(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転圧接手段は、前記接着領域に少なくとも当接して回転するローラを含み、前記ローラと前記把持手段とにより生地を挟持することにより、生地を圧接するとともに回転力を生地へ付与するための手段を含む、請求項1に記載の環状生地接着装置。
前記回転圧接手段は、前記接着領域に少なくとも当接して回転する少なくとも2つのローラおよび前記ローラに巻き掛けられた無端状のベルトを含み、前記ベルトと前記把持手段とにより生地を挟持することにより、生地を圧接するとともに回転力を生地へ付与するための手段を含む、請求項1に記載の環状生地接着装置。
前記中空円筒の外表面の周長または弾性体を含む周長が、環状に接着する生地の周長に比べ、101%〜130%である、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の環状生地接着装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る環状生地接着装置(以下において単に接着装置と記載する場合がある)1000について図面を参照して説明する。なお、この環状生地接着装置1000は、伸縮性を備えた衣類用の生地どうしを接着する装置であって、たとえば熱溶融性(熱可塑性と同義)の接着剤が所望の接着パターンで予め塗布された生地を接着する。
【0022】
ここで、生地の素材、接着強度、接着部位等により適宜好ましい接着剤が選択され、接着剤の熱溶融温度はその選択に従う。常温に近い熱溶融温度の接着剤が選択される場合もあり、この場合には生地どうしを圧接させるのみで加熱することなく接着することができるので、本実施の形態に係る接着装置1000は生地を加熱するためのヒータは必須の構成ではない。このように生地を加熱するためのヒータを備えない場合には、2つのローラにベルトを巻き掛けたベルトローラ方式ではなく、加熱時間が少なくても良いためにローラ方式の方が好ましい場合もある。
【0023】
なお、この接着装置1000により接着する前に塗布装置により所望の接着パターンで接着剤を生地に塗布するようにしている。本実施の形態に係る接着装置1000に使用する接着剤の物性を、塗布装置において生地に塗布した直後から、常温状態において接着対象の生地からは剥がれず他の物体に付着しても接着することのないものとし、この接着装置1000において圧接(または圧接状態で加熱)することにより、接着剤が塗布された生地と他の生地とを接着するようにしている。このため、塗布装置で接着剤を生地に塗布した後に、この接着装置1000により生地を接着することを好適に行うことができる。このようにすると、接着装置1000のポジションAにおいて、生地の接着部分を準備(セッティング、仮接着)する作業を容易に行うことができる点で好ましい。
【0024】
また、この接着装置1000において所望の接着パターンで接着剤を生地に塗布することも好ましい。たとえば、ポジションDで所望の接着パターンで接着剤を生地に塗布して、ポジションAで接着剤が塗布された生地と被接着生地(他の生地)とを準備(セッティング、仮接着)して、ポジションBで圧接(または圧接状態で加熱)することにより接着剤が塗布された生地と他の生地とを接着するようにすることも好ましい。このようにすると、1台の接着装置1000において、生地への接着剤の塗布から接着までの作業を行うことができる点で好ましい。
【0025】
また、詳しくは動作として後述するが、本実施の形態に係る接着装置1000により接着される接着対象は肌着を形成する生地であるとし、この生地を接着することにより肌着が形成される。さらに、この肌着は、アウターの衣服(たとえば薄手のニット)の下に着用でき、肌触りが良く、かつ、アウターに響かない、女性用のアンダーシャツであるとする。
【0026】
この場合において、生地どうしを接着するものであればよく、本実施の形態に係る接着装置1000において生地を接着する場合には、別々に編成された身頃部と袖部とについて身頃部のアームホールに袖部の腕回りを肩部で環状に接着する場合も(すなわち別部材を接着する場合も)、身頃部の裾を折り返して胴回り部分を環状に接着してヘム処理する場合も(すなわち1部材を接着する場合も)含まれる。
【0027】
[全体構成]
図1に本実施の形態に係る接着装置1000の全体斜視図を示す。この接着装置1000は、垂直方向のメインシャフト1010、メインシャフト1010に垂直な平面で構成される旋回テーブル1020、旋回テーブル1020を水平回転自在にメインシャフト1010を軸支する旋回ベアリング1030、、および、旋回テーブル1020上に設けられ接着対象の生地を把持する4セットの把持部(後述する生地把持用中空円筒1040と水平方向のシャフト1070とを主体とする)を備える。
【0028】
これらの把持部は互いに90度の角度間隔で旋回テーブル1020上に設けられ、作業
者が矢示R(1)方向へ90度ずつ旋回させることにより(後述するように90度回転すると旋回ストッパが作用する)、準備ゾーンであるポジションA→接着ゾーンであるポジションB→固着ゾーンであるポジションC→取り出しゾーンであるポジションDへ把持部が水平方向へ回転移動する。この接着装置1000は、上述した旋回テーブル1020上の把持部に加えてポジションBに設けられた、ポジションAで作業者により把持部に把持された接着対象である生地どうしを、ベルトと把持部とで挟持して把持部の生地把持用中空円筒1040が一回転している時に加圧して生地どうしを圧接するとともに接着剤が塗布された接着領域をヒータで加熱して生地どうしを接着する回転圧接ユニット、このようにこの接着装置1000の全体を制御する制御部1300、および、フレーム1400を備える。
【0029】
なお、接着装置1000において準備ゾーンであるポジションAと接着ゾーンであるポジションBとが形成できれば、ポジションBにおいて固着処理および取り出し処理が可能であるので、把持部は少なくとも2つあればよい。
図2に拡大斜視図であって、準備ゾーンであるポジションA側の斜視図を、
図3に拡大斜視図であって、接着ゾーンであるポジションB側の斜視図を、それぞれ示す。さらに、
図4に接着装置1000の正面図(準備ゾーンであるポジションA側)を、
図5に左側面図(接着ゾーンであるポジションB側)を、
図6に右側面図(取り出しゾーンであるポジションD側)を、
図7に上面図をそれぞれ示す。
【0030】
これらの図に示すように、この接着装置1000は、伸縮性を備えた生地どうしを環状に接着する。生地は、2枚であっても1枚であっても構わないが、以下においては、2枚の生地(後述するようにアンダーシャツの身頃部の生地と袖部の生地)を接着する装置であるとして説明する。2枚の生地が対向する面の少なくとも一方の面の接着領域には熱溶融性の接着剤が塗布されている。ここでは、2枚の生地のうちの1枚の生地の所定の接着領域に接着剤が予め塗布されているとする。
【0031】
上述した把持部は、水平方向に延設されたシャフト1070、そのシャフト1070を回転中心軸としてシャフト1070で回転自在に軸支された中空円筒形状を備えた生地把持用中空円筒(以下において単に中空円筒と記載する場合がある)1040、シャフト1070を回転可能に支持するために1本のシャフト1070あたり2個のベアリング1080、および、後述するポジションBにおいてロータリーエンコーダによる中空円筒1040の1回転を検出するために1本のシャフト1070あたり1個設けられたエンコーダ検出用ローラ(以下において単に検出用ローラと記載する場合がある)1090を備える。1本のシャフト1070あたり2個のベアリング1080が設けられ、それらのベアリング1080が旋回テーブル1020上に等角度間隔で4セット設けられ、それら2個のベアリング1080の間に検出用ローラ1090が設けられている。なお、旋回テーブル1020を矢示R(1)方向へ旋回させると旋回ストッパによりこの検出用ローラ1090が90度毎に略位置決めされて、旋回が一旦停止する。
【0032】
この接着装置1000のポジションAにおいて、この中空円筒1040の外表面には接着領域に被接着領域を重ねた状態かつ所望の伸張率で伸張された状態の環状生地が被せられることにより、生地が把持される。この接着装置1000は、ポジションBにおいて、中空円筒1040に把持された生地を圧接するとともに回転力を生地へ付与して中心軸であるシャフト1070周りに1回転させるための回転圧接ユニット(後述する生地送りベルト用モータ1200とテフロン(登録商標)等の生地送りベルト1220とエンコーダ昇降エアシリンダ1230とユニット昇降エアシリンダ1250とを主体とし、ヒータ1260は任意構成とする)を備える。
【0033】
さらに、この回転圧接ユニットは、接着領域に少なくとも当接して回転する少なくとも2つのローラ(駆動ローラ1208、従動ローラ1210)、これらのローラに巻き掛けられた無端状の生地送りベルト(以下において単にベルトと記載する場合がある)1220、および、このベルト1220と中空円筒1040外表面とにより生地を挟持することにより生地を圧接するとともに回転力を生地へ付与するために駆動ローラ1208を回転させる生地送りベルト用モータ(以下において単にモータと記載する場合がある
)1200を備える。なお、この回転圧接ユニットを、ベルトを備えないローラのみで構成することが可能であることは上述の通りである。
【0034】
さらに、この回転圧接ユニットは、ローラ(駆動ローラ1208、従動ローラ1210)およびベルト1220をポジションBにおける中空円筒1040に対して接近および離隔可能に上下方向に移動させるユニット昇降エアシリンダ1250をさらに備える。回転圧接ユニットは、中空円筒1040にベルト1220を接近させてベルト1220を生地に圧接させるとともにローラ(駆動ローラ1208、従動ローラ1210)を矢示R(2)方向へ回転駆動することによりベルト1220が矢示R(2)方向へ回転する。なお、ユニット昇降エアシリンダ1250へ供給する空気圧を精密レギュレータ(図示せず)を調整することにより、中空円筒1040の外径、生地および接着剤の種類等に応じてベルト1220による生地への圧接力が制御される。ここで、回転圧接ユニットにおいて、上下移動可能な機構がローラ(駆動ローラ1208、従動ローラ1210)およびベルト1220ではなく中空円筒1040であっても構わないし、双方であっても構わない。すなわち、ローラ(駆動ローラ1208、従動ローラ1210)およびベルト1220、中空円筒1040のいずれかが互いに接近離隔可能であるように構成されていれば構わない。このようにいずれかが互いに接近離隔可能であるように構成されていればよいことは、ローラ方式も同じである。
【0035】
さらに、この接着装置1000は、接着領域を加熱するための昇降ヒータ(以下において単にヒータと記載する場合がある)1260をさらに備えるようにすることができる。このヒータ1260は、生地に当接する逆側からベルト1220に当接され中空円筒1040の外周面に沿った形状を備える。このヒータ1260は、ベルト1220を介して生地を加熱する。このため、ベルト1220は、耐熱性のテフロン(登録商標)等の素材である。
【0036】
さらに、中空円筒1040の外表面(1周分)には、生地が中空円筒1040から滑らないように、シリコンや耐熱性の高いスポンジ等の弾性体1050を形成(接着)している。この場合において、環状に接着する長さは、たとえばアンダーシャツのサイズにより異なるため、中空円筒1040の径を変更したりこの弾性体1050の厚みを変更したりして、様々なサイズに対応できるようにすることが好ましい。なお、たとえば、シャフト1070の両端に雄ねじを切っておいて回転ノブ1060に切られた雌ねじと螺合するようにして、中空円筒1040(および弾性体1050)をシャフト1070に容易に交換可能にすることが好ましい。
【0037】
この中空円筒1040は、メインシャフト1010の逆側を底とした中空円筒形状の容器であって、メインシャフト1010の側(内筒側)は開放されている。この開放部は、接着領域を含まない生地を押し込む袋部を形成する。ただし、中空円筒1040の底の位置および底の形状については、このような位置および形状に限定されるものではない。中空円筒1040の円筒内側における中央付近にリブ付きブッシュのようなものがあっても構わないし、両方が開口しているものであっても構わない。すなわち、開口位置(開口方向)は限定されるものではなく、開口側(底側)が内側であるのか、外側であるのかは適宜選択することができる。さらに、中空円筒1040の形状は、接着部以外は(ここで言うと生地を押し込む側)の中空円筒の径は小さい方が好ましい。接着部以外の中空円筒の径が大きいと生地に張力がかかり、シワが発生しやすいためである。また、シワが発生しないように、セットした生地が重なってシワにならないようにセットした生地を伸ばす方向に、エアブローすることも好ましい。
【0038】
この中空円筒1040は、その外表面の周長(弾性体1050を設けないか薄い場合)または弾性体1050を含む周長が、環状に接着する生地の周長に比べ、101%〜130%である。すなわち、この接着装置1000のポジションAにおいて、この中空円筒1040の外表面に設けられた弾性体1050には、接着領域に被接着領域を重ねた状態かつ所望の伸張率(101%〜130%)で伸張された状態の環状生地が被せられる。このように所望の伸張率で伸張された状態の生地が、ポジションBにおいて回転圧接ユニットより生地が圧接される。
【0039】
このような特徴を備えた本実施の形態に係る接着装置1000の各部について説明する
。
[各部構成]
・旋回部
この接着装置1000を矢示R(1)方向へ90度回転すると旋回ストッパ1100が作用する。この旋回ストッパ1100は、検出用ローラ1090の外周形状に対応した凹部を備え、ストッパステー1110を介してストッパシャフト1120に接続されている。ストッパシャフト1120は、ストッパシャフトホルダ1140により上下方向へ移動可能に設けられている。このストッパシャフト1120には、旋回ストッパ1100を検出用ローラ1090へ押しつけることにより旋回を阻害する圧接ばね1130が設けられている。
【0040】
なお、検出用ローラ1090が回転するのに対して旋回ストッパ1100が回転しないように、かつ、ポジションAにおいて作業者が生地を中空円筒1040にセットしやすいように(容易にメインシャフト1010周りに旋回したりシャフト1070周りに回転したりすることにより生地が中空円筒1040にセットしにくくならないように)、圧接ばね1130のばね定数等が定められている。
【0041】
・回転圧接ユニット(搬送機能)
回転圧接ユニットの中の生地搬送機能について説明する。この生地搬送機能は、生地に圧接するベルト1220、そのベルト1220を回転するための駆動源であるモータ1200、このベルト1220が巻き掛けられた駆動ローラ1208と従動ローラ1210、および、このベルト1220に適宜なテンションを付与するためのテンションローラ1212を備える。なお、駆動ローラ1208は駆動シャフト1206の端部に接続され、駆動シャフト1206の駆動ローラ1208の反対側の端部にはタイミングプーリ1204が接続されている。
【0042】
テンションローラ1212は、テンション付与部材1214により回転自在に軸支され、テンション付与部材1214は、テンション付与軸1216により支持され、テンション付与部材1214のテンションローラ1212の逆側の端部にはばね係合部1218が設けられる。ばね係合部1218にはばね(図示せず)が設けられ、このばねにより矢示T方向の力がテンション付与部材1214へ作用して、その結果、テンションローラ1212にも矢示T方向の力が作用して、適切なテンションがベルト1220へ付与される。
【0043】
モータ1200の回転軸にはタイミングプーリ(モータ側は図示せず)が接続され、タイミングベルト1202を介して、駆動シャフト1206に接続されたタイミングプーリ1204へモータ1200の駆動力が伝達される。その結果、モータ1200の駆動力よりベルト1220が矢示R(2)方向へ回転する。ベルト1220と中空円筒1040とで生地が挟持されているときに(後述するように回転圧接ユニットが矢示X(2)側にあるときに)モータ1200を回転するとベルト1220および中空円筒1040が矢示R(2)方向へ回転して生地が矢示R(2)方向へ搬送される。
【0044】
なお、生地の搬送速度すなわちモータ1200の回転速度は、生地の種類、接着剤の種類、ヒータ1260の温度等に基づいて、高い作業効率で接着処理ができるように、作業者が速度指令部1238に目標速度を入力して、後述するモータ駆動ドライバ1530により制御され、実際の速度が速度表示部1240に表示される。
・回転圧接ユニット(圧接機能)
回転圧接ユニットにおいて搬送機能を実現するモータ1200(後述する加熱機能を実現するヒータ1260を含む)等は、ユニットホルダ1252に積載されている。このユニットホルダ1252は、ユニット昇降エアシリンダ1250により、矢示X(1)−矢示X(2)の上下方向へ移動される。
【0045】
ここで、矢示X(1)方向(ユニット昇降エアシリンダ1250上端側)が、旋回テーブル1020が旋回するタイミングやモータ1200が作動していないタイミングにおける位置であって、回転圧接ユニットの待機位置である。矢示X(2)方向(ユニット昇降エアシリンダ1250下端側)が、旋回テーブル1020が旋回しないタイミングやモータ1200が作動するタイミングであって回転圧接ユニットの作動位置における位置であ
る。なお、近接スイッチ等によりユニット昇降エアシリンダ1250の上下端を検出している。
【0046】
回転圧接ユニットの作動位置においては、ベルト1220による生地への圧接力が適切でなければならない。この場合において、弾性体1050を含む中空円筒1040が径の異なるものに変更されたり、生地および接着剤の種類等が変更された場合には、ユニット昇降エアシリンダ1250へ供給する空気圧が精密レギュレータにより変更されて、適切な圧接力を実現している。
【0047】
・回転圧接ユニット(加熱機能)
回転圧接ユニットにおいて加熱機能を実現するヒータ1260は、モータ1200等とともにユニットホルダ1252に積載されて、ユニット昇降エアシリンダ1250により、矢示X(1)−矢示X(2)の上下方向へ移動される。このヒータ1260の温度は、たとえばPID制御等で目標温度を維持するヒータ温度コントローラ1520により制御されて、生地および接着剤の種類に応じて適切な温度が維持されている。
【0048】
ヒータ1260は、中空円筒1040(正確には弾性体1050)の外周面に沿った凹んだ形状を備え、中空円筒1040(正確には弾性体1050)とベルト1220で挟持されて圧接されている生地であって、回転している生地を加熱する。なお、中空円筒1040(および/または弾性体1050)の外径は変更されるため、ヒータ1260の凹んだ形状は、変更される中空円筒1040(および/または弾性体1050)の最大の曲率にも最小の曲率にも対応できる中程度の曲率であることが好ましい。
【0049】
ヒータ1260は、駆動ローラ1208と従動ローラ1210とに巻き掛けられたベルト1220の内側に配置されている。矢示X(1)側の回転圧接ユニットの待機位置においてヒータ1260はベルト1220に接しておらず、矢示X(2)側の回転圧接ユニットの作動位置においてヒータ1260はベルト1220に接し、ユニット昇降エアシリンダ1250によりベルト1220が中空円筒1040側に押圧されて、ベルト1220と中空円筒1040(正確には弾性体1050)とにより生地が挟持されて、モータ1200により生地が矢示R(2)方向へ搬送されながら、ヒータ1260により生地が加熱される。
【0050】
・回転圧接ユニット(回転検出機能)
回転圧接ユニットにおいて回転検出機能を実現するロータリエンコーダ1236等は、ユニットホルダ1252とは別のシャフトホルダ1232に積載されて、ユニット昇降エアシリンダ1250とは別のエンコーダ昇降エアシリンダ1230により、矢示Y(1)−矢示Y(2)の上下方向へ移動される。シャフトホルダ1232はL字型の薄板状であって、鉛直面には、ロータリエンコーダ1236の検出軸が貫通する丸穴と、U字溝とが設けられている。この丸穴から突出したロータリエンコーダ1236の検出軸にはエンコーダ検出用ウレタンローラ(以下において単に検出用ウレタンローラと記載する場合がある)1234が設けられ、鉛直面のメインシャフト1010側(検出用ウレタンローラ1234の裏側)にロータリエンコーダ1236が設けられている。なお、シャフトホルダ1232の水平面にはエンコーダ昇降エアシリンダ1230のシリンダが接続されている。ここで、U字溝とシャフト1070とは通常は接触しておらず、圧接中に突発的(外的要因等により)に接着装置1000の回転可能部分が回転してしまい接着不良になることを防ぐストッパ的な役割をこのU字溝が(主として)実現している。また、モータ1200が作動した場合にシャフト1070が振動することを抑制する役割は圧接ばね1130が(主として)実現している。
【0051】
ここで、矢示Y(1)方向(エンコーダ昇降エアシリンダ1230上端側)が、旋回テーブル1020が旋回するタイミングやモータ1200が作動していないタイミングにおける位置であって、回転圧接ユニットの待機位置側である。矢示Y(2)方向(エンコーダ昇降エアシリンダ1230下端側)が、旋回テーブル1020が旋回しないタイミングやモータ1200が作動してロータリエンコーダ1236により中空円筒1040の回転状態を検出するタイミングにおける位置であって、回転圧接ユニットの作動位置側である。なお、近接スイッチ等によりエンコーダ昇降エアシリンダ1230の上下端を検出して
いる。
【0052】
エンコーダ昇降エアシリンダ1230が矢示Y(2)方向にある場合には、検出用ウレタンローラ1234が検出用ローラ1090に滑ることなく当接した状態である。このため、回転圧接ユニットの作動位置においては(モータ1200が作動状態)においては、ロータリエンコーダ1236により、中空円筒1040の回転(シャフト1070の回転と同じ)を、検出用ローラ1090および検出用ウレタンローラ1234を介して(シャフト1070よりも径が太いので分解能を上げて正確に)検出することができる。
【0053】
上述したように、中空円筒1040(および/または弾性体1050)の外径は変更されても、シャフト1070の回転を検出しているので、中空円筒1040が1回転すること(接着領域を全て圧接したこと)を正確に検出することができる。
[制御ブロック]
このような構成を備えた接着装置1000は、制御部1300により制御される。制御部1300は、たとえば、各種計器を内部に備えた制御盤1310と、制御盤1310の盤面に設けられ、この接着装置1000へ給電するためのメインスイッチ(ブレーカ)1340およびこの接着装置1000へ給電中であることを示すための電源ランプ1330と、圧接搬送ユニットを運転・停止させるための操作ボタン1320とで構成される。
【0054】
さらに具体的に、
図8に示す制御ブロック図を参照して、制御部1300について説明する。なお、
図8に示す制御ブロック図においては、たとえばモータ駆動ドライバ、シリンダ駆動ドライバ、出力インターフェイスを備える態様を示しているが、実際にはこのようなドライバおよび/またはインターフェイスを備えなくても、この接着装置1000が所望の動作を実現できるように構成されていれば構わない。このような態様としては、ドライバを備えないようにして、モータはスピードコントローラで速度制御してCPUからのON/OFF制御のみで動作を制御する態様であったり、シリンダにエアシリンダを採用して電磁弁を作動させるのみで動作を制御する態様であったりする。
【0055】
図8に示すように、制御部1300は、予め記憶されたプログラムおよびパラメータ(搬送速度等)に従って各種の入力信号を受けて演算処理を実行し各種の出力機器への出力信号(制御信号)を出力する演算装置(ここではCPU1500とする)と、操作ボタン1320からの入力信号を受けるための入力インターフェイス1510と、上述したヒータ1260の温度を制御するヒータ温度コントローラ1520と、上述したモータ1200を制御するためのモータ駆動ドライバ1530と、上述したエアシリンダ(エンコーダ昇降エアシリンダ1230およびユニット昇降エアシリンダ1250)を制御するためのシリンダ駆動ドライバ1540と、電源ランプ1330を点灯/消灯するための出力インターフェイス1550と、図示しないメモリ(プログラムおよびパラメータを記憶)で構成される。
【0056】
CPU1500には、バス等で、入力インターフェイス1510、モータ駆動ドライバ1530、シリンダ駆動ドライバ1540、出力インターフェイスおよび1550が接続されている。ヒータ温度コントローラ1520には、ヒータ1260が接続され、ヒータ1260を所望の温度に維持するようにヒータへの通電を制御する。なお、ヒータ温度コントローラ1520は、CPU1500に接続されていても接続されていなくてもどちらでも構わない。接続されている場合には、たとえば、ヒータの計測温度が設定温度の所定範囲内であるときに(所望温度であるときに)許可信号をヒータ温度コントローラ1520からCPU1500に出力させて、許可信号を受信したCPU1500がこの接着装置1000の運転を許可する(矢示X(2)方向へユニット昇降エアシリンダ1250を下降させて、矢示Y(2)方向へエンコーダ昇降エアシリンダ1230を下降させて、モータ1200を回転駆動させることを許可する)ように制御することができる。このように制御すると、ヒータ1260の温度が低いのに接着動作が行われることを回避できる。
【0057】
以下の説明においては、メインスイッチ1340がオンにされると、ヒータ1260の温度が、ヒータ温度コントローラ1520により設定温度に制御されているものとする。
モータ駆動ドライバ1530には、モータ1200、速度指令部1238および速度表示部1240が接続され、シリンダ駆動ドライバ1540には、ユニット昇降エアシリン
ダ1250およびエンコーダ昇降エアシリンダ1230が接続されている。このようにシリンダ駆動ドライバ1540には、エアシリンダが接続されて動作が制御されるとして説明したが、エアシリンダでなく電動シリンダであっても構わない。すなわち、上述した機能が実現できる機構であれば、エア駆動方式であっても電気駆動方式であっても他の駆動方式であっても構わない。
【0058】
検出用ウレタンローラ1234が接続されたロータリエンコーダ1236は、CPU1500(またはモータ駆動ドライバ1530であってもよい)に接続され、中空円筒1040の回転中にパルスをカウントして、中空円筒1040が1回転するとモータ1200の回転を停止させる。ここで、中空円筒1040の回転の回数が1回であることに限定されるものではなく、温度条件によっては2回転以上させる可能性もある。たとえば、外気温(この接着装置1000が設置された室内温度を指す)が低い場合には受け側のゴムが冷えているために運転開始時には中空円筒1040を2回以上回転させて、時間経過とともに中空円筒1040の回転の回数を変化させることも可能である。
【0059】
操作ボタン1320からの運転信号を受信したCPU1500は、たとえば、以下のように、この接着装置1000を制御する。
なお、作業者は、操作ボタン1320(運転)を操作する前に、ポジションAにおいて、旋回ストッパ1100により適宜なブレーキがかかった状態の中空円筒1040を回転させながら、中空円筒1040の外表面に設けられた弾性体1050に、接着領域に被接着領域を重ねた状態の生地を被せる。この場合において、接着する環状生地の周長に応じた弾性体1050を備えた中空円筒1040がシャフト1070に回転ノブ1060により螺合されている。このような生地の準備作業においては、弾性体1050の作用により生地が中空円筒1040から滑ることなく、かつ、生地は所望の伸張率(101%〜130%)で伸張された状態で、中空円筒1040の外表面に設けられた弾性体1050に被せられる。このように所望の伸張率で伸張された状態の生地が、ポジションAからポジションBへ移動するように、作業者が旋回テーブル1020をメインシャフト1010周りに90度回転させる。なお、中空円筒1040の内筒側には、接着領域を含まない生地が作業者により押し込まれている。
【0060】
生地がセットされた中空円筒1040がポジションAからポジションBまで矢示R(1)方向へ旋回中において、弾性体1050による滑り止め作用、および、接着領域を含まない生地が中空円筒1040の開放側(袋部)に押し込まれ接着装置1000の各部に生地が引っ掛かることの防止作用、により生地が中空円筒1040から滑り落ちることことがない。また、生地がセットされた中空円筒1040がポジションBまで旋回すると同時にポジションDに位置した中空円筒1040がポジションAまで旋回して来て旋回ストッパ1100により保持されるため、旋回テーブル1020が容易に旋回しないようにされている。
【0061】
この状態で作業者が操作ボタン1320(運転)を操作する。なお、CPU1500は図示しない近接スイッチによりポジションA〜ポジションDに中空円筒1040が位置していることを検出しているものとする。操作ボタン1320(運転)を操作されたことをCPU1500が検出すると、CPU1500は、ユニット昇降エアシリンダ1250へ接近指令信号を出力して、ユニットホルダ1252に積載された回転圧接ユニットが、待機位置(矢示X(1)側)から作動位置(矢示X(2)側)へ移動される。また、この動作とともに(またはこの動作の前に、またはこの動作と時間差を持たせて)、CPU1500は、エンコーダ昇降エアシリンダ1230へ接近指令信号を出力して、シャフトホルダ1232に積載されたロータリエンコーダ1236および検出用ウレタンローラ1234が、待機位置(矢示Y(1)側)から作動位置(矢示Y(2)側)へ移動される。
【0062】
次いで、CPU1500は、モータ1200に回転指令信号を出力して、モータ1200が所望の回転速度(所望の生地送り速度)で回転されて、駆動ローラ1208、従動ローラ1210およびベルト1220が矢示R(2)方向へ回転される。このとき、ベルト1220は生地を挟んで中空円筒1040(正確には弾性体1050)に圧接しているので、ベルト1220により中空円筒1040が矢示R(2)方向へ回転されることになる
。中空円筒1040が回転するとシャフト1070が回転して、検出用ローラ1090が回転する。検出用ローラ1090の回転は、検出用ウレタンローラ1234を介してロータリエンコーダ1236により検出される。ロータリエンコーダ1236からのパルス信号が入力されるCPU1500は、回転開始からのパルス数を積算して、積算パルス数が中空円筒1040の1回転に対応するパルス数に到達すると、CPU1500は、モータ1200に回転停止信号を出力して、モータ1200の回転が停止する。
【0063】
なお、中空円筒1040の1回転は、ロータリエンコーダ1236により検出されてCPU1500へ回転終了信号を入力してCPU1500がモータ1200を停止させるようにしても構わないし、回転終了信号を(CPU1500を介さないで)モータ駆動ドライバ1530へ直接に入力してモータ駆動ドライバ1530がモータ1200を停止させるするようにしても構わない。
【0064】
その後、CPU1500は、ユニット昇降エアシリンダ1250へ離隔指令信号を出力して、ユニットホルダ1252に積載された回転圧接ユニットが、作動位置(矢示X(2)側)から待機位置(矢示X(1)側)へ移動される。また、この動作とともに(またはこの動作の前に、またはこの動作と時間差を持たせて)、CPU1500は、エンコーダ昇降エアシリンダ1230へ離隔指令信号を出力して、シャフトホルダ1232に積載されたロータリエンコーダ1236および検出用ウレタンローラ1234が、作動位置(矢示Y(2)側)から待機位置(矢示Y(1)側)へ移動される。
【0065】
なお、CPU1500によりこのように接着装置1000が制御されている場合において、作業者により操作ボタン1320(停止)が操作されると、接着装置1000の全ての動作(ヒータ温度コントローラ1520を除く)が、直ちに停止するか、待機位置まで戻って停止する。
[動作]
以上のような構造を備えた接着装置1000の動作を説明する。動作の説明においては、アンダーシャツの袖部を身頃(この身頃は生地二重部を備える)に接着するために、身頃のアームホール(接着剤が予め塗布)に袖部(接着剤の塗布なし)を接着する場合を一例として説明する。なお、この動作の説明にあたり、まず、アンダーシャツおよび接着剤の塗布パターン(接着パターン)について説明する。
【0066】
・動作対象のアンダーシャツ
図9にアンダーシャツ10の正面図を示す。この
図9に示すように、このアンダーシャツ10は、丸編みされた身頃部11と、左右の袖部12とを有している。身頃部11と袖部12とは別々に編成された伸縮性編地であって、後述するように、接着剤を用いた貼り合わせ構造により身頃部11と袖部12とが肩部で接合されて、アンダーシャツ10の全体を形成している。
【0067】
ここで、このアンダーシャツ10の伸縮方向について説明する。身頃部11は、
図9の紙面横方向がコース方向であって(ウェール方向よりも)伸縮しやすい方向であって(胴回りに沿って伸びやすい)、袖部12は、腕の周囲長に沿った方向がコース方向であって(ウェール方向よりも)伸縮しやすい方向である(腕回りに沿って伸びやすい)。なお、コース方向とはヨコ編地における編成方向と同一方向を意味し、ウェール方向とはコース方向と直交する方向を意味する。
【0068】
上記のようなコース方向使いの場合、袖部12の腕回り方向に対して身頃部11のアームホールは伸縮しにくく(詳しくは後述するがアームホールにおいて伸縮性の差が存在する)、袖部12の腕回り方向は伸縮しやすい。この場合において、一般的な縫着で袖部12を身頃部11に接合する場合には、伸びやすい袖部12に伸びにくい身頃部11に過不足なく縫い合わせる必要があるので、袖部12の腕回り方向長さを身頃部11のアームホールよりも短く設計している。一方、後述する接着剤を用いた貼り合わせ構造の場合には、このように袖部12の腕回り方向長さを身頃部11のアームホールよりも短く設計してしまうと、袖部12の腕回り方向長さが不足してしまうことがある。このため、袖部12の腕回り方向長さは、身頃部11のアームホールと同じであるか、身頃部11のアームホールよりも長く設計している。なお、ヨコ編地をアンダーシャツに用いる場合は上述のと
おりであるが、タテ編地を用いる場合は、コース方向とウェール方向がヨコ編地の場合と逆になる。したがって、
図9の紙面横方向がウェール方向、ウェール方向と直交する方向がコース方向となる。
【0069】
ここで、伸縮性を備えた生地(伸縮方向を有する伸縮性編地)とは、上述した方向(コース方向およびウェール方向)のうちの一方向での伸縮率がそれと直交する方向を含む他の方向よりも大きい方向を伸縮方向として有する伸縮性編地をいう。なお、このような伸縮性編地においては、上述した方向(コース方向およびウェール方向)のうちの一方向またはその一方向の近傍の方向が、その編み地において最も大きな伸縮率となる方向(最大伸縮方向)となる。
【0070】
なお、身頃部11は、前身頃と後身頃とを、接着剤を用いた貼り合わせ構造により接合されたものであっても構わない。また、袖部12は、丸編機により編成された丸編地をそのまま用いたものであってもよく、また、横編機または丸編機により編成された編地を裁断し、その後接着剤を用いた貼り合わせ構造により筒状に接合されたものであっても構わない。このアンダーシャツ10における袖部12は後者であるとする。
【0071】
いずれにしても、別々に編成された身頃部11と左右の袖部12とが、接着剤により貼り合わせられており、縫着されていない。さらには、このアンダーシャツ10は、縫着部を一切備えず、別々に編成された各部位は、貼り合わせ構造により接着されている。
身頃部11の上側であって着用者の首部に対応する部分には、開口部として浅いU字形状に剔られた衿部が形成され、身頃部11の下側であって着用者のウエスト部に対応する部分には、開口部として身頃下端部が形成され、袖部12の端部であって着用者の手首部に対応する部分には、開口部として手先を出すための袖口部が形成されている。これらの開口部における生地端は、周縁を切りっぱなし仕様とされた生地(周縁処理が不要な伸縮性編地)で構成されている。
【0072】
さらに、アンダーシャツ10の特徴的な構成について、
図10および
図11を参照して説明する。ここで、
図10は、このアンダーシャツ10の左半分の部分拡大図であって、
図11は、このアンダーシャツ10の着用状態を示す斜視図である。なお、
図10はアンダーシャツ10を裏返しにした状態であって、
図11はアンダーシャツ10を裏返しにしていない着衣状態である。
【0073】
これらの図に示すように、このアンダーシャツ10において、身頃部11の上側の左右端は衿部を構成するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造112を備え、袖部12は横編機または丸編機により編成された編地を裁断して筒状に形成するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造120を備え、身頃部11と袖部12とを肩部で接合するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造110を備える。
【0074】
これらの貼り合わせ構造110、112、120は、後述するように、基本的に同じ構造を備える。この貼り合わせ構造の中で、貼り合わせ構造112、120は、直線的であるのに対して、貼り合わせ構造110は、曲線的かつ全周であることが特徴であって、従来は接着剤による接合が不可能であった。この貼り合わせ構造110を含め貼り合わせ構造112、120は、以下に示す貼り合わせ構造により実現されている。なお、以下においては、貼り合わせ構造110、112、120は同じ構造を備えるので、貼り合わせ構造110について説明する。
【0075】
この貼り合わせ構造110は、伸縮性生地どうしとなる身頃部11(伸縮性生地1)および袖部12(伸縮性生地2)を接着剤により形成される接着パターンPを介して貼り合わせる生地の貼り合わせ構造である。身頃部11と袖部12との接着手順を示す
図12を参照して、この貼り合わせ構造について詳しく説明する。なお、
図12においては、アンダーシャツ10を裏返しにした状態であって、身頃部11の袖接合部の表側に袖部12の身頃接合部が重ねられているが(袖部12が上)、この逆で、身頃部11の袖接合部の裏側に袖部12の身頃接合部が重ねられていても(身頃部11が上)構わない。ここで、接着剤が身頃部11側に塗布されていることが好ましいとされるが、接着剤が袖部12側に塗布されていても構わない。ただし、以下においては、接着剤が身頃部11側に塗布されているものとして説明する。
【0076】
接着パターンPは、
図12に示すように、接着剤を所定形状(
図12では、ジグザグ形状)に形成することで伸縮性生地1および伸縮性生地2が連続的に接着される接着部3と、この接着部3により平面視において開口形成され、伸縮性生地1および伸縮性生地2が接着剤により接着されない非接着部4と、からなり、接着部3と非接着部4とが所定方向(
図12では、袖部12の腕回りに沿った伸縮性を有する方向)に繰り返し設けられる。
【0077】
接着パターンPは、前述したように、接着部3と、非接着部4とからなり、
図12に示すように、接着剤が伸縮性生地1および伸縮性生地2のそれぞれの接着面1a、接着面2aに熱接着して固着した接着部位の平面視形状のことをいう。
また、接着部3は、所定方向(
図12における袖部12の腕回りに沿った伸縮性を有する方向)に所定形状(
図12では、ジグザグ形状)を連続的に繰り返して形成される部分である。
【0078】
接着部3は、より具体的に説明すると、接着パターンPの形状がジグザグ形状の場合は、
図12に示すように、接着部3を構成する最小繰り返し単位Uが、「<」形状もしくは「>」形状であり、この最小繰り返し単位Uである「<」形状もしくは「>」形状が伸縮性生地1および伸縮性生地2の伸縮性を有する方向に複数かつ連続的に繰り返して配置形成される部分のことである。
【0079】
図12に示すジグザグ形状は、所定のジグザグ振幅(生地の伸縮性を有する方向と直交する振幅)と所定のジグザグピッチをー定周期で繰り返すものである。
一方、非接着部4は、この接着部3により平面視において開口形成され、伸縮性生地1および伸縮性生地2が接着剤により接着されない部分である。
非接着部4は、より具体的に説明すると、接着パターンPの形状がジグザグ形状の場合は、
図12に示すように、伸縮性生地1および伸縮性生地2のそれぞれにおいて接着部3の最小繰り返し単位Uである「<」形状もしくは「>」形状の開口端から内側の所定領域に亘って接着剤が塗布されず、伸縮性生地1および伸縮性生地2が接着されない部分のことである。
【0080】
この非接着部4は、接着剤が塗布されない領域であるため、生地を伸縮性を有する方向に伸縮しても接着剤による伸縮の阻害を受けない伸びしろ部分となる。
具体的には、非接着部4は、生地を伸ばす方向に引っ張ると、非接着部4が伸びしろとして伸縮性を有する方向に伸びるため、接着剤による伸縮の阻害を受けないのである。
接着パターンPの形状をジグザグ状にして伸縮性生地どうしを接着する場合、前述した所定のジグザグ振幅と所定のジグザグピッチを変更することで、伸縮性生地どうしの伸長力と伸長性をコントロールすることができる。
【0081】
なお、接着パターンPの形状をジグザグ状にする場合、その周期については特に限定するものではなく、
図12に示すように、一定周期である必要はない。ジグザグ形状の周期については、生地特性、貼り合わせ位置、製造条件等により適宜決めればよい。
また、接着パターンPの形状はジグザグ状に特に限定するものではなく、種々の接着パターンPが挙げられる。種々の接着パターンPの形状のなかでも、ジグザグ状またはカーブ状が好ましい。これは、生地に接着剤を塗布(付与)する際に塗布し易い形状であるからである。アンダーシャツ10に適用可能な接着パターンPは、帯状でも面状でもなく線状であることが特徴である。
【0082】
また、接着パターンPを構成する、接着部3と非接着部4との所定方向への繰り返し数は、少なくとも2回以上であればよく、所定の回数に限定されるものではない。なお、アンダーシャツ10の貼り合わせ構造に適用する場合には、その寸法に従った所定の回数となる。
ここで、繰り返し数が2回である場合、接着パターンPは、接着郎3、非接着部4、接着部3と順に配置された構成となるー方、繰り返し数が3回以上である場合、接着パターンPは、接着部3、非接着部4、接着部3、非接着部4、・・・と順に配置された構成となるのである。
【0083】
さらに、接着パターンPを構成する、接着部3と非接着部4との配置パターンについては、特に限定されるものではなく、不規則に構成されていてもよい。
接着剤としては、特に限定するものではないが、たとえぱ、上述したように熱可塑性樹脂(熱溶融性樹脂と同義)が挙げられる。
このような熱可塑性樹脂としては、たとえばポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、EVA系ホットメルト樹脂、ポリオレフィン系ホットメルト樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂、反応型ホットメルト樹脂等を用いることが好ましく、中でも反応型ホットメルト樹脂が特に好ましい。反応型ホットメルト樹脂は、接着強度が高く、しかも短時間での接着が可能なことから、身頃部におけるアームホール全周と袖部におけるアーム全周の貼り合わせのような、曲線であって、しかも貼り合わせ形状が合致しない場所にも好適に用いられる。なお、熱可塑性(熱溶融性)を備えない接着剤の詳細については後述する。
【0084】
このアンダーシャツ10は、身頃部11の衿部が貼り合わせ構造112により形成された後に、接着パターンPで接着剤が塗布されたアームホールに袖部12が接着されることにより貼り合わせ構造110が形成される。このとき、接着装置1000が用いられる。なお、この接着装置1000を用いて貼り合わせ構造112、120の部分を接着するようにすることも好ましい。また、異なるパーツの生地どうしの接着ではなく、周縁処理として周縁を折り返して接着する場合に、この接着装置1000を用いて周縁部分に接着剤が塗布された1つの生地の周縁を接着するようにすることも好ましい。
【0085】
図12(A)に示すように、袖部12と接着剤が塗布された身頃部11のアームホールとをこの接着装置1000により接着することにより、
図12(B)に示すように貼り合わせ構造110が形成される。
・動作対象のアンダーシャツの変形例
以下に、
図13を参照して、上述したアンダーシャツ10の変形例について説明する。この変形例に係るアンダーシャツは、貼り合わせ構造における接着パターンが上述した接着パターンPではなく、
図13に示すような点状の接着ドットパターンDである点が異なる。その他の構成は同じであるので、この接着パターン以外についてのアンダーシャツについての説明はここでは繰り返さない。なお、
図13は
図12に対応するので、アンダーシャツ10を裏返しにした状態である。
【0086】
前記接着ドットパターンDは、
図13に示すように、前記接着剤を点状(
図13では、ピッチL(1)および間隔L(2)で繰り返される点集合)に形成することで伸縮性生地1及び伸縮性生地2が接着される接着部103と、当該接着部103により伸縮性生地1及び伸縮性生地2が前記接着剤により接着されない非接着部104と、からなり、前記接着部103と前記非接着部104とが繰り返し設けられる。なお、
図13では、間隔L(2)の3点が、袖部12の腕回りに沿った伸縮性を有する方向にピッチL(1)で繰り返し設けられているが、これに限定されるものではない。
【0087】
接着部103は接着部3と、非接着部104は非接着部4と、それぞれ同じ作用効果を発現する。すなわち、非接着部104は、接着剤が塗布されない領域であって生地を伸縮性を有する方向に伸縮しても接着剤による伸縮の阻害を受けない伸びしろ部分となり、生地を伸ばす方向に引っ張ると、非接着部104が伸びしろとして伸縮性を有する方向に伸びるため、接着剤による伸縮の阻害を受けないという接着パターンPと同様の作用効果を発現する。
【0088】
図13に示すように、ピッチL(1)および間隔L(2)については、生地特性、貼り合わせ位置、製造条件等により適宜決めればよい。また、接着ドットパターンDの点集合の形状は所定の点数が繰り返されるものに特に限定するものではなく、3点、2点、1点、2点、3点、2点、1点、2点、3点、・・・のような繰り返しドットパターン(千鳥パターン)からなる点集合であっても構わない。さらに、接着部103の大きさ(点の径=ドット径)も、隣り合う接着部103の間に非接着部104が形成できることを最大径として、どのような大きさであっても構わない。
【0089】
このようなピッチL(1)および間隔L(2)ならびにドットパターンおよびドット径については、アンダーシャツにおける生地の伸び強度、アンダーシャツにおける好ましい
伸張方向、剥離強度等を総合的に考慮して決定されるべきものである。なお、ドット径については、生地単位面積あたりの接着剤塗布量または/および塗布面積比率(接着部103および非接着部104に対する接着部103の面積比率)を考慮して決定することも好ましい。また、接着パターンPと接着ドットパターンDとを適宜組み合わせて接着パターンを形成するようにしても構わない。
【0090】
・動作対象のアンダーシャツにおける接着剤
接着パターン(接着パターンP、接着ドットパターンD)を構成する接着剤としては、特に限定されるものではなく、上述したように、例えば、熱可塑性樹脂で構成され、加熱溶融された接着剤またはホットメルトが好適に用いられるが、これ以外の接着剤について以下に説明する。
【0091】
上述した接着パターン(特に接着ドットパターンD)を構成する接着剤として、樹脂を溶剤または水に溶かして形成した液状の接着剤(溶剤系接着剤または水溶系接着剤)を用いることも可能である。
このような液状の接着剤を用いる場合には、常温環境下で上述の接着パターンを接着対象生地の一方にスクリーン印刷して他方の接着対象生地とを接着することも可能である。また、複数の樹脂を溶剤に溶かして1つの接着剤として形成することも可能であり、例えば、溶剤に溶かした樹脂を生地上にベース層として形成させ、溶剤に溶かした異なる樹脂をその上から印刷または塗布することで、1つの接着剤として形成することも可能である。これらの接着剤形成方法については、特に限定されるものでなお。特に、複数の樹脂を溶剤に溶かして1つの接着剤として用いることによりそれらの反応により固化速度を制御できるメリットがある。また、接着剤にUV照射することで固化速度を制御することも可能である。また、各接着対象生地に異なる接着層を形成し、異なる接着層を接着させることで(各生地に形成された異なる接着剤が貼りあわることにより各接着剤同士が反応して接着される)固化速度を制御することも可能である。
【0092】
・接着装置の動作
上述したアンダーシャツ10における身頃部11のアームホールに予め接着剤が塗布され、本実施の形態に係る接着装置1000により身頃部11のアームホールに袖部12を接着する動作について説明する。以下においては、この接着装置1000が待機位置にある状態(ユニット昇降エアシリンダ1250が上昇しており回転圧接ユニットが待機位置(矢示X(1)側)およびエンコーダ昇降エアシリンダ1230が上昇しておりロータリエンコーダ1236および検出用ウレタンローラ1234が待機位置(矢示Y(1)側)))で、ポジションAで生地がセットされた中空円筒1040がポジションBまで旋回した状態において、作業者が操作ボタン1320(運転)を操作した後の接着装置1000の動作を説明する。また、動作対象のアンダーシャツは(
図13に示すアンダーシャツではなく)
図12に示すアンダーシャツとするが、
図13に示すアンダーシャツを対象としても、接着装置1000の動作は同じである。
【0093】
まず、ユニットホルダ1252に積載された回転圧接ユニットが、待機位置(矢示X(1)側)から作動位置(矢示X(2)側)へ移動される。これにより、矢示X(1)側の回転圧接ユニットの待機位置においてベルト1220に接していなかったヒータ1260がベルト1220に接するとともに、供給される空気圧が精密レギュレータで調整されたユニット昇降エアシリンダ1250によりベルト1220が中空円筒1040側に押圧されて、ベルト1220と中空円筒1040(正確には弾性体1050)とにより生地が挟持されるようになる。
【0094】
また、シャフトホルダ1232に積載されたロータリエンコーダ1236および検出用ウレタンローラ1234が、待機位置(矢示Y(1)側)から作動位置(矢示Y(2)側)へ移動される。これにより、矢示Y(1)側において検出用ローラ1090に接していなかった検出用ウレタンローラ1234が検出用ローラ1090に接する。
次いで、モータ1200が回転を開始して、タイミングベルト1202、タイミングプーリ1204、駆動シャフト1206へと回転力が伝達され、駆動ローラ1208が矢示R(2)方向へ回転する。駆動ローラ1208が回転すると、従動ローラ1210および
テンションローラ1212より適切なテンションが付与されたベルト1220が矢示R(2)方向へ駆動される。ユニット昇降エアシリンダ1250によりベルト1220が中空円筒1040側に押圧されているので、ベルト1220の駆動力により中空円筒1040へ伝達され、ベルト1220と中空円筒1040(正確には弾性体1050)とにより挟持された生地が矢示R(2)方向へ搬送される。
【0095】
モータ1200の作動中には中空円筒1040が回転するので、シャフト1070が回転して、検出用ローラ1090が回転し、検出用ローラ1090の回転が検出用ウレタンローラ1234を介してロータリエンコーダ1236により検出される。ロータリエンコーダ1236からのパルス信号が積算されて、積算パルス数が中空円筒1040の1回転に対応するパルス数に到達すると(身頃部11のアームホールの全周に袖部12が接着されると)、モータ1200の回転が停止する。
【0096】
その後、ユニットホルダ1252に積載された回転圧接ユニットが、作動位置(矢示X(2)側)から待機位置(矢示X(1)側)へ、シャフトホルダ1232に積載されたロータリエンコーダ1236および検出用ウレタンローラ1234が、作動位置(矢示Y(2)側)から待機位置(矢示Y(1)側)へ移動される。
このように、2枚の生地が挟持搬送されているときに、伸縮性生地どうしの間に介在された熱可塑性樹脂(接着剤)を2枚の生地の少なくとも一方から加熱および加圧して溶融することにより接着剤が液状化して、その後に冷却固化によって伸縮性生地どうしが接合される。より具体的には、接着装置1000では、伸縮性生地1および伸縮性生地2の各接着面1a、2aどうしを合わせて伸縮性生地1と伸縮性生地2との間に所定の接着パターンPの熱可塑性樹脂を介在させ、接着装置1000に載置し、接着装置1000で伸縮性生地1および伸縮性生地2の間に介在された熱可塑性樹脂を2枚の生地の少なくとも一方から加熱加圧して溶融することにより熱可塑性樹脂を熱溶融させ、その後、ヒータから外れて冷却されて固化されることによって伸縮性生地1および伸縮性生地2が固着される(ポジションCおよびポジションD)。
【0097】
このように、伸縮性材料どうしの間に介在させる接着パターンPをジグザグ形状として、伸縮性材料どうしの伸長力および伸長性をコントロールすることができる生地の貼り合わせ構造を実現することができるとともに、縫合に比べて非常に薄く接着部分が仕上がることにより、肌触りが良く、かつ、アウターに響かないアンダーシャツ10を実現することができる。
【0098】
なお、接着装置1000により接着剤が塗布された身頃部11と袖部12とが接着される場合において、(アンダーシャツ10を裏返しにした状態を示す)
図12に示すように、アンダーシャツ10を裏返しにした状態でアームホールの裏側の周縁に接着剤を塗布されており、その上側に袖部12を接着している。このようにすることにより、袖部をアームホールに重ねて貼り合わせする時に、重ねしろのばらつきにより接着パターンが袖部端側にはみ出たとしても、身頃部11に隠れて表から見えないようにできる。また、貼り合わせ時の袖部端部のばらつきが表から見えないようにできるので好適である。
【0099】
さらに、このようにアームホールの接着等においては、生地を重ね合わせると同時に熱を加えて接着すると、生地または/および重ね合わせ部分の形状によっては重ね合わせ部の外観が悪くなる場合がある。この接着装置1000のポジションBにおいて生地を重ね合わせると同時に熱を加えて接着するのではなく、接着する前のポジションAにおいて接着剤が強固な接着作用を発現していない状態で、作業者が重ね合わせ位置を必要に応じて微妙に調整しながら中空円筒1040に生地をセットすることが好ましい。
【0100】
以上のようにして、本実施の形態に係る接着装置1000によると、伸縮性を備えた生地どうしを接着剤を介して接着する場合に、生地を十分な接着強度で環状に接着することができる。さらに、ポジションAにおいて位置決めされた状態でポジションBで接着するとともに中空円筒の袋部が接着領域以外の生地を保持して接着するので、予め定められた接着位置がずれることなく、生地どうしを環状に接着することができる。さらに、所望の接着パターンで接着剤が塗布されているので、接着強度を確保しつつ、生地が備える伸縮性を阻害することなく、生地どうしを環状に接着することができる。
【0101】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。