特許第6114384号(P6114384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベーの特許一覧

<>
  • 特許6114384-遠心分離器 図000002
  • 特許6114384-遠心分離器 図000003
  • 特許6114384-遠心分離器 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114384
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】遠心分離器
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/06 20060101AFI20170403BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20170403BHJP
   B04B 9/06 20060101ALI20170403BHJP
   B04B 9/02 20060101ALI20170403BHJP
   B04B 9/10 20060101ALI20170403BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B04B1/06
   B04B11/02
   B04B9/06 Z
   B04B9/02
   B04B9/10
   F01M13/04 A
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-511994(P2015-511994)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-519195(P2015-519195A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013059525
(87)【国際公開番号】WO2013171101
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】12168532.5
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マッツ−ウルヤン・ポゲン
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/022239(WO,A1)
【文献】 特表2008−540908(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/029022(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/087384(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00−15/12
F01M 13/00−13/06
B01D 45/00−45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルを含んだ、内燃エンジンからのクランクケースガスを浄化するための遠心分離器であって、該遠心分離器は、
分離空間(3)を形成し、且つ第1端部(2a)およびその反対側の第2端部(2b)を具備した静止筐体(2)であって、前記分離空間(3)に面した内側壁面(4)を備えた静止筐体(2)と、
前記分離空間(3)に延びて、前記浄化されるガスのための入口を形成した入口チャネル(5)と、
前記分離空間(3)内に設けられ、前記第1端部(2a)から前記第2端部(2b)まで延びた遠心ロータ(9)であって、スピンドル(11)および該スピンドル(11)によって担持された複数の分離ディスク(12a〜12c)を具備した遠心ロータ(9)と、
回転軸(x)の周りの回転方向において前記遠心ロータ(9)を回転させて、ガスの回転を生じさせるために設けられた駆動部材であって、これによってオイルが遠心力を利用してガスから分離される、駆動部材と、
前記分離空間(3)から浄化されたガスを排出するためのガス出口チャネル(6)と、
前記分離空間(3)からオイルを排出するためのオイル出口(7)と、
オイル供給デバイスと、を具備した遠心分離器において、
前記オイル供給デバイスは、前記遠心分離器の動作の間にオイル膜の流れが前記内側壁面(4)に生じるような量のオイルを前記分離空間(3)に供給するように構成されており、
前記オイル供給デバイスは、開口径(d)を有する入口ノズル(18)を具備しており、
前記入口ノズル(18)は前記静止筐体(2)内に設けられ、オイルを前記入口ノズル(18)に供給するための外部パイプ(25)に接続されていることを特徴とする遠心分離器。
【請求項2】
前記オイル供給デバイスは、オイルを回転した前記ガスに供給して前記オイルを回転させ、回転したオイルを前記内側壁面(4)にもたらすように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離器。
【請求項3】
前記ガス出口チャネル(6)は前記第1端部(2a)に設けられ、前記入口ノズル(18)は反対側の第2端部(2b)に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心分離器。
【請求項4】
前記遠心分離器は、オイルを含み且つ前記スピンドル(11)の第1端部(11a)を受容した収集空間(15)を具備し、前記収集空間(15)は、前記第1端部(2a)に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【請求項5】
前記開口径(d)は3〜5mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【請求項6】
前記開口径(d)は3.5〜4.5mmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の遠心分離器。
【請求項7】
前記駆動部材は、前記収集空間(15)内の前記スピンドル(11)に設けられたタービンホイール(22)、および前記収集空間(15)内に設けられてオイル噴流を前記タービンホイール(22)に対して噴出し、これによって前記遠心ロータ(9)を回転させるタービンノズル(23)を具備していることを特徴とする請求項に記載の遠心分離器。
【請求項8】
前記駆動部材は、前記スピンドル(11)に接続された電気モータ(26)を具備していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【請求項9】
前記駆動部材は、6000〜12000rpmの回転速度で前記遠心ロータを回転させるように形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【請求項10】
前記遠心分離器は、前記第2端部(2b)が上向きに反転されて形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【請求項11】
前記外部パイプ(25)は、前記内燃エンジンから加圧された潤滑オイルを供給するために、前記内燃エンジンに接続可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の遠心分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルを含んだガスを浄化するための、特にディーゼルエンジンのような内燃エンジンからのクランクケースガスを浄化するための遠心分離器に言及している。より詳細には、本発明は請求項1の前段部による遠心分離器に言及しており、特許文献1を参照されたい。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンからのクランクケースガスは、煤煙および炭化水素のような他の不純物と混合されたオイルミスト、またはオイル液滴の形式でオイルを含んでいる。クランクケース内のそのような不純物は、粘性物質を形成し得る。さらに、多様な添加剤を内燃エンジンのオイルに添加することは一般的であり、これは内燃エンジンの潤滑性能および冷却性能を改善するためである。しかしながら、そのような添加剤は、煤煙および炭化水素のような不純物がより粘性の高い物質を形成する事実により、悪影響を有し得る。
【0003】
特許文献1に開示された遠心分離器の目的は、遠心ロータの中空スピンドルを支持した上側ベアリングの潤滑を改善することである。オイルは中空スピンドルおよび上側開口部を通じて、小チャンバへと搬送され、そこからオイルは上側ベアリングを通じてクランクケースガスと混合される入口へと搬送される。比較的少量のオイルが、上側ベアリングの潤滑のために必要とされる。特許文献1に開示された遠心分離器の中空スピンドルの開口部は、上側ベアリングの潤滑のためのみに十分な、そのような比較的少量のオイルのみを供給するように形成されている。したがって、この先行技術は最小量だけ供給されたオイルの量を維持することを目的としている。
【0004】
特許文系1に開示された遠心分離器およびクランクケースガスの浄化のための他の先行技術の遠心分離器の1つの問題は、クランクケースガス内に含まれたオイルおよび不純物が前述の通り非常に高い粘性を示し、煤煙および不純物の粘着物の塊が遠心分離器の内部部品、特に静止筐体内壁面に貼りつくことである。特許文献2は、液体および個体不純物を含んだガスを浄化するための別の遠心分離器を開示している。この先行技術文献の遠心分離器は、ノズルを通じて遠心分離器の入口チャネル内にエアロゾルを供給するための供給デバイスを具備している。エアロゾルは水によって形成されてもよく、不純物が分離ディスクに貼り付くことを防止する目的を有する。
【0005】
特許文献3は、ガスを浄化するための別の遠心分離器を開示している。この遠心分離器は、遠心分離ディスクを洗い流すための洗浄液を供給するために配置された洗浄ノズルを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/022239号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/029022号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/087384号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述の問題を改善もしくは緩和し、遠心分離器の分離空間、特に遠心分離器の筐体の内側壁面上の粘着物の塊を除去もしくは減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、オイル供給デバイスが多量のオイルを分離空間に供給して、遠心分離器の動作の間にオイル膜の流れが内側壁面に生じるように構成されていることを特徴として初期的に形成された遠心分離器によって達成されている。
【0009】
本発明の発明者は、増量されたオイルが分離空間内に導入され、これによって浄化されるガスに混合された場合、オイル膜が遠心分離器の内部部品、特に静止筐体の内側壁面上に形成され得ることを実現した。オイルは、遠心分離器の作動中に、有利に連続的に分離空間に供給されてもよい。見識に加えて、所望の効果を達成するために、すなわちオイル膜を形成するために、供給されるオイルの量には下限が存在し、発明者は上限が存在することも見出した。分離空間内に供給されるオイルが過多である場合、オイルは浄化されたガスを汚染し得る。したがって、発明者は、達成されるべきバランスが存在すること、すなわちオイルの量がこれらの限界の範囲内とされるべきであることを見出した。
【0010】
そのようなオイル膜は内側壁面上を流れ、これによって煤煙および他の不純物が目詰まりさせること且つ内側壁面に堆積することを防止しており、したがって塊が遠心分離器の内部部品に形成されることを防止している。したがって、より信頼性があり且つ効果的なガスの分離が、前述のバランスが維持される限り保障される。したがって、オイルの過多の供給は浄化された空気を汚染し、信頼性の低い且つ非効率な分離に帰結する。
【0011】
本発明の実施形態によれば、オイル供給デバイスは、オイルを回転したガス空間に供給してオイルを回転させ、回転したオイルを内側壁面にもたらすように設けられている。したがって、回転したガス空間は内側壁面上のオイル膜の形成および流れに寄与している。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によれば、オイル供給デバイスは、開口径を有する入口ノズルを具備している。そのような入口ノズルは、供給されるオイルのための絞り部材を形成していてもよい。
【0013】
入口は開口径に関して、供給されるオイルの適切な量、特にクランクケースと遠心分離器との間の圧力差に関して、および遠心分離器の回転速度に関して許容するように寸法決定され得る。当業者は、十分なオイル膜が生じるが、浄化されたガスが過多に供給されるオイルによって汚染されないような量となるように、開口部を寸法決定すべきである。この寸法決定はいわゆるトライアンドエラー工程である、標準的な試験工程を通じて達成され得るものである。内側壁面上にオイル膜を発生させるためのオイルの適切な流量に影響するであろう重要な要因は、遠心分離器の実際のサイズである。したがって、より大きい分離器はより多くのオイルを必要とし、そのことは開口部のサイズに影響する。別の要因はオイル出口の構造であり、すななわち、出口は分離空間から十分な速度においてオイルを排出し得る。分離されて排出されるオイルの量は、浄化される汚染されたガスの流量にも依存している。さらに、遠心分離器の回転速度は排出速度にも影響し、より多量のガスは、増量されたガスの十分な分離を実行するために、全体的により高速の回転速度を必要とする。より高速の回転速度は、クランクケース内の圧力よりもロータを取り囲んだ分離空間内の方が大抵の場合より高い圧力となり、ロータを取り囲んだ分離空間内のより高い圧力は、分離空間からのオイルの排出を容易にしている。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、ガス出口チャネルは第1端部に設けられ、入口ノズルは反対側の第2端部に設けられている。そのような配列を伴って、分離空間内に供給されたオイルが分離空間を出て行く浄化されたガスと混合されないことを確実にしている。さらなる効果は、遠心分離器の周りのガスの回転は、オイル膜が内側壁面に沿ってガス出口に向かった螺旋経路に沿って螺旋となることに寄与している。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、遠心分離器は、液体の状態およびオイルミストの状態においてオイルを含み且つスピンドルの第1端部を収容した収集空間を具備している。収集空間は第1端部の近傍、好適にガス出口チャネルの下に設けられていてもよい。さらに、収集空間は、遠心分離器が作動している間に分離空間から排出されるオイルを収集するように配置されていてもよい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、遠心分離器はスピンドルの内部にスピンドルに沿って延びた内側チャネルを具備し、内側チャネルは内側チャネルを通じておよびスピンドルの第2端部に設けられた入口ノズルを通じて収集空間からオイルを搬送するように形成されている。そのような解決策によって、収集空間内のオイルは、内側壁面上にオイル膜を供給するために利用され且つ再循環される。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、開口径は3〜5mmの範囲である。そのようなサイズの開口径は、オイルがスピンドルの内側チャネルを通じて搬送され且つオイルミストとしてスピンドルの第2端部において入口ノズルを通じて分離空間に供給された場合に、少なくとも筐体内にオイル膜を形成するために十分な量のオイルを保障することを示した。好適に、開口径は3.5〜4.5mmの範囲、特に約4mmであってもよい。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、オイル供給デバイスは開口径を有する入口ノズルを具備し、内側チャネルは開口径よりも大きい直径を有する。有利には、内側チャネルの直径は5〜7mmの範囲である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、入口ノズルは、第2端部においてスピンドルに取り付けられた上側ベアリングのようなベアリングの内側に設けられ、オイルは入口ノズルからベアリングを通じて分離空間に搬送される。そのようにして、分離空間に供給されたオイルは、ベアリングの潤滑のために使用されてもよい。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によれば、駆動部材は、収集空間内のスピンドルに設けられたタービンホイール、および収集空間内に設けられてオイル噴流をタービンホイールに対して噴出し、これによって遠心ロータを回転させるタービンノズルを具備している。
【0021】
本発明のさらなる実施形態によれば、入口ノズルは静止筐体内に設けられ、オイルを入口ノズルに供給するための外部パイプに接続されている。したがって、入口ノズルは例えば第2端部において、静止筐体を通じて延びていてもよい。本発明の実施形態によれば、オイルは3〜6barの圧力で供給されてもよい。そのとき、開口径は0.3〜1.5mmであってもよい。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によれば、駆動部材は、スピンドルに接続された電気モータを具備している。そのような別個の駆動部材は、ある特定の状況では有利となり得る。駆動部材は、空気圧モータまたは油圧モータの形式の別個のモータを具備していてもよい。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、駆動部材は、6000〜12000rpm、好適に6000〜10000rpmの回転速度で遠心ロータを回転させるように形成されている。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によれば、遠心分離器は、第2端部が上向きに反転されて形成されている。そのとき、第1端部は下向きに向けられており、このことは、収集空間が遠心分離器の下端に設けられていることを意味している。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、オイル供給デバイスは、内燃エンジンから加圧された潤滑オイルを供給するために、内燃エンジンに接続可能に形成されている。この実施形態によって、オイルの再循環のために必要な追加の設備を必要としない。その代わりに、内燃エンジンからの加圧された潤滑オイルは、オイルを分離空間に供給するためにおよびオイル膜の生成のために使用される。スピンドルが、タービンホイールを具備した駆動部材を利用して回転された場合、加圧された潤滑オイルは遠心ロータの駆動のためにも使用されてもよい。
【0026】
本発明は、ここに添付された図を参照するとともに、多様な実施形態の記載を通じてより念入りに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態による遠心分離器の断面を示した図である。
図2】本発明の第2実施形態による遠心分離器の一部の断面を示した図である。
図3】本発明の第3実施形態による遠心分離器の断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、内燃エンジン(図示略)からのクランクケースガスのような、オイルを含んだガスを浄化するための遠心分離器の第1実施形態を開示している。図1は、内燃エンジンのクランクケース内において安全な範囲の圧力を維持するように設計された、圧力制御バルブ1も開示している。
【0029】
遠心分離器は静止筐体2を具備し、静止筐体2は静止筐体2の内部に分離空間3を形成している。静止筐体2は内燃エンジン1に関して静止している。静止筐体2は第1端部2a、その反対側の第2端部2b、および第1端部2aと第2端部2bとの間に隣接して設けられた中間部2cを具備している。開示された実施形態においては、第1端部2aは、遠心分離器の作動の際に下部を形成し、一方で、第2端部2bは上部を形成している。
【0030】
静止筐体2は分離空間3に面した内側壁面4を備えている。内側壁面4の主部は、この場合特に考慮すると、第1端部2aと第2端部2bとの間の分離空間3の周囲に延びた中間部2cである。
【0031】
遠心分離器は入口チャネル5、ガス出口チャネル6、およびオイル出口7も具備している。入口チャネル5は分離空間3に延びて、浄化されるクランクケースガスのための入り口を形成している。開示された実施形態においては、入口チャネル5は第2端部2bに設けられ、且つ第2端部2bを通じて延びている。ガス出口チャネル6は、分離空間3からの浄化されたガスを排出するために設けられている。開示された実施形態においては、ガス出口チャネル6は第1端部2aに設けられ、且つ圧力制御バルブを介して第1端部2aを通じて延びている。オイル出口7は、分離空間3からの分離されたオイルの排出のために設けられている。開示された実施形態においては、オイル出口7は第1端部2aに設けられ、且つ第1端部2aを通じて延びている。
【0032】
さらに、遠心分離器は遠心ロータ9、およびガス空間の回転を生じるために回転軸xの周りに回転方向において遠心ロータ9を回転させるために設けられた駆動部材を具備している。したがって、オイルは遠心力を利用してクランクケースガスから分離される。遠心ロータ9は分離空間3内に設けられ、第1端部2aから第2端部2bへと延びている。遠心ロータはスピンドル11、およびスピンドル11に設けられて担持された複数の分離ディスク12a〜12cを具備している。
【0033】
複数の分離ディスク12a〜12cは、第1端部2aの近傍且つスピンドル11の第1端部11a近傍の第1分離ディスク12a、第2端部2bの近傍且つスピンドル11の第2端部11b近傍の第2分離ディスク12b、および第1分離ディスク12aと第2分離ディスク12bとの間に設けられた複数の中間分離ディスク12cを具備しているか、またはそれらのディスクから成る。
【0034】
スピンドル11は、第2端部11bにおいてベアリング13によって、および第1端部11aにおいて追加のベアリング14によって支持されている。
【0035】
分離ディスク12a〜12cは、スピンドル11から外側に延びている。開示された実施形態においては、各分離ディスク12a〜12cは、円錐台形状である。分離ディスク12a〜12cは反転され、分離ディスク12a〜12cの円錐台形状は、第1端部2aに向かって指し示している。
【0036】
第1実施形態による遠心分離器は、オイルを収集し且つスピンドル11の第1端部11aを受容した収集空間15を具備している。収集空間15は、スピンドルの第2端部11bにおいて、ガス出口チャネル6の下に設けられている。隔離壁16は、分離空間3から収集空間15を区切っている。追加のベアリング14は収集空間15と接続して設けられ、したがって、分離空間から収集空間内に排出されるオイルによって潤滑されている。
【0037】
内側チャネル17は、第1端部11aの開口部から第2端部11bへと、スピンドル11の第2端部11b且つ第2端部2bに設けられた入口ノズル18を通じて、スピンドル11の内部においてスピンドル11に沿って延びている。
【0038】
遠心分離器はオイル供給デバイスも具備しており、流れるオイル膜が遠心分離器の作動の際に内側壁面4に生じるように、分離空間3に多量のオイルを供給するように形成されている。第1実施形態においては、オイル供給デバイスは内側チャネル17および入口ノズル18を具備し、それらはオイルが収集空間15から内側チャネル17および入口ノズル18を通じて移動することを可能にしている。
【0039】
入口ノズル18は開口径dを有し、それは3〜5mmの範囲、好適に3.5〜4.5mmの範囲、例えば4mmである。内側チャネル17は、開口径dよりも大きい直径Dを有する。したがって、入口ノズル18は入口チャネル17を通じて流れるオイルのための絞り部材として作動する。内側チャネル17の直径Dは、5〜7mmの範囲であってよい。
【0040】
図1および図2に見られているように、入口ノズル18は、第2端部11bの端面から少し離れた、スピンドル11の第2端部11bに設けられている。
【0041】
さらに、図1および図2に見られているように、入口ノズル18は、第2端部11bにおいてスピンドル11に取り付けられたベアリング13の内側に設けられている。カバー部材19は、内側チャネル17および入口ノズル18の外側の空間を収容して、第2端部11bの外側に設けられている。
【0042】
開示された実施形態においては、カバー部材19は静止筐体2内のベアリング3を支持するためにも設けられている。
【0043】
第1実施形態においては、駆動部材はタービンホイール22、およびタービンノズル23を具備している。タービンホイール22は第1端部11aにおいてスピンドル11に取り付けられ、収集空間15内に設けられており、収集空間15内に収容されたオイルのレベル24よりも上である。タービンノズル23は収集空間15内に設けられ、タービンホイール22に対してオイル噴流を噴出しており、これによって遠心ロータ9を回転させている。
【0044】
第1実施形態の遠心分離器の作動中に、オイルはタービンホイール22に向かってタービンノズル23へと供給され、6000〜10000rpmのような、例えば6000〜12000rpmの回転速度で静止筐体内のスピンドル11および遠心ロータ9を回転させる。オイル噴流がタービンに衝突した場合、オイルミストが収集空間15内に生じる。オイルは収集空間15内のレベル24よりも上において収集される。収集空間15内のレベル24の上に含まれたオイルミストは、作動中に連続的にスピンドル11の内側チャネル17内に吸引され、入口ノズル18へと搬送されて通過する。入口ノズル18から、オイルはカバー部材19を利用してガイドされ、ベアリング13を通じて分離空間3に搬送される。次いで、オイルは第2分離ディスク12b、および1つ以上の隣接した中間ディスク12cに供給される。したがって、オイルは回転しているガス空間に導入され、遠心力を利用して外側に向かって内側壁面4にもたらされる。回転しているガス空間のおかげで、オイルの回転動作は内側壁面4上に継続し、オイル膜の流れが内側壁面4上に生じる。開示された実施形態においては、ガス出口チャネル6に向かったガス流れのために、および図1〜3に示されたように、垂直に向けられた回転軸xを備えるように遠心分離器が向けられた場合にオイルに作用する重力のために、オイル膜は下向きにも移動する。
【0045】
出願人は実験を行い、本発明の機能を確認した。これらの実験は、回転速度6000〜12000rpm、および開口径3〜5mmにおいて、分離空間4に供給された多量のオイルが内側壁面4にオイル膜の流れを生じ、同時にクランクケースガスの効果的な浄化、すなわち浄化されたガス内のオイルがまったくないか、またはわずかな量であることを保障していることを示している。実験は実験室内において遠心分離器で実行されたが、遠心分離器は標準的なトラックに使用される種類の内燃エンジンとともに使用するように適合された。標準的なトラック、または大型の道路車両は、5〜16リットルの範囲のサイズのディーゼルエンジンを一般的に備えている。
【0046】
第1実施形態においては、入口ノズル18は、スピンドル11の第2端部11bにおいて内側チャネル17内に挿入されたノズル部材によって形成されている。そのようなノズル部材は交換可能とされてもよい。
【0047】
図2は第2実施形態を参照しており、第1実施形態とは、入口ノズル18がスピンドル11の統合された部分として形成されている点のみが異なっている。そのような入口ノズル18は、スピンドル11の機械加工を通じて形成されてもよい。
【0048】
図3は第3実施形態を示しており、第1および第22実施形態とは、入口ノズル18が静止筐体2に設けられ、例えばポンプ26を利用して入口ノズル18にオイルを供給するための外部パイプ25に接続されている点が異なっている。ポンプ26は入口ノズル18にオイルを圧送するために配置され、且つ専用に適合されてもよく、または、内燃エンジンの潤滑オイルポンプとされてもよい。入口ノズル18は、第3実施形態においても第2端部2bに設けられ、オイル膜が内側壁面4の全体または主部に沿って流れ得る。
【0049】
第3実施形態においては、入口ノズル18の開口径は0.3〜1.5mm、好適に0.4〜1.0mm、例えば0.5mmである。そのとき、オイルは入口ノズル18に3〜6barの圧力で供給されてもよい。
【0050】
さらに、第3実施形態においては、駆動部材は例えば電気モータ27のような別個のモータによって置き換えられるか、そのようなモータを具備しており、そのモータはスピンドル11および遠心ロータ9を回転させるために、スピンドル11に接続されている。別個のモータは代替的に別個の空気圧モータまたは別個の油圧モータであってもよい。スピンドル11および遠心ロータ9は、内燃エンジンのクランクシャフトを利用して駆動されてもよい。
【0051】
本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲内において変化および改良され得る。
【符号の説明】
【0052】
1 ・・・圧力制御バルブ
2 ・・・静止筐体
3 ・・・分離空間
4 ・・・内側壁面
5 ・・・入口チャネル
6 ・・・ガス出口チャネル
7 ・・・オイル出口
9 ・・・遠心ロータ
11 ・・・スピンドル
12a〜12c ・・・分離ディスク
13 ・・・ベアリング
14 ・・・追加のベアリング
15 ・・・収集空間
16 ・・・隔離壁
17 ・・・内側チャネル
18 ・・・入口ノズル
19 ・・・カバー部材
22 ・・・タービンホイール
23 ・・・タービンノズル
24 ・・・レベル
25 ・・・外部パイプ
26 ・・・ポンプ
図1
図2
図3