで幅方向中央部から一側縁まで切断した後に、第2支持部34を回転駆動して刃先の向きが異なる他方のカッター51に切り替えて、他方のカッター51でフィルムFの幅方向中央部から他側縁まで切断している。なお、切断手段50による切断位置よりフィルム搬送方向下流側で製袋手段12に向けて繰り出されているフィルムFの終端部は、保持手段56によって吸着保持されている。
【0027】
前記切断手段50によるフィルム切断後に、第1アーム部28を動作して原反ロール10を展張位置から後方へ水平移動した後に、第2支持部34に装着された第2工具ユニット40の押圧手段52で原反ロール10の周面上部を上方から押さえる。第1支持部32の回転駆動により原反ロール10が回転し、原反ロール10から引き出されたフィルムFを押圧手段52でしごきつつ該原反ロール10に巻き取る。押圧手段52は、フィルムFへの接着剤の付与位置に合わせて原反ロール10の周面における幅方向中央部を押さえているので、フィルムFの巻き取りに伴い該フィルムFの始端部に付与された接着剤が表側から押さえ付けられ、接着剤の接着によりフィルムFの始端部が原反ロール10の周面に付着した状態で保持される。接着剤でフィルムFの始端部をほどけないようにまとめた原反ロール10を、第1アーム部28を動作して原反ロール収容部36に搬送し、原反ロール10を第1支持部32から原反ロール収容部36に受け渡して収容位置に収容する。
【0028】
そして、前記交換指令に応じた新たな原反ロール10を第1支持部32で支持し、第1アーム部28を動作して、マーク位置検出手段62のマーク検出可能範囲に新たな原反ロール10を搬送する。そして、マーク位置検出手段62のマーク検出可能範囲において、第1支持部32を回転駆動して原反ロール10を回転させながら、該マーク位置検出手段62によりマーク位置の情報を得ると共に、この情報に基づいてフィルムFの始端部を所定向き(フィルムFの始端部が原反ロール10の略真下に位置する回転角度で)として原反ロール10を回転停止する。次に、第1アーム部28を動作して、原反ロール10におけるフィルムFの始端部を接続準備手段64に押し当てて、原反ロール10を該接続準備手段64に沿って移動することで、該始端部の幅方向に延在するように両面テープを付与する。
【0029】
新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部に両面テープを貼り付ける接続準備を行った後に、第1アーム部28を動作して原反ロール10を接続作業部54の後方に搬送すると共に、第1支持部32を回転駆動して該原反ロール10におけるフィルムFの始端部を、保持手段56で保持されているフィルムFの終端部に相対させる。そして、新たな原反ロール10を前方へ平行移動して、保持手段56で保持されている、使用していた旧フィルムFの終端部、すなわち第2受け部60の第2受け面60aに当接している箇所のフィルムFに、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部に付与された両面テープを押し付ける。これにより、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部とフィルム供給路に残されたフィルムFの終端部とが両面テープによって接続される。保持手段56で保持されたフィルムFの終端部には、前述した接着剤の付与時に、一側縁に接着剤が付与されているので、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部の一側縁に両面テープが付与されていない場合であっても、当該接着剤と両面テープとによって幅方向全体に亘って新旧のフィルムF,Fを接続し得る。すなわち、両面テープを付与する際に、フィルムFの始端部における一側縁を押さえ付けながら、その一側縁から離した位置より他側縁に亘って両面テープを付与することができるから、一側縁から両面テープを付与することに起因するフィルムFのまくれ上がりなどを回避できる。
【0030】
前記第1アーム部28を動作して、新たな原反ロール10を両フィルムF,Fの接続位置から使用位置に向けて後斜め上方へ平行移動すると、両面テープの接着力が接着剤の接着力よりも強く設定されているので、両面テープによる両フィルムF,Fの接続状態を維持しながら、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部に付与された接着剤が剥がれる。そして、原反ロール10からのフィルムFの繰り出しを許容した状態で、第1アーム部28の動作により移動した新たな原反ロール10は、第1アーム部28により使用位置で位置決め固定されて、運転再開における原反ロール10からのフィルムFの供給が可能となる。なお、原反ロール10の交換指令に応じて、取り外して収容位置に収容した先の原反ロール10は、前述した新旧原反ロール10の自動交換および新旧フィルムFの自動接続作業を経て現在使用している原反ロール10に代えて再使用することができる。
【0031】
〔実施例の作用〕
次に、実施例の作用について説明する。原反ロール10をロボットRの第1アーム部28により動作する第1支持部32で支持すると共に、各種作業手段46,48,50,52が配設された工具ユニット38,40をロボットRの第2アーム部30により動作する第2支持部34に装着して、使用中の原反ロール10から引き出されたフィルムFを切断手段50で切断してから該原反ロール10を収容位置に収容した後に、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部とフィルムFの終端部との接続までの一連の作業を、ロボットRによって行うことで、原反ロール10の自動交換およびフィルムFの自動接続における設計などの自由度を広げることができる。すなわち、原反ロール10の種類やサイズなどが違っても、ロボットRによって原反ロール10に合わせて交換、搬送および接続の各作業を行うことができると共に、第1支持部32で原反ロール10を回転可能に支持して製袋手段12へ向けたフィルムFの供給を許容し得る。
【0032】
使用中の原反ロール10をロボットRによって自動交換する際に、原反ロール10の周面を押圧手段52で押さえながら該原反ロール10を水平な軸周りに回転させて、切断したフィルムFを巻き取ると共に接着手段によりフィルムFの始端部を接着することから、原反ロール10を収容位置に収容するときや、該原反ロール10を収容位置から取り出して再使用するときなどに、フィルムFが弛んでずれたり、フィルムFの始端部がばらけるなど、原反ロール10が巻き崩れることを防止できる。すなわち、フィルム供給部22から取り外された原反ロール10は、フィルムFが縁を揃えて巻き取られると共に始端部が周面にたるみなく接着されてきれいな巻き取り形態を保つことができる。従って、収容位置から原反ロール10を取り出して再使用する際に、当該原反ロール10が適正な巻き取り形態になっているから、新旧のフィルムF,Fを自動接続するときに、両フィルムF,Fを位置ずれなく良好に接続することができる。このように、ロボットRによる自動交換によって取り外した原反ロール10を、ロボットRにより良好に自動接続して再使用し得る。しかも、接着準備手段46による接着剤のフィルムFへの付与位置に合わせて押圧手段52で原反ロール10の周面を押さえているので、フィルムFの始端部を接着剤で適切に接着することができる。更に、押圧手段52が原反ロール10を支持する第1支持部32と別に設けられた第2支持部34に装着されているから、原反ロール10の搬送および押圧手段52の動作の自由度が高く、原反ロール10におけるフィルムFの巻き取り状態をよりきれいに整えることができる。
【0033】
新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部に、接続準備手段64によって両面テープが付与されているから、該原反ロール10におけるフィルムFの始端部を、保持手段56に保持されたフィルムFの終端部に押し付けることで、両面テープにより両フィルムF,Fを良好に接続することができる。接続手段として両面テープを用いているので、両フィルムF,Fの接続に際して、両面テープを押し付けるだけで、接着剤のように固化するまで待つことなく接着力が得られ、両フィルムF,Fの接続作業を短時間にすることができる。また、新旧のフィルムF,Fを接続する両面テープは、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部を接着した接着剤より接着力が強く設定してある。これにより、新たな原反ロール10を保持手段56で保持されているフィルムFの終端部に押し付けて両フィルムF,Fを両面テープで接続してから、原反ロール10をフィルムF,Fの接続位置から離すように搬送するだけで、両面テープによるフィルムF,Fの接続状態を維持しつつ、フィルムFの終端部で引っ張ってフィルムFの始端部を原反ロール10の周面に接着している接着剤を剥がすことができる。
【0034】
前記フィルムFは、接着準備手段46によって接着剤が付与されるときや、切断手段50によって切断されるときや、切断してから新たな原反ロール10のフィルムFが接続されるまでに亘って、保持手段56で位置ズレしないように保持される。そして、フィルムFを吸着して保持する保持手段56は、例えばフィルムFを挟んで保持するチャックのように開閉する機構などを必要としないので、その構成が簡単である。
【0035】
前記ロボットRが、原反ロール10を搬送する搬送手段として機能するだけでなく、原反ロール10から製袋手段12に向けて供給する際に、該ロボットRが原反ロール10を回転可能に支持する支持軸を兼ねるので、フィルム供給部22の構成を簡単にすることができる。しかも、前述のように、ガイドロールを省くなどによって、フィルム供給部22の構成を更に簡単にすることができる。
【0036】
接着剤を第1工具ユニット38の接着準備手段46でフィルムFに付与すると共に、該第1工具ユニット38のマーク付与手段48でマークを付してから、第1工具ユニット38を工具収容部42に収容して接着準備手段46およびマーク付与手段48に蓋を被せた後に、第2工具ユニット40に交換して該第2工具ユニット40の切断手段50によりフィルムFの切断を行っている。すなわち、接着手段として、水分や溶媒が蒸発して固化する乾燥固化型接着剤を用いると共に、マーク付与手段48としてマーキングペンを用いても乾燥することを防止できる。第1工具ユニット38は、工具収容部42において、位置決めガイドとして機能する蓋によって、工具収容部42での収容位置および周回りの収容角度が常に一定になるように収容される。同様に、第2工具ユニット40は、工具収容部42において、位置決め凸部41bと位置決めガイドとの嵌合により、工具収容部42での収容位置および周回りの収容角度が常に一定になるように収容される。このように、工具ユニット38,40は、工具収容部42における位置および角度が一定であるから、カメラなどの撮像手段によって工具ユニット38,40の位置および角度を確認することなく、ロボットRによって第2支持部34に工具ユニット38,40を装着することができる。また、原反ロール10は、装着孔11を位置決め突起36bに嵌め合わせて原反ロール収容部36における所定の収容位置に収容されるから、カメラなどの撮像手段によって原反ロール10の位置を確認することなく、ロボットRの第1支持部32で原反ロール10を支持することができる。
【0037】
前記工具ユニット38,40は、ユニット本体39,41の外周面に所定角度間隔をあけて種類が異なる作業手段46,48,50,52を複数配設してあるので、工具ユニット38,40を所定角度分だけ回転するだけで該作業手段46,48,50,52を切り替えることができ、作業手段46,48,50,52を交換するための時間を短縮することができる。切断手段50は、第2工具ユニット40におけるユニット本体41の外周面に刃先が異なる方向に向いた2つのカッター51,51からなり、一方のカッター51でフィルムFの幅方向中央部から切り込んで幅方向中央部から一側縁まで切断した後に他方のカッター51に切り替えて、他方のカッター51でフィルムFの幅方向中央部から他側縁まで切断する。このように、フィルムFの幅方向中央部から切断手段50で切り込んで該フィルムFの半分を切断した後に、再度フィルムFの幅方向中央部からフィルムFの残り半分を切断することで、フィルムFが切断時にまくれるなどの変形を防止して、フィルムFをきれいに切断することができる。
【0038】
前記接着準備手段46によって接着剤を付与する際に、使用中の原反ロール10から引き出されたフィルムFにおいて、切断手段50による切断後に終端部となる部位の側縁にも接着剤を付与している。これにより、新旧のフィルムF,Fを接続した際に、両面テープを貼り付け難いフィルムFの幅方向側縁についても接着剤で接続することができるから、フィルムFの接続箇所が操出し手段や製袋手段12などを通過する際に該フィルムFの始端部や終端部が浮き上がることなどを防止できる。
【0039】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)横形製袋充填機に限らず、縦形製袋充填機など、原反ロール10からフィルムFを引き出してフィルムを供給する包装機全般に、本発明を適用することができる。また、樹脂や紙などの様々な種類の素材からなるフィルムFに適用可能である。
(2)フィルム供給部22において接続作業部54と繰出し手段との間でフィルムFを多く巻き掛けてたぐり引き出し可能な段差ローラを設けて、その段差ローラからフィルムFをフィルム成形手段12に向けて供給を継続しつつ、原反ロール10の交換および接続を行ってもよい。これによれば、連続運転が可能またはフィルムFを供給停止する時間を短縮できる。
(3)接着手段としては、乾燥固化型接着剤に限られず、化学反応型接着剤などのその他接着剤や、両面テープなどであってもよい。
(4)接続手段としては、両面テープに限られず、接着剤などであってもよい。なお、接続手段は、接着手段よりも接着力強いものを採用し、新旧のフィルムF,Fを接続手段で接続した後に、フィルムFの始端部を止めている接着手段のみが剥がれるようにすることが望ましい。
(5)第1支持部32の動作と第2支持部34との動作の関係は、実施例に限られず、各作業を行うことができれば、支持部32,34をどのように動かしてもよい。例えば、原反ロール10の周面を押圧手段52で押さえる際に、位置決め固定された押圧手段52に向けて原反ロール10を押し付けるように第1支持部32で支持して搬送してもよい。また、第2支持部34で原反ロール10を支持し、第1支持部32に工具ユニット38,40を装着してもよい。
(6)ロボットRが原反ロール収容部36から新たな原反ロール10を取り出した際に、原反ロール収容部36にコンベヤなどからなる原反ロール供給手段により原反ロール10を自動的に追加供給してもよい。また、ロボットRが原反ロール収容部36に収容した原反ロール10をコンベヤなどからなる原反ロール排出手段により原反ロール収容部36から自動的に排出するようにしてもよい。
(7)原反ロール収容部36および工具収容部42は、複数の箇所に分けて設けてもよい。例えば、予備の原反ロール10が収容される原反ロール収容部と、包装機から取り外した原反ロール10が収容される原反ロール収容部とに分割してもよい。
(8)原反ロール10および工具ユニット38,40は、支持部32,34の可動域内であれば、軸芯を水平方向に向けた横向きの姿勢などの適宜の姿勢で原反ロール10および工具ユニット38,40を収容部36,42に収容してもよい。
(9)1基のロボットRによって、複数の包装機の夫々で、原反ロール10の交換および新旧のフィルムF,Fの接続を行ってもよい。この場合には、ロボットRは、各包装機に対応した数のアーム部を少なくとも備え、該アーム部の先端に設けられた支持部が各包装機のフィルム供給部の一部を構成する。また、ロボットRは、包装機の本体にアーム部を直接配設し、ボディを省略してもよい。
(10)原反ロール10を支持する支持部を回転駆動して、この支持部をフィルム成形手段12に向けてフィルムFを繰り出すフィルム供給手段として機能させてもよい。
(11)マーク付与手段は、マーキングペンに代えて、シールなどをフィルムに貼るものであってもよい。
(12)カメラなどの撮像手段によって得た情報に基づいて、原反ロールに付したマークの位置を判別したり、原反ロールおよび工具ユニットなどの位置や角度等を判別し、これによりロボットRを動作してもよい。
(13)保持手段56は、フィルムの幅方向両側縁に対して進退するプレートなどによって、該側縁を押さえるなど、フィルムの終端部を位置付け可能なその他の構成を採用できる。
(14)実施例では、新たな原反ロール10におけるフィルムFの始端部に接続手段を付与したが、保持手段56で保持されているフィルムFの終端部に、両面テープ等の接続手段を付与するよう接続準備手段を構成してもよい。
(15)接続作業部54において、保持手段56、第1受け部58および第2受け部60は、必要に応じて、互いに独立または一緒に進退移動する構成であってもよい。
(16)保持手段56の保持位置と接着手段の付与位置との間のフィルムFに向けて進退させることにより、その位置でフィルムFを切断し得るように、切断手段を接続作業部54などに配設してもよい。
(17)工具ユニットに配設される作業手段などの数は、単数または複数の何れであってもよく、作業手段の種類についても特に限定されない。
【符号の説明】
【0040】
10 原反ロール,12 フィルム成形手段,28 第1アーム部,
30 第2アーム部,32 第1支持部,34 第2支持部,
38 第1工具ユニット(工具ユニット),40 第2工具ユニット(工具ユニット),
46 接着準備手段,50 切断手段,52 押圧手段,56 保持手段,F フィルム,
R ロボット
図1
図2
図3
図4