(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者は、図面中の物体が、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを認識する。例えば、実施形態の理解を高めるために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されていてもよい。
【0013】
多くの態様および実施形態を以上に説明しているが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態が可能であることは当業者に認識される。
【0014】
いずれか1つ以上の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。詳細な説明では、最初に用語の定義および説明を記載し、続いて式Iの材料、合成、デバイス、そして最後に実施例を記載する。
【0015】
1.用語の定義および説明
以下に記載される実施形態の詳細を記載する前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0016】
用語「アルコキシ」は、酸素を介して結合し、Rがアルキルである式−ORを有する基を意味することが意図される。
【0017】
用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を意味することが意図され、そして直鎖、分枝、または環式基を含む。いくつかの実施形態において、アルキルは1〜20個の炭素原子を有する。
【0018】
用語「芳香族化合物」は、非局在化パイ電子を有する少なくとも1つの不飽和環式基を含んでなる有機化合物を意味することが意図される。
【0019】
用語「アリール」は、1つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することが意図される。この用語は、単環を有する基、および単結合で結合可能であるか、または一緒に縮合可能である複数の環を有する基を含む。この用語は、ヘテロアリールを含むことが意図される。用語「アリーレン」は、2つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することが意図される。いくつかの実施形態において、アリール基は3〜60個の炭素原子を有する。
【0020】
用語「ビフェニル」は、以下に示すように、2つのフェニル環を有する基を意味することが意図される。
【0022】
用語「分枝鎖アルキル」は、少なくとも1つの炭素が2つまたは3つの他の炭素に結合している、3つ以上の炭素のアルキル基を指し、環式および多環式アルキルが含まれる。
【0023】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、用語「電荷輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図している。正孔輸送材料は正電荷を促進し;電子輸送材料は負電荷を促進する。発光材料も、ある程度の電荷輸送特性を有し得るが、用語「電荷輸送層、材料、部材、または構造」は、主要な機能が発光である層、材料、部材、または構造を含むことが意図されない。
【0024】
用語「重水素化」は、少なくとも1つのHがDによって置き換えられたことを意味することが意図される。用語「重水素化類似物」は、1つ以上の利用可能な水素が重水素に置き換えられた化合物または基の構造類似物を指す。「重水素化」の存在は、化合物が重水素化していることを示す。重水素化化合物または重水素化アナログにおいて、重水素は天然存在量の少なくとも100倍で存在する。
【0025】
用語「ドーパント」は、ホスト材料を含む層中で、そのような材料を含まない場合の層の放射線放出の電子的特徴または波長、受容、またはフィルタリングと比較して、層の放射線放出の電子的特徴または標的波長、受容、またはフィルタリングを変化させる材料を意味することが意図される。
【0026】
用語「電子捕獲」または「電子捕獲材料」は、それが包埋される層において存在する他のいずれの材料のLUMOよりも、エネルギーにおいて真空準位からより遠くに存在する最低空分子軌道(LUMO)を有する化合物を意味することが意図される。そのようなものとして、それは、負の電荷がその層に存在するために好ましい部位であり、捕獲材料がパーコレーション体積未満(<約15%)で存在する場合、そのような負の電荷は捕獲材料の分子上で局所化されて、その層内での負の電荷の移動性に対する妨害を示す。
【0027】
接頭辞「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子に置き換えられたことを示す。いくつかの実施形態において、異なる原子は、N、OまたはSである。
【0028】
用語「正孔捕獲」または「正孔捕獲材料」は、それが包埋される層において存在する他のいずれの材料のHOMOよりも、エネルギーにおいて真空準位により近くに存在する最高被占分子軌道(HOMO)を有する化合物を意味することが意図される。そのようなものとして、それは、正の電荷がその層に存在するために好ましい部位であり、捕獲材料がパーコレーション体積未満(<約15%)で存在する場合、そのような正の電荷は捕獲材料の分子上で局所化されて、その層内での正の電荷の移動性に対する妨害を示す。
【0029】
用語「ホスト材料」は、ドーパントが添加されていてもよい、通常は層の形態の材料を意味することが意図される。ホスト材料は、電子的特性、あるいは放射線の放出、受容、またはフィルタリングをする能力を有していてもよく、または有さなくてもよい。
【0030】
用語「発光材料」および「発光体」は、印加電圧によって活性化される時に光を発する材料を意味することが意図される(発光ダイオードまたは発光電気化学電池など)。用語「緑色発光材料」は、約495〜569nmの範囲の波長で発光極大を有する放射線を放出することが可能な材料を意味することが意図される。用語「オレンジ色発光材料」は、約590〜619nmの範囲の波長で発光極大を有する放射線を放出することが可能な材料を意味することが意図される。用語「赤色発光材料」は、約620〜750nmの範囲の波長で発光極大を有する放射線を放出することが可能な材料を意味することが意図される。用語「黄色発光材料」は、約570〜589nmの範囲の波長で発光極大を有する放射線を放出することが可能な材料を意味することが意図される。
【0031】
用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであることが可能であり、実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであることも可能である。層および膜は、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続的技術)などの従来の任意の堆積技術および熱転写によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
用語「有機電子デバイス」または場合により単に「電子デバイス」は、1つ以上の有機半導体層または材料を含むデバイスを意味することが意図される。
【0033】
用語「蓄光性」は、材料を指す場合、有意な三重項特性を有する励起状態から光を発する材料を意味することが意図される。
【0034】
用語「光活性」は、印加電圧によって活性化されるときに光を発する(発光ダイオードまたは化学電池など)か、あるいは印加バイアス電圧の有無にかかわらず放射エネルギーに反応して信号を生じる(光検出器または光電池など)材料または層を指す。
【0035】
用語「シロキサン」は、RがH、D、C1〜20アルキル、C1〜20重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリールまたは重水素化アリールである基R
3SiO−を指す。いくつかの実施形態において、Rアルキル基中の1つ以上の炭素はSiに置き換えられる。
【0036】
用語「シリル」は、RがH、D、C1〜20アルキル、C1〜20重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリールまたは重水素化アリールである基R
3Si−を指す。いくつかの実施形態において、Rアルキル基中の1つ以上の炭素はSiに置き換えられる。
【0037】
用語「テルフェニル」は、以下に示すように、3つのフェニル環を有する基を指す。
【0039】
全ての基は未置換でもよいか、置換されてもよい。いくつかの実施形態において、置換基は、重水素、ハロゲン化物、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シリル、シロキサン、アルキルアミノ、アリールアミノおよびシアノからなる群から選択される。
【0040】
本明細書において、本明細書の対象の実施形態が、特定の特徴または要素を含んでなるか、含むか、含有するか、有するか、またはそれらから構成されるという使用の文脈によって他に明白に明示されているか、またはそれと反対に示されない限り、明白に記載されるものに加えて、1つ以上の特徴または要素が実施形態で存在してもよい。開示された本明細書の対象の他の実施形態は、本質的に特定の特徴または要素からなるものとして記載され、そのような実施形態において、操作の原理または実施形態の特徴を具体的に変更する特徴または要素は存在しない。記載される本明細書の対象のさらなる他の実施形態は、特定の特徴または要素からなるものとして記載され、そのような実施形態において、またはそれらの実体のない変形において、具体的に記載された特徴または要素のみが存在する。
【0041】
また、本発明の要素および成分を説明するために不定冠詞「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0042】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81
stEdition(2000−2001)に見ることができる「New Notation」の規則を使用している。
【0043】
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるいずれの刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献も、特定の部分に言及される場合を除けば、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0044】
本明細書に記載されていない範囲まで、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0045】
2.式Iを有する材料
本明細書に記載される新規材料は、式I
【0046】
【化4】
(式中、
R
1は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
2は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
3は、H、D、アルキル、シリル、重水素化アルキルおよび重水素化シリルからなる群から選択され、かつ
R
4は、各々同一であるか、または異なって、H、D、アリール、アルキル、シリル、重水素化アリール、重水素化アルキルおよび重水素化シリルである)を有する。
【0047】
いくつかの実施形態おいて、式Iを有する化合物は発光材料として有用である。
【0048】
いくつかの実施形態において、化合物は緑色発光材料である。
【0049】
いくつかの実施形態において、化合物を単独で使用する。
【0050】
いくつかの実施形態において、化合物を、ホスト材料中のドーパントとして使用する。
【0051】
いくつかの実施形態において、緑色発光は、C.I.E.色度(Commision Internationale de L’Eclairage,1931)によって、x=0.20〜0.36およびy=0.55〜0.72の色座標を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物は正孔捕獲として有用である。
【0053】
いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物は電子捕獲として有用である。
【0054】
予想外であることに、いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物を含むデバイスは、従来技術の化合物を含むデバイスと比較して、より高い効率を有する。これは、エネルギー消費を低下させることで、ディスプレイデバイスおよび照明デバイスに関して有利である。
【0055】
予想外であることに、いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物を含むデバイスは、従来技術の化合物を含むデバイスと比較して、より長い寿命を有する。これは、ディスプレイデバイスおよび照明デバイスに関して有利である。
【0056】
予想外であることに、いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物を含むデバイスは、カルバゾリル基の代わりにアリール基を有する従来技術の化合物を含むデバイスと比較して、優れた(より飽和な)緑色を有する。これは、ディスプレイデバイスおよび照明デバイスに関して有利である。
【0057】
本発明の特定の実施形態には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
実施形態1.重水素化されている式Iの化合物。
【0059】
実施形態2.少なくとも10%が重水素化されている式Iの化合物。「%が重水素化されている」または「%重水素化」とは、水素および重陽子の全体に対する重陽子の比率であり、パーセントで表される。重水素は、同一または異なる基の上に存在してもよい。
【0060】
実施形態3.少なくとも20%が重水素化されている式Iの化合物。
【0061】
実施形態4.少なくとも30%が重水素化されている式Iの化合物。
【0062】
実施形態5.少なくとも40%が重水素化されている式Iの化合物。
【0063】
実施形態6.少なくとも50%が重水素化されている式Iの化合物。
【0064】
実施形態7.少なくとも60%が重水素化されている式Iの化合物。
【0065】
実施形態8.少なくとも70%が重水素化されている式Iの化合物。
【0066】
実施形態9.少なくとも80%が重水素化されている式Iの化合物。
【0067】
実施形態10.少なくとも90%が重水素化されている式Iの化合物。
【0068】
実施形態11.95%より多くが重水素化されている式Iの化合物。
【0069】
実施形態12.R
1が、1〜20個の炭素、いくつかの実施形態において、1〜12個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0070】
実施形態13.R
1が、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの重水素化誘導体からなる群から選択される式Iの化合物。
【0071】
実施形態14.R
1が、3〜20個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0072】
実施形態15.R
1が、3〜12個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0073】
実施形態16.R
1が、2−プロピル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0074】
実施形態17.R
1が、式R
3Si−(式中、Rが1〜20個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである)を有するシリルまたは重水素化シリルである式Iの化合物。
【0075】
実施形態18.R
1が、アリールまたは重水素化アリール基である式Iの化合物。
【0076】
実施形態19.R
1が、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、それらの置換誘導体およびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0077】
実施形態20.R
1が、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される1つ以上の置換基を有する置換アリールまたは置換重水素化アリールである式Iの化合物。
【0078】
実施形態21.R
2が、1〜20個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0079】
実施形態22.R
2が、1〜12個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0080】
実施形態23.R
2が、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0081】
実施形態24.R
2が、3〜20個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0082】
実施形態25.R
2が、3〜12個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0083】
実施形態26.R
2が、2−プロピル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0084】
実施形態27.R
2が、式R
3Si−(式中、Rが1〜20個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである)を有するシリルまたは重水素化シリルである式Iの化合物。
【0085】
実施形態28.R
2が、アリールまたは重水素化アリール基である式Iの化合物。
【0086】
実施形態29.R
2が、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、それらの置換誘導体およびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0087】
実施形態30.R
2が、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログから選択される1つ以上の置換基を有する置換アリールまたは置換重水素化アリールである式Iの化合物。
【0088】
実施形態31.R
3が、1〜20個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0089】
実施形態32.R
3が、1〜12個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0090】
実施形態33.R
3が、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0091】
実施形態34.R
3が、3〜20個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0092】
実施形態35.R
3が、3〜12個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0093】
実施形態36.R
3が、2−プロピル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0094】
実施形態37.R
3が、式R
3Si−(式中、Rが1〜20個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである)を有するシリルまたは重水素化シリルである式Iの化合物。
【0095】
実施形態38.R
3が、1〜20個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0096】
実施形態39.R
3が、1〜12個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである式Iの化合物。
【0097】
実施形態40.R
4が、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0098】
実施形態41.R
4が、3〜20個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0099】
実施形態42.R
4が、3〜12個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである式Iの化合物。
【0100】
実施形態43.R
4が、2−プロピル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される式Iの化合物。
【0101】
実施形態44.R
4が、式R
3Si−(式中、Rが1〜20個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである)を有するシリルまたは重水素化シリルである式Iの化合物。
【0102】
実施形態45.R
4が同一であるか、または異なって、HおよびDから選択される式Iの化合物。
【0103】
実施形態46.R
1およびR
2が同一である式Iの化合物。
【0104】
実施形態47.R
1およびR
2が同一であって、かつアリールまたは重水素化アリールである式Iの化合物。
【0105】
実施形態48.R
1およびR
2がアリールまたは重水素化アリールであって、かつR
3はアルキルまたは重水素化アルキルである式Iの化合物。
【0106】
それらが相互排他的でない限り、上記の実施形態のいずれも、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、R
1が1〜20個の炭素を有する直鎖アルキルまたは重水素化直鎖アルキルである実施形態を、R
2が3〜12個の炭素を有する分枝鎖アルキルまたは重水素化分枝鎖アルキルである実施形態と組み合わせることができる。上記で検討された他の相互排他的でない実施形態に関しても同様である。当業者は、いずれの実施形態が相互排他的であるか理解しており、したがって、本出願によって考察される実施形態の組み合わせを容易に決定することができるであろう。
【0107】
式Iを有する材料の例には、限定されないが、以下に示す化合物G1〜G12が含まれる。
【0110】
3.合成
本明細書に記載される材料は、以下の手順によって一般に調製される。
【0111】
配位子は、2,4−ジハロピリジン開始材料から調製され得、Pd触媒C−C結合カップリングがピリジンの2位で最初に実行され、R
3置換アリール基が導入される。この材料をシリカクロマトグラフィによって単離し、次いで、Pd触媒N−C結合形成を使用して、ピリジンの4−ハロ置換基の置換によって、適切なカルバゾール材料との反応が実行される。配位子をシリカカラムクロマトグラフィによって単離および精製する。この手順の第2の工程で使用されるカルバゾールは、市販の材料であっても、あるいはカルバゾール自体のフリーデルクラフツアルキル化反応、またはR
1およびR
2を導入するために適切なアリールまたはアルキルボロン酸を使用する他のPd触媒C−C結合形成のいずれかによって合成されてもよい。上記の通り調製された配位子は、次いで、還流下、2−エトキシエタノール中、三塩化イリジウムを使用してIr上にシクロメタル化される。この工程の後、アルコール溶媒中、銀塩を使用して第3のシクロメタル化が実行され、Irの配位圏から残留塩化物が除去される。単離されたトリスシクロメタル化材料は、再結晶によって精製され、最終的に単離され得る。最終的な結晶材料は高真空下で乾燥されて、次いで単離されたまま、デバイス構成において使用される。個々の詳細は下記に示される。
【0112】
4.デバイス
本明細書に記載の材料を含んでなる1層以上の層を有することから有益となり得る有機電子デバイスとしては、限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、照明デバイス、照明器具、またはダイオードレーザー)、(2)電子的プロセスを介して信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、IR検出器、バイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、ならびに(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。
【0113】
有機電子デバイス構造の一例を
図1に示す。デバイス100は、第1の電気コンタクト層、アノード層110、第2の電気コンタクト層、カソード層160、およびそれらの間の光活性層140を有する。アノードに隣接して、正孔注入層120が存在する。正孔注入層に隣接して、正孔輸送材料を含んでなる正孔輸送層130が存在する。カソードに隣接して、電子輸送材料を含んでなる電子輸送層150が存在してもよい。任意選択として、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)、および/またはカソード160の隣に1つ以上の追加の電子注入または電子輸送層(図示せず)を使用することができる。
【0114】
層120〜150は、個々に、そして集合的に、活性層と呼ばれる。
【0115】
いくつかの実施形態において、光活性層は
図2で示すようにピクセル化される。デバイス200において、層140は層上に繰り返されるピクセルまたはサブピクセルユニット141、142および143に分離される。各ピクセルまたはサブピクセルユニットは異なる色を表す。いくつかの実施形態において、サブピクセルユニットは、赤色、緑色、青色である。3つのサブピクセルユニットが図に示されるが、2または3を超えるものが使用されてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、種々の層は以下の範囲の厚さを有する。アノード110、500〜5000Å、いくつかの実施形態において、1000〜2000Å、正孔注入層120、50〜2000Å、いくつかの実施形態において、200〜1000Å、正孔輸送層120、50〜2000Å、いくつかの実施形態において、200〜1000Å、光活性層130、10〜2000Å、いくつかの実施形態において、100〜1000Å、層140、50〜2000Å、いくつかの実施形態において、100〜1000Å、カソード150、200〜10000Å、いくつかの実施形態において、300〜5000Å。デバイスの電子正孔再結合領域の位置、したがって、デバイスの発光スペクトルは、各層の相対的な厚さに影響を受けることができる。層の厚さの所望の比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0117】
上記で検討された実施形態、特定の実施形態および実施形態の組み合わせによって表される式Iの化合物のいずれも、デバイスで使用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物は、緑色発光を有する光活性層140の発光物質として有用である。それらは、単独で、または1つ以上のホスト材料中のドーパントとして使用することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物は、光活性層140の正孔捕獲として有用である。
【0120】
いくつかの実施形態において、式Iを有する化合物は、光活性層140の電子捕獲として有用である。
【0121】
a.光活性層
いくつかの実施形態において、光活性層は、式Iを有する化合物から本質的になる。
【0122】
いくつかの実施形態において、光活性層は、ホスト材料と、ドーパントとして式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0123】
いくつかの実施形態において、光活性層は、ホスト材料と、ドーパントとして式Iを有する化合物と、第2のホスト材料とを含んでなる。
【0124】
いくつかの実施形態において、光活性層は、ホスト材料と、ドーパントとして式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0125】
いくつかの実施形態において、光活性層は、第1のホスト材料と、第2のホスト材料と、ドーパントとして式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0126】
いくつかの実施形態において、式Iを有するドーパント対全ホスト材料の重量比は、1:99〜40:60の範囲であり、いくつかの実施形態において、5:95〜30:70の範囲であり、いくつかの実施形態において、10:90〜20:80の範囲である。
【0127】
いくつかの実施形態において、ホストは、ドーパントの三重項エネルギー準位よりも高い三重項エネルギー準位を有し、そのため、発光を消滅させない。いくつかの実施形態において、ホストは、カルバゾール、インドロカルバゾール、トリアジン、アリールケトン、フェニルピリジン、ピリミジン、フェナントレン、トリアリールアミン、トリフェニレン、チオフェン、それらのフラン重水素化アナログ、それらの組み合わせおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0128】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0129】
いくつかの実施形態において、光活性層は、蓄光性化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0130】
いくつかの実施形態において、光活性層は、蓄光性シクロメタル化錯体と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0131】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色、オレンジ色または黄色発光色を有する発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0132】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物と、第2のホスト材料とを含んでなる。
【0133】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0134】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0135】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、第1のホスト材料と、第2のホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0136】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色発光化合物と、第1のホスト材料と、第2のホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0137】
式Iの正孔捕獲材料は、層の全重量に基づき、1〜10重量%の量で、いくつかの実施形態において、2〜5重量%の量で存在することができる。
【0138】
式Iを有する化合物は、いずれの成分のHOMO準位も、式Iの化合物のHOMO準位と比較して、真空準位から遠いため、いずれの種類のエレクトロルミネセント(「EL」)層のための正孔捕獲として使用することができる。加えて、蛍光発光材料に関して、発光一重項エネルギー準位は、式Iの化合物の一重項エネルギー準位と比較して、より低くなければならない。これは、上記の定義部分で検討される。
【0139】
EL材料には、限定されないが、小分子有機蛍光化合物、発光金属錯体、共役ポリマーおよびそれらの混合物が含まれる。蛍光化合物の例には、限定されないが、クリセン、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、アントラセン、チアジアゾール、それらの誘導体、それらのアリールアミノ誘導体およびそれらの混合物が含まれる。金属錯体の例には、限定されないが、金属キレート化オキシノイド化合、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3);シクロメタル化イリジウムおよびプラチナエレクトロルミネセント化合物、例えば、Petrovら、米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されるようなフェニルピリジン、フェニルキノリンまたはフェニルピリミジン配位子によるイリジウムの錯体、ならびに例えば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレットおよび国際公開第03/040257号パンフレットに記載の有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が含まれる。共役ポリマーの例には、限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマーおよびそれらの混合物が含まれる。
【0140】
赤色、オレンジ色および黄色発光材料の例には、限定されないが、フェニルキノリンまたはフェニルイソキノリン配位子を有するIrの錯体、ペリフランテン、フルオランテンおよびペリレンが含まれる。赤色発光材料は、例えば、米国特許第6,875,524号明細書および米国特許出願公開第2005−0158577号明細書に開示されている。
【0141】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0142】
いくつかの実施形態において、光活性層は、蓄光性化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0143】
いくつかの実施形態において、光活性層は、蓄光性シクロメタル化錯体と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0144】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色、オレンジ色または黄色発光色を有する発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる。
【0145】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物と、第2のホスト材料とを含んでなる。
【0146】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0147】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0148】
いくつかの実施形態において、光活性層は、発光化合物と、第1のホスト材料と、第2のホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0149】
いくつかの実施形態において、光活性層は、赤色発光化合物と、第1のホスト材料と、第2のホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とから本質的になる。
【0150】
式Iの電子捕獲材料は、層の全重量に基づき、1〜10重量%の量で、いくつかの実施形態において、2〜5重量%の量で存在することができる。
【0151】
式Iを有する化合物は、いずれの成分のLUMO準位も、式Iの化合物のLUMO準位と比較して、真空準位に近いため、いずれの種類のエレクトロルミネセント(「EL」)層のための電子捕獲として使用することができる。加えて、蛍光発光材料に関して、発光一重項エネルギー準位は、式Iの化合物の一重項エネルギー準位と比較して、より低くなければならない。これは、上記の定義部分で検討される。異なる種類のEL材料が上記で検討される。
【0152】
b.他のデバイス層
デバイスの他の層は、そのような層で有用であることが知られている任意の材料から製造することができる。
【0153】
アノード110は、正電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。これは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料から製造することができ、あるいは導電性ポリマー、およびそれらの混合物でることもできる。適切な金属としては、11族金属、4族、5族、および6族金属、ならびに8〜10族遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性となる場合には、インジウムスズ酸化物などの12族、13族、および14族金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノードは、“Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer”,Nature vol.357,pp477−479(11 June 1992)に記載されるようなポリアニリンなどの有機材料を含んでもよい。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように、少なくとも部分的に透明となるべきである。
【0154】
正孔注入層120は正孔注入材料を含んでなり、有機電子デバイスにおいて、限定されないが、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進または改善する他の特徴を含む1つ以上の機能を有することができる。正孔注入層は、プロトン酸がしばしばドープされるポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料を使用して形成することができる。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであることができる。
【0155】
正孔注入層は、銅フタロシアニンやテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことができる。
【0156】
いくつかの実施形態において、正孔注入層は、少なくとも1種の導電性ポリマーと少なくとも1種のフッ素化酸ポリマーとを含んでなる。
【0157】
いくつかの実施形態において、正孔注入層は、コロイド形成ポリマー酸でドープされた導電性ポリマーの水性分散系から製造される。このような材料は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、同第2004/0127637号明細書、同第2005/0205860号明細書および国際公開第2009/018009号パンフレットに記載されている。
【0158】
層130の正孔輸送材料の例は、例えば、Y.Wangにより,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996にまとめられている。正孔輸送分子およびポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、正孔輸送層は、正孔輸送ポリマーを含んでなる。いくつかの実施形態において、正孔輸送ポリマーはジスチリルアリール化合物である。いくつかの実施形態において、アリール基は2つ以上の縮合芳香環を有する。いくつかの実施形態において、アリール基はアセンである。用語「アセン」は、本明細書で使用される場合、2つ以上の直鎖配列のオルト縮合ベンゼン環を含有する炭化水素親成分を指す。他の一般に使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、およびポリアニリンである。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中に上記などの正孔輸送分子をドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。場合によっては、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。場合によっては、これらのポリマーおよびコポリマーは架橋性である。
【0159】
いくつかの実施形態において、正孔輸送層は、p−ドーパントをさらに含んでなる。いくつかの実施形態において、正孔輸送層は、p−ドーパントでドープされる。p−ドーパントの例には、限定されないが、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)およびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物(PTCDA)が含まれる。
【0160】
層150に使用することができる電子輸送材料の例としては、限定されないが、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)、およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キノレート誘導体などを含む金属キレート化オキシノイド化合物;ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン;ならびにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、電子輸送層は、n−ドーパントをさらに含む。n−ドーパント材料は周知である。n−ドーパントとしては、限定されないが、1族および2族金属;1族および2族金属の塩、例えば、LiF、CsF、およびCs
2CO
3;1族および2族金属の有機化合物、例えばLiキノレート;ならびに分子n−ドーパント、例えばロイコ染料、W
2(hpp)
4(式中、hpp=1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−[1,2−a]−ピリミジンである)などの金属錯体、ならびにコバルトセン、テトラチアナフタセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、複素環式ラジカルまたはジラジカル、ならびに複素環式ラジカルまたはジラジカルのダイマー、オリゴマー、ポリマー、ジスピロ化合物、および多環化合物が挙げられる。
【0161】
カソード160は、電子または負電荷キャリアの注入に特に効率的な電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であってよい。カソードの材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族金属、例えば希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびにそれらの組み合わせなどの材料を使用することができる。
【0162】
作動電圧を下げるために、LiF、CsF、Cs
2OおよびLi
2Oなどのアルカリ金属含有無機化合物、またはLi含有有機金属または配位化合物を有機層150とカソード層160との間に堆積することもできる。この層は図示しないが、電子注入層と呼ばれてもよい。
【0163】
有機電子デバイス中に別の層が存在することが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため、および/または層のバンドギャップを一致させるため、または保護層として機能させるために、アノード110と正孔注入層120との間に層(図示せず)が存在することができる。銅フタロシアニン、ケイ素オキシ窒化物、フルオロカーボン、シラン、またはPtなどの金属の超薄層などの当技術分野において周知の層を使用することができる。あるいは、アノード層110、活性層120、130、140および150、またはカソード層160の一部または全てを、電荷キャリア輸送効率を増加させるために表面処理することができる。それぞれの構成層の材料の選択は、好ましくは、高エレクトロルミネッセンス効率を有するデバイスを得るために発光層中の正電荷および負電荷のバランスがとられるように行われる。
【0164】
それぞれの機能層を2層以上の層で構成することができることは理解される。
【0165】
c.デバイス製造
デバイス層は、気相堆積、液相堆積および熱転写などの任意の堆積技術またはそれらの技術の組み合わせによって形成することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層および発光層の液相堆積と、アノード、電子輸送層、電子輸送層、電子注入層およびカソードの気相堆積とによって製造される。
【0167】
正孔注入層は、それが溶解されるか、または分散され、そして膜を形成する任意の液体媒体から堆積することができる。いくつかの実施形態において、液体媒体は1種以上の有機溶媒から本質的になる。いくつかの実施形態において、液体媒体は、水または水および有機溶媒から本質的になる。正孔注入材料は、0.5〜10重量%の量で液体媒体に存在することができる。正孔注入層を、任意の連続的または不連続的液相堆積技術によって塗布することができる。いくつかの実施形態において、正孔注入層はスピンコーティングによって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔注入層はインクジェット印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔注入層は連続ノズル印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔注入層はスロットダイコーティングによって塗布される。液相堆積後、液体媒体を、空気中で、不活性雰囲気中で、または真空によって、室温で、または加熱しながら、除去することができる。
【0168】
正孔輸送層は、それが溶解されるか、または分散され、そして膜を形成する任意の液体媒体から堆積することができる。いくつかの実施形態において、液体媒体は1種以上の有機溶媒から本質的になる。いくつかの実施形態において、液体媒体は、水または水および有機溶媒から本質的になる。いくつかの実施形態において、有機溶媒は芳香族溶媒である。いくつかの実施形態において、有機液体は、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソールおよびそれらの混合物から選択される。正孔輸送材料は、0.2〜2重量%の濃度で液体媒体に存在することができる。正孔輸送層を、任意の連続的または不連続的液相堆積技術によって塗布することができる。いくつかの実施形態において、正孔輸送層はスピンコーティングによって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔輸送層はインクジェット印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔輸送層は連続ノズル印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、正孔輸送層はスロットダイコーティングによって塗布される。液相堆積後、液体媒体を、空気中で、不活性雰囲気中で、または真空によって、室温で、または加熱しながら、除去することができる。
【0169】
光活性層は、それが溶解されるか、または分散され、そして膜を形成する任意の液体媒体から堆積することができる。いくつかの実施形態において、液体媒体は1種以上の有機溶媒から本質的になる。いくつかの実施形態において、液体媒体は、水または水および有機溶媒から本質的になる。いくつかの実施形態において、有機溶媒は芳香族溶媒である。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、アニソール、2−ブタノン、3−ペンタノン、酢酸ブチル、アセトン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トリフルオロトルエン、芳香族エステルおよびそれらの混合物から選択される。光活性材料は、0.2〜2重量%の濃度で液体媒体に存在することができる。光活性材料の他の重量パーセントが、液体媒体次第で使用されてもよい。光活性層を、任意の連続的または不連続的液相堆積技術によって塗布することができる。いくつかの実施形態において、光活性層はスピンコーティングによって塗布される。いくつかの実施形態において、光活性層はインクジェット印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、光活性層は連続ノズル印刷によって塗布される。いくつかの実施形態において、光活性層はスロットダイコーティングによって塗布される。液相堆積後、液体媒体を、空気中で、不活性雰囲気中で、または真空によって、室温で、または加熱しながら、除去することができる。
【0170】
電子輸送層は、任意の気相堆積法によって堆積することができる。いくつかの実施形態において、真空下での熱蒸発によって堆積する。
【0171】
電子注入層は、任意の気相堆積法によって堆積することができる。いくつかの実施形態において、真空下での熱蒸発によって堆積する。
【0172】
カソードは、任意の気相堆積法によって堆積することができる。いくつかの実施形態において、真空下での熱蒸発によって堆積する。
【実施例】
【0173】
本明細書に記載の概念を以下の実施例においてさらに説明するが、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0174】
実施例1
本実施例は、化合物G1の調製を説明する。
【化8】
【0175】
A)3,6−ジフェニルカルバゾール:
3,6−ジブロモカルバゾール(50g、0.154mol)、フェニルボロン酸(41g、0.336mol)、150mlの水、80gの炭酸ナトリウムおよび600mlのジオキサンを、磁気撹拌器、還流冷却器および窒素インレットを備えた2リットルポットに入れて、1時間、窒素でスパージした。Pd
2DBA
3(6g、0.0066mol)およびトリ−t−ブチルホスフィン(3g、0.0148mol)をドライボックスから急速に添加した。反応物を一晩還流した。その翌日、水を反応混合物に添加し、そして塩化メチレン抽出物を141gの活性化シリカにあらかじめ吸収させ、そして塩化メチレン/ヘキサンを使用してカラムクロマトグラフィによって精製し、38グラムの生成物3,6−ジフェニルカルバゾールを得た。
【0176】
B)2−(4−t−ブチルフェニル)−4−クロロピリジン:
2,4−ジクロロピリジン(46.37g、0.3134mol)、4−t−bu−フェニルボロン酸(56.97g、0.3200mol)、437mlの水、927mlのモノグリムおよび炭酸カリウム(119.2g、0.862mol)を45分間、窒素でスパージした。テトラキストリフェニルホスフィンPd(0)(9.93g、8.6mmol)を迅速に添加し、そして混合物を一晩還流した。冷却後、混合物を濃縮し、そして水抽出のために塩化メチレンに溶解した。塩化メチレン/ヘキサンを用いて、シリカカラムクロマトグラフィによって塩化メチレン溶液を精製した。生成物のカットを濃縮し、61.6gの2−(4−t−ブチルフェニル)−4−クロロピリジンが得られた。
【0177】
C)G1のための配位子:
Pd
2DBA
3(1.2124g、1.32mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン(0.5334g、2.6mmol)、210mlのトルエン、4−クロロ−2−(4−t−ブチルフェニル)ピリジン(12.6g、0.0512mol)、3,6−ジフェニルカルバゾール(19.6g、0.0613mol)をドライボックス中で組み合わせ、続いて、ナトリウム−t−ブトキシド(5.89g、0.0613mol)を加えた。混合物を一晩還流した。反応混合物をあらかじめ吸収させ、そして塩化メチレン/ヘキサンを用いてシリカカラムクロマトグラフィによって精製した。生成物カットを濃縮し、27グラムの配位子を得た。
【0178】
D)化合物G1
上記からの4.0gの配位子および1.36gの三塩化イリジウムを10mLの2−エトキシエタノールおよび1mLの水に添加した。暗オレンジ色スラリーのこの混合物を窒素下で還流すると、急速に黄色固体を生じた。0.45gの炭酸ナトリウムを30分後に添加し、そして還流を2時間窒素下で継続した。冷却および水の添加によって、明るい黄色のビスシクロメタル化クロロダイマー塩が沈殿した。この固体を濾過によって回収し、そして吸引乾燥させて、明るいオレンジ色がかった黄色の粉末が得られた。次いで、この固体を250mLの塩化メチレンに溶解し、濾過し、次いでエバポレーションによって乾燥させた。上記からの配位子3gと一緒に、黄色固体を、25mLのエトキシエタノール中、3.0gのトリフルオロ酢酸銀および2mLの水とともにRBフラスコに配置した。この混合物を窒素下で一晩還流し、次いで冷却し、エバポレーションして、暗オレンジ固体として乾燥させた。この固体を塩化メチレンによって抽出し、次いで、50:50塩化メチレン:トルエンを使用してクロマトグラフィによって精製し、明るい黄色の溶液を溶離し、これを次いでエバポレーションして、オレンジ色がかった黄色の固体(約2.5g)が得られ、これをメタノールで洗浄した。塩化メチレン中に溶解し、続いて、アセトニトリルを用いて溶液から沈殿を行うことによって、1.7gの収量で明るい緑色PLがかった黄色の固体が得られた。テトラヒドロフラン/アセトニトリルからの最終的な再結晶によって材料G1が得られ、その同一性は1−H nmr分光法によってfac異性体として確認された。
【0179】
実施例2
本実施例は、化合物G7の調製を説明する。
【化9】
【0180】
A)3,6−ジ−t−ブチルカルバゾール
カルバゾール(61.4g、0.368mol)、無水塩化亜鉛(Strem、100.0g、0.734mol)、および活性化4Aシーブ上で一晩乾燥させたニトロメタン1210mlを、機械的撹拌器、滴下ロートおよび窒素インレットを備え、オーブン乾燥された2リットルポットに入れた。塩化t−ブチル(81.1ml、0.734mol)を室温で滴下し、そして反応物を一晩撹拌した。反応はLCMSによって追跡した。完了後、200mlのメタノールを添加し、そして混合物を1時間撹拌した。ロータリーエバポレーションによって溶媒を除去し、そして混合物を塩化メチレン中に溶解し、水で洗浄した。塩化メチレンを約100gまで抑制し、そして約300mlのメタノールを添加し、得られた混合物を一晩撹拌して、次いで、沈殿した固体を濾過し、乾燥して、生成物の第1の収量が得られた。母液を濃縮し、ヘキサンと組み合わせることによって、生成物の第2の収量が得られた。オフホワイト色の固体64.5gが得られた。
【0181】
B)G7のための配位子
Pd2/DBA3(1.4625g、1.6mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン(0.5334g、2.6mmol)、136.5mlのトルエン、4−クロロ−2−(4−t−ブチルフェニル)ピリジン(7.60g、0.0309mol)(上記実施例1工程Bから)、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾール(9.75g、0.0349mol)をドライボックス中で組み合わせ、続いて、ナトリウム−t−ブトキシド(5.46g、0.0568mol)を加えた。混合物を一晩還流した。反応混合物を活性シリカ上にあらかじめ吸収させ、そして塩化メチレン/ヘキサンの溶離剤を用いてフラッシュクロマトグラフィによって精製した。生成物カットを濃縮し、11.18グラムの所望の配位子材料を得た。
【0182】
C)化合物G7
上記からの5.0gの配位子および1.8gの三塩化イリジウムを20mLの2−エトキシエタノールおよび2mLの水に添加した。この混合物を窒素下で一晩還流した。この溶液は、還流させると多量の固体の存在のため、透明な濃いオレンジ色がかった黄色に変化する。冷却し、そして5.0gのトリフルオロ酢酸銀とともに、さらに4.0gの配位子G7を添加し、5時間還流して、次いで約110℃で一晩保持した。得られた溶液をエバポレーションして、乾燥させ、次いで、塩化メチレン中に抽出し、そして溶離剤として50/50塩化メチレン/トルエンを使用して、シリカゲルクロマトグラフィによって精製し、銀塩から生成物を分離し、次いで、暗オレンジ色溶液を低体積になるまでエバポレーションした。この溶液をトルエン中に溶解し、トルエン溶離剤を使用して再クロマトグラフし、明るい黄色の溶液を溶離し、これを低体積になるまでエバポレーションして、次いで、アセトニトリルを添加するとオレンジがかった黄色固体として沈殿した。約3.6gの明るい黄色の固体化合物G7を回収し、これは1−H nmr分光法によってfac異性体として確認された。
【0183】
実施例3
本実施例は、化合物G8の調製を説明する。
【化10】
【0184】
A)2−フェニル−4−クロロ−ピリジン
2,4−ジクロロピリジン(42.6g、0.2879mol)、フェニルボロン酸(36.0g、0.2953mol)、396mlの水、840mlのモノグリムおよび炭酸カリウム(102g、0.738mol)を45分間、窒素でスパージした。テトラキストリフェニルホスフィンPd(0)(6.6g、5.7mmol)を迅速に添加し、そして混合物を一晩還流した。冷却後、混合物を濃縮して、塩化メチレン中に溶解し、水抽出物で数回洗浄した。溶離剤として塩化メチレン/ヘキサンを使用して、シリカフラッシュクロマトグラフィによって塩化メチレン溶液を精製した。生成物カットを濃縮して、47.4グラムの黄色油状物を得た。
【0185】
B)G8のための配位子
この材料は、上記実施例2から、2−(4−t−ブチルフェニル)−4−クロロピリジンの代わりに2−フェニル−4−クロロ−ピリジンを使用したことを除き、配位子G7に関して上記された通りに調製した。
【0186】
C)化合物G8
この材料は、配位子G8を配位子G7と置換したことを除き、上記実施例2の化合物G7に関して上記された通りに調製した。1−H nmrによって、facトリス−シクロメタル化構造として予想される構造を確認した。
【0187】
実施例4
本実施例は、化合物G9の調製を説明する。
【化11】
【0188】
A)G9のための配位子
この材料は、上記実施例1から、2−(4−t−ブチルフェニル)−4−クロロピリジンの代わりに2−フェニル−4−クロロ−ピリジンを使用したことを除き、配位子G1に関して上記された通りに調製した。
【0189】
B)化合物G9
この材料は、配位子G9を配位子G7と置換したことを除き、上記実施例2の化合物G7に関して上記された通りに調製した。1−H nmrによって、facトリス−シクロメタル化構造として予想される構造を確認した。
【0190】
デバイス実施例
これらの実施例は、OLEDデバイスの製造および性能を実証する。
【0191】
(1)材料
HIJ−1は、ポリマーフッ素化スルホン酸でドープされた導電性ポリマーである。このような材料は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、同第2004/0127637号明細書、同第2005/0205860号明細書および国際公開第2009/018009号パンフレットに記載されている。
【0192】
HT−1はアリールアミン含有ポリマーである。このような材料は、例えば、国際公開第2009/067419号パンフレットに記載されている。
【0193】
ホスト−1はインドロカルバゾールである。このような材料は、例えば、国際公開第2010/099534号パンフレットに記載されている。
【0194】
ホスト−2は、ホスト−1の重水素化アナログである。
【0195】
ホスト−3は、重水素化インドロカルバゾールである。このような材料は、例えば、国際公開第2011/059463号パンフレットに記載されている。
【0196】
ホスト−4は、インドロカルバゾールである。このような材料は、例えば、同時係属出願[UC1006]に記載されている。
【0197】
ET−1は、金属キノレート錯体である。
【0198】
ドーパント−1は下記の式を有し、米国特許出願公開第2006/0008673号明細書に記載の通りに製造することができる。
【化12】
【0199】
ドーパント−2は下記の式を有し、同様の方法で製造することができる。
【化13】
【0200】
デバイスは、ガラス基板上で以下の構造を有した。
アノード=インジウムスズ酸化物(ITO)、50nm
正孔注入層=HIJ−1(50nm)
正孔輸送層=HT−1(20nm)
光活性層=84:16(重量比)ホスト:ドーパント、以下に記載、(60nm)
電子輸送層=ET−1(10nm)
電子注入層/カソード=CsF/Al(0.7/100nm)
【0201】
(2)デバイス製造
溶液処理および熱蒸発技術の組み合わせによってOLEDデバイスを製造した。Thin Film Devices,Incからのパターン化されたインジウムスズ酸化物(ITO)コーティングガラス基板を使用した。これらのITO基板は、30オーム/スクエアのシート抵抗および80%の光透過率を有するITOでコーティングされたCorning 1737ガラスをベースとした。パターン化されたITO基板を洗浄水溶液中で超音波によって洗浄し、蒸留水ですすいだ。その後、パターン化されたITOをアセトン中で超音波によって洗浄し、イソプロパノールですすぎ、そして窒素流中で乾燥させた。
【0202】
デバイス製造直前に、洗浄してパターン化されたITO基板を10分間UVオゾンで処理した。冷却直後に、HIJ−1の水分散系をITO表面上にスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。冷却後、次いで基板をHT−1の溶液でスピンコーティングし、次いで加熱して溶媒を除去した。冷却後、基板を安息香酸メチル中の光活性層材料の溶液でスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。基板をマスクし、真空チャンバー中に置いた。電子輸送層を熱蒸発によって堆積し、続いて、CsFの層を堆積した。次いで、真空でマスクを変化させ、そしてAlの層を熱蒸発によって堆積した。チャンバーを排気し、そしてデバイスを、ガラスの蓋、防湿剤およびUV硬化性エポキシを使用して封入した。
【0203】
(3)デバイス特徴決定
OLED試料は、それらの(1)電流−電圧(I−V)曲線、(2)、電圧に対するエレクトロルミネセンス放射輝度、および(3)電圧に対するエレクトロルミネセンススペクトルを測定することによって特徴決定した。3つの測定は全て同時に実行されて、コンピュータで制御された。特定の電圧でのデバイスの電流効率は、LEDのエレクトロルミネセンス放射輝度をデバイスを作動するために必要とされる電流密度で割ることによって決定する。単位はcd/Aである。色座標は、Minolta CS−100メーターまたはPhotoresearch PR−705メーターを使用して決定した。
【0204】
実施例5および比較例A
本実施例は、デバイスにおける発光物質としての式Iを有する化合物の使用を説明する。
【0205】
実施例5において、光活性層は、ホスト−2中の発光ドーパントとして化合物G1を含有した。
【0206】
比較例Aにおいて、光活性層は、ホスト−2中の発光ドーパントとしてドーパント−1を含有した。
【0207】
結果を以下の表1に示す。
【0208】
【表1】
【0209】
表1から、式1を有する化合物がデバイス中で使用される場合、効率および寿命の両方が増加することがわかる。
【0210】
比較例BおよびC
比較例Bにおいて、光活性層は、ホスト−1中の発光ドーパントとしてドーパント−1を含有した。
【0211】
比較例Cにおいて、光活性層は、ホスト−1中の発光ドーパントとしてドーパント−2を含有した。
【0212】
【表2】
【0213】
表2から、ドーパント−2は、長い寿命を有するが、黄緑色を有することがわかる。ドーパント−2は緑色ドーパントとして有用ではない。
【0214】
実施例6および7ならびに比較例D
光活性層以外、デバイスを上記の通りに製造した。
【0215】
実施例6において、光活性層は、16:84の重量比で化合物G1をホスト−3中に含有した。
【0216】
実施例7において、光活性層は、16:84の重量比で化合物G4をホスト−3中に含有した。
【0217】
比較例Dにおいて、光活性層は、16:84の重量比でドーパント−1をホスト−3中に含有した。
【0218】
結果を以下の表3に示す。
【0219】
【表3】
【0220】
表3から、式Iを有する化合物を使用するデバイスにおいて、効率が非常に増加することがわかる。化合物G4によって、寿命はほぼ同じであるが、化合物G1によって、寿命は著しく増加する。
【0221】
実施例8および比較例E
光活性層以外、デバイスを上記の通りに製造した。
【0222】
実施例8において、光活性層は、16:49:35の重量比で化合物G1をホスト−3とホスト−4との組み合わせ中に含有した。
【0223】
比較例Eにおいて、光活性層は、16:49:35の重量比でドーパント−1をホスト−3とホスト−4との組み合わせ中に含有した。
【0224】
結果を以下の表4に示す。
【0225】
【表4】
【0226】
表4から、式Iを有する化合物を使用するデバイスにおいて、効率が非常に増加することがわかる。
【0227】
一般的説明または実施例において前述した全ての行為が必要であるとは限らず、特定の行為の一部は不要である場合があり、記載の行為に加えて1つ以上のさらなる行為を行うことができることを留意されたい。さらに、行為が記載される順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0228】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることを認識する。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正形態は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0229】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、いずれの特徴も、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0230】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供することも、任意の副次的な組み合わせで提供することもできる。さらに、ある範囲内にあると記載される値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含んでいる。
なお、本発明は、特許請求の範囲を含め、以下の発明を包含する。
1.式I
【化14】
(式中、
R
1は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
2は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
3は、H、D、アルキル、シリル、重水素化アルキルおよび重水素化シリルからなる群から選択され、かつ
R
4は、各々同一であるか、または異なって、H、D、アリール、アルキル、シリル、重水素化アリール、重水素化アルキルおよび重水素化シリルである)を有する化合物。
2.R
1が、2−プロピル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される、1に記載の化合物。
3.R
1が、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、それらの置換誘導体およびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される、1に記載の化合物。
4.R
2が、2−プロピル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される、1に記載の化合物。
5.R
2が、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、それらの置換誘導体およびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される、1に記載の化合物。
6.R
3が、2−プロピル、2−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択される、1に記載の化合物。
7.化合物G1〜G14から選択される化合物。
8.第1の電気コンタクトと、第2の電気コンタクトと、それらの間の式I
【化15】
(式中、
R
1は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
2は、アリール、アルキル、シリルおよびそれらの重水素化アナログからなる群から選択され、
R
3は、H、D、アルキル、シリル、重水素化アルキルおよび重水素化シリルからなる群から選択され、かつ
R
4は、各々同一であるか、または異なって、H、D、アリール、アルキル、シリル、重水素化アリール、重水素化アルキルおよび重水素化シリルである)を有する材料を含んでなる光活性層とを含んでなる有機電子デバイス。
9.前記光活性層が前記式Iの化合物を含んでなり、かつホスト材料をさらに含んでなる、8に記載のデバイス。
10.前記光活性層が、前記式Iの化合物と、ホスト材料とから本質的になる、9に記載のデバイス。
11.前記光活性層が、発光化合物と、ホスト材料と、正孔捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる、8に記載のデバイス。
12.前記光活性層が、発光化合物と、ホスト材料と、電子捕獲材料として式Iを有する化合物とを含んでなる、8に記載のデバイス。