(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、調理容器で調理する食材を簡単に洗浄できる使用性に優れた食材洗浄器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の食材洗浄器は、調理容器の開口部に装着する装着部と、前記装着部に対して回転可能に配設した軸部と、前記調理容器内で前記軸部と交差する方向に延びるアーム部と、前記アーム部に設けられ、前記軸部の回転により前記調理容器内の食材を撹拌する撹拌部とを備え、前記軸部、前記アーム部および前記撹拌部のうちいずれかが、前記軸部の軸線に沿って移動可能である。ここで、軸部の軸線に沿って移動可能な構成とは、装着部に対して軸部を移動可能とする構成、軸部に対してアーム部を移動可能とする構成、およびアーム部に対して撹拌部を移動可能とする構成等がある。いずれの構成としても、食材を撹拌する撹拌部は必ず軸部の軸線に沿って移動する。
【0006】
この食材洗浄器は、食材を調理する調理容器に食材を収容した状態で食材を洗浄でき、余計な洗い物を増やすことがないため、利便性を向上できる。また、軸部、アーム部および撹拌部のうちいずれかが、軸部の軸線に沿って移動可能であるため、調理容器の上部から下部にかけた全ての領域の食材を、撹拌部によって満遍なく撹拌して洗浄できる。
【0007】
前記軸部、前記アーム部および前記撹拌部は一体成形された撹拌部材であり、前記装着部に対して回転可能に回転部材を配設し、前記回転部材に対して前記撹拌部材の前記軸部を、前記軸部の軸線に沿って移動可能かつ前記回転部材の回転に連動して回転可能に配設する。このようにすれば、部品構成を簡素化できるため、製造効率を向上できる。また、回転部材に対して撹拌部材を着脱可能に配設できるようにし、非使用時に撹拌部材を取り外すことにより、収納性を向上できるようにする。また、撹拌作用が異なる撹拌部を用意し、食材に応じて撹拌部材を取り替えることにより、洗浄効率を向上することができる。
【0008】
前記撹拌部材は、回転により前記撹拌部が食材層内に進入することによって、前記軸部の軸線に沿って移動する。ここで、回転により撹拌部が食材層内に進入可能な構成とは、撹拌部材の自重が伴って回転により食材層内に進入する構成、および、回転部材と軸部とをボールネジ機構によって連結することによって回転により食材層内に進入する構成等がある。このようにすれば、調理容器内に層状に収容された食材を満遍なく洗浄できる。
【0009】
前記撹拌部は、前記軸部の回転により異なる軌跡で回転する第1および第2撹拌部を備える。具体的には、前記撹拌部は、全長が異なる第1および第2アーム部の先端に設けられる。このようにすれば、調理容器内において各撹拌部が異なる回転軌跡で回転し、各回転軌跡周辺にある食材を効率的に撹拌するため、より満遍なく確実に洗浄できる。
【0010】
前記軸部の回転により、前記軸部の軸線に対して、径方向内側に位置する前記第1撹拌部が食材を径方向外側に掻き出し、径方向外側に位置する前記第2撹拌部が食材を径方向内側に掻き入れるようにする。このようにすれば、調理容器内において食材を内外へ移動させることができるため、一層満遍なく洗浄できる。
【0011】
前記撹拌部は、前記軸部の軸線から径方向に延びる基準面に対して面対称な形状である。このようにすれば、撹拌部の回転方向(使用者の利き腕)に拘わらず、同一の洗浄効果を得ることができる。また、前記アーム部は、前記軸部の回転方向に対して逆向きに湾曲している。このようにすれば、撹拌部の回転方向が一方向に制限されるが、撹拌時に食材から受ける負荷(応力)に抗する強度を向上できる。
【0012】
前記撹拌部に変形可能な可撓部を設けることが好ましい。この構成は、2色成形等によって撹拌部の先端等の一部に可撓部を設ける構成を含む。前記可撓部は、前記アーム部のうち全長が最も長い前記アーム部に形成した前記撹拌部に設けられる。また、前記可撓部を前記撹拌部に着脱可能に配設することが好ましい。このようにすれば、直径が異なる調理容器であっても、調理容器の外周壁付近の食材を確実に撹拌して洗浄できる。また、撹拌時に食材や調理容器を傷つけることを抑制できる。
【0013】
前記撹拌部は、水を通過可能な貫通孔を備える。このようにすれば、撹拌部に加わる水の抵抗を軽減できるため、撹拌時の回転負荷を軽減できる。なお、貫通孔は、小さな食材(例えば飯米1粒)が通過不可能な開口面積、および、小さな食材(例えば飯米5粒)が通過可能な開口面積の両方を含む。
【0014】
また、前記撹拌部を、前記アーム部の延び方向に沿って移動可能とする。なお、撹拌部の移動は、アーム部を伸縮可能とすることによって移動する構成、アーム部に対して移動可能に取り付ける構成の両方を含む。このようにすれば、調理容器の外周壁付近の食材を確実に撹拌できる。よって、調理容器の径方向について食材を満遍なく撹拌できるため、より確実に洗浄できる。
【0015】
前記装着部は、前記軸部の軸線に対して、径方向外側に位置する外側水切部と、前記外側水切部より径方向内側に位置する内側水切部とを備え、前記外側水切部の径方向の幅を前記内側水切部の径方向の幅より小さくする。また、前記装着部は、第1水切部と、前記第1水切部の周方向両側に位置する一対の第2水切部とを備え、前記第1水切部の前記軸部の軸線に対する径方向の幅を前記第2水切部の径方向の幅より小さくする。調理容器内の水を排水する際には、第1水切部が最下部に位置するように、調理容器を傾ける。この際、食材は水に沈んだ状態になるため、第1水切部(外側水切部)の領域に食材が当接し、第2水切部および内側水切部から水が排水される。そして、各水切部の幅は、外側水切部を内側水切部より小さくし、第1水切部を第2水切部より小さくしているため、小さな食材を流出させることなく、水を効率的に排水できる。
【0016】
前記装着部に、外周部の一部を切り欠いた切欠部を設ける。このようにすれば、調理容器内に切欠部から水(洗浄水)を注ぎ入れることができる。また、装着部の面積を小さく(小型化)することができるため、非使用時の収納性を向上できる。
【0017】
前記調理容器は、第1調理容器と、前記第1調理容器より前記開口部の直径が小さい第2調理容器とを有し、前記装着部は、前記第1調理容器の前記開口部の外側に嵌合する第1リブと、前記第2調理容器の前記開口部の内側に嵌合する第2リブとを備える。このようにすれば、開口面積が異なる調理容器に安定状態で装着することができるため、使用性を向上できる。また、前記装着部に、前記調理容器の取手を配置する段部を設ける。このようにすれば、取手を有する調理容器でも使用できるため、更に使用性を向上できる。
【0018】
前記装着部を、前記軸部の軸線に対して径方向内側に向けて下向きに傾斜させることが好ましい。このようにすれば、傾斜に従って装着部が調理容器の開口部から内側に入り込むように装着される。また、使用者が食材を洗浄する際には、一方の手で軸部を回転させ、他方の手を装着部と調理容器に当てるため、装着部が調理容器に入り込むように荷重が加わる。よって、装着部を調理容器に対して安定状態で装着できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の食材洗浄器では、食材を調理する調理容器に食材を収容した状態で使用でき、余計な洗い物を増やすことがないため、利便性を向上できる。また、軸部、アーム部および撹拌部のうちいずれかが軸部の軸線に沿って移動可能であるため、必ず移動する撹拌部によって、調理容器の上部から下部にかけた全ての領域の食材を満遍なく撹拌して洗浄できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る食材洗浄器である洗米器20を示す。この洗米器20は、既存の炊飯器(調理器)の内鍋(調理容器)10に装着し、食材である飯米を洗米(洗浄)する際に使用される。
【0023】
図1および
図2(A),(B)に示すように、内鍋10は、底壁11の外周縁から上向きに延びる外周壁12を備える有底筒状である。外周壁12の上端の開口部13には、外向きに突出するフランジ部14が形成されている。この内鍋10は、内部に飯米と水を収容した状態で、図示しない炊飯器の収容部に配置される。炊飯器に配設した加熱手段によって加熱され、予熱、中ぱっぱ、電力制御、むらしの各工程を有する炊飯(調理)処理が実行され、米飯が炊き上げられる。
【0024】
図2(A)および
図3(A),(B)に示すように、内鍋10は、炊飯器の種類によって開口部13の直径や容積が異なる。例えば、
図2(A)の内鍋(第3調理容器)10Aを基準にすると、
図3(A)の内鍋(第1調理容器)10Bは開口部13Bの直径が大きく、
図3(B)の内鍋(第2調理容器)10Cは開口部13Cの直径が小さい。内鍋10Aと内鍋10Bとは、容積(炊飯可能容量)は同一であるが、全高は異なる。また、内鍋10Cは、内鍋10A,10Bと比較すると、容積が少ないうえ、全高も低い。さらに、
図1中一点鎖線で示すように、内鍋10の中には、フランジ部14の径方向に対向する位置に、一対の取手15,15を配設したものもある。
【0025】
本発明の洗米器20は、異なる内鍋10A〜10Cの開口部13A〜13Cに装着される装着部材(装着部)21と、装着部材21に配設された回転部材35と、回転部材35に配設された撹拌部材50とを備える。そして、回転部材35を回転させることにより撹拌部材50を連動して回転させ、内鍋10A〜10C内に収容した飯米と水を撹拌して、飯米の洗浄を行う。
【0026】
図4および
図5に示すように、装着部材21は、円の外周部の一部(円周の略1/3)を切り欠いた平面視三日月状である。切欠部22は、円の中心を含まない(切り欠かない)範囲で、可能な限り大きい円弧状に形成される。装着部材21の直径は、最も直径が大きい内鍋10Bより大きく、その外端縁に開口部13Bのフランジ部14Bの外側に嵌合する第1リブ23が下向きに突設されている。また、装着部材21には、最も直径が小さい内鍋10Cの開口部13Cの内側に嵌合する第2リブ24が下向きに突設されている。第2リブ24の両端は、切欠部22の縁に沿って突出する内壁部25によって連続している。第1および第2リブ23,24の一端側の間には、非使用時に吊り下げて保管可能とするための吊下孔26がられている。
【0027】
装着部材21の中心には、回転部材35を装着するための取付部27が設けられている。この取付部27は、軸線が内鍋10の軸方向に沿って延び、装着部材21の上面および下面から突出する円筒形状である。取付部27の内周部には、周方向に所定間隔をあけて軸方向に延びる複数の摺接リブ28が突設され、この摺接リブ28の上端に回転部材35が位置決めされる。また、取付部27の上端には、非使用時に後述するハンドル47を収納状態に位置決めするための位置決め溝29が設けられている。
【0028】
装着部材21の切欠部22側には、径方向に対向する一対の段部30,30が設けられている。段部30は、内鍋10の取手15を配置(収容)するために、上向きに膨出した形状をなす。この段部30の上面には、周方向に延びる円弧状の凸条部31が突設されている。この凸条部31は、使用者が回転部材35を回転させる際に、内鍋10および洗米器20を保持する目的で手を配置したときの滑り止めの役割をなす。また、段部30には、切欠部22と逆側の端部に位置するように、内鍋10のフランジ部14に当接する耐熱性を有するゴムからなる滑止部材32が配設されている。
【0029】
装着部材21の切欠部22と径方向に対向する位置には、複数の水切部33a〜33dが設けられている。これら水切部33a〜33dはそれぞれ、径方向に所定間隔をもって位置し、周方向に延びる複数の円弧状のスリット34からなる。各水切部33a〜33dは、切欠部22の中央から径方向に延びる中心線Lに対して面対称に位置するように各一対設けられている。水切部33a,33aは、装着部材21の径方向外側の中央に位置する。水切部33b,33bは、装着部材21の径方向外側において、水切部33a,33aの両側に位置する。水切部33c,33cは、水切部33a,33aの径方向内側の中央に位置する。水切部33d,33dは、水切部33b,33bの径方向内側において、水切部33c,33cの両側に位置する。
【0030】
図6に示すように、各水切部33a〜33dは、スリット34の径方向の幅Wa〜Wdがそれぞれ異なるように設けられる。具体的には、装着部材21の径方向外側に位置する水切部(外側水切部)33a,33bの幅Wa,Wbは、径方向内側に位置する水切部(内側水切部)33c,33dの幅Wc,Wdより小さく形成される(Wa,Wb<Wc,Wd)。また、装着部材21の中央に位置する水切部(第1水切部)33a,33cの幅Wa,Wcは、周方向の両側に位置する水切部(第2水切部)33b,33dの幅Wb,Wdより小さく形成される(Wa,Wc<Wb,Wd)。よって、本実施形態では、水切部33a、水切部33b、水切部33cおよび水切部33dの順番で、スリット34の径方向の幅Wa〜Wdが大きくなるように形成されている(Wa<Wb<Wc<Wd)。
【0031】
図2(A),(B)および
図5に示すように、回転部材35は、装着部材21の取付部27内に回転可能に配設され、内鍋10内に位置する撹拌部材50を回転させる。この回転部材35には、上端にカバー部材45が配設され、このカバー部材45に回転操作用のハンドル47が配設される。なお、回転部材35の駆動部材としては、ハンドル47の代わりに電動モータを用いてもよい。
【0032】
回転部材35は、内鍋10の軸方向を軸線として回転可能な外筒部36を備える。この外筒部36の上端には、摺接リブ28の上端に位置決め(載置)するためのフランジ部37が設けられている。外筒部36は、下端が取付部27の下端を越えて外部へ露出する寸法で形成され、その露出部分にC字形状の抜止部材38が装着される。外筒部36の内側には、撹拌部材50を装着するための内筒部39が設けられ、これらが下端側で互いに連結(一体成形)されている。
【0033】
内筒部39には、内周部の径方向に対向する位置に、撹拌部材50を連結する一対の連結溝40,40が設けられている。この連結溝40は、内筒部39の上端から下方に向けて軸方向に延び、内筒部39の下端との間に残存された部分が撹拌部材50を係止する抜止端部41を構成する。連結溝40の両側縁には、外筒部36と内筒部39とを連結する連結リブ42が設けられている。また、内筒部39には、連結溝40,40と90度間隔をあけた位置に、径方向外向きに膨出して軸方向に延びるガイド溝43,43が設けられている。さらに、内筒部39の上端には、カバー部材45を固定するためのネジ止め部44が設けられている。
【0034】
カバー部材45は、回転部材35の上端のネジ止め部44にネジ止めによって固定される。このカバー部材45の上部には、ハンドル47を挟み込んで回転可能に連結する一対の連結部46,46が、回転部材35から突出するように設けられている。ハンドル47は、連結部46に回転可能に取り付けるための軸着部48を備える。このハンドル47は、非使用時には位置決め溝29内に嵌め込まれ、使用時には図示のように展開される。ハンドル47の先端には、使用者が回転操作するための操作部材49が取り付けられている。この操作部材49は、回転部材35の軸線と平行に位置する回転軸を中心として回転可能である。
【0035】
図4および
図5に示すように、撹拌部材50は、使用時に内鍋10内に配置され、回転部材35の回転に連動して回転することにより、内鍋10内の飯米を撹拌する。この撹拌部材50は、回転部材35に連結される軸部51と、軸部51から外向きに突出したアーム部56A〜56Cと、アーム部56A〜56Cの先端に設けた撹拌部59A〜59Cとを備え、これらが樹脂材料によって一体成形されている。撹拌部59A〜59Cのうち、全長が最も長いアーム部56Cに設けた撹拌部59Cには、弾性的に変形可能な可撓部材(可撓部)62が設けられている。
【0036】
図2(A),(B)および
図5に示すように、軸部51は、回転部材35の内筒部39内に挿入配置されることにより、軸線が内鍋10の軸方向に沿って延び、装着部材21に対して回転可能に配設された状態をなす。この軸部51には、回転部材35の連結溝40に嵌め込まれる連結爪52が設けられている。この連結爪52は、軸部51の上端に設けた凹部53と、軸方向に延びる一対のスリット54との間に形成される弾性片から、外向きに突出している。なお、連結爪52は、軸部51に一体的に設ける構成に限らず、別体の弾性部材に形成して軸部51に内装する構成としてもよい。また、軸部51には、ガイド溝43に嵌まり込むガイド片55が突設されている。連結爪52が回転部材35の連結溝40に連結され、ガイド片55がガイド溝43に挿通されることで、軸部51が回転部材35に対して軸線に沿って移動可能で、軸線を中心として回転することなく回転部材35の回転に連動して回転可能になる。
【0037】
図4および
図7に示すように、アーム部56A〜56Cは、軸部51の下端から120度間隔をあけて放射状に延び、それぞれ全長が異なるように突設されている。具体的には、軸部51の軸線に対して直交方向(交差する方向)に延びるように設けられている。各アーム部56A〜56Cは、装着部材21に対して平行に延びる天板部57と、天板部57の外縁から下向きに突出する一対の周板部58,58とを備える断面逆U字形状をなす。隣接するアーム部56A〜56Cの周板部58,58は互いに連続している。
【0038】
図7に示すように、撹拌部59A〜59Cは、アーム部56A〜56Cの先端に設けられ、軸部51の回転により内鍋10内の径方向の異なる位置(軌跡)で回転する。直径が最も小さい内鍋10Cに配置した状態で、アーム部(第1アーム部)56Aに設けた撹拌部(第1撹拌部)59Aは中心側に位置し、アーム部56Bに設けた撹拌部59Bは半径の略中間に位置し、アーム部(第2アーム部)56Cに設けた撹拌部(第2撹拌部)59Cは外周壁12の近傍に位置するように設定される。これら撹拌部59A〜59Cは、軸部51が回転部材35に対して移動することにより、軸部51と一体的に、軸部51の軸線に沿って移動可能である。具体的には、撹拌部59A〜59C(撹拌部材50全体)は、
図2(A)に示す軸部51が回転部材35内に収まった上位から、
図2(B)に示す軸部51が回転部材35から進出した下位へ、自重によって移動可能である。
【0039】
図7に示すように、各撹拌部59A〜59Cは、軸部51からアーム部56A〜56Cに沿って径方向に延びる基準面L1〜L3に対して面対称な形状に形成されている。具体的には、各撹拌部59A〜59Cは、アーム部56A〜56Cにおいて、周方向の一方の周板部58に連続して下向きに突出した第1の羽根板部60aと、周方向の他方から周板部58に連続して下向きに突出した第2の羽根板部60bとを備える。これら第1および第2の羽根板部60a,60bが、基準面L1〜L3に対して面対称な形状に形成されるとともに、周方向に所定間隔をあけて形成される。各羽根板部60a,60bは、先端に向けて横幅が次第に狭くなる先細形状に形成され、その先端部には周方向外向きに湾曲した湾曲部61が形成されている。この湾曲部61は、羽根板部60a,60bの先端を通る接線と軸部51の軸線のなす角が45度以下になるように設定される。この湾曲部61の設定と撹拌部材50の自重とが伴い、回転によって撹拌部59A〜59Cが食材層内に進入し(入り込み)、軸部51の軸線に沿って移動できるように設定している。なお、湾曲部61の代わりに屈曲部とし、異なる傾斜角度の平面部を有する羽根板部60a,60bとしてもよい。
【0040】
図4および
図5に示すように、可撓部材62は、耐熱性を有する軟質材料(例えばシリコーンゴム)により形成され、撹拌部59Cの羽根板部60a,60b間に着脱可能に配設される。この可撓部材62は、撹拌部59Cの羽根板部60a,60b間の隙間より厚肉の圧入装着部63を備える。この圧入装着部63の両側には、羽根板部60a,60bの両側端に位置する一対の枠部64,64が突設されている。
図7に示すように、本実施形態の可撓部材62の全長は、直径が最も大きい内鍋10Bに配置した状態で、径方向外側に位置する端部が外周壁12Bの内面に接する寸法で形成される。また、可撓部材62は、上端部をアーム部56Cに当接させた正規取付状態で、撹拌部59Cから下方へ突出しない全高で形成される。
【0041】
可撓部材62は、装着状態で内鍋10の外周壁12に接する寸法設定としているため、摩擦抵抗によって撹拌部材50の回動および軸線に沿った移動を阻害する可能性がある。そのため、可撓部材62には、内鍋10の内壁の表面であるフッ素コート層との摩擦抵抗を低くするための表面処理を施すことが好ましい。また、可撓部材62は、当接した飯米を撹拌(押圧)できる範囲で、弾性的に変形し易い弾性率に設定される。
【0042】
次に、
図2(A),(B)を参照しながら洗米器20の使用方法の一例について説明する。なお、以下では内鍋10Aに洗米器20を用いた例を挙げて説明するが、内鍋10B,10Cでも同一である。
【0043】
まず、内鍋10A内に希望量の飯米を収容させ、洗浄用の水を更に収容させた後、内鍋10Aの開口部13Aに撹拌部材50側から洗米器20を配置する。この際、
図2(A)に示すように、一対のリブ23,24間に開口部13Aを配置することで、内鍋10Aの軸線と装着部材21の中心(撹拌部材50の軸部51の軸線)が一致するように装着できる。なお、直径が異なる内鍋10B,10Cの場合、リブ23,24によって更に簡単に位置決めできる。洗浄水は、内鍋10Aに洗米器20を装着した後に、切欠部22内を通して内鍋10A内に注水してもよい。
【0044】
この装着状態では、可撓部材62は、外周壁12Aの内面に当接することにより、外周壁12Aに沿って弾性変形した状態をなす。また、撹拌部材50は、飯米上に載り、上向きに押し上げられた状態をなす。図示のように、装着部材21に対して撹拌部材50が上端に移動している状態では、撹拌部59A〜59Cの下端が内鍋10Aの全高の半分より下側に位置する。そのため、使用者が内鍋10Aに収容させた飯米の量によっては、撹拌部59A〜59Cの先端が飯米層内に圧入される。
【0045】
ついで、一方の手で操作部材49を持ち、他方の手を洗米器20の段部30から内鍋10Aの外周壁12Aにかけて当てて、操作部材49を回転させる。なお、一般的には、使用者が右利きの場合、右手で操作部材49を持ち、左手で洗米器20および内鍋10Aを位置決めし、反時計回りに回転させることが多い。また、使用者が左利きの場合、左手で操作部材49を持ち、右手で洗米器20および内鍋10Aを位置決めし、対時計回りに回転させることが多い。そして、本実施形態では、撹拌部59A〜59Cを軸部51から径方向に延びる基準面L1〜L3に対して面対称な形状としているため、回転方向(使用者の利き腕)に拘わらず、以下に説明する同一の洗浄効果を得ることができる。
【0046】
操作部材49を回転させると、ハンドル47を介して回転部材35が回転し、この回転部材35の回転に連動して撹拌部材50が一体的に同方向に回転する。そうすると、撹拌部材50の重量(自重)と、湾曲部61による羽根板部60a,60bの先端の傾斜角度により、回転方向前側に位置する羽根板部60a,60bが、内鍋10B内の飯米層に入り込むように作用する。その結果、撹拌部材50は、撹拌部59A〜59Cによって内鍋10A内の飯米を撹拌しながら、軸部51の軸線に沿って下向きに移動する(飯米内に潜り込む)。
【0047】
撹拌部材50が下向きに移動しながら回転されることにより、内鍋10A内の飯米は、径方向の異なる回転軌跡で回転する撹拌部59A〜59Cによって、各回転軌跡周辺で満遍なく撹拌される。また、撹拌部59Cが届かない外周壁12Aの近傍の飯米は、可撓部材62によって撹拌される。撹拌による米粒同士の衝突等によって、飯米の表面の糠が分離される(洗米)。操作部材49の回転を続けると、
図2(B)に示すように、連結溝40の下端の抜止端部41に連結爪52が係止する位置まで、撹拌部材50が自重および回転による進入により下降する。
【0048】
洗米により水が濁ると、内鍋10Aに洗米器20を装着したままの状態で、内鍋10A内の水を排水する。具体的には、一対の段部30,30に手を配置して装着部材21と内鍋10Aとを一緒に持ち、水切部33a〜33dが下側になるように傾斜させる。この際、飯米は、傾斜された内鍋10Aの底(外周壁12A)側に沈殿した状態になる。また、下側中央に位置する水切部33aは、上側に位置する水切部33cよりスリット34の幅が狭いうえ、周方向両側に位置する水切部33bよりスリット34の幅が狭い。そのため、飯米は最も目が細かい水切部33aに当接し、水は少しずつ目が大きくなった水切部33b,33cから排出される。よって、飯米を水と一緒に排出することなく、水だけを効率的に排水できる。
【0049】
内鍋10A内の水を排出すると、切欠部22内を通して内鍋10A内に新鮮な洗浄水を注ぎ入れる。そして、操作部材49を把持して撹拌部材50を回転させ、内鍋10A内の飯米を撹拌して洗米する。また、撹拌により水が濁ると、水切部33a〜33dを通して内鍋10A内の水を排水する。注水から排水までの洗米作業を希望回数行うと、炊飯用の水を内鍋10A内にセットし、内鍋10Aから洗米器20を取り外す。
【0050】
このように、本発明の洗米器20は、炊飯器の内鍋10に炊飯する飯米を収容した状態で洗米できる。よって、余計な洗い物を増やすことがないため、利便性を向上できる。また、軸部51の軸線に沿って撹拌部59A〜59Cが移動可能であるため、内鍋10の上部から下部にかけた全ての領域を確実に撹拌できる。さらに、全長が異なるアーム部56A〜56Cの先端に撹拌部59A〜59Cが設けられているため、内鍋10の径方向の全ての領域も確実に撹拌できる。しかも、最も外端に位置する撹拌部59Cが届かない内鍋10の外周壁12の近傍の飯米は、着脱可能に配設した可撓部材62によって内鍋10を傷つけることなく撹拌できる。即ち、内鍋10内の全ての領域を満遍なく撹拌し、飯米を洗浄できる。
【0051】
また、装着部材21は、一対のリブ23,24によって、直径が異なる内鍋10A〜10Cであっても安定状態で装着できる。しかも、上向きに膨出する段部30を設けているため、フランジ部14に取手15を配置した内鍋10にも確実に装着できる。また、本実施形態では、軸部51、アーム部56A〜56Cおよび撹拌部59A〜59Cを一体成形した撹拌部材50を回転部材35に配設するため、部品構成が簡素であり、製造効率を向上できる。また、装着部材21には、洗浄水の注入口を兼ねる切欠部22が設けられているため、装着部材21の占有面積を小さく(小型化)することができるため、非使用時の収納性を向上できる。
【0052】
(第2実施形態)
図8は第2実施形態の洗米器20の撹拌部材50を示す。この撹拌部材50は、3個の撹拌部59A〜59Cのうち、最も中心側に位置する撹拌部(第1撹拌部)59Aは飯米を径方向外側に掻き出すように撹拌し、最も径方向外側に位置する撹拌部(第2撹拌部)59Cは飯米を径方向内側に掻き入れるようにした点で、第1実施形態と相違する。
【0053】
第2実施形態の撹拌部59A〜59Cは、第1実施形態と同様に全長が異なるアーム部56A〜56Cの先端に設けられ、内鍋10内において径方向の異なる位置で回転(撹拌)する。また、各撹拌部59A〜59Cは、軸部51からアーム部56A〜56Cに沿って径方向に延びる基準面L1〜L3に対して面対称な形状である。
【0054】
第1の撹拌部59Aを構成する羽根板部60a,60bには、軸部51側から先端に向けて互いの間隔が次第に狭くなるように、基準面L1側へ傾斜する第1傾斜部65が形成されている。これにより、撹拌部59Aが周方向に回転されると、内鍋10内の飯米が軸部51の軸線に対して径方向外側へ移動するように設定している。また、第2の撹拌部59Cを構成する羽根板部60a,60bには、軸部51側から先端に向けて違いの間隔が次第に広くなるように、基準面L3側から外側へ傾斜する第2傾斜部66が形成されている。これにより、撹拌部59Cが周方向に回転されると、内鍋10内の飯米が軸部51の軸線に対して径方向内側へ移動するように設定している。
【0055】
このようにした第2実施形態の洗米器20を用いて洗米すると、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、ハンドル47の回転させることによる洗米時には、中心側に位置する撹拌部59Aが飯米を径方向外向きに移動させ、中間に位置する撹拌部59Bが飯米を周方向に移動させ、外側に位置する撹拌部59Cが飯米を径方向内向きに移動させる。そのため、飯米を一層満遍なく撹拌し、洗浄できる。
【0056】
(第3実施形態)
図9(A),(B)は第3実施形態の洗米器20の撹拌部材50を示す。この撹拌部材50は、ハンドル47の操作による軸部51の回転方向に対して、アーム部56A〜56Cを逆向きに湾曲させた点で、第1実施形態と相違する。また、回転部材35は、ハンドル47を一方向のみ回転可能とし、逆方向の回転はできないように構成している。
【0057】
図9(A)に示すように、第3実施形態のアーム部56A〜56Cは、第1実施形態と同様に、軸部51の下端から120度間隔をあけて放射状に延び、それぞれ全長が異なるように突設されている。また、各アーム部56A〜56Cは、天板部57と周板部58とを備える断面逆U字形状をなす。そして、各アーム部56A〜56Cは、軸部51から撹拌部59A〜59Cに向けて径方向に延びる基準面L1〜L3に対して、回転方向に向けて湾曲する円弧状に形成されている。これにより、回転方向に対して逆向きに湾曲した形状をなす。なお、
図9(A)は右利きの使用者用であり、回転操作方向である反時計回り(
図9(A)は底面図であるため時計回り)に対して、逆向きに湾曲している。
【0058】
図9(B)に示すように、装着部材21の取付部27および回転部材35のカバー部材45には、一方向しか回転できないようにするための回転規制部67が設けられている。この回転規制部67は、取付部27の内側部に設けた被係止部68と、カバー部材45の外周部に設けた係止部69とを備える。被係止部68は、周方向に連続する複数の直角三角形状をなす溝からなる。係止部69は、被係止部68に係合可能な直角三角形状の突起からなり、90度間隔で4カ所に設けられている。
【0059】
このようにした第3実施形態の洗米器20を用いて洗米すると、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、ハンドル47の回転させる操作方向に制限が生じるが、撹拌時に飯米から受ける負荷を受け流すことができるため、負荷(応力)に抗する強度を向上できる。
【0060】
(第4実施形態)
図10は第4実施形態の洗米器20の撹拌部材50を示す。この撹拌部材50は、全長が異なるアーム部56A〜56Cのうち、最も長いアーム部56Cの延び方向に沿って撹拌部59Cを移動可能に設けた点で、第1実施形態と相違する。
【0061】
具体的には、アーム部56Cには、周板部58の下端に内向きに突出するガイドレール部70が設けられている。このアーム部56Cには、一対の羽根板部60a,60bの上端をブロック状の装着部71によって連結した、別体の撹拌部59Cが配設されている。装着部71には、ガイドレール部70をスライド可能に嵌合するガイド溝72が設けられている。この撹拌部59Cは、装着する内鍋10A〜10Cの直径に応じて、アーム部56Cに沿って希望の位置に配置できる。
【0062】
このようにした第4実施形態の洗米器20を用いて洗米すると、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、アーム部56Cに対して撹拌部59Cを移動可能に配設しているため、内鍋10の外周壁12の付近の飯米を更に確実に撹拌できる。よって、内鍋10の径方向について、飯米を満遍なく撹拌できるため、より確実に洗浄できる。
【0063】
なお、この第4実施形態では、アーム部56Cに対して撹拌部59Cを移動可能に配設したが、アーム部56Cを入れ子構造等の伸縮可能な構造とすることにより、撹拌部59Cをアーム部56Cに沿って移動するように設定してもよい。また、アーム部56Cに対して撹拌部59Cを回動可能に軸着することにより、アーム部56Cに沿って撹拌部59Cを移動可能としてもよい。また、第4実施形態では、撹拌部59Cだけを移動可能に設けたが、全ての撹拌部59A〜59Cを移動可能に設けてもよい。この場合、アーム部56A〜56Cの全長は、全て同一に設定してもよい。
【0064】
(第5実施形態)
図11は第5実施形態の洗米器20の撹拌部材50を示す。この撹拌部材50は、各撹拌部59A〜59Cの羽根板部60a,60bに洗浄水を通過可能な貫通孔73を設けた点で、第1実施形態と相違する。この貫通孔73は、例えば飯米5粒程度の小さな食材が通過可能な開口面積で形成されている。また、第5実施形態では、軸部51に形成する凹部53およびスリット54を、第1実施形態と比較して寸法を長くし、
図2(B)に示す進出位置で、スリット54,54間の弾性片を指で操作できるようにしている。
【0065】
このようにした第5実施形態の洗米器20を用いて洗米すると、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、羽根板部60a,60bに貫通孔73を形成し、撹拌時に洗浄水が貫通孔73内を通過するようにしているため、撹拌部59A〜59Cに加わる水の抵抗を軽減でき、回転負荷を軽減できる。また、本実施形態では、貫通孔73を所定量の飯米が通過可能な開口面積で形成しているため、貫通孔73内を通過する飯米同士の摩擦作用を促進できる。
【0066】
また、第5実施形態では、連結爪52を形成した弾性片が回転部材35から露出するため、弾性片を操作することにより撹拌部材50を取り外すことができる(着脱可能)。そのため、非使用時に撹拌部材50を取り外すことにより、洗米器20の収納性を向上できる。また、第1実施形態から第5実施形態に示す複数種の撹拌部材50を用意しておけば、食材に応じて撹拌部材50を取り替えることにより、洗浄効率を向上することができる。なお、貫通孔73は、例えば飯米1粒が通過不可能な小さな開口面積としてもよい。
【0067】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態の洗米器20を示す。この洗米器20は、装着部材21において、内鍋10のフランジ部14上に載置する一対のリブ23,24間を、径方向外側から径方向内側に向けて下向きに傾斜する傾斜部74を設けた点で、第1実施形態と相違する。なお、リブ23,24間だけでなく、全体を径方向内側(中心)に向けて下向きに傾斜させてもよい。
【0068】
このようにした第6実施形態では、洗米器20を内鍋10上に配置すると、傾斜部74の傾斜に従って装着部材21が内鍋10の開口部13から内側(中心)に向けて入り込むように装着される。そして、使用者が洗米する作業時には、一方の手でハンドル47を回転させ、他方の手を装着部材21と内鍋10に当てるため、装着部材21が内鍋10に入り込むように荷重が加わる。よって、直径が異なる種々の内鍋10A〜10Cに対して洗米器20(装着部材21)を安定状態で装着できる。
【0069】
(第7実施形態)
図13から
図15は第7実施形態の洗米器20を示す。この洗米器20は、可撓部材62の全長を内鍋10の外周壁12に干渉しない寸法とした点で、第1実施形態と相違する。また、第7実施形態では、可撓部材62を配設しない撹拌部59A,59Bの羽根板部60a,60bの横幅を広くして、撹拌効率を向上した点で、第1実施形態と更に相違する。
【0070】
図13および
図14に示すように、撹拌部59A〜59Cは、第1実施形態と同様に、全長が異なるアーム部56A〜56Cの先端に設けられ、軸部51の回転により内鍋10内の径方向の異なる位置(軌跡)で回転する。そのうち、可撓部材62を配設する撹拌部59Cは、第1実施形態と同様に先端に向けて横幅が次第に狭くなる先細形状の羽根板部60a,60bによって構成される。また、他の撹拌部59A,59Bは、先端に向けて均一な横幅で、周方向外向きに湾曲した湾曲部61を備える羽根板部60a,60bによって構成される。湾曲部61による傾斜角度は第1実施形態と同様とし、撹拌部材50の自重と回転により飯米層内に進入可能としている。また、撹拌部59A,59Bは、軸部51の軸線に沿った全長(高さ)を、可撓部材62を配設する撹拌部59Cの全長より長くしている。
【0071】
図14および
図15に示すように、可撓部材62は、第1実施形態と同様に耐熱性を有する軟質材料(例えばシリコーンゴム)により形成され、撹拌部59Cの羽根板部60a,60b間に着脱可能に配設される圧入装着部63を備える。
図15に示すように、可撓部材62は、軸部51から径方向に延びる全長を、直径が最も小さい内鍋10Cに配置した状態で、径方向外側に位置する端部が外周壁12Cの内面に接しない寸法で形成される。また、
図14に示すように、可撓部材62は、上端部をアーム部56Cに当接させた正規取付状態で、撹拌部59Cから下方へ突出する全高で形成される。この突出部75の下縁は、円弧状に湾曲させた曲面状に形成されている。また、突出部75の下端頂部は、撹拌部59A,59Bの下端と同一高さ乃至下方に突出するように設定される。また、可撓部材62の突出部75は、最も全高が高い内鍋10Aの底壁11Aを越えて下向きに移動可能な寸法で形成されている。
【0072】
このようにした第7実施形態の洗米器20は、可撓部材62の径方向の全長を短くしているため、直径が大きい内鍋10A,10Bに用いた場合に外周壁12A,12B近傍での撹拌効率が減衰するが、可撓部材62が内鍋10の外周壁12に摺接しないため、操作部材49の回転操作性を向上できる。また、撹拌部材50が内鍋10の底まで移動した場合、軟質材料からなる可撓部材62の突出部75が底壁11に当接するため、内鍋10内面の損傷を防止できる。
【0073】
なお、本発明の食材洗浄器は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0074】
具体的には、本発明の食材洗浄器は、装着部材(装着部)と、装着部材に対して回転可能な軸部と、軸部に対して交差する方向に延びるアーム部と、アーム部に設けた撹拌部とを備え、軸部、アーム部および撹拌部のいずれかが軸部の軸線に沿って移動可能な構成に特徴を有する。よって、他の具体的構成については、希望に応じて変更が可能である。
【0075】
例えば、前記実施形態では、アーム部56A〜56Cを軸部51の軸線に対して、それぞれ直交方向に延びるように設けたが、各アーム部56A〜56Cの軸部51に対する傾斜角度を異なるように設けてもよい。この場合、各アーム部56A〜56Cの全長は、異なるように設定してもよいし、同一寸法で設定してもよい。このようにすれば、各実施形態と同様に、アーム部56A〜56Cの先端に形成する撹拌部59A〜59Cを異なる軌跡で回転させることができる。
【0076】
また、撹拌部材50は、3個のアーム部56A〜56Cおよび撹拌部59A〜59Cで構成したが、1個だけとしてもよいうえ、4個以上としてもよく、その数は希望に応じて変更が可能である。
【0077】
また、軸部51、アーム部56A〜56Cおよび撹拌部59A〜59Cを一体に設けたが、それぞれ別体で形成して一体的に組み付けてもよい。この場合、軸部51に対してアーム部56A〜56Cを軸部51の軸線に沿って移動可能に配設してもよいうえ、アーム部56A〜56Cに対して撹拌部59A〜59Cを、軸部51の軸線に沿って移動可能に配設してもよい。いずれの構成としても、撹拌部59A〜59Cは必ず軸部51の軸線に沿って移動するため、前記と同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、前記実施形態では、撹拌部材50の自重と、撹拌部59A〜59Cの羽根板部60a,60bの先端の傾斜角度と、撹拌部材50の回転により、撹拌部59A〜59Cが飯米層内に進入し、軸部51の軸線に沿って移動する構成としたが、軸部51と回転部材35とをボールネジ機構によって連結することにより食材層内に徐々に進入する構成としてもよい。このようにすれば、飯米の粒が小さく緊密に収容されている場合や、重量が重い食材が収容されている場合でも、撹拌部59A〜59Cを確実に移動させて、撹拌および洗浄することができる。
【0079】
また、各実施形態では、別体の可撓部材62を配設することにより撹拌部59Cに変形可能な撹拌部を設けたが、2色成形等によって撹拌部59Cを構成する羽根板部60a,60bの先端等の一部に可撓部を設けてもよい。
【0080】
また、前記実施形態では、洗浄する食材として飯米を例に挙げて説明したが、種々の食材を煮炊きする調理器の調理容器に使用し、野菜等の食材を洗浄する食材洗浄器として使用してもよい。