(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外部を囲み前記生タイヤにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で前記生タイヤの外面側から前記生タイヤを常温以上に加熱する外側予熱部と、
前記生タイヤの内部に配され前記生タイヤにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で前記生タイヤの内面側から前記生タイヤを常温以上に加熱する内側予熱部と、
を備え、
前記外側予熱部は、
前記易加硫領域の外面を加熱する第一タイヤヒータと、
前記難加硫領域の外面を前記第一タイヤヒータよりも高い発熱量で加熱する第二タイヤヒータと、
を有し、
前記内側予熱部は、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを有する、
タイヤ予熱装置。
易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の温度まで前記生タイヤを加熱するとともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱することを特徴とするタイヤ予熱方法。
易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の予熱温度まで前記生タイヤを加熱するとともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱する予熱工程と、
前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤに対して前記予熱温度を超える温度となるように加熱して前記生タイヤをタイヤモールド内で加硫する加硫工程と、
を備えるタイヤ製造方法。
易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の予熱温度まで前記生タイヤを加熱するとともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱するタイヤ予熱工程と、
前記生タイヤを加硫するために前記生タイヤの内部に配されるブラダを、前記易加硫領域に接する面が相対的に低温であり前記難加硫領域に接する面が相対的に高温となるように加熱するブラダ予熱工程と、
前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤをタイヤモールド内に配置するとともに前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤの内面に前記ブラダを接触させて前記生タイヤが前記予熱温度を超える温度となるように前記生タイヤを加熱して前記生タイヤをタイヤモールド内で加硫する加硫工程と、
を備えるタイヤ製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤには、所望の性能を発揮させる目的で、ゴム厚やゴム種が異なる部位が存在する場合がある。タイヤにおいてゴム厚やゴム種が異なる部位では、熱の伝わりやすさや加硫反応の起こりやすさが互いに異なる場合があり、このようなタイヤの材料となる生タイヤには加硫されやすい領域(易加硫領域)及び加硫されにくい領域(難加硫領域)が存在することとなる。
【0005】
上記の特許文献1から4までに開示された技術では、易加硫領域及び難加硫領域が1種の生タイヤに存在する場合に、生タイヤにおける加硫反応が促進される温度付近に適切に予熱される部位、予熱が不足している部位、及び予熱が過剰な部位が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤに対して各領域に好適に対応した温度分布で生タイヤを予熱することができるタイヤ予熱装置、タイヤ加硫システム、タイヤ予熱方法、及びタイヤ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外部を囲み前記生タイヤにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で前記生タイヤの外面側から前記生タイヤを常温以上に加熱する外側予熱部と、前記生タイヤの内部に配され前記生タイヤにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で前記生タイヤの内面側から前記生タイヤを常温以上に加熱する内側予熱部と、を備え、前記外側予熱部は、前記易加硫領域の外面を加熱する第一タイヤヒータと、前記難加硫領域の外面を前記第一タイヤヒータよりも高い発熱量で加熱する第二タイヤヒータとを有
し、前記内側予熱部は、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを有する、タイヤ予熱装置である。
【0008】
このタイヤ予熱装置は、易加硫領域の外面に対する第一タイヤヒータによる加熱よりも高い発熱量で第二タイヤヒータが難加硫領域の外面を加熱するので、タイヤ予熱装置を用いた予熱開始から予熱終了までの時間内で難加硫領域の外面に対して易加硫領域の外面よりも多くの熱を伝えることができる。
【0009】
本発明の第二の態様は、上記態様のタイヤ予熱装置と、常温以上且つ加硫反応が促進される温度未満の温度まで前記タイヤ予熱装置により加熱された生タイヤに対して加硫するタイヤ加硫装置とを備え、前記タイヤ加硫装置は、前記生タイヤの外部を囲むタイヤモールドと、前記生タイヤの内部に配され前記生タイヤの内面側から前記生タイヤを前記タイヤモールド側へ加圧するブラダと、常温以上且つ前記生タイヤにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で前記ブラダの外面を加熱するブラダ予熱部と、を有するタイヤ加硫システムである。
【0010】
このタイヤ加硫システムは、ブラダ予熱部がブラダの外面を予熱するので、タイヤ予熱装置によって加硫促進温度付近の温度で予熱された生タイヤとブラダの外面との温度差が少なく、タイヤ予熱装置によって予熱された生タイヤがブラダに接した時の生タイヤの温度低下を予防できる。また、このタイヤ加硫システムによれば、加熱時間を短縮しても生タイヤを好適に加硫することができる。
【0011】
前記ブラダ予熱部は、前記ブラダの外面のうち前記易加硫領域の内面に接触する領域を加熱する第一ブラダヒータと、前記ブラダの外面のうち前記難加硫領域の内面に接触する領域を前記第一ブラダヒータよりも高い発熱量で加熱する第二ブラダヒータとを有していてもよい。
この場合、ブラダの外面のうち、第一ブラダヒータにより加熱される領域よりも第二ブラダヒータにより加熱される領域の方が高温となる温度分布が生じている状態でブラダを生タイヤの内面に接触させることができるので、難加硫領域の内面に対して易加硫領域の内面よりも多くの熱を伝えて加硫反応を促進することができる。
【0012】
本発明の第三の態様は、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の温度まで前記生タイヤを加熱する
とともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱することを特徴とするタイヤ予熱方法である。
【0013】
このタイヤ予熱方法によれば、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤに対して難加硫領域の外面に対して易加硫領域の外面よりも多くの熱をかけて生タイヤを外面側から予熱することができる。
【0014】
本発明の第四の態様は、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の予熱温度まで前記生タイヤを加熱する
とともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱する予熱工程と、前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤに対して前記予熱温度を超える温度となるように加熱して前記生タイヤをタイヤモールド内で加硫する加硫工程と、を備えるタイヤ製造方法である。
【0015】
このタイヤ製造方法によれば、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤを材料としても加硫度のムラの少ない加硫が可能である。
【0016】
本発明の第五の態様は、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤの外面側から、前記易加硫領域に対しては相対的に少なく前記難加硫領域に対しては相対的に多い発熱量によって、常温以上且つ前記生タイヤの加硫が促進される温度未満の予熱温度まで前記生タイヤを加熱する
とともに、前記生タイヤの内面側から、前記生タイヤのトレッド幅方向に並べられ、発熱量が個別に制御可能な複数のヒータを用いて前記生タイヤを加熱するタイヤ予熱工程と、前記生タイヤを加硫するために前記生タイヤの内部に配されるブラダを、前記易加硫領域に接する面が相対的に低温であり前記難加硫領域に接する面が相対的に高温となるように加熱するブラダ予熱工程と、前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤをタイヤモールド内に配置するとともに前記予熱温度まで加熱された前記生タイヤの内面に前記ブラダを接触させて前記生タイヤが前記予熱温度を超える温度となるように前記生タイヤを加熱して前記生タイヤをタイヤモールド内で加硫する加硫工程と、を備えるタイヤ製造方法である。
このタイヤ製造方法によれば、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤを材料としても加硫度のムラの少ない加硫が可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、易加硫領域及び難加硫領域を有する生タイヤに対して各領域に好適に対応した温度分布で生タイヤを予熱することができるタイヤ予熱装置、タイヤ加硫システム、タイヤ予熱方法、及びタイヤ製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のタイヤ予熱装置について、タイヤ予熱装置を備えたタイヤ加硫システムを例示して説明する。
図1は、本実施形態のタイヤ予熱装置を備えたタイヤ加硫システムの模式図である。
図2は、タイヤ予熱装置に設けられた内側放射熱ヒータの他の構成例を示す模式図である。
図3は、タイヤ予熱装置の内側放射熱ヒータのさらに他の構成を示す模式図である。
【0020】
図1に示す本実施形態のタイヤ加硫システム100は、公知のタイヤ加硫装置1と、このタイヤ加硫装置1に搬入される生タイヤ40Xを予熱するタイヤ予熱装置50とを備えている。本実施形態では、タイヤ加硫装置1の構成は特に限定されないので、詳細な図示及びその説明を省略する。
【0021】
図1に示すように、タイヤ予熱装置50は、外側予熱部51と、内側予熱部54とを有している。
【0022】
外側予熱部51は、生タイヤ40Xの外部を囲むように配置されることにより生タイヤ40Xの外面40aから生タイヤ40Xを加熱する。外側予熱部51は、生タイヤ40Xにおける加硫反応が促進される温度未満の温度で生タイヤ40Xの外面40a側から生タイヤ40Xを常温以上に加熱する。生タイヤ40Xにおける加硫反応が促進される温度とは、生タイヤ40Xのゴム種等に応じて決まる、生タイヤ40Xに対する加硫として好適な加硫反応が起こる最低温度を下限とする温度である。
【0023】
外側予熱部51は、第一タイヤヒータ52と、第二タイヤヒータ53とを備える。
第一タイヤヒータ52及び第二タイヤヒータ53は、加硫される対象となる生タイヤ40Xの構成に対応した発熱量で生タイヤ40Xの外面40aから生タイヤ40Xを加熱する。以下では、トレッド部41がサイドウォール42よりも厚く形成されている生タイヤ40Xを加硫する場合の生タイヤ40Xの予熱を好適に行うことができる構成を例示する。この場合、サイドウォール42が易加硫領域A2であり、トレッド部41が難加硫領域A1である。
なお、易加硫領域A2及び難加硫領域A1は、上記の例によらず生タイヤ40Xの構成に対応して規定されてよい。たとえば、タイヤ40のショルダー部44が肉厚とされた構成はランフラットタイヤに好適に適用可能であるが、この場合のショルダー部44は一般的にサイドウォール42に対して肉厚であり、サイドウォール42が易加硫領域A2であることに対してショルダー部44を難加硫領域A1として規定できる。また、トレッド幅方向Xにおいてゴム種が互いに異なる場合や、トレッド幅方向Xにおいてトレッド部41内に部分的にシリカや油脂その他の添加物が含まれている場合等には、これらの場合による加硫への影響を考慮して、トレッド部41内に対する予熱温度に分布を設けることが求められることがある。これらの場合には、トレッド部41内に易加硫領域A2及び難加硫領域A1を規定できる。
【0024】
第一タイヤヒータ52は、生タイヤ40Xのサイドウォール42の外面42aに対して予熱を行うヒータである。第一タイヤヒータ52の発熱方式は特に限定されない。たとえば、第一タイヤヒータ52は、生タイヤ40Xのサイドウォール42の外面42aに接してサイドウォール42を加熱するヒータであってもよい。また、第一タイヤヒータ52は、生タイヤ40Xのサイドウォール42の外面42aに接する気体状の加熱媒体を介してサイドウォール42を加熱するヒータであってもよい。また、第一タイヤヒータ52は、生タイヤ40Xのサイドウォール42の外面42aへ向けて放射熱を発するヒータであってもよい。放射熱を発するヒータとしては、タイヤに吸収されやすい波長の赤外線を発する赤外線ヒータが挙げられる。具体的には、タイヤの吸収波長である1μmから10μmの範囲内にピークを有する赤外線を発する赤外線ヒータが本実施形態の第一タイヤヒータ52として採用されてよい。また、タイヤの吸収波長のうち3μmから6μmの範囲内にピークを有する赤外線を発する赤外線ヒータが本実施形態の第一タイヤヒータ52として採用されてよい。このような赤外線ヒータの例として、セラミックヒータが挙げられる。また、例えばシリカ等の添加物が生タイヤ40Xに添加された構成である場合には、添加物の吸収波長とは異なる波長をピークとする赤外線を発する赤外線ヒータが第一タイヤヒータ52として採用されてもよい。
【0025】
第二タイヤヒータ53は、生タイヤ40Xのトレッド部41の外面41aに対して予熱を行うヒータである。第二タイヤヒータ53は、第一タイヤヒータ52よりも発熱量の大きなヒータである。第二タイヤヒータ53の発熱方式は特に限定されない。たとえば、第二タイヤヒータ53は、生タイヤ40Xのトレッド部41の外面41aに接してトレッド部41を加熱するヒータであってもよい。また、第二タイヤヒータ53は、生タイヤ40Xのトレッド部41の外面41aに接する気体状の加熱媒体を介してトレッド部41を加熱するヒータであってもよい。また、第二タイヤヒータ53は、生タイヤ40Xのトレッド部41の外面41aへ向けて放射熱を発するヒータであってもよい。放射熱を発するヒータとしては、タイヤに吸収されやすい波長の赤外線を発する赤外線ヒータが挙げられる。具体的には、タイヤの吸収波長である3μmから6μmの範囲内にピークを有する赤外線を発する赤外線ヒータが本実施形態の第二タイヤヒータ53として採用されてよい。このような赤外線ヒータの例として、セラミックヒータが挙げられる。また、例えばシリカ等の添加物が生タイヤ40Xに添加された構成である場合には、添加物の吸収波長とは異なる波長をピークとする赤外線を発する赤外線ヒータが第二タイヤヒータ53として採用されてもよい。
【0026】
本明細書における第一タイヤヒータ52の発熱量及び第二タイヤヒータ53の発熱量の大小関係は、予熱される対象となる生タイヤ40Xの外面40aにおける単位面積当たりに対する加熱能力が考慮される。
【0027】
また、本明細書における第一タイヤヒータ52の発熱量及び第二タイヤヒータ53の発熱量の大小関係は、第一タイヤヒータ52及び第二タイヤヒータ53がいずれも赤外線ヒータである場合、予熱される対象となる生タイヤ40Xの外面40aにおける吸収波長特性が考慮されてもよい。すなわち、例えば、赤外線ヒータからなる第一タイヤヒータ52及び第二タイヤヒータ53の出力が互いに等しくても、放射される赤外線のピーク波長が互いに異なっていれば、生タイヤ40Xの外面40aにおける単位面積当たりに対する加熱能力が異なる。逆に、赤外線ヒータからなる第一タイヤヒータ52及び第二タイヤヒータ53における赤外線のピーク波長が互いに等しくても、予熱される対象となる生タイヤ40Xの外面40aにおける吸収波長特性が部位により異なっている場合には、生タイヤ40Xの外面40aにおける単位面積当たりに対する加熱能力がその部位に対応して異なる。
【0028】
なお、第一タイヤヒータ52及び第二タイヤヒータ53は、最大発熱量が互いに等しい、あるいは第一タイヤヒータ52の方が第二タイヤヒータ53よりも最大発熱量が大きいヒータであってもよい。これらの場合、生タイヤ40Xの予熱時に、第二タイヤヒータ53の発熱量が第一タイヤヒータ52の発熱量よりも大きくなるように発熱状態が制御される。
【0029】
内側予熱部54は、タイヤ予熱装置50に生タイヤ40Xが取り付けられた状態において生タイヤ40Xの内部に配置される内側放射熱ヒータ55を有している。なお、内側予熱部54は、内側放射熱ヒータ55を備えることに代えて、高温水蒸気やガス等の加熱媒体を用いて生タイヤ40Xの内面40bを予熱するものであってもよい。
【0030】
内側放射熱ヒータ55には、生タイヤ40Xの内面40bに向けて放射熱を発する放射面56が形成されている。内側放射熱ヒータ55が発する熱は、主に放射面56の法線方向へと放射される。本実施形態ではタイヤ40のゴム種、厚さ、あるいは形状に対応して内側放射熱ヒータ55の放射面56が構成されている。
【0031】
たとえば、内側放射熱ヒータ55の放射面56は、生タイヤ40Xの全体を均一に加熱するために相対的に多く加熱する必要がある領域に向けられている。一例を挙げると、内側放射熱ヒータ55の放射面56は、生タイヤ40Xのゴム厚が厚い部位(本実施形態ではトレッド部41)に対してゴム厚が薄い部位(本実施形態ではサイドウォール42)よりも多くの放射熱を伝達するように、ゴム厚が厚い部位に向けられた面55aを有する。
【0032】
また、放射面56の構成は上記には限られない。放射面56の構成の別の例としては、内側放射熱ヒータ55の放射面56は、生タイヤ40Xのゴム種が部位に応じて異なっている場合、加硫温度が高いゴム種により構成される部位に対して、加硫温度が低いゴム種により構成される部位よりも多くの放射熱を伝達するように、加硫温度が高いゴム種により構成される部位に向けられた面を有する。
さらに別の例としては、内側放射熱ヒータ55の放射面56は、生タイヤ40Xの大きさに対応して、内側放射熱ヒータ55から遠い位置にある部位に対して、内側放射熱ヒータ55から近い位置にある部位よりも多くの放射熱を伝達するように、内側放射熱ヒータ55と生タイヤ40Xの内面40bとの距離に応じて規定された面を有する。
【0033】
内側放射熱ヒータ55の形状は、上記の放射面56を有していれば特に限定されない。内側放射熱ヒータ55の形状の一例として、たとえば、内側放射熱ヒータ55は、生タイヤ40Xがタイヤ予熱装置50に取り付けられた状態における生タイヤ40Xのトレッド幅方向Xに長い略棒状をなしている。
【0034】
また、内側放射熱ヒータ55の外面形状は、円柱面状の放射面56を有する形状(
図1参照)、円柱面の中心線方向の中間部が径方向内側に窪んだ曲面状の放射面56を有する形状(
図2参照)、円柱面の中心線方向の中間部が径方向外側に膨らんだ紡錘体状の曲面をなす放射面56を有する形状(
図3参照)などであってよい。
【0035】
また、内側放射熱ヒータ55は、
図4に示すように、トレッド幅方向Xに並べられた複数のヒータ(たとえばヒータ55−1,ヒータ55−2,ヒータ55−3,ヒータ55−4,ヒータ55−5)を有していてもよい。この場合、複数のヒータ(ヒータ55−1,ヒータ55−2,ヒータ55−3,ヒータ55−4,ヒータ55−5)からの発熱量が個別に制御されることにより、
図1に示す生タイヤ40Xの内面40bに到達する熱量を調節することができる。
【0036】
内側放射熱ヒータ55には、電力の供給を受けて発熱する公知の発熱方式が適宜選択されて適用されてよい。すなわち、本実施形態の内側放射熱ヒータ55として、赤外線ヒータ、セラミックヒータ、カーボンヒータ等が採用されてよい。内側放射熱ヒータ55からの放射熱の波長は、生タイヤ40Xを効率よく加熱できる波長(たとえば3μm以上6μm以下の範囲にピークを有する赤外線)であることが好ましい。
なお、上記の内側放射熱ヒータ55の構成の例はあくまでも例示であり、本実施形態の内側放射熱ヒータ55は上記構成には限定されない。
【0037】
本実施形態のタイヤ予熱装置50の作用及びその効果について、本実施形態のタイヤ予熱方法及びタイヤ製造方法とともに説明する。
【0038】
本実施形態のタイヤ予熱装置50の動作時には、
図1に模式的に示すようなタイヤ保持機構60により、例えば生タイヤ40Xのビード43が支持された状態で、生タイヤ40Xがタイヤ予熱装置50内に保持される。
【0039】
図1に示すようにトレッド部41がサイドウォール42よりも厚く形成されている生タイヤ40Xの場合、トレッド部41の方がサイドウォール42よりも温まりにくい。また、生タイヤ40Xにおいて厚く形成された部位では、生タイヤ40Xの外面40a側から均一な発熱量で加熱された場合、薄く形成された部位よりも、外面40aと中間部40cとの間の温度差が大きい。
【0040】
本実施形態では、サイドウォール42の外面42aが第一タイヤヒータ52により予熱され、トレッド部41の外面41aが第二タイヤヒータ53により予熱され、生タイヤ40Xの内面40bは内側放射熱ヒータ55により予熱される。このため、生タイヤ40Xの難加硫領域A1であるトレッド部41に対して、生タイヤ40Xの易加硫領域A2であるサイドウォール42よりも多くの熱を伝えることができる(タイヤ予熱工程)。
【0041】
また、例えば生タイヤ40Xに対して均一な発熱量で予熱を行うと、難加硫領域A1を加硫促進温度未満の温度まで常温から加熱する過程で易加硫領域A2では加硫反応が開始してしまう可能性が考えられる。これに対して、本実施形態のタイヤ予熱装置50は、難加硫領域A1(たとえ
ばトレッド部41)と易加硫領域A2(たとえばサイドウォール42)とで互いに異なる温度分布とすることができるので、生タイヤ40Xの全体として、加硫促進温度未満で加硫開始温度近傍まで生タイヤ40Xを予熱することができる。
【0042】
また、生タイヤ40Xのサイドウォール42は、トレッド部41と比較して薄いので、高温になりすぎると自重により変形する可能性がある。本実施形態では、第二タイヤヒータ53よりも低い発熱量の第一タイヤヒータ52によりサイドウォール42が予熱されるので、加硫前に生タイヤ40Xが自重により変形する可能性を低く抑えることができる。
【0043】
タイヤ予熱工程の後、予熱された生タイヤ40Xは、公知のタイヤモールドを備えたタイヤ加硫装置1に搬入され、所定の温度条件の下で加硫される(加硫工程)。
【0044】
上記のタイヤ予熱工程及び加硫工程により、生タイヤ40Xが加硫されるとともにトレッドパターンや模様などが生タイヤ40Xに形成される。
本実施形態では、加硫促進温度未満であって加硫開始温度近傍の予熱温度となるように、生タイヤ40Xにおける易加硫領域A2及び難加硫領域A1の位置に対応した予熱がタイヤ予熱工程において行われるので、易加硫領域A2及び難加硫領域A1を有する生タイヤに対して各領域に好適に対応した温度分布で生タイヤを予熱できる。
【0045】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。
図5は、本実施形態のタイヤ加硫システムの一部を示す模式図である。
図6及び
図7は、タイヤ加硫システムのブラダ予熱装置を示す模式図である。
本実施形態のタイヤ加硫システム100A(
図5参照)は、上記第1実施形態に開示されたタイヤ予熱装置50(
図1に示す)と、このタイヤ予熱装置50によって予熱されたタイヤに対して加硫を行うタイヤ加硫装置1A(
図5,
図6参照)とを備えている。
本実施形態のタイヤ予熱装置50の構成は上記第1実施形態と同様なのでその説明を省略する。
図5及び
図6に示す本実施形態のタイヤ加硫装置1Aは、タイヤモールド2と、ブラダ10と、中心機構14と、モールド固定機構17と、モールド昇降機構18と、タイヤ加熱機構20と、加圧媒体供給部26と、ブラダ予熱部30とを備える。
【0046】
タイヤモールド2は、上サイドモールド3と、下サイドモールド4と、上ビードリング5と、下ビードリング6と、トレッドモールド7とを有している。
【0047】
上サイドモールド3及び下サイドモールド4は、タイヤ40の両サイドウォール42を成形するための金型である。上サイドモールド3はモールド昇降機構18に取り付けられている。下サイドモールド4はモールド固定機構17に取り付けられている。
【0048】
上ビードリング5及び下ビードリング6は、タイヤ40の両ビード43を成形するための金型である。
【0049】
トレッドモールド7は、トレッドセグメント8と、スライドセグメント9とを有している。
トレッドセグメント8は、生タイヤ40Xのトレッド部41に対してトレッドパターンを転写する金型である。
スライドセグメント9は、タイヤ40の径方向にトレッドセグメント8が移動可能となるようにトレッドセグメント8を保持する。スライドセグメント9は、モールド昇降機構18に連結されている。
なお、タイヤモールド2の構成は上記の構成には限定されない。たとえば、タイヤモールド2の構成は、生産されるタイヤの形状等に対応して適宜選択されてよい。
【0050】
ブラダ10は、タイヤ加硫装置1Aの使用時にタイヤモールド2内に配される生タイヤ40Xを内側からタイヤモールド2に押し付けるための中空部材である。ブラダ10は、本実施形態のタイヤ加硫装置1Aにより加硫される生タイヤ40Xの内面形状に対応した形状を有する本体部11と、中心機構14に連結される上部クランプ部12及び下部クランプ部13とを有している。ブラダ10の内部に加圧媒体(気体及び液体)が充填されることにより、ブラダ10が生タイヤ40Xの内面40bを押圧する。さらに、ブラダ10は、後述するヒータ23により加熱され、ブラダ10を介して生タイヤ40Xを内面40b側から加熱可能である。
なお、ブラダ10の構成は上記の構成には限定されない。
【0051】
中心機構14は、ブラダ10の上部クランプ部12及び下部クランプ部13に連結された一対のブラダクランプリング15と、一対のブラダクランプリング15に連結されたセンターポスト16とを備えている。中心機構14は、センターポスト16の中心線16a方向に一対のブラダクランプリング15を相対移動させることにより、ブラダ10が生タイヤ40Xに挿脱可能となるようにブラダ10を変形させる。
なお、中心機構14の構成は上記の構成には限定されない。
【0052】
モールド固定機構17は、中心機構14及び下サイドモールド4を支持することが可能であり、ブラダ予熱部30を移動可能に支持している。
【0053】
モールド昇降機構18は、上サイドモールド3及びトレッドモールド7を、下サイドモールド4に対して、センターポスト16の中心線16a方向へと進退移動させる。また、本実施形態では、モールド昇降機構18がトレッドモールド7をモールド固定機構17に近づけるのに従ってトレッドモールド7のスライドセグメント9がセンターポスト16側へと移動する。
なお、モールド昇降機構18の構成は上記の構成には限定されない。
【0054】
タイヤ加熱機構20は、上サイドモールド3、下サイドモールド4、及びトレッドモールド7を介して生タイヤ40Xの外面40a側から生タイヤ40Xを加熱する外部加熱機構21と、センターポスト16に取り付けられ生タイヤ40Xの内面40b側から生タイヤ40Xを加熱する内部加熱機構22とを有している。
【0055】
外部加熱機構21は、例えば高温蒸気の流路を有し、高温蒸気の熱により生タイヤ40Xを外側から加熱する。なお、外部加熱機構21の構成は上記の構成には限定されない。
【0056】
内部加熱機構22は、センターポスト16に取り付けられたヒータ23と、ヒータ23に対して電力を供給する配線25とを有している。
【0057】
ヒータ23は、上下のビードリング5,6に支持されたタイヤ40の内側から、放射熱によりタイヤ40の加熱を行う。本実施形態ではヒータ23はブラダ10を介してタイヤ40の加熱を行う。なお、ブラダ10を備えないタイヤ加硫装置1Aである場合には、ヒータ23がタイヤ40の内側からタイヤ40を直接加熱してもよい。
【0058】
ヒータ23の形状は、センターポスト16を囲みセンターポスト16の中心線16aと同軸をなす円筒形である。ヒータ23の外周面には、生タイヤ40Xの内面40bへ向けて放射熱を発する放射面24が形成されている。
【0059】
ヒータ23には、電力の供給を受けて発熱する公知の発熱方式が適宜選択されて適用されてよい。すなわち、本実施形態のヒータ23として、赤外線ヒータ、セラミックヒータ、カーボンヒータ等が採用されてよい。たとえば、ヒータ23からの放射熱の波長は、ブラダ10の吸収波長特性に対応し、ブラダ10を効率よく加熱できる波長であることが好ましい。ブラダ10を構成するゴム等樹脂の吸収波長特性に対応してブラダ10を好適に加熱可能なヒータとしては、1μmから10μ
mまでの範囲の波長をピークとする赤外線ヒータが挙げられる。たとえば、ブラダ10を構成するゴム等樹脂の吸収波長特性に対応してブラダ10を好適に加熱可能なヒータとしては、3.5μm程度の波長をピークとする赤外線ヒータが挙げられる。たとえばセラミックヒータは3μmから6μmまでの範囲に放射熱の波長のピークを有しているので、本実施形態のヒータ23に特に好適である。また、カーボンヒータは、放射熱の波長のピークがセラミックヒータよりも短い場合があるが、加硫のために最適な温度まで上昇して安定するまでに要する時間が短い点、及びセラミックヒータよりも高温での加熱が可能である点で効果的である。また、ヒータ23は、上記第1実施形態に開示された内側放射熱ヒータ55と同様な(
図2,3,4)構成を有していてもよい。
【0060】
配線25は、センターポスト16の内部に配され、ヒータ23と電源(不図示)とを接続する。
【0061】
加圧媒体供給部26は、生タイヤ40Xに対する加硫時に加圧媒体をブラダ10内に供給し、加硫後の加圧媒体をブラダ10内から回収する。本実施形態では、加圧媒体供給部26は、一対のブラダクランプリング15のうちの一方または両方に設けられブラダ10の内部と連通された加圧媒体管路27と、加圧媒体を加圧媒体管路27を通じて出し入れするコンプレッサ28と、加圧媒体収容部29とを有している。
加圧媒体としては、高温水蒸気やドライガス等が選択されてよい。たとえば加圧媒体として高温水蒸気が採用されている場合には、加圧媒体収容部29は、水タンク及びボイラを有する。また、加圧媒体として窒素ガスが採用されている場合には、加圧媒体収容部29は、窒素ガスを保持するタンクを有する。
【0062】
図6に示すブラダ予熱部30は、ブラダ10に対して移動可能となるように、例えばモールド固定機構17に配されている。
ブラダ予熱部30は、第一ブラダヒータ31と、第二ブラダヒータ32とを備える。
【0063】
第一ブラダヒータ31及び第二ブラダヒータ32は、加硫される対象となる生タイヤ40X(
図5参照)の構成に対応した発熱量でブラダ10の外面からブラダ10を加熱する。以下では、第1実施形態と同様にトレッド部41がサイドウォール42よりも厚く形成されている生タイヤ40Xを加硫する場合の生タイヤ40Xの予熱を好適に行うことができる構成を例示する。この場合、サイドウォール42が易加硫領域A2であり、トレッド部41が難加硫領域A1である。
【0064】
第一ブラダヒータ31は、ブラダ10の外面のうち生タイヤ40Xの易加硫領域A2(本実施形態ではサイドウォール42)の内面に接触する領域11aを加熱するヒータである。第一ブラダヒータ31の発熱方式は特に限定されない。たとえば、第一ブラダヒータ31は、ブラダ10の外面に接してブラダ10を加熱するヒータであってもよい。また、第一ブラダヒータ31は、ブラダ10の外面に接する気体状の加熱媒体を介してブラダ10を加熱するヒータであってもよい。また、第一ブラダヒータ31は、ブラダ10の外面へ向けて放射熱を発するヒータであってもよい。加熱媒体を用いる場合及び放射熱を用いる場合には、ブラダ10が膨張している形状(
図6参照)であってもブラダ10が収縮している形状(
図7参照)であってもブラダ10の外面を均一に加熱することができる。
【0065】
放射熱を発するヒータとしては、ブラダ10に吸収されやすい波長の赤外線を発する赤外線ヒータ(たとえばセラミックヒータやカーボンヒータ等でもよい)が挙げられる。具体的には、ブラダ10の吸収波長である3μmから6μmの範囲内にピークを有する赤外線を発する赤外線ヒータが本実施形態の第一ブラダヒータ31として採用されてよい。このような赤外線ヒータの例として、セラミックヒータが挙げられる。
【0066】
第二ブラダヒータ32は、ブラダ10の外面のうち生タイヤ40Xの難加硫領域A1(本実施形態ではトレッド部41)の内面に接触する領域11bを第一ブラダヒータ31よりも高い発熱量で加熱するヒータである。第二ブラダヒータ32の発熱方式は特に限定されない。たとえば、第二ブラダヒータ32は、ブラダ10の外面に接してブラダ10を加熱するヒータであってもよい。また、第二ブラダヒータ32は、ブラダ10の外面に接する気体状の加熱媒体を介してブラダ10を加熱するヒータであってもよい。また、第二ブラダヒータ32は、ブラダ10の外面へ向けて放射熱を発するヒータであってもよい。加熱媒体を用いる場合及び放射熱を用いる場合には、ブラダ10が膨張している形状であってもブラダ10が収縮している形状であってもブラダ10の外面を均一に加熱することができる。
【0067】
放射熱を発するヒータとしては、ブラダ10に吸収されやすい波長の赤外線を発する赤外線ヒータ(たとえばセラミックヒータやカーボンヒータ等でもよい)が挙げられる。具体的には、ブラダ10の吸収波長である3μmから6μmの範囲内にピークを有する赤外線を発する赤外線ヒータが本実施形態の第
二ブラダヒータ3
2として採用されてよい。このような赤外線ヒータの例として、セラミックヒータが挙げられる。
【0068】
本実施形態のタイヤ加硫システム100Aの作用及びその効果について、タイヤ予熱方法及びタイヤ製造方法とともに説明する。
【0069】
本実施形態では、複数の生タイヤ40Xに対して加硫が行われる工程において、先行する生タイヤ40Xに対する加硫の完了後、後続の生タイヤ40Xがタイヤ加硫装置1Aに搬入されるまでの間の少なくとも一部において、ブラダ予熱部30によって
図6に示すようにブラダ10が予熱される(ブラダ予熱工程)。
【0070】
また、本実施形態では、タイヤ予熱装置50により、先行する生タイヤ40Xに対する加硫が行われている間に、後続の生タイヤ40Xに対する予熱が、上記第1実施形態に開示された通りに行われる(タイヤ予熱工程)。
【0071】
先行する生タイヤ40Xに対して加硫を行う工程(加硫工程)では、加硫反応が促進される温度まで生タイヤ40Xが加熱され、所望の加硫度に対応する加硫時間に達した後に、過加硫を防止する目的で加硫済みタイヤ40が冷却される。加硫済みタイヤ40の冷却過程においても加硫反応はある程度進行する。
加硫済みタイヤ40が冷却されるのに伴って、ブラダ10も冷却される。さらに、加硫済みタイヤ40がタイヤ加硫装置1Aから取り外された後は、ブラダ10の温度はさらに低下する。
【0072】
本実施形態におけるブラダ予熱工程では、まず、加硫済みタイヤ40がタイヤ加硫装置1Aから取り外された後、ブラダ10を囲むようにブラダ予熱部30の第一ブラダヒータ31及び第二ブラダヒータ32が配置される。本実施形態では、ブラダ10は、加硫済みのタイヤ40からブラダ10を抜き取るために収縮した形状とされており、ブラダ予熱部30は収縮状態のブラダ10の外面側からブラダ10を加熱する。これにより、ブラダ10の外面は、生タイヤ40Xの内面40bにおける加硫促進温度を大幅には超えない程度の温度に保温される。また、ブラダ10の外面のうち、易加硫領域A2(本実施形態ではサイドウォール42)に接する面と、難加硫領域A1(本実施形態ではトレッド部41)に接する面とは、互いに異なる温度で保温される。
【0073】
すなわち、本実施形態では、ブラダ予熱工程において、ブラダ10の外面のうちトレッド部41の内面に接する面は、ブラダ10の外面のうちサイドウォール42の内面に接する面よりも高い温度で保温されている。さらに、本実施形態では、生タイヤ40Xの内面40bとブラダ10の外面とは、互いの接触位置において温度差が小さくなるように、タイヤ予熱装置50及びブラダ予熱部30によってそれぞれ予熱される。
【0074】
原則として、第一ブラダヒータ31及び第二ブラダヒータ32は、常温以上且つ生タイヤ40Xにおける加硫反応が促進される温度未満の温度でブラダ10の外面を加熱する。なお、ブラダ予熱部30がブラダ10から取り外されてから後続の生タイヤ40Xが搬入されるまでのブラダ10の温度低下を考慮して、ブラダ10が生タイヤ40Xの加硫開始温度よりもわずかに高い温度で予熱されていてもよい。また、生タイヤ40Xがタイヤ予熱装置50から取り外されてからタイヤ加硫装置1Aに取り付けられるまでの生タイヤ40Xの内面40bの温度の低下を考慮して、ブラダ10が生タイヤ40Xの加硫開始温度よりもわずかに高い温度で予熱されていてもよい。
すなわち、第一ブラダヒータ31及び第二ブラダヒータ32によって、ブラダ10が、生タイヤ40Xの内面40bの温度(常温、又は予熱された内面温度)よりも高い温度に予熱されていてもよい。
【0075】
後続の生タイヤ40Xに対する加硫工程では、まず、後続の生タイヤ40Xがタイヤ加硫装置1Aに搬入される。この工程では、まず、ブラダ予熱部30がブラダ10から取り外され、続いて生タイヤ40Xが下サイドモールド4に載置され、その後タイヤモールド2を構成する各部材が生タイヤ40Xを囲むように組み合わされる。
【0076】
続いて、タイヤモールド2内において、タイヤモールド2及びブラダ10が加熱され、ブラダ10が加圧されることにより、生タイヤ40Xに対する加硫が開始される。生タイヤ40Xに対する加硫の開始時点において、ブラダ10の外面はブラダ予熱部30により予熱されたことで常温より高温であり、生タイヤ40Xの内面40bはタイヤ予熱装置50により予熱されたことで常温より高温である。そして、ブラダ10と生タイヤ40Xとの接触位置において温度差が小さいので、生タイヤ40Xとブラダ10との間での熱の移動量は少ない。その結果、生タイヤ40Xの内面40bでは、サイドウォール42(易加硫領域A2)とトレッド部41(難加硫領域A1)との各々に対して好適な温度分布で予熱された状態から加硫が開始されることとなる。
【0077】
すなわち、本実施形態では、加硫工程において、易加硫領域A2と難加硫領域A1との各々に対して好適な温度分布で生タイヤ40Xが予熱された状態から加硫が開始されることとなるので、常温から生タイヤ40Xを加熱する場合よりも短時間で、且つ易加硫領域A2と難加硫領域A1とに対して適切な加硫度となるように、生タイヤ40Xを加硫することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。