(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6114450
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】天井遮光装置及び日除け用簡易建物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20170403BHJP
E04F 10/02 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04F10/02
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-169211(P2016-169211)
(22)【出願日】2016年8月31日
【審査請求日】2016年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000127639
【氏名又は名称】株式会社エービーシー商会
(73)【特許権者】
【識別番号】503198622
【氏名又は名称】有限会社テクノス企画
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐村 集人
(72)【発明者】
【氏名】上島 紀
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−292769(JP,A)
【文献】
特開2002−021179(JP,A)
【文献】
実開平05−078707(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3169867(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3171473(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/00
E04F 10/00 − 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の天井に設置される遮光装置であって、
構造物の天井を挟んで対向する内面に、それぞれ内部にスライド自在な複数の係合体が収納されたガイドレールが平行に配置され、
両ガイドレールの係合体に、線状部材に複数枚の遮光シートを通し掛けて形成された遮光幕ユニットの両端部がそれぞれ接続されて、両ガイドレール間に複数の遮光幕ユニットが架設され、
前記各遮光幕ユニットを、前記係合体と一体にガイドレールに沿って個別にスライド移動させて遮光幕ユニット同士の配置間隔を調整し得るように構成されていることを特徴とする天井遮光装置。
【請求項2】
遮光シートは合成樹脂製の布材からなる請求項1に記載の天井遮光装置。
【請求項3】
線状部材の両端部間に、複数の遮光シートが隣接する遮光シートの間で隙間を開けずに並設して遮光幕ユニットが構成された請求項1又は2に記載の天井遮光装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の天井遮光装置を備えた日除け用簡易建物。
【請求項5】
根太上にデッキ材を敷き並べて平面視方形状の床面を形成し、この床面の少なくとも四隅コーナー部に柱を立設するとともに、隣接する柱の上部間に梁を架け渡して構成された請求項4に記載の日除け用簡易建物。
【請求項6】
隣接する柱間に、その上部から下部に亘って複数の遮光幕ユニットが互いに間隔を開けて設置された構成を有する請求項5に記載の日除け用簡易建物。
【請求項7】
根太底部にキャスターを取り付けて移動可能に構成された請求項5又は6に記載の日除け用簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の天井に取り付けて、室内の天井に設置された照明装置の照明光や屋根がない構造物では天井を透過する太陽光などの、天井の下方空間への照射光を部分的に遮断したり透過したりするために利用される遮光装置と、これを備えた日除け用簡易建物の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
人が集う公園や建物のテラス、屋上、庭などに、日除けのための空間をつくるためのパーゴラが設置されている。
パーゴラは、木材や鋼材で作った架構の天井に棚板を並設して形成され、棚板の隙間を太陽の日差しが透過するようにし、さらには棚板に植物を這わせることで天井の下方空間を日除けスペースとするものであるが、天井の棚板が固定されているため太陽の透光量の調整ができず、太陽の高度が高い夏季の日中はパーゴラ内部に一様に強い日差しが当たるなど、季節や日照時刻などによって日差しの加減を調整するようなことはできない。
【0003】
このような問題の解決を図るための屋外構造物として、パーゴラの天井の両側に棚板の並設方向に伸びたガイド手段を取り付けるとともに、両ガイド手段にカーテン状の布幕を架け渡して取り付け、日差しが弱いときはガイド手段の端部に布幕を畳んでおき、日差しが強いときにはガイド手段に沿って布幕を天井の下側に張り出して、パーゴラ内部における日差しの加減を開閉式の布幕で調整する構成のものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−54312号公報
【特許文献2】特開2003−41653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パーゴラ内部に開閉自在に布幕を設置して日差しを調整する構造のものは、布幕を天井に沿って張り出すことで強い日差しを遮ることはできるものの、パーゴラ内部に張り出した布幕は風の影響を受けやすいため、日差しが強くても強風のときには布幕を張り出すことができず、布幕を張りだした状態で風が強くなったときにはその都度畳む必要がある。パーゴラが居住家屋に隣接して設置されているときは前記のような布幕の開閉操作に支障はないが、公園などの公共施設に設置されたパーゴラに開閉式の布幕を設置し、日差しの強さや風の強さに応じて布幕を開閉操作することは現実的ではない。
【0006】
また、布幕を開閉自在に設けた構造のものでは、布幕を張り出すことでパーゴラ内部全体を日陰とすることが可能であるが、パーゴラ内部に部分的に日差しが弱いところをつくったりパーゴラ内部の日差しの変化がグラデ−ションとなるように調整したりすることはできない。
【0007】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、構造物の天井に設置される遮光装置において、風の影響を受け難く、構造物内部の日差しの強さを適宜に調整することができるようにすることを課題とする。また、本発明は、前記遮光装置を備え、屋上や公園などの屋外の公共施設に設置するのに好適な日除け用簡易建物を構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、構造物の天井に設置される遮光装置であって、線状部材に複数枚の遮光シートを通し掛けて構成された複数の遮光幕ユニットが、天井を臨む構造物の内部に、隣接する遮光幕ユニットとの間に間隔を開けて平行に配置された構成を有することを特徴とする。
なお、本発明において天井とは構造物内部の上側の面をいい、構造物が屋根付きの建物のときは屋根に覆われて照明装置が取り付けられた室内上方の面、屋外に設置されるパーゴラなどの屋根のない日除け用の建物のときは太陽光が透過する、開口した建物上方の面をいう。
【0009】
これによれば、天井の下側に、線状部材に複数枚の遮光シートが掛止されて垂れ下がった暖簾状の遮光幕ユニットを複数並設することで、天井下方を照らす光、すなわち屋根付きの建物では天井に取り付けられた照明装置の照明光、屋根のない日除け用の建物では開口した天井を透過する太陽光を各遮光幕ユニットの遮光シートで適宜に遮断して、天井下方空間の採光や日差しの量を調整することができる。この場合、天井を臨んで配置する遮光幕ユニットの数やユニット同士の配置間隔或いは配置密度を適宜に設定することで、天井下方空間の採光や日差しの量が調整され、また、前記空間内で所定の部分の採光や日差しの量を多くしたり少なくしたりすることができる。遮光幕ユニットは、その線状部材に長尺な一枚の遮光シートを掛止させて形成されているのではなく、複数枚の遮光シートに分割されて線状部材に垂れ下がっており、風を受けても各遮光シートが独立して揺れることで当該遮光幕ユニットにかかる風圧が分散されるので、屋外に設置される構造物に取り付けても風圧による影響が極めて少ない。
【0010】
前記構成の天井遮光装置において、構造物の天井を挟んで対向する内面に、それぞれ内部にスライド自在な複数の係合体が収納されたガイドレールが平行に配置され、両ガイドレールの係合体に各遮光幕ユニットの両端部をそれぞれ接続して両ガイドレール間に複数の遮光幕ユニットが架設された構成を有することが好ましい。
【0011】
これによれば、ガイドレール間に架設された各遮光幕ユニットが、ガイドレール内部に収納された係合体と一体にガイドレールに沿ってスライド移動自在に構成してあるので、ガイドレールに沿って各遮光幕ユニットを個別に移動させ、遮光幕ユニット同士の
配置間隔を適宜に調整することが可能である。例えば日除け用の建物に設置する場合、季節や日照時刻、太陽の高さなどに応じ、各遮光幕ユニット間の配置間隔を均等に或いは不均一にするなどして、天井下方にできる日陰の位置や日差しの量を調整することが可能である。
なお、遮光幕ユニットと係合体との接続部にはロックナットなどの位置固定部材を装備しておき、遮光幕ユニットをガイドレールに沿って移動し、架設位置を決定したならば、位置固定部材で係合体がガイドレールに固定され、また、位置固定部材による固定の解除により遮光幕ユニットがスライド可能となるように設けることが好ましい。
【0012】
前記構成の天井遮光装置において、遮光幕ユニットを構成する線状部材は、合成樹脂製の紐材や可撓性を有する金属製のワイヤやロッドなどを用いることができる。
また、遮光シートは、合成樹脂製の布材を用いて形成することが好ましい。遮光シートの素材としては、遮光性を有する軽量な布材、例えばポリエステル製の生地に塩化ビニル樹脂をコーティングした紫外線カット機能を有する布材の使用が好ましい。耐候性に優れたテント生地を使用してもよい。
遮光シートは、例えば布材を矩形状に裁断し、これを短手方向に二つ折りにし、上辺部に線状部材が挿通する孔部を形成するとともに、その左右側辺を折返して縫合し或いは熱溶着又は接着して強度を確保し、下辺も一体に縫合し或いは熱溶着するなどして、例えば縦200mm、横600mm程度の寸法で矩形状に形成することができる。
前記線状部材に複数の遮光シートを通し掛けることにより遮光幕ユニットが形成され、この場合、遮光シートが線状部材に沿って移動することなく所定の遮光効果が得られるように、線状部材の両端部間に複数の遮光シートが隣接する遮光シートの間で隙間を開けずに並設されるように設けることが好ましい。
なお、線状部材に吊される複数枚の遮光シートの形成寸法は全て同じ寸法に形成されていなくてもよい。例えば縦横の寸法が異なる遮光シートを複数タイプ用意し、線状部材に寸法の異なる遮光シートを通し掛けて遮光幕ユニットを構成したり、遮光幕ユニット毎に寸法の異なる遮光シートを揃えて構成したりしてもよい。
【0013】
また、本発明は、建物の屋上或いは公園や庭などの屋外で日除けスペースとして設置される、天井が開口した日除け用の簡易建物であって、前記構成の天井遮光装置が建物内部に取り付けられた構成を有することを特徴とする。
これによれば、天井の下方で各遮光幕ユニットの暖簾状に垂れ下がった遮光シートが太陽光を遮断して、建物内部に日陰を適宜に形成して好適な日除け空間を形成することができる。架構の天井に棚板を並設して形成されたパーゴラ内に前記構成の天井遮光装置を設置してもよい。
【0014】
前記日除け用簡易建物は、根太上にデッキ材を敷き並べて平面視方形状の床面を形成し、この床面の少なくとも四隅コーナー部に柱を立設するとともに、隣接する柱の上部間に梁を架け渡して構成することができる。
建物の拡張設備として、建物の内部に人が座るベンチや植栽コンテナなどを設置してもよい。前記構成の建物は、これを構成する根太やデッキ材などの各部材とベンチなどの拡張設備を各々の形成寸法や接続部位(形状や接続・固定のための手段)などに統一性・連携性を持たせてユニット化しておくことが好ましい。
日除け用簡易建物は、常時日光や雨水に曝されるため、太陽光の照射による発熱で木製の柱などに劣化が生じることがある。これを防ぐため、建物を構成する各部材は、遮熱性を有して熱が溜まり難い再生木材を用いて形成されていることが好ましい。柱や梁はステンレスやアルミなどの鋼材により形成されていてもよい。
前記日除け用簡易建物を、例えば床面を縦横2000mm程度の寸法、床面の四隅に長さ2400mm程度の柱を取り付ける寸法に形成してあれば、建物組み立て前の各部材を、定員6名以上の一般乗用のエレベーターに乗せて、建物の屋上などの設置場所に運ぶことが可能である。
【0015】
また、前記構成の日除け用簡易建物は、その四方の柱と柱の間は開放した側面となるが、側方からの太陽光の直射を遮るため、隣接する柱間に、その上部から下部に亘って複数の遮光幕ユニットを互いに間隔を開けて設置するようにしてもよい。
日除け用簡易建物は、例えば公園などに設置する場合、設置面に根太と柱を連結する柱脚金具を敷いてアンカーボルトを打ち込んで固定し、固定された柱脚金具に根太と柱を接続して組み立てることにより設置位置に固定することができる。また、コンクリート平板などの重りとなる固定部材を根太と根太の間の隙間に設置して各根太を支持し、固定部材で根太が移動したり浮き上がったりしないようにすることができる。
屋外のイベント会場に設置するときなどは、根太の底部にキャスターを取り付けておき、日除け用簡易建物が任意の場所に移動し得るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の天井遮光装置の一実施形態の要部外観図である。
【
図2】本発明の日除け用簡易建物の正面図(A)とB−Bに沿った断面図(B)である。
【
図3】
図2中のIII−III線に沿った断面図である。
【
図5】(A),(B)及び(C)はガイドレールに遮光幕ユニットを取り付ける手順を示した図である。
【
図6】
図2の日除け用簡易建物における遮光幕ユニットを格納した状態と展開した状態の正面図である。
【
図7】内部にベンチを設置した日除け用簡易建物の正面図である。
【
図8】側面に緑化ワイヤを設置した日除け用簡易建物の側面図である。
【
図9】周辺の一側面(A)と出入口を除く周側面(B)に遮光幕ユニットを並設した日除け用簡易建物の外観図である。
【
図11】
図10の柱脚金具に根太と柱を固定する態様を示した図である。
【
図12】根太間に固定用の重りを設置した日除け用簡易建物の断面図である。
【
図13】根太にキャスターを取り付けた日除け用簡易建物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の天井遮光装置を示しており、この天井遮光装置1は、複数の矩形状の遮光シート21を線状部材であるワイヤ22に通し掛けて遮光幕ユニット2を形成し、この遮光幕ユニット2を、天井を臨む構造物上方に所定の間隔を開けて複数並設して構成され、各遮光幕ユニット2のワイヤ22に暖簾状に垂れ下がった遮光シート21で天井からの光を遮断して、天井下方を照射する光の量を調整するものである。
【0018】
図2及び
図3は構造物として屋外に設置される日除け用簡易建物3に、
図1に示された天井遮光装置1を設置した形態を示している。
【0019】
日除け用簡易建物3は、設置面Gに複数並設された根太31上にデッキ材32aを敷き並べて縦横2000mm程度の平面視正方形状の床面32を形成し、この床面32の四隅コーナー部に長さ2400mm程度の柱34をそれぞれ立設するとともに、隣接する各柱33の上部間に梁34を各々架け渡し一体に連結して、天井及び周囲四側面が開口した箱形に形成してある。
【0020】
天井に面して対向する一対の梁34,34の内面には、それぞれ梁34の両端部間に亘る長さのガイドレール35,35が平行に取り付けられており、両ガイドレール35,35間に複数の遮光幕ユニット2を架設して天井遮光装置1を構成してある。
【0021】
詳しくは、
図5に示されるように、ガイドレール35は、鈎状断面の開口部を水平に向けて梁34に固定されており、その内部にはガイドレール35に沿ってスライド自在な係合体36を複数収納してある。
係合体36は、ガイドレール35内に位置する幅広な係合部36aの表面に、先端をリング部36cが設けられ且つ外周にロックナット36dが螺合した軸部36bを一体に突設した形状を呈しており、ロックナット36dを緩めることで係合体36をガイドレール35に沿ってスライドさせ得、ロックナット36dを締め付けることで係合体36をガイドレール35に固定することができるように設けてある。
【0022】
また、遮光幕ユニット2の遮光シート21は、遮光性を有する布材を用い、
図4に示されるように、上辺に沿ってワイヤ22が挿通する孔部21aを設け、左右側辺と下辺部分を補強のため縫合又は溶着して横長矩形状に形成してある。遮光シート21は、ワイヤ22に吊下げて梁34,34間に架け渡された状態で、梁34,34の間に三枚の遮光シート21が隙間なく一続きとなって帯状に連なるように、縦200mm、横600mm程度の寸法に形成してある。
また、ワイヤ22は、梁34,34間の幅よりも若干長い鋼製又はステンレス製の紐材からなり、その両端部に係止フック23a,24a付きの留め具23,24をそれぞれ連結してある。留め具23は、その内部にワイヤ22が挿通しているとともに、ワイヤ22の端部を、固定位置を適宜に調節することができるように設けてある。ワイヤ22は、合成樹脂製材などの鋼製やステンレス製以外の紐材を用いてもよい。
【0023】
遮光幕ユニット2は、ワイヤ22に三枚の遮光シート21の各孔部21aを通し掛けて吊り下げ、ワイヤ22の両端に留め具23,24を連結して構成され、両留め具23,24を前記ガイドレール35,35に収納された係合体36に取り付けて、梁35,35の間に架設される。
【0024】
遮光幕ユニット2のガイドレール35への取り付けは、
図5に示されるように、先ず、同図(A)に示されるように、ガイドレール35に収納された係合体36を遮光幕ユニット2を架設する位置にスライド移動させて固定する。係合体36のスライドはロックナット36dを緩めて行ない、架設位置に移動させたならばロックナット36dを締め付けて固定する。対向するガイドレール35の係合体36も水平な対応置に固定しておく。
次いで、同図(B)に示されるように、一方のガイドレール35の係合体36のリング部36cに、遮光幕ユニット2の留め具24の係止フック24aを引っ掛けて接続する。このとき、ワイヤ22の留め具23,24間の長さは梁34,34の幅よりも長くしておく。
そして、同図(C)に示されるように、他方のガイドレール35の係合体36のリング部36cに、遮光幕ユニット2の留め具23の係止フック23aを引っ掛けて接続するとともに、留め具23のワイヤ22の端部の固定位置を調整して、ガイドレール35,35の係合体36,36に架け渡したワイヤ22にテンションを与えることで遮光幕ユニット2の取り付けが完了する。なお、遮光幕ユニット2の取り外しは、前記留め具23でそのワイヤ22の端部の固定位置を調整して、ワイヤ22のテンションを緩めることで行なうことが可能である。
前記両係合体36,36に遮光幕ユニット2の両端部を接続させた状態で、ガイドレール35,35に沿って係合体36,36をスライド移動して、遮光幕ユニット2の架設位置を調整してもよい。
【0025】
このように構成された本形態の日除け用簡易建物3によれば、梁34で囲われた開口した天井の下側に、複数枚の遮光シート21が掛止されて垂れ下がった暖簾状の遮光幕ユニット2が複数並設してあるので、前記開口した天井を透過する太陽光が各遮光幕ユニット2の遮光シート21で遮断され、建物内部を照らす日差しの量が適宜に遮断されて、建物内部に快適な日除け空間をつくることが可能である。前記各遮光幕ユニット2は、ワイヤ22に複数の遮光シート2を垂れ下げて形成されているので、風を受けても各遮光シート21が独立して揺れて遮光幕ユニット2にかかる風圧が分散され、風圧による影響が極めて少ない。
【0026】
また、各遮光幕ユニット2はその両端部がガイドレール35,35に収納された係合体36に接続しており、ガイドレール35に沿って係合体36をスライド移動させて架設位置を調節することできるので、
図6に示されるように、日除け用簡易建物3の一側に各遮光幕ユニット2を寄せ集めて格納しておいたり、ガイドレール35,35に沿って各遮光幕ユニット2を天井下方に展開したりすることができる。また、各遮光幕ユニット2を個別に移動させることで、遮光幕ユニット2同士の配置間隔を調整して、季節や日照時刻、太陽の高さなどに応じて各遮光幕ユニット2間の配置間隔を均等に或いは不均一にするなどして、建物内部にできる日陰の位置や日差しの量を調整することが可能である。
【0027】
また、日除け簡易建物3の拡張設備として、
図7に示されるように、建物の内部に人が座るベンチ4を設置したり、
図8に示されるように、柱33,33間の開放した側面に緑化ワイヤシステム5を設置したりしてもよい。
【0028】
さらに、建物側方からの太陽光の直射を遮るため、
図9(A)に示されるように、隣接する柱33,33の間に前記遮光幕ユニット2を、互いに上下に間隔を開け多段に設置するようにしてもよい。同図(B)に示されるように、日除け用簡易建物3の出入口を除いた、周囲三側面に遮光光幕ユニット2を設置してもよい。
柱33,33への遮光幕ユニット2の取り付けは、柱33の取り付け位置に遮光幕ユニット2の端部が係合する係止フックを固定したり、前記と同様のガイドレール35を柱33,33の内面に設けたりして行なうことができる。
【0029】
なお、日除け用簡易建物3は、公園などの設置現場に構成部材を搬入し、その場で組み立てて設置され、アンカーボルトの打ち込みが可能であれば、設置面に根太と柱を連結する柱脚金具を敷き、これにアンカーボルトを打ち込んで固定し、固定された柱脚金具に根太と柱を接続して組み立てることにより設置位置に固定することができる。
柱脚金具6は、例えば
図10に示されるように、座部61上に仕切り部62,62と柱挿入部63を一体に立設し、座部61にアンカーボルトを打ち込むための孔部61a、両仕切り部62,62と柱挿入部63に留めネジやリベットが挿通する孔部62a,63aをそれぞれ設けて形成することができる。
そして、
図11に示されるように、設置面に柱脚金具6を敷いた状態で座部61の孔部61aからアンカーボルトを打ち込んで柱脚金具6を固定し、固定された柱脚金具6の仕切り部62,62に根太31の端部を接合するとともに、孔部62aから根太31に留めネジをネジ入れて固定し、また、柱挿入部63に柱33を差し込み、孔部63aから固定リベットを柱33の端部側面に打ち込み、さらに根太31の並設と床面32の形成、柱33,33の上部間への梁34の架け渡しなどの工程を経て日除け用簡易建物3を組み立てることで設置面に固定することができる。
【0030】
施設の屋上などのアンカーボルトの打ち込みができない場所では、
図12に示されるように、コンクリート平板などの重りとなる固定部材7を根太31,31の間の隙間に設置して各根太31を支持することで固定することが可能である。
また、
図13に示されるように、根太31の底部にキャスター8を取り付けて、日除け用簡易建物3が任意の場所に移動することができるように構成されていてもよい。
【0031】
なお、図示した天井遮光装置1と日除け用簡易建物3の構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
また、前記実施の形態では、構造物として天井が開口した建物に本発明の天井遮光装置1を適用した構成を示したが、本発明の天井遮光装置は、屋根付き建物の室内の天井に設置して、照明装置による採光を調整するルーバーとして機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 天井遮光装置、2 遮光幕ユニット、21 遮光シート、22 ワイヤ、23,24 留め具、3 日除け用簡易建物、31 根太、32 床面、32a デッキ材、33 柱、34 梁、35 ガイドレール、36 係合体、4 ベンチ、5 緑化ワイヤシステム、6 柱脚金具、7 固定部材、8 キャスター、G 設置面
【要約】
【課題】構造物の天井に設置される遮光装置において、風の影響を受け難く、構造物内部の日差しの強さを適宜に調整することができるようにする。
【解決手段】線状部材22に複数枚の遮光シート21を通し掛けて構成された複数の遮光幕ユニット2を、天井を臨む構造物の内部にスライド移動自在に取り付け、隣接する遮光幕ユニット2との間の間隔を適宜に設定して、構造物内部への日差しの量を制御する。
【選択図】
図2