特許第6114449号(P6114449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6114449
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】光装飾体
(51)【国際特許分類】
   B44F 1/06 20060101AFI20170403BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20170403BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170403BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20170403BHJP
【FI】
   B44F1/06
   G09F13/04 N
   G09F13/04 J
   F21S2/00 670
   F21V5/00 350
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-167654(P2016-167654)
(22)【出願日】2016年8月30日
【審査請求日】2016年9月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314006813
【氏名又は名称】大谷 務
(74)【代理人】
【識別番号】100140006
【弁理士】
【氏名又は名称】渕上 宏二
(72)【発明者】
【氏名】大谷 務
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−207245(JP,A)
【文献】 特表2014−524119(JP,A)
【文献】 特開2003−280094(JP,A)
【文献】 特開平06−217863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44F 1/06
F21S 2/00
F21V 5/00
G09F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する光源と、
前記光源の照射方向に任意の距離をおいて配置される第1光学体および第2光学体を備え、
前記第1光学体および前記第2光学体が、それぞれ凸レンズ機能を有する複数の立体部材が連続的に配置されることによって構成されていることを特徴とする、
光装飾体。
【請求項2】
前記第1光学体および前記第2光学体が、前記複数の立体部材が平面的、曲面的または立体的に配置されることによって構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の光装飾体。
【請求項3】
前記立体部材が、柱状部材もしくは球状部材であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の光装飾体。
【請求項4】
前記第1光学体と前記第2光学体のうち少なくとも一方が、前記柱状部材が平面的、曲面的または立体的に配置されることによって形成される層体が前記光源の照射方向において2つ重ね合わされることによって構成されていることを特徴とする、
請求項3に記載の光装飾体。
【請求項5】
一方の前記層体を構成する前記柱状部材の長さ方向における傾斜角と他方の前記層体を構成する前記柱状部材の長さ方向における傾斜角が異なることを特徴とする、
請求項4に記載の光装飾体。
【請求項6】
前記第1光学体と前記第2光学体のうち少なくとも一方が、前記複数の球状部材が規則的もしくは不規則的に配列されることによって構成されていることを特徴とする、
請求項3に記載の光装飾体。
【請求項7】
前記柱状部材もしくは前記球状部材が有する曲面が任意の曲率であることを特徴とする、
請求項3乃至6の何れかに記載の光装飾体。
【請求項8】
前記柱状部材もしくは前記球状部材の円形断面部が任意の径であることを特徴とする、
請求項3乃至7の何れかに記載の光装飾体。
【請求項9】
前記複数の立体部材が互いに結合されていることを特徴とする、
請求項3乃至8の何れかに記載の光装飾体。
【請求項10】
前記連続的に配置される複数の球状部材間に光の通過を遮断する遮光部分が設けられていることを特徴とする、
請求項3乃至9の何れかに記載の光装飾体。
【請求項11】
前記光源の照射方向の何れかの位置に光の通過を一部遮断する遮光部材が設けられていることを特徴とする、
請求項1乃至10の何れかに記載の光装飾体。
【請求項12】
前記遮光部材の光の通過部分が文字または図柄を形成していることを特徴とする、
請求項11に記載の光装飾体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する立体部材を用いて煌びやかな光の装飾効果を創出する光装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を利用して見る者に美的印象を与える装飾体としては、光源の近傍に透光性を有する光学体等の部材を配置し、部材の内部で光を屈折させて様々な輝きや煌めきを感じさせるものが知られている。特許文献1には、透光性を有する中空の球体の一方に光源を設置し、さらに球体の内部に凸レンズを組み込み、球体の一方側から透過した光を凸レンズで拡散させて他方側の全体を均等に発光表示させることで、中実の水晶球が光り輝いているような感じを抱かせる効果を奏する装置が開示されている。また特許文献2には、透光性を有し立体的に隆起させた図柄が施された表示光学体の裏側に光源を配置し、図柄の凹凸によって光を様々な方向に屈折させて表示光学体に明暗のコントラストを発生させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269001号公報
【特許文献2】特開2011−90020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている装置は、球体の全体が均等に発光するように構成されているため、華やかではあるが煌びやかさに乏しく比較的単調な印象を与えがちである。また特許文献2に開示されている装置は、表示光学体に設けた凹凸によってあえて光の乱屈折や乱反射を誘導し、意識的に明暗のコントラストを形成するように構成されている。従って、特定の図柄や模様を陰影感のある幻想的な映像として表現することには適しているが、ダイヤモンドの輝きのような煌びやかさを表現することには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、規則的で幾何学的な屈折を誘導し、光の進行方向を制御することによって、ダイヤモンドの輝きのような煌びやかな光の装飾効果を創出することを目的として、以下のように構成される光装飾体を提供する。
【0006】
光装飾体は、光源と、前記光源の照射方向に任意の距離をおいて配置される第1光学体および第2光学体を備え、前記第1光学体および前記第2光学体が、それぞれ凸レンズ機能を有する複数の立体部材が連続的に配置されることによって構成される。
【0007】
光源から発せられた光は最初に第2光学体を透過し、次に第1光学体を透過する。鑑賞者は光の進行方向に対して第1光学体の反対側から光装飾体を鑑賞する。第1光学体および第2光学体はそれぞれ異なる光学的機能を持つ。第2光学体は光源から発せられた光を凸レンズ機能を用いて集光し、一つの凸レンズに対して一つの点状光を形成する。第1光学体は一つの凸レンズによって第2光学体の複数の凸レンズを透過した光を集光し、一つの凸レンズに対して複数の点状光を形成する。
【0008】
凸レンズ機能を有する複数の立体部材としては、透光性を有し、少なくとも光が入射や反射を行う境界の一部に曲面を有するものであれば特段の形状および材質に限定されない。例えば円柱部材や球状部材であれば入手が容易であり、乱屈折や乱反射も起こりにくく滲みの少ない均一な点状光を形成することができる。各立体部材は平面もしくは曲面、またはこれらが結合した面を形成するように連続的に配置される。各立体部材の形状を整えて光学的性能を均一化するとともに各立体部材を整然と配列し、規則的で幾何学的な光の屈折を誘導することによって整然とした点状光を形成することができる。
【0009】
立体部材には中空のものは適さないが、例えば空洞部を透光性を有する液体等で充満させるなどして実質的な中実を形成している場合は適用が可能である。また立体部材の有する曲面は任意の曲率で構成することができる。立体部材が円柱部材や球状部材である場合、半径を任意に設定することによって曲率を調節することができる。
【0010】
光装飾体は、前記第1光学体および前記第2光学体が、前記複数の立体部材が平面的、曲面的または立体的に配置されることによって構成されていてもよい。
【0011】
光源から発せられる光に指向性を持たせない場合には、立体部材が平面的に配置されるだけではなく、曲面的または立体的に配置されることによって多方面から光を鑑賞することが可能になる。
【0012】
光装飾体は、前記複数の立体部材が互いに結合されていることによって構成されていてもよい。
【0013】
これにより、複数の立体部材の一体成形が可能になるため、光学体の生産工程における工数の削減によるコスト削減が実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2つの光学体を用いて規則的で幾何学的な屈折を誘導し、光の進行方向を制御することによって、整然と配列される点状光を形成することが可能になり、ダイヤモンドの輝きのような煌びやかな光の装飾効果を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】光装飾体の構成の概要を示す図
図2】光装飾体に形成される点状光の例を示す図
図3】立体部材の例を示す図
図4】立体部材の例を示す図
図5】立体部材として円柱部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図6】立体部材として円柱部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図7】立体部材として円柱部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図8】立体部材として球状部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図9】立体部材として球状部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図10】立体部材として球状部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図11】非独立型の立体部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図12】非独立型の立体部材を適用したときの光学体の形態を示す図
図13】円柱部材を曲面状に配置したときの光学体の形態を示す図
図14】球状部材を円筒状に配置したときの光学体の形態を示す図
図15】第1光学体と第2光学体の組み合わせの例を示す図
図16】第1光学体と第2光学体の組み合わせの例を示す図
図17】第1光学体と第2光学体の組み合わせの例を示す図
図18】第1光学体と第2光学体の組み合わせの例を示す図
図19】第1光学体と第2光学体の組み合わせの例を示す図
図20】光装飾体に遮光板を適用した状態を示す図
図21】遮光板を用いたときに形成される点状光の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔光装飾体の概要について〕
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、図1を参照して、光装飾体の基本的な構造について説明する。光装飾体10は、光源12、第1光学体14および第2光学体16によって構成される。光源12は太陽光もしくは照明器具による人工光を用いる。照明器具はその種類を問わないが、LEDは高輝度、高指向性で配光制御も容易であるため、装飾効果が最も期待できる照明器具である。第1光学体14および第2光学体16の大きさや配置に応じて一個乃至複数個のLEDを適宜配置する。またLEDを用いることで消費電力や光源の交換に要するランニングコストを低く抑えることができる。第1光学体14および第2光学体16は後述するようにそれぞれ曲面を有する複数の透光性を有する立体部材(以下、単に立体部材という。)を面的に配置した部材である。第1光学体14および第2光学体16は光源12から発せられる光の進行方向に任意の距離Sの間隔をおいて互いに平行の関係になるように配置される。両光学体は光源12に近い方から第2光学体16、第1光学体14の順に配置される。図示はしていないが、筐体等に形成した溝に第1光学体14および第2光学体16を装着したときに所定の位置に配置されるようにしてもよい。
【0017】
第1光学体14および第2光学体16は光学的な役割が異なっている。図2に示すように、光源から発せられた光は、第2光学体16を構成する各曲面16aによって収束されて、一つの曲面(凸レンズ)に対して一つの点状光16bを形成する。第2光学体16を透過した光は屈折によって拡散され、第1光学体14を構成する各曲面14aに入射する。第1光学体14の一つの曲面14aに対して、第2光学体16の複数の曲面16aを透過した光が入射し、一つの曲面14aに対して複数の点状光14bを形成することになる。このように、それぞれ凸レンズ機能を備える第1光学体14および第2光学体16に対して順に光を透過させることにより、点状光14bは、最初に形成される点状光16bの間隔より狭い間隔でより密集度を高めた状態で形成されるようになる。第2光学体16と第1光学体14によって密集度が高められた点状光14bは干渉を引き起こし、鑑賞者の目の動きに応じて明暗反転が起こり、ダイヤモンド様の輝きを創出する。第1光学体14と第2光学体16との距離Sは、凸レンズとして機能する立体部材の焦点距離に応じて調節する。また距離Sを調節することで点状光の大きさや数を変更することもできる。
【0018】
〔光学体の構成について〕
続いて、光学体を構成する立体部材の形状について説明し、次に光学体の構成について説明する。図3および図4に示す8つの立体部材は、第1光学体14および第2光学体16を構成する立体部材の基本形態を模式的に表したものである。図3(a)(b)(c)(d)は柱状の立体部材であり、円柱もしくは楕円柱、またはこれらを2分割した部材である。何れの柱状部材も光を屈折させるための曲面を有している。図4(a)(b)(c)(d)は球体もしくは偏球体の球状部材、またはこれらを2分割した部材であり、何れの立体部材も光を屈折させるための曲面を有している。なお図示した立体部材は定型的な形状を示した例であり、他の形状の立体部材であっても凸レンズとして機能する曲面部分を有しているものであれば適用が可能である。
【0019】
以下、立体部材によって構成される光学体について、図5乃至図14を参照して説明する。図5乃至図7に示す光学体は、立体部材として円柱部材を適用した場合の光学体の基本形態を模式的に示したものである。図5に示す光学体30は、立体部材として円柱部材を適用した光学体の最も基本的な形態である。光学体30は、複数の円柱部材を半径方向に配列した2つの層体30a、30bを前後に重ねて配置した構成となっている。円柱部材は全て同型であり同一の断面積を有している。第2層体30bを構成する円柱部材は、水平面に対する長さ方向の傾斜角が0度である。一方、第1層体30aはこの傾斜角が90度となっている。図5では、光学体30を構成する円柱部材が全て同一の断面積を有する形態を示しているが、光学体を構成する円柱部材の断面積は任意の大きさに自由に設定することができる。また傾斜角も任意の角度に自由に設定することができる。また2つの層体を重ねせたものには限らず、単層でも適用が可能である。
【0020】
図6図7に示す光学体32、34は、光学体30の変形例であり、円柱部材の断面積や傾斜角が光学体30とは異なっている。光学体32は、比較的断面積の小さい同型の円柱部材が90度以外の傾斜角となるように構成された第1層体32aと、比較的断面積の大きい同型の円柱部材が0度以外の傾斜角となるように構成された第2層体32bによって構成されている。一方、光学体34は、第1層体34aおよび第2層体34bともに断面積が不均一な円柱部材で構成されている。第1層体34aは傾斜角が90度であり、第2層体34bは傾斜角が0度である。
【0021】
図8乃至図10に示す光学体は、立体部材として球状部材を適用した場合の光学体の基本形態を模式的に示したものである。図8に示す光学体40は、複数の同型の球状部材40aを互いに接触するように隙間なく配列することによって構成されている。球状部材40aは、横方向に直線状に並べた列が縦方向に複数列となるように配置されている。隣り合う列は球状部材の半径分だけ交互に横方向にずらすことによって隙間が最小となるように配列されている。図8では、光学体40を構成する複数の球状部材の断面積が全て同一であり、規則的に配列されている形態を示しているが、光学体40を構成する球状部材の断面積の大きさは自由に設定することができる。また配列も規則的なものには限らず、不規則的な配列であっても適用が可能である。
【0022】
図9に示す光学体42は、球状部材が支持体によって固定されている光学体の形態を示したものである。光学体42は、断面積が比較的大きい球状部材42aと比較的小さい球状部材42bと支持体42cによって構成されている。球状部材42a、42bは、縦方向および横方向のそれぞれに直線状になるように規則的に配列されている。横方向においては大小の球状部材42a、42bが交互に配列されている。支持体42cには大小の球状部材42a、42bの断面積に応じた貫通孔が設けられ、この貫通孔にそれぞれ球状部材42a、42bが嵌合するように固定されている。
【0023】
図10に示す光学体44は、球状部材が不規則的に配列されている光学体の形態を示したものである。光学体44は、断面積が不均一な複数の球状部材44aと支持体44bによって構成されている。球状部材44aの配置には特段の規則性は持たせてはいないが、できるだけ隙間が少なくなるように配置されている。支持体44bには球状部材44aの断面積に応じた貫通孔が設けられ、この貫通孔にそれぞれ球状部材44aが嵌合するように固定されている。
【0024】
以上、図5乃至図10に示した光学体は、独立した立体部材の集合体によって構成されている光学体の形態の一例であるが、図11および図12に示す光学体50、52のように、全体が一つの立体部材を形成する非独立型の立体部材によって光学体を構成することもできる。図11に示す光学体50は、2つの同型の層体50a、50bによって構成されている。層体50a、50bは、複数の円柱状の立体部材を半径方向に結合させた一体型の立体部材である。光学体50は、層体50a、50bをそれぞれ90度と0度の傾斜角で前後に配置することによって構成されている。なお、前述した独立型の立体部材の場合と同様に、非独立型の立体部材の断面積や傾斜角も自由に設定することができる。一方、図12に示す光学体52は、球状部分52aと支持体部分52bとを一体的に形成する非独立型の立体部材によって構成されている。球状部分52aの大きさや配置は自由に設定することができる。
【0025】
以上、図5乃至図12に示した光学体は、何れも立体部材を平面的に配置することによって構成された光学体の形態の一例であるが、立体部材を曲面的もしくは立体的に配置することによって光学体を構成することもできる。図13に示す光学体60は、円柱部材が曲面的に配列されている光学体の形態を示したものである。第1光学体62および第2光学体64は何れも2つの層体62a、62b、64a、64bによって構成されている。第1層体62aおよび第2層体62bを構成する円柱部材の傾斜角はそれぞれ90度と0度である。第2層体62bは、任意の曲率で曲げられた複数の円柱部材を縦方向に並列させることによって構成されており、全体として湾曲した板状体を形成している。第1層体62aは、第2層体62bの曲率に合わせて曲面を描くように円柱部材を横方向に並列させることによって構成されている。図13では、同型の第1光学体62および第2光学体64を任意の距離をおいて平行になるように配置している。光源は第1光学体62の側に配置してもよく、第2光学体64の側に配置してもよい(図13は光源を第2光学体側に配置したときの点状光の例を示している)。
【0026】
図14に示す光学体66は、球状部材が立体的に配列されている光学体の形態を示したものである。第1光学体68および第2光学体70は、何れも複数の球状部材68a、70aを円筒状に配列することによって構成されている。球状部材68a、70aはそれぞれ円筒形の支持体68b、70bに固定されている。第2光学体70は第1光学体68の内側に同心円状に配置されており、同心円の中心には全周方向を照射する光源72が配置されている。
【0027】
〔第1光学体と第2光学体の組み合わせについて〕
続いて、第1光学体と第2光学体の組み合わせの例、およびこの組み合わせによって形成される点状光について説明する。第1光学体および第2光学体は、凸レンズとして機能する曲面を有する立体部材を連続的に配列したものを基本として構成される。第1光学体および第2光学体を構成する立体部材は、光が透過する箇所に曲面を備えて様々な態様のものを適用することができる。なお、以下の説明において具体的に設定している形状や数値は実施例によるものであり、本発明を構成する各要素の形態はこれらの数値に限定されるものではない。
【0028】
図15乃至図19は、第1光学体および第2光学体と、これらの組み合わせによって形成される点状光を模式的に示したものである。図15に示す第1光学体80および第2光学体82は、何れも2つの層体によって構成されている。第1光学体80を構成する立体部材は直径2mmの円柱部材であり、第1層体80aおよび第2層体80bの傾斜角はそれぞれ90度と0度である。一方、第2光学体82を構成する立体部材は直径3mmの円柱部材であり、第1層体82aおよび第2層体82bの傾斜角はそれぞれ65度と155度である。第1光学体80と第2光学体82とは4mmの距離をおいて平行に配置される。第2光学体82には第1層体82aと第2層体82bが前後に交差する箇所が複数あり、光源から発せられた光はそれぞれの箇所に集光し、一箇所につき1個の点状光82cが形成される。第1光学体80にも第1層体80aと第2層体80bが前後に交差する箇所が複数あり、それぞれの箇所に第2光学体82を透過した光が集光し、一箇所につき複数個の点状光80cが形成される。
【0029】
図16に示す第1光学体84は1つの層体によって構成され、第2光学体86は2つの層体によって構成されている。第1光学体84を構成する立体部材は直径8mmの円柱部材であり、各円柱部材の傾斜角は90度である。第2光学体86を構成する立体部材は直径6mmの円柱部材であり、第1層体86aおよび第2層体86bの傾斜角はそれぞれ70度と160度である。第1光学体84と第2光学体86とは19mmの距離をおいて平行に配置される。第2光学体86には第1層体86aと第2層体86bが前後に交差する箇所が複数あり、光源から発せられた光はそれぞれの箇所に集光し、一箇所につき1個の点状光86cが形成される。第2光学体86を透過した光は第1光学体84を透過するときに収束しながら密集度を高め、複数の点状光84aを形成する。
【0030】
図17に示す第1光学体88および第2光学体90は、何れも1つの層体によって構成されている。第1光学体88は、直径8mmの球状部材88aを横方向に直線状に配置した列を半径の長さ分だけ交互にずらしながら縦方向に配置することによって構成されている。第2光学体90は、直径3.5mmの球状部材90aを傾斜角20度の直線状に配置した列を縦方向に等間隔で配置することによって構成されている。各球状部材は遮光体90bによって所定の位置に固定されている。遮光体には、各球状部材90aの隙間を透過する光を遮断することにより、点状光を形成していない光が混在してダイヤモンド様の輝きを阻害することを防ぐ役割がある。第1光学体88と第2光学体90とは9mmの距離をおいて平行に配置される。光源から発せられた光は、第2光学体90を構成する球状部材90aの凸レンズ機能によって収束し、1個の球状部材90aにつき1個の点状光90cを形成する。第2光学体90を透過した光は、さらに第1光学体88を構成する球状部材88aの凸レンズ機能によって収束し、1個の球状部材88aにつき複数個の点状光88bを形成する。
【0031】
図18に示す第1光学体92は2つの層体によって構成されており、第2光学体94は1つの層体によって構成されている。第1光学体92を構成する立体部材は直径8mmの円柱部材であり、第1層体92aおよび第2層体92bの傾斜角はそれぞれ90度と0度である。第2光学体94は、直径3.5mmの球状部材94aを傾斜角40度の直線状に配置した列を縦方向に等間隔で配置することによって構成されている。球状部材94aは支持体94bによって所定の位置に固定されている。第1光学体92と第2光学体94とは6mmの距離をおいて平行に配置される。光源から発せられた光は、第2光学体94を構成する球状部材94aの凸レンズ機能によって収束し、1個の球状部材94aにつき1個の点状光94cを形成する。第1光学体92には第1層体92aと第2層体92bが前後に交差する箇所が複数あり、それぞれの箇所に第2光学体94を透過した光が集光し、一箇所につき複数個の点状光92cが形成される。
【0032】
図19に示す第1光学体96および第2光学体98は、何れも1つの層体によって構成されている。第1光学体96を構成する立体部材は直径8mmの円柱部材であり、各円柱部材の傾斜角は90度である。第2光学体98は、直径3.5mmの球状部材98aを横方向に直線状に配置した列を半径の長さ分だけ交互にずらしながら縦方向に配置することによって構成されている。球状部材98aは遮光体98bによって所定の位置に固定されている。遮光体には、各球状部材98aの隙間を透過する光を遮断することにより、点状光を形成していない光が混在してダイヤモンド様の輝きを阻害することを防ぐ役割がある。第1光学体96と第2光学体98とは4mmの距離をおいて平行に配置される。光源から発せられた光は、第2光学体98を構成する球状部材98aの凸レンズ機能によって収束し、1個の球状部材98aにつき1個の点状光98cを形成する。第2光学体98を透過した光は、さらに第1光学体96を構成する円柱部材の凸レンズ機能によって収束し、密集度を高めた点状光96aを形成する。
【0033】
図15乃至図19に示した第1光学体と第2光学体の組み合わせは、光学体の形態の実施例であり、これ以外の形態であっても凸レンズ機能を備えるものであれば適用が可能である。また第1光学体および第2光学体を相互に入れ替えることも可能であり、前後の向きを変えたり傾斜角を変えたりすることも可能である。
【0034】
光装飾体10は、図20に示すように、光源12と第2光学体16との間に遮光板99を配置することにより、点状光の範囲を任意の形状となるように制御することもできる。例えば、図21に示すようにハート型にくり抜いた遮光板99を用いる場合、第2光学体16において形成される点状光16aはハート型に倣った範囲内に限定される。また第1光学体14において形成される点状光14aも同様にハート型に倣った範囲内に限定される。第1光学体14ではより多くの点状光が密集するため、輪郭が明確に表されたハートの形状を認識することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 光装飾体
12 光源
14 第1光学体
16 第2光学体
99 遮光板
【要約】
【課題】ダイヤモンドの輝きのような煌びやかな光の装飾効果を創出する光装飾体を提供する。
【解決手段】光源12から発せられた光は最初に第2光学体16を透過し、次に第1光学体14を透過する。鑑賞者は光の進行方向に対して第1光学体14の反対側から光装飾体10を鑑賞する。第1光学体14および第2光学体16はそれぞれ異なる光学的機能を持つ。第2光学体16は光源から発せられた光を凸レンズ機能を用いて集光し、一つの凸レンズに対して一つの点状光を形成する。第1光学体14は一つの凸レンズによって第2光学体16を透過した光を集光し、一つの凸レンズに対して複数の点状光を形成する。
【選択図】図1
図1
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図19
図20
図21