特許第6114293号(P6114293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6114293エアロゾル生成制御を有する電気作動式エアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114293
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】エアロゾル生成制御を有する電気作動式エアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20170403BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 C
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-537618(P2014-537618)
(86)(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公表番号】特表2014-534814(P2014-534814A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012071169
(87)【国際公開番号】WO2013060784
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】11250874.2
(32)【優先日】2011年10月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】フリック ジャン−マルク
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−034021(JP,A)
【文献】 米国特許第06040560(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置におけるエアロゾル生成を制御する方法であって、
前記装置が、
エアロゾル発生要素と、
空気流が前記エアロゾル発生要素を通過できるように構成された流路と、
前記流路内の空気流を検出するように構成された流量センサと、
を備え、前記方法が、
前記空気流の流量の変化に関連した第1のパラメータの値を決定する段階と、
前記第1のパラメータの値と閾値との間の比較結果に応じて、前記エアロゾル発生要素への電力の供給を変化させる段階と、
を含み、前記第1のパラメータが、前記流量センサによって検出された流量の測定値である第2のパラメータと、前記流量に関連した第3のパラメータとの組み合わせから導かれ、前記第3のパラメータが、温度、前記エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、又は流量の変化率であり、或いは、前記第3のパラメータが、温度、前記エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、及び流量の変化率のうちの2つ又はそれ以上の組み合わせから導かれる、方法。
【請求項2】
前記第3のパラメータが温度又は最大流量であり、前記第2のパラメータと前記第3のパラメータとの間の比を算出することによって前記第1のパラメータを導き出す段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3のパラメータが、前記エアロゾル発生要素に供給される電力又は流量の変化率であり、前記第2のパラメータと前記第3のパラメータとの積を算出することによって前記第1のパラメータを導き出す段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のパラメータが流量の変化率である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル発生要素が電気加熱式加熱要素であり、前記第1のパラメータが、前記加熱要素の温度を前記流量センサによって検出された流量で除算した値に比例する、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記流量センサによって検出された流量に基づいて前記エアロゾル発生要素に電力を再供給する段階を更に含む、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
電気作動式エアロゾル発生装置であって、
基材からエアロゾルを形成するための少なくとも1つの電気式エアロゾル発生要素と、
前記少なくとも1つのエアロゾル発生要素に電力を供給するための電源と、
前記電源から前記少なくとも1つのエアロゾル発生要素への電力の供給を制御する電気回路と、
を備え、前記電気回路は、前記エアロゾル発生要素を通過する空気流を検出するためのセンサを含み、前記電気回路が、
前記空気流の流量の変化に関連した第1のパラメータの値を決定し、
前記第1のパラメータの値と閾値との間の比較結果に応じて、前記エアロゾル発生要素への電力の供給をゼロに低減又は停止する、
ように構成され、前記第1のパラメータが、前記流量センサによって検出された流量の測定値である第2のパラメータと前記流量に関連した第3のパラメータとの組み合わせから導かれ、前記第3のパラメータが、温度、前記エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、又は流量の変化率であり、或いは、前記第3のパラメータが、温度、前記エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、及び流量の変化率のうちの2つ又はそれ以上の組み合わせから導き出される、電気作動式エアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記エアロゾル発生要素が電気加熱式加熱要素であり、前記第1のパラメータが、前記加熱要素の温度を前記流量センサによって検出された流量で除算した値に比例する、請求項に記載の電気作動式エアロゾル発生装置。
【請求項9】
請求項1に記載の方法を実行するように構成された電気作動式エアロゾル発生装置のための電気回路。
【請求項10】
電気作動式エアロゾル発生装置のためのプログラム可能な電気回路で実行されたときに、プログラム可能な電気回路が請求項1に記載の方法を実行するようになった、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成を制御するための方法に関する。本発明は更に、エアロゾル発生システムに関し、より詳細には電気作動式エアロゾル発生システムに関する。本発明は、特に、電気作動式喫煙システムの少なくとも1つの電気要素によってエアロゾル発生システムにおけるエアロゾル生成を制御する方法に適用される。
【背景技術】
【0002】
国際公開特許第2009/132793号では、電気加熱式喫煙システムを開示している。液体は、液体貯蔵部に貯蔵され、毛細管芯は、液体貯蔵部内に延びて内部の液体と接触する第1の端部と、液体貯蔵部から外に延びた第2の端部と、を有する。加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を加熱する。加熱要素は、電源と電気的に接続された螺旋巻き電気加熱要素の形態であり、毛細管芯の第2の端部を囲む。使用時には、加熱要素は、ユーザが電源のスイッチを入れることによって作動させることができる。ユーザがマウスピースを吸引することにより、空気が毛細管芯及び加熱要素を介して電気加熱式喫煙システム内に吸い込まれ、その後ユーザの口腔に入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開特許第2009/132793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、このような電気加熱式エアロゾル発生システムの電気加熱要素を制御する改善された方法を提供することである。
【0005】
エアロゾル発生装置に関する特定の問題の1つは、装置の内部にエアロゾルが凝縮することである。エアロゾルは、エアロゾル凝縮チャンバ内で液体に凝縮する可能性があり、その結果、液体は、装置から漏洩する場合がある。詳細には、吸入に使用されるエアロゾル発生装置において、エアロゾル凝縮チャンバ内の液体は、装置が使用状態でない間、又は装置が使用状態の間に漏洩し、ユーザの口腔内に入る可能性がある。ユーザの口腔内に入る何らかの液体は、不快であり、有害である可能性がある。
【0006】
エアロゾル発生装置内の凝縮に関する別の問題は、エアロゾルの凝縮物がエアロゾル発生要素上に移動又は定着して、要素の作動を妨げる可能性があることである。熱蒸発について、エアロゾル凝縮物が後で再気化した場合には、このことは当初の液剤の化学的劣化につながる可能性がある。これは、結果として不快な風味又は有害な化学物質をもたらす可能性がある。
【0007】
このようなエアロゾル発生装置によって又はその内部で発生するエアロゾルの凝縮を最小にすることが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、エアロゾル発生装置においてエアロゾル生成を制御する方法が提供され、本装置は、
エアロゾル発生要素と、
空気流がエアロゾル発生要素を通過できるように構成された流路と、
流路内の空気流を検出するように構成された流量センサと、
を備え、本方法は、
空気流の流量の変化に関連した第1のパラメータの値を決定する段階と、
第1のパラメータの値と閾値との間の比較結果に応じて、エアロゾル発生要素への電力の供給を変化させる段階と、
を含み、第1のパラメータは、流量センサによって検出された流量の測定値である第2のパラメータと、流量に関連した第3のパラメータとの組み合わせから導かれ、第3のパラメータは、温度、エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、又は流量の変化率であり、或いは、第3のパラメータは、温度、エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、及び流量の変化率のうちの2つ又はそれ以上の組み合わせから導かれる。
【0009】
装置は、ユーザの吸入によって空気流を発生させることができるように構成されるのが好ましい。好ましくは、決定する段階は、吸入期間の間に第1のパラメータの値を決定する段階を含む。電力の供給を変化させる段階は、電力の供給をゼロに低減させる段階を含む。
【0010】
エアロゾルは、空気などの気体中の固体粒子又は液滴の懸濁体である。エアロゾル発生要素に供給される電力を制御することによって、エアロゾル発生の速度を制御することができる。ユーザの吸入又は吸煙などのある期間の空気流の終わりの前にエアロゾル発生要素への電力を低減又は停止することによって、空気流の残りの部分を用いて、既に発生したエアロゾルを除去又はパージし、従って装置内の凝縮を低減することができる。しかしながら、エアロゾル発生を終了する最も望ましい時間は、定義された期間の間の空気流の速度及び変動によって決まる。ユーザ吸入によって駆動される装置において、ユーザが異なれば吸入動作も異なり、一人のユーザでも時間が異なれば吸入動作が異なる可能性がある。従って、異なるユーザ動作間を補正又は正規化する制御方法を有することが望ましい。エアロゾル生成を制御するための設定流量閾値は、生成されたエアロゾルを除去する際にユーザの短く素早い吸入及びユーザの長く緩慢な吸入に対して等しく有効に機能しない。長く緩慢な吸入をするユーザが、短く素早い吸入に適切な流れ閾値に達することはない。
【0011】
好ましくは、本発明は、検出した流量及び第1のパラメータと呼ばれる空気流の流れ特性の漸進的変化を示す別の測定値に基づいてエアロゾル生成を制御する方法、特にエアロゾル生成を低減又は停止する方法を提供する。しかしながら、本発明は、検出した流量だけである必要はなく、異なる吸煙パラメータに基づくことができる。
【0012】
第2のパラメータは、流量の単位を有さないが、流量の尺度であるパラメータとすることができる。例えば、流量センサは、空気流における電気フィラメントの抵抗を決定することによって作動することができ、従って、第2のパラメータは、抵抗値から算出された流量ではなく、むしろ抵抗値とすることができる。換言すれば、第2のパラメータは、実際の流量ではなくむしろ流量と一定の関係を有するパラメータとすることができる。本発明は、実際の流量を算出することを必要としない。
【0013】
第3のパラメータが温度又は最大流量である場合には、有利には、第1のパラメータは、第2のパラメータと第3のパラメータとの間の比に比例する。
【0014】
第3のパラメータが、エアロゾル発生要素に供給される電力又は流量の変化率である場合には、有利には、第1のパラメータは、第2のパラメータと第3のパラメータとの積に比例する。
【0015】
代替として、第1のパラメータは、単に空気流の変化率に比例することができる。
【0016】
しかしながら、第1のパラメータには多くの可能性が存在する。最適な第1のパラメータは、エアロゾル発生装置の設計によって決まる。デザインが異なれば、流量センサを通過する流れ特性も異なる可能性があり、エアロゾル発生装置のタイプが異なれば、動作も異なる可能性がある。好ましい実施例は、2つの検出した又は導き出したパラメータの単純な積又は比であるが、より複雑な組み合わせを用いることができる。
【0017】
エアロゾル発生装置は、振動するオリフィストランスデューサー又は圧電装置などの機械装置とすることができる。しかしながら、エアロゾル発生要素は、少なくとも1つの加熱要素を備える電気加熱器であるのが好ましい。少なくとも1つの電気加熱要素は、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するように構成することができる。
【0018】
加熱要素に一定の電力が与えられる場合には、加熱要素の温度は、装置内の流れ特性を示すパラメータである。これは第3のパラメータとして用いることができる。より低い温度では、空気流が冷却効果をもたらすので流量が増える。従って、加熱要素の温度は、ユーザ吸引の終了時に流量が低下するにつれて上昇することになる。加熱要素の抵抗は、抵抗の温度に依存することができ、その結果、加熱要素の抵抗は、第3のパラメータとして用いることができる。
【0019】
温度が一定のままであるように制御される場合、一定の温度を維持するために加熱要素に供給される電力は、流量の指標となるので、第3のパラメータとして用いることができる。流量がより増えると、所与の温度を維持するためにはより多くの電力が必要となる。一定の温度は、予め定めた値とすることができ、又は流量などの1又はそれ以上の他の測定したパラメータに基づいて動的に算出することができる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生装置が提供され、本装置は、基材からエアロゾルを形成するための少なくとも1つの電気エアロゾル発生要素と、少なくとも1つのエアロゾル発生要素に電力を供給するための電源と、電源から少なくとも1つのエアロゾル発生要素への電力の供給を制御する電気回路と、を備え、電気回路は、少なくとも1つのエアロゾル発生要素を通過する空気流を検出するためのセンサを含み、電気回路は、
空気流の流量の変化に関連した第1のパラメータの値を決定し、
第1のパラメータの値と閾値との間の比較結果に応じて、エアロゾル発生要素への電力の供給を低減又は停止し、第1のパラメータは、流量センサによって検出された流量の測定値である第2のパラメータと流量に関連した第3のパラメータとの組み合わせから導かれ、
第3のパラメータは、温度、エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、又は流量の変化率であり、或いは、第3のパラメータは、温度、エアロゾル発生要素に供給される電力、最大検出流量、及び流量の変化率のうちの2つ又はそれ以上の組み合わせから導かれる。
【0021】
装置は、ユーザ吸入によって空気流を発生させることができるように構成するのが好ましい。装置は、吸入期間の間に第1のパラメータの値を決定するように構成するのが好ましい。
【0022】
第3のパラメータが温度又は最大流量である場合には、有利には、第1のパラメータは、第2のパラメータと第3のパラメータとの間の比に比例する。
【0023】
第3のパラメータがエアロゾル発生要素に供給される電力又は流量の変化率である場合には、有利には、第1のパラメータは、第2のパラメータと第3のパラメータとの積に比例する。
【0024】
代替として、第1のパラメータは、単に流量の変化率に比例することができる。
【0025】
装置は、エアロゾル形成基材を受けるように構成することができる。エアロゾル発生要素は、振動するオリフィストランスデューサーなどの機械装置とすることができる。しかしながら、エアロゾル発生要素は、少なくとも1つの加熱要素を備える電気加熱器であるのが好ましい。少なくとも1つの加熱要素は、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するように構成することができる。
【0026】
加熱要素に一定の電力が与えられる場合には、加熱要素の温度は、装置内の流れ特性を示すパラメータである。ここで、温度は第3のパラメータとして用いることができる。より低い温度では、空気流が冷却効果をもたらすので、流量が増える。従って、加熱要素の温度は、ユーザ吸引(又は他の空気流期間)の終了時に流量が低下するにつれて上昇することになる。加熱要素の電気抵抗は、加熱要素の温度に依存することができ、その結果、加熱要素の電気抵抗は、第3のパラメータとして用いることができる。
【0027】
温度が一定のままであるように制御される場合、一定の温度を維持するために加熱要素に供給される電力は、流量の指標となるので、第3のパラメータとして用いることができる。流量がより増えると、所与の温度を維持するためにはより多くの電力が必要となる。一定の温度は、予め定めた値とすることができ、又は流量などの1つ又はそれ以上の他の測定したパラメータに基づいて動的に算出することができる。
【0028】
好ましくは、電気回路は、本発明の先の態様の方法段階を実行するように構成される。本発明の先の態様の方法段階を実行するために、電気回路は配線接続することができる。しかしながら、より好ましくは、本発明の先の態様の方法段階を実行するために、電気回路はプログラム可能である。
【0029】
センサは、空気流を検出できるあらゆるセンサとすることができる。センサは電気機械装置とすることができる。代替として、センサは、機械装置、光学装置、光学機械装置、マイクロ電気機械システム(MEMS)ベースのセンサ及び音響センサの何れかとすることができる。センサは、熱伝導流量センサ、圧力センサ、流速計とすることができ、空気流を検出できるだけでなく、空気流を測定できるはずである。従って、センサは、空気流の振幅を表すアナログ電気信号又はデジタル情報を供給できるはずである。
【0030】
電気加熱器は、単一の加熱要素を備えることができる。代替として、電気加熱器は、1つよりも多くの加熱要素、例えば、2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ、又はそれ以上の加熱要素を含むことができる。1つ又は複数の加熱要素は、エアロゾル形成基材を最も効果的に加熱するように好適に構成することができる。
【0031】
少なくとも1つの電気加熱要素は、好ましくは、電気抵抗材料を備える。好適な電気抵抗材料には、限定ではないが、ドープセラミックスのような半導体、電気的に「伝導性の」セラミックス(例えば、二ケイ化モリブデンのような)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、及びセラミック材料と金属材料で作製された複合材料が挙げられる。このような複合材料は、ドープセラミックス又は非ドープセラミックスを含むことができる。好適なドープセラミックスの実施例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。好適な金属の実施例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族の金属が挙げられる。好適な金属合金の実施例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、及び鉄含有合金、並びにニッケル基超合金、鉄基超合金、コバルト基超合金、ステンレス鋼、Timetal(登録商標)、鉄−アルミニウム基合金、及び鉄−マンガン−アルミニウム基合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、コロラド州デンバー市Broadway Suite 4300所在のTitanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料では、任意選択的に、電気抵抗材料は、エネルギ伝達の動力学及び要求される外部物理化学特性に応じて、絶縁材料に埋め込まれ、カプセル封入され、又はコーティングすることができ、逆もまた同様である。加熱要素は、不活性材料の2つの層の間で絶縁された金属エッチング箔を含むことができる。この場合、不活性材料は、Kapton(登録商標)、全ポリイミド箔又はマイカ箔を含むことができる。Kapton(登録商標)は、米国デラウェア州 19898 Wilmingtonの1007 Market Streetに所在のE.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0032】
代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、赤外線加熱要素、光子源、又は誘電加熱要素を含むことができる。
【0033】
少なくとも1つの電気加熱要素は、あらゆる好適な形態とすることができる。例えば、少なくとも1つの電気加熱要素は、加熱ブレードの形態とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、異なる導電部を有するケーシング又は基板、もしくは電気抵抗性金属管体の形態とすることができる。エアロゾル形成基材が容器内に設けられた液体である場合、容器は、使い捨ての加熱要素を組み込むことができる。代替として、エアロゾル形成基材の中心を通って延びる1つ又はそれ以上の加熱ニードル又はロッドも好適とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、ディスク(エンド)加熱器、或いはディスク加熱器と加熱ニードル又はロッドとの組み合わせとすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、エアロゾル形成基材を囲む又は部分的に囲むように配置された可撓性のシート材料を含むことができる。他の代替形態は、加熱ワイヤ又はフィラメント、例えば、Ni−Cr(ニッケル−クロム)、白金、タングステン又は合金ワイヤ、或いは加熱プレートを含む。任意選択的に、加熱要素は、剛性担体材料中又はその上に堆積させることができる。
【0034】
少なくとも1つの電気加熱要素は、吸熱及び蓄熱して、その後エアロゾル形成基材に経時的に放熱することができる材料を含む、ヒートシンク又はヒートリザーバを備えることができる。ヒートシンクは、好適な金属又はセラミック材料等のあらゆる好適な材料から形成することができる。好ましくは、材料は、高い熱容量を有する(顕熱蓄熱材料)か、又は吸熱後に高温相変化のような可逆プロセスによって放熱することができる材料である。好適な顕熱蓄熱材料には、シルカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、無機物、及びアルミニウム、銀、もしくは鉛等の金属又は合金、並びに紙などのセルロース材料が挙げられる。可逆的相変化によって放熱する他の好適な材料には、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタレン、ワックス、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物、又は合金が挙げられる。
【0035】
ヒートシンク又はヒートリザーバは、エアロゾル形成基材と直接接触して、蓄熱を直接エアロゾル形成基材に伝達できるように配置することができる。代替として、ヒートシンク又はヒートリザーバに蓄えられた熱は、金属管体のような熱伝導体によってエアロゾル形成基材に伝達することができる。
【0036】
少なくとも1つの加熱要素は、熱伝導によってエアロゾル形成基材を加熱することができる。加熱要素は、基材又は基材がその上に堆積された担体と少なくとも部分的に接触することができる。代替として、加熱要素からの熱は、熱伝導要素に伝導することができる。
【0037】
代替として、少なくとも1つの加熱要素は、使用時にエアロゾル発生装置を通じて引き込まれた流入周囲空気に熱を伝達することができ、この空気が、対流によってエアロゾル形成基材を加熱する。周囲空気は、エアロゾル形成基材を通過する前に加熱することができる。代替として、エアロゾル形成基材が液体基材である場合、周囲空気は、最初に基材を通って引き込まれた後に加熱することもできる。
【0038】
エアロゾル形成基材は、固体エアロゾル形成基材とすることができる。エアロゾル形成基材は、加熱時に基材から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むのが好ましい。エアロゾル形成基材は、非タバコ材料を含むことができる。エアロゾル形成基材は、タバコ含有材料及び非タバコ含有材料を含むことができる。エアロゾル形成基材は更に、エアロゾルフォーマを含むのが好ましい。好適なエアロゾルフォーマの実施例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0039】
代替として、エアロゾル形成基材は、液体エアロゾル形成基材とすることができる。1つの実施形態において、電気加熱式エアロゾル発生装置は更に、液体貯蔵部を備える。液体エアロゾル形成基材は、液体貯蔵部に貯蔵するのが好ましい。1つの実施形態において、電気加熱式エアロゾル発生装置は更に、液体貯蔵部と連通する毛細管芯を備える。また、液体を保持するための毛細管芯を液体貯蔵部なしで設けることも可能である。当該実施形態では、毛細管芯は液体を予め組み込むことができる。
【0040】
好ましくは、毛細管芯は、液体貯蔵部内の液体と接触するように構成される。この場合、使用時には、液体は、毛細管芯の毛細管作用によって液体貯蔵部から少なくとも1つの電気加熱要素に向けて移送される。1つの実施形態において、毛細管芯は、第1の端部及び第2の端部を有し、該第1の端部は液体貯蔵部内に延びて内部の液体と接触し、第2の端部において少なくとも1つの電気加熱要素が液体を加熱するように配置される。加熱要素が作動されると、毛細管芯の第2の端部の液体は、加熱器によって気化されて過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は、空気流と混合されて運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮してエアロゾルが形成され、エアロゾルはユーザの口腔に向けて運ばれる。毛細管芯と組み合わせた加熱要素は、この構成により液体の加熱要素に対する表面積が大きくなるので、迅速な応答が可能になる。従って、本発明による加熱要素の制御は、毛細管芯構成の構造に依存することができる。
【0041】
液体基材は、多孔性担持材料内に吸収することができ、該多孔性担持材料は、例えば、発泡金属又はプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維又はセラミックである、あらゆる好適な吸収性プラグ又はボディから作ることができる。液体基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置を使用する前に多孔性担持材料内に貯留することができ、或いは、液体基材材料は、使用中又は使用直前に多孔性担持材料に放出することができる。例えば、液体基材は、カプセル内に設けることができる。カプセルのシェルは、好ましくは、加熱すると溶けて、液体基材を多孔性担持材料に放出する。カプセルは、任意選択的に液体と組み合わせて固体を収容することができる。
【0042】
エアロゾル形成基材が液体基材である場合、液体は特定の物理的特性を有する。これらの物理的特性には、例えば、エアロゾル発生装置での使用を好適にするための沸点、蒸気圧、及び表面張力特性が挙げられる。少なくとも1つの電気加熱要素の制御は、液体基材の特性に依存することができる。液体は、好ましくは、加熱時に液体から放出される揮発性タバコ香味化合物を有するタバコ含有材料を含む。代替として、又はこれに加えて、液体は、非タバコ材料を含むことができる。液体は、水、溶剤、エタノール、植物エキス、及び天然又は人工香味料を含むことができる。好ましくは、液体は、エアロゾルフォーマを更に含む。好適なエアロゾルフォーマの実施例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0043】
液体貯蔵部を備える利点は、高レベルの衛生状態を維持できることである。液体と電気加熱要素との間に延びる毛細管芯を使用することにより、装置の構造を比較的簡単にすることができる。液体は、該液体を毛細管作用によって毛細管芯を通って運ぶことができる粘度及び表面張力を含む物理的特性を有する。液体貯蔵部は、容器であるのが好ましい。液体貯蔵部は、詰め替え可能でなくても良い。従って、液体貯蔵部内の液体が使い尽くされると、液体貯蔵部又はエアロゾル発生装置全体が交換される。代替として、液体貯蔵部は詰め替え可能であっても良い。この場合には、エアロゾル発生装置は、液体貯蔵部の何回かの詰め替え後に交換することができる。好ましくは、液体貯蔵部は、所定数の吸煙の間エアロゾル形成基材を保持するよう配置される。
【0044】
毛細管芯は、繊維構造又はスポンジ構造を有することができる。毛細管芯は、毛細管の束を備えるのが好ましい。例えば、毛細管芯は、複数の繊維又は線条、或いは、他の微細ボア管体を含むことができる。繊維又は線条は、エアロゾル発生装置の略長手方向に整列することができる。代替として、毛細管芯は、ロッド形状に形成されたスポンジ状材料又は発泡状材料を含むことができる。ロッド形状は、エアロゾル発生装置の長手方向に沿って延びることができる。芯の構造は複数の小さなボア又は管体を形成し、ここを通って毛細管現象により液体を電気加熱要素に移送することができる。毛細管芯は、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。好適な材料の実施例は、繊維又は焼結粉体の形態のセラミックベース又はグラファイトベースの材料である。毛細管芯は、密度、粘度、表面張力及び蒸気圧などの異なる液体物理的特性で使用されるように、あらゆる好適な毛細管現象及び多孔率を有することができる。毛細管芯の毛細管特性は、液体の特性と組み合わされて、毛細管芯が加熱領域で常に湿潤しているのを保証する。
【0045】
代替として、エアロゾル形成基材は、例えば、ガス状基材である他の何れかの種類の基材、又は種々のタイプの基材の何らかの組み合わせとすることができる。作動中、基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置内に完全に収容することができる。この場合、ユーザは、電気加熱式エアロゾル発生装置のマウスピースで吸煙することができる。代替として、使用中、基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置内に部分的に収容することができる。この場合、基材は、別個の物品の一部を形成することができ、ユーザは別個の物品で直接吸煙することができる。
【0046】
電気加熱式エアロゾル発生装置は、電気加熱式喫煙装置であるのが好ましい。
【0047】
電気加熱式エアロゾル発生装置は、過飽和蒸気からエアロゾルが形成されるエアロゾル形成チャンバを備えることができ、その後、エアロゾルはユーザの口腔内に運ばれる。好ましくは、空気入口、空気出口及びチャンバは、空気入口からエアロゾル形成チャンバを介して空気出口に延びる空気流通路を定め、これによりエアロゾルが空気出口及びユーザの口腔内に運ばれるように配置される。凝縮物は、エアロゾル形成チャンバの壁に形成される場合がある。凝縮物の量は、特に吸煙の終了に向かって供給される電力量に依存することができる。
【0048】
好ましくは、エアロゾル発生装置はハウジングを備える。好ましくは、ハウジングは細長である。凝縮物の形成に利用できる表面区域を含むハウジング構造は、エアロゾル特性、及び装置からの液体漏洩の有無に影響を及ぼす。ハウジングは、シェル及びマウスピースを備えることができる。この場合、全ての構成要素は、シェル又はマウスピースの何れかに収容することができる。ハウジングは、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。好適な材料の実施例には、金属、合金、プラスチック又はこれらの材料のうちの1つ又はそれ以上を含有する複合材料、もしくは食品又は製薬用途に好適な熱可塑性物質、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリエチレンが挙げられる。材料は軽量で非脆性であるのが好ましい。ハウジングの材料は、ハウジング上に形成される凝縮物の量に影響を及ぼす可能性があり、これはまた、装置からの液体の漏洩に影響を及ぼすことになる。
【0049】
エアロゾル発生装置は携行可能であるのが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙装置とすることができ、従来のシガー又はシガレットに相当するサイズを有することができる。喫煙装置は、約30mmと約150mmとの間の全長を有することができる。喫煙装置は、約5mmと約30mmの間の外径を有することができる。
【0050】
本発明による方法及び電気加熱式エアロゾル発生装置は、加熱要素に供給される電力量を空気流プロファイルに合わせて調整し、これによりユーザ又は装置のどのような追加的な動作も必要とすることなく、ユーザの体験を改善し、装置のハウジング内で凝縮するエアロゾルの量を低減することができるといった利点を提供する。
【0051】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生装置のための電気回路が提供され、該電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するように構成される。
【0052】
好ましくは、電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するようプログラム可能である。代替として、電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するよう配線接続することができる。
【0053】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生装置のためのプログラム可能な電気回路上で実行されたときに、プログラム可能な電気回路が本発明の他の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0054】
本発明の別の態様によれば、本発明の上記の態様によるコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0055】
本発明のある態様に関して説明された特徴は、本発明の別の態様にも適用可能とすることができる。
【0056】
ここで、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】電気加熱式エアロゾル発生装置の1つの実施例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態による、エアロゾル生成を制御する方法を示す図である。
図3】異なる喫煙プロファイルにおいて、本発明の第1の実施形態による、エアロゾル生成を制御する方法を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態による、エアロゾル生成を制御する方法を示す図である。
図5】異なる喫煙プロファイルにおいて、本発明の第2の実施形態による、エアロゾル生成を制御する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、電気加熱式エアロゾル発生装置の1つの実施例を示す。図1において、装置は、液体貯蔵部を有する喫煙装置である。図1の喫煙装置100は、マウスピース端部103及び本体端部105を有するハウジング101を備える。本体端部には、バッテリ107の形態の電力供給源と、ハードウェア109の形態の電気回路と、吸煙検出装置111とが設けられる。マウスピース端部には、液体115を収容するカートリッジ113の形態の液体貯蔵部、毛細管芯117、及び少なくとも1つの加熱要素を含み加熱器119が設けられる。加熱器は図1においては概略的にのみ示されている点に留意されたい。毛細管芯117の一方端は、カートリッジ113内に延び、毛細管芯117の他方端は、加熱器119により囲まれる。加熱器は、接続部121を介して電気回路に接続される。また、ハウジング101は、空気入口123と、マウスピース端部の空気出口125と、エアロゾル形成チャンバ127と、を含む。
【0059】
使用時には、以下のように作動する。液体115は、液体貯蔵部内に延びた毛細管芯117の端部から、加熱器119により囲まれる毛細管芯の他方の端部まで毛細管作用により液体貯蔵部114から移送又は運ばれる。ユーザが空気出口125にて装置を吸い込むと、周囲空気が空気入口123を通って吸い込まれる。図1に示す構成において、吸煙検出装置111が吸煙を検知し、加熱器119を作動させる。バッテリ107は、エネルギを加熱器119に供給し、加熱器により囲まれる毛細管芯117の端部を加熱する。加熱器119により毛細管芯117の当該端部において液体が気化し、過飽和蒸気を生成する。これと同時に、気化した液体に代わって、毛細管作用により毛細管芯117に沿って移動する別の液体が置き換わる(これは「ポンプ作動」と呼ばれることがある)。生成された過飽和蒸気は、空気入口123からの空気流と混合されて該空気流内に運ばれる。エアロゾル形成チャンバ127において、蒸気が凝縮して吸入可能エアロゾルを形成し、出口125に向けて、更にユーザの口腔内に運ばれる。
【0060】
毛細管芯は、種々の多孔性又は毛細管材料から作ることができ、好ましくは公知の予め定められた毛細管現象を有する。実施例として、繊維又は焼結粉体の形態のセラミックベース又はグラファイトベースの材料が含まれる。異なる多孔率の芯を使用して、密度、粘度、表面張力及び蒸気圧などの異なる液体物理的特性に対応することができる。芯は、必要量の液体を加熱要素に送給することができるように好適でなければならない。芯及び加熱要素は、必要量のエアロゾルをユーザに運ぶことができるように好適でなければならない。
【0061】
図1に示した実施形態において、ハードウェア109及び吸煙検出装置111は、プログラム可能であるのが好ましい。ハードウェア109及び吸煙検出装置111は、装置作動を管理するのに用いることができる。これは、エアロゾルの粒径の制御を支援する。
【0062】
図1は、本発明と共に使用できる電気加熱式エアロゾル発生装置の1つの実施例を示す。しかしながら、他の多数の実施例が本発明で使用可能である。電気加熱式エアロゾル発生装置では、単に、電気回路の制御下で少なくとも1つの電気加熱要素によって加熱され且つ電源によって給電することができるエアロゾル形成基材を含むか、又は受けることだけが必要となる。例えば、装置は喫煙装置でなくともよい。例えば、エアロゾル形成基材は、液体基材ではなく、固体基材であってもよい。代替として、エアロゾル形成基材は、ガス状基材のような別の形態の基材であってもよい。加熱要素は、あらゆる適切な形態をとることができる。ハウジングの全体の形状及びサイズは変更可能であり、ハウジングは、別個のシェル及びマウスピースを備えることができる。もちろん、他の変形も実施可能である。
【0063】
上述のように、ハードウェア109及び吸煙検出装置111を備える電気回路は、加熱要素への電力の供給を制御するためにプログラム可能であるのが好ましい。その結果、これは、温度プロファイルに影響を及ぼし、生成されるエアロゾルの密度に影響を及ぼすことになる。用語「温度プロファイル」は、喫煙に要する時間にわたる加熱要素の温度(又は、例えば加熱要素によって発生した熱などの別の同様の指標)のグラフ表現を意味する。代替として、ハードウェア109及び吸煙検出装置111は、加熱要素への電力の供給を制御するために配線接続することができる。この場合も同様に、これは温度プロファイルに影響を及ぼし、生成されるエアロゾルの密度に影響を及ぼすことになる。
【0064】
図1に示されたタイプのエアロゾル発生装置において、生成されるエアロゾルを除去するために装置を通る空気流が不十分であるときにエアロゾルが発生し続けた場合には問題が生じる。これにより、結果としてエアロゾルがハウジングの内部で凝縮し、その後、凝縮物が装置からユーザの口腔又は手に漏洩する可能性がある。これはまた、加熱要素用に移動する可能性がある材料の蓄積をもたらす恐れがあり、その後、化学的に劣化して望ましくない化合物になる可能性がある。例えば、電力がオンされるのと同じ一定の流れ閾値で電力がオフされた場合、装置を通る空気流が殆ど又は全く存在しないときには、エアロゾルが発生し続けることになる。
【0065】
図2は、本発明の第1の実施形態による、図1の加熱器への電力を制御する方法を示している。曲線200は、ユーザの吸入期間又は吸煙の間に装置を通る検出された空気流である。曲線210は、同じ期間中の加熱器の温度である。電力は、装置を通る空気流が最初に検出されたときに加熱器に加えられ、オフにされるまで同じレベルで連続的に加えられる。従って、加熱器の温度は、最初に、ぼほ安定レベルに達するまで上昇し、この安定レベルにおいて、空気流の冷却が、電源によって提供される加熱と平衡する。ユーザの吸煙の終了に向けて空気流が減少し続け、加熱器の温度は、再度より急激に上昇する。これは、空気流の冷却効果が低減していることに起因する。従って、加熱器温度は、吸煙中の空気流の変化の影響を受け易い。
【0066】
曲線220は、加熱器の温度を空気流で除算した値のプロットである。この曲線は、加熱器への電力をオフにする正規化閾値を提供するのに使用され、吸煙終了変数とみなされる。曲線220は以下の式を用いて算出される。
又は、
式中、
EPは吸煙終了変数、Tは加熱要素の温度、Qは空気流量、Aは補正係数である。
【0067】
加熱器への電力は、曲線220が閾値に達したとき(但し、最大流量を超えた後だけ)停止する。この実施形態において、閾値は、製造時に電気回路内に予め設定されて記憶される。しかしながら、特定のユーザの行動に対して最適となるように経時的に変化する閾値を有することも可能である。電力停止は、線230で示され、吸煙が始まってから1.6秒過ぎたところである。電力が停止した後、加熱器の温度は低下する(破線215)。低下している温度についての対応する吸煙終了変数の曲線が得られ、破線225で示される。閾値は、加熱器の温度が低下し、エアロゾルの発生を吸煙の終わりまで有意に低減させるが、装置のユーザが不満を覚えるほど早期ではないように選択される。
【0068】
図3は、吸煙中のより複雑な流れプロファイルを有する、第1の実施形態による別の実施例を示している。曲線300は空気流を示し、曲線310は加熱器温度を示し、曲線320は吸煙終了変数EPを示す。ここで、
である。
【0069】
加熱器への電力は、吸煙終了変数が所定の閾値に達したとき、この場合は、線330で示される吸煙が始まってから1.7秒後に停止される。
【0070】
後続の吸煙のための加熱器の再作動は、第1の作動閾値と呼ばれる簡単な空気流閾値に基づく。加熱電力が停止すると、ユーザが別の吸煙をすることができ、装置が再初期化されるように、空気流は第1の作動閾値を下回る必要がある。
【0071】
加熱要素の温度は、連続的に測定される電気抵抗から算出することができる。従って、温度変数は、吸煙終了変数の算出において加熱要素の電気抵抗値に置き換えられ、電気回路の算出負荷を軽減することができる。
【0072】
加熱器が所望の温度に達して一定に保たれるように、吸煙中の加熱器の温度が調節される場合には、加熱器温度は空気流レベルとは無関係に一定のままになるので、加熱器温度は、吸煙終了変数の算出には使用することはできない。従って、別の変数入力を使用する必要がある。一定の温度を維持するために供給される電力は、吸煙終了変数を算出する際に使用することができる。空気流が低下するにつれて、温度を一定に保つのに必要な電力はより少なくなる。
【0073】
電力は、パルス状信号の形で加熱器に供給される。加熱器の温度を調節するために、電源電圧が変調される。電源電圧の変調は、電源電圧パルスの幅を変化させるか、又はパルスの周波数を変化させることによって行うことができる。
【0074】
加熱要素に供給される平均電力は、加熱要素の温度が一定に保たれるように、電源電圧の変調の周波数(すなわち、「PFM」−パルス周波数変調)を一定のデューティサイクルで変化させることによって変化させることができる。この場合、吸煙終了変数は、次式で算出することができる。
式中、
・Qは空気流量、Δfは変調周波数の変化量、Pは補正係数である。
【0075】
供給される電力を変える他の方法は、PWM(パルス幅変調)であり、デューティサイクルを一定の周波数で変動えることから成る。デューティサイクルは、電力がオンされる時間と電力がオフされる時間との比である。換言すれば、電圧パルスの幅と電圧パルス間の時間との比である。5%の低デューティサイクルは、95%のデューティサイクルよりも遙かに低い電力を与えることになる。この場合、吸煙終了変数は次式で算出することができる。
式中、
Qは空気流量、Δdはデューティサイクルの変化量、Bは補正係数である。
【0076】
周波数とデューティサイクル変化量との組み合わせはまた、吸煙終了変数の算出に使用することができる。
【0077】
加熱器又は何れかの代替のエアロゾル発生要素への電力を停止するために閾値と比較する「正規化された」パラメータを提供する幾つかの代替の方法がある。1つの代替形態は、空気流の変化率を使用することである。
【0078】
図4は、第1の吸煙プロファイルにおける空気流及び空気流の変化率を示している。曲線400は空気流量である。曲線410は、時間に対する空気流量の微分である。加熱器への電力を停止するための閾値は、線420で示すように、空気流の一定の変化率に設定することができる。空気流の変化率は、大きな吸入と小さな吸入の間で正規化される。
【0079】
図5は、より複雑な吸煙プロファイルにおける空気流の変化率の使用を示している。曲線500は空気流量であり、曲線510は空気流の変化率である。加熱器への電力は、空気流の変化率が閾値に達したときに停止する。図5に示す吸煙では、線530及び540により示されるように、吸煙中に加熱電力の停止が数回発生することになる。第1の電力停止は0.6秒後に起こり、第2の電力停止は1.2秒後に現れる。
【0080】
装置は、第1の電力停止後、ユーザの不満を避けるために再作動される必要がある。再作動閾値は、微分曲線550の不連続部にて、又は空気流の変化率が正になったときに発生することができる。空気流が第1の作動閾値を下回ると、装置は、空気流が第1の作動閾値を超えたときに再度電力を提供するようリセットすることができる。
【0081】
空気流の変化率は、以下の式を用いて算出することができ、
式中、Qnは時間tnで測定した空気流である。
【0082】
他の代替の吸煙終了パラメータには、Qmax/Q(Qmaxは吸煙中の最大検出空気流である)、A/(Q.dQ/dt)、AQmax/(Q.dQ/dt)又はAT/Q2が挙げられる。エアロゾル発生装置の異なる設計及び異なるユーザに対して、異なる吸煙終了パラメータが適切とすることができる。何れの吸煙終了パラメータが使用されても、吸煙終了パラメータは、ユーザの吸入において見られる異なる種類の流れプロファイルを何らかの方法で正規化すべきである。これは、上記の実施例から分かるように、特定の流れ期間にわたる空気流の変化に関連したパラメータを使用することにより、当該パラメータは、空気流に関連した1つ、2つ又はそれ以上の検出パラメータから導くことができることを意味している。閾値は、ユーザ吸入の最後の部分を使用して発生したエアロゾルを装置から確実に除去するように設定されるべきである。
【0083】
本発明は電気喫煙装置に関して説明してきたが、要求に応じて作動する全てのエアロゾル発生器、気化器又は吸入器には、発生するエアロゾルの一部が消耗ハウジング内に捕捉される同じ問題を生じる。従って、本発明は、要求に応じて作動する全てのエアロゾル発生器、気化器又は吸入器に適用することができる。
【0084】
医療装置の場合、患者に送達される薬剤用量を推定し計算する必要がある場合には、本発明によるエアロゾル生成を制御することにより、全ての発生したエアロゾルを確実に患者に送達することができる。吸入の終了の前にエアロゾルの生成を停止することによって、実質的に全てのエアロゾルが患者に送給され、従って、薬剤用量をより正確に監視することができる。
【0085】
電気加熱式エアロゾル形成基材に関して本発明を説明してきたが、他のタイプのエアロゾル発生器を本発明と共に用いることもできる。例えば、振動オリフィストランスデューサーを使用してエアロゾルを発生させることができる。このようなエアロゾル発生器を備えると、吸煙終了変数を算出するために加熱器と共に使用される温度変数は、置換変数のアクチュエータ圧力、電力、周波数又は振幅と置き換えることができる。
【符号の説明】
【0086】
100 喫煙装置
101 ハウジング
103 マウスピース端部
105 本体端部
107 バッテリ
109 ハードウェア
111 吸煙検出装置
115 液体
117 毛細管芯
119 加熱器
123 空気入口
125 空気出口
図1
図2
図3
図4
図5