(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、流路を閉鎖する時には弁体のシールを弁座に押圧しているため、弁体の開放時には、押圧されて変形した状態のシールが元の状態に戻ろうとする。このため、押圧された状態のシールが元の状態に戻るまでは、流路面積に微妙な変化を生じる。よって、シールが元の状態に戻るまでは弁体の開閉時に流量特性が異なり、安定した微小流量の制御が難しい。
【0007】
また、特許文献2に記載の定流量制御装置では、硬質の弁体と弁座との隙間で開放時から微小流量の制御はできる。しかし、弁体を閉鎖した状態でも、硬質の弁体と弁座との間に微小な隙間を生じるおそれがある。このため、閉鎖時に安定したシール性を保つことが難しい場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、閉鎖時には安定したシール性を保ち、制御流路の開放時から微小流量の流量制御を安定して行うことができる減圧弁と、その減圧弁を備えた等圧弁と、その等圧弁を備えた気体混合器とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る減圧弁は、一次圧力の気体を所定の二次圧力に減圧する減圧弁であって、前記一次圧力の気体が流入する一次流路と、前記二次圧力の気体が流出する二次流路と、前記一次流路と前記二次流路との間の制御流路を開閉する弁部と、前記弁部を開放する圧力を設定する圧力設定部と、を備え、前記弁部は、前記圧力設定部の設定圧力で前記制御流路を開閉し、前記一次流路の気体を減圧して前記二次流路から流出させる硬質の弁体と、前記弁体の閉鎖後に、前記一次流路と前記二次流路との間をシールする軟質のシール体と、を有している。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「硬質」は、弁座に接触しても変形することのない性質をいい、「軟質」は座面に接触することで変形して密閉できる性質をいう。
【0010】
この構成により、硬質の弁体を軸方向に作動させて制御流路を開閉することで、第一流路から第二流路へ流れる気体を微小流量で制御できる。しかも、硬質の弁体による制御流路の開閉により、制御流路の開放時から一定の流量特性を保って気体の微小流量制御を安定して行うことができる。そして、弁体による制御流路の閉鎖後は、軟質のシール体によって一次流路と二次流路との間がシールされるので、制御流路を密閉した状態を安定して保つことができる。
【0011】
また、前記弁体と前記シール体とは、同軸上に配置され、前記シール体を前記圧力設定部の前記設定圧力で軸方向に作動させて前記制御流路を開放する作動軸を備え、前記作動軸は、前記弁体を同軸方向に作動させて前記制御流路を開閉するように構成されていてもよい。このように構成すれば、作動軸により、圧力設定部の設定圧で軟質のシール体を開放した後、硬質の弁体を軸方向に作動させて制御流路を開放させる。よって、軟質のシール体によるシールを開放した後、硬質の弁体による制御流路の開放量による微小流量の調整で一次圧力を二次圧力に減圧できる。
【0012】
また、前記作動軸は、前記シール体が前記制御流路を開放した後、前記弁体に係合して該弁体を軸方向に作動させる係合部を有していてもよい。このように構成すれば、シール体を軸方向に作動させる作動軸により、シール体を開放した後、係合部が弁体を軸方向に作動させる。よって、シール体を開放した後に弁体を開放することを機械的に連続して行うことができる。
【0013】
また、前記圧力設定部は、前記作動軸を作動させるダイヤフラム部を有し、前記ダイヤフラム部は、前記設定圧力を気体圧力で設定するように構成されていてもよい。このように構成すれば、圧力設定部のダイヤフラム部に作用させる設定圧力を気体圧力で設定するので、作動軸の作動量が変化しても一定の設定圧力で作動軸を作動させることができる。
【0014】
一方、本発明に係る等圧弁は、前記減圧弁を少なくとも第1減圧弁と第2減圧弁として備え、第1気体を前記第1減圧弁で減圧し、第2気体を前記第2減圧弁で減圧して、前記第1気体と第2気体とを均等圧力にする等圧弁であって、前記第1減圧弁と前記第2減圧弁とは前記ダイヤフラム部を挟んで対向配置され、前記ダイヤフラム部には、前記第1減圧弁及び前記第2減圧弁の前記制御流路を開放する前記設定圧力が導入され、前記第1減圧弁及び前記第2減圧弁のそれぞれは、前記ダイヤフラム部の前記設定圧力で前記シール体を開放した後、前記弁体を開放するように構成されている。
【0015】
この構成により、第1減圧弁及び第2減圧弁は共に、ダイヤフラム部に導入される設定圧により、シール体が開放された後、弁体が開放される。これにより、第1気体は第1減圧弁によって一次圧力がダイヤフラム部の設定圧で所定の二次圧力に減圧され、第2気体も第2減圧弁によって一次圧力がダイヤフラム部の設定圧で所定の二次圧力に減圧される。しかも、第1減圧弁及び第2減圧弁は共に、シール体を開放した後、弁体を開放するので、第1気体と第2気体とを微小流量で適切に流量制御することができる。
【0016】
一方、本発明に係る気体混合器は、前記等圧弁を備えた気体混合器であって、前記等圧弁で均等圧力に減圧した少なくとも前記第1気体と前記第2気体との混合比率を設定する比率設定部と、前記比率設定部で設定した比率の前記第1気体と前記第2気体とを混合する合流部と、前記合流部で混合した混合気体の流量を制御する流量制御部と、を備えている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「気体混合器」は、「ガス混合器」を含む。
【0017】
この構成により、等圧弁によって等圧にされた少なくとも第1気体と第2気体とは、比率設定部で所定の比率に設定され、それぞれの気体を合流部で混合することができる。この混合した気体を、流量制御部で所定の流量に制御して下流側へと供給することができる。これにより、例えば、微小流量の第1気体と第2気体とを適正な比率で混合することが可能な気体混合器を構成できる。この気体混合器は、例えば、異なる種類のガスを微小流量で混合するガス混合器として利用できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、閉鎖時には密閉した状態を安定して保ち、制御流路の開放時から一定の流量特性を保って微小流量の気体の流量制御を安定して行うことが可能となる。また、その減圧弁を備えた等圧弁と、その等圧弁を備えた気体混合器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、減圧弁10,40,50と、減圧弁50を備えた等圧弁70と、等圧弁70を備えた気体混合器80とを説明する。以下の実施形態では、弁体24,55によって制御流路25,56を閉じる方向を「前方」、弁体24,55によって制御流路25,56を開く方向を「後方」とする。
【0021】
(第1実施形態に係る減圧弁)
図1は、本発明の第1実施形態に係る減圧弁10の断面図である。第1実施形態に係る減圧弁10は、パイロットコイルスプリング13によって弁体24を開閉させるパイロット圧力を決定している例である。減圧弁10は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを有している。第1ハウジング11には、弁ハウジング20が備えられている。弁ハウジング20は、第1弁ハウジング21と第2弁ハウジング22とから構成されている。第1弁ハウジング21に第2弁ハウジング22がねじ込まれている。第1弁ハウジング21と第1ハウジング11との間は、Oリング36でシールされている。第2弁ハウジング22と第1弁ハウジング21との間は、Oリング37でシールされている。第2ハウジング12には、弁ハウジング20に向けてパイロット圧力を作用させる上記パイロットコイルスプリング13が備えられている。第1ハウジング11と第2ハウジング12との間にはダイヤフラム部14が備えられている。パイロットコイルスプリング13の付勢力は、ダイヤフラム部14に設けられた作動部材17を介して弁ハウジング20に備えられた弁部23に作用させられている。パイロットコイルスプリング13の付勢力は、調整部18を回転させることで調整できる。
【0022】
また、第1ハウジング11には、一次圧力の気体A1が流入する一次流路15と、二次圧力の気体A2が流出する二次流路16とが設けられている。上記弁ハウジング20には、一次流路15と二次流路16との間に制御流路25が設けられている。制御流路25には、弁部23が備えられている。弁部23は、弁ハウジング20の内部に形成された円柱状の空間である移動部26において、軸方向に移動可能な円柱状に形成されている。
【0023】
弁部23には、軸方向に移動可能な作動軸27と、硬質の弁体24とが備えられている。弁体24は、作動軸27が中央部分に挿入される円筒状に形成されている。作動軸27は、先端部が上記作動部材17に当接している。これにより、作動軸27には、上記パイロットコイルスプリング13の付勢力により、ダイヤフラム部14を介して所定のパイロット圧力が作用している。作動軸27は、弁ハウジング20に設けられた軸受部材29(この実施形態では、すべり軸受)によって、軸方向に移動可能な状態で支持されている。作動軸27と第2弁ハウジング22との間は、Oリング38によってシールされている。作動軸27と弁体24との間は、Oリング39によってシールされている。作動軸27は、付勢部材である第1コイルスプリング30によって上記ダイヤフラム部14に向けて付勢されている。従って、作動軸27は、第1コイルスプリング30の付勢力と、ダイヤフラム部14を付勢するパイロットコイルスプリング13の付勢力とが対向して作用した状態となっている。この実施形態では、パイロットコイルスプリング13によってダイヤフラム部14を介してパイロット圧力を作用させる構成が圧力設定部である。
【0024】
そして、上記弁部23には、硬質の弁体24以外に、この弁体24の閉鎖後に、弁体24と同じ軸方向に移動して一次流路15と二次流路16との間をシールする軟質のシール体28が備えられている。シール体28は、上記作動軸27に固定されている。弁体24とシール体28とは、同軸方向に移動するようになっている。硬質の弁体24は、金属材で形成されている。軟質のシール体28は、ゴム材で形成されている。
【0025】
また、弁ハウジング20の軸方向の中間部分にはシール座31が設けられている。シール座31は、第1弁ハウジング21と第2弁ハウジング22との間に挟んだ状態で取り付けられている。シール座31には、上記作動軸27に設けられた上記シール体28が当接するようになっている。
【0026】
そして、作動軸27のシール体28よりも前方に、上記弁体24が備えられている。弁体24の先端部分は、テーパ面32に形成されている。このテーパ面32が弁ハウジング20の弁座33に当接することで制御流路25を閉鎖する。この弁体24は、弁ハウジング20に設けられた付勢部材である第2コイルスプリング34によって上記ダイヤフラム部14の方向に付勢されている。なお、弁体24の先端部は、テーパ面32の他、球面、平面とすることができる。弁体24の先端部は、弁座33に当接して制御流路25を閉鎖できる形状であればよい。
【0027】
また、上記弁体24は、上記作動軸27に設けられた係合部35によって軸方向に移動させられる。弁体24の前端部と係合部35との間には、軸方向に所定の第1間隙S1が設けられている。第1間隙S1は、図示するように弁体24及びシール体28のいずれもが閉鎖された状態で、軸方向の前方に設けられている。また、弁体24のテーパ面32の後方部分にも、作動軸27との間に軸方向に所定の第2間隙S2が設けられている。これらの間隙S1,S2により、弁体24は、作動軸27の軸方向移動とは切り離された状態で軸方向に移動するようになっている。つまり、弁体24は、作動軸27とは切り離された状態で、第2コイルスプリング34の付勢力で弁座33に向けて付勢されている。
【0028】
このような弁部23によれば、圧力設定部であるパイロットコイルスプリング13で設定したパイロット圧力に対して、上記二次流路16からの気体A2の圧力が高い場合は、図示するように弁部23は閉じられた状態となる。一方、上記二次流路16からの気体A2の圧力が低くなってパイロット圧力が高くなった場合、上記ダイヤフラム部14によって作動軸27が軸方向の後方に移動させられる。この時、作動軸27の係合部35が弁体24に当接するまでは、作動軸27のみが軸方向に移動させられる。これにより、作動軸27と一体的にシール体28が軸方向の後方に移動させられる。よって、シール体28がシール座31から離れて、シール体28の部分では制御流路25が開放される。その後、作動軸27の係合部35が弁体24に当接し、作動軸27と一体的に弁体24が後方に開放させられる。これにより、弁体24と弁座33との隙間から気体が二次流路16に流れる。この弁体24の軸方向移動量は、ダイヤフラム部14に作用させているパイロット圧力で制御され、一次流路15の気体A1(一次圧力)は所定の二次圧力に減圧された気体A2となって二次流路16から流出させられる。
【0029】
従って、上記減圧弁10によれば、シール体28が開放させられた後、上記弁体24によって制御流路25が開放させられることで流量が制御される。これにより、閉鎖状態ではシール体28がシール座31に押圧されて制御流路25を密閉し、シール体28の開放後は、硬質の弁体24で制御流路25を開閉し、一定の流量特性を保って微小流量の制御を行うことが可能となる。
【0030】
(第2実施形態に係る減圧弁)
図2は、本発明の第2実施形態に係る減圧弁40の断面図である。第2実施形態に係る減圧弁40は、上記第1実施形態に係る減圧弁10とは、圧力設定部の構成が異なる。この実施形態の減圧弁40は、上記減圧弁10と圧力設定部の構成が異なるのみであるため、減圧弁10と同一の構成には同一符号を付して説明する。
【0031】
第2実施形態の減圧弁40は、弁体24を開閉させるパイロット圧力として所定の気体圧力がダイヤフラム部14に作用させられている。ダイヤフラム部14には、弁部23の作動軸27が当接している反対側の空間41(後述する
図5の空間72に相当)に、所定のパイロット圧力の気体A3が導入されている。このため、この減圧弁40によれば、ダイヤフラム部14によって作動軸27が軸方向に移動させられたとしても、常に空間41のパイロット圧力を作動軸27に作用させることができる。
【0032】
従って、この減圧弁40によっても、シール体28が開放させられた後、上記弁体24によって制御流路25が開放させられることで流量が制御される。これにより、閉鎖状態ではシール体28がシール座31に押圧されて制御流路25を密閉し、シール体28の開放後は、硬質の弁体24で制御流路25を開閉し、一定の流量特性を保って微小流量の制御を行うことが可能となる。
【0033】
(第3実施形態に係る減圧弁)
図3は、本発明の第3実施形態に係る減圧弁50の断面図である。第3実施形態に係る減圧弁50は、弁体55を開閉させるパイロット圧力をダイヤフラム部14に作用させる気体圧力で決定している他の例である。なお、上記第2実施形態と同一の構成には同一符号を付して説明する。
【0034】
図示するように、第3実施形態に係る減圧弁50は、第1ハウジング11に備えられる弁ハウジング51が、第1弁ハウジング52と第2弁ハウジング53とから構成されている。第1弁ハウジング52及び第2弁ハウジング53と第1ハウジング11との間は、Oリング67でシールされている。第1弁ハウジング52と第2弁ハウジング53との間に、一次流路15が連通している。第1弁ハウジング52と第2弁ハウジング53との間には、軸方向に移動する作動軸58が設けられている。また、作動軸58の周囲に円筒状の弁体55が備えられている。作動軸58の前部は、第1弁ハウジング52に設けられた軸受部材60(すべり軸受)によって、軸方向に移動可能な状態で支持されている。作動軸58の後部は、弁体55の後部が第2弁ハウジング53に設けられた移動部57を軸方向に移動可能な状態で支持されている。弁体55と第2弁ハウジング22との間は、Oリング68によってシールされている。
【0035】
この実施形態では、作動軸58の前部と弁体55の後部とによって、弁部54が弁ハウジング51に支持されている。作動軸58の軸方向の中間部分には、シール体59が備えられている。第1弁ハウジング52にはシール座62が形成されている。シール体59は、シール座62に当接することで制御流路56を閉鎖する。弁体55は、先端部分にテーパ面63が備えられている。弁体55は、テーパ面63が第1弁ハウジング52に形成された弁座64に当接することで制御流路56を閉鎖する。弁体55は、第2弁ハウジング53との間に備えられた付勢部材である第2コイルスプリング65によってダイヤフラム部14の方向に付勢されている。また、作動軸58は、弁体55との間に備えられた第1コイルスプリング61によってダイヤフラム部14の方向に付勢されている。
【0036】
さらに、上記弁体55は、上記作動軸58に設けられた係合部66によって後方へ移動させられる。弁体55は、係合部66との間に、軸方向に所定の第1間隙S1を有している。第1間隙S1は、図示するように弁体55及びシール体59のいずれもが閉鎖された状態で形成される。この間隙S1により、弁体55は、作動軸58の軸方向移動とは切り離された状態で軸方向に移動するようになっている。つまり、弁体55は、作動軸58とは切り離された状態で、第2コイルスプリング65の付勢力で弁座64に向けて付勢されている。
【0037】
作動軸58は、第1コイルスプリング61の付勢力と二次流路16からの気体A2の圧力に対し、二次流路16の気体A2の圧力が低くなってダイヤフラム部14からの付勢力が大きくなると軸方向の後方に移動させられる。これにより、シール体59がシール座62から離れる。そして、係合部66が弁体55に当接すると、作動軸58と弁体55とが一体となって、第2コイルスプリング65の付勢力に抗して軸方向の後方に移動させられる。これにより、弁体55のテーパ面63が弁座64から離れて、制御流路56が開放させられる。
【0038】
従って、この減圧弁50によっても、シール体59が開放させられた後、上記弁体55によって制御流路56が開放させられることで流量が制御される。これにより、閉鎖状態ではシール体59がシール座62に押圧されて制御流路56を密閉し、シール体59の開放後は、硬質の弁体55によって制御流路56を開閉し、一定の流量特性を保って微小流量の制御を行うことが可能となる。
【0039】
(第3実施形態に係る減圧弁の作動説明)
図4(A)、(B)は、
図3に示す減圧弁50の作動説明図である。
図4(A)に示すように、
図3に示す状態から、二次流路16の気体A2の圧力が低くなると、作動軸58は、ダイヤフラム部14のパイロット圧力で第1コイルスプリング61の付勢力に抗して軸方向に移動させられる。これにより、シール体59がシール座62から離れる。この時点では、弁体55のテーパ面63が弁座64に当接した状態であり、制御流路56は弁体55によって閉じられた状態である。
【0040】
そして、
図4(B)に示すように、ダイヤフラム部14のパイロット圧力で作動軸58がさらに軸方向の後方に移動させられると、作動軸58の係合部66が弁体55に当接する。この状態から、作動軸58と弁体55とが一体となって、第2コイルスプリング65の付勢力に抗して軸方向の後方に移動させられる。これにより、弁体55のテーパ面63が弁座64から離れて、制御流路56が開放させられる。よって、一次流路15の気体A1(一次圧力)は所定の二次圧力に減圧された気体A2となって二次流路16から流出させられる。
【0041】
このように、上記減圧弁50によれば、シール体59を開放させる段階と、弁体55を開放させる段階との、2段階の動作で制御流路56が開放させられる。
【0042】
従って、シール体59が閉じられた状態では、軟質のシール体によって一次流路15と二次流路16との間で制御流路56がシールされるので、一次流路15から制御流路56を介して二次流路16へ気体が漏れるのを適切に防止できる。そして、シール体59が開放された後は、硬質の弁体55によって制御流路56が開閉されるので、一定の流量特性を保って微小流量の流量制御が可能となる。
【0043】
なお、上記減圧弁10,40においても、この減圧弁50と同様に、シール体28を開放させる段階と、弁体24を開放させる段階との、2段階の動作で制御流路25が開放させられる。よって、減圧弁10,40も、同様の作用効果を奏する。
【0044】
(等圧弁の一実施形態)
図5は、
図3に示す減圧弁50を備えた一実施形態に係る等圧弁70の断面図である。この実施形態の等圧弁70は、上記第3実施形態に係る減圧弁50を対向するように2個備えている。以下、これらの減圧弁を、第1減圧弁50Aと第2減圧弁50Bと称す。なお、上記第1減圧弁50Aと第2減圧弁50Bとは同一の構成であるため、同一の構成には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0045】
第1減圧弁50Aは、第1気体B1を減圧するように備えられている。第2減圧弁50Bは、第2気体C1を減圧するように備えられている。第1減圧弁50Aと第2減圧弁50Bとは、それぞれのダイヤフラム部14が対向配置されている。そして、これらのダイヤフラム部14の間の空間72に、第1減圧弁50Aと第2減圧弁50Bの制御流路56を開放する設定圧力となるパイロット圧力の気体B3(この例では、「B3」とする)が導入路71を介して導入されている。
【0046】
そして、第1減圧弁50A及び第2減圧弁50Bのそれぞれは、上記
図4で説明したように、ダイヤフラム部14に導入されているパイロット圧力が作用した状態で、上記したように、シール体59を開放した後、弁体55を開放するようになっている。
【0047】
従って、この等圧弁70によれば、第1気体B1は、第1減圧弁50Aによって一次圧力がダイヤフラム部14のパイロット圧力で所定の二次圧力の第1気体B2に減圧される。また、第2気体C1も、第2減圧弁50Bによって一次圧力がダイヤフラム部14のパイロット圧力で所定の二次圧力の第2気体C2に減圧される。このように、この等圧弁70によれば、第1気体B1及び第2気体C1は共に、ダイヤフラム部14のパイロット圧力によって同じ二次圧力の第1気体B2と第2気体C2とに減圧することができる。
【0048】
しかも、この等圧弁70によれば、第1減圧弁50A及び第2減圧弁50Bは共に、上記したようにシール体59を開放した後、弁体55を開放するので、第1気体B1と第2気体C1とを微小流量で適切に流量制御することが可能となる。
【0049】
(気体混合器の実施形態)
図6は、
図5に示す等圧弁70を備えた気体混合器80の全体構成図である。上記
図5に示す構成と同一の構成には、同一符号を付して説明する。この実施形態の気体混合器80は、上記等圧弁70を備えている。この例では、一方の第1気体B1の一部をパイロット減圧弁81に導いている。パイロット減圧弁81で減圧された第1気体B3は、等圧弁70のパイロット圧力として利用されている。パイロット減圧弁81の出口には、第1圧力計82が設けられている。第1圧力計82により、パイロット圧力となった第1気体B3の圧力を確認できる。また、この例では、第2気体C1を二次圧力に減圧した第2気体C2の流路83に第2圧力計84が設けられている。第2圧力計84により、第2気体C2の二次圧力を確認できる。
【0050】
そして、上記等圧弁70の第1減圧弁50Aと第2減圧弁50Bとによって均等圧力に減圧された第1気体B2と第2気体C2とは、混合比率を設定する比率設定部である混合弁85によって所定の比率に設定される。混合弁85は、第1気体B2と第2気体C2の流量を決定している。その後、混合弁85で設定された比率の第1気体B2と第2気体C2とは、合流部である合流器86で合流される。この合流器86によって、第1気体B2と第2気体C2とが混合される。その後、合流器86で混合された混合気体の流量を制御する流量制御部である流量調節弁87によって流量が調節されて下流側へ供給される。
【0051】
このような気体混合器80によれば、等圧弁70によって第1気体B2と第2気体C2とが同圧力となって混合弁85に供給される。このため、混合弁85で所定の比率を設定することで、第1気体B2と第2気体C2とを適切な混合比率で混合することができる。
【0052】
しかも、等圧弁70によって第1気体B1と第2気体C1とを微小流量で適切に減圧することができるので、微小流量の制御が必要な機器などにおいて、第1気体B2と第2気体C2とを適正な比率で混合することが可能な気体混合器80を提供することが可能となる。この気体混合器80は、例えば、異なる種類のガスを微小流量で混合するガス混合器として利用できる。
【0053】
(その他の実施形態)
なお、上記した実施形態の等圧弁70及び気体混合器80では、第1気体B1と第2気体C1との2種類の気体を例に説明したが、3種類以上の気体を等圧にする等圧弁70などにも利用することは可能であり、気体は2種類に限定されるものではない。
【0054】
また、上記した実施形態は一例を示しており、減圧弁10,40,50は、等圧弁70、気体混合器80の他、微小流量の制御が必要な場合に利用することができ、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の構成を変更してもよく、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【解決手段】 一次圧力の気体を所定の二次圧力に減圧する減圧弁であって、一次圧力の気体が流入する一次流路と、二次圧力の気体が流出する二次流路と、一次流路と二次流路との間の制御流路を開閉する弁部と、弁部を開放する圧力を設定する圧力設定部と、を備え、弁部は、圧力設定部の設定圧力で制御流路を開放し、一次流路の気体を減圧して二次流路から流出させる硬質の弁体と、弁体の閉鎖後に、弁体と同軸方向に作動して一次流路と二次流路との間をシールする軟質のシール体と、を有している。