特許第6114243号(P6114243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6114243ABSの遠位にある変動するデータライター側面シールドギャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114243
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ABSの遠位にある変動するデータライター側面シールドギャップ
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   G11B5/31 Q
   G11B5/31 D
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-178977(P2014-178977)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-64923(P2015-64923A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年3月5日
(31)【優先権主張番号】14/036,698
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アシフ・バシール
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ガビンス
(72)【発明者】
【氏名】スワラジ・バス
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ビィ・ムーニー
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−016024(JP,A)
【文献】 特開2013−025859(JP,A)
【文献】 特開2010−287289(JP,A)
【文献】 特開2009−093783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸に沿って第1のシールドに隣接し、第2の軸に沿って第2のシールドに隣接する書込み磁極を含み、前記第2のシールドは、第1および第2のシールド副層を含み、前記第1および第2のシールド副層は空気軸受表面(ABS)に平行に配向される第1の転移表面で交わり、前記第1の転移表面は前記第1のシールド副層を前記第2のシールド副層から分離し、前記第2のシールド副層は前記ABSから分離され、前記第1のシールド副層とは異なる磁束密度を備える、装置。
【請求項2】
前記第1のシールドは、前記書込み磁極からダウントラック方向に位置付けられるトレーリングシールドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記書込み磁極は、第1の形状を有する前記ABSから延在する第1の側壁を含み、前記第2のシールドは、第2の形状を有する前記ABSから延在する第2の側壁を含み、前記第1および第2の形状は異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のシールドは、前記ABSに平行に配向される第2の転移表面を含み、前記第1および第2の転移表面は、異なる距離によって前記ABSから分離される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のシールドは、前記ABS上の第1のギャップ距離によって、かつ前記ABSの遠位にある第2のギャップ距離によって、前記書込み磁極から分離され、前記第1の転移表面は、前記第1のギャップ距離を前記第2のギャップ距離まで増加させる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のシールドは、前記ABSに平行に配向される第2の転移表面を含み、前記第1および第2の転移表面は、前記ABSに平行に測定される、異なる長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2のシールド副層は、前記ABSから連続的に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第1の軸に沿う側面シールドに隣接する書込み磁極を含み、前記側面シールドは、異なる磁束密度を有する第1と第2と第3のシールド副層を有して構成され、第1および第2のシールド副層は空気軸受表面に平行な方向に互いに隣接し、第3のシールド副層は、第1のシールド副層上に積層され、第1と第2と第3のシールド副層は空気軸受表面(ABS)に平行に配向される第1の転移表面で交わり、第1および第2のシールド副層は各々、空気軸受表面(ABS)に接触し、第3のシールド副層は第1のシールド副層によって空気軸受表面(ABS)から分離される磁気要素。
【請求項9】
前記第1および第2のシールド副層は、前記ABSから連続的に延在する、請求項8に記載の磁気要素。
【請求項10】
前記第1のシールド副層は、前記第1の転移表面を含み、前記第2のシールド副層は、前記ABSに平行に配向される第2の転移表面を含む、請求項8に記載の磁気要素。
【請求項11】
前記第1および第2の転移表面は、前記ABSから共通の距離で位置付けられる、請求項10に記載の磁気要素。
【請求項12】
前記第1のシールド副層は、前記第2および第3のシールド副層とは異なる磁束密度を有する、請求項8に記載の磁気要素。
【請求項13】
前記第1のシールド副層は、前記ABSに垂直の方向に、第1の転移表面を超えずに延在する、請求項8に記載の磁気要素。
【請求項14】
第3のシールド副層は、前記ABSに接触することなく、前記第1の転移表面から連続的に延在する、請求項10に記載の磁気要素。
【請求項15】
前記側面シールドは、前記ABSに接触することなく、前記第2の転移表面から連続的に延在する第4のシールド副層を含む、請求項14に記載の磁気要素。
【請求項16】
前記側面シールドは、前記第1のシールド副層と異なる磁気モーメントを有する第4の副層を含む、請求項14に記載の磁気要素。
【請求項17】
前記第1のシールド副層は、前記書込み磁極の側壁に対向する側壁を有し、前記第1のシールド副層の側壁は、前記第1のシールド副層の側壁に対向する前記書込み磁極の側壁と一致する形状を用いて構成される、請求項8に記載の磁気要素。
【請求項18】
書込み要素を製造するための方法であって、
第1の軸に沿って側面シールドに隣接して書込み磁極を位置付けることを含み、前記側面シールドは第1および第2のシールド副層を備え、前記方法はさらに、
前記第1および第2のシールド副層が空気軸受表面(ABS)に平行に配向される第1の転移表面で交わるよう構成することを含み、前記第1の転移表面は、前記第1のシールド副層を前記第2のシールド副層から分離し、前記第2のシールド副層は前記ABSから分離され、前記第1のシールド副層とは異なる磁束密度を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0001】
【特許文献1】米国特許第7295401号明細書
【特許文献2】米国特許第8031433号明細書
【特許文献3】米国特許第8264798号明細書
【特許文献4】米国特許第8323727号明細書
【特許文献5】米国特許第8339741号明細書
【特許文献6】米国特許第8365393号明細書
【特許文献7】米国特許第8400731号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0250187号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
種々の実施形態は、概して、種々のデータ記憶環境においてデータビットをプログラミングすることが可能な磁気要素を対象とする。
【0003】
様々な実施形態は、第1の軸に沿って第1のシールドに隣接し、第2の軸に沿って第2のシールドに隣接して位置付けられる書込み磁極を少なくとも用いるデータ書込み要素を調整する。第2のシールドは、空気軸受表面(ABS)上の第1のギャップ距離によって、かつABSの遠位にある第2のギャップ距離によって書込み磁極から分離され得、第1および第2のギャップ距離は、ABSに平行に配向される転移表面で交わる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】種々の実施形態に従って構築され、動作する例示的なデータ記憶システムのブロック表現である。
図2図1のデータ記憶デバイスで使用することが可能なデータ記憶デバイスの一部のブロック表現を説明する。
図3図2のデータ記憶デバイスで使用することが可能な例示的な磁気要素の一部のABS図ブロック表現を示す。
図4】種々の実施形態に従って構築される例示的な磁気要素の断面ブロック表現を表示する。
図5】いくつかの実施形態に従って構成される例示的な磁気要素の一部の断面ブロック表現を説明する。
図6】様々な実施形態に従って構築される例示的な磁気要素の一部の断面ブロック表現である。
図7】種々の実施形態に従って構成される例示的な磁気要素の一部の断面ブロック表現を表示する。
図8】いくつかの実施形態に従って構築される例示的な磁気要素の一部の断面ブロック表現を表示する。
図9】様々な実施形態に従って行われる例示的な書込み要素製作ルーチンの流れ図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
データ記憶コンポーネントの物理的寸法の縮小は、フォームファクタの縮小およびデータ記憶デバイス内のデータ容量の増加への道を開いた。データ記憶デバイスのデータ書込み態様において、磁気シールドは、磁束放射書込み磁極の周囲に位置付けられ、ダウントラックトレーリングシールドは、書込み磁界、磁界勾配、磁界角度、および曲率を向上するように調整され得る。しかしながら、データ記憶媒体上のデータトラックの物理的サイズの最小化は、磁束をクロストラック軸に沿って横方向に放射させ得、隣接トラック干渉(ATI)および書込み後消去(EAW)状態として特徴付けられ得る、隣接データビットへの不注意な影響を及ぼし得る。したがって、業界は、特に、フォームファクタの縮小、高面データビット密度データ記憶環境において、書込み磁極の側面シールドを向上させるという継続的な目標を有する。
【0006】
これらの問題を踏まえて、データ記憶デバイスは、第1の軸に沿って第1のシールドに隣接し、第2の軸に沿って第2のシールドに隣接して位置付けられる書込み磁極を用いて構成され得、第2のシールドは、空気軸受表面(ABS)上の第1のギャップ距離によって、かつABSの遠位にある第2のギャップ距離によって書込み磁極から分離され、第1
および第2のギャップ距離は、ABSに平行に配向される第1の転移表面で交わる。ABSに関する非共形の側面シールドギャップ距離は、書込み磁極の磁性範囲を維持しながら、より大きな磁界および磁界勾配を可能にする。様々な実施形態は、各副層がABSに接触する状態で、シールド副層の水平積層として側面シールドを形成するため、側面シールドは、材料および構築に合わせてさらに調整され得る。
【0007】
調整された書込み磁極および側面シールドは、無制限の種類のデータ記憶環境で用いることができると考えられる。図1は、種々の実施形態に従って構成される例示的なデータ記憶環境100のブロック表現を提供する。環境100は、個別にまたは同時に、1つ以上のデータ記憶デバイス104と通信し、かつ1つ以上のデータ記憶デバイス104を制御する、少なくとも1つのプロセッサ102またはコントローラを有する。データ記憶デバイス104は、データビットの形でデータを記憶する少なくとも1つのデータ記憶媒体106を用いて構築および動作することができる。様々な実施形態は、プロセッサ102をデータ記憶デバイス104内に実装し得、一方で、他の実施形態は、データ記憶デバイス104の内部および外部にある複数のプロセッサ102を利用する。
【0008】
1つ以上のローカルプロセッサ102の使用は、複数のデータ記憶デバイス104を、ローカルデータ記憶スキームの一部として用いることを可能にすることができる。プロセッサ102が、適切なプロトコルを介してネットワーク114上で他のデバイス108、メモリ110、およびコントローラ112に通信する能力は、増加した処理能力を提供しながら、独立ディスク冗長アレイ(RAID)およびデータキャッシュ等の他のデータ記憶スキームを可能にする。ネットワーク114は、制限なく、ローカルプロセッサ102を無制限の種類および数のコンピューティングコンポーネントに接続するように、有線および無線であることができることに留意するべきである。したがって、データ記憶環境100は、多様なコンピューティングコンポーネントを利用するように調整されて、クラウドコンピューティング、仮想マシン、および冗長記憶アレイ等の任意の種類のデータ記憶能力を仮想的に提供することができる。
【0009】
図2は、様々な実施形態に従って構成され、動作する例示的なデータ記憶デバイス120の一部のブロック表現を表示する。データ記憶システム120は、データ記憶媒体124に隣接し、空気軸受126によってデータ記憶媒体124から分離されて位置付けられる、データビットプログラミング変換器122を用いる。スピンドルモーター128は、データ記憶媒体124を回転させ、所定の空気軸受126サイズを生成するように、1つ以上のローカルおよびリモートコントローラによって制御することができる。データ記憶媒体124の回転と連動する、データ変換器122の動作の駆動を通じて、異なるデータトラック132の一部として選択されたデータビット130は、アクセスされて、論理状態およびデジタルメモリに対応する所定の磁気極性を読取り、書き込むことができる。
【0010】
1つ以上のデータビット130のプログラミングは、無制限の種類の変換構成を用いて達成することができる。図2の断面部分に示されるように、データ変換器122は、空気軸受表面(ABS)上の磁気シールド138および書込みギャップによって、戻り磁極136から分離される主磁極134を有する。それぞれの磁極134および136は、データ記憶媒体134を通じて主磁極134から戻り磁極136まで磁気回路を完成させる形状およびサイズを有することができる。磁気回路は、磁気コイルによって生成され、かつ主磁極134に向けて磁束を伝導するヨーク140に起因して主磁極134から放射される、磁束を放射することができる。
【0011】
変換部分122は、駆動アセンブリ144のヘッドジンバルアセンブリ142部分上に、単独で、またはデータ感知抵抗センサー等の他の変換手段と組み合わせて存在し得る。データ記憶容量の増加に対する業界の重視により、データトラック132は、データ記憶
媒体124上により多くのデータトラック132を適合させるために、縮小した幅を有する。データトラック130の幅のそのような縮小は、固定された回転軸を有する駆動アセンブリ144に関連付けられるスキュー角に起因して、種々のデータトラック132と整列しながら生成することが困難な、書込み磁極134のより正確な磁気範囲に対応することができる。データトラック132の最小化およびより広い範囲のスキュー角は、磁気シールドで補償され得るが、主磁極134とシールドとの間の磁気シャントが増加するにつれて、性能を低下させないわけではない。
【0012】
図3は、図2のデータ記憶デバイス120で使用することが可能な例示的なデータ書込み要素150の一部のABS図ブロック表現である。書込み磁極152は、磁束をリーディングエッジ154に位置付けるのに役立つ実質的に台形の形状を有し、高面密度で構成されるデータビットのプログラミングに役立つことができる。リーディング156、トレーリング158、および側面160シールドは、サイズおよび形状に合わせてさらに調整されて、磁気シールドと磁気シャントの危険性とのバランスを取ることができる。
【0013】
トレーリングシールド158は、書込み磁極152の磁気性能を向上させるように調整することができるが、一方で、側面シールド160を調整することは、シールドとシャントとのバランスを取ることをより困難にさせる。そのような困難の結果、磁束は、書込み磁極152から横方向に漏出し得、書込み後消去(EAW)および隣接トラック干渉(ATI)状態において、隣接データトラック上のデータビットへの不注意な影響を及ぼし得る。したがって、非効果的な側面シールド160は、書込み磁極152およびトレーリングシールド158を調整することによって得られる何らかの利点を妨げ得る。
【0014】
図4は、ABSへの磁束送達を向上させることができる実質的にT字形の断面書込み磁極172を有するように、いくつかの実施形態に従って構成される例示的なデータライター170の一部の断面ブロック表現を提供する。書込み磁極172は、ABSの近位にある喉部領域174に収束する連続的に曲線の側壁を有する。喉部領域174は、X軸に沿って幅176およびZ軸に沿ってABSからの長さに合わせて調整されて、磁束強度の増加および飽和時間の低減等に伴って、磁束がABSに向かってどのように流れるかを制御することができる。
【0015】
書込み磁極172の性能は、側面シールド178のサイズおよび形状を調節することによってさらに調整されて、磁気シールドおよび書込み磁極172からの磁束シャントの危険性のバランスを取ることができる。図4の非限定的な実施形態において、書込み磁極172の反対側の側面にある側面シールド178は、実質的に、書込み磁極側壁と一致し、かつABSからの所定の距離182までの、ABSからの非磁性絶縁ギャップ距離180を維持する、側壁を用いて形作られる。均一な絶縁ギャップ距離180は、ABSにおける書込み磁極172の磁気範囲の制御に役立つことができるが、側面シールド側壁の全体が書込み磁極172に接近し、絶縁ギャップ距離180が減少するにつれて、所望されない磁気シャントの影響を受けやすい。したがって、絶縁ギャップ距離180は、シャントの危険性を減少させる長さで保持されるが、EAWおよびATI状態が生じることなく、高面密度データビットを的確にプログラムするのに十分に正確なシールドを提供するものではない。
【0016】
縮小されたフォームファクタ、高面密度データ記憶環境における磁気シャントとシールドとのバランスを取ることの困難さは、変動する絶縁ギャップ距離を有する水平に積層された側面シールドをもたらした。図5は、概して、ABSから所定の距離のより大きなギャップ距離198までの、ABSからの距離との関連で変動するギャップ距離196によって、書込み磁極194から分離される調整された側面シールド192を用いるように、様々な実施形態に従って構成される例示的なデータライターの一部の断面ブロック表現を
説明する。単一の側面シールド192が図5に示されているが、一方で、書込み磁極194の反対側の側面にある側面シールドは、同様に、または異なって構成され得ることに留意すべきである。
【0017】
側面シールド192は、絶縁材料202と第2のシールド副層204との間に配置される第1のシールド副層200を用いて調整される。種々の実施形態は、同一の材料および磁束密度の第1のシールド副層200および第2のシールド副層204を構成するが、一方で、他の実施形態は、書込み磁極194の磁束密度未満の1.6Tおよび1.0T等の異なる磁束密度を有する副層200および204を構成する。変動する磁束密度は、変動するギャップ距離196を補完して、ABSにおけるギャップ距離196より大きい第2の距離198によって書込み磁極194の後部を側面シールド192から分離することによって、ABSの遠位にある磁気シャントを低減しながら、ABS上に最適化された磁気シールドを提供することができる。
【0018】
不一致の書込み磁極および側面シールド側壁の構築は、変動するギャップ距離196を生じさせ得るが、一方で、ギャップ距離196の徐々の増加は、書込み磁極194と側面シールド192との間のシャントを十分に低減し得ない。したがって、第1のシールド副層200は、ABSに実質的に平行に配向され、かつ書込み磁極196および側面シールド192の分離を急激に拡大させる、転移表面206を用いて構成される。転移表面206は、任意の種々の角度配向、長さ、およびABSからの距離208となるように調整され得るが、いくつかの実施形態は、ギャップ距離196を用いて距離208を調整して、EAWおよびATI状態を促進する磁区を生成し得るシールドされた磁束によって容易に飽和され得る程度まで、第1のシールド副層200のサイズを減少させることなく、ABSにおいて最適化されたシールドを提供し得る。
【0019】
第1のシールド副層200は、転移表面206を有する唯一の副層であると考えられる。しかしながら、側面シールド192は、第2のシールド副層204に構築される第2の転移表面210等の複数の転移表面を有するようにさらに調整され得る。第2の転移表面210は、サイズおよび形状に合わせて調整されて、ABSの近位にある磁気シールドおよびシャントをさらに制御し得る。図5において、第2の転移表面210は、ABSから第1の転移表面206までの距離208未満の喉部距離212を有するように調整される。磁束密度、転移表面206および208、ならびに喉部距離208および212のそのような階層構成は、EAWおよびATI状態の危険性を減少させながら、磁化強度およびダウントラック磁化勾配を最適化させることによって、書込み磁極194の性能を向上させることができる。
【0020】
図6は、非磁性絶縁層226によって書込み磁極224から分離される、調整された側面シールド222を提供するように、種々の実施形態に従って構築される別の例示的なデータライター220の一部の断面ブロック表現を表示する。限定的または必須ではないが、第1のシールド副層228は、ABSから、ABSおよびX軸に実質的に平行に配向される共通の転移表面230まで、連続的に延在することができる。ABSの近位にあるエリアへの第1のシールド副層228の単離は、2.4T材料等の高磁束密度材料の利用を可能にして、ABSの遠位におけるシャントの危険性を過度に増加させることなく、ABSにおいて向上した磁気シールドを提供することができる。いくつかの実施形態において、第1のシールド副層228は、書込み磁極224と同一の材料で構築され、Z軸に沿って、共通の転移表面230の喉部高さ232を超えずに延在する。
【0021】
第1のシールド副層228の側壁に面する書込み磁極のサイズおよび形状は、第2のシールド副層234および第3のシールド副層236に対して調整されて、EAWおよびATI状態の危険性を増加させることなく、低減されたデータトラック幅に対応する包括的
な側面シールド222を提供することができる。図示されるように、第2のシールド副層234は、書込み磁極224と一致する形状を有するが、ABSにおいてABS分離距離242より大きい遠位分離距離240によって、書込み磁極224から分離される、側壁238に面する書込み磁極を用いて構成することができる。第2のシールド副層234をABSの遠位に位置付けることは、異なる磁束密度材料で、シールドとシャントとのバランスを取るように、第3のシールド副層236が、ABSに沿って第1のシールド副層228から横方向に延在することを可能にする。すなわち、第1のシールド副層228、第2のシールド副層234、および第3のシールド副層236は、種々の副層形状と協調して機能して、ABSの遠位におけるシャントの危険性を減少させながら、ABSにおいて最適化されたシールドを提供する、異なる磁束密度を有することができる。
【0022】
第1のシールド副層228は、側面シールド222の磁気飽和問題を低減させながら、シングル磁気記録(SMR)において有益であり得る、クロストラック磁界勾配を向上させるように、第2のシールド副層234および第3のシールド副層236よりも大きい磁気モーメントを有すると考えられる。図7は、様々な実施形態に従って複数の転移表面256および258を有する側面シールド254を調整することによって、書込み磁極252性能を最適化した別の例示的なデータライター250の一部の断面ブロック表現を示す。説明されるように、側面シールド254は、第2のシールド副層262と非磁性絶縁材料264との間に配置される第1のシールド副層260を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1のシールド副層260は、複数の転移表面256および258と協調して動作して、ABSの遠位におけるシャントの危険性を低減させながら、書込み磁極252磁界勾配を向上させる、第2のシールド副層262よりも高い磁束密度および磁気モーメントを有する。第1のシールド副層260は、書込み磁極252の形状を反映するABSにおける連続的に曲線の側壁部分と、ABSおよびX軸に対する60°および45°等の所定の取り出し角で転移表面256および258を接続する少なくとも1つの連続的に直線の側壁266との両方を有するように調整される。そのような直線の側壁266構成は、ABS上のギャップ分離距離270と比べて、ABSの遠位にある増加した分離距離268によって補完される、側面シールド254内の調整された磁気飽和を可能にすることができる。
【0024】
複数の転移表面256および258の実装は、さらに、X軸に沿ったそれらのそれぞれの表面の長さ272および274を同様に、または異なって調整することを可能にして、種々の水平面における書込み磁極252と側面シールド254との間の非磁性材料の量を変動させる。側面シールド254は、第1のシールド副層260の転移表面256および258と異なる、ABSからの喉部高さ278で位置付けられる第3の転移表面276を有する、調整された第2のシールド副層262をさらに含み得る。それぞれのシールド副層260および262の材料、形状、およびサイズを調整することによって、ABSにおいて頑強な磁気シールドがもたらされて、書込み磁極252の磁気範囲を最適化することができ、一方で、ABSの遠位にある増加した分離距離268は、磁界勾配および磁束チャネリングを最適化する。
【0025】
データ書込み要素の物理的寸法の減少を伴う、正確な側面シールド254の特徴および異なる材料の副層の構築は、Z軸に沿って側面シールド254の全長にわたって均一な分離距離270を有する側面シールドと比べて、製造上の複雑性を増加させ得る。これらの問題および他の問題は、図8の例示的なデータライター280をもたらし、種々の実施形態に従って構成されたそのうちの一部が表示される。データライター280は、非磁性絶縁材料288によって分離される実質的に共形の書込み磁極284および側面シールド286側壁によって提供される均一な分離距離282を有する。
【0026】
書込み磁極184に面する側面シールド側壁は、ABS上に位置付けられる高磁気モーメント部分290と、高磁気モーメント部分290の転移表面294からABSの遠位にある所定の面まで連続的に延在する、低磁気モーメント部分292とを有するように調整される。種々の実施形態において、高磁気モーメント部分290は、2.4T等の書込み磁極284と同一の磁束密度を有する材料で構築され、一方で、低磁気モーメント部分292は、1T未満の磁束密度を有して、ABSの遠位における側面シールド286の磁気飽和の危険性を低減させ、サイドトラック消去(STE)状態および書込み磁極284の不注意な磁気シャントの可能性を最小化させる。
【0027】
低磁気モーメント材料の部分292と組み合わせて、ABSと垂直に、Z軸に沿って書込み磁極284の輪郭と実質的に一致するように高磁気部分290および低磁気部分292を調整することは、側面シールド286を、書込み磁極284にごく近接して構成することを可能にして、シャントおよび側面シールド286の飽和の危険性を増加させることなく、書込み磁極284の磁気範囲の制御を強化する。側面シールド286は、ABSからの転移表面294の距離296を調節することによって、さらに調整され得る。そのような調整は、ABS上の書込み磁極284の書込み磁極先端298部分の近位に、どのくらいの量の高磁気モーメント材料が存在するかを判定することによって、ABSにおける磁気シールドを正確に制御することができる。
【0028】
転移表面294の調整された構成は、第1のシールド副層300および第2のシールド副層302の形状およびサイズをさらに判定することができる。すなわち、ABSに平行にX軸に沿って横方向への転移表面294の延在は、低磁気モーメント部分290および高磁気モーメント部分292と異なる磁束密度で構築され得る、第1のシールド副層300の形状を定める。第1のシールド副層300は、任意の形状およびサイズを有するように構成することができるが、図示されるように、書込み磁極284の遠位においてABSからの長さを横方向に徐々に増加させ得る。直線の転移表面294および曲線の分離表面304の組み合わせは、低磁気モーメント部分292と接触する所定の磁束密度を有する材料を位置付け、かつABSの遠位に磁気シールドを提供するように調整され得る、第2のシールド副層302の形状およびサイズを定義するのに役立つ。
【0029】
ABS上に複数の異なる側面シールド286層を位置付けることは、ABSに接触する第2のシールド副層302を有し得るか、または有し得ない、水平積層を定義する。換言すれば、水平積層側面シールド286は、2つの異なるシールド層を有し、さらに、第2のシールド副層302がABSから連続的に延在するように構築される場合、3つの層を有し得る。異なる材料および形状の層を有する側面シールド286の調整された構築は、ABSにおける磁気シールドとABSの遠位における側面シールド286の飽和低減との正確なバランスを可能にし、EAW、ATI、およびSTE状態の危険性の低減に伴い、書込み磁極性能を最適化することができることが理解され得る。
【0030】
図5〜8の種々のデータライターは異なる材料の複数の副層を有するが、一方で、側面シールドの一部または全ては、単一の材料から形成することができるため、そのような構築は、必須または限定的ではないことに留意すべきである。単一の材料が利用されて、側面シールドを形成する場合、シームまたは境界が副層間に存在して、側面シールドの選択された部分の磁気シールド特徴を調整することができるように、副層は、連続的に構築され得る。
【0031】
側面シールド286の種々の調整能力を用いて、データライター280の製作は、無制限の種類のステップおよびプロセスを含むことができ、それらのうちのどれも必須または限定的なものではない。しかしながら、様々な実施形態は、図9に説明されるように、書込み要素製作ルーチン310を行って、調整された側面シールドを構築する。最初に、ス
テップ312は、ABSから連続的に延在する形作られた側壁を有する書込み磁極を形成することができる。書込み磁極側壁は、直線および曲線の側壁表面を有するT字形の断面を有し得ると考えられる。さらに、ステップ312は、材料の堆積ならびにマスキングおよびエッチング操作を通じて等の材料の一部のその後の除去とともに行われると考えられる。
【0032】
ステップ312における書込み磁極の形成は、ABS上に第1の側面シールド副層が堆積されるステップ314に、ルーチン310を進めることができる。ステップ316が、ABSに実質的に平行に配向される転移表面を有する第1の側面シールド副層を形作る前に、第1の側面シールド副層は、ABSの遠位または近位に位置付けられ、ABSから任意の距離を連続的に延在し得る。いくつかの実施形態は、図5の副層204を、ABS上の、かつ書込み磁極から離れたその基礎的位置に起因して、第1の側面シールド副層として特徴付ける。
【0033】
次に、ステップ318は、第1の側面シールド副層上に第2の側面シールド副層を堆積する。第1のおよび第2の側面シールド副層は、シールドとシャントおよび側面シールド磁気飽和の危険性とのバランスを取るように、材料、サイズ、形状、および転移表面の数が異なり得ることに留意されたい。ステップ322または324が、それぞれABSから所定の距離で単一の転移表面または複数の分離転移表面を形作る前に、決定320において、転移表面の数を具体的に判定することができる。ステップ324の場合、複数の転移表面は、独立して、または1つ以上の材料除去プロセスと同時に形成され得る。ステップ316において形成される転移表面は、図5の距離208および212によって説明されるように、ABSから異なってもよく、または同一の距離であってもよい。
【0034】
ステップ322または324のいずれかにおける少なくとも1つの転移表面の形成は、図8の層292等の低磁気モーメントクラッド層の設置が評価される、決定326へ進む。クラッド層が選択された場合、次いで、ステップ328は、転移表面上に、少なくとも1つの側面シールド副層上に連続的に延在する、クラッド層を形成する。クラッド層が形成されない場合、またはステップ328におけるクラッド層の形成の終了時、ステップ330は、ダウントラックトレーリングシールド等の他のシールドを構築する前に、側面シールドと書込み磁極との間に非磁性絶縁層を堆積する。
【0035】
ルーチン310を種々のステップおよび決定を通じて、異なる構造上および動作上の特徴を提供する副層の水平積層として側面シールドを調整することによって、最適化された磁気シールドおよびシャントを用いて、磁気書込み要素を構築することができる。しかしながら、種々の決定およびステップは、省略、変更、および追加することができるため、図9に示されているルーチン310の種々のステップおよび決定は、必須または限定的なものではないことに留意すべきである。非限定的な例として、さらなるステップまたは一連のステップが、書込み磁極側壁と一致または異なるように、側面シールドの側壁に面する書込み磁極を具体的に形作ることが可能であり、これは、直線および曲線の表面を利用して、複数の側面シールド副層にわたる側面シールド側壁を定義することを含み得る。
【0036】
側面シールドの種々の調整能力を用いて、書込み磁極の磁気性能は、ABSにおけるより正確な磁気シールドならびにABSの遠位におけるシャントおよび側面シールド飽和の危険性の低減を通じて最適化することができる。水平積層での異なる材料および形状の副層を有する側面シールドを構成する能力は、磁界勾配ダウントラックの向上およびクロストラック方向における効果的な磁界を可能にする。さらに、ABSの遠位にある書込み磁極からの変動する側面シールド分離距離は、特に、高データビット面密度環境において、回転データ記憶デバイスのデータ整合性を脅かし得るEAW、ATI、およびSTE状態の危険性を低減することができる。
【0037】
さらに、実施形態は、磁気プログラミングを対象としてきたが、一方で、主張される技術は、データ読取りセンサー等の任意の数の他の用途において容易に利用され得ることを理解されたい。上記の説明において、種々の実施形態の構造および機能の詳細とともに、本開示の種々の実施形態の多数の特徴および構成が説明されてきたが、この発明を実施するための形態は、単に例示的なものであり、添付の特許請求の範囲が表現される用語の幅広い意味によって示される十分な範囲まで、本開示の原理の範囲内で、特に部品の構造および配置に関して変更が詳細に行われ得ることを理解すべきである。例えば、特定の要素は、本技術の精神および範囲から逸脱することなく、特定の用途に応じて変化し得る。
図1
図2
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図7
図8
図9